JP2005246635A - 液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出ヘッド並びに液滴吐出記録装置、電界発光基板製造装置、マイクロアレイ製造装置及びカラーフィルタ製造装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出ヘッド並びに液滴吐出記録装置、電界発光基板製造装置、マイクロアレイ製造装置及びカラーフィルタ製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 シリコン基板と電極ガラス基板と陽極接合した後に該シリコン基板に吐出室等の各部分を形成するプロセスにおいて、陽極接合時のシリコン基板とアクチュエータ電極部との等電位を確実に確保するとともに、シリコン基板に設けられたギャップ封止用の封止溝をレジスト膜で確実に覆うようにした液滴吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 シリコン基板からなる第1の基板1と、ガラス基板からなり、予め該ガラス基板上にアクチュエータ電極部23を形成した第2の基板2とを陽極接合した後に、前記第1の基板の厚みを減らして少なくとも振動板12を形成する製造方法であって、陽極接合前に、前記アクチュエータ電極部と短絡する等電位接点25を前記第2の基板に形成する工程と、前記等電位接点が前記第1の基板に接触する窓17を該第1の基板の絶縁膜に形成する工程とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、液状の材料を吐出する液滴吐出ヘッドおよびその製造方法に関し、特にガラス基板との接合後に液滴吐出に必要な各部分をシリコン基板に形成する液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。そして、そのようにして製造した液滴吐出ヘッドを用いたカラーフィルタやOEL(Organic ElectoroLuminescenceの略称)表示基板(パネル)等の製造方法及び装置に関する。ここに、「液状の材料」とは、ノズルから吐出可能な粘度を有する材料をいい、材料が水性であると油性であるとを問わない。ノズルから吐出可能な流動性(粘度)備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。
最近の、静電駆動方式の液滴吐出ヘッドに要求される条件の一つとして、高密度化がある。一方、高密度化が増すにつれて、隣接の吐出室との間の側壁が薄くなるため、選択された吐出室の振動板を駆動し液状の材料(以下、液滴という)を吐出したときにその側壁も変形し、その変形が隣の駆動されていない(無駆動の)吐出室にも影響を与えるといった、いわゆるクロストークの問題が生じる。かかるクロストーク対策のために、吐出室等を形成するためのシリコン基板の厚さは側壁が変形しない程度の厚さ(側壁高さ)にすることが必要とされ、具体的にはシリコン基板の厚さは200μm以下とされている。そのため、このような薄いシリコン基板では、逆にハンドリング中に割れや欠けが発生して歩留まりが低下するという問題がある。それに加えて、薄いシリコン基板では大口径化も難しくなり、ヘッドチップの取り個数を増加することも期待できない。
そこで、これらの問題を解決する一方策として、シリコン基板を電極ガラス基板(液滴吐出ヘッドを駆動するためのアクチュエータ電極を形成したガラス基板をいう)に陽極接合した後に、該シリコン基板に吐出室等の各部分を加工するプロセスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ガラス基板はシリコン基板に比べて厚いため、ガラス基板とシリコン基板を接合した後では上述のようなハンドリング中の割れや欠けが発生し難いため、歩留まりや大口径化に有利となるからである。
また、陽極接合時の強電界によるシリコン基板とアクチュエータ電極の放電短絡等を防止するために、陽極接合時に、シリコン基板とガラス基板上のアクチュエータ電極とを電気的に接続し等電位にする方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−63072号公報 特開2002−283579号公報
