JP2005266774A - 導電性部材及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間にわたって使用しても、像担持体と導電性部材との間に安定した空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させた導電性部材を提供する。
【解決手段】導電性支持体1と、該導電性支持体1上に形成された電気抵抗調整層2と、該電気抵抗調整層2の両端に設けられた空隙保持部材3,3と、を有する導電性部材10において、(イ)前記電気抵抗調整層2が、その両端近傍に、その両端方向に設けられた段差部又はその中央方向に設けられた段差部を1段以上有し、そして、(ロ)前記空隙保持部材3,3が、前記電気抵抗調整層2の段差部を構成する2面以上に接して固定されているものとする。
【選択図】図1
【解決手段】導電性支持体1と、該導電性支持体1上に形成された電気抵抗調整層2と、該電気抵抗調整層2の両端に設けられた空隙保持部材3,3と、を有する導電性部材10において、(イ)前記電気抵抗調整層2が、その両端近傍に、その両端方向に設けられた段差部又はその中央方向に設けられた段差部を1段以上有し、そして、(ロ)前記空隙保持部材3,3が、前記電気抵抗調整層2の段差部を構成する2面以上に接して固定されているものとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において用いられる導電性部材及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置に関する。
従来の電子写真複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体(感光体ドラム)に対して帯電処理を行う帯電部材、及び、感光体上のトナーに対して転写処理を行う転写部材として、導電性部材が用いられている。図14は、従来の帯電ローラを有する電子写真方式の画像形成装置の説明図である。
図14において、120は、従来の電子写真方式の画像形成装置である。従来の電子写真方式の画像形成装置120は、静電潜像が形成される感光体ドラム101、感光体ドラム101に接触して帯電処理を行う帯電ローラ102、レーザ光等の露光手段103、感光体ドラム101の静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ104、帯電ローラ102にDC電圧を印加するためのパワーパック105、感光体ドラム101上のトナー像を記録紙107に転写処理する転写ローラ106、転写処理後の感光体ドラム101をクリーニングするためのクリーニング装置108、及び、感光体ドラム101の表面電位を測定する表面電位計109から構成されている。
また、従来の電子写真方式の画像形成装置120は、プロセスカートリッジ着脱方式の装置となっている。即ち、従来の電子写真方式の画像形成装置120は、感光体ドラム101、帯電ローラ102、現像ローラ104、及び、クリーニング装置108を含むプロセス機器を一括して画像形成装置本体に対して着脱自在のプロセスカートリッジ110としている。このプロセスカートリッジ110は、少なくとも、感光体ドラム101及び帯電ローラ102を備えていればよい。このプロセスカートリッジ110は、画像形成装置に対して所定の箇所に装着されることにより、画像形成装置本体側の駆動系及び電気系と接続状態となる。なお、図14では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、本明細書において必要としないので、省略してある。
次に、従来の電子写真方式の画像形成装置120の基本的な作像動作について説明する。
感光体ドラム101に接触された帯電ローラ102に対してDC電圧をパワーパック105から給電すると、感光体ドラム101の表面は、一様に高電位に帯電する。その直後に、画像光が感光体ドラム101の表面に露光手段103により照射されると、感光体ドラム101の照射された部分は、その電位が低下する。このような帯電ローラ102による感光体ドラム101の表面への帯電メカニズムは、帯電ローラ102と感光体ドラム101との間の微少空間におけるパッシェンの法則に従った放電であることが知られている。
画像光は、画像の白/黒に応じた光量の分布であるので、かかる画像光が照射されると、画像光の照射によって感光体ドラム101の面に記録画像に対応する電位分布、即ち、静電潜像が形成される。このように静電潜像が形成された感光体ドラム101の部分が現像ローラ104を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電画像を可視像化したトナー像が形成される。かかるトナー像が形成された感光体ドラム101の部分に、記録紙107が所定のタイミングでレジストローラ(図示せず)により搬送され、前記トナー像に重なる。そして、このトナー像が転写ローラ106によって記録紙に転写された後、該記録紙107は、感光体ドラム101から分離される。分離された記録紙107は、搬送経路を通って搬送され、定着ユニット(図示せず)によって、加熱定着された後、機外へ排出される。このようにして転写が終了すると、感光体ドラム101は、その表面がクリーニング装置108によりクリーニング処理され、さらに、クエンチングランプ(図示せず)により、残留電荷が除去されて、次回の作像処理に備えられる。
従来の帯電ローラを用いた帯電方式には、感光体ドラムに帯電ローラを接触させる接触帯電方式のものがある(特許文献1,2を参照。)が、このような従来の接触帯電方式には、
(1)帯電ローラを構成している物質が帯電ローラから染み出し、これが被帯電体の表面に付着移行して帯電ローラ跡を残すこと、
(2)帯電ローラに交流電圧を印加したときに、被帯電体に接触している帯電ローラが振動するので、帯電音が発生すること、
(3)感光体ドラム上のトナーが帯電ローラに付着する(特に、上述の染み出しによって、よりトナー付着がおこりやすくなる。)ので、帯電ローラの帯電性能が低下すること、
(4)帯電ローラを構成している物質が感光体ドラムへ付着すること、及び、
(5)感光体ドラムを長期停止したときに、帯電ローラが永久変形すること、
といった問題があった。
(1)帯電ローラを構成している物質が帯電ローラから染み出し、これが被帯電体の表面に付着移行して帯電ローラ跡を残すこと、
(2)帯電ローラに交流電圧を印加したときに、被帯電体に接触している帯電ローラが振動するので、帯電音が発生すること、
(3)感光体ドラム上のトナーが帯電ローラに付着する(特に、上述の染み出しによって、よりトナー付着がおこりやすくなる。)ので、帯電ローラの帯電性能が低下すること、
(4)帯電ローラを構成している物質が感光体ドラムへ付着すること、及び、
(5)感光体ドラムを長期停止したときに、帯電ローラが永久変形すること、
といった問題があった。
このような問題を解決する技術として、帯電ローラを感光体ドラムに近接させるようにした近接帯電方式による帯電装置(特許文献3,4を参照。)が提案されている。この近接帯電方式による帯電装置は、帯電ローラを感光体ドラムに最近接距離(50〜300μm)になるように対向させて、帯電ローラに電圧を印加することにより、感光体ドラムの帯電を行うようにしたものである。この近接帯電方式による帯電装置では、ローラと感光体ドラムとが接触していないので、従来の接触帯電方式による帯電装置において問題となっていた、帯電ローラを構成している物質が感光体ドラムへ付着すること、及び、感光体ドラムが長期停止したときに永久変形すること、といった問題はない。また、この近接帯電方式による帯電装置では、帯電ローラに付着するトナーが少なくなるので、感光体ドラム上のトナー等が帯電ローラに付着することが少ない。したがって、近接帯電方式による帯電装置は、優れた帯電装置といえる。
前記特許文献3,4に記載された近接帯電方式による帯電装置では、帯電ローラと感光体ドラムとの間に空隙を保持するために、スペーサリング層が帯電ローラの両端部に設けられている。しかしながら、これらの近接帯電方式による帯電装置では、空隙を精密に設定する工夫がなされていないので、帯電ローラ及びスペーサリングの寸法精度がばらつくことによって空隙が変動し、そのために、感光体ドラムの帯電電位が変動し、よって、画像形成時に白地にトナーが付着して画像不良が発生する、という問題があった。
かかる問題を解決するために、所定の厚みを持ったテープ状の空隙保持手段を備えた帯電装置(特許文献5を参照。)が提案されたが、このテープ状の空隙保持手段を備えた帯電装置では、これを長期間にわたって使用すると、テープ状の空隙保持手段が磨耗し、また、帯電ローラとテープ状の空隙保持手段との間にトナーが進入し固着するので、感光体ドラムの表面と帯電ローラの表面との間に空隙を保持できないという問題があった。また、このテープ状の空隙保持手段を備えた帯電装置では、テープ状の空隙保持手段の厚みがばらつくので、高精度の空隙を形成することができないという問題があった。
