JP2005263115A - ダイバーズ用情報処理装置、ダイバーズ用情報処理装置の制御方法、制御プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 潜水時の体内窒素量の変化状態を潜水後に再現するダイブコンピュータの潜水開始時体内窒素分圧記憶部は、潜水開始時の体内窒素分圧である開始時体内窒素分圧を記憶する。水深データ記憶部89は、潜水時の水深を時系列的にプロファイルデータを記憶する。呼吸気窒素再計算部90は、プロファイルデータに基づいて潜水時の呼吸気窒素分圧を再計算し、体内窒素分圧計算部88は、再計算された呼吸気窒素分圧および開始時体内窒素分圧に基づいて潜水時の体内窒素分圧を再計算することにより再現する。
【選択図】 図4
Description
また、ログブックに記載する情報をユーザであるダイバーに代わって記録し、ダイバーを補助するためのダイバーズ用情報処理装置(以下、ダイブコンピュータという。)が知られている。
ダイブコンピュータにおいては、ダイビングログを採取し、メモリに記憶するものがある(例えば、特許文献1参照)。
近年においては、パーソナルコンピュータの普及に伴い、ダイビングのログデータをパーソナルコンピュータへ転送し、パーソナルコンピュータ上で、自分の潜水履歴を確認し、ログに記録されていた水深データの履歴からダイビングの安全や反省に生かすようになってきている。また、プロファイルモードと呼ばれる潜水時の一定時間毎の水深データを表示するダイブコンピュータも普及してきている。
しかし、従来のログブックに記載していたログ情報だけでは、完全に潜水情報(特に体内窒素量)を再現することができない場合があるという問題点があった。
そこで、本特許の目的は、ダイビング時にダイブコンピュータに記録されたログデータから、潜水終了後に体内窒素量を含めた潜水情報をより正確に再現できるダイバーズ用情報処理装置、ダイバーズ用情報処理装置の制御方法、制御プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
上記構成によれば、開始時窒素量記憶部は、潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を記憶する。
体内窒素量再計算部は、開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶したプロファイルデータに基づいて潜水時の体内窒素量を再計算する。
上記構成によれば、気圧履歴記憶部は、潜水開始時までの気圧変化の履歴である気圧履歴を記憶する。
開始時窒素量計算部は、気圧履歴に基づいて、潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を計算する。
これらの結果、体内窒素量再計算部は、開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶したプロファイルデータに基づいて潜水時の体内窒素量を再計算する。
また、前記体内窒素量は、体内窒素分圧として処理を行うようにしてもよい。
また、潜水時の体内窒素量の変化状態を潜水後に再現するダイバーズ用情報処理装置の制御方法は、潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を記憶する開始時窒素量記憶過程と、前記開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶したプロファイルデータに基づいて前記潜水時の体内窒素量を再計算する体内窒素量再計算過程と、を備えたことを特徴としている。
また、潜水時の体内窒素量の変化状態を潜水後に再現するダイバーズ用情報処理装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムは、潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を記憶させ、前記開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶させたプロファイルデータに基づいて前記潜水時の体内窒素量を再計算させる、ことを特徴としている。
これらの場合において、前記再計算後の前記体内窒素量に基づいて、前記潜水時の前記体内窒素量の変化を時系列的に再現表示させるようにしてもよい。
