JP2005254289A - 圧延機の速度制御方法 - Google Patents

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Abstract

【要 約】
【課 題】 被圧延材を圧延する際の、噛み込み時の圧延機の速度を制御する圧延機の速度制御方法に関する。
【解決手段】 該圧延機に設定する圧下率と圧延速度、並びに、前記被圧延材の材料特性に基づき、当該圧延機で圧延する際に必要とされる噛み込み時の圧延トルク予測値を算出し、算出した該噛み込み時の圧延トルク予測値に基づき、前記圧延機への被圧延材の噛み込み時の予測圧延速度降下量を算出し、次に、算出した該噛み込み時の予測圧延速度降下量に基づいて、前記圧延機に設定する圧延速度を補正して、圧延機用の電動機を駆動する電動機駆動装置に対する速度指令値を算出し、該速度指令値を前記電動機駆動装置に設定して、前記圧延機を噛み込み前にあらかじめ増速しておく。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被圧延材を圧延する圧延機の制御に適用して好適な圧延機の速度制御方法であり、特に、被圧延材が圧延機に噛み込んだ際の急激な圧延速度降下を防止する。
一般に、金属ストリップ等の被圧延材を圧延機で圧延する場合、圧延機のロールを電動機で駆動し、該電動機の回転速度が所定の目標速度となるように該電動機を制御する速度制御方式が用いられる。
従来の速度制御方式について、図3に基づき以下に説明する。
図3に示すように、圧延機40は、電動機30で駆動され、電動機30は、制御装置10からの速度指令を入力とする電動機駆動装置20によって駆動される。
ここで、電動機駆動装置20は、図4に示すように、制御装置10からの速度指令を入力として電流指令を出力する速度コントローラ21、該電流指令を入力として制御指令を出力する電流コントローラ22、該制御指令に基づき電動機30に電圧を印加する電源装置23から構成される。そして、電動機からの電流フィードバックに基づいて電流指令を制御し、また、圧延機からの実測に基づく速度フィードバックに基づき目標圧延速度に対応する速度指令が制御され、圧延機の速度制御が行われる。このようにして、電動機30の回転速度を速度指令に一致させ、ワークロールによる被圧延材の圧延速度を目標値に一致させる制御を行う。
ところが、電動機30の負荷トルクに圧延トルク等の外乱が加わると、電動機の速度が大きく変動する。例えば、被圧延材が圧延機に噛み込まれる瞬間は、圧延トルクが0から瞬時に立上るため、大きな速度降下を生じることになる。特に、図3の装置を用いる速度制御方法では、速度フィードバックが大きく落ち込んだ後でトルクを修正することになるので修正動作が遅く、制御遅れが発生することになる。
このように圧延機のワークロールに急激な速度降下が生じると、上流側の被圧延材の速度と同期がとれなくなるので、被圧延材に張力変動が生じ、該変動が原因で製品の幅及び厚さが変化する。そして、製品の寸法が公差から外れると、その製品は切り捨てることになり、歩留りの低下につながる。
そのため、例えば、圧延機噛み込み時の負荷をあらかじめ予測し、その予測した分を電流コントローラ22に対する電流指令に加算することで急激な速度降下を抑制する方式が行われている。
また、特許文献1では、圧延時に測定した圧延荷重と、トルクアームから求めた圧延トルクにより圧延機の速度を制御することで、被圧延材が噛み込まれるときにワークロールの回転速度が急激に低下することを防止する技術が開示されている。すなわち、特許文献1は、トルク外乱の主たる要因である圧延トルクを直接的に検出し、該圧延トルクに応じて電動機のトルクを制御し、その結果として、ワークロールの回転速度が急激に低下することを防止できるとする技術を開示するものである。
特開平6-218416号公報
しかしながら、従来の圧延機の速度制御方法では、多様な仕様の被圧延材に対し、全ての場合に対応し、噛み込み時の急激な圧延速度降下を十分に抑制することができず、被圧延材の張力制御や通材上のトラブルを引き起こすという問題があった。