図15は、本発明者らにより提案された帯電部材の断面図である。本発明者らは、図15に示される、導電性支持体201と、該導電性支持体201上に形成された電気抵抗調整層202と、該電気抵抗調整層202の両端に形成されたスペース部材203,203と、を有する帯電部材210において、前記スペース部材203,203が、(イ)デュロメータ硬さ:HDD30〜HDD70、及び、(ロ)テーバー式磨耗試験機の磨耗質量:10mg/1000サイクル以下、を満たす熱可塑性樹脂で構成されている帯電部材210を提案した(特願2003−189532)。
前記帯電部材210においては、電気抵抗調整層202の両端部にスペース部材(空隙保持部材)203を圧入する構成になっている。この帯電部材210においては、電気抵抗調整層202の端部にスペース部材203が形成され、スペース部材203は、電気抵抗調整層202の端面及び導電性支持体201と接している。また、この帯電部材210においては、長期の信頼性を向上させるために、スペース部材203と導電性支持体201との間に接着剤を塗布することにより、スペース部材203の固定を確実なものとすることができるが、樹脂で構成されるスペース部材203と金属で構成される導電性支持体(図4における201を参照。)との線膨張係数が大きく異なるので、低温環境又は高温環境になった場合、導電性支持体201とスペース部材203との界面で剥離が発生する可能性があり、そのために、長期に渡る信頼性が若干劣ることとなる。しかも、長時間の通電により、導電性支持体201とスペース部材203との界面の接着強度も弱くなっていく。スペース部材203が動いてしまうと、空隙精度が変動するので、帯電ムラが生じやすくなる。特に、空隙を高精度にするには、電気抵抗調整層202とスペース部材203とを同時に加工することにより、達成することができるが、スペース部材203の固定が十分でないと、研削加工、切削加工等の除去加工時にスペース部材203が回転してしまという問題があった。
特開昭63−149668号公報
特開平1−267667号公報
特開平3−240076号公報
特開平4−358175号公報
特開2002−139893号公報
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、初期及び長期間にわたって使用しても、像担持体と導電性部材との間に安定した空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させた導電性部材及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の両端に設けられた空隙保持部材と、を有する導電性部材において、
(イ)前記電気抵抗調整層が、その両端近傍に、その両端方向に設けられた段差部又はその中央方向に設けられた段差部を1段以上有し、そして、
(ロ)前記空隙保持部材が、前記電気抵抗調整層の段差部を構成する2面以上に接して固定されている
ことを特徴とする導電性部材である。
(イ)前記電気抵抗調整層が、その両端近傍に、その両端方向に設けられた段差部又はその中央方向に設けられた段差部を1段以上有し、そして、
(ロ)前記空隙保持部材が、前記電気抵抗調整層の段差部を構成する2面以上に接して固定されている
ことを特徴とする導電性部材である。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記空隙保持部材が、リング状であることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記空隙保持部材が、前記電気抵抗調整層の段差部に圧入されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、前記空隙保持部材が、前記電気抵抗調整層に接着剤で固着されていることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、前記空隙保持部材の少なくとも像担持体と当接する部分が、電気絶縁性樹脂材料で構成されていることを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明は、請求項5に記載された発明において、前記空隙保持部材の体積固有抵抗が、1013Ω・cm以上であることを特徴とするものである。
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれかに記載された発明において、前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗が、106 〜109 Ωcmであることを特徴とするものである。
請求項8に記載された発明は、請求項1〜7のいずれかに記載された発明において、前記空隙保持部材の外周面が像担持体と当接したときに、該像担持体の外周面と前記電気抵抗調整層の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該電気抵抗調整層の外周面に対する前記空隙保持部材の外周面の高低差が設けられていることを特徴とするものである。
請求項9に記載された発明は、請求項8に記載された発明において、前記電気抵抗調整層の外周面に対する前記空隙保持部材の外周面の高低差が、前記導電性支持体上に設置された該空隙保持部材の外周面と前記導電性支持体上に設置された該電気抵抗調整層の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていることを特徴とするものである。
請求項10に記載された発明は、請求項1〜9のいずれかに記載された発明において、前記電気抵抗調整層上に表面層が形成されていることを特徴とするものである。
請求項11に記載された発明は、請求項10に記載された発明において、前記表面層の体積固有抵抗が、前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗より大きいことを特徴とするものである。
請求項12に記載された発明は、請求項1〜11のいずれかに記載された発明において、前記導電性部材を帯電部材としたことを特徴とするものである。
請求項13に記載された発明は、請求項12に記載の帯電部材が被帯電体上に近接配置されるように設けられていることを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項14に記載された発明は、請求項13に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置である。
(1)請求項1に記載された発明によれば、(イ)電気抵抗調整層が、その両端近傍に、その両端方向に設けられた段差部又はその中央方向に設けられた段差部を1段以上有し、そして、(ロ)空隙保持部材が、前記電気抵抗調整層の段差部を構成する2面以上に接して固定されているので、電気抵抗調整層を構成する樹脂と空隙保持部材を構成する樹脂との食いつきが良くなって長期に渡って空隙保持部材を確実に固定することができ、そのために、短期及び長期間にわたって使用しても、像担持体と導電性部材との間に安定した空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させた導電性部材を提供することができる。
(2)請求項2に記載された発明によれば、空隙保持部材がリング状であるので、導電性部材及び像担持体を回転駆動させて使用することができ、そのために、導電性部材及び像担持体の耐久性を高めることができる。
(3)請求項3に記載された発明によれば、空隙保持部材が電気抵抗調整層の段差部に圧入されているので、段差部及び空隙保持部材の精度が多少悪くなっても、長期に渡って空隙保持部材を確実に固定することができ、しかも、電気抵抗調整層と空隙保持部材とを一体で除去加工する場合には、加工時の力により、空隙保持部材が回転することを防止することができる。
(4)請求項4に記載された発明によれば、空隙保持部材が電気抵抗調整層に接着剤で固着されているので、段差部及び空隙保持部材の精度が多少悪くなっても、長期に渡って空隙保持部材を確実に固定することができ、しかも、電気抵抗調整層と空隙保持部材とを一体で除去加工する場合には、加工時の力により、空隙保持部材が回転することを防止することができる。
(5)請求項5に記載された発明によれば、空隙保持部材が電気絶縁性樹脂材料で構成され、また、請求項6に記載された発明によれば、前記電気絶縁性樹脂材料で構成される空隙保持部材の体積固有抵抗が1013Ω・cm以上であるので、空隙保持部材と像担持体の基層との間に異常放電(リーク)電流の発生を防止することができる。
(6)請求項7に記載された発明によれば、電気抵抗調整層の体積固有抵抗が106 〜109 Ωcmであるので、十分な帯電能力及び転写能力を確保することができると共に、像担持体への電力集中による異常放電の発生を防止することができ、それらのために、均一画像が得られる。
(7)請求項8に記載された発明によれば、前記空隙保持部材の外周面が像担持体と当接したときに、該像担持体の外周面と前記電気抵抗調整層の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該電気抵抗調整層の外周面に対する前記空隙保持部材の外周面の高低差が設けられているので、像担持体との間の空隙を精度良く一定に保つことができ、しかも、空隙保持部材が配置されている電気抵抗調整層が環境変動で寸法変化しても、電気抵抗調整層の変化に追従することができ、そのために、空隙変動を抑えることができる。