また、上記各制御プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記録することも可能である。
[1]第1実施形態
[1.1]使用態様
図1は、実施形態のダイブコンピュータの使用態様図である。
潜水装備100は、大別すると、複数のボンベ1A、1Bを有するボンベユニット1と、切換バルブ・レギュレータ2と、水深・残圧計3と、ダイブコンピュータ4と、を備えている。
図2は実施形態のダイブコンピュータの外観正面図である。
また、図3はダイブコンピュータの概要構成ブロック図である。
ダイブコンピュータ4は、潜水中のダイバーの深度や潜水時間を計算して表示するとともに、潜水中に体内に蓄積される不活性ガス量(主として窒素ガス量)を計測し、この計測結果から潜水後に水からあがった状態で体内に蓄積された窒素が排出されるまでの時間などの安全確保情報を表示するように構成されている。
ダイブコンピュータ4は、円盤状の装置本体4Aに対して、図面上下方向に腕バンド4B,4Cがそれぞれ連結され、この腕バンド4B,4Cによって腕時計と同様にユーザの腕に装着されて使用されるようになっている。
さらに装置本体2の図面下側にはダイブコンピュータ4における各種動作モードの選択/切替を行うための操作部5が形成され、操作部5は、プッシュボタン形式の二つのスイッチA、Bを有している。装置本体2の図面左側には潜水を開始したか否かを判別するために用いられる導通センサを用いた潜水動作監視スイッチ30が構成されている。この潜水動作監視スイッチ30は、装置本体2の図面正面側に設けられた電極30A,30Bを有し、電極30A,30B間が海水などにより導通状態となることにより、電極30A,30B間の抵抗値が小さくなった場合に入水したと判断するものである。しかしながら、この潜水動作監視スイッチ30は、あくまで入水したことを検出してダイブコンピュータ4の動作モードをダイビングモードに移行させるために用いるだけであり、実際に潜水(ダイビング)を開始した旨を検出するために用いられる訳ではない。すなわち、ダイブコンピュータ4を装着したユーザの腕が海水に浸かっただけの場合もあり、このような状態で潜水を開始したと判断するのは好ましくないからである。
図3に示すように、ダイブコンピュータ4は、大別すると、各種操作を行うための操作部5、各種情報を表示する表示部10、潜水動作監視スイッチ30、ブザーなどのアラーム音によりユーザに告知を行う報音装置37、振動によりユーザに告知を行う振動発生装置38、ダイブコンピュータ全体の制御を行う制御部50、気圧あるいは水圧を計測するための圧力計測部61、各種計時処理を行う計時部68およびダイバーの周囲温度を計測する温度計測部80を備えて構成されている。
制御部50は、スイッチA、B(=操作部5)および潜水動作監視スイッチ30、報音装置37および振動発生装置38が接続されるとともに、装置全体の制御を行うCPU51と、CPU51の制御下で、各動作モードに対応した表示を液晶表示パネル11に行わせるため液晶ドライバ12を制御し、あるいは、後述の時刻用カウンタ33における各動作モードにおける処理を行う制御回路52と、制御用プログラムおよび制御用データを格納したROM53と、各種データを一時的に格納するRAM54と、を備えて構成されている。
温度計測部70は、温度を検出する温度センサ71と、この温度センサ71の出力信号を増幅するための増幅回路72と、増幅回路72の出力信号のアナログ/ディジタル変換を行い、制御部50に出力するA/D変換回路73と、を備えて構成されている。
表示部10を構成する液晶表示パネル11の表示面11Aは、7つの表示領域で構成されている。なお、本実施形態では、表示面11Aが円形の例を示したが、円形に限定されるものではなく、楕円形状、トラック形状、多角形状など他の形状であってもかまわない。
表示面11Aのうち、図面上部左側に位置する第1の表示領域111は、各表示領域のうちで最も大きく構成され、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモード等の各種動作モードにおいて、それぞれ、現在水深、現在月日、水深ランク、潜水月日(ログ番号)が表示される。
第3の表示領域113は、第1の表示領域111の図面下側に位置し、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモードにおいて、それぞれ、最大水深、体内窒素排出時間、セーフティレベル、最大水深(平均水深)が表示される。
