JP2005248094A - 冷却剥離型粘着剤組成物、冷却剥離型粘着シート、及びこれを用いた電子部品の製造方法 - Google Patents

冷却剥離型粘着剤組成物、冷却剥離型粘着シート、及びこれを用いた電子部品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005248094A
JP2005248094A JP2004063279A JP2004063279A JP2005248094A JP 2005248094 A JP2005248094 A JP 2005248094A JP 2004063279 A JP2004063279 A JP 2004063279A JP 2004063279 A JP2004063279 A JP 2004063279A JP 2005248094 A JP2005248094 A JP 2005248094A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensitive adhesive
cooling
polymer
temperature
adhesive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004063279A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4673565B2 (ja
Inventor
Kuniaki Fukuhara
邦昭 福原
Haruki Nagai
治樹 永井
Satoshi Asai
聡 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Somar Corp
Original Assignee
Somar Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Somar Corp filed Critical Somar Corp
Priority to JP2004063279A priority Critical patent/JP4673565B2/ja
Publication of JP2005248094A publication Critical patent/JP2005248094A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4673565B2 publication Critical patent/JP4673565B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Dicing (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)

Abstract

【課題】使用温度域が広く、80〜100℃の温度領域で使用した後の剥離性にも優れ、かつ、多様な用途に用いることができる冷却剥離型粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】粘着性高分子を有効成分として含み、かつ、0〜30℃の温度領域(常温領域)における初期粘着力が0.2N/25mm以下であり、80〜100℃の温度領域(高温領域)における粘着力(高温時粘着力)が1N/25mm以上であり、前記高温領域から前記常温領域に冷却した後の粘着力(冷却後粘着力)が0.2N/25mm以下である冷却剥離型粘着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサをはじめとする電子部品の製造において、電子部品の前駆体である被加工体を仮固定するための再剥離性粘着シートとして好適に用いられる粘着シートに関し、詳しくは、高温領域においては被着体に対する粘着力が高く、被着体を確実に固定し得ることに加え、高温領域から常温領域に冷却した後には粘着力が低下して、被着体を容易に剥離することが可能である冷却剥離型粘着剤組成物、及び冷却剥離型粘着シート、並びに冷却剥離型粘着シートを用いた電子部品の製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサをはじめとする電子部品の製造においては、電子部品の前駆体である被加工体を加工する際には粘着力が高く、被加工体を確実に固定することができる一方で、被加工体を加工した後にあっては粘着力が低下して、被加工体を容易に剥離することが可能である再剥離性粘着シートが用いられている。この再剥離性粘着シートを用いた電子部品の製造は、通常、以下のような形で行われる(ここでは、積層セラミックコンデンサを製造する場合の例により説明する)。
まず、セラミック粉末、分散媒、バインダ等を含むスラリーをドクターブレード法、カレンダー法等を利用して薄板化し、セラミックグリーンシートを得る。次いで、このセラミックグリーンシートの表面に金属電極(内部電極)を印刷した後、これを多数積層して加熱圧着し、一体化することにより、積層セラミックコンデンサの前駆体である、層間に金属電極(内部電極)が配置された、セラミックグリーンシート積層体(以下、単に「積層体」と記す)を得る。
更に、この積層体を再剥離性粘着シートに仮固定し、高温条件下、ダイサやギロチン刃等の切断装置により、仮固定された積層体に、被加工体を賽の目状に切断して小片化するダイシング加工を施した後、再剥離性粘着シートを剥離して多数のチップ(「ワーク」と称される場合もある)を得る。最後に、このチップを焼成し、その表面に金属電極(外部電極)を印刷することによって、最終製品である積層セラミックコンデンサを得ることができる。
上記のような用途で用いられる再剥離性粘着シートとしては、例えば、紫外線硬化性のオリゴマーを含有する粘着剤層を有し、紫外線照射によるオリゴマーの硬化を利用して、粘着剤層の粘着力を低下させる紫外線硬化型粘着シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、熱膨張性微小球を含む粘着剤層を有し、加熱による熱膨張性微小球の膨張、ひいては被着体と粘着剤層との接触面積の低下を利用して、粘着剤層の粘着力を低下させる加熱剥離型粘着シートが提案されている(例えば、特許文献2〜5参照)。
更に、主鎖及び/又は側鎖が結晶性ポリマーである粘着性高分子を含む粘着剤層を有し、冷却による結晶性ポリマーの結晶化を利用して、粘着剤層の粘着力を低下させる冷却剥離型粘着シートも提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特開平9−291258号公報 特開平11−302614号公報 特開2000−351947号公報 特開2002−69422号公報 特開2003−160765号公報 特開平9−251923号公報
これらの再剥離性粘着シートは、いずれも使用時には充分な粘着力を有する一方で、使用後においてはその粘着力を低減させることができ、粘着剤を被着体に残存させることなく剥離することができるとされている。
ところが、紫外線硬化型粘着シートにあっては高温下で使用した後において、加熱剥離型粘着シートにあっては熱膨張性微小球の膨張に斑があることに起因して、微小球の収縮による再融着が発生した際に、いずれも粘着力の低下が充分でない場合があり、使用後の剥離性という面で課題があった。使用後の剥離性に劣る場合には剥離時に被着体が破損したり、破損に至らないまでも粘着剤層が被着体に残存し(しばしば「糊残り」と称される)、焼成工程においてブロッキング、ボイド、クラック等の原因となり、最終製品の信頼性や歩留まりの低下を招来する点において好ましくない。
この問題は最終製品が積層セラミックコンデンサである場合に特に深刻であった。即ち、最終製品が積層セラミックコンデンサである場合には被着体がセラミックグリーンシート積層体であるため、その表面は粗面であり良好な剥離性を得ることが困難であることに加え、積層体は未焼成のものであり、層間が充分には接着されていない状態にあるため、層間剥離が発生するおそれがあることによる。
また、紫外線硬化型粘着シートや加熱剥離型粘着シートは、粘着力を低下させる際に、紫外線照射、高温加熱が必要であり、紫外線ないし熱が粘着剤層のみならず、被着体や粘着シートの基材に対しても作用することになる。従って、被着体等に対し、少なからず劣化や変形等の悪影響を及ぼすおそれがあった。特に、加熱剥離型粘着シートを用いて積層セラミックコンデンサを製造する場合には、焼成前に積層体からバインダが揮発してしまうことに起因して、焼成後の最終製品が充分な強度や硬度を得られないといった不具合が発生する場合があった。
これに対し、特許文献6に記載の冷却剥離型粘着シートは、ポリマーの結晶化を利用して、粘着剤層の粘着力を低下させるものであるため、紫外線硬化型粘着シートや加熱剥離型粘着シートとは異なり、粘着力を低下させるに際し、紫外線照射や高温加熱が不要である。従って、紫外線や熱が被加工体等に対して悪影響を及ぼすことはなく、また、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能であるという利点がある。