(8)請求項9に記載された発明によれば、前記電気抵抗調整層の外周面に対する前記空隙保持部材の外周面の高低差が、前記導電性支持体上に設置された該空隙保持部材の外周面と前記導電性支持体上に設置された該電気抵抗調整層の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されているので、該空隙保持部材と該電気抵抗調整層との高低差の形成を一体加工で行うことができ、そのために、像担持体の外周面と電気抵抗調整層の外周面との間に形成される空隙Gの変動(振れ)を小さくして空隙Gの精度をより高めることができる。
(9)請求項10に記載された発明によれば、電気抵抗調整層上に表面層が形成されているので、トナー、及び、トナーに添加されている添加剤が長期に渡って導電性部材表面に付着することを防止することができる。
(10)請求項11に記載された発明によれば、表面層の体積固有抵抗が電気抵抗調整層の体積固有抵抗より大きいので、像担持体欠陥部への電圧集中及び異常放電の発生を防止することができる。
(11)請求項12に記載された発明によれば、導電性部材を帯電部材としたので、像担持体表面を非接触で帯電させることができ、そのために、帯電部材の汚れ等を防止すると共に、帯電部材を硬い材質で形成することにより高精度にすることができ、よって、帯電ムラを防止することができる。
(12)請求項13に記載された発明によれば、請求項12に記載の帯電部材が被帯電体上に近接配置されるように設けられたプロセスカートリッジとするので、長期に渡って安定した画質を得ることでき、且つ、交換もユーザメンテナンスが可能であり簡素化される。
(11)請求項14に記載された発明によれば、請求項13に記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置とするので、信頼性が高く、かつ、高画質な画像を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す導電性部材(帯電ローラ)の断面図である。図2は、図1で示す導電性部材(帯電ローラ)の部分拡大図である。図3〜8は、本発明の他の一実施の形態を示す導電性部材(帯電ローラ)の部分拡大図である。図9は、本発明の一実施の形態を示す導電性部材(帯電ローラ)を形成する方法を示す説明図である。図10は、導電性部材(帯電ローラ)を像担持体上に配置した状態を示す模式図である。図11は、実施例5〜7で得た導電性部材(帯電ローラ)一部拡大断面図である。図12は、実施例8で得た導電性部材(帯電ローラ)一部拡大断面図である。図13は、本発明の一実施の形態を示す画像形成装置の説明図である。
図1において、10は、導電性部材(帯電ローラ)である。導電性部材(帯電ローラ)10は、導電性支持体1と、該導電性支持体1上に形成された電気抵抗調整層2と、該電気抵抗調整層2の両端に設けられた空隙保持部材3,3と、を有している。前記電気抵抗調整層2は、その両端近傍に、その両端方向に設けられた段差部又はその中央方向に設けられた段差部を1段以上有し、そして、前記空隙保持部材3,3は、前記電気抵抗調整層2の段差部を構成する2面以上に接して固定されている。前記「中央方向」は、「両端方向」の逆の方向を意味する。
このように、電気抵抗調整層2が、その両端近傍に、その両端方向に設けられた段差部又はその中央方向に設けられた段差部を1段以上有し、そして、空隙保持部材3,3が、前記電気抵抗調整層2の段差部を構成する2面以上に接して固定されていると、電気抵抗調整層2を構成する樹脂と空隙保持部材3,3を構成する樹脂との食いつきが良くなって長期に渡って空隙保持部材3,3を確実に固定することができ、そのために、長期間にわたって使用しても、像担持体(図10における4を参照。)と導電性部材10との間に安定した空隙(図10おけるGを参照。)を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させた導電性部材10を提供することができる。
図1に示されている導電性部材(帯電ローラ)10においては、前記空隙保持部材3,3は、前記電気抵抗調整層2の段差部を構成する2面2a,2bに接して固定されている。図1,2に示されている導電性部材(帯電ローラ)10においては、前記段差部は、両端方向に設けられ、電気抵抗調整層2に対して1段に設けられているが、例えば、図5に示されるように2段に設けられても構わない。この場合には、前記空隙保持部材3,3は、前記電気抵抗調整層2の段差部を構成する4面2a,2b、2c,2dに接して固定されることとなる。図示しないが、2段以上あっても構わない。また、空隙保持部材3は、図3に示されているように、電気抵抗調整層2の段差部より短くてもかまわないし、図4に示されているように、電気抵抗調整層2の段差部より長くてもかまわない。さらに、図6に示されているように、空隙保持部材3,3は、電気抵抗調整層2の中央方向に設けられた段差部に食い込む形態、或いは、図示しないが、前記形態の逆の電気抵抗調整層2が空隙保持部材3,3に食い込む形態でも構わない。図6に示されている導電性部材(帯電ローラ)においては、前記空隙保持部材3は、前記電気抵抗調整層2の段差部を構成する3面2a,2b、2cに接して固定されることとなる。
本発明においては、空隙保持部材3,3は、好ましくは、リング状である。このように、空隙保持部材3,3がリング状であると、導電性部材10及び像担持体(図10における4を参照。)を回転駆動させて使用することができ、そのために、導電性部材10及び像担持体の耐久性を高めることができる。
また、本発明においては、空隙保持部材3,3が電気抵抗調整層2の段差部に圧入されている。このように、空隙保持部材3,3が電気抵抗調整層2の段差部に圧入されていると、段差部及び空隙保持部材3,3の精度が多少悪くなっても、長期に渡って空隙保持部材3,3を確実に固定することができ、しかも、電気抵抗調整層2と空隙保持部材3,3とを一体で除去加工する場合には、加工時の力により、空隙保持部材3,3が回転することを防止することができる。
また、本発明においては、空隙保持部材3,3が電気抵抗調整層2に接着剤で固着されている。このように、空隙保持部材3,3が電気抵抗調整層2に接着剤で固着されていると、段差部及び空隙保持部材2の精度が多少悪くなっても、長期に渡って空隙保持部材3,3を確実に固定することができ、しかも、電気抵抗調整層2と空隙保持部材3,3とを一体で除去加工する工程(図9を参照。)において、加工時の力により、空隙保持部材3,3が回転することを防止することができる。その際には、接着剤が付くことが重要となるので、空隙保持部材3,3を構成する材料は、PE、ポリウレタン等が好ましい。電気抵抗調整層2の段差部は、図7,8のように接着剤溜まりBをあらかじめ設けた構造をとっても良い。接着剤溜まりBの形状は、図7では、円周方向に設けられた断面V字状の溝であり、また、図8では、円周方向に設けられた断面半円形状の溝であるが、その形状及び数は、特に限定されるものではない。
図10に示されているように、本発明の導電性部材(帯電ローラ)10には、空隙保持部材3の外周面が像担持体4と当接したときに、該像担持体4の外周面と電気抵抗調整層2の外周面との間に一定間隔の空隙Gが形成されるように、該電気抵抗調整層2の外周面に対する前記空隙保持部材3の外周面の高低差が設けられている。このように、空隙保持部材3の外周面が像担持体4と当接したときに、該像担持体4の外周面と電気抵抗調整層2の外周面との間に一定間隔の空隙Gが形成されるように、該電気抵抗調整層2の外周面に対する前記空隙保持部材3の外周面の高低差が設けられていると、像担持体4との間の空隙Gを精度良く一定に保つことができ、しかも、空隙保持部材3が配置されている電気抵抗調整層2が環境変動で寸法変化しても、電気抵抗調整層2の変化に追従することができ、そのために、空隙変動を抑えることができる。
前記電気抵抗調整層2の外周面に対する前記空隙保持部材3の外周面の高低差は、図9に示されているような、前記導電性部材10上に設置された該空隙保持部材3の外周面と前記導電性支持体1上に設置された該電気抵抗調整層2の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成される。このように、前記電気抵抗調整層2の外周面に対する前記空隙保持部材3の外周面の高低差が、前記導電性部材10上に設置された該空隙保持部材3の外周面と前記導電性支持体1上に設置された該電気抵抗調整層2の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されると、像担持体4の外周面と電気抵抗調整層2の外周面との間に形成される空隙Gの変動(振れ)を小さくして空隙Gの精度をより高めることができる。
