JP2005256041A - めっき層の耐剥離性および摺動特性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。 - Google Patents

めっき層の耐剥離性および摺動特性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。 Download PDF

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理孝 櫻井
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【課題】 めっき層の耐剥離性と摺動特性の双方に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 めっき層の最表層に、Fe(α相)、Γ相、Γ1相およびδ1相のうちから選ばれる少なくとも1以上の相からなる層が存在するとともに、前記めっき層の最表層に存在する相のうちのFe含有率が最も高い相からなる層はめっき層の最表層に島状に存在し、且つ、前記めっき層のFe%は、前記Fe含有率が最も高い相からなる層からめっき層/鋼板界面に向かって減少することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、めっき層の耐剥離性および摺動特性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関するものである。
近年、防錆性の向上の観点から、自動車用パネル部品には亜鉛系めっき鋼板、特に溶融亜鉛系めっき鋼板の使用比率が増加している。
通常、自動車用パネルに使用される溶融亜鉛系めっき鋼板は、溶接性および塗装性に優れている特性を生かして、溶融亜鉛めっき後に500℃程度に加熱して合金化処理を施した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が使用されている。
また、さらなる防錆性の向上を目指し、自動車メーカーでは付着量が50g/m2以上の厚目付けの亜鉛系めっき鋼板に対する要望が強くなりつつあるが、前述した合金化溶融亜鉛めっき鋼板で厚目付け化を実施すると、合金化に長時間を要し、合金化不良いわゆる焼けムラが発生しやすく、逆にめっき層全体で合金化を完了させようとすると、過合金化となり、めっき−鋼板界面で脆いΓ相が生成し、加工時にめっき剥離が発生しやすくなるため、厚目付けの合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することは非常に困難であった。ここで、めっき剥離の一般的形態としては、パウダリング(粉末状の剥離)、フレーキング(箔片状の剥離)、ゴーリング(むしれ、焼きつき)などに分類される。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金相には、Γ相(Fe3Zn10)、Γ1相(Fe5Zn21)、δ1相(FeZn7)、ζ相(FeZn13)、η相(Zn)の相構造が存在する。ここで、Γ相の鉄原子濃度は24〜31%であり、Γ1相の鉄原子濃度は18.5〜23.5%、δ1相の鉄原子濃度は8.5〜13%、ζ相の鉄原子濃度は6.7〜7.2%である。Γ相のFe濃度が最も高く、次いでΓ1相、δ1相が高く、ζ相はFe濃度が最も低い。前述した様に、合金化反応では鋼板側からFeが拡散される為、Fe濃度の最も高いΓ相が鋼板との界面に生成する。そして、めっき層中のFe濃度は鋼板側からめっき層表面に向かうにつれ減少傾向を示す。
各合金相の硬さは、Γ相のビッカース硬度が約330Hvと硬くて脆い性質を有しており、その為、合金化溶融亜鉛めっき鋼板にプレス加工を施すとΓ相の層間あるいはΓ相と鋼板の界面から剥離が起こり易くなる。δ1相のビッカース硬度は約300Hvであり、ζ相のビッカース硬度は200Hvと柔らかく靭性に富んでいる。各合金相の硬さとFe濃度の関係は、Fe濃度が高い程硬くなる傾向がある。そこで、めっき層の剥離に関係するΓ相の生成をできるだけ抑えることを目的として、合金化の程度を抑制する為に、加熱処理を制御する方法が採用されている。このため、合金化の条件が狭い範囲に限定されるため操業条件が大きく制約される。
一方、ζ相はビッカース硬度が約200Hvと軟質で靭性に富むことから、耐剥離性の向上に関しては有利である。しかし、ζ相がめっきの最表層に存在すると、それ自体が軟質である故にプレス加工時金型との摺動にて凝着が起こり、摩擦抵抗が増加して金型への材料流入が阻害され、その結果、材料割れを引き起こす。その為、摺動特性に悪影響を及ぼすζ相の生成を抑制することを目的として、合金化の程度を更に進めてζ相をδ1相へ変化させる為に、加熱処理をコントロールする等の方法が考えられる。しかしながら、合金化の程度を進めると、前述した様にΓ相が厚く生成してしまい、耐剥離性が劣化するといった不具合を招いてしまう。
この様にめっき層の耐剥離性と摺動特性は相反する関係にある為、これら両特性に優れた鋼板を提供することは極めて困難であり、めっき条件や合金化条件を極めて狭い範囲で制御しつつ操業しているのが現状である。従って、両特性を満足するZn−Fe合金めっき鋼板の提供が強く要求されている。
溶融亜鉛めっき鋼板の耐剥離性および摺動特性を向上させる技術として、例えば、下記(1)〜(3)が提案されている。
(1)特許文献1には、めっき層最表面におけるFe含有率が、めっき層と鋼板の界面におけるFe含有率に比べて多いものであることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板で、鋼板側からめっき層表面に向かうにつれ、めっき層中のFe含有率は、順次増加するものである、めっき層の耐剥離性と摺動特性の双方に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する技術が開示されている。
(2)特許文献2には、鋼板の少なくとも片面に、付着量が0.5g/m2以上10g/m2以下で鉄含有率が40質量%以上のFe−Zn合金層の外層部と、付着量が30g/m2以上90g/m2以下で厚さ0.5μmの鋼素地との境界層を除いてδ1相とζ相からなる合金化亜鉛の内層部と、それらの両層部が境界において相互に熱拡散されて一体構造を形成し、且つ鉄含有率の分布が面方向に均一であるめっき皮膜を有することを特徴とする加工性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する技術が開示されている。
(3)特許文献3には、鋼板素地上に形成された亜鉛を含有する層の亜鉛が鋼板素地中に拡散浸透することにより生成した層と、鋼板素地中および亜鉛を含有する層上に形成された鉄めっき層中の主として鉄が亜鉛を含有する層中に拡散浸透することにより生成した層と、亜鉛を含有する層の亜鉛が鉄めっき層中に拡散浸透することにより生成した層とを鋼板素地上に順次有してなる表面処理鋼板に関する技術が開示されている。
以下に、先行技術文献情報について記載する。
特開平9−241812号公報 特開平2−73953号公報 特開昭56−158864号公報
特許文献1では、めっき層最表面におけるFe含有率が、めっき層と鋼板の界面におけるFe含有率に比べて多いものであることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板で、鋼板側からめっき層表面に向かうにつれ、めっき層中のFe含有率は、順次増加するものである、めっき層の耐剥離性と摺動特性の双方に優れた合金化溶融亜鉛めっきについて検討されているが、Γ相やδ1相厚さが厚くなると、プレス加工のビード部で、曲げ曲げ戻し加工を受けるとΓ相/δ1相界面や、δ1相/ζ相界面で剥離が起きる。