特許文献1に示すように、シリコン基板と電極ガラス基板とを陽極接合した後にシリコン基板に吐出室等の各部分をエッチングで加工する方法をとる場合には、異物やガス等が振動板とアクチュエータ電極との間のギャップに侵入しないようギャップを気密に封止する封止手段を設ける必要がある。封止手段として封止溝がシリコン基板に設けられるが、シリコン基板側に等電位接点と接触する窓をパターニングするときにこの封止溝周辺部の絶縁膜がエッチングされてしまうことがある。その結果、陽極接合後にシリコン基板とアクチュエータ電極が短絡して、駆動不能となる場合があった。また、封止剤を封止溝に注入する際に、封止剤がアクチュエータ側に十分入り込まない場合があり、液滴吐出ヘッドの気密不良による耐久性低下を引き起こすこともあった。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、シリコン基板と電極ガラス基板と陽極接合した後に該シリコン基板に吐出室等の各部分を形成するプロセスにおいて、陽極接合時のシリコン基板とアクチュエータ電極部との等電位を確実に確保するとともに、シリコン基板に設けられたギャップ封止用の封止溝をレジスト膜で確実に覆うようにした液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することを主たる目的としている。
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、シリコン基板からなる第1の基板と、ガラス基板からなり、予め該ガラス基板上にアクチュエータ電極部を形成した第2の基板とを陽極接合した後に、前記第1の基板の厚みを減らして少なくとも振動板を形成する製造方法であって、陽極接合前に、
前記アクチュエータ電極部と短絡する等電位接点を前記第2の基板に形成する工程と、
前記等電位接点が前記第1の基板に接触する窓を該第1の基板の絶縁膜に形成する工程と、を有することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、陽極接合の際に、シリコン基板からなる第1の基板とガラス基板からなる第2の基板上のアクチュエータ電極部とが等電位接点を介して確実に等電位を確保できているため、シリコン基板(第1の基板)とアクチュエータ電極部との間で放電を起こすことはない。そのため、シリコン基板を電極ガラス基板(第2の基板)と一体化することで強度を確保できるため、シリコン基板をより薄くことができ、かつ、クロストークを起こすことなく、液滴吐出ヘッドの高密度化が可能となる。また、ハンドリングが容易となるため、歩留まりが向上し、また大口径のウェハを用いることができるため、チップの多数個取りが可能となり生産性が向上する。
請求項2の発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、シリコン基板からなる第1の基板と、ガラス基板からなり、予め該ガラス基板上にアクチュエータ電極部を形成した第2の基板とを陽極接合した後に、前記第1の基板の厚みを減らして少なくとも振動板を形成する製造方法であって、陽極接合前に、
前記アクチュエータ電極部と短絡する等電位接点を前記第2の基板に形成する工程と、
前記等電位接点が前記第1の基板に接触する窓を該第1の基板の絶縁膜に形成する工程と、
前記アクチュエータ電極部と前記振動板との間のギャップを封止するための封止溝を前記第1の基板に形成する工程と、
前記封止溝にギャップ封止材を供給する工程と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明によれば、上述の請求項1の発明の効果に加えて、シリコン基板に設けられた封止溝にギャップ封止剤を供給することによって、振動板とアクチュエータ電極部との間のギャップを気密に封止することができるため、ギャップ内への異物やガス、湿気等の侵入を確実に防止することができ、液滴吐出ヘッドの耐久性が向上する。
請求項3の発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、ヘッドチップ毎に前記等電位接点を設けるものである。
請求項3の発明によれば、ヘッドチップ毎に等電位接点を設けることによって、ヘッドチップ毎に独立して等電位を確保することができる。そのため、例えばあるヘッドチップの等電位接点が接触不良により、放電を起こし壊れたとしても、他のヘッドチップには影響しないので、歩留まりを高くすることが可能となる。
請求項4の発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、前記第1の基板の絶縁膜に前記窓を形成する際のレジストコート方法として、スプレーコート法を用いる。
第1の基板の絶縁膜に窓を開けるためのパターニングの際に、通常用いられるスピンコート法を用いると、封止溝のエッジ部でレジストが切れてしまい、封止溝周辺部の絶縁膜がエッチングされてしまう。その結果、陽極接合時にアクチュエータ電極部の短絡やギャップ封止剤の進入不良による耐久性低下などを引き起こす。そのため、請求項4の発明ではスプレーコート法を採用することとし、封止溝をレジストで確実に覆うことができるようにした。
