JP2005256571A - 連続壁体とその構築方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 施工が容易で、安価にして構造上優れた剛性が得られる連続壁体とその構築方法を提供する。
【解決手段】 H形部材2,2を矢板として用いた連続壁体1であって、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、両側のフランジ部4,4間に固化材6を充填する。フランジ部4,4同士の重ね合わせ長さを変えることで、簡単に壁体1の剛性を大きくしたり小さくしたりできる。そして、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、壁体1の剛性が高まり、従来に比べて壁体1に用いる支保工部材が少なくて済み、支保工なしの自立式の土留壁を作り易くなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 H形部材2,2を矢板として用いた連続壁体1であって、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、両側のフランジ部4,4間に固化材6を充填する。フランジ部4,4同士の重ね合わせ長さを変えることで、簡単に壁体1の剛性を大きくしたり小さくしたりできる。そして、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、壁体1の剛性が高まり、従来に比べて壁体1に用いる支保工部材が少なくて済み、支保工なしの自立式の土留壁を作り易くなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、H形部材を矢板として用いた連続壁体とその構築方法に関する。
土留めや基礎になる連続壁体が鋼矢板により構築され、その鋼矢板としては両端に嵌合部を設けたU形鋼矢板などが一般的に知られており、これ以外にも、例えば、ウェブとその幅方向の両端に設けたフランジと、各フランジの幅方向端部に固定した継手とからなる多数の鋼矢板を、相互に噛み合わせて打設して鋼製壁を構築するもの(例えば特許文献1)や、通常の圧延H形鋼のフランジの一方側縁部に嵌合継手の雌継手を、他方側縁部に雄継手を、それぞれフランジ外面より内方に位置させて溶接接合した鋼矢板(例えば特許文献2)や、通常の圧延H形鋼のフランジの両側縁部の端面の各々に、互いに嵌合可能な継手を溶接接合し、且つ前記継手の各々は嵌合の中心が前記フランジの面とほぼ同じ面に位置してなる鋼矢板(例えば特許文献3)や、高さ差がフランジ部で溶接接合できる範囲内にある、複数の通常の圧延H形鋼を、互いのフランジ側縁部を突き合せて溶接接合して両側にフランジが張り出した箱形に形成するとともに、前記フランジの溶接接合部を挟む両側縁部の一方に嵌合継手の雌継手を、他方に雄継手を、それぞれフランジ外面よりも内方に位置させて溶接接合した鋼矢板(例えば特許文献4)や、H形鋼の平行なフランジの対向する内面に、外方に突出したガイド板を長さ方向に設け、一方のH形形状杭のガイド板と、他のH形形状杭のフランジ内面とが相互に摺設するように複数のH形形状杭を連続して地盤に打設する工法(例えば特許文献5)などがある。
また、H形鋼を矢板として用い、H形鋼のフランジ部で形成される空間に固化材を充填する方法が提案されており、例えば、多数の雄継手付き鋼矢板と雌継手付き鋼矢板とを、雌継手部材内に雄継手部材を挿入した状態で建込み、隣り合う鋼矢板の間に挿入したトレミー管から経時硬化性材料を、隣り合う鋼矢板の間、雌継手部材内および鋼矢板と溝との間に同時に注入充填する地中連続壁施工方法(例えば特許文献6)や、各鋼殻と型枠もしくは埋め殺し型枠との間に、コンクリートを充填した構造壁体(例えば特許文献7)や、相互に噛み合わされた継手同士の隙間に、経時硬化性充填材を充填した鋼製エレメント(例えば特許文献8)や、H形鋼矢板などの鋼材を用いた鋼製矢板の継手部材の閉合部の内面に瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤が塗布されていると共に、前記継手部材の閉合部内の空間が前記接着剤層を介して止水材としてのアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材で充填されている鋼矢板継手(例えば特許文献9)などがある。
特開平6−2644692号公報
特開平7−279162号公報
特開平7−279163号公報
特開平7−48831号公報
特開平4−203114号公報
特開平5−272131号公報
特開平6−299540号公報
特開平6−316923号公報
特開2001−348862号公報
上記特許文献1の鋼矢板は、フランジの端部に継手を設けているため、通常の圧延H形鋼を用いたものと異なり、鋼矢板自体の材料費が高価になり、また、汎用品でないため、連続壁体を形成する以外に転用しにくい。さらに、構造上、剛性を高めるためには、鋼矢板自体の部材厚を大きくしたり、1ランク上の部材を適用したりする必要がある。また、連続壁体の曲線部分を施工するには、特殊な部材を必要とする。
また、継手間の寸法がフランジ幅で固定されるため、連続壁体の壁体平行方向寸法を設計などで求められた必要量確保しようとすると、過大に設定しなければならないため無駄が生じる。さらに、施工時にも、連続壁体の中間で閉合しようとすると、精度の高い施工管理が求められ、容易でない。
一方、特許文献2〜4の鋼矢板では、通常の圧延H形鋼を用いるから、材料費が安価となるが、フランジの端部から突出した嵌合継手により、接合する構造であるから、フランジ部分に比べて継手部分の強度が低下する問題がある。また、特許文献5でも隣接する鋼矢板はフランジより薄いガイド板により接合されているから、接合部分の強度がフランジ部分より低下する。これに対して,フランジと同じ厚さのガイド板を用いれば接合部分の強度は向上するが、製品コストが上昇する。
また、特許文献6〜9の壁体では、継手により連結されたH形鋼内に固化材を充填することで連続壁体の剛性を高めたり、止水性を高めたりしているが、上記文献1で述べた課題が解決されたわけではない。
そして、このようにH形鋼を用いた鋼矢板は、コスト面や構造上改良すべき課題があり、従来の一般的なU形鋼矢板が汎用的に使用されているが、U形鋼矢板には下記の問題がある。
土留壁などの仮設構造物に用いる場合、H形鋼に比べて、剛性が小さく、大深度の掘削などに伴い壁体にかかる土圧、水圧が大きくなって、支保工が多数段必要となり、支保工を架設する作業に時間を要すると共に、構造物の構築作業に手間がかかる。しかも、構造物の構築作業において、支保工が障害となって、鉄筋や型枠の設定ができず、支保工箇所で構造物の施工を分けて行わなければならず、構造上好ましくない場合が生じる。すなわち、切梁である支保工を避けた範囲毎に構造物の施工を進めていく必要があるため、構造物の躯体を支保工間隔毎に継ぎ足して構築することになり、躯体において継手箇所が必要となるため、構造耐力や耐震性能上で不利になる。また、構造物として例えば、橋脚などの施工では、渇水期内において工事を完了するという工期に制約があり、支保工間隔毎に分けて作業を繰り返す工法では施工性に劣り、工期的に難しい面がある。
そして、工期を短縮し、継手箇所を削減して構造物の耐震性能などを向上するには、支保工の鉛直方向間隔を広くするか、支保工を無くことが考えられるが、このためには剛性の高い土留壁が必要となり、従来構造の土留壁では費用が嵩み、経済性に劣る問題がある。
本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、施工が容易で、安価にして構造上優れた剛性が得られる連続壁体とその構築方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、H形部材を矢板として用いた連続壁体であって、隣接するH形部材のフランジ部同士を重ね合わせ、両側のフランジ部間に固化材を充填したものである。
また、請求項2の発明は、H形部材を矢板として用いた連続壁体であって、H形部材のフランジ部の延長線と隣接するH形部材のフランジ部とを重ね合わせ、両側のフランジ部及び略その延長線の間に固化材を充填したものである。
