JP2005271034A - 歩留りよく深溝球軸受レース素形品を製造する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ベアリングユニット用の深溝球軸受レース素形品であるアウターレース素形品およびインナーレース素形品をタワー型で親子鍛造後、旋削・油圧プレス分離することにより歩留り良くかつ効率良く2種類の素形品を製造する方法を提供する。
【解決手段】 1100〜1200℃に加熱された円柱状鋼素材1を据込み加工し、この据込み加工品2を上部肉厚環状体6とこの内径下部に外周上端部で接続する下部肉厚環状体7とその内径の底部8とからなるタワー型の親子鍛造品5に熱間鍛造し、親子鍛造品5を上部肉厚環状体6と下部肉厚環状体7と底部8に鍛造分離し、下部肉厚環状体7を突っ切り旋削で二重環状体9に加工後、接続部11を油圧プレスを用いて分離し、アウターレース素形品10とインナーレース素形品12を得る。また同様の加工工程で上部肉厚環状体6からアウターレース素形品15とインナーレース素形品16を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、深溝球軸受レース素形品の製造方法、特に熱間鍛造によるアウターレース素形とインナーレース素形からなるタワー型の親子鍛造品から歩留りよく2種類の深溝球軸受レース素形品を製造する方法に関する。
従来、ベアリングユニット用の深溝球軸受レース素形品の製造は、外輪レースあるいは内輪レースを個々に鍛造や、切削により製造する一般的な方法がある。例えば、(1)鋼管を切断した切断リングを旋盤により旋削して製造する方法や、(2)鋼管を切断した切断リングをニアネットシェイプ化のため冷間転造してリング素形品に形成した後、旋削して製造する方法や、(3)適宜長さの棒鋼を鍛造により鍛造リングに成形し、次いでこの鍛造リングを冷間転造した後、旋削して製造する方法がある。ところで(1)の方法は素材コストは安いが旋削コストが大であり、歩留りが悪い問題がある。(2)や(3)の方法は冷間転造が拡管を必要とするため生産性が悪く、さらに加工度が大きいため焼入れ後の歪が大きく研削しろが多く、さらに工具が複雑でコスト高となり、端面形状のコントロールができないなどの問題がある。そこで、出願人は、幅精度が良く低加工度であるので焼入れ歪が少なく、従って多くの研削代を必要とすることなく、複雑な工具を必要とすることなくコスト低く高生産性でリング素形品を製造する方法を開発している(例えば、特許文献1あるいは特許文献2参照。)。
さらに、上記の個々に製造する方法に対して歩留りの良い製造方法として、(a)アウターレース素形の上部の大径部とインナーレース素形の下部の小径部をタワー型に積み重ねた形状のタワー型鍛造品に熱間鍛造し、このタワー型鍛造品から上部の大径部と下部の小径部を鍛造分離して一度にアウターレース素形およびインナーレース素形を製造する方法や、(b)周囲に肉厚部を設けた皿状体を熱間鍛造により成形し、次いでこの肉厚部を径大部のアウターレース素形および径小部のインナーレース素形からなる二重リング体に横つきにより押出成形し、この二重リング体を大径のアウターレース素形および小径のインナーレース素形に切削分離してアウターレース素形およびインナーレース素形を製造する方法がある。これらのタワー型鍛造品からベアリングユニット用の深溝球軸受レース素形品の製造する方法が例えば開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2001−150082号公報 特開2001−23945号公報 国際公開第99/34023号パンフレット
本発明が解決しようとする課題は、ベアリングユニット用の深溝球軸受レース素形品であるアウターレース素形品およびインナーレース素形品をタワー型で親子鍛造後突っ切り旋削・油圧プレス分離することにより歩留り良くかつ効率良く2種類の素形品を製造する方法を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は、1100〜1200℃に加熱された円柱状鋼素材1を据込み加工して据込み加工品2とし、該据込み加工品2を上部周辺部の大径の上部肉厚環状体6と該上部肉厚環状体6の内径下部に外周上端部で接続する下部肉厚環状体7と該下部肉厚環状体7の内径下端の底部8とからなるタワー型の親子鍛造品5に熱間鍛造し、該親子鍛造品5を上部肉厚環状体6と下部肉厚環状体7と底部8に鍛造分離し、分離された下部肉厚環状体7及び上部肉厚環状体6をさらに突っ切り旋削して外周部にさらにアウターレース素形品10及び15と内部にインナーレース素形品12及び16とこれらの間の接続部11及び14とからなる二重環状体9及び13に加工し、該二重環状体9及び13から接続部11及び14を油圧プレス分離してアウターレース素形品10及び15とインナーレース素形品12及び16を得ることを特徴とする深溝球軸受レース素形品の製造方法である。
本発明は、上記の手段とすることにより1個の円柱状鋼素材から鍛造分離と旋削・油圧プレス分離することにより深溝球軸受用の外輪2個と内輪2個が製造できる。
さらに、上記の方法において、円柱状鋼素材1の据込み加工および据込み加工に続く熱間鍛造は横型高速鍛造機により行うことを特徴とする上記手段の深溝球軸受レース素形品の製造方法である。