第4の表示領域114は、第3の表示領域113の図面右側に位置し、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモードにおいて、それぞれ無減圧潜水可能時間、水面休止時間、温度、潜水終了時刻(最大水深時水温)が表示される。
第6の表示領域116は、表示面11Aのうち図面下部左側に位置し、体内窒素量がグラフ表示される。
第7の表示領域117は、第6の表示領域116の図面右側に位置し、ダイビングモードで減圧潜水状態になった場合に、窒素ガス(不活性ガス)が吸収傾向にあるのか、排出傾向にあるかを示す領域(図中、上下方向矢印が図示されている)と、浮上速度が高すぎる場合に浮上速度違反警告のひとつとして減速を指示するための「SLOW」を表示する領域と、潜水中に減圧潜水を行わなければならない旨を警告するための「DECO」を表示する領域と、を備えて構成されている。
図4は、ダイブコンピュータの窒素量算出機能実現のための機能構成ブロック図である。
次に、図4のブロック図を参照しながら、ダイブコンピュータにおいて、ダイバーに蓄積される窒素量を計算するための機能構成について説明する。
図4に示すように、ダイブコンピュータは、計時部68、表示部10および圧力計測部61のほか、呼吸気窒素分圧計測部81、呼吸気窒素分圧記憶部82、比較部83、半飽和時間選択部84、体内窒素分圧計算部85、体内窒素分圧記憶部86、潜水開始時体内窒素分圧記憶部87、体内窒素分圧再計算部88、水深データ記憶部89および呼吸気窒素再計算部90を備えている。これらは、図3に示した各構成部分およびCPU51、ROM53、RAM54によって実行されるソフトウェアによって実現可能である。ただし、これに限らず、ハードウェアである論理回路のみ、あるいは、論理回路とCPUを含む処理回路とソフトウェアとを組み合わせることで実現することも可能である。
これにより呼吸気窒素分圧記憶部82は、呼吸気窒素分圧計測部81が計測した呼吸気の窒素分圧PIN2(t)を記憶する。
一方、半飽和時間選択部84は、体内窒素分圧を算出する際に用いる半飽和時間THを体内窒素分圧計算部85に出力する。体内窒素分圧計算部85は、窒素の吸収/排出の速度が異なる組織部位毎に後述する体内窒素分圧PGT(t)を算出する。体内窒素分圧記憶部86は、体内窒素分圧計算部85が算出した体内窒素分圧PGT(t)を記憶する。
これらの結果、比較部83は、呼吸気窒素分圧PIN2 (t)および体内窒素分圧PGT(t)を比較し、比較結果に基づいて半飽和時間THを可変する。
これらの結果、体内窒素分圧再計算部88は、潜水開始時体内窒素分圧記憶部87が記憶している初期体内窒素分圧PGTiniおよび呼吸気窒素再計算部90から出力されるダイビング時の時間軸に沿った呼吸気窒素分圧に基づいてダイビング時の体内窒素分圧を再計算することにより、ダイビング時の体内窒素分圧の変化を再現し表示部10に表示する。
次に体内窒素分圧の具体的計算方法について説明する。本実施形態のダイブコンピュータ4において行われる体内窒素分圧の計算方法については、例えばKEN LOYST et al.著の「DIVE COMPUTERS A CONSUMER'S GUIDE TO HISTORY, THEORY &
PERFORMANCE」Watersport Publishing Inc.(1991)や、A.A.Buhlmann著の「Decompression-Decompression Sickness」(特に第14頁)、Springer,Berlin(1984)に記載されている。なお、ここで示す体内窒素分圧の計算方法はあくまで一例であり、この他にも各種の方法を用いることができる。
まず、圧力計測部61は、時刻tに対応する水圧P(t)を出力する。ここで、P(t)は、大気圧も含めた絶対圧を意味する。
呼吸気窒素分圧計測部81は、圧力計測部61から出力された水圧P(t)に基づいて、ダイバーが呼吸している空気中に対応する呼吸気窒素分圧PIN2(t)を計算し、出力する。
PIN2(t)=0.79×P(t)[bar]…(1)
なお、(1)式における「0.79」は、空気中に占める窒素の割合を示す数値である。呼吸気窒素分圧記憶部82は、呼吸気窒素分圧計測部81によって(1)式のように計算された呼吸気窒素分圧PIN2(t)の値を記憶する。