また、請求項3の発明は、前記H形部材には、隣接するH形部材同士を係合する継手部材を前記フランジ部に設けたものである。
また、請求項4の発明は、前記H形部材には、隣接するH形部材同士を係合する継手部材を前記フランジ部に設けたものである。
また、請求項5の発明は、前記固化材は、コンクリート又はモルタルである。
また、請求項6の発明は、前記固化材は、セメント又はソイルセメントである。
また、請求項7の発明は、前記フランジ部の内面に、固化材用剥離材を塗布したものである。
また、請求項8の発明は、前記固化材を充填した区間と充填しない区間とを有するものである。
また、請求項9の発明は、H形部材を矢板として用い、H形部材を矢板として用い、隣接するH形部材のフランジ部同士又はH形部材のフランジ部の延長線と隣接するH形部材のフランジ部とを重ね合わせた連続壁体の構築方法であって、H形部材を設置する設置工程と、両側のフランジ部間又は両側のフランジ部及び略その延長線の間に固化材を充填する充填工程とからなる構築方法である。
また、請求項10の発明は、前記固化材はコンクリート又はモルタルであり、前記充填工程は、フランジ部間を掘削する工程と、固化材を打設する工程とからなる構築方法である。
また、請求項11の発明は、前記固化材はセメント又はソイルセメントであり、前記充填工程は、注入管を挿入する工程と、固化材を注入する工程とからなる構築方法である。
また、請求項12の発明は、前記設置工程は、H形部材を打撃又は圧入による構築方法である。
請求項1の構成によれば、フランジ部同士の重ね合わせ長さを変えることで、簡単に壁体の剛性を大きくしたり小さくしたりできる。また、両側のフランジ部挿入長を変えることで、曲線形状壁体を簡単に作成できる。そして、隣接するH形部材のフランジ部同士を重ね合わせた場合、壁体の剛性が高まる。これにより、従来に比べて壁体に用いる支保工部材が少なくて済み、支保工なしの自立式の土留壁を作りやすい。
このようなH形部材を組合わせた構造において、フランジ部間に固化材を充填するから、壁体全体の剛性をさらに高めることができ、高い側圧が作用する大深度での土留壁などに適用可能となる。また、固化材にセメント系を用いれば、その固化材は圧縮材であり、上載荷重に耐える基礎構造となる。さらに、内部に固化材を充填するから、壁体全体の止水性が向上する。また、充填した固化材により、H形部材相互の位置が壁体直角方向及び壁体平行方向ともに固定され、地震時における安定性が確保される。
また、隣接するH形部材のフランジ部同士を重ね合わせ、固化材を充填することにより、壁厚を小さくでき、H形部材を用いた連続壁体構築のための掘削土量、コンクリート量などが小さくなる。さらに、必要な用地面積が小さくて済む。
また、請求項2の構成によれば、フランジ部同士の離間を変えてH形部材を配置することで、フランジ部同士の重ね合わせへの移行が容易にできる。また、簡単に壁面体の剛性を大きくしたり小さくしたりできる。また、両側のフランジ部同士の離間長を変えることで、曲線形状壁体を簡単に作成できる。
このようなH形部材を組合わせた構造において、フランジ部及び略その延長線の間に固化材を充填するから、壁体全体の剛性をさらに高めることができ、高い側圧が作用する大深度での土留壁などに適用可能となる。また、固化材にセメント系を用いれば、その固化材は圧縮材であり、上載荷重に耐える基礎構造となる。さらに、内部に固化材を充填するから、壁体全体の止水性が向上する。また、充填した固化材により、H形部材相互の位置が壁体直角方向及び壁体平行方向ともに固定され、地震時等における安定性が確保される。
また、請求項3の構成によれば、係合する継手部材を用いたため、施工時のガイドとなるほか、取り付け位置が確定する。さらに、固化材の充填範囲がフランジ部及び継手部材の間で制限されて確実なものとなる。
また、請求項4の構成によれば、係合する継手部材を用いたため、施工時のガイドとなるほか、取り付け位置が確定する。さらに、固化材の充填範囲がフランジ部及び継手部材の間で制限されて確実なものとなる。
また、請求項5の構成によれば、固化材にコンクリートまたはモルタルを用いることにより、剛性がより確実に高まり、合成部材としての利用範囲が広がる。また、止水性能に優れたものとなる。
また、請求項6の構成によれば、固化材にセメントまたはソイルセメントを用いることにより、止水性能と剛性が確保される。また、固化材を削孔して注入する方法を用いれば、任意の箇所に合成構造を作ることができる。
また、請求項7の構成によれば、H形部材が固化材から剥離できるから、H形部材の引き抜きが容易となり、転用が可能となる。
また、請求項8の構成によれば、高い剛性や止水が必要な箇所のみ固化材を充填するため、設計選択の範囲が広がる。また、壁体の長さ方向で必要な区画で固化材を充填することにより、部分的に高い剛性や止水を確保でき、より安価な壁体を追及できる。
また、請求項9の構成によれば、剛性及び止水性の高い連続壁体を構築でき、この際、H形部材の設置工程と固化材の充填工程とが分離しているため、任意形状の壁体を容易に構築できる。固化材として、形状追随が可能な流動体(粉状体、液状体など)を用いて、フランジ部間に固化材を充填するため、固化材の材料にムダが生じない。
また、請求項10の構成によれば、H形部材のフランジ部間にある土を排出する掘削工程があるため、コンクリート、モルタルの充填が確実となる。また、掘削をフランジ部間で行うから、外部の地山を傷めることがない。
また、請求項11の構成によれば、削孔して注入管を挿入するため、H形部材のフランジ部間に土があっても、任意の箇所にセメントなどを注入し、セメントまたはソイルセメントの固化材を単独で固化させたり、土などとの結合構造を得たりできる。また、H形部材のフランジ部間で固化材の注入を行うため、外部への漏れが少なく、外部の地山を傷めることがない。
また、請求項12の構成によれば、H形部材を打撃または圧入で設置するため、溝を形成して建て込む方法に比べて、施工機械が汎用的で簡便なもので対応できる。また、地山を傷めず、地山を安定液で押さえる必要もなく、安価な方法となる。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な連続壁体とその構築方法柵を採用することにより、従来にない連続壁体とその構築方法が得られ、その連続壁体とその構築方法を夫々記述する。
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1〜図3は本発明の実施例1を示し、連続壁体1は、鉛直壁として、土留壁,擁壁,護岸壁,基礎,桟橋,遮水壁などに用いられたり、水平壁として、防護ルーフやカルバート(ボックスカルバートなど)に用いられ、また、橋梁などの桁として用いてもよい。
図2は連続壁体1を、橋脚101の基礎に用いた例である。連続壁体1を形成するH形部材2には好ましくは通常の圧延H形鋼材が用いられ、ウエブ部3の両側にフランジ部4,4を有する。また、壁体平行方向に隣接するH形部材2,2は、同一形状であり、図1に示すように、隣接する複数のH形部材2,2のフランジ部4,4の内面と外面とを重ね合わせた重ね合わせ部5を形成して連続壁体1を構築している。すなわち隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4を、同一平面とは異なるフランジ部4,4の厚さ方向(壁体直角方向)にずらし、且つ重ね合わせている。
前記両側のフランジ部4,4間の空間Sには固化材6が充填される。この固化材6には、経時固化性の流動体材料を用いることができ、第1の好適な例として、セメント系固化材料であるコンクリート、モルタルが上げられ、第2の好適な例として、セメント系結合材料であるセメント、ソイルセメントが上げられる。第2の好適な例では、フランジ部4,4間の土砂などの地盤材中に、セメント、セメントミルクまたはセメントペーストを充填注入して地盤材を固化することができる。また、固化材としては、空間Sの土砂などを空気等で排除して、セメント単独又はソイルセメントと置き換えたものでもよい。
このように固化材6をフランジ部4,4間に充填することにより、連続壁体1の止水性が向上する。また、連続壁体1はH形部材2と固化材6との合成構造となり、H形鋼からなるH形部材2を用いれば引張応力が向上し、固化材6にコンクリートなどを用いれば、コンクリートにより圧縮応力が向上する。また、その合成構造により、水平荷重に対するせん断応力及び曲げ応力への耐力が増し、鉛直荷重に対する圧縮応力への耐力が増す。