空隙保持部材3,3に必要な特性は、像担持体4との空隙を環境及び長期(経時)に渡って安定して形成することであるので、空隙保持部材3,3を構成する材料としては、吸湿性及び耐摩耗性の小さい材料が好ましい。また、空隙保持部材3,3は、トナー及びトナー添加剤が付着しにくい像担持体と当接して摺動するので、像担持体4を摩耗させないということも重要である。このような空隙保持部材3,3を構成する材料は、種々の条件に応じて適宜選択されるが、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレン共重合体(AS、ABS)等の樹脂、或いは、PC、ポリウレタン、フッ素樹脂等の樹脂があげられる。本発明における空隙保持部材3,3は、このような樹脂を成型加工することにより成形される。
図10に示すように、本発明における導電性部材10は、像担持体4に任意の圧力で当接されて配置される。空隙保持部材3,3は、画像形成領域を外した非画像形成領域に形成されている。この状態で導電性部材10を帯電部材として使用する場合には、導電性部材10に電圧を印加することにより、像担持体4の帯電を行うことができる。導電性部材10をトナー担持体及び転写部材として使用する場合にも、同様の形態で行うことができる。また、その際には、
抵抗調整層幅<感光層幅
であることが好ましい。
抵抗調整層幅<感光層幅
であることが好ましい。
本発明においては、導電性部材10及び像担持体4の形状は特に限定されず、また、像担持体4は、ベルト状、円筒状いずれの形式もとることができる。導電性部材10は、断面円形状(円筒形状)、断面楕円形状、円筒形状を扁平にしたブレード形状等の種々の形状をとることができるが、ともに円筒形状であることが好ましい。両者が常に同一面で対向していると、通電ストレスによる表面の化学的劣化が生じてしまうが、両者を円筒形状として回転駆動させると、同一箇所からの連続放電を防止することができ、そのために、通電ストレスによる表面の化学的劣化を低減させることができる。例えば、図10に示すように、導電性部材10の回転方向は、像担持体4と同方向、逆方向どちらも選択することができる。また、像担持体4との周速差をつける(像担持体4より速く回転させる、遅く回転させる)ことも可能である。また、像担持体4の回転に対して、間欠回転させることも機能を損なわない範囲において可能である。導電性部材10と像担持体4と間の空隙Gは、所定の値に保つ必要があり、好ましくは、100μm以下である。空隙Gが大きくなると導電性部材10への電圧印加条件を高くする必要があり、像担持体4の電気的劣化や異常放電が発生しやすいためである。
図10に示すように、空隙保持部材3,3は、それらの一部が電気抵抗調整層2と高低差を有している。導電性部材10と像担持体4との空隙Gを所定の値に保つことが好ましいので、像担持体4の画像領域と空隙保持部材3,3の当接面が同一高さである場合は、
空隙保持部材の一部の高さ>電気抵抗調整層の高さ
である必要があり、その高低差は、100μm以下であることが好ましい。また、空隙保持部材3,3の電気抵抗調整層2と隣接する部分の高さを、電気抵抗調整層2の高さと同一、又は、低く形成することで、空隙保持部材3,3と像担持体4との接触幅が低減され、導電性部材10と像担持体4との空隙を高精度にすることができる。
空隙保持部材の一部の高さ>電気抵抗調整層の高さ
である必要があり、その高低差は、100μm以下であることが好ましい。また、空隙保持部材3,3の電気抵抗調整層2と隣接する部分の高さを、電気抵抗調整層2の高さと同一、又は、低く形成することで、空隙保持部材3,3と像担持体4との接触幅が低減され、導電性部材10と像担持体4との空隙を高精度にすることができる。
本発明においては、空隙保持部材3,3は、電気絶縁性樹脂材料で構成され、その体積固有抵抗は、好ましくは、1013Ω・cm以上である。このように、隙保持部材3,3が電気絶縁性樹脂材料で構成され、その体積固有抵抗が1013Ω・cm以上であると、空隙保持部材3,3と像担持体4の基層との間に異常放電(リーク)電流の発生を防止することができる。
本発明においては、電気抵抗調整層2の体積固有抵抗は、好ましくは、106 〜109 Ωcmである。電気抵抗調整層2の体積固有抵抗が109 Ωcmを越えると、帯電能力や転写能力が不足してしまい、また、電気抵抗調整層2の体積固有抵抗が106 未満であると、像担持体4全体への電圧集中によるリークが生じてしまう。しかしながら、本発明のように、電気抵抗調整層2の体積固有抵抗が106 〜109 Ωcmであると、十分な帯電能力及び転写能力を確保することができると共に、像担持体4への電力集中による異常放電の発生を防止することができ、それらのために、均一画像が得られる。
電気抵抗調整層2に用いられる樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレン共重合体(AS、ABS)等の樹脂、或いは、PC、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂があげられる。これらの樹脂は、加工性が良いので好ましい。かかる樹脂に分散させる高分子型イオン導電材料としては、ポリエーテルエステルアミドを含有する高分子化合物が好ましい。ポリエーテルエステルアミドは、イオン導電性の高分子材料であるので、マトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散、固定化される。したがって、金属酸化物、カーボンブラック等の電子伝導系導電剤を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う電気抵抗値のばらつきが生じない。また、ポリエーテルエステルアミドは、高分子材料であるので、ブリードアウトが生じ難い。電気抵抗値を所望の値にするためには、それらの配合量は、好ましくは、熱可塑性樹脂30〜70重量%、及び、高分子型イオン導電剤70〜30重量%である。このような樹脂で構成される電気抵抗調整層の厚みは、好ましくは、100μm以上、500μm以下である。電気抵抗調整層の厚みが100μm未満となると、薄すぎとなってリークによる異常放電が発生し、また、電気抵抗調整層の厚みが500μmを越えると、厚すぎとなって表面精度の維持が困難となる。
このような材料で構成される半導電性樹脂組成物は、各材料の混合物を二軸混練機、ニーダー等で溶融混練することによって、容易に製造できる。電気抵抗調整層2としての導電性支持体1上への形成は、押出成形や射出成形等の手段で導電性支持体2に前記半導電性樹脂組成物を被覆することによって、容易に行うことができる。導電性支持体1上に電気抵抗調整層2のみを形成して導電性部材10を構成すると、電気抵抗調整層2にトナー及びトナーの添加剤等が固着して性能低下する場合があるが、本発明においては、電気抵抗調整層2上に表面層(図示せず)が形成されているので、トナー、及び、トナーに添加されている添加剤が長期に渡って導電性部材表面に付着することを防止することができる。
本発明においては、表面層(図示せず)の体積固有抵抗は、電気抵抗調整層2の体積固有抵抗より大きくされている。このように、表面層の体積固有抵抗が電気抵抗調整層2の体積固有抵抗より大きくされていると、像担持体欠陥部への電圧集中及び異常放電の発生を防止することができる。ただし、表面層の電気抵抗値を高くしすぎると帯電能力や転写能力が不足してしまうので、表面層と電気抵抗調整層2との電気抵抗値の差を103 以下にすることが好ましい。表面層を形成する材料は、好ましくは、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル等の樹脂である。これらの樹脂は、非粘着性に優れているので、トナーの固着防止の面で好ましい。また、かかる樹脂は、電気的に絶縁性であるので、樹脂に対して各種導電材料を分散することによって表面層の電気抵抗を調整することができる。表面層の電気抵抗調整層2上への形成は、上記表面層を構成する樹脂材料を有機溶媒に溶解して塗料を作製し、この塗料をスプレー塗装、ディッピング、ロールコート等の手段によって行う。表面層の膜厚は、好ましくは、10〜30μmである。
表面層を構成する樹脂は、1液性及び2液性のどちらも使用可能であるが、硬化剤を併用する2液性塗料を使用すると、耐環境性、非粘着性を高めることができる。2液性塗料の場合には、塗膜を加熱することにより、樹脂を架橋・硬化させる方法が一般的である。しかしながら、電気抵抗調整層2は、熱可塑性樹脂とすると、高い温度で加熱することができない。2液性塗料としては、分子中に水酸基を有する主剤、及び、水酸基と架橋反応を起こすイソシアネート系樹脂を用いることことが好ましい。イソシアネート系樹脂を用いると、100℃以下の比較的低温で架橋・硬化反応が起こる。本発明者らは、トナーの非粘着性から検討を進めた結果、シリコーン系樹脂でトナーの非粘着性が高い樹脂であることを確認し、特に、分子中にアクリル骨格を有するアクリルシリコーン樹脂が良好であることを見出した。