すなわち、噛み込み時の速度制御ゲインが一定であるため、圧延負荷や圧延機の速度によって圧延速度降下量が変化することは避けられず、被圧延材が厚い、あるいは、硬度が高い等、高負荷となる被圧延材を圧延する際には噛み込み時の圧延速度降下量が特に大きくなり、その張力制御や通材上のトラブルを引き起こすという問題が避けられなかった。
また、電流コントローラに対する電流指令にあらかじめ予測した分を加算する方式では、実負荷よりも計算負荷の方が大きいと、圧延速度制御異常となり、圧延速度が急激に上昇するという危険性もあった。
また、上流スタンドの速度を補正したとしても、予測圧延速度降下量と実際の圧延速度降下量にずれがあると、被圧延材の最先端部で負の張力となり、ダブりこみ等の通材上のトラブルを引き起こすことになる。
本発明は、以上の問題を解決し、被圧延材の噛み込み時の圧延速度降下量を補正して圧延速度降下量を見かけ上ゼロにすることを可能として、被圧延材を圧延するに際しての安定した圧延速度制御を実現することを課題とする。
本発明は、被圧延材を圧延する際の、噛み込み時の圧延機の速度を制御する圧延機の速度制御方法であって、該圧延機に設定する圧下率と圧延速度、並びに、前記被圧延材の材料特性に基づき、当該圧延機で圧延する際に必要とされる噛み込み時の圧延トルク予測値を算出し、算出した該噛み込み時の圧延トルク予測値に基づき、前記圧延機への被圧延材の噛み込み時の予測圧延速度降下量を算出し、次に、算出した該噛み込み時の予測圧延速度降下量に基づいて、前記圧延機に設定する圧延速度を補正して、圧延機用の電動機を駆動する電動機駆動装置に対する速度指令値を算出し、該速度指令値を前記電動機駆動装置に設定して、前記圧延機を噛み込み前にあらかじめ増速しておくことを特徴とする圧延機の速度制御方法によって上記課題を解決した。
また、本発明は、前記圧延機の圧延速度降下量実績を記憶し、記憶した圧延速度降下量実績を基に、次に圧延する被圧延材の噛み込み時の予測圧延速度降下量を学習して補正することを好適とするものである。
本発明によって、圧延機への被圧延材の噛み込み時の圧延速度降下を、被圧延材の材料特性や圧延条件によらずに見かけ上ゼロとすることができるようになり、圧延機の安定した速度制御を実現することができるようになった。
本発明の圧延機の速度制御方法を実施するための最良の形態を、図1に基づいて説明する。なお、図3、4において既に説明した従来の圧延機の速度制御方法の各構成要素と同一の要素には同一の符号を付し、ここでの説明を省略する。
本発明の圧延機の速度制御方法では、図1に示すように、まず、被圧延材の材料特性や圧下率、圧延速度等のセットアップデータを圧延条件設定手段2で設定し、噛み込み時の圧延トルク予測値演算手段3において当該圧延機で圧延する際に必要とされる噛み込み時の圧延トルク予測値を算出する。そして、算出した噛み込み時の圧延トルク予測値に基づき、圧延機への被圧延材の噛み込み時の予測圧延速度降下量を噛み込み時の予測圧延速度降下量演算手段4で算出する。次に、算出した噛み込み時の予測圧延速度降下量に基づき、速度指令値演算手段6において、圧延速度設定手段5で設定される圧延速度を補正して速度指令値を算出し、その速度指令値を噛み込み前にあらかじめ電動機駆動装置20に対して設定する。
以上のように設定して、噛み込み前に圧延機を一時的に増速しておくことで、被圧延材が噛み込んだ時の圧延速度降下を見かけ上ゼロにすることができるのである。なお、被圧延材が噛み込んだ後は、増速した圧延速度を直ちに通常の圧延速度に減速する。
すなわち、被圧延材の噛み込み前にあらかじめ圧延機の速度を増速しておき、噛み込み後に通常の圧延速度に減速して戻すまでの速度指令値のパターンを最適化することで、圧延速度降下量を見かけ上ゼロとすることができ、被圧延材の最先端部の張力変動や通材上のトラブルを回避することが可能となる。
本発明は、電動機駆動装置に対する速度指令値を補正するという簡単な構成で実現可能であり、圧延速度制御系におけるパラメータの調整等の複雑な処理も不要で、安定した圧延速度制御を実現することができる。さらに、被圧延材の噛み込み時に生じた圧延速度の変動後に当該圧延速度を速やかに目標値に一致させることが可能なため、スタンド間のルーパー機構等による張力制御を噛み込み直後から可能とできるという優れた効果を有するのである。