請求項5の発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、前記等電位接点及び前記アクチュエータ電極部を、同じITO材料で形成する。
請求項5の発明によれば、等電位接点及びアクチュエータ電極部を透明導電性のITO材料で形成するので、陽極接合後に放電したかどうかを確認しやすいうえに、一度にかつ同じ厚みで作製することができる。
請求項6の発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、前記ヘッドチップ毎に切り離す際、前記等電位接点及び前記アクチュエータ電極部の短絡を絶つものである。
これによって、独立した吐出機能を有する液滴吐出ヘッドが得られる。
請求項7の発明に係る液滴吐出ヘッドは、ノズルプレートと、キャビティプレートと、電極ガラス基板とを相互に接合した積層構造を有するものであって、
シリコン基板からなる前記キャビティプレートと前記電極ガラス基板とが陽極接合されており、前記電極ガラス基板上に設けられた等電位接点が前記キャビティプレートの絶縁膜に開口された窓を通じて該キャビティプレートに直接接触する構成としたものである。
請求項7の発明による液滴吐出ヘッドでは、電極ガラス基板上に設けられた等電位接点がキャビティプレートの絶縁膜に開口された窓を通じてキャビティプレートに直接接触する構成としたので、キャビティプレートを形成するためのシリコン基板とアクチュエータ電極部が形成された電極ガラス基板との陽極接合時の等電位を確実に確保することができる。また、キャビティプレートの薄型化が可能なので、高密度の液滴吐出ヘッドを実現できる。
請求項8の発明に係る液滴吐出ヘッドは、前記等電位接点を、前記電極ガラス基板に設けられた凹部内よりそのガラス基板面に延設する。
このように構成することにより、必要最小限の接点部及びこの接点部が入る窓の大きさとすることができる。
請求項9の発明に係る液滴吐出ヘッドは、前記等電位接点及び前記アクチュエータ電極部は、同じ導電性材料で形成され、ほぼ同じ厚みを有するものである。
この構成により、等電位接点とアクチュエータ電極部とを同時形成することができる。
請求項10の発明に係る液滴吐出ヘッドは、前記キャビティプレートに封止溝を設け、前記電極ガラス基板に設けられた供給口を通じてギャップ封止剤を充填してなるものである。
この構成により、キャビティプレートの振動板と電極ガラス基板上のアクチュエータ電極部との間のギャップを気密に封止することができ、液滴吐出ヘッドの耐久性を向上させることができる。
請求項11の発明に係る液滴吐出記録装置は、請求項7乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有し、該液滴吐出ヘッドにインクを供給するインク供給手段と、ヘッド位置制御信号に基づいて前記液滴吐出ヘッドを移動させる走査駆動手段と、記録対象となる記録部材と前記液滴吐出ヘッドとの相対位置を変化させる位置制御手段と、を有するものである。
上述のように、液滴吐出ヘッドの耐久性を向上させることができるので、かかる液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出記録装置は長寿命化が可能となる。
請求項12の発明に係る電界発光製造装置は、請求項7乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有し、該液滴吐出ヘッドに発光材料を含む溶液を供給する材料供給手段と、位置制御信号に基づいてノズルから電界発光基板に向けての前記溶液の吐出を制御する制御手段と、を有するものである。
上述のように、液滴吐出ヘッドの耐久性を向上させることができるので、かかる液滴吐出ヘッドを備えた電界発光製造装置は長寿命化が可能となる。
請求項13の発明に係る電界発光基板製造装置は、前記発光材料を有機化合物とするものである。
これにより、発光の反応がよい電界発光基板を効率よく製造することができる。
請求項14の発明に係るマイクロアレイ製造装置は、請求項7乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有し、該液滴吐出ヘッドとマイクロアレイ基板とを相対的に移動させる駆動手段と、前記液滴吐出ヘッドが有するノズルからマイクロアレイ群に向けての生体分子を含む液体の吐出を制御する制御手段と、を有するものである。