特許文献2では、鋼板の少なくとも片面に、付着量が0.5g/m2以上10g/m2以下で鉄含有率が40質量%以上のFe−Zn合金層の外層部と、付着量が30g/m2以上90g/m2以下で厚さ0.5μmの鋼素地との境界層を除いてδ1相とζ相からなる合金化亜鉛の内層部と、それらの両層部が境界において相互に熱拡散されて一体構造を形成し、且つ鉄含有率の分布が面方向に均一であるめっき皮膜を有することを特徴とする加工性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板について検討されているが、表層にΓ相やδ1相などが存在すると、摺動性には有利であるが、プレス加工などを行なうと、硬いΓ相やδ1相が剥離の基点になるため、表層にΓ相やδ1相などはできるだけないほうが良い。α相(Fe)、ζ相、η相のビッカース硬度がそれぞれ100Hv、200Hv、50Hvなのに対して、δ1相およびΓ相のビッカース硬度は、それぞれ約300、約330と非常に硬くなっている。δ1相およびΓ相は非常に硬いためドロービードなどで曲げ曲げ戻し加工をうけるとクラックが生成し剥離の原因となる。鋼板とめっき界面にΓ相の変わりに加熱時間が10分〜50時間と長時間で製造されており、大量生産できず、また、加熱によるコストがかかる。
特許文献3では、鋼板素地上に形成された亜鉛を含有する層の亜鉛が鋼板素地中に拡散浸透することにより生成した層と、鋼板素地中および亜鉛を含有する層上に形成された鉄めっき層中の主として鉄が亜鉛を含有する層中に拡散浸透することにより生成した層と、亜鉛を含有する層の亜鉛が鉄めっき層中に拡散浸透することにより生成した層とを鋼板素地上に順次有してなる表面処理鋼板について検討されているが、加熱時間が1時間と長時間で製造されており、大量生産できず、また、加熱によるコストがかかる。また、鋼板から亜鉛めっき皮膜へと亜鉛が拡散する場合、めっき層/鋼板界面で硬くてもろいΓ相が厚く生成し、Γ相がクラックの基点となるために、めっき層/鋼板界面で剥離が発生するために耐剥離性は悪くなる。
従って、この発明の目的は、上述した問題を解決し、めっき層の耐剥離性と摺動特性の双方に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐剥離性が劣る原因について鋭意研究を重ねた。その結果、以下のことを知見した。
(めっき界面の合金相)
合金化溶融亜鉛めっき鋼板はプレス時に、曲げ曲げ戻しなどの加工を受けると、めっき皮膜にはクラックが発生する。そのクラックは、δ1相やΓ相などの硬くてもろい相が起点となって発生するので、めっき皮膜/鋼板界面のΓ相、δ1相はできるだけ抑える必要がある。
さらに、めっき皮膜における合金相構造から見ると、めっき皮膜と鋼板の界面に着目した場合には、少なくともめっき皮膜と鋼板の界面において軟質であるζ相及び/又はη相が存在することが望ましい。めっき皮膜/鋼板界面に、硬くて脆いΓ相でなく軟質なζ相やη相が存在すると、めっき剥離は生じにくい。これはζ相やη相は軟らかく延性があるためクラックが伝播して行かないためであると考えられる。
(めっき皮膜最表層の金属相)
めっき表層部で、プレス加工などの摺動をめっき皮膜が受けるときは、表層がη相、ζ相などの軟らかく延性のある皮膜の場合は、プレスの金型に凝着して摺動抵抗が増大し、材料のプレス割れなどが発生する。プレス割れが発生すると歩留まりが低下するため、凝着しにくい皮膜が、表層に存在することが望ましい。最表層にFe(α相)、Γ相、Γ1相、δ1相などのFe濃度のより高い硬質な相を存在させると、めっき皮膜と金型との凝着が起こりにくく摺動性に優れる。
本発明では、めっき層の最表層に、Fe(α相)、Γ相、Γ1相およびδ1相のうちから選ばれる少なくとも1以上の相からなる層を存在させるとともに、前記めっき層の最表層に存在する相のうちのFe含有率が最も高い相からなる層はめっき層の最表層に島状に存在させる。
前記Fe含有率が最も高い相からなる層はめっき皮膜の表面に凹凸を付与してその凸部の頂部に付与することが好ましい。これは、摺動時にめっき皮膜とビードの金型が当たるのは、めっきの凸部のみであり、凸部が摺動性に及ぼす影響が大きいためである。そのため、凸部にFe濃度の高い合金相を生成させるとより摺動性向上に効果的である。
この発明は、上記知見に基づいてさらに研究を進めた結果なされたものであって、この発明の要旨は以下の通りである。
第1発明は、めっき層の最表層に、Fe(α相)、Γ相、Γ1相およびδ1相のうちから選ばれる少なくとも1以上の相からなる層が存在するとともに、前記めっき層の最表層に存在する相のうちのFe含有率が最も高い相からなる層はめっき層の最表層に島状に存在し、且つ、前記めっき層のFe%は、前記Fe含有率が最も高い相からなる層からめっき層/鋼板界面に向かって減少することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
第2発明は、第1発明において、前記Fe含有率が最も高い相からなる層は、めっき層表面に占める面積率が90%以下であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
第3発明は、第1発明または第2発明において、前記Fe含有率が最も高い相からなる層の平均粒径は5μm〜200μmであることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
第4発明は、第1発明〜第3発明において、めっき表面に微細凹凸を有し、前記Fe含有率が最も高い相からなる層は、前記微細凹凸の凸部の頂部に存在することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
第5発明は、鋼板をAl:0.06〜0.25質量%を含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、50g/m2以上120g/m2以下のめっきを施し、めっき皮膜が固化する温度まで冷却してめっき鋼帯を製造する溶融めっき工程と、
前記めっき鋼板にスキンパス処理を行ってめっき表面の酸化膜を破壊するスキンパス工程と、
前記スキンパス処理を行っためっき鋼帯の少なくとも1方の面の前記めっき皮膜の上に、Fe−Zn合金めっき又はFeめっきを施すことにより、島状に分布し、付着量が0.5g/m2以上10g/m2以下のFe50質量%以上のFe−Zn合金皮膜又はFe皮膜からなる上層皮膜を形成する工程と、
前記上層皮膜を形成しためっき鋼帯を300℃〜500℃で1秒〜300秒加熱して、めっき皮膜を合金化させる工程と、
を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
第6発明は、鋼板をAl:0.06〜0.25質量%を含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、50g/m2以上120g/m2以下のめっきを施し、めっき皮膜が固化する温度まで冷却してめっき鋼帯を製造する溶融めっき工程と、
前記めっき鋼帯をアルカリ液と接触させてめっき皮膜表面に活性な部分と不活性な部分とを形成させるアルカリ処理工程と、