しかしながら、特許文献6に記載の冷却剥離型粘着シートは、80〜100℃の温度領域で使用した後の剥離性に劣る場合があるという課題があった。即ち、上記の冷却剥離型粘着シートを用いて80〜100℃の温度領域で加工を施した後、常温まで冷却しても粘着力の低下が充分ではなく、また、温度上昇に伴う弾性率の低下が大きいため、粗面に対する剥離性に劣り、紫外線硬化型粘着シートや加熱剥離型粘着シートと同様に、被着体の破損や糊残りの問題を生ずる場合があった。
これらの問題は、再剥離性粘着シートの使用温度域や用途を限定的なものとする点において好ましくない。特に近年、積層セラミックコンデンサの製造においては、ダイサやギロチン刃の挿入による積層体の割れを防止し、積層セラミックコンデンサの多層化に対応することを目的として、積層体中に含まれるバインダが軟化し得る80〜100℃程度の高温下でダイシング加工を施すようになってきており、これらの問題が顕在化する可能性がある。
以上説明したように、現在のところ、紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能であることに加え、使用温度域が広く、80〜100℃の温度領域で使用した後の剥離性にも優れ、粗面に対する剥離性にも優れ、かつ、多様な用途に用いることができる再剥離性粘着シートは未だ開示されておらず、そのような再剥離性粘着シートを創出することが産業界から切望されている。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能であることに加え、使用温度域が広く、80〜100℃の温度領域で使用した後の剥離性にも優れ、かつ、多様な用途に用いることができるという、従来品と比較して有利な効果を奏する冷却剥離型粘着剤組成物、及び冷却剥離型粘着シート、並びにこれを用いた電子部品の製造方法を提供するものである。
本発明者等は、上述の課題を解決するべく鋭意研究した結果、粘着性高分子を有効成分として含み、0〜30℃の温度領域(常温領域)における初期粘着力が0.2N/25mm以下であり、80〜100℃の温度領域(高温領域)における粘着力(高温時粘着力)が1N/25mm以上であり、高温領域から常温領域に冷却した後の粘着力(冷却後粘着力)が0.2N/25mm以下であるという新規な構成を有する冷却剥離型粘着剤組成物によって、上記課題を解決し得ることに想到して、本発明を完成させた。即ち、本発明によれば、以下の冷却剥離型粘着剤組成物、冷却剥離型粘着シート、及びこれを用いた電子部品の製造方法が提供される。
[1] 粘着性高分子を有効成分として含み、かつ、0〜30℃の温度領域(常温領域)における初期粘着力が0.2N/25mm以下であり、80〜100℃の温度領域(高温領域)における粘着力(高温時粘着力)が1N/25mm以上であり、前記高温領域から前記常温領域に冷却した後の粘着力(冷却後粘着力)が0.2N/25mm以下である冷却剥離型粘着剤組成物。
[2] 主成分となる構成モノマーが炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーである、重量平均分子量(Mw)が60万以上のアクリル系樹脂からなり、そのガラス転移温度(Tg)を−10〜30℃の温度領域に有する感温型粘着性高分子を含有する冷却剥離型粘着剤組成物。
[3] 前記感温型粘着性高分子と、少なくとも一部の構成モノマーが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであるアクリル系樹脂からなり、そのアルキル基の極性が前記感温型粘着性高分子に比して低い低極性粘着性高分子とからなる粘着性高分子と、これらの高分子の間を架橋し得る架橋剤とを有効成分とするとともに、前記有効成分由来の架橋高分子を含有する上記[2]に記載の冷却剥離型粘着剤組成物。
[4] 前記粘着性高分子が、主成分となる構成モノマーが炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーである、重量平均分子量(Mw)が60万以上のアクリル系樹脂からなり、そのガラス転移温度(Tg)を−10〜30℃の温度領域に有する感温型粘着性高分子を含むものである上記[1]に記載の冷却剥離型粘着剤組成物。
[5] 前記粘着性高分子が、少なくとも一部の構成モノマーが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであるアクリル系樹脂からなり、そのアルキル基の極性が前記感温型粘着性高分子に比して低い低極性粘着性高分子を更に含むものである上記[4]に記載の冷却剥離型粘着剤組成物。
[6] フィルム状ないしシート状の基材を備え、その少なくとも一方の表面に、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の冷却剥離型粘着剤組成物を含む粘着層を設けた冷却剥離型粘着シート。
[7] 前記粘着層は、前記低極性粘着性高分子、又はこれが前記架橋剤により架橋された架橋高分子を、基材側よりも粘着層表面側が高濃度となるように分布させる濃度勾配が形成されたものである上記[6]に記載の冷却剥離型粘着シート。
[8] 電子部品の前駆体である被加工体を、再剥離性粘着シートに仮固定し、その仮固定された前記被加工体に加工を施した後、前記再剥離性粘着シートを剥離して加工体を得る工程を備えた電子部品の製造方法であって、前記再剥離性粘着シートとして、上記[6]又は[7]に記載の冷却剥離型粘着シート、を用いる電子部品の製造方法。
[9] 前記被加工体が、積層セラミックコンデンサの前駆体である、層間に金属電極が配置された、セラミックグリーンシート積層体であり、前記加工が、前記被加工体を賽の目状に切断して小片化するダイシング加工である上記[8]に記載の電子部品の製造方法。
本発明の冷却剥離型粘着剤組成物、及び冷却剥離型粘着シートは、紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能であることに加え、使用温度域が広く、80〜100℃の温度領域で使用した後の剥離性にも優れ、かつ、多様な用途に用いることができるという、従来品と比較して有利な効果を奏するものである。
以下、本発明の冷却剥離型粘着剤組成物、及び冷却剥離型粘着シート、並びにこれを用いた電子部品の製造方法を実施するための最良の形態について具体的に説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
[1]冷却剥離型粘着剤組成物
本発明の冷却剥離型粘着剤組成物は、粘着性高分子を有効成分として含み、0〜30℃の温度領域(常温領域)における初期粘着力が0.2N/25mm以下であり、80〜100℃の温度領域(高温領域)における粘着力(高温時粘着力)が1N/25mm以上であり、高温領域から常温領域に冷却した後の粘着力(冷却後粘着力)が0.2N/25mm以下である冷却剥離型粘着剤組成物である。このような冷却剥離型粘着剤組成物は、優れた高温時粘着力を示すため、高温領域において被着体を確実に固定することができるとともに、冷却後粘着力が充分に低いため、高温領域での加工後においても被着体を容易に剥離することが可能であり、被着体の破損や糊残りの問題を効果的に防止することができる。
本発明の冷却剥離型粘着剤組成物は、上記の特性を有するものである限り、その組成は特に限定されないが、粘着性高分子として、少なくとも感温型粘着性高分子を含み、所望により他の粘着性高分子、例えば、感温型粘着性高分子に比して低い低極性粘着性高分子を含むものが好適に用いられる。より具体的には、感温型粘着性高分子と、低極性粘着性高分子と、これらの高分子の間を架橋し得る架橋剤とを有効成分とするとともに、この有効成分由来の架橋高分子を含有する冷却剥離型粘着剤組成物がその一例として挙げられる。以下、各構成成分ごとに説明する。
(1)感温型粘着性高分子
本明細書において「感温型粘着性高分子」というときは、温度変化に依存して粘着力が変化する感温性、より具体的には、温度上昇に伴って被着体に対する粘着力が上昇する特性を有する粘着性高分子を指す。そして、本発明の冷却剥離型粘着剤組成物の有効成分となる「感温型粘着性高分子」は、主成分となる構成モノマーが炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであるアクリル系樹脂からなり、そのガラス転移温度(「Tg」と略記される場合がある)が−10〜30℃の範囲にある粘着性高分子である。
本発明においては、「感温型粘着性高分子」のベースとなる樹脂として「アクリル系樹脂」を用いる。一般に、粘着性高分子としては、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等が知られているが、アクリル系樹脂は、ガラス転移温度を所望の温度領域に制御し易い点において好ましい。