請求項15の発明に係るカラーフィルタ製造装置は、請求項7乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有し、該液滴吐出ヘッドにカラーフィルタを形成させる溶液を供給する材料供給手段と、位置制御信号に基づいてノズルからカラーフィルタ基板に向けての前記溶液の吐出を制御する制御手段と、を有するものである。
上述のように、液滴吐出ヘッドの耐久性を向上させることができるので、かかる液滴吐出ヘッドを備えたカラーフィルタ製造装置は長寿命化が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の第1の実施の形態に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した斜視図で、一部を断面で表してある。図1はフェイス吐出型の液滴吐出ヘッドを表している。また、図示は省略するが、エッジ吐出型の液滴吐出ヘッドの場合でも同様に本発明を適用することができる。
この液滴吐出ヘッド10は、3枚の基板1、2、3を相互に接合した積層構造となっている(図2参照)。以下、それぞれの基板1、2、3の構成について詳細に説明する。
図1において、第1の基板1であるキャビティプレート11は例えば厚さ約140μmの(110)面方位のシリコン単結晶基板(このシリコン基板を含め、以下、単にシリコン基板という)で構成されている。シリコン基板に異方性ウェットエッチングをし、キャビティプレート11の各部分である、底壁が振動板12となる吐出室13、各ノズルに共通に吐出する液状の材料を貯めておくためのリザーバ14を形成する。また、ギャップ封止剤を流入させるための封止溝15を形成する。ここで、キャビティプレート11の下面(ガラス基板21と対向する面)には、絶縁膜となるTEOS(Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン、珪酸エチル)膜0.1μmをプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )法により成膜している。これは、液滴吐出ヘッドを駆動させた時の絶縁破壊及び短絡を防止するためである。
第2の基板2となるガラス基板21は厚さ約1mmであり、図1で見るとキャビティプレート11の下面に接合される。ここでガラス基板21となるガラスにはホウ珪酸系の耐熱硬質ガラスを用いることにする。ガラス基板21には、キャビティプレート11に形成される各吐出室13に合わせ、エッチングにより深さ約0.3μmの凹部22が設けられる。その内部に電極23a、リード部23b及び端子部23c(以下、これらを合わせてアクチュエータ電極部23という)を設けるので、その凹部22のパターン形状は電極部形状よりも少し大きめに作製する。本実施の形態では、凹部22内部に設けるアクチュエータ電極部23の材料として、酸化錫を不純物としてドープした透明のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を用い、凹部22内に例えば0.1μmの厚さにスパッタ法を用いて成膜する。その際、等電位接点25となるITOパターンも同時に成膜する。したがって、振動板12と電極23aとの間で形成されるギャップ(空隙)は、この凹部22の深さ、電極23a及び振動板12を覆うTEOS膜の厚さにより決まることになる。このギャップは吐出特性に大きく影響する。ここで、アクチュエータ電極部23の材料はITOに限定するものではなく、クロム等の金属等を材料に用いてもよいが、本実施の形態では、後述するように等電位接点25も同時に成膜できる、透明であるので放電したかどうかの確認が行いやすい等の理由でITOを用いることとする。また、ガラス基板21には、リザーバ14と連通する液状材料供給口26及びギャップ部分を封止するための封止ギャップ剤を供給する封止剤供給口27を設ける。
第3の基板3となるノズルプレート31は例えば厚さ約180μmのシリコン基板である。ガラス基板21とは反対の面(図1の場合には上面)でキャビティプレート11と接合している。ノズルプレート31上面には、吐出室13と連通するノズル32が形成される。下面にはオリフィス33を設け、吐出室13とリザーバ14とを連通させる。ここではノズル32を有するノズルプレート31を上面とし、ガラス基板21を下面として説明するが、実際に用いられる場合には、ノズルプレート31の方がガラス基板21よりも下面になることが多い。