前記アルカリ処理工程後のめっき鋼帯の少なくとも1方の面の前記めっき皮膜の上に、Fe−Zn合金めっき又はFeめっきを施すことにより、島状に分布し、0.5g/m2以上10g/m2以下のFe50質量%以上のFe−Zn合金皮膜又はFe皮膜からなる上層皮膜を形成する工程と、
前記上層皮膜を形成しためっき鋼帯を300℃〜500℃で1秒〜300秒加熱して、めっき皮膜を合金化させる工程と、
を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
第7発明は、鋼板をAl:0.06〜0.25質量%を含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、50g/m2以上120g/m2以下のめっきを施す工程と、
めっき皮膜が溶融状態であるうちにFe粒子又はFe50質量%以上のFe−Zn合金粒子からなる、付着量が0.5g/m2以上10g/m2以下の金属粒子を島状に分布させて付着させる工程と、
前記粒子を付着させためっき鋼帯を300℃〜500℃で1秒〜300秒加熱して、めっき皮膜を合金化させる工程と、
を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
なお、以下の記載では、特記しない限り、鋼成分組成及び皮膜成分組成を表す「%」は質量%を意味するものである。
本発明によれば、めっき層の耐剥離性と摺動特性に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
前述した様に、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板側からFeを拡散供給して製造する為、めっき層表面におけるFe含有率は、めっき層/鋼板界面におけるFe含有率に比べて少なくならざるを得ず、この様なFe濃度分布からなるめっき層を有することを前提として、所望の特性が得られる様に相構造を制御しているのが現状である。
これに対して、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、めっき層の耐剥離性を向上させるには鋼板側のFe濃度をできるだけ低くし、一方、摺動特性を向上させるにはめっき層表面のFe濃度をできるだけ高くすることが有効であると知見し、従来のめっき鋼板とはめっき層中のFe濃度分布が全く異なるFe濃度分布を有する鋼板、すなわち、めっき層の最表層にFe濃度の最も高い層を島状に存在させ、前記めっき層のFe%は、前記Fe濃度の最も高い層からめっき層/鋼板界面に向かって減少する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供し得たのである。
この様に本発明鋼板は、めっき層のFe濃度分布が従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板とは全く異なるものである。上記鋼板のめっき皮膜を更に詳細に説明すると、以下に示す様な特徴を有する。
(めっき層の金属相及び最表層の金属相)
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき層の最表層におけるFe含有率が、めっき層のめっき層/鋼板の界面におけるFe含有率に比べて大きい点で、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板と大きく異なる。また、めっき層のFe濃度は、最表層のFe濃度の最も高い層からめっき層/鋼板界面に向かって減少する点で従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板と相違する。
すなわち、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板界面側にFe濃度の高い相があり、めっき皮膜表面に向かってFe濃度が減少する相構造(鋼板界面側からΓ相、Γ1相、δ1相、ζ相が順次生成されたもの)を有する。これに対して、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、最表層のFe濃度の最も高い相からなる層からめっき層/鋼板界面に向かってFe濃度が減少する相構造、一例を挙げると、Fe濃度の最も高い相からなる層からめっき層/鋼板界面に向かってΓ相、Γ1相、δ1相、ζ相が順次存在する相構造を有している。また、Fe濃度の最も高い相からなる層からめっき層/鋼板界面に向かってΓ相、δ1相、ζ相が順次存在する相構造を有していてもよい。最表層のFe濃度の最も高い相からなる層からめっき層/鋼板界面に向かって、Fe濃度が減少する相構造であれば、その相構造は前記に限定されない。最表層のFe濃度の最も高い相からなる層からめっき層/鋼板界面に向かって、Γ相、Γ1相、δ1相、ζ相、η相が順次存在してもよい。めっき層の最表層はΓ相よりもFe濃度の高い相または低い相が生成されていても良い。また、前述の金属相のいずれか1つ以上の相が存在してなくてもよい。また、前述の金属相の間に別の金属相が存在する相構造であってもよい。最表層のFe濃度の最も高い層はFe(α相)からなる層であってもよい。
最表層のFe濃度の最も高い相がFe(α相)である場合、Fe(α相)からなる層の厚さは1.8μm以下が好ましい。これより厚くなると、Fe(α相)/Γ相界面で剥離を生じやすくなる。
めっき皮膜の最表面から見れば、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、例えばΓ相及び/又はδ1相が存在する点で、めっき層最表面に主にζ層が存在する従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板とは異なる。
本発明では、めっき層の最表層のFe濃度の最も高い相からなる層は、めっき表面の全面を均一被覆せず、めっき層の最表層に島状に分布させる。Fe濃度の高い層でめっき表面の全面を均一に被覆した場合、一箇所で剥離が起こるとそこを起点にして全面で剥離が発生しやすい。Fe濃度の最も高い相からなる層を島状に分布させることで、Fe濃度の最も高い相からなる層にかかる応力を分散できるため、表層のΓ相やδ1相の厚さが厚くなっても、プレス加工のビード部で曲げ曲げ戻し加工を受けた際に起こるΓ相/δ1相界面や、δ1相/ζ相界面での剥離を防止できる。
剥離を防止して摺動特性を良好にするためには、最表層のFe濃度の最も高い相からなる層の面積率と粒径は下記の範囲が好ましい。
めっき層の最表層に存在するFe濃度の最も高い相からなる層の面積率は、めっき層表面の90%以下40%以上が良い。前記Fe濃度の最も高い相からなる層の面積率がめっき表面の90%を超えると、Fe濃度の最も高い相からなる層を島状に形成できなくなる。また、その面積率が90%を超える場合、ビードによる曲げ曲げ戻し加工を受けると、その応力は表層のFe濃度の最も高い相からなる層の全面にかかるため、表層の剥離が発生しやすくなる。より好ましくは90%以下50%以上である。前記Fe濃度の最も高い相からなる層の面積率が40%より少ないと、めっきと金型との耐凝着性が十分ではなく、一部でかじりが発生し、摺動特性が低下する。
前記Fe濃度の最も高い相からなる層の島状部分の粒径(平均粒径)は5μm〜200μmが好ましく、より好ましくは40μm〜160μmである。粒径が5μmより小さい場合、前記Fe濃度の最も高い相からなる層の面積率が小さい場合に凝着防止の効果が十分ではなく、200μmより大きい場合、前記Fe濃度のもっとも高い相からなる層同士の間隔が大きくなるため、めっき表面のFe濃度の低い領域で、かじりが発生して凝着物が堆積して、ひいてはめっき皮膜全域で、かじりが発生し、摺動特性が低下する。