体内窒素分圧計算部85は、窒素の吸収/排出の速度が異なるコンパートメント(体内組織)毎にそれぞれ体内窒素分圧を計算することとなる。
PGT(tE)=PGT(t0)
+{PIN2(t0)−PGT(t0)}
×{1−exp(−K(tE−t0)/HT)}…(2)
ここで、Kは実験的に求められる定数であり、HTは各コンパートメントに窒素が溶け込んで飽和状態の半分に達するまでの時間(以下、半飽和時間と呼ぶ)であり、各組織によって異なる数値である。この半飽和時間HTは、後述するように、PGT(t0)とPIN2(t0)の大小に応じて可変となる。なお、時刻t0や時刻tEなどの時間の計測は、図3に示した計時部68によって管理されている。
また、ダイビング開始時には、潜水開始時体内窒素分圧記憶部87に初期体内窒素分圧PGTini=PGT(t0)として供給される。
体内窒素分圧計算部85は、半飽和時間選択部84により選択された半飽和時間HT1又はHT2を用いて、時刻t=tEのときの体内窒素分圧PGT(tE)を下式により計算する。
PGT(tE)=PGT(t0)+{PIN2(t0)−PGT(t0)}
×{1−exp(−K(tE−t0)/HT1)}…(3)
(B) PGT(t0)<PIN2(t0)の場合
PGT(tE)=PGT(t0) +{PIN2(t0)−PGT(t0)}
×{1−exp(−K(tE−t0)/HT2)}…(3’)
なお、上記(3)式及び(3’)式では、HT2<HT1となっている。なお、PGT(t0)=PIN2(t0)の場合には、半飽和時間HTを次式のように定めるのが好ましい。
HT=(HT1+HT2)/2 …(4)
まず、PGT(t0)>PIN2(t0)の場合は、体内から窒素が排出される場合であり、逆にPGT(t0)<PIN2(t0)の場合は、体内へ窒素が吸収される場合である。すなわち、窒素の排出は窒素の吸収に比較して時間がかかるので、窒素が排出される場合の半飽和時間HT1が窒素を吸収する場合の半飽和時間HT2より長く設定するのである。このように排出時と吸収時とで異なる半飽和時間HTを用いることにより、体内窒素量のシミュレーションをより厳密に行うことができる。
同様に、ダイビング終了後に陸上で体内窒素分圧の再計算を行う場合には、体内窒素分圧再計算部88は、潜水開始時体内窒素分圧記憶部87が記憶している初期体内窒素分圧PGTini、呼吸気窒素再計算部90から出力されるダイビング時の時間軸に沿った呼吸気窒素分圧および(3)式及び(3’)式に基づいて、体内窒素分圧計算部85と同様の手法で、ダイビング時の体内窒素分圧を再計算することにより、ダイビング時の体内窒素分圧の変化を再現し表示部10に表示することとなる。
上記のようにして求められた体内窒素分圧PGT(tE)と、呼吸気窒素分圧計測部81によって算出されるt=tE時の呼吸気窒素分圧PIN2(tE)とに基づいて、無減圧潜水可能時間と体内窒素排出時間とが、以下のようにして算出される。
無減圧潜水可能時間は、式において計算されるPGT(tE)が、各組織の許容過飽和窒素量を示すPtolとなる場合の(tE−t0)を求めることによって算出される。このとき、現時点がt0と考えるので、式おけるPGT(t0)として、体内窒素分圧計算部85によって求められた体内窒素分圧PGT(tE)が用いられ、PIN2(t0)として、呼吸気窒素分圧計測部81によって算出される呼吸気窒素分圧PIN2(tE)が用いられる。
tE−t0=−HT×(ln(1−f))/K …(5)
ただし、
f=(Ptol−PGT(tE))/(PIN2(tE)−PGT(tE))である。この式によって、各組織における無減圧潜水可能時間が全て算出され、その中でもっとも小さい値が、求めるべき無減圧潜水可能時間となる。このようにして算出された無減圧潜水可能時間は、後述するようなダイビングモードにおいて表示されるようになっている。
体内窒素排出時間を算出するには、前述した
PGT(tE)=PGT(t0) +{PIN2(t0)−PGT(t0)}
×{1−exp(−K(tE−t0)/HT)} …(6)
において、水面浮上時をt0として、
PGT(tE)=0
となるtEを求めればよい。
tZ=−HT×ln(1−f)/K …(7)
ここで、
f=(Pde−PIN2)/(0.79−PIN2)