図2は液滴吐出ヘッドの断面図である。図2は全体の断面図、図3は等電位接点25部分を拡大した断面図を表している。図2において、吐出室13は、ノズル32から吐出させる液状材料を溜めておく。吐出室13の底壁である振動板12を撓ませることにより、吐出室13内の圧力を高め、ノズル32から液滴を吐出させる。本実施の形態では、振動板12は、高濃度のボロンドープ層で構成されている。所望の厚さの振動板12を形成するために、同じだけの厚さのボロンドープ層を形成する。これはアルカリ性水溶液でシリコンの異方性ウェットエッチングを行った場合、ボロンをドーパントとしたときには高濃度(約5×1019atoms・cm-3以上)の領域で極端にエッチングレートが小さくなる。したがって、本実施の形態では吐出室13、リザーバ14を異方性ウェットエッチングで形成する場合に、ボロンドープ層が露出するとエッチングレートが極端に小さくなることを利用した、いわゆるエッチングストップ技術を用いて、振動板12の厚さ、吐出室13の容積を高精度で形成する。エッチングストップとは、エッチング面から発生する気泡が停止した状態と定義し、実際のウェットエッチングにおいては、気泡の発生の停止をもってエッチングがストップしたものと判断する。
4は、ワイヤ5を介してアクチュエータ電極部23の端子部23cと接続され、電極23aに電荷の供給及び停止を制御する発振回路である。発振回路4は例えば24kHzで発振し、電極23aに0Vと30Vのパルス電位を印加して電荷供給を行う。この発振回路4が駆動し、電極23aに電荷を供給して正に帯電させると、振動板12は負に帯電し、静電気力により電極23aに引き寄せられて撓む。これにより吐出室13の容積は広がる。そして、電極23aへの電荷供給を止めると振動板12は元に戻るが、そのときの吐出室の容積も元に戻るから、その圧力により差分のインク滴6が吐出し、例えば記録対象となる記録紙7に着弾することによって記録が行われる。なお、このような方法は引き打ちと呼ばれるものであるが、バネ等を用いて液滴を吐出する押し打ちと呼ばれる方法もある。なお、キャビティプレート11と発振回路4とについてもワイヤでキャビティプレート11上の共通電極20(図1参照)に接続される。また、端子部23cとワイヤ5とは電極取り出し口18を介して接続されている。また、図2において、19はギャップ封止剤であり、上記封止溝15、封止剤供給口27、及びギャップ封止剤19を合わせてギャップ封止手段と呼ぶ。
図4はガラス基板21を上面から見た図であり、あるヘッドチップ(液滴吐出ヘッド10)のガラス基板21を表している。また、図5はウェハに対する複数のヘッドチップ(液滴吐出ヘッド10)及びその等電位接点25の配置関係を表した説明図である。
等電位接点25は図5に示すように、各ヘッドチップに独立して設けられており、また図4に示すように、接続部24を介して各アクチュエータ電極部23と接続されており、陽極接合時にキャビティプレート11とガラス基板21上のアクチュエータ電極部23との間を等電位にする。等電位接点25となる部分については、ガラス基板21の凹部22を形成する際に同時に凹部28をエッチングにより形成する。そして、その上に、アクチュエータ電極部23の形成とともに導電性であるITOを0.1μm成膜する。すなわち、等電位接点25は、図2、図3に示すように、凹部28内からガラス基板21の表面上に延設された部分を有し、この部分がガラス基板21とキャビティプレート11との陽極接合時の接点部25aとなっている。したがって、接点部25aはガラス基板21の表面よりも0.1μmだけ高くなっている。
一方、キャビティプレート11において、この部分のTEOS絶縁膜(0.1μm)16を取り除いて窓17を形成し、この窓17を通じて接点部25aをキャビティプレート11の主たる材料であるシリコン(すなわち、ボロンドープ面)と接触させることでガラス基板21上のアクチュエータ電極部23との等電位を確保する。
ダイシングライン100は、ウェハに一体形成された複数の液滴吐出ヘッドを切り離す際のラインである。したがって、図4においてダイシングライン100よりも右側にある部分は、完成された液滴吐出ヘッドには残らない。また、このダイシングによって等電位接点25と各アクチュエータ電極部23とを短絡させる接続部24も除去されるので、等電位接点25及び各アクチュエータ電極部23は個々に分離される。なお、図4の液滴吐出ヘッドでは、アクチュエータ電極部23は5つしか記載していないが、実際には1つの液滴吐出ヘッドには多くのノズル32が存在し、その数に応じたアクチュエータ電極部が形成されている。
図6及び図7は第1の実施の形態に係る液滴吐出ヘッドの製造工程を表す図である。図6、図7に基づいて、本発明における0.8μmの振動板12を有する液滴吐出ヘッドの製造工程について説明する。なお、実際には、シリコンウェハから複数個分の液滴吐出ヘッドを同時形成するが、図6、図7ではその一部分だけを示している。