さらに、充填した固化材6によりH形部材2,2同士のずれが防止され、H形部材2,2が壁体直角方向及び壁体平行方向に固定され、地震時等での作用荷重に対して強固な構造が得られ、また、継手部材を設ける場合でもその継手部材を強固にする必要がなくなり、特に連続壁体1の腹起し、切梁などの支保工に接しないH形部材2の壁体直角方向のずれ防止が可能となる。
連続壁体1において、固化材6を充填する区間は、壁体1の全体に充填する以外にも、壁体1の下部に固化材6を充填すれば、土圧、水圧が高い土留壁の下部での抵抗を増すことができる。壁体1の端部に固化材6を充填すれば、梁のせん断力に対して補強することができる。また、推進用立抗での発進、到達坑口では壁体1に固化材6を充填し、シールド機の発進、到達時の鏡切りで漏れを防止できる。尚、漏水の場合は、壁体1の構築後、漏水が発生した箇所に対応して固化材6を充填するようにすればよい。
また、固化材6が充填し易いように、H形部材2のウエブ部3に穴をあけて対応するとよい。
また、土留壁の使用後に、H形部材2を引抜き、転用可能とするため、固化材6と接する面に剥離材を塗布する。すなわちH形部材2のウエブ部3の両面とフランジ部4,4の内面に剥離材7を塗布する。この剥離材7は、瀝青材(アスファルト),プライマー,プラスチック材,ゴム材やコンクリート剥離材などが用いられ、H形部材2自体の外面より固化材6との剥離性を向上するものであれば各種のものが用いられ、塗布方法には、刷毛による塗布や吹き付けによる塗布などが用いられる。
次に、前記連続壁体1の施工手順について説明する。設置工程において、地盤GにH形部材2を打撃を加えて打ち込んだり、圧入したりして所定の深さまで挿入し、あるいは、連続壁体1の構築箇所に溝を掘削形成し、H形部材2を立て込む。前記溝は、連続地中壁掘削機により連続掘削溝や、ドリル式のオーガー掘削機の円孔により形成され、掘削の際、溝の安定のためは泥水などの安定液を用いることで、溝の安定を保つ。
充填工程において、固化材6にコンクリートやセメントを用いる場合は、H形部材2を打ち込んだり圧入したりして所定の深さまで挿入した後、フランジ部4,4間の土砂を掘削し、内部にコンクリートやモルタルなど固化材6を打設する。また、固化材6にセメント、ソイルセメントを用いる場合は、H形部材2を打ち込んだり圧入したりして所定の深さまで挿入した後、図1に示すように、フランジ部4,4間に注入管9を挿入可能な掘削孔8を形成し、この掘削孔8に注入管9を挿入し、この注入管9の下端側からセメントを噴射注入し、これによりセメントをフランジ部4,4の間の地盤材に浸透注入して固化する。あるいは、連続地中壁掘削機を用いる場合は、溝を掘削しながらその溝にH形部材2を挿入し、フランジ部4,4の間に固化材6を充填する。
また、H形部材2の設置方法として、上述した打撃や圧入による方法では、地盤Gを傷めず、余分な掘削が不要となる。この際の施工機械としては、パイルハンマー、パイラーなど比較的汎用性の高い機械を用いることができる。一方、溝を掘削した後にH形部材2を建て込む方法では、上述したように溝掘削機による連続掘削面を形成してH形部材2を建て込む方法と、オーガー掘削による円孔を形成してH形部材2を建て込む方法などが用いられる。
また、H形部材2のフランジ部4,4間の掘削方法として、地上よりフランジ部4,4の全断面を掘削する場合、ウオータージェット、エアージェットなどのジェットによる掘削、グラブバケットによる掘削、オーガー掘削機による掘削などが用いられる。
また、固化材6としてセメントを注入する方法では、セメント、セメントミルク、セメントペーストとして注入することができる。なお、固化材6には、樹脂系固化材料を用いてもよい。
固化材6を注入する方法としては、ボーリングにより上述したように掘削孔8を形成し、掘削孔8に注入管9を挿入し、この注入管9から地盤材に固化材6であるセメントミルクを浸透注入する浸透注入工法以外でも、注入管9から、セメントを空気や水を高圧で噴射し、これらの空気や水のリフトアップ力で排土しながら、セメントと置き換える高圧噴射注入工法や、注入管9に攪拌翼(図示せず)を設けると共に注入管9を回転する回転手段を設け、固化材6を注入しながら回転手段により注入管9を回転して攪拌翼で地盤材と固化材6とを攪拌し、ソイルセメントを形成する混合攪拌工法を用いることができる。
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そして、フランジ部4,4間は、壁体1の壁体平行方向に対して、ウエブ部3により分割されているから、必要箇所を選択的に改良することが可能となり、漏水した箇所や発進、到達坑口箇所に固化材6を充填するようにすればよく、その施工も、注入管9を用いて、固化材6を単に注入するだけで簡便に済む。
また、図3に示すように、連続壁体1を平面的に湾曲形成する場合には、湾曲方向の内側の重ね合わせ部5を曲率の外側の重ね合わせ部5より大きくすればよい。
このように本実施例では、請求項1に対応して、H形部材2を矢板として用いた連続壁体1であって、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、両側のフランジ部4,4間に固化材6を充填したから、フランジ部4,4同士の重ね合わせ長さを変えることで、簡単に壁体1の剛性を大きくしたり小さくしたりできる。また、両側のフランジ部4,4の挿入長を変えることで、曲線形状壁体1を簡単に作成できる。そして、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせた場合、壁体1の剛性が高まり、これにより、従来に比べて壁体1に用いる支保工部材が少なくて済み、支保工なしの自立式の土留壁を作り易くなる。
このようなH形部材2,2を組合わせた構造において、フランジ部4,4間に固化材6を充填するから、壁体1全体の剛性をさらに高めることができ、高い側圧が作用する大深度での土留壁などに適用可能となる。また、固化材6にセメント系を用いれば、その固化材6は圧縮材であり、上載荷重に耐える基礎構造となる。さらに、内部に固化材6を充填するから、壁体1全体の止水性が向上する。また、充填した固化材6により、H形部材2,2相互の位置が壁体直角方向及び壁体平行方向ともに固定され、地震時における安定性が確保される。また、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、固化材6を充填することにより、壁厚を小さくでき、H形部材2,2Aを用いた連続壁体1構築のための掘削土量、コンクリート量などが小さくなり、さらに、必要な用地面積が小さくて済む。
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、固化材6は、コンクリート又はモルタルであるから、剛性がより確実に高まり、合成部材としての利用範囲が広がる。また、止水性能に優れたものとなる。
また、このように本実施例では、請求項6に対応して、固化材6は、セメント又はソイルセメントであるから、止水性能と剛性が確保され、また、固化材6を削孔して注入する方法を用いれば、任意の箇所に合成構造を作ることができる。
また、このように本実施例では、請求項7に対応して、フランジ部4,4の内面に、固化材用剥離材7を塗布することにより、H形部材が固化材から剥離できるから、H形部材2の引き抜きが容易となり、転用が可能となる。
また、このように本実施例では、請求項8に対応して、固化材6を充填した区間と充填しない区間とを有するから、高い剛性や止水が必要な箇所のみ固化材6を充填するため、設計選択の範囲が広がる。また、壁体1の壁体平行方向又はH形部材長さ方向で必要な区画で固化材を充填することにより、部分的に高い剛性や止水を確保でき、より安価な壁体1を追及できる。