めっき層表層のFe濃度の最も高い相からなる層の面積率は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて、めっき表面のSEM写真を撮影し、このSEM写真を画像データとしてコンピュータに取り込み、島状部とそれ以外の部分を2値化することにより区別して、その面積率を求める。測定視野は900×700μmで行う。Fe濃度の最も高い相からなる層の全ての面積率S'を算出後、島状部の領域の数Nを求めて、島状部の平均面積Sを、S=S'/Nより算出し、島状部の平均粒径Dは、D=2×(S/π)1/2から求める。
めっき表面に微細な凹凸を付与し、Fe濃度の最も高い相からなる層は、微細凹凸の凸部の頂部に存在させることが好ましい。図1はめっき表面に微細凹凸を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜断面を説明する模式図で、めっき層の最表層に存在するFe濃度の最も高い相がFe(α相)である場合を説明する。図1において、11は下地鋼板、12はめっき層である。めっき層12は表面に微細凹凸を有し、その凸部の頂部にFe濃度の最も高い相であるFe(α相)からなる層が存在し、めっき層/鋼板界面に向かって、Fe(α相)、Γ相、δ1相、ζ相、η相がこの順に存在している。微細凹凸の凸部は、プレス成形時に金型と接する部分となるので、この部分にFe濃度の最も高い層が存在することで、摺動性を向上させる作用がより優れることに加え、さらに、微細凹凸の凹部はプレス成形時に潤滑油を保持する作用があるため、摺動性を向上させる作用がさらに向上する。めっき表面の微細な凹凸は、めっき皮膜断面を観察したときに、めっき表面において、微細な凹凸を有する表面の曲線の長さ(表面に沿った長さ)L'と、めっき層/鋼板界面に平行に引いた直線Lとの比(L'/L)は1.03以上であることが、プレス加工時の摺動特性を向上させる点から望ましい。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法の説明で後記するように、本願発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を断面観察すると、各合金相同士の界面は滑らかな凹凸を有する曲線状に形成されている。
めっき皮膜がプレス加工時に破壊する時は、(I)鋼板表面に垂直方向または斜め方向にクラックが入る場合と、(II)鋼板表面に水平方向に各合金相の界面にクラックが入る場合が考えられる。鋼板表面に垂直方向または斜め方向にクラックが入る場合は、めっき皮膜にクラックが入ることによりめっき皮膜にかかる応力が緩和され、また、クラックは鋼板に対して垂直方向または斜め方向に生じているため、めっきが剥離することはない。それに対して、鋼板表面に水平方向にクラックが入る場合は、そのままクラックに沿って、めっき皮膜が鋼板より剥離する。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層は、各合金相の界面を平坦でなく滑らかな凹凸を有する曲線状になる結果、各合金相間でアンカー効果が十分に働き、クラックが鋼板と平行に進行するのが抑制されるため、めっき皮膜の剥離が起こりにくい。
各合金相同士の界面の凹凸の程度は、めっき層/鋼板界面に平行な長さLの区間における合金相界面に沿った界面の長さL'に基く長さ比L'/Lで評価することができる。断面SEM写真(1500倍)の画像データをコンピューターに取り込み、画像データ上にめっき/鋼板界面に平行に直線Lの区間における合金相の界面に沿った長さL'を求め、その結果から、長さ比L'/Lを求めることができる。めっき層の耐剥離性を向上させるためには、少なくとも、めっき層/鋼板に最も近い合金相と、前記合金相に接する合金相との界面の長さL'/Lは1.05以上であることが好ましい。
(めっき層/鋼板界面における合金相)
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、少なくともめっき層/鋼板界面にΓ相を存在させない点で、上記界面に主にΓ相が存在する従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板とは全く異なる相構造を有する。
めっき皮膜における合金相構造から見ると、めっき皮膜/鋼板界面に着目した場合、少なくともめっき皮膜/鋼板の界面においてζ相及び/又はη相が存在することが望ましい。めっき皮膜/鋼板界面に、硬くて脆いΓ相でなくζ相やη相が存在することで、めっき剥離は生じにくい。これはζ相やη相は軟らかく延性があるためである。めっき層と鋼板の界面は、ζ相単独相からなる必要はなく、例えばη相とζ相の混合相であっても良いし、η相主体の相であってもよく、ζ相とδ1相の混合相であっても良く、或いはδ1相が直接生成されたものも本発明の範囲内に属する。従来法により製造される合金化溶融亜鉛めっき鋼板は溶接性が優れることから、溶接用途に使用されることも多い。本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を溶接用途に使用する場合は、めっき層はη相の割合を出来るだけ少なくすることが好ましい。
めっき皮膜/鋼板界面には、溶融亜鉛めっきを行ったときに生成する初期合金層(Fe−Zn合金層及び/又はFe−Al合金層)がめっき層/鋼板界面に存在していてもよい。初期合金層はめっき層/鋼板界面の一部に存在していてもよい。
初期合金層が存在する場合、初期合金層に接して、また初期合金層が存在しないめっき層/鋼板界面に、前述の層が存在することが好ましい。
(めっき付着量)
めっき皮膜の付着量は、50g/m2〜120g/m2の範囲内にあるのが良い。めっき付着量が50g/m2より小さいと、十分な耐食性が得られず、まためっき付着量が120g/m2より大きくなると、自動車の耐久寿命をはるかに超える分の耐食性を付与することになり、亜鉛めっきが無駄になり効率的でない。
(表面粗さRa)
めっき皮膜の表面粗さRaが0.2μm〜2μmの範囲内にあるのが良い。表面粗さが、0.2μmより小さい場合は、めっき皮膜と金型との凝着が発生しやすくなる。また、表面粗さが2μmより大きくなると、表面粗さが粗くなり、塗装後の鮮映性が劣化する。
(本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法)
本発明鋼板を製造するには、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の如く、鋼板側から亜鉛めっき層へFeを拡散的に供給する方法ではなく、逆に、亜鉛めっき皮膜の表層側から鋼板側へFeを供給拡散すれば良い。
[1]本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する第1の方法は、以下に記載の方法である。まず鋼板に溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっき皮膜を得る(下層めっき皮膜)。この下層めっき皮膜が凝固した後、その表面に、FeまたはFe−Zn合金めっき皮膜を施す(上層めっき皮膜)。次いで、加熱処理を行うことにより上層めっき皮膜から下層めっき皮膜へFeが供給拡散され、めっき皮膜全体をFe−Zn合金層にすると共に、該めっき皮膜中のFe濃度を、鋼板側からめっき皮膜表面に向うにつれ増加傾向を有する様に調整できる。
