JP2005247610A - 結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法 - Google Patents

結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】チタン原子がT原子としてアルミノホスフェート結晶骨格に取り込まれることにより格子外チタンがほとんど存在せず、結晶化度が高い結晶性チタノアルミノホスフェートを、生産性を高めて効率よく製造する方法を提供する。結晶性チタノアルミノホスフェートは、過酸化物を酸化剤に用いる液相酸化反応用触媒や、エステル化、エステル交換反応触媒、吸着剤等の機能性材料等として有用なものである。
【解決手段】チタン、アルミニウム、リン及び構造指示剤を含有する乾燥ゲルを、水蒸気雰囲気下で熱処理する結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法に関する。より詳しくは、過酸化物を酸化剤に用いる液相酸化反応用触媒や、エステル化、エステル交換反応触媒、吸着剤等の機能性材料等として有用な結晶性チタノアルミノホスフェートを製造する方法に関する。
結晶性チタノアルミノホスフェートは、各種触媒や吸着剤等の機能性材料等として有用なものであり、従来より水熱合成法による調製方法が知られている。このような調製方法においては、チタンを含まない結晶性アルミノホスフェートと異なり、異質なチタン原子をアルミノホスフェート結晶骨格内にT原子として導入することが困難なため、フッ化水素酸共存下に、チタン源としてチタニウムイソプロポキシドを用い、アルミニウム(Al)源及びリン源として各々、擬ベーマイト及びオルトリン酸を用いて、構造指示剤としてアミン類を使用した水熱合成反応による方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、この方法では、有毒なフッ化水素を使用するため、工業的に実施する際には工夫の余地があった。
またリン酸とチタンテトラブトキシドと過酸化水素水を混合したスラリーと、Al源としてアルミニウムトリイソプロポキシドを加水分解したスラリーとを混合した後に、構造指示剤としてアミン類を使用して水熱合成反応させて合成する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。しかしながら、これらのような従来の水熱反応法(水熱合成法)では、加熱時に原料成分の一部は水に溶解するため、結晶へ転化する成分の割合は必然的に低下するため収率が低くなる。更に、金属成分が希釈されるため結晶化時間が非常に長くなり、また、このような緩慢な結晶化の方法では、大型の結晶が成長しやすく、これらの点において工夫の余地があった。しかも、チタンのような異質な金属イオンは結晶格子外に排除されやすいため、水性スラリーでのチタンの存在比と合成された結晶性チタノアルミノホスフェートでのチタンの存在比とが必ずしも一致しなくなる。更に、水性スラリーを加熱するため、生成結晶の重量に対して比較的大きな容積の密閉容器を必要とする等の点においても工夫の余地があった。
ところで、結晶性チタノアルミノシリケートの製造方法に関して、シリカ、チタン及び型剤を含有するゲルを、水蒸気雰囲気下で熱処理してチタン含有ベータゼオライトを得る方法(例えば、特許文献1参照。)、有機アミン化合物とアルカリ金属水酸化物水溶液との混合物を調製し、この混合物にシリカ源と水との混合物を添加して均一化し、この混合物にチタニア源と過酸化水素の混合水溶液を添加して均一化し、熟成後乾燥して粉末化し、水蒸気とのみ接触させて結晶性チタノシリケートゼオライトを得る方法(例えば、特許文献2参照。)、実質的にアルカリ金属元素及びアルミニウムを含まないケイ素原料とチタンと型剤とを含有する乾燥ゲルを、水蒸気雰囲気下で熱処理してNU−1型ゼオライトを得る方法(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。これらの製造方法は、チタン源としてチタン過酸化物を用いている。
しかしながら、これらの製造方法においては、結晶性チタノアルミノホスフェートを効率よく合成する方法に関する示唆はなく、チタン原子がT原子としてアルミノホスフェート結晶骨格に取り込まれることにより、結晶化度が高いチタノアルミノホスフェートを製造できるようにする工夫の余地があった。
ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters),1999年,第6号,p.455−456 ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティ(Journal of the Chemical Society),ケミカル・コミュニケーションズ(Chemical Communications),1995年,p.373−374 特開平10−316417号公報(第2頁) 特開2000−185912号公報(第2頁) 特開2000−211914号公報(第2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、チタン原子がT原子としてアルミノホスフェート結晶骨格に取り込まれることにより格子外チタンがほとんど存在せず、結晶化度が高い結晶性チタノアルミノホスフェートを、生産性を高めて効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法について種々検討したところ、チタン、アルミニウム、リン及び構造指示剤を含有する乾燥ゲルを、水蒸気雰囲気下で熱処理することにより、水熱合成法よりも製造装置を小型化したり、結晶化時間を短縮したりできることから、種々の用途に有用な結晶性チタノアルミノホスフェートを、生産性を高めて効率よく製造できることを見いだした。このような構成において、チタン源として水溶性で安定な過酸化物錯体を使用し、最初にチタン化合物と過酸化水素とを反応させてチタンの過酸化物錯体を生成させた後に、リン酸等のリン源を加える形態とすることにより、結晶性チタノアルミノホスフェートを安定に合成できることも見いだし、また、過酸化物錯体生成時にNH水又はアミン類が共存すると、錯体の安定性が増すので好適であり、構造指示剤(SDA)で兼用することが工業的に有利であることも見いだした。
従来の製造方法では、チタンと過酸化水素との反応時にリン酸が共存し、「過酸化物生成反応」と「リン酸チタン生成反応又は水酸化チタン生成反応」との競争反応になるため、チタンの過酸化物にリン酸チタン等が混在することになり、これら不純物は格子外チタンの原因となるが、上述のような構成とすることにより、チタン原子がT原子としてアルミノホスフェート結晶骨格に取り込まれて、格子外チタンがほとんど存在しないこととなり、結晶化度が高いものとできることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、チタン、アルミニウム、リン及び構造指示剤を含有する乾燥ゲルを、水蒸気雰囲気下で熱処理する結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明においては、チタン、アルミニウム、リン及び構造指示剤を含有する乾燥ゲルを調製することとなり、例えば、チタン源、アルミニウム源、リン源及び構造指示剤と、必要に応じてその他の添加剤等とを混合、撹拌してスラリーを調製し、該スラリーを乾燥することにより得ることができる。このような乾燥ゲル調製工程の好ましい形態としては、チタン源とアルミニウム源と構造指示剤とを混合してスラリーとした後に、リン源を混合して該スラリーを乾燥することによって粉末状の乾燥ゲル(前駆体)を得る形態である。この場合、チタン源、アルミニウム源、構造指示剤及び必要に応じてその他の添加剤等を混合する形態としては特に限定されず、これらを混合してスラリーとした後に、リン源を混合する形態となればよい。このように、リン源を、その他の原料を混合した後に添加することにより、チタン原子がT原子としてアルミノホスフェート(ALPO)結晶骨格に取り込まれ、格子外チタン(アナターゼ型二酸化チタン等)がほとんど存在しない結晶性チタノアルミノホスフェートを得ることができることとなる。
上記乾燥ゲルを調製する際に使用するチタン源としては、チタンがALPO結晶骨格にT原子として取り込まれることになるものであればよく、例えば、チタン過酸化物錯体等のチタン過酸化物であることが好ましい。また、チタン過酸化物の安定性を向上させるために、シュウ酸や酒石酸等のカルボン酸を配位子とするチタン過酸化物錯体を使用することもできる。
上記チタン過酸化物は、例えば、チタン化合物と過酸化物とを混合することにより得ることができる。チタン化合物としては、例えば、オルトチタン酸エチル、オルトチタン酸イソプロピル、オルトチタン酸ブチル等のオルトチタン酸エステル類、チタン金属粉末、水酸化物、酸化物、三塩化チタン、四塩化チタン、硫酸チタン、オキシ硫酸チタニル等が好適である。過酸化物としては、例えば、過酸化水素水や、過酢酸、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が好適である。本発明の方法では、チタン過酸化物を精製したり単離する必要はなく、上記の方法によって得られるチタン過酸化物溶液をそのまま使用することが、工程が簡略化される観点から好ましいものであるが、精製及び/又は単離工程によって純度を高めたチタン過酸化物を使用することもできる。
上記乾燥ゲルを調製する際に使用するアルミニウム源としては、例えば、アルミニウムトリイソプロポキシド、擬ベーマイト、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム等が好適である。
上記アルミニウム源の使用量は、得られる結晶性チタノアルミノホスフェートの用途等により適宜設定すればよいが、チタンに対するアルミニウムの原子比が5以上となるように用いることが好ましい。5未満であると格子外のチタンの存在量が増加してしまうおそれがある。すなわち本発明により得られる結晶性チタノアルミノホスフェートとしては、結晶性チタノアルミノホスフェート中のチタンに対するアルミニウムの原子比が5以上であることが好ましい。より好ましくは、8以上であり、更に好ましくは、12以上である。