導電性部材は、電気特性(電気抵抗値)が重要であるので、表面層を導電性にする必要がある。導電性にした表面層は、表面層を構成する樹脂材料中に導電剤を分散することにより形成される。導電剤は、特に制約を受けるものではないが、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラー用カーボン、熱分解カーボン、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、及び、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーが挙げられる。また、導電性付与材としては、イオン導電性物質もあり、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、更に、変性脂肪酸ジメチルアンモニウムエトサルファート、ステアリン酸アンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート等の有機イオン性導電性物質がある。
本発明における導電性部材10は、例えば、導電性支持体1上に前記したような電気抵抗調整層2を構成する樹脂を射出成形してその両端近傍に両端方向の段差を有する電気抵抗調整層2を形成し、その後、両端部の段差部に接着剤を塗布して、空隙保持部材3,3を接着固定する。そして、図9に示すように、空隙保持部材3,3と電気抵抗調整層2の段差部とのばらつきを小さくするために、空隙保持部材3,3と電気抵抗調整層2とが一体に成形された状態において、切削、研削等の除去加工によって、外径を仕上げる。次に、空隙保持部材3,3を保護した状態で電気抵抗調整層2上に更に表面層を形成して導電性部材10とする。
請求項1〜11のいずれかに記載された導電性部材は、好ましくは、帯電部材とされる。このような導電材は、像担持体表面を非接触で帯電させることができ、そのために、帯電部材の汚れ等を防止すると共に、帯電部材を硬い材質で形成することにより高精度にすることができ、よって、帯電ムラを防止することができる。
請求項12に記載の導電性部材(帯電部材)10は、被帯電体上に近接配置されるように設けらた着脱可能なプロセスカートリッジ(図14における110を参照。)とする。このように、請求項12に記載の導電性部材(帯電部材)10が被帯電体上に近接配置されるように設けられたプロセスカートリッジとすると、長期に渡って安定した画質を得ることでき、且つ、交換もユーザメンテナンスが可能であり簡素化される。
本発明においては、請求項13に記載のプロセスカートリッジ(図14における110を参照。)を有する画像形成装置とする。このように、請求項13に記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置とすると、信頼性が高く、かつ、高画質な画像を得ることができる。
図13に示すように、本発明の画像形成装置においては、装置本体内の下部に給紙部22、その上方に像担持体4を有する作像部、及び、さらにその上方に排紙部となる対の排紙ローラ26,27をそれぞれ設けて、給紙部22から給紙した転写紙Pの左側の面に対応する作像部で画像を形成し、そして、その転写紙Pを排紙ローラ26,27によりビントレイ20あるいは排紙トレイ21に排出するようにしている。給紙部22には、上下2段にトレイ28,29が設けられていて、その各給紙段には給紙ローラ30がそれぞれ配設されている。23は書込みユニットであり、そこから像担持体4の一様に帯電された表面に光を照射して、そこに画像を書き込む。また、その像担持体4に対して転写紙搬送方向上流側には、転写紙のスキューを補正すると共に、像担持体4上の画像と転写紙の搬送タイミングを合わせるためのレジストローラ対13を設けている。
さらに、像担持体4に対して転写紙搬送方向下流側には、定着ユニット25を設けている。作像部には、図13に示すように、前述した像担持体4が矢示A方向に回転可能に設けられており、その周囲には帯電装置(図14における102を参照。)と、その帯電装置により帯電された面に書込みユニット23により書込まれた像担持体4上の静電潜像を顕像化してトナー像とする現像装置(図14における104を参照。)と、そのトナー像を転写紙Pに転写する転写搬送ベルト5と、そのトナー像の転写後に像担持体4上に残った残留トナーを除去するクリーニング装置(図14における108を参照。)と、像担持体4上の不要な電荷を除電する除電ランプ(図示せず)とを、それぞれ配設している。この画像形成装置は、画像形成動作を開始させると、図13に示した像担持体4が矢印A方向に回転し、その表面が除電ランプにより除電されて基準電位に平均化される。次に、その像担持体4の表面は、帯電ローラ(図14における102を参照。)により一様に帯電され、その帯電面は、書込みユニット23から画像情報に応じた光の照射を受け、そこに静電潜像が形成される。その潜像は、像担持体4が矢示A方向に回転することにより現像装置(図14における104を参照。)の位置まで移動されると、そこで現像スリーブ(図示せず)によりトナーが付着されてトナー像(顕像)となる。
一方、図13に示した給紙部22のトレイ28,29の何れかから給紙ローラ30により転写紙Pが給紙され、それがレジストローラ対13で一旦停止されて、その転写紙Pの先端と像担持体4上の画像の先端とが一致する正確なタイミングで搬送され、その転写紙Pに転写搬送ベルト5により像担持体4上のトナー像が転写される。その転写紙Pは、転写搬送ベルト5により搬送され、駆動ローラ部5aで転写紙Pの腰による曲率分離で、その転写搬送ベルト5から分離されて、定着ユニット25へ搬送され、そこで熱と圧力が加えられることによりトナーが転写紙Pに融着され、それが指定された排紙場所、すなわち排紙トレイ21あるいはビントレイ20の何れかに排出される。その後、像担持体4上に残った残留トナーは、次工程であるクリーニング位置まで回転移動し、クリーニング装置のクリーニングブレード(図14における108を参照。)により掻き取られ、再び次の作像工程に移る。
本実施の形態においては、導電性部材10を具体化した帯電ローラについて主として説明したが、本発明における導電性部材10は、本発明の目的に反しない限り、帯電ローラ以外の帯電部材、例えば、ブレードのようなものであってもかまわない。また、本発明の導電性部材10は、トナー担持体又は転写部材としてもかまわない。
(実施例1)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、図1において2で示されるような、両端近傍に両端方向の段差を有する形状の電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.12mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとした。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる樹脂組成物により膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た(図1を参照。)。
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、図1において2で示されるような、両端近傍に両端方向の段差を有する形状の電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.12mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとした。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる樹脂組成物により膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た(図1を参照。)。
(実施例2)
実施例1で得た樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、図6に示されるように、その両端近傍に、その中央方向に設けられた段差部を有する電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなる、図6において3で示されているような、リング状の空隙保持部材を圧入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.12mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとした。次いで、この抵抗調整層の表面に、シリコーン系樹脂(スリップコーティング剤HS−3、東芝シリコーン社製)、硬化剤(XC9603、東芝シリコーン社製)、触媒(YC6831東芝シリコーン社製)、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:8.3×109 Ωcm)により膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た(図6を参照。)。