また、このように本実施例では、請求項9に対応して、H形部材2を矢板として用い、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせた連続壁体1の構築方法であって、H形部材2を設置する設置工程と、両側のフランジ部間に固化材を充填する充填工程とからなるから、剛性及び止水性の高い連続壁体1を構築でき、この際、H形部材2の設置工程と固化材6の充填工程とが分離しているため、任意形状の壁体1を容易に構築できる。固化材6として、形状追随が可能な流動体を用いて、フランジ部4,4間に固化材を充填するため、固化材6の材料にムダが生じない。
また、このように本実施例では、請求項10に対応して、固化材6はコンクリート又はモルタルであり、充填工程は、フランジ部4,4間を掘削する工程と、固化材6を打設する工程とからなるから、H形部材2のフランジ部4,4間にある土を排出する掘削工程があるため、コンクリート、モルタルの充填が確実となる。また、掘削をフランジ部4,4間で行うから、外部の地山を傷めることがない。
また、このように本実施例では、請求項11に対応して、固化材6はセメント又はソイルセメントであり、充填工程は、注入管9を挿入する工程と、固化材6を注入する工程とからなるから、H形部材2,2のフランジ部4,4間に土があっても、任意の箇所にセメントなどを注入し、セメントまたはソイルセメントの固化材6を単独で固化させたり、土などとの結合構造を得たりできる。また、H形部材2のフランジ部4,4間で固化材6の注入を行うため、外部への漏れが少なく、外部の地山を傷めることがない。
また、このように本実施例では、請求項12に対応して、設置工程は、H形部材2を打撃又は圧入によるから、溝を形成して建て込む方法に比べて、施工機械が汎用的で簡便なもので対応でき、また、地山を傷めず、地山を安定液で押さえる必要もなく、安価な方法となる。
また、実施例上の効果として、H形部材2,2Aは、圧延H形鋼であるから、材料入手が安価で容易になる。また、汎用性のある圧延H形鋼は引き抜いた場合、壁体以外に支保材、桁材に転用可能である。
なお、連続壁体の構築方法において、本実施例は、H形部材のフランジ部同士を重ね合わせた場合を記載したが、H形部材のフランジ部の延長線と、隣接するH形部材のフランジ部とを重ね合わせた場合も、同様な構築方法で対応できる。
図4〜図5は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は、連続壁体1を土留壁に適用したものであり、同図に示すように、橋脚や建築物などの構造物の基礎を地中に構築する際、その基礎を構築する構築箇所Kの周囲に土留壁として、連続壁体1,1,1,1を構築し、対向する連続壁体1,1の内面にH形鋼などからなる腹起し11を配置し、これら腹起し11を介して連続壁体1,1間に、切梁たる支保工12を配置している。また、図5のハッチングに示すように、連続壁体1には、土圧及び水圧の高い下部側に固化材6を充填している。尚、この例の連続壁体1は、基礎を構築した後、構築箇所Kを埋め戻せば、撤去可能な仮設構造物であるから、H形部材2を引き抜いて再利用することができる。
このような土留壁となる連続壁体1では、重ね合わせ部5の構造とフランジ部4,4間に充填した固化材6とにより剛性が向上し、土留壁を自立させたり支保工12の間隔を大きくしたりすることができ、構築箇所Kに設ける構造物の鉄筋継手やコンクリート継手が不要又は少なくできるため、構造物の品質を高めることができ、且つ施工性を向上することができる。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、壁体1の剛性が高まり、これにより、従来に比べて壁体1に用いる支保工部材が少なくて済み、支保工なしの自立式の土留壁を作り易くなり、この土留壁を用いることにより、構造物の工期を短縮し、継手箇所を削減して構造物の耐震性能を向上することができ、信頼性の高い構造物を構築できる。
図6は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は、連続壁体1によりボックスカルバート15を構築した例であり、ボックスカルバート15は、ほぼ水平方向の連続壁体1からなる頂版部15Aと底版部15Bと側壁部15C,15Cとを備え、連続壁体1のフランジ部4,4間の空間Sにコンクリートなどの固化材6を充填してなる。
そして、この例においても、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れたボックスカルバート15を構築することができる。
図7〜図12は本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、図8は連続壁体1を土留壁に用いた例、図9は遮水壁に用いた例を示し、土圧や地下水圧などの水平荷重に抵抗するものである。前記連続壁体1には矢板として大きさの異なるH形部材2,2Aを用いる。これらH形部材2,2Aには好ましくは通常の圧延H形鋼材が用いられ、ウエブ部3,3Aの両側にフランジ部4,4,4A,4Aを有し、大型のH形部材2のフランジ部4,4の内面間に小型のH形部材2Aのフランジ部4A,4Aの外面が入る大きさのものを組合わせて用い、連続壁体1において、隣接する大型のH形部材2のフランジ部4,4の内面間に小型のH形部材2Aのフランジ部4A,4A外面を挿入されたフランジ部の重ね合わせ部5を形成するようにする。このように、大型のH形部材2のフランジ部4,4と小型のH形部材2Aのフランジ部4A,4Aとを、同一平面とは異なるフランジ部4,4Aの厚さ方向(壁体直角方向)にずらし、且つ重ね合わせており、重ね合わせ部5を形成することにより、連続壁体1への壁体直角方向の力に対して隣接するH形部材2,2Aが拘束される。さらに、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填することにより、壁体1全体の剛性をさらに高めることができる。そして、図8の土留壁である連続壁体1には、土圧の高い下部側に固化材6を充填し、図9の止水壁である連続壁体1は、地下水位Hより高い位置まで固化材6を充填し、同図では連続壁体1の全高さに固化材6を充填している。
施工においては、地盤GにH形部材2,2Aを打撃を加えて打ち込んだり、圧入したりして所定の深さまで挿入し、あるいは、連続壁体1の構築箇所に溝を掘削形成し、H形部材2,2Aを立て込む。前記溝は、連続地中壁掘削機により連続掘削溝や、ドリル式のオーガー掘削機の円孔により形成され、掘削の際、溝の安定のためは泥水などの安定液を用いることができる。
H形部材2,2Aは圧延H形鋼を用いるものとするが、ウエブ部3,3Aとフランジ部4,4,4A,4Aを備えるものであれば、圧延H形鋼以外にも、圧延I形鋼でもよく、また、鋼材以外にプラスチックなどからなるものを用いてもよい。また、図10に示すように、H形部材2,2Aを複数用いて一体化してもよく、同図においてはフランジ部4,4,4A,4Aを溶着一体化しており、あるいは、図11に示すように、ウエブ部3を複数設けた形状のものでもよい。
このようにH形部材2,2Aを用いた連続壁体1においては、フランジ部4,4Aの重ね合わせ部5により壁体1の剛性が向上し、さらに、図12に示すように、両側からH形部材2,2Aを設置した場合に、最後の合わせ部分の寸法が他の部分と異なる場合でも、重ね合わせ部5の寸法を調整することにより、容易に対応でき、図12では、最後の合わせ部分のH形部材2,2の間隔が他に比べて狭くなったから、間に挿入するH形部材2Aとの重ね合わせ部5を大きくすることにより対応できる。したがって、従来のU形やH形の矢板で土留壁を形成する場合には、矢板の継手間寸法が一定であるから、最後の合わせ部分で寸法調整を行うことができず、精度を高めて打設位置を設定する必要があり、無理に最後の矢板を打設すると、矢板に亀裂が生じたり、場合によっては、複数の矢板を引き抜いて再度打設する必要があったが、本実施例ではフランジ部2,2Aの重ね合わせ部5の寸法により最後の合わせ部分の寸法調整を簡便に行うことができる。また、継手間が一定寸法の矢板を用いる場合、矢板の寸法に合わせて寸法などを設計することになり、例えば、設計上は矢板の2分の1の寸法で済む箇所も、矢板1本を用いることになり、設計上、過剰な部分が発生し、これが掘削,埋め戻しの土量や底版コンクリートの量にも影響するため、無駄な部分が発生する。これに対して、本実施例では、設計寸法に対応した連続壁体1を構築できるから、上述したような無駄を省くことができる。