以下、各工程を詳細に説明する。
(下層めっき皮膜形成)
まず、Alを0.06〜0.25%含有する溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を浸漬し、溶融亜鉛めっきを施す(下層めっき皮膜の形成)。この様に鋼板をめっき浴中に浸漬すると、浴中のAlは鋼板のFeと優先的に反応する結果、鋼板との界面に、約0.1μm以下の極めて薄いFe−Al合金層が生成される。この層は、ZnやFeが拡散する際の障壁となりZn−Fe合金層の生成を抑制することから、バリヤー層と呼ばれる。
通常の合金化処理では、溶融亜鉛めっき浴から引き上げた後、引き続き、高温で短時間加熱処理することにより該バリヤー層を通してZnやFeの拡散が進行する結果、合金めっき層の生成が促進されることでめっき層がFe−Zn合金層となる。
これに対して本発明では、溶融めっき段階では下層めっき皮膜(溶融亜鉛めっき皮膜)を得るだけで、合金化するための加熱処理は行わなわない。下層めっき皮膜が凝固した後、下層めっき皮膜の上に、後述するFe層またはFe−Zn合金層の上層めっき皮膜を島状に形成する。
この様にして形成された上層めっき皮膜と下層めっき皮膜の間には、上述したバリヤー層は存在しない為、この段階で加熱処理すれば、鋼板との界面に比べてより低温・短時間の加熱処理にて下層めっき皮膜と上層めっき皮膜間でZnとFeの拡散が迅速に起こり下層めっき皮膜の合金化が進むことになる。
溶融めっきでは、めっき浴中のAl含有率を0.06〜0.25%に制御する必要がある。Al濃度が0.06%未満では、上述したFe−Al合金層の形成によるバリヤー効果が得られない。即ち、Al濃度が少ないと、溶融めっきの際に、鋼板とめっき層の界面に多量のZn−Fe合金層が生成してしまい、更に後述する上層めっき形成後に施される加熱処理により鋼板とめっき層の界面からも拡散反応が進行する結果、この界面にΓ相が生成し、耐剥離性が低下することになる。この様に、溶融亜鉛めっき処理および上層めっき後の加熱処理による鋼板/溶融めっき層界面におけるZn−Feの合金化反応を抑制する為には、Alを0.06%以上とすることが必要である。好ましくは0.10%以上である。しかしながら、Al濃度が0.25%を超えるとめっき浴中で酸化反応が激しく起こり、めっき層表面にドロスが多量に付着する結果、たとえ、上層めっき処理後に加熱しても凹凸が激しい為プレス時金型との摺動性が低下し、材料の割れを引き起こす。従って、Al濃度を0.25%以下とする。好ましくは0.22%以下である。
めっき浴から引き上げた鋼板を、ガスワイピング装置を用いてめっき付着量を50g/m2以上120g/m2以下に調整し、めっき皮膜が固化する温度まで冷却する。
下層めっき皮膜形成工程では、スパングルの成長を抑制するために、スパングルを微細化することが好ましい。スパングルの微細化は常法でよい。めっき浴成分組成によってスパングル成長を抑制してスパングルを微細化、例えばめっき浴中のPbまたはSb含有量を0.2質量%以下に規定することでスパングルを微細化してもよい。また、ガスワイピング装置でめっき付着量を調整した後、公知のスパングル微細化装置を用いて、めっき層が溶融状態にあるときに、薬液または水を溶融状態にあるめっき表面に吹き付けてスパングルを微細化してもよい。
(上層めっき皮膜形成)
下層めっき皮膜の上に、上層めっき皮膜を形成する。上層めっき皮膜はFeまたはFe−Zn合金めっき層(但し、Fe:50%以上)であることが必要である。Fe−Zn合金めっき層の場合、Fe濃度が50%未満になると、上層めっき皮膜形成後の加熱処理によりめっき層全体のFe濃度を上記の関係を満足する様に制御する為には、上層めっき皮膜のめっき付着量を必然的に多くしなければならず、コストの上昇を招く。この様な観点から、Fe−Zn合金めっき層はFe:50%以上とする。Fe濃度は60%以上がより好ましい。
上層めっき皮膜の付着量は、0.5g/m2以上10g/m2以下とする。0.5g/m2未満になると、付着量が少ないので、合金化処理後に、本発明で規定するFe濃度が最も高い相からなる層をめっき層の最表層に島状に形成できなくなる。10g/m2を超えると、合金化処理後に本発明で規定するFe濃度が最も高い相からなる層が厚く残存し不経済である。また合金化処理後にFe濃度が最も高い相からなる層が厚く残存すると、該層がめっき皮膜から脱落し摺動特性が低下するおそれがある。この範囲内で、上層のめっき付着量は、最終製品における付着量および下層の溶融亜鉛めっき付着量などに応じて適宜調整される。また、上層めっきを施すには、通常、電気めっき法が用いられるが、その他、化学めっき法等も適宜採用し得る。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法においては、下層めっき皮膜上に、前述の上層めっき皮膜を島状に形成させる。めっき皮膜が固化した後、次の方法でめっき鋼板を処理した後、上層めっき皮膜を形成することで、下層めっき皮膜上に、上層めっき皮膜を島状に形成させることができる。
ここで、島状とは、めっき表面からみて、上層皮膜が曲線で囲まれた領域をなして、該領域が互いに離散して存在、または上層皮膜が多角形状の領域をなして、該領域が互いに離散して存在する状態である。両者が混在していてもよく、前記領域はその一部分が接して連続しているものであってもよい。
島状の上層めっき皮膜を形成する第1の方法は、めっき皮膜が固化した後、スキンパス処理を行ってめっき表面の酸化膜を不均一に破壊し、しかる後に上層めっき皮膜形成処理を行う方法である。スキンパス処理の条件は、表面粗さRaが2.0〜5.0μm程度の圧延ロールを使用し、伸長率を0.5%以上にすればよい。
島状の上層めっき皮膜を形成する第2の方法は、下層めっき皮膜が固化した後、アルカリ処理を行いめっき表面の酸化皮膜の一部を取り除いて、めっき層表面に活性な部分と不活性な部分とを形成させ、しかる後に上層めっき皮膜形成処理を行う方法である。アルカリ溶液としては、一般に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、オルソケイ酸ナトリウム等の水溶液が使用される。また、溶液のpHは9〜15のアルカリ溶液を使用し、鋼板との接触方法は、浸漬法、スプレー法等が用いられ、処理時間は2〜60秒間である。溶液のpHは、好ましくはpH11〜14、処理時間は、好ましくは2〜30秒間である。
(合金化処理;上層めっき皮膜から下層めっき皮膜へのFe拡散)
本製造方法においては、鋼板側から下層めっき皮膜へのFeの拡散を抑制しつつ、上層めっき皮膜から下層めっき皮膜へのFeの拡散を促進することができる様、適切な加熱処理条件を適宜選択することが必要である。
加熱温度は加熱時間等によっても変化するが、通常、300〜500℃とすることが好ましい。一般に、加熱温度がZnの融点(約420℃)より大幅に低くなると、めっき層中のZnが溶融せず固体間拡散となる為、Feの拡散が抑制され、合金化反応の進行程度は制御し易くなる反面、生産性が低下するという問題がある。従って、生産性の観点から加熱温度の下限は300℃以上とすることが好ましい。一方、加熱温度を高くすると、前記バリヤー層を超えて鋼板側からFeが拡散する為、その上限を500℃以下とすることが好ましい。より好ましくは350〜500℃である。この様に、加熱温度は加熱時間との関係で適宜調整されるものであり、例えば420℃以下の低温で加熱する場合には、加熱時間を長く(例えば20秒〜3時間)行い、且つ加熱処理もめっきライン内に限定せずコイル状でバッチ加熱すること等が有効である。尚、加熱方法については特に限定されるものではなく、ガス加熱、高周波誘導加熱などの通常用いられる方法を適宜採用し得る。