上記乾燥ゲルを調製する際に使用するリン源としては、例えば、オルトリン酸等のリン酸、リン酸アルミニウム等が好適である。
上記リン源としては、例えば、チタン源としてチタン過酸化物を用いる場合、チタン化合物を過酸化水素と混合してチタンの過酸化物錯体を生成させた後に、該リン源を混合することが好ましい。すなわち上述のチタン過酸化物は、リンを含有する化合物の非存在下に調製されるものであることが好ましい。より好ましくは、リン酸の非存在下に調製される形態である。このように、乾燥ゲルの構成要素であるリン源を、チタン源であるチタン過酸化物の調製段階で混合しない形態とすることにより、チタン過酸化物以外の不純物であるリン酸チタン等を充分に低減することができることになる。
上記リン源の使用量は、得られる結晶性チタノアルミノホスフェートの用途等により適宜設定すればよいが、結晶性チタノアルミノホスフェート中のチタンに対するリンの原子比が5以上となるように用いることが好ましい。より好ましくは、8以上であり、更に好ましくは、12以上である。
上記構造指示剤(SDA)としては、例えば、アンモニア水;トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−プロピルエチルアミン、ジn−ブチルアミン、ジn−ペンチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、シクロヘキシルメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン等の脂肪族アミン類、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン等のピリジン類、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラn−ペンチルアンモニウム等の4級アルキルアンモニウムの水酸化物やハロゲン化物等が好適である。これらの中でも、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−プロピルエチルアミン、ジn−ブチルアミンが好ましく、更に好ましくは、トリエチルアミン、ジn−プロピルアミンが挙げられる。
上記構造指示剤の使用量は、得られる結晶性チタノアルミノホスフェートの用途等により適宜設定すればよいが、結晶性チタノアルミノホスフェート中のアルミニウム成分に対する構造指示剤における窒素の原子比が、0.1以上となるように用いることが好ましい。0.1未満であると、結晶化度が低くなる場合がある。より好ましくは、0.2以上であり、更に好ましくは、0.25以上である。
上記乾燥ゲルを形成することになるスラリーの調製においては、必要に応じてその他の添加剤、溶媒等を用いることができる。添加剤としては、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、マレイン酸、グリコール酸、乳酸、アスパラギン酸等が好適である。また、溶媒としては、水や、メタノール、エタノール等のアルコール類、エチレングリコールやプロピレングリコール等のジオール類等が好適である。
上記スラリーを乾燥する方法としては、例えばスラリーを攪拌しながら蒸発乾固する方法やスプレードライヤー等の乾燥機を使用する方法等が挙げられ、乾燥は、減圧及び常圧のいずれの条件で行ってもよいが、作業が簡便である点で、常圧、空気気流下で行うことが好ましい。乾燥温度としては、構造指示剤が分解せず、かつ効率的に乾燥させることができる点で、20〜120℃であることが好ましい。より好ましくは、50〜100℃である。
上記乾燥ゲルの含水率としては、結晶化の際に原料成分が溶出せず、収率がよい観点から、例えば、0.1〜30質量%であることが好ましい。より好ましくは、1〜20質量%である。
本発明においては、上記乾燥ゲルを水蒸気雰囲気下で熱処理することとなる。このような熱処理工程においては、乾燥ゲルを、処理温度における飽和水蒸気圧の0.8倍以上の圧力の加圧水蒸気と接触させることになればよく、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
上記熱処理条件としては、最高温度の下限値が、100℃以上であることが好ましい。100℃未満であると、結晶化速度が低下し、充分には結晶化できないおそれがある。より好ましくは、110℃以上であり、更に好ましくは、120℃以上である。上限値としては、240℃以下であることが好ましい。240℃を超えると、乾燥ゲル中の構成成分が分解したり、他の物質との混晶が生じたりするおそれがある。より好ましくは、220℃以下であり、更に好ましくは、200℃以下である。
また処理圧力は、通常、熱処理温度における自生圧力であるが、熱処理時の最高圧力としては、0.12〜2.5MPaであることが好ましい。より好ましくは、0.15〜1.6MPaである。