また、本発明では、圧延機の圧延速度降下量実績を記憶手段8に記憶しておき、その記憶した圧延速度降下量実績を基に、次に圧延する被圧延材の噛み込み時の予測圧延速度降下量を学習して補正することを好適とする。こうすることで、圧延速度降下量の予測をより高精度に行うことが可能となり、圧延時の圧延速度降下量、張力変動をさらにゼロに近づけることができる。
以下、実施例として、鋼帯を圧延する圧延機に対する速度指令と圧延速度実績の推移について図2に基づいて説明する。
図2(a)は、図3において説明した従来の圧延機の速度制御方法を適用した場合の速度指令と圧延速度実績の推移を示す従来例である。
一方、図2(b)は、図1において説明した本発明の圧延機の速度制御方法を適用した場合の速度指令と圧延速度実績の推移を示す本発明例である。
図2(a)に示す従来例では、鋼帯の圧延機への噛み込み前後において速度指令は一定とされ、その結果、鋼帯の圧延機への噛み込み直後に圧延速度実績が大きく落ち込む。この落ち込みが、鋼帯の圧延機への噛み込みによる圧延速度降下量である。
一方、図2(b)に示す本発明例では、あらかじめ、鋼帯の圧延機噛み込み前に予測圧延降下量に相当する分だけ圧延機の速度を増速する速度指令を出力しておく。こうすることで、鋼帯の圧延機噛み込みに際して生じる圧延速度降下量が相殺され、圧延速度降下を見かけ上ゼロにすることができるのである。なお、鋼帯の圧延機噛み込み後には、直ちに速度指令を元に戻して速やかに通常の圧延速度となるようにする。
また、これまで圧延した際の圧延速度降下量実績を記憶しておき、その記憶した圧延速度降下量実績を基に、次に圧延する被圧延材の噛み込み時の予測圧延速度降下量を学習して補正し、その補正した予測圧延速度降下量に基づいて速度指令を出力するようにすれば、さらに高精度の速度制御が実現できる。
このように、本発明では、通常の圧延速度に戻るまでの速度指令と圧延速度実績値の差分を最小にして、張力変動やマスフローバランスの乱れの原因となる圧延速度降下を見かけ上ゼロにすることができ、張力変動やマスフローバランスを大幅に改善できる。
本発明の圧延機の速度制御方法について示す機能ブロック図である。 圧延機に対する速度指令と圧延速度実績の推移について、従来例(a)と本発明例(b)を比較して示すグラフである。 従来の圧延機の速度制御方法について示す機能ブロック図である。 従来の電動機駆動装置の詳細を示す機能ブロック図である。
符号の説明
2 圧延条件設定手段
3 噛み込み時の圧延トルク予測値演算手段
4 噛み込み時の予測圧延速度降下量演算手段
5 圧延速度設定手段
6 速度指令値演算手段
8 記憶手段
10 制御装置
20 電動機駆動装置
21 速度コントローラ
22 電流コントローラ
23 電源装置
30 電動機
40 圧延機

Claims (2)

  1. 被圧延材を圧延する際の、噛み込み時の圧延機の速度を制御する圧延機の速度制御方法であって、
    該圧延機に設定する圧下率と圧延速度、並びに、前記被圧延材の材料特性に基づき、当該圧延機で圧延する際に必要とされる噛み込み時の圧延トルク予測値を算出し、
    算出した該噛み込み時の圧延トルク予測値に基づき、前記圧延機への被圧延材の噛み込み時の予測圧延速度降下量を算出し、
    次に、算出した該噛み込み時の予測圧延速度降下量に基づいて、前記圧延機に設定する圧延速度を補正して、圧延機用の電動機を駆動する電動機駆動装置に対する速度指令値を算出し、
    該速度指令値を前記電動機駆動装置に設定して、前記圧延機を噛み込み前にあらかじめ増速しておくことを特徴とする圧延機の速度制御方法。
  2. 前記圧延機の圧延速度降下量実績を記憶し、記憶した圧延速度降下量実績を基に、次に圧延する被圧延材の噛み込み時の予測圧延速度降下量を学習して補正することを特徴とする請求項1に記載の圧延機の速度制御方法。
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