JP2005251519A - スパークプラグおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 放電ギャップ間における白金粒の堆積による短絡を抑制する。
【解決手段】 主体金具12と、主体金具12に絶縁保持された中心電極14と、主体金具12の端部に設けられた接地電極15とを有し、中心電極14と接地電極15とが互いに対面する部位の少なくとも一方にPtを主成分とする貴金属チップ21、22が設けられているスパークプラグにおいて、貴金属チップ21、22を粒状組織とするとともに、その結晶粒の平均粒径を15μm〜45μmとした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等の内燃機関に使用されるスパークプラグに関する。
主体金具に絶縁保持された中心電極と、主体金具の端部に設けられた接地電極とを有し、中心電極と接地電極とが互いに対面する部位の少なくとも一方にPtを主成分とする貴金属チップ(以下、「白金チップ」という。)が設けられているスパークプラグが知られている。
そして、スパークプラグの長寿命化のために、白金チップの結晶組織を層状組織として白金チップの消耗を抑えることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−37082号公報
前述の特許文献1に記載のスパークプラグは、ある条件下においては白金チップの消耗を抑えることができるものの、高温雰囲気に長時間曝されると、放電ギャップ間における白金粒の堆積による短絡という問題が発生する。
特に、ガスエンジンに用いられるスパークプラグは、自動車用スパークプラグと比較して、高温雰囲気に長時間曝される上、放電ギャップが狭いために前述の短絡が特に問題となる。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、高温雰囲気に長時間曝されても、放電ギャップ間における白金粒の堆積による短絡を抑制し、耐熱性および耐久性に優れるスパークプラグを提供しようとするものである。
請求項1の発明は、主体金具と、前記主体金具に絶縁保持された中心電極と、前記主体金具の端部に設けられた接地電極とを有し、前記中心電極と前記接地電極とが互いに対面する部位の少なくとも一方にPtを主成分とする貴金属チップが設けられているスパークプラグにおいて、前記貴金属チップは、粒状組織であり、その結晶粒の平均粒径が15μm〜45μmであることを特徴とする。
本発明者は、放電ギャップ間における白金粒の堆積による短絡の原因を鋭意究明した結果、白金チップを粒状組織とするとともに、その結晶粒の平均粒径を15μm〜45μmとすることでこれら課題を解決できることを見出した。
短絡は、白金チップの粒界が酸化することで結晶粒界での結合力が低下し、粒界に亀裂が生じ脱落した白金粒、または、放電により引き剥がされた白金粒が、堆積することにより生じているものと推測できる。
そこで、まず、白金チップの粒界が酸化することで結晶粒界での結合力低下を抑制するため、粒状組織の貴金属チップを採用した理由を説明する。
層状組織からなる白金チップは、高温雰囲気に長時間曝されると、再結晶化が生じ、図3に示す層状組織から図4に示す粒状組織へと変化する。そして、本発明者は、この組織変化の際、白金チップの外部に存在する酸素が粒界に入り込み、粒界が酸化することで、粒子間結合力が低下するものと推測している。
そこで、本発明者は、白金チップが層状組織から粒状組織に変化する際に粒界酸化するのを防止することが重要と考え、あらかじめ粒状組織の白金チップを採用することとしたのである。これにより、酸化雰囲気である内燃機関の燃焼室内で層状組織からの粒状組織への再結晶化は生じず、粒界酸化を抑制できる。このため、請求項1における貴金属チップが粒状組織であるとは、内燃機関に取付けられて使用される前の状態において粒状組織であることを意味する。