である。また、HTは前述した半飽和時間であり、Pdeは各組織ごとの残留窒素排出とみなす窒素分圧(以下、許容窒素分圧と呼ぶ)であり、これらは全て既知の値である。また、PIN2は、水面浮上時の各組織内の窒素分圧であり、体内窒素分圧計算部85によって算出される値である。上記式によって各組織ごとにtZが算出され、その中でもっとも大きい値が体内窒素排出時間となる。このようにして算出された体内窒素排出時間は、後述するようなサーフェスモードにおいて表示されるようになっている。
次に、上記構成からなるダイブコンピュータ4の動作について説明する。
図5は、ダイブコンピュータの各種動作モードにおける表示画面の遷移を模式的に表す図である。
図5に示すように、ダイブコンピュータ4の動作モードには、時刻モードST1、サーフェスモードST2、プランニングモードST3、設定モードST4、ダイビングモードST5、ログモードST6及び窒素量計算プロファイルモードST7がある。
以下、各種動作モードについて説明する。なお、これらの各種動作モードにおける処理は、前述したように制御・演算部9によって実行される。
時刻モードST1は、スイッチ操作を行わず、かつ、体内窒素分圧が平衡状態にあり、陸上で携帯するときの動作モードである。この時刻モードにおいて、液晶表示パネル11には、図5(符号ST1参照)に示すように、現在月日、現在時刻及び高度ランクが表示される。なお、高度ランク=0の場合には高度ランク表示はおこなわれない。具体的には、図5においては、現在月日が12月5日であり、現在時刻が10時06分であることを意味しており、特に現在時刻は、コロン(:)が点滅することによって、現在の時刻を表示していることをユーザに知らせている。
この時刻モードST1においてスイッチAを押すと、プランニングモードST3に移行する。また、スイッチBを押すとログモードST6に移行する。さらにプランニングモードST3からスイッチAを押したままスイッチBを所定時間(例えば、5秒)押し続けると設定モードST4に移行することとなる。
サーフェスモードST2は、前回のダイビングから48時間経過するまで陸上で携帯するときのモードであり、ダイブコンピュータ4は、前回のダイビングの終了後、ダイビング中に導通状態にあった潜水動作監視スイッチ30が絶縁状態になると自動的にサーフェスモードST2に移行するようになっている。このサーフェスモードST2においては、時刻モードST1で表示される現在月日、現在時刻および高度ランクの他に、体内窒素排出時間がカウントダウン表示される。ただし、体内窒素排出時間として表示すべき時間が0時間00分に至ると、それ以降は無表示状態となる。また、サーフェスモードST2においては、ダイビング終了後の経過時間が水面休止時間として表示される。この水面休止時間202は、後述するダイビングモードにおいて、水深が1.5メートルよりも浅くなった次点をダイビングの終了として計時が開始され、ダイビング終了から48時間が経過した時点で無表示状態となる。従って、ダイブコンピュータ4において、ダイビング終了後48時間が経過するまでは陸上において、このサーフェスモードST2となり、それ以降は、時刻モードST1に移行することとなる。
このサーフェスモードST2においてスイッチAを押すと、図5に示すように、プランニングモードST3に移行する。また、スイッチBを押すとログモードST6に移行する。さらにプランニングモードST3からスイッチAを押したままスイッチBを所定時間(例えば、5秒)押し続けると設定モードST4に移行することとなる。
プランニングモードST3は、次に行うダイビングの最大水深と潜水時間の目安を、そのダイビング前に入力することが可能な動作モードである。このプランニングモードST3においては、水深ランク、無減圧潜水可能時間、水面休止時間、体内窒素グラフが表示される。水深ランクのランクは、所定時間毎に順次、表示が変わっていくようになっている。各水深ランクは、例えば、9m、12m、15m、18m、21m、24m、27m、30m、33m、36m、39m、42m、45m、48mの各ランクがあり、その表示は5秒毎に切り替わるようにされている。この場合において、時刻モードST1からプランニングモードST3に移行したのであれば、過去の潜水によって体内に過剰な窒素蓄積がない場合、すなわち、初回潜水のプランニングであるため、体内窒素グラフの表示マークは0個であり、具体的には、図5(符号ST3参照)に示すように水深が15mの場合に無減圧潜水可能時間=66分と表示される。これは、水深12m以上15m以下の水深で66分未満までは無減圧潜水が可能であることを表している。