前記のようにして上層めっき皮膜から下層めっき皮膜へFeを拡散させることでめっき表面に微細な凹凸が形成される。この理由は明確でないが、以下のように推測される。
溶融めっき皮膜が固化するまでの間に溶融亜鉛めっき皮膜表面に酸化膜が生成する。スキンパス処理を行うことで、酸化膜が破壊されて、めっき表面に酸化膜が不均一に存在するようになる。また、アルカリ処理を行うことで、めっき表面の酸化皮膜の一部が取り除ぞかれて、めっき表面に活性な部分と不活性な部分とが形成される。前述のスキンパス処理またはアルカリ処理を行った後、上層めっき皮膜を形成する処理を行うと、酸化膜が存在しないめっき表面またはめっき表面の活性な部分に優先的にめっきされ、上層めっき皮膜が島状に形成される。
島状に形成された上層めっき皮膜を加熱して溶融めっき層をFe−Zn合金化処理すると、図2に示すように、上層めっき皮膜(電気めっき皮膜)中の残留応力の作用を受け、上層めっき部が***し、上層めっき皮膜のない部分は、***部の影響で陥没するため、めっき表面に微細な凹凸が生じる。同時に、島状に存在するFe濃度の高い層からFeがその周りの下層皮膜中に放射状に拡散してゆく。この拡散反応の結果、上層めっき皮膜が付与されためっき最表層に本発明で規定するFe濃度の最も高い相からなる層が島状に残存し、めっき皮膜中のFe濃度は、前記めっき最表層に形成されたFe濃度の最も高い相からなる層から離れるとそれに対応して減少する。めっき層/鋼板界面方向についてみると、Fe濃度は前記めっき最表層に形成されたFe濃度の最も高い相からなる層からめっき層/鋼板界面に向かって減少する。また、前述の拡散反応の結果、めっき最表層のFe濃度の最も高い相からなる島状に存在する層同士の間のめっき表面に凹部が形成されてめっき表面が微細凹凸を有するようになり、めっき最表層のFe濃度の最も高い相からなる層は微細凹凸の凸部の頂部に存在するようになる。また、前記拡散反応の結果、各合金相同士の界面は、めっき層断面観察で、滑らかな凹凸を有する曲線状に形成される。その結果、各合金相間でアンカー効果が十分に働き、クラックが鋼板と平行に進行するのが抑制されるため、めっき皮膜の剥離が起こりにくくなる。
めっき表面における上層めっき皮膜の面積率とFe−Zn合金化処理後のめっき層の最表層に存在するFe濃度のより高い層の面積率は対応関係があり、めっき表面に対する上層めっき皮膜の面積率を大きくするとのめっき層の最表層に存在するFe濃度のより高い層の面積率が大きくなる。
スキンパス処理条件を調整してめっき表面の酸化膜を破壊する部分を増加させることでめっき表面に対する上層めっき皮膜の面積率を大きくできる。例えば、伸長率を大きくすれば、めっき表面の酸化膜を破壊する部分を増加させることができる。伸長率を調整することでめっき層の最表層に存在するFe濃度のより高い層の面積率を所望の面積率とすることができる。
また、アルカリ処理でめっき表面の活性な部分を増加させることでめっき表面に対する上層めっき皮膜の面積率を大きくできる。例えば、アルカリ処理の処理時間を長くしたり、pHを上昇させることで、めっき表面の活性な部分を増加させることができるので、これらの条件を調整することでめっき層の最表層に存在するFe濃度の最も高い相からなる層の面積率を所望の面積率とすることができる。
島状部の平均粒径は、スキンパス処理の圧延ロール表面のテクスチャーの調整および/又は伸長率を調整することで調整できる。ロール表面のテクスチャーは、凸部の高さを高くするほど、凸部の斜面の傾斜角度を大きく急にするほど、島状部の平均粒径を小さくできる。また、伸張率を大きくすることで、凸部が深く押し込まれ、平均粒径を大きくできる。
[2]本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する第2の方法は、前記した第1の方法において、めっき皮膜が溶融状態であるうちに、めっき表面にFe又はFe50wt%以上のFe−Zn合金からなる粒子を鋼板に島状に直接付着させる方法である。金属粒子の吹き付け条件は、平均粒径1μm〜200μmのFe粉を、圧縮した空気または窒素を用いて、圧力0.1〜10kg/cm2でめっき皮膜が凝固する前に吹きかける方法を例示できる。次に、前記した第1の方法で記載した上層めっき皮膜から下層めっき皮膜へのFe拡散方法と同様の方法で、めっき表面に島状に付着させたFe又はFe50質量%以上のFe−Zn合金からなる粒子から下層めっき皮膜へのFe拡散を行うことで、めっき皮膜全体をFe−Zn合金層にすると共に、めっき層の最表層に本発明で規定するFe濃度の最も高い相からなる層を形成し、また該めっき皮膜中のFe濃度を、鋼板側からめっき皮膜表面に向うにつれ増加傾向を有する様にする。
第2の方法では、下層めっき皮膜表面に吹きかける粒子の吹きかけ量を調整することで、めっき層の最表層のFe濃度の最も高い相からなる層の面積率を容易に調整でき、また、粒子の粒径を調整することでめっき層の最表層のFe濃度が最も高い相からなる層の粒径を所望の範囲に調整できる。また、粒子の一部がめっき表面に突起するようにして付着させることで、めっき表面に微細凹凸を有し、めっき層の最表層のFe濃度が最も高い相からなる層をその凸部の頂部に存在せしめることができる。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき皮膜の表面粗さは0.2μm〜2μmの範囲内にあるのが良い。めっき皮膜が凝固した後スキンパス処理を行い、所望の表面粗さRaに調整する。めっき層の表面粗さ(Ra)を0.2μm以上2.0μm以下に調整する。めっき層の表面粗さを前記範囲にするには、表面粗さRaが2.0〜5.0μm程度の圧延ロールを使用し、伸長率を0.5%以上にすればよい。調質圧延(スキンパス処理)の伸長率が0.5%未満では、表面の平坦化効果が不十分で、溶融亜鉛めっき層の表面粗さRaを2.0μm以下にすることができない。伸長率が2.0%を超えると鋼板が硬化し鋼板の伸びが低下し材質上の問題が生ずるおそれがある。
[1]で記載した本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する第1の方法では、粗さを付与するためのスキンパス処理は、合金化処理工程の後で行って良く、下層めっき皮膜形成工程の後で行ってもよい。下層めっき皮膜形成工程の後で行う場合、上層めっき皮膜形成前に行う酸化膜の破壊を同時に行ってもよい。
[2]で記載した本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する第2の方法では、合金化処理工程の後で行うことが好ましい。
尚、本発明において用いられる鋼板(めっき原板)は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板用に通常用いられる鋼板であれば特に限定されず、例えば極低炭素鋼にTi等を添加したIF(Interstitial Free)鋼などが用いられる。
以下実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
主成分としてCr:0.002%およびTi:0.05%を含有する厚さ0.8mmの鋼板を溶融亜鉛めっきラインにてAl:0.18%を含有する溶融めっき浴に浸漬通板して溶融めっきを行い、めっき浴から引き上げてめっき付着量を45〜120g/m2に調整し、引き続き、下記の方法A、方法B、方法Cでめっき鋼板の処理を行い、供試鋼板を作製した。