ところが、白金チップを粒状組織としただけでは、前述の短絡を充分に抑制できないことが判明したため、本発明者は、さらに結晶粒の平均粒径に着目して検討を行った。
まず、結晶粒の平均粒径を45μm以下とした理由を説明する。
白金チップは、高温雰囲気に長時間曝されると、結晶粒の徐々に粗大化が進行するのと同時に、粗大化した結晶粒が、火花放電による火花消耗と高温による酸化消耗により消失する事が知られている。しかし、結晶粒が、消失するより粗大化するスピードが速い場合、粗大化した結晶粒は、隣り合う結晶粒同士の粒界の長さが短くなるため、結晶粒同士の結合力が低下する。また、結晶粒が粗大化した金属の結晶粒界は高温酸化しやすく、金属の疲労強度も弱いことが知られている。結晶粒子同士の結合力が低下した白金チップに熱応力が繰り返し加わると、粒界破壊が生じて白金チップに亀裂が発生する。さらに長時間継続されると、結晶粒の脱落が生じる。特に、粒状組織の白金チップでは、高温雰囲気に曝される時間とともに、粒状組織の粗大化が進行するため、初期の平均粒径を小さくしておくことが重要である。
そこで、本発明者は、白金チップが高温雰囲気に長時間曝されて、粒状組織の結晶粒が粗大化することにより結晶の粒子間結合力が低下し、脱落するのを抑制するため、結晶粒の平均粒径を45μm以下とした。これは、平均粒径が45μmを超えたものでは、時間経過とともに粒径が大きくなり、粗大化した結晶粒が火花消耗と酸化消耗で消失する前に、結晶粒の脱落が生じやすくなるためである。
次に、結晶粒の平均粒径が15μm以上とした理由を説明する。
平均粒径の小さい白金チップは、火花放電によって電極表面の白金チップの結晶粒が白金チップから引き剥がされる。その引き剥がされた白金の結晶粒が放電経路に沿って堆積していくため生じる。本発明者は、放電ギャップ間における剥離した白金の結晶粒の堆積と、白金の結晶粒径との間に相関関係があり、結晶粒径を15μm以上とすることで、短絡を効果的に抑制できることを実験的に見出した。
ここで、結晶粒の平均粒径が15μm〜45μmであるとは、内燃機関に取付けられて使用される前の状態における平均粒径をいう。結晶粒の平均粒径は、受熱により変化するものであるが、内燃機関に取付けられて使用される前の平均粒径を管理するのが容易だからである。
以上の理由により、本発明では、Ptを主成分とする貴金属チップを粒状組織とするとともに、その結晶粒の平均粒径を15μm〜45μmとした。
請求項2の発明では、前記貴金属チップは、硬度が100HV0.3以上であることを特徴とする。
本発明者は、貴金属チップの硬度を上げることにより結晶粒の粒界亀裂による脱落を抑制できると考え、硬さと脱落の関係についても鋭意検討を行った。その結果、硬度80HV0.3の白金チップでは脱落が生じるが、硬度100HV0.3では脱落を抑制できることが判明した。なお、硬度100HV0.3とは、ビッカーズ硬さ試験において、0.3kgの荷重を加えたときの硬さが100であることを意味する(JIS Z 2244)。
請求項3の発明では、前記貴金属チップは、第1成分として50%以上のPtを含有し、第2成分としてIr、Re、Wのいずれか一つを3重量%〜25重量%含有することを特徴とする。
Ir、Re、WはPtと比較して融点が高く、白金の結晶粒を微細化する効果があり、第2成分としてIr、Re、Wのいずれか1つを貴金属チップに含有することにより硬度を高めることができ、結晶粒の粒界亀裂による脱落を抑制できる。これら第2成分の含有率が3重量%未満の場合には硬度を高める効果を得ることができず、含有量が25重量%より多い場合には硬度が高すぎるために、貴金属チップ製造過程(例えば、圧延加工時)で割れが生じやすくなる。そのため、含有量は3重量%〜25重量%であることが好ましい。
請求項4の発明では、前記貴金属チップは、第3成分としてNi、Fe、Co、Cr、Al、Ti、In、Rh、Cuのいずれか1つの含有量が前記第2成分の含有量に対して、原子数量の比で3倍以下含有することを特徴とする。