図13〜図14は本発明の実施例5を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、実施例2で示した連続壁体1は、前記連続壁体1には矢板として大きさの異なるH形部材2,2Aを用いている。そして、図14に示すように、連続壁体1,1が交差するコーナ部では、一方の連続壁体1のH形部材2には、一方のフランジ部4の両端部に、継手部材たる溝形鋼13を溶着などにより設け、他方の連続壁体1のH形部材2Aには、フランジ部4A,4Aの端部に、前記溝形鋼13内に嵌入する継手部材たる鉄板14を溶着などにより設けている。尚、前記鉄板14には平鋼が用いられる。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4A同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られる。
図15は本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の連続壁体1を地下道などのボックスカルバートを構築する際に用いる防護ルーフに適用したものであり、構築箇所Kの両側部と上部とに連続壁体1を構築し、この連続壁体1の空間Sには固化材6を充填し、構築箇所Kを掘削すると共に、連続壁体を支持する支保工21を設け、掘削箇所K内にボックスカルバート22を構築して埋め戻す。この場合、ボックスカルバート22を埋め戻した後、H形部材2,2Aを引き抜いて再利用してもよく、H形部材2には、固化材6と接する面に剥離材7を塗布しておく。
図16は本発明の実施例7を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は、連続壁体1を山岳トンネル23などの防護ルーフに適用したものであり、トンネル23の上部を覆うように湾曲状に連続壁体1が形成され、空間Sに固化材6が充填されている。
図17〜図18は本発明の実施例8を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接するH形部材同士を係合する継手部材を示し、大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、継手部材たる2つの山形鋼31,31を並べて取付け、両山形鋼31,31間に内面嵌合部たる山形凹部32を形成し、この山形凹部32にH形部材長さ方向から嵌入する外面嵌合部たる山形凸部33を、小型のH形部材2Aのフランジ部4Aの端部側外面に設け、前記山形凸部33は、継手部材たる山形鋼31をフランジ部4Aの端部側外面に取付けて構成される。それら山形鋼31はフランジ部4,4Aの端部から突出しない。尚、H形部材2,2AがH形鋼の場合、山形鋼などの圧延鋼材は溶着により設けられる。
したがって、隣接するH形部材2,2Aを構築する際、山形凹部32と山形凸部33との嵌合がガイドとなってH形部材2,2Aを正しく挿入することができ、さらに、重ね合わせ部5における山形凹部32と山形凸部33との嵌合により、隣接するH形部材2,2Aは連続壁体1の壁体平行方向にも規制され、さらに、フランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填することにより、剛性の高い連続壁体1が得られる。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4A同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がなくなる、
また、実施例上の効果として、H形部材2,2Aには、隣接するH形部材2,2A同士を係合する継手部材たる山形鋼31をフランジ部4,4Aに設けたから、継手部材が嵌合し、施工時のガイドとなるほか、取り付け位置が確定し、また、止水性の向上が図られる。また、継手部材に、L形鋼である山形鋼31,溝形鋼,丸鋼,平鋼などの圧延鋼材を用いたから、材料入手が安価で容易になる。また、それら圧延鋼材は市販材料であるのため、継手構造を作るために材料への加工がほとんどいらない。そして、フランジ部2の内面に継手部材たる山形鋼31を設けた場合は、山形鋼31を撤去することなく壁体1以外への材料転用が容易になる。また、H形部材2のフランジ部4の内面に、継手部材たる山形鋼31を設け、外面側には設けなかったから、連続壁体1が仮設構造物の場合、H形部材2,2Aを引き抜いて、支保工や桁材などへの転用が容易となる。また、この例では、重ね合わせ部5において、嵌合部たる山形凹部32と山形凸部33との嵌合により、隣接するH形部材2,2Aは、連続壁体1の壁体平行方向にも規制される。
また、実施例上の効果として、H形部材2,2Aには、隣接するH形部材2,2A同士を係合する継手部材たる山形鋼31をフランジ部4,4Aに設けたから、継手部材が嵌合し、施工時のガイドとなるほか、取り付け位置が確定し、また、止水性の向上が図られる。また、継手部材に、L形鋼である山形鋼31,溝形鋼,丸鋼,平鋼などの圧延鋼材を用いたから、材料入手が安価で容易になる。また、それら圧延鋼材は市販材料であるのため、継手構造を作るために材料への加工がほとんどいらない。そして、フランジ部2の内面に継手部材たる山形鋼31を設けた場合は、山形鋼31を撤去することなく壁体1以外への材料転用が容易になる。また、H形部材2のフランジ部4の内面に、継手部材たる山形鋼31を設け、外面側には設けなかったから、連続壁体1が仮設構造物の場合、H形部材2,2Aを引き抜いて、支保工や桁材などへの転用が容易となる。また、この例では、重ね合わせ部5において、嵌合部たる山形凹部32と山形凸部33との嵌合により、隣接するH形部材2,2Aは、連続壁体1の壁体平行方向にも規制される。
図19は本発明の実施例9を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接するH形部材同士を係合する継手部材を示し、大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、継手部材たる2つの丸鋼35,35を並べて取付け、両丸鋼35,35間に内面嵌合部たる凹部36を形成し、この凹部36にH形部材長さ方向から嵌入する外面嵌合部たる凸部37を、小型のH形部材2Aのフランジ部4Aの端部側外面に設け、前記凸部33は、継手部材たる丸鋼35をフランジ部4Aの端部側外面に取付けて構成される。そして、フランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4A同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がなくなる。
図20は本発明の実施例10を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接するH形部材同士を係合する継手部材を示し、大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、内面係合部たる山形鋼41の一片側の端部を取付け、この山形鋼41の他片41A側はフランジ部4内面とほぼ平行で、先端がフランジ部4の壁体平行方向外側に向き、外面係合部たる山形鋼42の一片側の端部を、小型のH形部材2Aのフランジ部4Aの端部側外面に取付け、この山形鋼42の他片42A側はフランジ部4A外面とほぼ平行で、先端がフランジ部4の壁体平行方向外側に向き、継手部材たる両山形鋼41,42が係合してフランジ部4,4Aの位置決めがなされる。尚、山形鋼41,42は同一形状である。そして、フランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4A同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がなくなり、壁体平行方向のずれ防止が可能となる。
また、この例では、係合部たる山形鋼41,42の係合により、隣接するフランジ部4,4Aの壁体直角方向の位置が規制され、また、山形鋼41,42が当接することにより、隣接するH型部材2,2Aの間隔を調整することができ、すなわち、山形鋼41,42が当接する位置で重ね合わせ部5の寸法が最大となる。