実施例1で得た樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、図6に示されるように、その両端近傍に、その中央方向に設けられた段差部を有する電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなる、図6において3で示されているような、リング状の空隙保持部材を圧入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.12mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとした。次いで、この抵抗調整層の表面に、シリコーン系樹脂(スリップコーティング剤HS−3、東芝シリコーン社製)、硬化剤(XC9603、東芝シリコーン社製)、触媒(YC6831東芝シリコーン社製)、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:8.3×109 Ωcm)により膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た(図6を参照。)。
(実施例3)
図7においてBで示されているように、段差部を構成する面2bに幅約2mm、深さ約2mmの接着剤溜まりを円周方向に2本形成した以外は、実施例1と同様にして、導電性部材を得た(図7を参照。)。
図7においてBで示されているように、段差部を構成する面2bに幅約2mm、深さ約2mmの接着剤溜まりを円周方向に2本形成した以外は、実施例1と同様にして、導電性部材を得た(図7を参照。)。
(実施例4)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)40重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)60重量%を配合して樹脂組成物(体積固有抵抗:6.3×108 Ωcm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、図5に示されるように、両端近傍に両端方向の段差を2つ有する形状の電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなる、図5において3で示される、リング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.12mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとした。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2.0×109 Ωcm)により膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た(図5を参照。)。
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)40重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)60重量%を配合して樹脂組成物(体積固有抵抗:6.3×108 Ωcm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、図5に示されるように、両端近傍に両端方向の段差を2つ有する形状の電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなる、図5において3で示される、リング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.12mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとした。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2.0×109 Ωcm)により膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た(図5を参照。)。
(比較例1)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108 Ω・cm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、外径12.0mmの電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の表面に、ウレタン樹脂(アデカボンタイターAM36、旭電化社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物により膜厚約10μmの表面層を形成した。次に、この電気抵抗調整層の両端部に、ポリアミゾ樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチック社製)で構成されるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径を12.1mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとして導電性部材を得た(図15を参照。)。
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108 Ω・cm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、外径12.0mmの電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の表面に、ウレタン樹脂(アデカボンタイターAM36、旭電化社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物により膜厚約10μmの表面層を形成した。次に、この電気抵抗調整層の両端部に、ポリアミゾ樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチック社製)で構成されるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径を12.1mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとして導電性部材を得た(図15を参照。)。
(比較例2)
エピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部及び過塩素酸アンモニウム3重量部を配合してゴム組成物とし、このゴム組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に押出成形により被覆してゴム被覆層を形成した後、このゴム被覆層に加硫処理を処理を施し、続いて、この加硫処理を施したゴム被覆層を研削により外径12mmに仕上げて電気抵抗調整層を形成した。この電気抵抗調整層の表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して25重量%)からなる樹脂組成物により、膜厚10μmの表面層を形成した。そして、この両端周囲に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)で構成されるテープ状部材(ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)を貼り付けて導電性部材を得た。
エピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部及び過塩素酸アンモニウム3重量部を配合してゴム組成物とし、このゴム組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に押出成形により被覆してゴム被覆層を形成した後、このゴム被覆層に加硫処理を処理を施し、続いて、この加硫処理を施したゴム被覆層を研削により外径12mmに仕上げて電気抵抗調整層を形成した。この電気抵抗調整層の表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して25重量%)からなる樹脂組成物により、膜厚10μmの表面層を形成した。そして、この両端周囲に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)で構成されるテープ状部材(ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)を貼り付けて導電性部材を得た。
(比較例3)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)80重量%、及び、四級アンモニウム塩基を含有するイオン導電性の高分子化合物(レオレックスAS−1720、第一工業製薬製)20重量%からなる樹脂組成物とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の両端部に、ポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチック社製)で構成されるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径を12.12mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとした(図15を参照。)。次いで、この抵抗調整層の表面に、フッ素樹脂(ルミフロンLF−600、旭硝子社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して45重量%)からなる混合物により、膜厚約10μmの表面層を形成した後、その両端部に、厚さ50μmの熱収縮性PFAチューブを貼り付け導電性部材を得た。