なお、本明細書において「アクリル系樹脂」というときは、アクリル酸やメタクリル酸、又はこれらのエステル、或いはアクリロニトリル、アクリルアミド等(以下、「アクリル系モノマー」と記す)を構成モノマーとして含む樹脂を意味し、これらの構成モノマーの単独重合体(ホモポリマー)のみならず、共重合体(コポリマー)をも含む。但し、本発明にいう「感温型粘着性高分子」は、構成モノマーの少なくとも一部に炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーを含むことを必要とする。
また、「アクリル系樹脂」は、アクリル系モノマーを構成モノマーとして含んでいれば足り、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、他の構成モノマー(非アクリル系モノマー)を含んでいるものであってもよい。他の構成モノマーの種類については特に限定されないが、例えば、スチレン、酢酸ビニル、又はN−ビニルピロリドン等が挙げられる。
本発明にいう「感温型粘着性高分子」は、そのガラス転移温度を−10〜30℃の温度領域に有する粘着性高分子であり、ガラス転移現象に基づくポリマーの凍結によって感温性を発揮する感温型粘着性高分子である。このような粘着性高分子は、ガラス転移温度以上の温度領域ではゴム状となって軟化し高い粘着力を示す一方で、ガラス転移温度以下の温度領域ではポリマーが凍結されて硬化し粘着力が低下する。従って、温度変化に依存して粘着力が変化する感温性が発揮される。
ガラス転移温度を−10〜30℃の温度領域に有するものとしたのは、被着体を貼着する常温領域における粘着力を低下させる一方で、被着体を仮固定して加工する80〜100℃の温度領域(以下、「高温領域」と記す)において高い粘着力を発現させるためである。
これはガラス転移温度を有する粘着性高分子が、概ね、ガラス転移温度+30℃の温度で初めて粘着力が発現するという性質を利用したものである。即ち、ガラス転移温度を−10〜30℃の温度領域に有するものを用いれば、被着体を貼着する常温領域においては未だ粘着力が発現されておらず、その粘着力を低く維持することができる。また、ガラス転移温度+30℃の温度で発現した粘着力は、温度が上昇するに連れて上昇していくので、被着体を仮固定して加工する高温領域においては高い粘着力を示す。
一方、ガラス転移温度が−10℃未満の場合には、高温領域で加工を行った後、常温領域まで温度を低下させてもポリマーが凍結されず、粘着力を低下させることが困難となるおそれがある点において好ましくない。また、30℃を超えると、高温領域でも軟化が進行せず、充分な粘着性を発揮させることが困難となる場合がある点において好ましくない。
ところで、アクリル系樹脂のガラス転移温度は、アクリル酸又はメタクリル酸のカルボキシル基にエステル結合されたアルキル基の炭素数が強く影響することが知られている。具体的には、アルキル基の炭素数が増加するに連れてガラス転移温度は低下していき、炭素数8乃至10のアルキルエステルが最も低いガラス転移温度を示し、更にアルキル基の炭素数が増加すると、ガラス転移温度は再び上昇していくという傾向がある。本発明にいう「感温型粘着性高分子」は、構成モノマーの主成分として、炭素数1乃至4の比較的短鎖のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーを含有せしめることにより、そのガラス転移温度(Tg)を常温領域に有するように制御したものである。なお、本発明における「主成分」とは、全構成モノマーに対して50質量%以上を占める構成モノマーを意味するものとする。
炭素数1乃至4のアルキル基としては、1−プロピル基(n−プロピル基)、1−メチルエチル基(iso−プロピル基)、1−ブチル基(n−ブチル基)、2−メチルプロピル基(iso−ブチル基)、1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)等が挙げられる。従って、炭素数1乃至4の比較的短鎖のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、1−プロピルエステル(n−プロピルエステル)、1−メチルエチルエステル(iso−プロピルエステル)、1−ブチルエステル(n−ブチルエステル)、2−メチルプロピルエステル(iso−ブチルエステル)、1−メチルプロピルエステル(sec−ブチルエステル)、1,1−ジメチルエチルエステル(tert−ブチルエステル)等が挙げられる。
なお、既述の特許文献6に記載の冷却剥離型粘着シートに用いられるポリマーも、本発明にいう「感温性粘着性高分子」と同様に、アルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーを構成モノマーとするアクリル系樹脂であるが、以下の点において異なる。
特許文献6に記載のポリマーは、常温領域近傍に融点を有する結晶性ポリマーであり、融点以上の温度領域ではポリマーが剛性を失って軟化し粘着力を示す一方で、融点以下の温度領域ではポリマーが結晶化して硬化し粘着力が低下する。従って、温度変化に依存して粘着力が変化する感温性が発揮される。
このように、ポリマーの結晶化によって感温性が発現するタイプの粘着性高分子は、結晶化という現象が温度変化に対して鋭敏であることに起因して、応答性に優れるという好ましい特徴を有するが、高温領域で加工を施した後、常温領域まで冷却しても粘着力の低下が充分ではなく、また、温度上昇に伴う弾性率の低下が大きいため、粗面に対する剥離性に劣り、被着体の破損や糊残りが発生する傾向にある。
これに対し、本発明にいう「感温型粘着性高分子」は、ガラス転移現象によるポリマーの凍結によって感温性を発揮するタイプの感温型粘着性高分子であるため、応答性の面ではやや劣るものの、比較的広い温度範囲で高い粘着力を発揮するという特徴を有し、高温領域でも高い粘着力を発揮する。従って、ポリマーの結晶化によって感温性が発現するタイプの粘着性高分子が有していた、使用温度域が狭く、その用途が限定的となるといった問題が有効に防止される。
また、特許文献6に記載のポリマーは、その結晶性を確保するために、モノマーの殆どが炭素数16乃至18といった長鎖のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーによって構成されているという構造的な特徴を有するが、本発明にいう「感温型粘着性高分子」は、構成モノマーの主成分として、炭素数1乃至4の比較的短鎖のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーを含むものであれば足り、結晶性ポリマーである必要もない点において異なる。
「感温型粘着性高分子」は、少なくとも一部の構成モノマーに架橋剤と反応し得る官能基(以下、「反応性官能基」と記す)を有するものであることが好ましい。この反応性官能基が架橋剤と反応して架橋高分子を形成することで、高温領域における充分な粘着力と冷却後の優れた剥離性が発揮させることが可能となる。
反応性官能基は、少なくとも一部の構成モノマーが有していればよく、そのモノマーがアクリル系モノマーであることを要しない。即ち、反応性官能基はアクリル系モノマー自体が有していてもよいし、アクリル系モノマーと共重合している非アクリル系モノマーが有していてもよい。
反応性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、又はアミノ基等が知られているが、冷却後粘着力が低く、高温領域での加工後における再剥離性に優れている点において、水酸基であることが好ましい。反応性官能基として水酸基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
「感温型粘着性高分子」は、重量平均分子量(「Mw」と略記される場合がある)が60万以上であるアクリル樹脂であることが好ましく、60万〜200万の範囲内にあるアクリル樹脂であることが更に好ましく、60万〜150万の範囲内にあるアクリル樹脂であることが特に好ましい。重量平均分子量が上記範囲未満の場合には、高温領域において粘着力が低下するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、高温領域で使用した後の剥離性が不充分となり易い点において好ましくない。
なお、重量平均分子量(Mw)は、「感温型粘着性高分子」を重合する際に、(連鎖移動剤の種類と量、モノマーと重合開始剤のモル比等を適切に制御することによって、上記の範囲内に調整することができる。また、市販の粘着性高分子の中から所望の重量平均分子量を有するものを適宜選択して使用してもよい。
「感温型粘着性高分子」は、例えば、既述のアクリル系モノマー(必要に応じて非アクリル系モノマー)をラジカル重合させる方法等によって得ることができる。重合の方法は特に限定されず、従来公知の重合法、例えば、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、又は光重合法等を好適に用いることができる。
(2)低極性粘着性高分子