第3成分であるNi、Fe、Co、Cr、Al、Ti、In、Rh、Cuは、安定的な酸化物を生成しやすいという性質をもつ。そこで、これらの成分を貴金属チップに含有させて酸化皮膜として働かせることで、金属粒子内部への酸素の進入を抑え、粒界酸化を抑制できる。これは表面に一般的にも知られるNiO、FeO、CoO、Cr23、Al23、TiO2、In23、Cu2O、Rh23の酸化物を生成して保護膜として働き、粒界の内部酸化を抑制するからである。
第2成分の含有率に対する第3成分の含有率の比を原子数量で比較した時、その値が3倍より多い場合には火花放電時に貴金属チップ表面で局部的な第3成分の泡状の溶解塊が発生して短絡が生じる。そのため、第3成分の含有率は第2成分の原子数量の比で3倍以下にするのが好ましい。
請求項5の発明は、前記中心電極と前記接地電極との間の放電ギャップが0.15mm〜0.6mmであることを特徴とする。
放電ギャップ間における短絡を防止できる本発明は、放電ギャップが0.15mm〜0.6mmと狭いスパークプラグに対して好適である。
請求項6の発明は、主体金具と、前記主体金具に絶縁保持された中心電極と、前記主体金具の端部に設けられた接地電極とを有し、前記中心電極と前記接地電極とが互いに対面する部位の少なくとも一方にPtを主成分とする貴金属チップが設けられているスパークプラグの製造方法において、Ptを主成分とする金属を加工して層状組織の貴金属チップを形成する第1の工程と、この第1の工程で形成した前記貴金属チップを真空中若しくは不活性ガス雰囲気中で熱処理して粒状組織の貴金属チップを得る第2の工程と、この第2の工程で粒状組織とした前記貴金属チップを前記中心電極と前記接地電極とが互いに対面する部位の少なくとも一方に溶接する第3の工程と、を含むことを特徴とする。
本発明は、Ptを主成分とする金属を加工した白金チップを、真空中若しくは不活性ガス雰囲気中で熱処理して貴金属チップを再結晶化させる。これにより、内燃機関に取付けられた後に酸化雰囲気で再結晶化することを防止し、粒界酸化に起因する結晶粒の粒界の結合力低下を抑制する。
ここで、加工とは、圧延、鍛造、引き抜きのいずれか一つ若しくはこれらが複合してなされることをいう。また、不活性ガス雰囲気としては、アルゴンガス雰囲気などが挙げられる。
本実施形態に係るスパークプラグ1について図1を用いて説明する。
スパークプラグ1は、主体金具12と、主体金具12に絶縁体13を介して絶縁保持された中心電極14と、主体金具12の端部に設けられた接地電極15とを有する。なお、本明細書では、スパークプラグ1の軸線方向において接地電極15を設けた側を「先端側」として説明を行う。
主体金具12は、円筒状であり、その外径に内燃機関のシリンダヘッドに取り付けるための雄ねじ12bを備えている。
主体金具12の内部には、アルミナセラミック(Al23)等からなる絶縁体13が保持されており、この絶縁体13の先端部13aと主体金具12の先端部12aとがほぼ同一平面上に位置するように配置されている。
中心電極14は、内材がCu等の熱伝導性に優れた金属材料、外材がNi基合金等の耐熱性および耐食性に優れた金属材料により構成されたもので、形状は円柱体である。中心電極14は、絶縁体13の先端部13aから突出するように、絶縁体13の内部の軸孔13bに保持されている。
接地電極15は、Ni基合金等からなり、略L字形状をしている。接地電極15の一端は、主体金具12の先端に溶接により固定され、他端には中心電極14の先端部14aと放電ギャップ10を隔てて対面する対面部15aを有している。
図2は、図1において示したA部の拡大図を示す。図2に示すように、中心電極14の先端部14aおよび接地電極15の対面部15aに、Ptを主成分とした中心電極側貴金属チップ21と接地電極側貴金属チップ22が設けてある。両貴金属チップ21、22の間隙が放電ギャップ10を形成し、この放電ギャップ10はガスエンジン用スパークプラグとして一般的に採用される0.15mm〜0.6mmの間隙としている。