(方法A)
めっき皮膜(下層めっき皮膜)が凝固する前に、3%クエン酸ナトリウム水溶液を圧力1kg/cm2でスプレーしてスパングル微細化処理を行ない、室温程度の温度に冷却後、表面粗さRaが3.0μmの圧延ロールを使用して伸長率0.5〜1.0%で調質圧延を行い、溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。前記で製造した亜鉛めっき鋼板を、溶剤脱脂を施した後、10g/lのNaOH水溶液に10秒浸漬させて表層の酸化物を除去してめっき表面に活性な部分と不活性な部分を形成した。なお、試料No.4、8は、表層の酸化物を全て除去してめっき表面の全面を活性化させるため、10g/lのNaOH水溶液に60秒以上浸漬させた。しかる後、ラボ電気めっきで上層めっき(Feめっき、またはFe−Zn合金めっき)を行った。ラボ電気めっきは、循環セルを使用し、流速1.5m/sで100×200mmの不溶性の電極を用いてめっきを行なった。
Feめっきについては、硫酸浴(硫酸第一鉄250g/l、硫酸アンモニウム120g/l、pH2.5)を用いて電流密度10A/dm2で通電時間を変化させて、Feめっきを実施した。付着量の調整は、あらかじめ電流密度とめっき付着量の関係を調査し、所望の付着量になるように、電流密度を調整して行なった。またFe−Znめっきについては、硫酸浴(硫酸亜鉛5g/l、硫酸第一鉄400g/l、硫酸ソーダ40g/l、酢酸ソーダ30g/l、pH2.2)を用いて電流密度80A/dm2で通電時間を変化させてFe−Znめっきを行なった。付着量の調整は、Feめっきの時と同様に、あらかじめ電流密度とめっき付着量の関係を調査し、所望の付着量になるように、電流密度を調整して行なった。
前記でFeまたはFe−Zn合金をめっき表面に施した後、加熱処理(290℃〜500℃で5〜300秒間加熱)を行うことによりNo.3〜18の供試鋼板を作製した。
(方法B)
めっき皮膜(下層めっき皮膜)が凝固する前に、平均粒径10μmのFe粉を、圧力1kg/cm2の圧縮空気を用いて、めっき皮膜に吹きかけて、その表面にFe粉を付着させ、室温程度の温度に冷却し、溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。前記で製造した亜鉛めっき鋼板を、加熱処理(400℃で80秒間加熱)を行うことでFe粉中のFeをめっき皮膜中に拡散させてめっき皮膜を合金化した。しかる後、表面粗さRaが3.0μmの圧延ロールを使用して伸長率0.5〜1.0%で調質圧延を行い、No.19〜21の供試鋼板を作製した。
(方法C)
めっき浴から引き上げてめっき付着量を45〜120g/m2に調整した鋼板に、引き続き合金化処理、調質圧延を施すことにより従来法の合金化溶融亜鉛めっき鋼板(No.1、2)を作製した。
前記各供試鋼板の製造条件を表1に示す。
この様にして得られた種々の供試鋼板を以下の方法を用いて、その特性を調査した。特性調査結果を表1および表2に併せて示す。
(上層めっきのFe含有率および付着量)
GDS(Glow Discharge Spectrometry:グロー放電分光分析法)を用いて測定を行なった。Feのピークについて着目し、ピークが消失するのに要したスパッタ時間より、その厚みに換算して付着量を算出した。
(めっき皮膜の合金相の存在割合)
めっき皮膜断面SEM観察を行い、写真より各合金相の厚さを測定して、その存在割合を算出した。表2の「めっき皮膜の合金相の存在割合」に記載の相は、めっき表層からめっき/鋼板界面に向かって存在した相の順番である。但し、試験No.1、2は、めっき/鋼板界面からめっき表層に向かって存在した相の順番である。
得られためっき皮膜についてSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて断面観察を行った。その際、EDX(エネルギー分散型X線分光法)を用いて、元素Fe、Zn、Alについて定量分析を行い、合金相を特定した。Γ相の鉄原子濃度は24〜31%、Γ1相の鉄原子濃度は18.5〜23.5%、δ1相の鉄原子濃度は8.5〜13%、ζ相の鉄原子濃度は6.7〜7.2%である。
(島状部の金属相、面積率および粒径測定)
SEM(走査型電子顕微鏡)およびEDX(エネルギー分散型X線分光法)を用いて、めっき層の最表層に存在するFe濃度の最も高い金属相を特定し、さらにめっき層の最表層に存在するFe濃度の最も高い金属相の存在形態を判定した。さらに、めっき表面のSEM写真を撮影した。このSEM写真を画像データとしてコンピュータに取り込み、めっき層の最表層に存在するFe濃度の最も高い金属相が島状に存在するものについて、島状部とそれ以外の部位分を2値化することにより区別して、その面積率と粒径を求めた。測定視野は900×700μmで行なった。
(合金相界面部の形態)
ζ相とδ1相の界面の形態を、断面SEM写真(1500倍)で観察し、めっき層/鋼板界面に平行な直線L(長さ)の区間における合金相の界面に沿った長さL'を求め、その結果から、長さ比L'/Lを求めた。界面が滑らかで、長さ比L'/Lが1.05以上のものを、界面形態を「波形」と判定し、界面が滑らかで、長さ比L'/Lが1.05未満のものまたは、界面が平坦なものを、界面形態を「直線」と判定した。
(耐剥離性)
耐剥離性については、ドロービード試験を行い、単位面積当たりの皮膜剥離量を測定し、皮膜剥離量12g/m2未満を合格とした。ここで、ドロービード試験とは、潤滑油を塗布した鋼板を、ビードとダイスで挟んだ状態で引き抜き、その後テープ剥離試験を行い、試験の前後の重量差から、めっき皮膜の剥離量を評価する試験方法である。ビードは先端角度90°の三角ビードを用い、成形高さは4mm、ビードとダイスの押し付け荷重は500kgfとした。
(摺動特性)
摺動特性を評価するために、各供試体の摩擦係数を、下記装置により次の通り測定した。
図3は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試体から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設けられ、これを押上げることにより、ビード6による摩擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するための第1ロードセル7が、スライドテーブル支持台5に取付けられている。上記押付力を作用させた状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力Fを測定するための第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑油としてスギムラ化学工業製プレトンR352Lを試料1の表面に2g/m2塗布して試験を行った。供試体とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。但し、押付荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度):100cm/minとした。
図4は、使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の表面に押しつけられた状態で摺動する。ビード6の形状は、幅10mm、試料の摺動方向長さ69mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ60mmの平面を有する。