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)80重量%、及び、四級アンモニウム塩基を含有するイオン導電性の高分子化合物(レオレックスAS−1720、第一工業製薬製)20重量%からなる樹脂組成物とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の両端部に、ポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチック社製)で構成されるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径を12.12mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.00mmとした(図15を参照。)。次いで、この抵抗調整層の表面に、フッ素樹脂(ルミフロンLF−600、旭硝子社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して45重量%)からなる混合物により、膜厚約10μmの表面層を形成した後、その両端部に、厚さ50μmの熱収縮性PFAチューブを貼り付け導電性部材を得た。
(比較例4)
両端部にステンレスからなるリング状の空隙保持部材(外径12.12mm)を挿入接着した以外は、比較例1と同様にして導電性部材を得た。
両端部にステンレスからなるリング状の空隙保持部材(外径12.12mm)を挿入接着した以外は、比較例1と同様にして導電性部材を得た。
以上、実施例1〜4及び比較例1〜4で得た導電性部材を、帯電部材として、画像形成装置(図14を参照。)に搭載し、帯電部材と像担持体との間の空隙量を測定した。次いで、印加する電圧をDC=−800V、AC=2400Vpp(周波数=2KHz)に設定して、600,000枚(A4横)を画像出力することによって、帯電ムラ(帯電部材と像担持体間の空隙量変化として画像で評価)及び空隙保持部材の状態、並びに、空隙部材の回転トルク及び画像について評価を行った。評価環境は、23℃、60%RHとした。評価結果は、次の表1に示される。
表1においては、
1)抵抗調整層の抵抗及び表面層の抵抗値は評価開始前の値とし、
2)帯電ムラ、空隙保持部材の状態、空隙保持部材の回転トルクは、600,000枚を画像出力後のものを評価し、そして、
3)空隙保持部材の回転トルクは、2kgf以上を良好と判断した。
1)抵抗調整層の抵抗及び表面層の抵抗値は評価開始前の値とし、
2)帯電ムラ、空隙保持部材の状態、空隙保持部材の回転トルクは、600,000枚を画像出力後のものを評価し、そして、
3)空隙保持部材の回転トルクは、2kgf以上を良好と判断した。
(実施例5)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108 Ωcm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、外径14mm、両端段差部外径11.3mmの電気抵抗調整層を形成した。そして、電気抵抗調整層の両端段差部に、空隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.1mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.0mmとして、図11に示される形状とした。このようにして形成された空隙保持部材の厚みは、0.4mmであった。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングして膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た。
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108 Ωcm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、外径14mm、両端段差部外径11.3mmの電気抵抗調整層を形成した。そして、電気抵抗調整層の両端段差部に、空隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.1mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.0mmとして、図11に示される形状とした。このようにして形成された空隙保持部材の厚みは、0.4mmであった。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングして膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た。
(実施例6)
実施例5で得た樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、外径14mm、両端段差部外径11.1mmの電気抵抗調整層を形成した。そして、電気抵抗調整層の両端段差部に、空隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.1mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.0mmとして、図11に示される形状とした。このようにして形成された空隙保持部材の厚みは、0.5mmであった。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングして膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た。
実施例5で得た樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、外径14mm、両端段差部外径11.1mmの電気抵抗調整層を形成した。そして、電気抵抗調整層の両端段差部に、空隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.1mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.0mmとして、図11に示される形状とした。このようにして形成された空隙保持部材の厚みは、0.5mmであった。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングして膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た。
(実施例7)
実施例5で得た樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、外径14mm、両端段差部外径10.9mmの電気抵抗調整層を形成した。そして、電気抵抗調整層の両端段差部に、空隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.1mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.0mmとして、図11に示される形状とした。このようにして形成された空隙保持部材の厚みは、0.6mmであった。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングして膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た。
実施例5で得た樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、外径14mm、両端段差部外径10.9mmの電気抵抗調整層を形成した。そして、電気抵抗調整層の両端段差部に、空隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.1mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.0mmとして、図11に示される形状とした。このようにして形成された空隙保持部材の厚みは、0.6mmであった。次いで、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングして膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た。
(実施例8)
図8に示されるように、電気抵抗調整層の段差を構成する面に幅約1mm、深さ約1mmの接着剤溜りを円周方向に3本形成した以外は、実施例1と同様にして、導電性部材を得た。
図8に示されるように、電気抵抗調整層の段差を構成する面に幅約1mm、深さ約1mmの接着剤溜りを円周方向に3本形成した以外は、実施例1と同様にして、導電性部材を得た。
(比較例5)
エピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部及び過塩素酸アンモニウム3重量部を配合してゴム組成物(体積抵抗率:4×108 Ωcm)とし、このゴム組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に押出成形により被覆してゴム被覆層を形成した後、このゴム被覆層に加硫処理を処理を施し、続いて、この加硫処理を施したゴム被覆層を研削により外径12mmに仕上げて電気抵抗調整層を形成した。この電気抵抗調整層の表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)により、膜厚10μmの表面層を形成した。そして、この両端部に、ポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)からなるリング状の空隙保持部材(外径12.1mm)を挿入接着し、導電性部材を得た。
エピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部及び過塩素酸アンモニウム3重量部を配合してゴム組成物(体積抵抗率:4×108 Ωcm)とし、このゴム組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に押出成形により被覆してゴム被覆層を形成した後、このゴム被覆層に加硫処理を処理を施し、続いて、この加硫処理を施したゴム被覆層を研削により外径12mmに仕上げて電気抵抗調整層を形成した。この電気抵抗調整層の表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)により、膜厚10μmの表面層を形成した。そして、この両端部に、ポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)からなるリング状の空隙保持部材(外径12.1mm)を挿入接着し、導電性部材を得た。
(比較例6)
両端部周囲に、空隙保持部材として、幅8mm、厚さ60μmのテープ状部材(ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)を被覆した以外は、比較例5と同様にして、導電性部材を得た。
両端部周囲に、空隙保持部材として、幅8mm、厚さ60μmのテープ状部材(ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)を被覆した以外は、比較例5と同様にして、導電性部材を得た。
(比較例7)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108 Ωcm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆した。そして、この両端部に、空隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着し、切削によって空隙保持部材の外径(最大径)を12.1mm、電気抵抗調整層の外径を12.0mmに同時仕上げを行い、図15に示す形状とした。次いで、この電気抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングして膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た。
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108 Ωcm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆した。そして、この両端部に、空隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を挿入接着し、切削によって空隙保持部材の外径(最大径)を12.1mm、電気抵抗調整層の外径を12.0mmに同時仕上げを行い、図15に示す形状とした。次いで、この電気抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングして膜厚約10μmの表面層を形成して導電性部材を得た。
以上、実施例5〜8及び比較例5〜7で得た導電性部材(導電性ローラ)を図14に示した画像形成装置における帯電部材(帯電ローラ)として搭載し、室温環境下(23℃、60%RH)において、帯電部材と像担持体との間の空隙量を測定した。そして、この画像形成装置をLL;10℃、65%RH、HH;30℃、90%RHの各環境下に24h放置して、各環境下における帯電部材と像担持体との間の空隙量を測定することにより、各環境間の空隙変化量を算出した。次に、この画像形成装置に印加する電圧をDC=−800V、AC=2400Vpp(周波数=2kHz)に設定して、これに300,000枚通紙した後、帯電部材と像担持体との間の空隙量、ローラ表面の状態、及び、画像について評価を行った。前記ローラ表面の状態、及び、画像についての評価においては、実用上問題のないものを「良好」とした。評価環境は、10,000枚ごとに23℃、60%RH、LL;10℃、65%RH、HH;30℃、90%の各環境を切り替えて行った。評価結果は、次の表2に示される。
表1から次のことがわかる。即ち、実施例5〜8で得た導電性部材(導電性ローラ)は、空隙量のばらつき及び各環境間の変化量が小さい結果が得られた。また、実施例5〜8の導電性部材(導電性ローラ)は、全項目で良好な結果が得られたが、比較例5〜7では不具合が見られた。
1 導電性支持体
2 電気抵抗調整層
3 空隙保持部材
4 像担持体
B 接着剤溜まり
G 空隙
10 導電性部材(帯電ローラ)
2 電気抵抗調整層
3 空隙保持部材
4 像担持体
B 接着剤溜まり
G 空隙
10 導電性部材(帯電ローラ)
Claims (14)
- 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の両端に設けられた空隙保持部材と、を有する導電性部材において、
(イ)前記電気抵抗調整層が、その両端近傍に、その両端方向に設けられた段差部又はその中央方向に設けられた段差部を1段以上有し、そして、
(ロ)前記空隙保持部材が、前記電気抵抗調整層の段差部を構成する2面以上に接して固定されている
ことを特徴とする導電性部材。 - 前記空隙保持部材が、リング状であることを特徴とする請求項1に記載の導電性部材。
- 前記空隙保持部材が、前記電気抵抗調整層の段差部に圧入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性部材。
- 前記空隙保持部材が、前記電気抵抗調整層に接着剤で固着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性部材。
- 前記空隙保持部材の少なくとも像担持体と当接する部分が、電気絶縁性樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性部材。
- 前記空隙保持部材の体積固有抵抗が、1013Ω・cm以上であることを特徴とする請求項5に記載の導電性部材。
- 前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗が、106 〜109 Ωcmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導電性部材。
- 前記空隙保持部材の外周面が像担持体と当接したときに、該像担持体の外周面と前記電気抵抗調整層の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該電気抵抗調整層の外周面に対する前記空隙保持部材の外周面の高低差が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の導電性部材。
- 前記電気抵抗調整層の外周面に対する前記空隙保持部材の外周面の高低差が、前記導電性支持体上に設置された該空隙保持部材の外周面と前記導電性支持体上に設置された該電気抵抗調整層の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の導電性部材。
- 前記電気抵抗調整層上に表面層が形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の導電性部材。
- 前記表面層の体積固有抵抗が、前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗より大きいことを特徴とする請求項10に記載の導電性部材。
- 前記導電性部材を帯電部材としたことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の導電性部材。
- 請求項12に記載の帯電部材が被帯電体上に近接配置されるように設けられていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項13に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。
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