中心電極側貴金属チップ21及び接地電極側貴金属チップ22は、粒状組織で、平均粒径が15μm〜45μmである。ここで、平均粒径とは、貴金属チップの断面をエッチングし、金属顕微鏡観察したときの結晶粒径の平均値を意味する。結晶粒径は、200倍で一定範囲の結晶数をカウントし、観察した面積をそのカウント数で割った値である。
中心電極側貴金属チップ21及び接地電極側貴金属チップ22は、Ptを主成分とする金属を引き抜き加工した後、所定の長さに切断して図3に示す層状組織の貴金属チップを形成する第1の工程と、この第1の工程で形成した貴金属チップを真空中若しくは不活性ガス雰囲気中において1000℃以上で熱処理して図4に示す粒状組織の貴金属チップを得る第2の工程と、この第2の工程で粒状組織とした貴金属チップを中心電極と接地電極とが互いに対面する部位の少なくとも一方に抵抗溶接する第3の工程とを経て、中心電極及び接地電極に設けられる。
チップ22の硬さは、100HV0.3以上としている。貴金属チップの硬度を上げることにより、冷熱サイクルによる熱応力で粒界亀裂による脱落を抑制している。
また、中心電極側貴金属チップ21及び接地電極側貴金属チップ22のより具体的な材質としては、Ptを主成分としIr、Re、Wの少なくとも一つが3重量%〜25重量%添加された合金を採用することができる。このような材質の貴金属チップを採用することにより、硬度を上げることができ、粒子の粒界からの脱落を抑制できる。
また、中心電極側貴金属チップ21及び接地電極側貴金属チップ22の具体的な材質としては、Ptを主成分とし第3成分であるNi、Fe、Co、Cr、Al、Ti、In、Rh、Cuの少なくとも一つが第2成分のIr、Re、Wの少なくとも一つに対して原子数量の比で3倍以下添加された合金を採用することができる。Ni、Fe、Co、Cr、Al、Ti、In、Rh、Cuは、酸化しやすい性質をもつため、酸化皮膜として働かせることで、粒界が酸化するのを抑え、結合力低下を抑制することができる。原子数量比より重量%(wt%)で管理する方法が容易である為、図13に示す原子量で、原子数量比を重量%(wt%)に換算できる。例えば、第2成分であるIrに対する第3成分のNiの原子数量比を0.916とした場合、原子数量においてはIr:Ni=1:0.916となり、原子量により重量比に換算すると、重量においてはIr:Ni=192.22:53.77となる。20Ir(wt%)にNiを添加する場合、重量比により、Niの重量%は5.6Ni(wt%)となる。尚、重量%(wt%)から原子数量比の求め方の例を以下に示す。74.4Pt20Ir5.6Ni(wt%)の場合、65.7Pt17.9Ir16.4Ni(at%)となる。第2成分であるIrと第3成分のNiの原子数量比を計算すると、16.4/17.9となり0.916である。
次に本例における貴金属チップの作用効果につき比較評価結果をまじえて説明する。試験条件は、エンジン回転数750rpm、エンジン負荷100%、平均有効圧力18barである。
図6に、Ptを主成分としIrを20重量%添加した合金の貴金属チップにおける層状組織と粒状組織の耐久時間を示す。貴金属チップが層状組織の場合、200時間経過時点で粒界酸化により結合力低下により、白金粒が堆積し短絡したが、粒状組織の平均粒径が15μmの貴金属チップを用いた場合は、目標である2000時間経過時点で、粒界酸化により結合力低下により、白金粒の堆積が若干認められたが、放電ギャップが短絡する大きさには成長しなかった。このことから、粒状組織にすることにより粒界酸化を抑制する効果があることが分かる。