上記熱処理時間としては、下限値が2時間以上であることが好ましい。2時間未満であると、充分には結晶化できないおそれがある。より好ましくは、5時間以上であり、更に好ましくは、8時間以上である。上限値としては、48時間以下であることが好ましい。48時間を超えると、乾燥ゲル中の構成成分が分解したり、他の物質との混晶が生じたりするおそれがある。より好ましくは、40時間以下であり、更に好ましくは、30時間以下である。
本発明においては、上述の乾燥ゲル調製工程や熱処理工程以外に、その他の工程を行ってもよく、例えば熱処理工程の後に、洗浄工程や焼成工程を行うことが好ましい。
上記洗浄工程としては、水や、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ペンタン、へキサン等の炭化水素類等を用いて洗浄することが好適であり、より好ましくは、水及び/又はアルコールである。また、焼成工程において残存する構造指示剤等の有機成分を除去することが好ましく、焼成温度としては、300〜900℃が好ましい。焼成時間としては、通常、2〜12時間が好ましい。
本発明においては、ドライゲルコンバージョン法(DGC法)を用い、リン源を、その他の原料を混合した後に添加してスラリーを調製し、乾燥ゲルにして水蒸気雰囲気下で熱処理する形態とすることにより、チタン原子がT原子としてALPO結晶骨格に取り込まれ、格子外チタンがほとんど存在しない結晶性チタノアルミノホスフェートを得ることができるものであるが、原料が混合されたスラリーをオートクレーブ等で加熱して結晶化する水熱合成法においても、リン源を、その他の原料を混合した後に添加する形態とすることにより、本発明と同様の効果を発揮することができる。すなわちチタン、アルミニウム、リン及び構造指示剤を含有するスラリーを熱処理する結晶性チタノアルミノホスフェートを製造する方法であって、チタン源がチタン過酸化物であり、スラリーを調製する際に、リンを含有する化合物の非存在下にチタン過酸化物を調製する結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法も有用な製造方法である。
本発明により得られる結晶性チタノアルミノホスフェートは、チタン原子がT原子としてALPO結晶骨格に取り込まれることから、格子外チタンがほとんど存在しないものである。ALPO骨格内にチタン原子が導入されていることを確認する手段としては、例えば、UV(紫外)スペクトルを測定する方法を挙げることができる。この場合、ALPO骨格内にチタン原子が導入されていると、格子内4配位チタン種に帰属されるピークが約220nm近傍に現れる。また、格子外チタンが存在する場合には、格子外チタン種に帰属されるシグナルが約285nm近傍に現れることから、チタン原子がT原子としてALPO結晶骨格に取り込まれたかどうかを判断することが可能となる。
本発明により得られる結晶性チタノアルミノホスフェートの構造は、用いる構造指示剤や熱処理条件によって決定され、TAPO−5、TAPO−11、TAPO−8、TAPO−34、TAPO−36、TAPO−16、TAPO−18、TAPO−22、TAPO−31、TAPO−39、TAPO−40、TAPO−47、TAPO−54等を挙げることができる。これらの中でも、国際ゼオライト学会の結晶型を表すコード(IZAコード)で言うAFI型の結晶性チタノアルミノホスフェートであるTAPO−5と、AEL型の結晶性チタノアルミノホスフェートであるTAPO−11が好ましい。
このような結晶性チタノアルミノホスフェートは、例えば、過酸化物を酸化剤に用いる液相酸化反応用触媒や、エステル化、エステル交換反応触媒、吸着剤等の機能性材料等の種々の用途に好適に用いることができるものである。
本発明の結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法は、上述の構成よりなり、チタン原子がT原子としてALPO結晶骨格に取り込まれることから、格子外チタンがほとんど存在しない結晶化度の高い結晶性チタノアルミノホスフェートを、生産性を高めて効率よく製造することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例1
オルトチタン酸エチル(4.5g)を純水(8.0g)とトリエチルアミン(14.2g)と30質量%濃度の過酸化水素水(4.6g)の混合溶液に加えて、室温で2時間撹拌することによって、チタン過酸化物錯体水溶液を調製した。これをA液とする。Al源としてアルミニウムトリイソプロポキシド(Al(OPr))(57.2g)を純水(110.0g)に分散させて一昼夜撹拌したスラリーにA液を加えて室温で1時間撹拌した後、85質量%濃度のオルトリン酸(32.3g)を加えて、更に2時間撹拌した。得られた均質なゾルを90℃で撹拌しながら蒸発乾固することによって、黄色い前駆体の乾燥ゲルを得た。ゲルの組成は原子比で、Ti:Al:P:NEt=1:14:14:7であった。