図21は本発明の実施例11を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接するH形部材同士を係合する継手部材を示し、大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、内面嵌合部たる山形鋼41の一片側の端部を取付け、この山形鋼41の他片41A側はフランジ部4と所定角度をなして間隔を持って配置され、先端がフランジ部4の壁体平行方向外側外面に向き、外面嵌合部たる山形鋼41の一片側の端部を、小型のH形部材2Aのフランジ部4Aの端部側外面に取付け、この山形鋼42の他片42A側はフランジ部4Aと所定角度をなして間隔を持って配置され、先端がフランジ部4の壁体平行方向外側に向き、嵌合部たる両山形鋼41,42の他片41A,42Aがフランジ部4,4Aの壁体平行方向の離脱を規制するように噛み合って嵌合する。尚、山形鋼41,42は同一形状である。そして、フランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4A同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がなくなり、壁体平行方向のずれ防止が可能となる。
図22〜図23は本発明の実施例12を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接する大きさの異なるH形部材同士を係合する継手部材を示し、大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、内面係合部たる山形鋼41の一片側の外面を取付け、この山形鋼41の他片41A側がフランジ部4の壁体平行方向外側で、該フランジ部4と直交する。一方、小型のH形部材2Aのフランジ部4Aには他の部材を取り付けるなどの加工は施されておらず、そのフランジ部4Aが前記フランジ部4の内面に係入し、フランジ部4Aの端部が前記山形鋼41の他片41A外面に当たる位置で位置決めされている。そして、フランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4A同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がなくなり、壁体平行方向のずれ防止が可能となる。
図24〜図25は本発明の実施例13を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接するH形部材同士を係合する継手部材を示し、大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、山形鋼41の一片側の外面を取付け、この山形鋼41の他片41A側がフランジ部4の壁体平行方向外側で、該フランジ部4と直交する。また、前記山形鋼41よりフランジ部4の端部側に、内面係合部たる山形鋼43の一片側の外面を取付け、この山形鋼43の他片43A側が前記他片41Aと重なり合っている。一方、小型のH形部材2Aのフランジ部4Aには他の部材を取り付けるなどの加工は施されておらず、そのフランジ部4Aが前記フランジ部4の内面に係入し、フランジ部4Aの端部が前記山形鋼43の他片43A内面に当たる位置で位置決めれている。そして、フランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4A同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がなくなり、壁体平行方向のずれ防止が可能となる。
図26〜図27は本発明の実施例14を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接するH形部材同士を係合する継手部材を示し、大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、山形鋼41の一片側の外面を取付け、この山形鋼41の他片41A側がフランジ部4の壁体平行方向外側で、該フランジ部4と直交する。また、前記山形鋼41よりフランジ部4の端部側に、内面嵌合部たる山形鋼44の一片側の端部を取付けると共に、この一片側が前記他片41Aと重なり合い、該山形鋼44の他片44Aが前記フランジ部4と間隔を置いてほぼ平行に配置されている。一方、小型のH形部材2Aのフランジ部4Aには他の部材を取り付けるなどの加工は施されておらず、そのフランジ部4Aが前記山形鋼44内に嵌合する。また、フランジ部4の端部内面と山形鋼44との間に、フランジ部4Aの端部を嵌入する。そして、フランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4A同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がなくなり、壁体平行方向のずれ防止が可能となる。
図28は本発明の実施例15を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接する同一形状のH形部材同士を係合する継手部材を示し、隣接する一方のH形部材2の1つのフランジ部4(図中上側のフランジ部)の端部側内面に、内面係合部たる山形鋼41の一片側の外面を取付け、この山形鋼41の他片41A側がフランジ部4の壁体平行方向外側で、該フランジ部4と直交し、他のフランジ部4(図中下側のフランジ部)の端部側外面に、外面嵌合部たる山形鋼44の一片側の端部を取付けると共に、該山形鋼44の他片が前記フランジ部4の外面と間隔を置いてほぼ平行に配置されている。これに対して、隣接する他方のH形部材2の他のフランジ部4(図中下側のフランジ部)の端部側外面に、内面係合部たる山形鋼41の一片側の端部を取付け、この山形鋼41の他片41A側がフランジ部4の壁体平行方向外側で、該フランジ部4と直交する。前記山形鋼41を設けたフランジ部4に隣接するフランジ部4が当たる位置で位置決めされ、他のフランジ部4の端部が前記山形鋼44内に嵌合する。そして、フランジ部4,4間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がなくなり、壁体平行方向のずれ防止が可能となる。
図29〜図30は本発明の実施例16を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接する同一形状のH形部材同士を嵌合する継手部材を示し、隣接する一方のH形部材2の1つのフランジ部4(図中上側のフランジ部)の端部側内面に、2つの山形鋼31,31を並べて取付け、継手部材たる両山形鋼31,31間に内面嵌合部たる山形凹部32を形成し、この山形凹部32にH形部材長さ方向から嵌入する外面嵌合部たる山形凸部33を、隣接するH形部材2の1つフランジ部4の端部側外面に設け、前記山形凸部33は、継手部材たる山形鋼31をフランジ部4の端部側外面に取付けて構成される。また、隣接する他方のH形部材2の他のフランジ部4(図中下側のフランジ部)の端部側内面に、継手部材たる2つの山形鋼31,31を並べて取付け、両山形鋼31,31間に内面嵌合部たる山形凹部32を形成し、この山形凹部32にH形部材長さ方向から嵌入する外面嵌合部たる山形凸部33を、隣接するH形部材2の他のフランジ部4の端部側外面に設け、前記山形凸部33は山形鋼31をフランジ部4の端部側外面に取付けて構成される。さらに、隣接する一方のH形部材2のフランジ部4には、他方のH形部材2のフランジ部4の端部に外嵌する外面嵌合部たる山形鋼45の一片側の端部が取付けられ、この山形鋼45の他片45Aが、他方のH形部材2のフランジ部4の端部に外嵌する。そして、フランジ部4,4間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がない。