次に、図7に、Ptを主成分としIrを20重量%添加した合金を用いた貴金属チップの粒状組織の粒径を変化させた場合の、試験時間と図5に表わした白金粒の堆積長さLの関係を示す。なお、この試験は計4回行った結果の平均値をプロットしたものである。図中の「△」は、試験回数4回のうち少なくとも1回結晶粒の脱落が発生し、放電ギャップが短絡したことを示す。
図7より、2000時間の試験を行った結果、結晶粒径を15μm以上とした場合は白金粒の堆積長さLが0.1mm以下であり、短絡を防止できることが分かる。ここで、2000時間とは、一般的なガスエンジン用スパークプラグの目標寿命時間に相当するものであり、2000時間経過時において白金粒の堆積長さLが0.1mm以下で短絡を防止できるのは、一般にガスエンジン用スパークプラグの初期放電ギャップは0.15mmであり、白金粒が0.1mm堆積しても放電ギャップは0.05mm確保できるからである。また、平均粒径が45μm以下では結晶粒の粒界から亀裂による脱落は生じないが、平均粒径が50μmでは結晶粒の粒界から亀裂による脱落によりギャップ短絡を発生させることが確認できた。よって、粒状組織の平均粒径を15μm〜45μmとすることで、白金チップの結晶粒の粒界から亀裂により脱落した白金粒、および、放電により引き剥がされた白金粒の堆積による短絡を抑制することができる。次に、図8に、貴金属チップの材質をPtのみ、Ptを主成分としてIrを添加した合金、Ptを主成分としてReを添加した合金、Ptを主成分としてNiを添加した合金とした場合の熱処理温度と硬さの関係を示す。また、2000時間試験後における結晶粒の粒界から亀裂による脱落有無を、脱落なしは「○」、脱落ありは「×」で示す。なお、熱処理時間は、それぞれ1時間とした。
図8より、熱処理による再結晶化で硬度が低下し、硬度が100HV0.3未満の場合に脱落が起きていることが分かる。また、IrまたはReを3重量%以上添加することで硬度が高くなり、さらにNiを添加することにより硬度が高くなる。しかし、IrまたはReを25重量%より多く添加した場合は、硬度が高くなりすぎて加工が困難となる。なお、熱処理温度を1000℃、1100℃、1200℃、1300℃と変化させても、硬度に大きな変化は見られなかった。
以上の結果より、硬度が100HV0.3以上とすることで粒界亀裂による脱落を抑制でき、硬度を高くするには、IrまたはReの添加、さらにはNiの添加により実現できる。また、添加物としてのIrとReを比較すると、Reの方が少ない添加量でも硬度を高くすることができる。なお、Ir、Reに代えてWを添加することでも同様の結果を得ることができる。
次に、図9に、Ptを主成分としIrを20重量%添加した平均粒径15μmの貴金属チップにおける、Niの添加量と白金粒の堆積長さLとの関係を示す。第3成分であるNiの含有量が第2成分のIrの含有量に対して、原子数量の比で計算した値を( )内に同時に示す。その結果、1に近いほど白金粒の堆積長さLが小さい事が、実験でわかる。
また、同様に、図10にはCrの添加量と白金粒の堆積長さLとの関係、図11にはAlの添加量と白金粒の堆積長さLとの関係を示す。その結果、IrとNiと同様に、第3成分であるCrの含有量が第2成分のIrの含有量に対して、原子数量の比で1に近いほど白金粒の堆積長さLが小さい事がわかった。また、図9、図10、図11において、「×」は泡状の溶解塊の発生を示しており、原子数量の比が3を超えた値では、泡状の溶解塊が発生し、火花ギャップが短絡した。 図9より、Niの添加量が20重量%では白金粒の堆積長さLが0.15mmとなり、短絡が生じるが、添加量が0重量%〜15重量%では白金粒の堆積長Lさが0.1mm以下であり、短絡を防止できることが分かる。また、図10より、Crの添加量も0重量%〜15重量%では、白金粒の堆積長さLが0.1mm以下であることが分かる。また、図11により、Alの添加量は0重量%〜6重量%で白金粒の堆積長さLが0.1mm以下であることが分かる。