このプランニングモードST3において、水深ランクが9mから48mへと順次表示されていく間に、スイッチAを押すとと、図5に示すように、サーフェスモードST2に移行する。また、水深ランクが48mと表示された後には、時刻モードST1またはサーフェスモードST2に自動的に移行する。このように所定の期間スイッチ操作がない場合には、サーフェスモードST2または時刻モードST1に自動的に移行するので、その都度スイッチ操作を行う必要がなく、ダイバーにとって便利である。また、スイッチBを押すとログモードST6に移行する。
設定モードST4は、現在月日や現在時刻の設定の他に、警告アラームのオン/オフ設定、セーフティレベルの設定を行うための動作モードである。この設定モードST4では、現在月日、現在年、現在時刻の他にも、セーフティレベル(図示せず)、アラームのオン/オフ(図示せず)、高度ランク(図示せず)が表示される。これらの表示項目のうち、セーフティレベルは、通常の減圧計算を行うレベルと、ダイビング後に1ランク高い高度ランクの場所へ移動することを前提として減圧計算を行うレベルの二つのレベルを選択することが可能である。なお、過去の潜水によって体内に過剰の窒素蓄積がある場合には、体内窒素グラフも表示される。
ダイビングモードST5とは、潜水時の動作モードであり、無減圧潜水モードST51、現在時刻表示モードST52、減圧潜水表示モードST53を備えている。
無減圧潜水モードST51では、現在水深、潜水時間、最大水深、無減圧潜水可能時間、体内窒素グラフ、高度ランクなどダイビングに必要な情報が表示される。
上述の例の場合、図5に示す無減圧潜水モードST51においては、ダイビングを開始してから12分が経過し、現在、ダイバーは水深15.0mの深さの場所に位置し、この水深では、あと42分間だけ無減圧潜水を続けることができる旨が表示されている。また、現在までの最大水深は、20.0mである旨が表示され、さらに現在の体内窒素量は体内窒素グラフ203におけるマーク4個が点灯しているレベルである旨が表示されている。
減圧潜水表示モードST53においては、現在水深、潜水時間、体内窒素グラフ、高度ランク、減圧停止深度、減圧停止時間、総浮上時間を表示する。具体的には、図5に示す減圧潜水表示モードST53においては、潜水開始から24分経過し、水深が29.5mのところにいる旨が表示されている。また、体内窒素量が最大許容値を超え危険であるため、安全な浮上速度を守りながら水深3mのところまで浮上し、そこで1分間の減圧停止をするようにとの指示が表示されている。ダイバーは、上記のような表示内容に基づいて減圧停止した後、浮上することとなるが、この減圧を行っている間、体内窒素量が減少傾向にある旨が下向きの矢印により表示される。
ログモードST6は、ダイビングモードST5に入った状態で水深1.5mよりも深くに3分以上潜水したときの各種データを記憶、表示する機能である。このようなダイビングのデータは、ログデータとして潜水毎に順次記憶され、所定数(例えば、10回)の潜水のログデータを記憶保持する。ここで、最大記憶数以上の潜水を行った場合には、古いデータから順に削除され常に最新のログデータが記憶されていることとなる。なお、最大記憶数以上の潜水を行った場合でも、予め設定しておくことにより、ログデータの一部を削除せずに保持するように構成することも可能である。
さらにログモードST6においては、スイッチBを押す度に新しいデータから古いデータに順次表示が切り替わり、最も古いログデータが表示された後は、時刻モードST1またはサーフェスモードST2に移行する。全ログデータのうち一部のログデータを表示し終わった状態においても、スイッチBを2秒以上押し続けることにより時刻モードST1またはサーフェスモードST2に移行することができる。さらにスイッチA、Bのいずれもが所定時間(1〜2分)操作されない場合であっても、動作モードがサーフェスモードST2または時刻モードST1に自動的に復帰する。従ってダイバーがスイッチ操作を行う必要がなく使い勝手が向上している。また、スイッチAを押すとプランニングモードST3に移行する。
設定モードST4からスイッチA、Bの同時長押し(例えば、5秒間)によりこの窒素量計算プロファイルモードST7に移行可能である。