本発明の冷却剥離型粘着剤組成物の有効成分となる「低極性粘着性高分子」は、少なくとも一部の構成モノマーが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであるアクリル系樹脂からなり、そのアルキル基の極性が上記の「感温型粘着性高分子」に比して低い粘着性高分子である。
本発明にいう「低極性粘着性高分子」のベースとなる樹脂は、「アクリル系樹脂」であり、その定義(構成モノマーの種類、好ましいアクリル系モノマーの含有率等)については「感温型粘着性高分子」と同様である。但し、構成モノマーの一部をなすアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーのアルキル基の極性が上記の「感温型粘着性高分子」に比して低い点が異なる。
本発明にいう「低極性粘着性高分子」において、構成モノマーの一部をなすアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーのアルキル基の極性を上記の「感温型粘着性高分子」に比して低いものとしたのは、上記の「感温型粘着性高分子」のみでは充分ではない、高温領域で使用した後の剥離性を向上させるためである。
これはアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーのアルキル基の極性によって、粘着性高分子の被着体に対する粘着力が変化するという性質を利用したものである。上記の「感温型粘着性高分子」は、アクリル酸又はメタクリル酸にエステル結合された短鎖アルキル基の極性が比較的高いため、積層セラミックコンデンサの前駆体となるグリーンシート積層体のように、セラミックからなり比較的極性が高い被着体との間の親和性が高い。従って、高温領域において高い粘着力を示し、使用温度域が広いという好ましい特徴を有するものの、それのみでは高温領域で使用した後の剥離性が充分ではなく、被着体の破損や糊残りの問題を生ずる場合がある。従って、本発明にいう「低極性粘着性高分子」を適当量含有させ、粘着剤組成物(特に、被着体との接触部分)の極性を低下させることによって、高温領域で使用した後の剥離性を向上させることが可能となり、被着体の破損や糊残りといった不具合を効果的に抑制することができる。
「低極性粘着性高分子」において、構成モノマーの一部をなすアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーのアルキル基の極性を上記の「感温型粘着性高分子」に比して低いものとするためには、少なくとも一部の構成モノマーが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであることが必要である。
炭素数6乃至8のアルキル基としては、1−ヘキシル基(n−ヘキシル基)、1−ヘプチル基(n−ヘプチル基)、1−オクチル基(n−オクチル基)、6−メチルヘプチル基(iso−オクチル基)、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。従って、炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸の1−ヘキシルエステル(n−ヘキシルエステル)、1−ヘプチルエステル(n−ヘプチルエステル)、1−オクチルエステル(n−オクチルエステル)、6−メチルヘプチルエステル(iso−オクチルエステル)、2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。中でも、安価で入手が容易な2−エチルヘキシルエステルを用いることが好ましい。炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーは、その効果を確保するべく、全構成モノマーに対して40質量%以上、好ましく50〜98質量%の範囲で含まれていることが好ましい。
既に述べたように、アクリル系樹脂のガラス転移温度は、アクリル酸又はメタクリル酸のカルボキシル基にエステル結合されたアルキル基の炭素数が強く影響する。本発明にいう「低極性粘着性高分子」のように、少なくとも一部の構成モノマーが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであるアクリル系樹脂は、−50〜−80℃の温度領域(以下、「低温領域」と記す)にガラス転移温度を有する。
「低極性粘着性高分子」についても、「感温型粘着性高分子」と同様に、少なくとも一部の構成モノマーに反応性官能基を有するものであることが好ましい。但し、その重量平均分子量(Mw)が上記の「感温型粘着性高分子」に比して低い点が異なる。
「低極性粘着性高分子」は、重量平均分子量(Mw)が10万以上であり、かつ、併用する感温型粘着性高分子の分子量未満であるアクリル樹脂が好ましい。重量平均分子量(Mw)が10万未満の場合には、低極性粘着性高分子が被着体に移行し易くなり、例えば、被着体が電子部品の前駆体であるような場合には、その電気的特性に悪影響を及ぼすおそれがある点において好ましくなく、併用する感温型粘着性高分子の分子量以上であると、粘着層の表面に分布させ難くなり、糊残りを有効に防止することができなくなるおそれがある点において好ましくない。
なお、重量平均分子量(Mw)は、「感温型粘着性高分子」と同様の方法により、上記の範囲内に調整することができる。また、「低極性粘着性高分子」は、「感温型粘着性高分子」の項で述べた製造方法(重合方法)に準じて製造することができる。
(3)架橋剤
本発明にいう「架橋剤」とは、先に説明した「感温型粘着性高分子」や「低極性粘着性高分子」の間を架橋して架橋高分子を形成し得る物質を意味する。この「架橋剤」が「感温型粘着性高分子」や「低極性粘着性高分子」の反応性官能基と反応して架橋高分子を形成することで、高温領域における充分な粘着力と冷却後の優れた剥離性を発揮させることが可能となる。
一般に、架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、金属キレート架橋剤、又はエポキシ系架橋剤等が知られているが、本発明においてはイソシアネート系架橋剤を好適に用いることができる。
イソシアネート系架橋剤としては、従来公知のイソシアネート系架橋剤、例えば、多価イソシアネート化合物、及びそのオリゴマーやプレポリマー等を好適に用いることができる。多価イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体(例えば、商品名:タケネートD−170N、三井武田ケミカル(株)製等)を好適に用いることができる。この架橋剤は、優れた再剥離性と耐熱性を付与することができるという効果を奏する点において好ましい。なお、「架橋剤」は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(4)冷却剥離型粘着剤組成物
本発明の冷却剥離型粘着剤組成物としては、感温型粘着性高分子と、これに対して、架橋剤を0.3〜1.5質量部の割合で含む混合物を原料とし、これらの原料由来の架橋高分子を含有するもの、或いは、感温型粘着性高分子と、低極性粘着性高分子とが、質量比99.5:0.5〜70:30の範囲内で制御され、感温型粘着性高分子、及び低極性粘着性高分子の総質量を100質量部とした場合に、これに対して、架橋剤を0.3〜1.5質量部の割合で含む混合物を原料とし、これらの原料由来の架橋高分子を含有するもの等が挙げられる。但し、電子部品の製造方法に用いる冷却剥離型粘着剤組成物としては、後者の組成物の方が好ましい。
感温型粘着性高分子、及び架橋剤(必要により低極性粘着性高分子)を上記のような割合で含有せしめることにより、常温領域における初期粘着力が0.2N/25mm以下であり、高温領域における粘着力(高温時粘着力)が1N/25mm以上であり、高温領域から常温領域に冷却した後の粘着力(冷却後粘着力)が0.2N/25mm以下である冷却剥離型粘着剤組成物とすることができる。特に、電子部品の製造にあっては、常温領域における初期粘着力が0.05N/25mm以下であり、高温時粘着力が1N/25mm以上であり、冷却後粘着力が0.2N/25mm以下である冷却剥離型粘着剤組成物を好適に用いることできる。
なお、低極性粘着性高分子を含有せしめる際に、低極性粘着性高分子の割合が上記範囲未満の場合には、高温領域で使用した後の剥離性に劣り、糊残りや被着体の破損といった問題が生ずるおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、高温領域における粘着力が低下する場合がある点において好ましくない。また、架橋剤の割合が上記範囲未満の場合には、高温領域で使用した後の剥離性が不充分となり易い点において好ましくない。また、低極性粘着性高分子の割合が上記範囲を超えると、高温領域において粘着力が低下するおそれがある点において好ましくない。