(a)まず、約1mmのガラス基板60に対し、電極部の形状パターンに合わせて0.3μmの深さの凹部22を形成する。等電位接点25となる部分については、アクチュエータ電極部の凹部22とともに凹部28(図4参照)を同時形成する。ここで、等電位接点25の形状については、アクチュエータ電極部とシリコン基板とを接触させて等電位にすることができればその形状は問わない。凹部22、28の形成後、例えばスパッタ法を用いてITOを0.1μmの厚さのアクチュエータ電極部及び等電位接点25を同時形成する。その状態は、例えば図4に示したとおり、各アクチュエータ電極部23と等電位接点25これが接続部24で短絡した状態となっている。これにより、アクチュエータ電極部23及び等電位接点25が予め形成された電極ガラス基板61が作製され、また等電位接点25の接点部25aは凹部28内より前方へ延設された状態となる。ここで、等電位接点25部分に対応するITOとTEOS絶縁膜16とがそれぞれ厳密に0.1μmの厚さに形成されていなくても、通常、スパッタ法による成膜で起こる程度の厚みの誤差範囲であれば、陽極接合により強電界が発生するため、機械的に接触していなくてもアクチュエータ電極部とシリコン基板との間では電気的な接続が確保され、等電位にすることができるので特に問題は生じない。
その後、ガラス基板21にドリルで穴を掘り、液状材料供給口26及び封止剤供給口27を形成する。ただし、この時点では穴は貫通させない。(貫通させてしまうと、キャビティプレートを接合した後の工程で用いる薬液がギャップ内に入り込んでしまう)。
(b)次に、(110)を面方位とする酸素濃度の低いシリコン基板50の両面を鏡面研磨し、525μmの厚みの基板を作製する。そして、鏡面研磨した面(ボロンドープ層51を形成する面)に付着している微小パーティクル(粒子等、大気中の浮遊物、人体からの発塵等)及び金属を除去するために、SC−1洗浄(アンモニア水と過酸化水素水の混合液による洗浄)とSC−2洗浄(塩酸と過酸化水素水の混合液による洗浄)のコンビネーション洗浄を行う。なお、パーティクルや金属を除去できるのであれば、洗浄方法はSC−1洗浄やSC−2洗浄に特に限る必要はない。
次に、シリコン基板50のボロンドープ層51を形成する面をB23を主成分とする固体の拡散源に対向させて石英ボードにセットする。そして、縦型炉にその石英ボートをセットし、炉内を窒素雰囲気にし、温度を1050℃に上昇させ、そのまま温度を7時間保持し、ボロンをシリコン基板50中に拡散させ、ボロンドープ層51を形成する。ボロンドープ工程では、シリコン基板の投入温度を800℃とし、シリコン基板の取り出し温度も800℃とする。これにより、酸素欠陥の成長速度が速い領域(600℃から800℃)をすばやく通過することができるため、酸素欠陥の発生を抑えることができる。ボロンドープ層51の表面にはボロン化合物(SiB6膜)が形成されるが(図示せず)、酸素及び水蒸気雰囲気中、600℃の条件で1時間30分酸化することで、ふっ酸水溶液によるエッチングが可能なB23+SiO2に化学変化させることができる。B23+SiO2に化学変化させた状態で、B23+SiO2をふっ酸水溶液にてエッチング除去する。
そして、シリコン基板50の両面にプラズマCVD法によりTEOS膜52を、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は700W、圧力は33.3Pa(0.25Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3/min(100sccm)、酸素流量1000cm3/min(1000sccm)の条件で2μm成膜する。
(c)ボロンドープ面と反対面にレジストを塗布した後、ボロンドープ面側にレジストを塗布し、封止材を流し込む溝を作り込むためのレジストパターニングを施し、ふっ酸水溶液でエッチングしTEOSエッチングマスクをパターニングする。硫酸によるレジスト剥離後、シリコン基板50を35w%の濃度の水酸化カリウム溶液に浸し、封止溝15の深さが100μmになるまでエッチングを行う。
(d)シリコン基板50をふっ酸水溶液に浸し、両面のTEOS膜を全面剥離する。そして、ボロンドープ面にプラズマCVDによりTEOS絶縁膜16を、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は250W、圧力は66.7Pa(0.5Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3/min(100sccm)、酸素流量1000cm3/min(1000sccm)の条件で0.1μm成膜する。