本願のタワー型の親子鍛造品の形状は単純化した形状となっており、深溝球軸受レース素形品の製造に横型高速鍛造機を適用することができる。このため、効率よく深溝球軸受用の外輪2個と内輪2個を製造することができる。
本願の深溝球軸受レース素形品の製造方法は、円柱状鋼素材の据込み加工および据込み加工に続く熱間鍛造により、単純化した形状の上部肉厚環状体と下部肉厚環状体からなるタワー型の親子鍛造品として上部肉厚環状体と下部肉厚環状体と底部を鍛造分離し、さらに2つの肉厚環状体をそれぞれアウターレース素形品環状体と内部にインナーレース素形品環状体からなる二重環状体に加工し、該二重環状体から接続部を油圧プレス分離することで2個のアウターレース素形品と2個のインナーレース素形品を歩留り良くかつ効率よく製造することができ、さらに鍛造品の形状は深溝球軸受レース素形品であるので単純化されている。従って、横型高速鍛造装置を適用して極めて高速に熱間鍛造することができる。以上のように本願発明は優れた効果を奏するものである。
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の深溝球軸受レース素形品の製造方法を説明する工程図である
軸受鋼を用い図1に示すように、(a)に示す1100〜1200℃に加熱された円柱状鋼素材1を上型と下型間で据込み加工して拡径して(b)に示す据込み加工品2とする。さらに(c)に示すようにこの据込み加工品2の上部に薄い皿上窪み3を有する予備成形品4に予めパンチにより成形する。この予備成形品4から(d)に示す上部周辺部が大径である上部肉厚環状体6とこの上部肉厚環状体6の内径下部に外周上端部で接続する下部肉厚環状体7とこの肉厚環状体7の内径下端部の底部8とからなるタワー型の親子鍛造品5に熱間鍛造する。この親子鍛造品5を(e)に示す外径φ76mm、内径φ43.5mm、高さ17mmの上部肉厚環状体6と底部8を有する下部肉厚環状体7に鍛造分離し、さらに(f)に示すように外径φ43.5mm、内径φ13.5mm、高さ14mmの下部肉厚環状体7から底部8を鍛造分離する。次いで分離された下部肉厚環状体7をさらに突っ切り旋削により(g)に示すように外周部にさらに第1のアウターレース素形品10の環状体と内部にインナーレース素形品12の環状体とこれらの間の接続部11とからなる二重環状体9に加工する。さらに加工された二重環状体9の接続部11の部分を油圧プレスにより(h)に示すように内径φ35mmのアウターレース素形品10と外径φ25mmのインナーレース素形品12に分離し、深溝球軸受レース素形品を得る。同様の加工工程により上部肉厚環状体6から(i)に示す二重環状体13に加工する。さらに、加工された二重環状体13の接続部14の部分を油圧プレスにより(j)に示すように内径φ67mmのアウターレース素形品15と外径φ56mmのインナーレース素形品16に分離し、もう一組の深溝球軸受レース素形品を得る。
以上の工程順に説明したように、本発明の方法により1個の円柱状鋼素材1から第1のアウターレース素形品10と第2のアウターレース素形品15の2個のアウターレース素形品と第1のインナーレース素形品12と第2のインナーレース素形品16の2個のインナーレース素形品が底部8を鍛造分離し、かつ接続部11及び14を旋削・油圧プレス分離して歩留り良く、かつ効率よく製造される。
さらに、これらの本発明の製造方法において、深溝球軸受レース素形品は、図1に見られるように、タワー型の親子鍛造品5の形状縦や横の形状が面や線からなる比較的に簡単な形状をしているので、横型高速鍛造装置を適用し易い。そこで、本発明の製造方法のうち上部肉厚環状体6と下部肉厚環状体7の製造を横型高速鍛造装置を使用してダイとパンチにより成形し、その後に突っ切り旋削にて加工された二重環状体9及び13から接続部11及び14を油圧プレスを用い除去することで、アウターレース素形品10及び13とインナーレース素形品12と16に分離することで極めて高速に製造するものである。
本発明の深溝球軸受レース素形品の製造方法を説明する工程図である。
符号の説明
1 円柱状鋼素材
2 据込み加工品
3 皿上窪み
4 予備成形品
5 親子鍛造品
6 上部肉厚環状体
7 下部肉厚環状体
8 底部
9 二重環状体
10 アウターレース素形品
11 接続部
12 インナーレース素形品
13 二重環状体
14 接続部
15 アウターレース素形品
16 インナーレース素形品

Claims (2)

  1. 1100〜1200℃に加熱された円柱状鋼素材を据込み加工して据込み加工品とし、該据込み加工品を上部周辺部の大径の上部肉厚環状体と該上部肉厚環状体の内径下部に外周上端部で接続する下部肉厚環状体と該下部肉厚環状体の内径下端の底部とからなるタワー型の親子鍛造品に熱間鍛造し、該親子鍛造品を上部肉厚環状体と下部肉厚環状体と底部に鍛造分離し、分離された2つの肉厚環状体をそれぞれさらに突っ切り旋削して外周部にさらにアウターレース素形品と内部にインナーレース素形品とこれらの間の接続部とからなる二重環状体に加工し、該二重環状体から接続部を油圧プレス分離してアウターレース素形品とインナーレース素形品の各2個を得ることを特徴とする深溝球軸受レース素形品の製造方法。
  2. 円柱状鋼素材の据込み加工および据込み加工に続く熱間鍛造は横型高速鍛造機により行うことを特徴とする請求項1に記載の深溝球軸受レース素形品の製造方法。
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