本発明の冷却剥離型粘着剤組成物は、紫外線硬化型、加熱剥離型といった他の再剥離性粘着剤とは異なり、紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能である。そして、本発明の冷却剥離型粘着剤組成物は、ポリマーの結晶化によって感温性が発現するタイプの冷却剥離型とは異なり、使用温度域が広く、高温領域で使用した後の剥離性にも優れ、かつ、多様な用途に用いることができる。
[2]冷却剥離型粘着シート
本発明の冷却剥離型粘着剤組成物は、フィルム状ないしシート状の基材を備え、その少なくとも一方の表面に、本発明の冷却剥離型粘着剤組成物を含む粘着層を設けたものである。但し、本発明の冷却剥離型粘着剤組成物そのものをフィルム状ないしシート状に形成して冷却剥離型粘着シートとすることも可能である。
本発明の冷却剥離型粘着シートは、その構成要素として、基材と、粘着層とを備える。以下、各要素ごとに説明する。
(1)基材
本発明にいう「基材」とは、粘着層を支持するための部材であって、フィルム状ないしシート状を呈するものである。本明細書において「フィルム状ないしシート状」というときは、薄膜状ないし薄板状の形状を意味し、通常は12〜250μmのものが用いられる。
基材の構成材料については特に限定されず、従来、粘着シート用の基材として用いられてきた材料の中から、冷却剥離型粘着シートの用途に応じて適宜選択することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、セロハン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミド、若しくはポリスルホン等の合成樹脂、ガラス、金属、又はセラミック等の中から選択することができる。なお、基材は透明であっても、着色せしめたものであってもよい。着色は、基材の構成材料に各種顔料や染料を配合する方法等により行うことができる。また、基材の表面は平滑であるものに限定されず、その表面がマット状に加工されているものであってもよい。
基材は、その構成材料中に、従来公知の添加剤、具体的には、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を含有するものであってもよい。また、粘着層との密着性を向上させることを目的として、表面処理を施したものを用いることが好ましい。表面処理としては、例えばコロナ放電処理・グロー放電処理等の放電処理、プラズマ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理・電子線処理・放射線処理等の電離活性線処理、サンドマット処理・アンカー処理・ヘアライン処理等の粗面化処理、化学薬品処理、易接着層塗布処理等を挙げることができる。
(2)粘着層
本発明にいう「粘着層」とは、基材の少なくとも一方の表面を被覆するように形成された層であり、被着体に対する粘着性を発揮する粘着剤組成物を含むものである。
「粘着層」に含まれる粘着剤組成物としては、既に説明した本発明の冷却剥離型粘着剤組成物を用いることが必要である。これにより、紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能であることに加え、使用温度域が広く、高温領域で使用した後の剥離性にも優れ、かつ、多様な用途に用いることができるという、従来のものと比較して有利な効果を奏する再剥離性粘着シートとすることができる。
粘着層の厚さは特に限定されないが、2〜100μmとすることが好ましく、5〜60μmとすることが更に好ましく、10〜30μmとすることが特に好ましい。粘着層の厚さが上記範囲未満の場合には、被着体に対する充分な粘着力が得られなくなる場合がある点において好ましくない。
本発明の冷却剥離型粘着剤組成物が、低極性粘着性高分子、又はこれが架橋剤により架橋された架橋高分子を含むものである場合には、粘着層は低極性粘着性高分子、又は架橋高分子を、基材側よりも粘着層表面側が高濃度となるように分布させる濃度勾配が形成されたものであることが好ましい。
上記のような濃度勾配を形成する方法としては、感温型粘着性高分子、低極性粘着性高分子、及び架橋剤を溶媒に溶解又は混合させて得た粘着層形成塗工液を用いて粘着層を形成する方法、或いは、感温型粘着性高分子を含有する第1粘着層を形成し、その表面を被覆するように低極性粘着性高分子、架橋剤、並びに低極性粘着性高分子及び架橋剤由来の架橋高分子を含有する第2粘着層を形成する方法等が挙げられる。
上記のような構成は、セラミックとの親和性が低い低極性粘着性高分子を被着体との接触面側に高濃度で分布させているため、糊残りをより効果的に防止することができる。但し、後者の方法を採用する場合には、高温領域における粘着力を確保する観点から、第2粘着層を第1粘着層と比較して薄く構成することが好ましい。具体的には、第1粘着層の厚さを5〜60μm、第2粘着層の厚さを0.1〜10μm程度に構成することが好ましい。
(3)冷却剥離型粘着シート
本発明の「冷却剥離型粘着シート」は、例えば、本発明の冷却剥離型粘着剤組成物の各構成成分を適当な溶剤に溶解し、或いは分散させて、固形分濃度を10〜50質量%程度の粘着層形成塗工液とし、この粘着層形成塗工液を常法に従って、基材の少なくとも一方の表面を被覆するように塗布し、これを乾燥する方法により得ることができる。なお、本発明の冷却剥離型粘着剤組成物そのものをフィルム状ないしシート状に形成して冷却剥離型粘着シートとする場合には、基材に代えて離型性を有するフィルムを用いればよい。
この際、粘着層形成塗工液には、従来慣用されている各種添加剤、例えば、架橋促進剤、酸化防止剤、安定剤、粘度調整剤、粘着付与樹脂、又は有機ないしは無機の充填剤等を添加してもよい。架橋促進剤としては、例えば、トリエチルアミン系、ナフテン酸コバルト系、スズ系の架橋促進剤が挙げられ、特に、塩化第一スズ、テトラ−n−ブチルスズ、水酸化トリメチルスズ、塩化ジメチルスズ、ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ等のスズ系架橋促進剤を使用することが好ましい。この他、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤等を、粘着付与樹脂としては、テルペン系樹脂等を、有機充填剤としては、アクリル系ないしウレタン系の球状微粒子等を、無機充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ等を好適に用いることができる。
塗布の方法については特に制限はなく、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等を用いた従来公知の塗布方法を利用することができる。なお、粘着層形成塗工液を塗布する基材や離型性を有するフィルム(以下、「基材等」と記す)の面には、必要に応じて予め表面処理を施しておいてもよい。
乾燥方法についても特に制限はなく、熱風乾燥、減圧乾燥等の従来公知の乾燥方法を利用することができる。乾燥条件については、粘着剤の種類や塗工液で使用した溶剤の種類、粘着層の膜厚等に応じて適宜設定すればよいが、60〜180℃程度の温度で乾燥を行うことが一般的である。
また、粘着層中に残存する揮発分の量(以下、「残存揮発分量」と記す)によっては、粘着層と基材等との粘着性や冷却後の剥離性に悪影響を及ぼす場合がある。従って、粘着層中の残存揮発分量は、4質量%以下とすることが好ましく、2質量%以下とすることが更に好ましい。なお、所望とする残存揮発分量とするためには、粘着層形成塗工液を調製するための溶剤の量や、塗工後の乾燥時間等を調整すればよい。
[3]電子部品の製造方法
本発明の電子部品の製造方法は、電子部品の前駆体である被加工体を再剥離性粘着シートに仮固定し、その仮固定された被加工体に加工を施した後、再剥離性粘着シートを剥離して加工体を得る工程を備えた電子部品の製造方法であり、再剥離性粘着シートとして、本発明の冷却剥離型粘着シートを用いるものである。
本発明の電子部品の製造方法は、再剥離性シートとして本発明の冷却剥離型粘着シートを用いる点に特徴があり、その他の点については従来の方法と同様である。積層セラミックコンデンサを製造する場合であれば、通常、以下のような形で行われる。
まず、セラミック粉末、分散媒、バインダ等を含むスラリーをドクターブレード法、カレンダー法等を利用して薄板化し、セラミックグリーンシートを得る。次いで、このセラミックグリーンシートの表面に金属電極(内部電極)を印刷した後、これを多数積層して加熱圧着し、一体化することにより、積層セラミックコンデンサの前駆体である、層間に金属電極(内部電極)が配置された、セラミックグリーンシート積層体(以下、単に「積層体」と記す)を得る。
更に、この積層体を本発明の冷却剥離型粘着シートに仮固定し、80〜100℃程度の高温下、ダイサやギロチン刃等の切断装置により、仮固定された積層体に、被加工体を賽の目状に切断して小片化するダイシング加工を施した後、常温領域まで冷却し、本発明の冷却剥離型粘着シートを剥離して多数のチップ(「ワーク」と称される場合もある)を得る。最後に、このチップを焼成し、その表面に金属電極(外部電極)を印刷することによって、最終製品である積層セラミックコンデンサを得ることができる。