図31は本発明の実施例17を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接する同一形状のH形部材同士を係合する継手部材を示し、隣接する一方のH形部材2の1つのフランジ部4(図中上側のフランジ部)の端部側内面及び他のフランジ部4(図中下側のフランジ部)の端部側外面に、継手部材たる2つの丸鋼35,35を並べて取付け、両丸鋼35,35間に内面及び外面嵌合部たる凹部36を形成し、この凹部36にH形部材長さ方向から嵌入する外面及び内面嵌合部たる凸部37を、隣接する他方のH形部材2のフランジ部4の一方のH形部材2の1つのフランジ部4(図中上側のフランジ部)の端部側外面及び他のフランジ部4(図中下側のフランジ部)の端部側内面に設け、前記凸部33は丸鋼35をフランジ部4に取付けて構成される。また、隣接する他方のH形部材2の他のフランジ部4の内面には、一方のH形部材2の他のフランジ部2に外嵌する山形鋼45が取付けられている。そして、フランジ部4,4間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がない。
図32は本発明の実施例18を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接する同一形状のH形部材同士を係合する継手部材を示し、大型のH形部材2の1つのフランジ部4(図中上側のフランジ部)の端部側内面及び他のフランジ部4(図中上側のフランジ部)の端部外面に、内面及び外面嵌合部たる山形鋼41の一片側の端部を取付け、この山形鋼41の他片41A側はフランジ部4とほぼ平行で、先端がフランジ部4の壁体平行方向外側に向き、外面及び内面嵌合部たる山形鋼42の一片側の端部を隣接する他方のH形部材2の1つのフランジ部4の端部側外面及び他のフランジ部4の端部側内面に取付け、この山形鋼42の他片42A側はフランジ部4とほぼ平行で、先端がフランジ部4の壁体平行方向外側に向き、さらに、それぞれの他片41A,42Aの先端側内面に、丸鋼35,35をそれぞれ設け、これら丸鋼35,35同士が係止することにより両山形鋼41,42がフランジ部4,4の長さ方向の離脱を規制する状態で嵌合する。尚、山形鋼41,42は同一形状である。そして、フランジ部4,4間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がない。
図33は本発明の実施例19を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接するH形部材同士を嵌合する継手部材を示し、大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、内面嵌合部たる山形鋼31を取付け、この山形鋼31にH形部材長さ方向から外嵌する外面嵌合部たる山形凹部33を、小型のH形部材2Aのフランジ部4Aの端部側外面に設け、前記山形凹部33は山形鋼31の角部をフランジ部4Aの端部側外面に取付けて構成される。そして、フランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填する。
そして、本実施例では、隣接するH形部材2,2のフランジ部4,4同士を重ね合わせ、空間Sに固化材6を充填することにより、剛性及び止水性に優れた連続壁体1が得られ、また、継手部材を強固にする必要がない。
尚、継手部材を設けた上記各実施例では、図14の溝形鋼13を設けたもの以外は、全て継手部材は、フランジ部4,4Aの端部より長さ方向内側(ウエブ3,3A)に位置して、該端部から突出していない。
図34は本発明の実施例20を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は、連続壁体1,1が交差するコーナ部の変形例であり、一方の連続壁体1のH形部材2には、大型のH形部材2のフランジ部4の両端部外面に、継手部材たる鉄板14を溶接などにより設け、この鉄板14の外面に、外面嵌合部たる山形凸部33を設けており、この山形凸部33に、他方の連続壁体1のH形部材2の山形凹部32が外嵌する。そして、フランジ部4,4,4A,4A間の空間Sに固化材6を充填し、コーナ部では、フランジ部4外面と、フランジ部4,4内面との間の空間Sに固化材6を充填する。
このように連続壁体1のコーナ部においても、継手部材たる鉄板14,山形鋼31を用いて、隣接するH形部材2,2同士を嵌合接合し、空間Sに固化材6を充填して剛性及び止水性を向上することができる。
図35は本発明の実施例21を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接するH形部材同士を連結する継手部材を示し、H型部材2,2A間には重ね合わせ部がなく、フランジ部4,4の延長線(図示せず)と隣接するH型部材2Aのフランジ部4A,4Aとを重ね合わせ、すなわちフランジ部4,4とフランジ部4A,4Aとは真直ぐ並ぶことなく、幅方向(壁体直角方向)にずれた位置で、且つ壁体平行方向に離れており、フランジ部4,4の延長線の間にフランジ部4A,4Aが挿入配置されている。そして、小型のH形部材2Aのフランジ部4Aの端部側内面に、継手部材たるL形鋼51の一片内側を取付ける共に、他片51A側をフランジ部4Aの端部から該フランジ部4Aの長さ方向外側に突出する。また、内面嵌合部たる溝型鋼52を大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、継手部材たる溝形鋼52の外面側を取付けて該溝形鋼52内に前記L形鋼51の他片51Aを係入可能に構成する。このように、H形部材2,2Aのフランジ部4,4Aに継手部材たる溝形鋼52,L形鋼51を突設し、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4Aを厚さ方向(壁体直角方向)にずらしている。
したがって、施工においては、図35に示すように、隣接するフランジ部4,4Aをその厚さ方向にずらし、且つフランジ部4,4の延長線の間にフランジ部4A,4Aを位置合わせし、該溝形鋼52内に前記L形鋼51の他片51Aを係入するようにH形部材2,2Aを設置し、それら溝形鋼52とL形鋼51とが重なった重ね合わせ部5Aが形成され、溝形鋼52の長さにより重ね合わせ部5Aの寸法を調整できる。そして、フランジ部4,4,4A,4A間及び溝形鋼52,52,L形鋼51,51の間の空間Sに固化材6を充填する。
このように本実施例では、請求項2に対応して、H形部材2,2Aを矢板として用いた連続壁体1であって、H形部材2のフランジ部4の延長線と隣接するH形部材2Aのフランジ部4Aとを重ね合わせ、両側のフランジ部4,4,4A,4A及び略その延長線の間に固化材6を充填したから、フランジ部4,4A同士の離間を変えることで、簡単に壁体1の剛性を大きくしたり小さくしたりできる。そして、隣接するH形部材2,2Aの継手部材とフランジ部又は継手部材同士を重ね合わせた場合、壁体1の剛性が高まる。また、H形部材2,2A同士の離間は固定されたものでなく、任意に設定できるため、設計通りの壁体平行方向寸法の連続壁体1を容易に形成できる。また、設置する場合は、個別のH形部材2,2Aの所定位置が精度上で劣っても、簡単に調整して施工できる。さらに、フランジ部4,4A同士の重ね合わせへの移行も容易にできる。
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、H形部材2,2Aには、隣接するH形部材2,2A同士を係合する継手部材たる溝形鋼52,L形鋼51をフランジ部4,4Aに設けたから、継手部材が嵌合し、施工時のガイドとなるほか、取り付け位置が確定する。
このようなH形部材2,2を組合わせた構造において、フランジ部4,4,4A,4A及び継手部材たる溝形鋼52,52,L形鋼51,51の間に固化材6を充填するから、壁体1全体の剛性をさらに高めることができ、高い側圧が作用する大深度での土留壁などに適用可能となる。また、固化材6にセメント系を用いれば、その固化材6は圧縮材であり、上載荷重に耐える基礎構造となる。さらに、内部に固化材6を充填するから、壁体1全体の止水性が向上する。また、充填した固化材6により、H形部材2,2A相互の位置が壁体直角方向及び壁体平行方向ともに固定され、地震時における安定性が確保される。また、隣接するH形部材2,2Aのフランジ部4,4A同士を重ね合わせ、固化材6を充填することにより、壁厚を小さくでき、H形部材2,2Aを用いた連続壁体1構築のための掘削土量、コンクリート量などが小さくなり、さらに、必要な用地面積が小さくて済む。また、両側のフランジ部4,4A同士の離間長を変えて継手部材たる溝形鋼52,L形鋼51を配設することで、曲線形状壁体を簡単に作成できる。