この前駆体乾燥ゲルをテフロン(R)カップに入れ、容積100mlのテフロン(R)製オートクレーブの中空に設置した。オートクレーブの底に1gの純水を入れ、175℃で24時間加熱することによって結晶化させた。室温まで冷却後、メタノール(100mL)で洗浄したものを、空気気流中550℃で5時間焼成することによって、白色の生成物を得た。図1に示すように、得られた白色固体の粉末X線回折スペクトル測定の結果、AFI型構造のTAPO−5であることがわかる。また、図3に示したUVスペクトルでは、格子内4配位チタン種に帰属される220nmにピークがあり、格子外のチタン種に帰属される285nmのシグナルがないため、格子外のチタン種はほとんど含有されず、チタンのほぼ全量がAFI型結晶骨格内にT原子として導入されていることがわかる。
実施例2
オルトチタン酸ブチル(3.4g)を純水(5.0g)とトリエチルアミン(7.1g)と30質量%濃度の過酸化水素水(3.8g)の混合溶液に加えて、室温で2時間撹拌することによって、チタン過酸化物錯体水溶液を調製した。これをA液とする。Al源として擬ベーマイト(サソール社製,CATAPAL B)(10.4g)を純水(30.0g)に分散させたスラリーにA液を加えて室温で1時間撹拌した後、85質量%濃度のオルトリン酸(17.3g)を加えて、更に2時間撹拌した。得られた均質なゾルを90℃で撹拌しながら蒸発乾固することによって、黄色い前駆体の乾燥ゲルを得た。ゲルの組成は原子比で、Ti:Al:P:NEt=1:15:15:7であった。
この前駆体乾燥ゲルをテフロン(R)カップに入れ、容積100mlのテフロン(R)製オートクレーブの中空に設置した。オートクレーブの底に1gの純水を入れ、175℃で24時間加熱することによって結晶化させた。室温まで冷却後、空気気流中550℃で5時間焼成することによって、白色の生成物を得た。得られた白色固体の粉末X線回折スペクトル測定の結果、図1と本質的に同じスペクトルが得られ、AFI型構造のTAPO−5であることがわかる。また、UVスペクトルも図3と本質的に同じであり、格子外のチタン種はほとんど含有されず、チタンのほぼ全量がAFI型結晶骨格内にT原子として導入されていることがわかる。
実施例3
オルトチタン酸エチル(2.2g)を純水(4.0g)とジn−プロピルアミン(7.5g)と30質量%濃度の過酸化水素水(2.3g)の混合溶液に加えて、室温で2時間撹拌することによって、チタン過酸化物錯体水溶液を調製した。これをA液とする。Al源としてアルミニウムトリイソプロポキシド(Al(OPr))(28.6g)を純水(55.0g)に分散させて一昼夜撹拌したスラリーにA液を加えて室温で1時間撹拌した後、85質量%濃度のオルトリン酸(16.1g)を加えて、更に2時間撹拌した。得られた均質なゾルを90℃で撹拌しながら蒸発乾固することによって、黄色い前駆体の乾燥ゲルを得た。ゲルの組成は原子比で、Ti:Al:P:HNPr=1:14:14:7であった。
この前駆体乾燥ゲルをテフロン(R)カップに入れ、容積100mlのテフロン(R)製オートクレーブの中空に設置した。オートクレーブの底に1gの純水を入れ、175℃で24時間加熱することによって結晶化させた。室温まで冷却後、水(100mL)で洗浄したものを、空気気流中550℃で5時間焼成することによって、白色の生成物を得た。図2に示すように、得られた白色固体の粉末X線回折スペクトル測定の結果、AEL型構造のTAPO−11であることがわかる。また、UVスペクトルは図3と本質的に同じであり、格子外のチタン種はほとんど含有されず、チタンのほぼ全量がAEL型結晶骨格内にT原子として導入されていることがわかる。
比較例1
過酸化水素水を使用しない以外は実施例1と同様にして合成を行った。粉末X線回折スペクトルでは、AFI型構造の強いシグナルがみられるものの、帰属できない他の小さなシグナルがあった。図4に示したUVスペクトルの結果、実施例1〜3では存在しなかった285nm付近にショルダーシグナルが現れ、格子外に八面体チタン種が存在することがわかる。
図1は、実施例1における粉末線回折スペクトルを表すグラフである。 図2は、実施例3における粉末X線回折スペクトルを表すグラフである。 図3は、実施例1におけるUVスペクトルを表すグラフである。 図4は、比較例1におけるUVスペクトルを表すグラフである。

Claims (4)

  1. チタン、アルミニウム、リン及び構造指示剤を含有する乾燥ゲルを、水蒸気雰囲気下で熱処理する
    ことを特徴とする結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法。
  2. 前記乾燥ゲルを調製する際に使用するチタン源が、チタン過酸化物である
    ことを特徴とする請求項1に記載の結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法。
  3. 前記乾燥ゲルを調製する際に、リンを含有する化合物の非存在下にチタン過酸化物を調製する
    ことを特徴とする請求項2に記載の結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法。
  4. 前記結晶性チタノアルミノホスフェート中のチタンに対するアルミニウムの原子比が5以上である
    ことを特徴とする請求項1、2又は3のいずれかに記載の結晶性チタノアルミノホスフェートの製造方法。
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