この窒素量計算プロファイルモードST7は、ダイビング終了後のダイバーが、初期の窒素量を再計算もしくは記録されている初期窒素量を基に、水深データ記憶部89に記憶した水深データから潜水中の体内窒素分圧を再計算し、どのようなダイビングを行っていたかを確認するためのモードである。
この窒素量計算プロファイルモードST7では、潜水中の体内窒素分圧を再計算して再現する。
すなわち、窒素量計算プロファイルモードST7へ移行後、現在選択されているダイビングの初期窒素量が潜水開始時体内窒素分圧記憶部87として機能するRAM54から読み出される(ロードされる)ことによって、体内窒素分圧再計算部88として機能するCPU51により再計算が開始される。
従って、ユーザは、表示内容を見ることによって、ダイビング時の時間経過に伴う体内窒素量(体内窒素分圧)の変動を容易に確認でき、より詳細にダイビング状況を把握できる。
特に従来は、ダイビング開始前に飛行機に搭乗したり、車による峠越えなどを行うことにより、初期体内窒素量が把握できなかったダイビングであっても、正確に初期体内窒素量を把握することができ、ダイブコンピュータの処理アルゴリズムの検証が可能になる。
[2.1]第2実施形態のダイブコンピュータの窒素量算出時の機能構成
次に第2実施形態のダイブコンピュータの窒素量算出時の機能構成について説明する。
図7は、第2実施形態におけるダイブコンピュータの窒素量算出機能実現のための機能構成ブロック図である。
次に、図7のブロック図を参照しながら、ダイブコンピュータにおいて、ダイバーに蓄積される窒素量を計算するための機能構成について説明する。図7において、図4と異なる点は、潜水開始時体内窒素分圧記憶部87に代えて、潜水開始前の気圧の変化履歴を記憶する気圧履歴記憶部91と、気圧履歴記憶部91に記憶した気圧の変化履歴に基づいて、潜水開始時の全てのコンパートメント(体内組織)についての初期体内窒素分圧PGTiniを計算して体内窒素分圧再計算部88に出力する潜水開始時体内窒素分圧計算部92と、を備えた点である。他の部分については同様であるので詳細な説明は省略する。
上記構成によれば、気圧履歴記憶部91は、潜水開始前の気圧の変化履歴を記憶する。
潜水開始時体内窒素分圧計算部92は、気圧履歴記憶部91に記憶した気圧の変化履歴に基づいて、潜水開始時の全てのコンパートメント(体内組織)についての初期体内窒素分圧PGTiniを計算して体内窒素分圧再計算部88に出力する。
これらの結果、体内窒素分圧再計算部88は、潜水開始時体内窒素分圧記憶部87が記憶している初期体内窒素分圧PGTiniおよび呼吸気窒素再計算部90から出力されるダイビング時の時間軸に沿った呼吸気窒素分圧に基づいてダイビング時の体内窒素分圧を再計算することにより、ダイビング時の体内窒素分圧の変化を再現し表示部10に表示することとなる。
以上の説明のように、各実施形態によれば、ダイビング時にダイブコンピュータに記録されたデータから、潜水終了後に体内窒素量を含めた潜水情報をより正確に再現でき、ダイビング時の時間経過に伴う体内窒素量(体内窒素分圧)の変動を容易に確認でき、より詳細にダイビング状況を把握できる。
また、ダイビング開始前に飛行機に搭乗したり、車による峠越えなどを行った場合でも、正確に初期体内窒素量を把握することができ、ダイブコンピュータの処理アルゴリズムの検証が可能になる。
[4.1]第1変形例
以上の説明においては、ダイブコンピュータを制御するための制御プログラムが予めROMに記憶されている場合について説明したが、各種磁気ディスク、光ディスク、メモリカードなどの記録媒体に制御用プログラムをあらかじめ記録し、これらの記録媒体から読み込み、インストールするように構成することも可能である。また、通信インターフェースを設け、インターネット、LANなどのネットワークを介して制御用プログラムをダウンロードし、インストールして実行するように構成することも可能である。このように構成することにより、ソフトウェア的により高機能としたり、より信頼性の高いダイブコンピュータを構成することが可能となる。
以上の説明においては、ダイブコンピュータが腕装着型の場合について説明したが、これに限られるものではなく、ダイビングスーツ埋め込み型や、胴部装着型、あるいは、水中マスク組み込み型などの変形が考えられる。
Claims (10)
- 潜水時の体内窒素量の変化状態を潜水後に再現するダイバーズ用情報処理装置であって、
潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を記憶する開始時窒素量記憶部と、