このように、本発明の電子部品の製造方法は、被加工体が、積層セラミックコンデンサの前駆体である、層間に金属電極が配置された、セラミックグリーンシート積層体であり、加工が、被加工体を賽の目状に切断して小片化するダイシング加工である場合に好適に用いることができる。但し、本発明の電子部品の製造方法は、積層セラミックコンデンサの製造のみならず、被加工体を仮固定した状態で加工を施す電子部品の製造一般に適用することができる。具体的には、積層セラミックコンデンサの他、積層セラミックインダクタ、抵抗器、フェライト、センサ素子、サーミスタ、バリスタ、圧電セラミック、シリコンウェハ等、種々の電子部品の製造に好適に用いることができる。
以下、本発明の冷却剥離型粘着剤組成物、及び冷却剥離型粘着シートにつき実施例を用いて具体的に説明するが、本発明の冷却剥離型粘着剤組成物、及び冷却剥離型粘着シートはこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例の冷却剥離型粘着剤組成物、及び冷却剥離型粘着シートについては、初期粘着力、高温時粘着力、冷却後剥離力、及びグリーンシートに対する剥離性の4項目について評価した。これらの項目については、以下の方法により評価した。
[初期粘着力]
製造後、加熱処理や紫外線照射処理を施していない、実施例及び比較例の冷却剥離型粘着シートを、幅25mm、長さ250mmに切断して試験片とし、この試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルム(商品名:ルミラーT60、東レ(株)製)を、押圧力2kg、速度300mm/分の条件でゴムローラーを一往復させることにより圧着して20分間放置した後、引張試験機により、引張速度300mm/分で、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定することにより、初期粘着力を評価した。なお、これらの工程は全て温度23℃、湿度65%RHの条件下で行った。
[高温時粘着力]
初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、更に、80℃、100℃のいずれかの温度雰囲気下で30分間放置した後、引張試験機により、引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定することにより、高温時粘着力を評価した。表における「高温時密着性」は、80℃、100℃のいずれの温度でも剥離が認められなかった場合を「○」、80℃、100℃のいずれかの温度で剥離が認められた場合を「×」として表記した。
[冷却後剥離力]
初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、次いで、100℃の温度雰囲気下で30分間放置し、更に、温度23℃、湿度65%RHの条件下で冷却し、30分間放置した後、引張試験機により、引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定することにより、冷却後剥離力を評価した。
[グリーンシートに対する剥離性]
メチルメタクリレート系共重合体(商品名:パラロイドB−82、ロームアンドハースジャパン(株)製)100質量部、フタル酸ジエチル2質量部、チタン酸バリウム(平均粒径0.5μm)430質量部、及びトルエン160質量部を撹拌・混合して、グリーンシート作製用塗工液を調製した。次いで、片面にシリコーン樹脂が塗布された、剥離用ポリエステルフィルム(商品名:MRX 50μm、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)のシリコーン処理面に乾燥膜厚が約50μmとなるように、上記塗工液を塗布し、80℃の温度条件下、5分間乾燥した後、剥離用ポリエステルフィルムから剥離して、セラミックグリーンシートを作製した。
このセラミックグリーンシートを20枚積層し、押圧力300kg/cm2でプレスし、グリーンシート積層体とし、これを10mm×5mmの大きさに切断することにより、チップを作製した。このチップを実施例及び比較例の冷却剥離型粘着シートに圧着したものを評価サンプルとした。この評価サンプルを100℃で5分間加熱し、温度23℃、湿度65%RHの条件下で冷却後、チップを粘着シートから剥離することにより、冷却後剥離性を評価した。具体的には、チップの破損や変形を伴わずに容易に粘着シートを剥離できた場合を「○」、剥離不能である場合、及び剥離可能であってもチップが破損・変形した場合を「×」として評価した。
実施例、及び比較例においては、以下に示す高分子、及び架橋剤を使用した。
(A−1成分)
重量平均分子量70万、ガラス転移温度15℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、及びアクリロニトリルを含み、その構成質量比は43.7:25:20:1.3:10)である。即ち、炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーを98.7質量%、水酸基を有するモノマーを1.3質量%含む高分子である。
(A−2成分)
重量平均分子量36万、ガラス転移温度20℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを含み、その構成質量比は98.7:1.3である。即ち、その構成モノマーの全てが炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであり、水酸基を有するモノマーを1.3質量%含む高分子である。
(B−1成分)
重量平均分子量39万、ガラス転移温度−42℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、及び酢酸ビニルを含み、その構成質量比は63.7:1.3:35である。即ち、炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーを63.7質量%、水酸基を有するモノマーを1.3質量%含む高分子である。
(B−2成分)
重量平均分子量40万、ガラス転移温度−68℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを含み、その構成質量比は97.4:2.6である。即ち、その構成モノマーの全てが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであり、水酸基を有するモノマーを3.9質量%含む高分子である。
(B−3成分)
重量平均分子量80万、ガラス転移温度−67℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを含み、その構成質量比は96.1:3.9である。即ち、その構成モノマーの全てが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであり、水酸基を有するモノマーを3.9質量%含む高分子である。
(B−4成分)
重量平均分子量40万、ガラス転移温度−54℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、及びアクリル酸ブチルを含み、その構成質量比は1.3:98.7である。即ち、炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーを1.3質量%、水酸基を有するモノマーを3.9質量%含む高分子である。
(架橋剤)
イソシアネート系の架橋剤であり、その構成成分は、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体である(商品名:タケネートD−170N、三井武田ケミカル(株)製)。
(実施例1〜4)
感温型粘着性高分子として、表1に記載のA−1成分を、低極性粘着性高分子として、表1に記載のB−1又はB−2成分を用い、これらを表1に記載の質量比で混合したもの100質量部に対して、架橋剤を0.6質量部、及びメチルエチルケトンとトルエンを1:1の質量比で混合した混合溶媒を300質量部添加して撹拌・混合し、粘着層形成塗工液を調製した。
Figure 2005248094
次いで、この粘着層形成塗工液を、基材となる厚さ100μmのポリエステルフィルムの表面に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように常法に従って塗布し、これを80℃で1分間、更に130℃で3分間乾燥することによって粘着層を形成した。この粘着層の表面に、厚さ30μmの延伸ポリプロピレン(OPP:Oriented Polypropylene、商品名:アルファン、王子製紙(株)製)フィルムを剥離ライナーとして貼着し、23℃の温度条件下、1週間養生することによって、冷却剥離型粘着シートを得た。その冷却剥離型粘着シートについて、初期粘着力、高温時粘着力、冷却後粘着力、及びグリーンシートに対する剥離性を評価した結果を表1に示す。