以上のことから、貴金属チップに第3成分であるNi、Cr、Alの含有量が第2成分のIrの含有量に対して、原子数量の比で1に近いほど白金粒の堆積長さLが小さい事がわかった。また原子数量の比が1に近いほど白金粒の堆積長さLが小さいく、原子数量の比が3以下添加することにより溶解塊の発生を抑制できることが分かる。なお、Ni、Cr、Alに代えて、Fe、Co、Ti、In、Rh、Cuを添加することでも同様の効果が得られる。
図12に、熱処理温度と貴金属チップの結晶粒の平均粒径との関係を示す。この図より、熱処理温度を変えることで貴金属チップの平均粒径を調整することができることが分かる。このため、所望の平均粒径の貴金属チップを得るには、熱処理温度を調整すれば良い。
本発明の実施形態における、スパークプラグの全体構成を示す半断面図。 図1におけるA部拡大図。 貴金属チップの層状組織を説明するための模式図。 貴金属チップの粒状組織を説明するための模式図。 放電ギャップ間における白金粒の堆積の状態を示す模式図。 層状組織と粒状組織との耐久時間の比較を示す図。 貴金属チップの平均粒径をパラメータとしたときの試験時間と白金粒の堆積長さLの関係を示す図。 Ptを主成分とした貴金属チップに対する添加物パラメータとしたときの熱処理温度と硬さの関係を示す図。 Ni添加量と白金粒の堆積長さLの関係を示す図。 Cr添加量と白金粒の堆積長さLの関係を示す図。 Al添加量と白金粒の堆積長さLの関係を示す図。 熱処理温度と結晶粒の平均粒径との関係を示す図。 重量%(wt%)原子%(at%)換算に用いる原子量を示す図。
符号の説明
1 スパークプラグ
12 主体金具
14 中心電極
15 接地電極
21 中心電極側貴金属チップ
22 接地電極側貴金属チップ

Claims (6)

  1. 主体金具と、前記主体金具に絶縁保持された中心電極と、前記主体金具の端部に設けられた接地電極とを有し、前記中心電極と前記接地電極とが互いに対面する部位の少なくとも一方にPtを主成分とする貴金属チップが設けられているスパークプラグにおいて、前記貴金属チップは、粒状組織であり、その結晶粒の平均粒径が15μm〜45μmであることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 請求項1において、前記貴金属チップは、硬度が100HV0.3以上であることを特徴とするスパークプラグ。
  3. 請求項1において、前記貴金属チップは、第1成分として50%以上のPtを含有し、第2成分としてIr、Re、Wのいずれか一つを3重量%〜25重量%含有することを特徴とするスパークプラグ。
  4. 請求項3において、前記貴金属チップは、第3成分としてNi、Fe、Co、Cr、Al、Ti、In、Rh、Cuのいずれか1つの含有量が前記第2成分の含有量に対して、原子数量の比で3倍以下含有することを特徴とするスパークプラグ。
  5. 請求項1〜5において、前記中心電極と前記接地電極との間の放電ギャップが0.15mm〜0.6mmであることを特徴とするスパークプラグ。
  6. 主体金具と、前記主体金具に絶縁保持された中心電極と、前記主体金具の端部に設けられた接地電極とを有し、前記中心電極と前記接地電極とが互いに対面する部位の少なくとも一方にPtを主成分とする貴金属チップが設けられているスパークプラグの製造方法において、Ptを主成分とする金属を加工して層状組織の貴金属チップを形成する第1の工程と、この第1の工程で形成した前記貴金属チップを真空中若しくは不活性ガス雰囲気中で熱処理して粒状組織の貴金属チップを得る第2の工程と、この第2の工程で粒状組織とした前記貴金属チップを前記中心電極と前記接地電極とが互いに対面する部位の少なくとも一方に溶接する第3の工程と、を含むことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
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