(表面粗さ測定)
中心線平均粗さRaはJIS B 0610に規定され、触針式の粗度計を用い、カットオフ0.8mmとした値で測定を行なった。
(耐食性試験)
耐食性は、それぞれの試験片を複合腐食サイクル試験(0.5%塩水噴霧を35℃で6Hr実施後、70℃で6Hr乾燥し、その後40℃で湿度90%の湿潤状態に12Hr保持)を60サイクル、すなわち、60日間施した後、最大腐食深さを比較して評価した。腐食試験後の試験片は、腐食深さ(孔食)を極値統計処理により最大腐食深さを求めた。基準の鋼板としては、めっき付着量45g/m2の合金化溶融亜鉛鋼板(従来法)を使用した。基準の鋼板の最大腐食深さの半分以下のものを良好(◎)、基準の鋼板と同程度(基準の鋼板の最大腐食深さの半分超〜1.5倍以下)のものを良(○)、基準の鋼板より劣るものを不良(×)として評価した。
Figure 2005256041
Figure 2005256041
表1および表2に示す様に、従来例及び比較例の合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、摺動特性と耐剥離性の双方を満足させることができないことが分かる。
これに対して、本発明の構成を満足する鋼板は、鋼板とめっき皮膜の界面にΓ相が生成せずζ相またはη相が存在するため、めっき剥離はほとんど起こらず、まためっき層表面にはδ1相に比べてFe濃度の高いΓ相またはFe(α相)が島状に生成している為、摺動性に優れる。従って、本発明により、めっき皮膜の耐剥離性と摺動特性の双方に優れたZn−Fe合金めっき鋼板を得ることができる。
本発明例のうち、第2発明〜第3発明範囲を満足するものは、該発明範囲を満足しないものに比べて耐剥離性と摺動特性がより優れる。
これらの結果から、本発明鋼板を用いれば、剥離や割れが発生し易い複雑な形状の部品への適用が可能となり、用途の拡大が期待できる。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、耐剥離性および摺動特性が要求される自動車パネル部品等の用途に使用される合金化溶融亜鉛めっき鋼板として利用することができる。
本発明の製造方法は、上記用途に使用するめっき層の耐剥離性および摺動特性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造に利用することができる。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜の相構造例を説明するめっき皮膜の断面模式図である。 めっき表面に微細凹凸が形成される理由を説明する模式図である。 摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。 図3中のビード形状・寸法を示す概略斜視図である。
符号の説明
1 摩擦係数測定用試料
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第1ロードセル
8 第2ロードセル
9 レール
11 下地鋼板
12 めっき層
N 押付荷重
F 摺動抵抗力
P 引張荷重

Claims (7)

  1. めっき層の最表層に、Fe(α相)、Γ相、Γ1相およびδ1相のうちから選ばれる少なくとも1以上の相からなる層が存在するとともに、前記めっき層の最表層に存在する相のうちのFe含有率が最も高い相からなる層はめっき層の最表層に島状に存在し、且つ、前記めっき層のFe%は、前記Fe含有率が最も高い相からなる層からめっき層/鋼板界面に向かって減少することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記Fe含有率が最も高い相からなる層は、めっき層表面に占める面積率が90%以下であることを特徴とする請求項1に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 前記Fe含有率が最も高い相からなる層の平均粒径は5μm〜200μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. めっき表面に微細凹凸を有し、前記Fe含有率が最も高い相からなる層は、前記微細凹凸の凸部の頂部に存在することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかの項に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. 鋼板をAl:0.06〜0.25質量%を含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、50g/m2以上120g/m2以下のめっきを施し、めっき皮膜が固化する温度まで冷却してめっき鋼帯を製造する溶融めっき工程と、
    前記めっき鋼板にスキンパス処理を行ってめっき表面の酸化膜を破壊するスキンパス工程と、
    前記スキンパス処理を行っためっき鋼帯の少なくとも1方の面の前記めっき皮膜の上に、Fe−Zn合金めっき又はFeめっきを施すことにより、島状に分布し、付着量が0.5g/m2以上10g/m2以下のFe50質量%以上のFe−Zn合金皮膜又はFe皮膜からなる上層皮膜を形成する工程と、
    前記上層皮膜を形成しためっき鋼帯を300℃〜500℃で1秒〜300秒加熱して、めっき皮膜を合金化させる工程と、
    を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. 鋼板をAl:0.06〜0.25質量%を含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、50g/m2以上120g/m2以下のめっきを施し、めっき皮膜が固化する温度まで冷却してめっき鋼帯を製造する溶融めっき工程と、
    前記めっき鋼帯をアルカリ液と接触させてめっき皮膜表面に活性な部分と不活性な部分とを形成させるアルカリ処理工程と、
    前記アルカリ処理工程後のめっき鋼帯の少なくとも1方の面の前記めっき皮膜の上に、Fe−Zn合金めっき又はFeめっきを施すことにより、島状に分布し、0.5g/m2以上10g/m2以下のFe50質量%以上のFe−Zn合金皮膜又はFe皮膜からなる上層皮膜を形成する工程と、
    前記上層皮膜を形成しためっき鋼帯を300℃〜500℃で1秒〜300秒加熱して、めっき皮膜を合金化させる工程と、
    を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  7. 鋼板をAl:0.06〜0.25質量%を含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、50g/m2以上120g/m2以下のめっきを施す工程と、
    めっき皮膜が溶融状態であるうちにFe粒子又はFe50質量%以上のFe−Zn合金粒子からなる、付着量が0.5g/m2以上10g/m2以下の金属粒子を島状に分布させて付着させる工程と、
    前記粒子を付着させためっき鋼帯を300℃〜500℃で1秒〜300秒加熱して、めっき皮膜を合金化させる工程と、
    を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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