(比較例1〜2)
表1に記載の各成分を用い、これらを表1に記載の質量比で混合したもの100質量部に対して、架橋剤を0.6質量部、及びメチルエチルケトンとトルエンを1:1の質量比で混合した混合溶媒を300質量部添加して撹拌・混合し、粘着層形成塗工液を調製した。その後の工程については実施例1〜4と同様にして、冷却剥離型粘着シートを得た。その冷却剥離型粘着シートについて、初期粘着力、高温時粘着力、冷却後粘着力、及びグリーンシートに対する剥離性を評価した結果を表1に示す。
(評価)
表1に示すように、実施例1〜4の冷却剥離型粘着シートは全て、初期粘着力が0.05N/25mm以下、高温時粘着力が1N/25mm以上、冷却後粘着力が0.05N/25mm以下であった。即ち、高温時粘着力が充分に高いことから、80〜100℃の高温領域においても被着体を確実に固定可能であることを期待できる。また、冷却後粘着力が0.05N/25mm以下と確実に低下している。また、グリーンシートに対する剥離性の評価においてもグリーンシートの破損や変形を伴わずに容易に剥離することができ、良好な結果を示した。
これに対し、比較例1〜2の冷却剥離型粘着シートは、初期粘着力は0.05N/25mm以下、高温時粘着力は1N/25mm以上であるものの、100℃の高温時粘着力の測定において、粘着シートの基材から粘着層が剥離して被着体に乗り移る転写現象が発生し、高温時粘着力の測定が不能となった。このことは、高温領域で被着体を確実に固定することが困難なものである。また、比較例1は、冷却後剥離力が0.05N/25mmを超えており、グリーンシートの加工には適さないものであることが判明した。
(実施例5〜6)
感温型粘着性高分子として、表2に記載のA−1成分を、低極性粘着性高分子として、表2に記載のB−4成分を用いるか、或いは低極性粘着性高分子を全く用いずに、これらを表2に記載の質量比で混合したもの100質量部に対して、架橋剤を0.6質量部、及びメチルエチルケトンとトルエンを1:1の質量比で混合した混合溶媒を300質量部添加して撹拌・混合し、粘着層形成塗工液を調製した。これ以外の部分については、全て実施例1と同様にして、冷却剥離型粘着シートを得た。その冷却剥離型粘着シートについて、初期粘着力、高温時粘着力、及び冷却後剥離力を評価した結果を表2に示す。
Figure 2005248094
また、ポリイミドフィルムに対する剥離性を以下のような方法で評価した。製造後、加熱処理や紫外線照射処理を施していない、実施例5及び6の冷却剥離型粘着シートを、幅25mm、長さ250mmに切断して試験片とし、この試験片に対して、厚さ25μmのポリイミドフィルム(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン(株)製)を、押圧力2kg、速度300mm/分の条件でゴムローラを一往復させることにより圧着して20分間放置し評価サンプルを得た。この評価サンプルを100℃で30分間加熱し、温度23℃、湿度65%RHの条件下で冷却後、ポリイミドフィルムを粘着シートから剥離することにより、冷却後の剥離性を評価した。
表2に示すように、実施例5及び6の粘着シートは、初期剥離力が0.2N/25mm以下、高温時粘着力が1N/25mm以上、冷却後粘着力が0.2N/25mm以下であった。即ち、高温時粘着力が充分に高いことから、80〜100℃の高温領域においても被着体を確実に固定可能であることを期待できる。また、冷却後粘着力が0.2N/25mm以下と確実に低下している。更に、ポリイミドフィルムに対する剥離性の評価においては、実施例5及び6のいずれの粘着シートも、ポリイミドフィルムにシワやカール等を発生させずに容易に剥離することができ、良好な結果を示した。
本発明の冷却剥離型粘着剤組成物、及び冷却剥離型粘着シートは、高温領域においては被着体を確実に固定し、しかも被着体から剥離したいときは、確実に剥離可能であるので、各種プリント基板、TABの製造や、積層セラミックコンデンサの他、積層セラミックインダクタ、抵抗器、フェライト、センサ素子、サーミスタ、バリスタ、圧電セラミック、シリコンウェハ等、種々の電子部品の製造に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 粘着性高分子を有効成分として含み、かつ、0〜30℃の温度領域(常温領域)における初期粘着力が0.2N/25mm以下であり、80〜100℃の温度領域(高温領域)における粘着力(高温時粘着力)が1N/25mm以上であり、前記高温領域から前記常温領域に冷却した後の粘着力(冷却後粘着力)が0.2N/25mm以下である冷却剥離型粘着剤組成物。
  2. 主成分となる構成モノマーが炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーである、重量平均分子量(Mw)が60万以上のアクリル系樹脂からなり、そのガラス転移温度(Tg)を−10〜30℃の温度領域に有する感温型粘着性高分子を含有する冷却剥離型粘着剤組成物。
  3. 前記感温型粘着性高分子と、少なくとも一部の構成モノマーが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであるアクリル系樹脂からなり、そのアルキル基の極性が前記感温型粘着性高分子に比して低い低極性粘着性高分子とからなる粘着性高分子と、これらの高分子の間を架橋し得る架橋剤とを有効成分とするとともに、前記有効成分由来の架橋高分子を含有する請求項2に記載の冷却剥離型粘着剤組成物。
  4. 前記粘着性高分子が、主成分となる構成モノマーが炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーである、重量平均分子量(Mw)が60万以上のアクリル系樹脂からなり、そのガラス転移温度(Tg)を−10〜30℃の温度領域に有する感温型粘着性高分子を含むものである請求項1に記載の冷却剥離型粘着剤組成物。
  5. 前記粘着性高分子が、少なくとも一部の構成モノマーが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであるアクリル系樹脂からなり、そのアルキル基の極性が前記感温型粘着性高分子に比して低い低極性粘着性高分子を更に含むものである請求項4に記載の冷却剥離型粘着剤組成物。
  6. フィルム状ないしシート状の基材を備え、その少なくとも一方の表面に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の冷却剥離型粘着剤組成物を含む粘着層を設けた冷却剥離型粘着シート。
  7. 前記粘着層は、前記低極性粘着性高分子、又はこれが前記架橋剤により架橋された架橋高分子を、基材側よりも粘着層表面側が高濃度となるように分布させる濃度勾配が形成されたものである請求項6に記載の冷却剥離型粘着シート。
  8. 電子部品の前駆体である被加工体を、再剥離性粘着シートに仮固定し、その仮固定された前記被加工体に加工を施した後、前記再剥離性粘着シートを剥離して加工体を得る工程を備えた電子部品の製造方法であって、
    前記再剥離性粘着シートとして、請求項6又は7に記載の冷却剥離型粘着シート、を用いる電子部品の製造方法。
  9. 前記被加工体が、積層セラミックコンデンサの前駆体である、層間に金属電極が配置された、セラミックグリーンシート積層体であり、
    前記加工が、前記被加工体を賽の目状に切断して小片化するダイシング加工である請求項8に記載の電子部品の製造方法。
JP2004063279A 2004-03-05 2004-03-05 冷却剥離型粘着剤組成物、冷却剥離型粘着シート、及びこれを用いた電子部品の製造方法 Expired - Lifetime JP4673565B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004063279A JP4673565B2 (ja) 2004-03-05 2004-03-05 冷却剥離型粘着剤組成物、冷却剥離型粘着シート、及びこれを用いた電子部品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004063279A JP4673565B2 (ja) 2004-03-05 2004-03-05 冷却剥離型粘着剤組成物、冷却剥離型粘着シート、及びこれを用いた電子部品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005248094A true JP2005248094A (ja) 2005-09-15
JP4673565B2 JP4673565B2 (ja) 2011-04-20

Family

ID=35028881