尚、本実施例では、隣接する一方のH形部材2の両フランジ部4,4の延長線の間に、他方のH形部材2の両フランジ部4A,4Aを挿入しているが、隣接する一方のH形部材2の両フランジ部4,4の延長線の間に、他方のH形部材2Aの両フランジ部4A,4Aの一方を挿入してもよく、隣接するH形部材同士が同一形状としてもよく、H形部材2,2Aに、圧延H形鋼を用いてもよく、継手部材に、L型鋼,溝形鋼,丸鋼,平鋼などの圧延鋼材を用いてもよい。
なお、連続壁体1の構築方法において、H形部材2,2Aを矢板として用い、H形部材2のフランジ部4の延長線と隣接するH形部材2Aのフランジ部4Aとを重ね合わせた連続壁体1の構築方法であって、H形部材2,2Aを設置する設置工程と、両側のフランジ部2,2A及び略その延長線の間に固化材6を充填する充填工程とからなるから、剛性及び止水性の高い連続壁体1を構築でき、この際、H形部材2,2Aの設置工程と固化材6の充填工程とが分離しているため、任意形状の壁体1を容易に構築できる。固化材6として、形状追随が可能な流動体を用いて、フランジ部4,4A間に固化材6を充填するため、固化材6の材料にムダが生じない。また、固化材6はコンクリート又はモルタルであり、充填工程は、フランジ部4,4Aおよび略その延長線の間を掘削する工程と、固化材6を打設する工程とからなるから、H形部材2のフランジ部4,4A間にある土を排出する掘削工程があるため、コンクリート、モルタルの充填が確実となる。また、掘削をフランジ部4,4A間で行うから、外部の地山を傷めることがない。また、固化材6はセメント又はソイルセメントであり、充填工程は、注入管9を挿入する工程と、固化材6を注入する工程とからなるから、H形部材2,2Aのフランジ部4,4A及び略その延長線の間に土があっても、任意の箇所にセメントなどを注入し、セメントまたはソイルセメントの固化材6を単独で固化させたり、土などとの結合構造を得たりできる。また、H形部材2,2Aのフランジ部4,4A間で固化材6の注入を行うため、外部への漏れが少なく、外部の地山を傷めることがない。また、設置工程は、H形部材2,2Aを打撃又は圧入によるから、溝を形成して建て込む方法に比べて、施工機械が汎用的で簡便なもので対応でき、また、地山を傷めず、地山を安定液で押さえる必要もなく、安価な方法となる。
図36は本発明の実施例22を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は隣接するH形部材同士を嵌合する継手部材を示し、大型のH形部材2のフランジ部4の端部側内面に、内面嵌合部たる山形鋼41の一片側の端部を取付け、この山形鋼41の他片41A側はフランジ部4とほぼ平行で、先端がフランジ部4の壁体平行方向外側に向き、内面嵌合部たる溝型鋼13を小型のH形部材2Aのフランジ部4Aの端部側内面に取付け、前記溝形鋼13内に前記山形鋼41の他片41Aが嵌入する。そして、フランジ部4,4,4A,4A間及び継手部材たる山形鋼41,41,溝形鋼13,13の間の空間Sに固化材6を充填する。
このように本実施例では、請求項2及び4に対応して、上記実施例21と同様な作用・効果を奏する。
図37は本発明の実施例23を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、同一形状のH形部材2,2を用い、H形部材2のフランジ部4,4の延長線と隣接するH形部材2のフランジ部4,4とを重ね合わせており、フランジ部4,4,4,4間及び略フランジ部4,4の延長線の間の空間Sに固化材6を充填する。
このように本実施例では、請求項2に対応して、H形部材2,2を矢板として用いた連続壁体1であって、H形部材2のフランジ部4の延長線と隣接するH形部材2のフランジ部4とを重ね合わせ、両側のフランジ部4,4,4,4及び略両側のフランジ部4,4,4,4の延長線の間に固化材6を充填したから、フランジ部4,4同士の離間を変えることで、簡単に壁体1の剛性を大きくしたり小さくしたりできる。
図38は本発明の実施例24を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、同一形状のH形部材2,2Aを用い、H形部材2のフランジ部4,4の延長線の間に、隣接するH形部材2のフランジ部4A,4Aを挿入するようにして重ね合わせており、フランジ部4,4,4A,4A間及びフランジ部4,4の延長線の間の空間Sに固化材6を充填する。
このように本実施例では、請求項2に対応して、大小のH形部材2,2Aを矢板として用いた連続壁体1であって、H形部材2のフランジ部4の延長線と隣接するH形部材2Aのフランジ部4Aとを重ね合わせ、両側のフランジ部4,4,4A,4A及び略両側のフランジ部4,4,4A,4Aの延長線の間に固化材6を充填したから、フランジ部4,4A同士の離間を変えることで、簡単に壁体1の剛性を大きくしたり小さくしたりできる。また、H形部材2,2A相互の位置が壁体直角方向及び壁体平行方向ともに固定される。
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
1 連続壁体
2 H形部材
2A H形部材
4 フランジ部
4A フランジ部
5 重ね合わせ部
5A 重ね合わせ部
6 固化材
7 剥離材
13 溝形鋼(継手部材)
14 鉄板(継手部材)
31 山形鋼(継手部材)
35 丸鋼(継手部材)
41 山形鋼(継手部材)
42 山形鋼(継手部材)
43 山形鋼(継手部材)
44 山形鋼(継手部材)
45 山形鋼(継手部材)
51 L形鋼(継手部材)
52 溝形鋼(継手部材)
2 H形部材
2A H形部材
4 フランジ部
4A フランジ部
5 重ね合わせ部
5A 重ね合わせ部
6 固化材
7 剥離材
13 溝形鋼(継手部材)
14 鉄板(継手部材)
31 山形鋼(継手部材)
35 丸鋼(継手部材)
41 山形鋼(継手部材)
42 山形鋼(継手部材)
43 山形鋼(継手部材)
44 山形鋼(継手部材)
45 山形鋼(継手部材)
51 L形鋼(継手部材)
52 溝形鋼(継手部材)
Claims (12)
- H形部材を矢板として用いた連続壁体であって、隣接するH形部材のフランジ部同士を重ね合わせ、両側のフランジ部間に固化材を充填したことを特徴とする連続壁体。
- H形部材を矢板として用いた連続壁体であって、H形部材のフランジ部の延長線と隣接するH形部材のフランジ部とを重ね合わせ、両側のフランジ部及び略その延長線の間に固化材を充填したことを特徴とする連続壁体。
- 前記H形部材には、隣接するH形部材同士を係合する継手部材を前記フランジ部に設けたことを特徴とする請求項1記載の連続壁体。
- 前記H形部材には、隣接するH形部材同士を係合する継手部材を前記フランジ部に設けたことを特徴とする請求項2記載の連続壁体。
- 前記固化材は、コンクリート又はモルタルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続壁体。
- 前記固化材は、セメント又はソイルセメントであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続壁体。
- 前記フランジ部の内面に、固化材用剥離材を塗布したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の連続壁体。
- 前記固化材を充填した区間と充填しない区間とを有することを特徴とする請求鋼1〜7のいずれか1項の連続壁体。
- H形部材を矢板として用い、隣接するH形部材のフランジ部同士を重ね合わせた連続壁体の構築方法であって、H形部材を設置する設置工程と、両側のフランジ部間に固化材を充填する充填工程とからなることを特徴とする連続壁体の構築方法。
- 前記固化材はコンクリート又はモルタルであり、前記充填工程は、フランジ部間を掘削する工程と、固化材を打設する工程とからなることを特徴とする請求鋼9記載の連続壁体の構築方法。
- 前記固化材はセメント又はソイルセメントであり、前記充填工程は、注入管を挿入する工程と、固化材を注入する工程とからなることを特徴とする請求項9記載の連続壁体の構築方法。
- 前記設置工程は、H形部材を打撃又は圧入によることを特徴とする請求鋼9〜11のいずれか1項に記載の連続壁体の構築方法。
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