前記開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶したプロファイルデータに基づいて前記潜水時の体内窒素量を再計算する体内窒素量再計算部と、
を備えたことを特徴とするダイバーズ用情報処理装置。 - 潜水時の体内窒素量の変化状態を潜水後に再現するダイバーズ用情報処理装置であって、
潜水開始時までの気圧変化の履歴である気圧履歴を記憶する気圧履歴記憶部と、
前記気圧履歴に基づいて、前記潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を計算する開始時窒素量計算部と、
前記開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶したプロファイルデータに基づいて前記潜水時の体内窒素量を再計算する体内窒素量再計算部と、
を備えたことを特徴とするダイバーズ用情報処理装置。 - 請求項1または請求項2記載のダイバーズ用情報処理装置において、
前記再計算後の前記体内窒素量に基づいて、前記潜水時の前記体内窒素量の変化を時系列的に再現表示する表示部を備えたことを特徴とするダイバーズ用情報処理装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のダイバーズ用情報処理装置において、
前記体内窒素量は、体内窒素分圧として処理を行うことを特徴とするダイバーズ用情報処理装置。 - 潜水時の体内窒素量の変化状態を潜水後に再現するダイバーズ用情報処理装置の制御方法であって、
潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を記憶する開始時窒素量記憶過程と、
前記開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶したプロファイルデータに基づいて前記潜水時の体内窒素量を再計算する体内窒素量再計算過程と、
を備えたことを特徴とするダイバーズ用情報処理装置の制御方法。 - 潜水時の体内窒素量の変化状態を潜水後に再現するダイバーズ用情報処理装置の制御方法であって、
潜水開始時までの気圧変化の履歴である気圧履歴を記憶する気圧履歴記憶過程と、
前記気圧履歴に基づいて、前記潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を計算する開始時窒素量計算過程と、
前記開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶したプロファイルデータに基づいて前記潜水時の体内窒素量を再計算する体内窒素量再計算過程と、
を備えたことを特徴とするダイバーズ用情報処理装置の制御方法。 - 潜水時の体内窒素量の変化状態を潜水後に再現するダイバーズ用情報処理装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を記憶させ、
前記開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶させたプロファイルデータに基づいて前記潜水時の体内窒素量を再計算させる、
ことを特徴とする制御プログラム。 - 潜水時の体内窒素量の変化状態を潜水後に再現するダイバーズ用情報処理装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
潜水開始時までの気圧変化の履歴である気圧履歴を記憶させ、
前記気圧履歴に基づいて、前記潜水開始時の体内窒素量である開始時体内窒素量を計算させ、
前記開始時体内窒素量および潜水時の水深を時系列的に記憶させたプロファイルデータに基づいて前記潜水時の体内窒素量を再計算させる、
ことを特徴とする制御プログラム。 - 請求項7または請求項8記載の制御プログラムにおいて、
前記再計算後の前記体内窒素量に基づいて、前記潜水時の前記体内窒素量の変化を時系列的に再現表示させることを特徴とする制御プログラム。 - 請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の制御プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。
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