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004063279A Expired - Lifetime JP4673565B2 (ja) 2004-03-05 2004-03-05 冷却剥離型粘着剤組成物、冷却剥離型粘着シート、及びこれを用いた電子部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4673565B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007191520A (ja) * 2006-01-17 2007-08-02 Somar Corp 再剥離性粘着剤組成物及びこれを用いた再剥離性粘着シート
JP2008174595A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Somar Corp 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
JP2008195927A (ja) * 2007-01-15 2008-08-28 Nitto Denko Corp 熱剥離型両面粘着テープ又はシートおよび被着体の加工方法
JP2011162616A (ja) * 2010-02-05 2011-08-25 Somar Corp 再剥離性粘着剤組成物、これを用いた再剥離性粘着シート、この粘着シートを用いた積層体、電子部品の製造方法及びこの製造方法を用いて得られた電子部品
JP2013051368A (ja) * 2011-08-31 2013-03-14 Tokyo Seimitsu Co Ltd ワーク分割装置及びワーク分割方法
JP2013209667A (ja) * 2013-06-12 2013-10-10 Somar Corp 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
JP2015023262A (ja) * 2013-07-24 2015-02-02 株式会社村田製作所 積層セラミック電子部品の製造方法
JP2016092308A (ja) * 2014-11-07 2016-05-23 株式会社アルバック 基板温度制御装置、基板処理システム、及び、基板温度制御方法
CN113861877A (zh) * 2021-09-24 2021-12-31 太仓群特电工材料有限公司 一种具有冷剥离功能的pet基材切割胶带及其制备方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06510548A (ja) * 1991-02-12 1994-11-24 ランデック コーポレイション 温度帯特異性感圧接着剤組成物、および接着アッセンブリ並びにその使用方法
JP2003138237A (ja) * 2001-10-31 2003-05-14 Panac Co Ltd 感温性粘着剤組成物および粘着シート

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06510548A (ja) * 1991-02-12 1994-11-24 ランデック コーポレイション 温度帯特異性感圧接着剤組成物、および接着アッセンブリ並びにその使用方法
JP2003138237A (ja) * 2001-10-31 2003-05-14 Panac Co Ltd 感温性粘着剤組成物および粘着シート

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007191520A (ja) * 2006-01-17 2007-08-02 Somar Corp 再剥離性粘着剤組成物及びこれを用いた再剥離性粘着シート
JP2008195927A (ja) * 2007-01-15 2008-08-28 Nitto Denko Corp 熱剥離型両面粘着テープ又はシートおよび被着体の加工方法
JP2008174595A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Somar Corp 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
JP2011162616A (ja) * 2010-02-05 2011-08-25 Somar Corp 再剥離性粘着剤組成物、これを用いた再剥離性粘着シート、この粘着シートを用いた積層体、電子部品の製造方法及びこの製造方法を用いて得られた電子部品
JP2013051368A (ja) * 2011-08-31 2013-03-14 Tokyo Seimitsu Co Ltd ワーク分割装置及びワーク分割方法
JP2013209667A (ja) * 2013-06-12 2013-10-10 Somar Corp 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
JP2015023262A (ja) * 2013-07-24 2015-02-02 株式会社村田製作所 積層セラミック電子部品の製造方法
JP2016092308A (ja) * 2014-11-07 2016-05-23 株式会社アルバック 基板温度制御装置、基板処理システム、及び、基板温度制御方法
CN113861877A (zh) * 2021-09-24 2021-12-31 太仓群特电工材料有限公司 一种具有冷剥离功能的pet基材切割胶带及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4673565B2 (ja) 2011-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5328103B2 (ja) 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
JP5001532B2 (ja) 冷却剥離型粘着剤組成物、冷却剥離型粘着シート、及びこれを用いたフィルムの加工方法
JP4703833B2 (ja) エネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート、及びこれを用いた切断片の製造方法
JP5283838B2 (ja) 熱剥離性粘着シート及び被着体回収方法
JP5097336B2 (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
KR20130084629A (ko) 점착제용 폴리머, 점착제 조성물 및 열박리성 점착 시트
JP2000355684A (ja) 部品の仮止め粘着テープ
JP2017002190A (ja) 加熱剥離性粘着シート
JP4673565B2 (ja) 冷却剥離型粘着剤組成物、冷却剥離型粘着シート、及びこれを用いた電子部品の製造方法
WO2011077835A1 (ja) 粘着シート及び電子部品の製造方法
JP4391623B2 (ja) セラミック電子部品用生シートの仮止め粘着テープ及びセラミック電子部品の製造方法
JP5001556B2 (ja) 再剥離性粘着剤組成物及びこれを用いた再剥離性粘着シート
JP5379453B2 (ja) 感温性粘着テープおよびこれを用いたチップ型電子部品の製造方法
JP5578872B2 (ja) 再剥離性粘着剤組成物、これを用いた再剥離性粘着シート、この粘着シートを用いた積層体、電子部品の製造方法及びこの製造方法を用いて得られた電子部品
KR101798532B1 (ko) 방열 시트용 점착제 조성물 및 그를 이용한 방열 시트
JP2007131661A (ja) 粘着剤組成物及び粘着シート
JP4107729B2 (ja) 熱発泡型粘着剤及び粘着部材
JP6109152B2 (ja) 易剥離性粘着フィルム及び金属板の加工方法
TWI593777B (zh) 陶瓷電子元件之切割用感溫性黏著片及陶瓷電子元件之製造方法
JP2013209667A (ja) 冷却剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた冷却剥離型粘着シート
TWI752845B (zh) 熱剝離型黏著帶
JP4673965B2 (ja) 加熱剥離型粘着テープ・シート及びその製造方法
JP2000239620A (ja) 熱剥離性粘着剤及びそれを用いた粘着部材
KR20230107892A (ko) 열박리형 점착 테이프
JP2002309222A (ja) 加熱発泡粘着剤及び粘着テープ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100810

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110118

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4673565

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140128

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250