そのTEOS絶縁膜16に、陽極接合時にITO電極からなる等電位接点25が接する窓17を開けるためのレジストパターニングを施し、ふっ酸水溶液でエッチングしTEOS絶縁膜16をパターニングする。この時レジストコートはスプレーレジストコート法により行われる。
図8はレジストコートを、(a)スピンコートで行った場合と(b)スプレーコートで行った場合のレジストの付着状況を模式的に示したものである。
スピンコート法の場合は、基板を数千rpmで高速回転させながら数ccのレジストを基板中央にノズルから吐出する。レジストは遠心力で基板面内に引き伸ばされるが、基板に段差部や溝等があると、その部分から先は引き伸ばしが難しくなる。本実施の形態では、シリコン基板50のヘッドチップ毎に封止溝15が形成されているため、封止溝15のエッジ部でレジスト53が切れてしまい、封止溝15の部分にレジスト53を被覆させることができない。その結果、TEOS絶縁膜16のエッチング時に、封止溝周辺部のTEOS絶縁膜16もエッチングされてしまい、先に述べたように陽極接合後にキャビティプレートとアクチュエータ電極部が短絡して駆動不能になるなどの問題があった。
そこで、本実施の形態では、スプレーコート法を採用し、スプレーノズルをX、Y方向にスキャンしながらスプレーノズルから約粒径1μm(但し、レジストの粘度により粒径は変化する)のレジストを噴霧し均一に塗布していく。なお、スプレーノズルを固定して基板側をスキャンさせてもよい。スプレーコート法は、レジストの塗布速度及び平坦性の点ではスピンコート法に劣るものの、封止溝15のレジストコートとしてはスプレーコート法で十分満足のいく性能が得られる。すなわち、スプレーコート法の場合は、封止溝15の内面も周辺部もほぼ均一な厚さでレジスト53をコーティングすることができる。したがって、TEOS絶縁膜16がエッチングされることはない。
また、スプレーコート法のほかにはディップコート法でもよい。ディップコート法は基板をレジストの貯槽に浸し、ゆっくり引き上げることで、基板表面にレジストをコーティングする方法であり、レジストが厚くなりやすい面もあるが封止溝のコーティングにはそれほど問題はない。
(e)シリコン基板50と電極ガラス基板61を360℃に加熱した後、電極ガラス基板に負極、シリコン基板に正極を接続して、800Vの電圧を印加して陽極接合する。この時、電圧の昇圧レートを速くしすぎると、等電位接点25に大電流が流れ、ITO配線にダメージが加わってしまうため、電流が10mAを越えないように確認しながら、接合するとよい。
(f)陽極接合後、シリコン基板表面を、シリコン基板の厚さが約150μmになるまで研削加工を行う。その後、加工変質層を除去するために、32w%の濃度の水酸化カリウム溶液でシリコン基板を約10μmエッチングする。これによりシリコン基板の厚さは約140μmとなる。
加工変質層除去後、全面エッチング面にTEOSエッチングマスク54を、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は700W、圧力は33.3Pa(0.25Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3/min(100sccm)、酸素流量1000cm3/min(1000sccm)の条件で1.5μm成膜する。
(g)TEOSエッチングマスク54に吐出室13、リザーバ14、電極取り出し口を作り込むためのレジストパターニングを施し、ふっ酸水溶液でエッチングしTEOSエッチングマスク54をパターニングする。なお、リザーバ部にはTEOSエッチングマスクを0.3μm程度残し、水酸化カリウム水溶液でのエッチングが遅れて始まるようにする。
接合済み基板を35w%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、ボロンドープ層51でのエッチングレート低下によるエッチングストップが十分効くまでエッチングを続ける。前記2種類の濃度の異なる水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことによって、振動板の面荒れを抑制し、厚み精度を0.80±0.05μm以下にすることができ、液滴吐出ヘッドの吐出性能を安定化することができる。また、リザーバ部の残りSi厚みは、エッチングが遅れて始まるため、約40μmとなる。
(h)シリコンエッチングが終了したら、接合済み基板をふっ酸水溶液に浸し、シリコン基板表面のTEOSエッチングマスクを剥離する。その後、RFパワー200W、圧力40Pa(0.3Torr)、CF4流量30cm3/min(30sccm)の条件で、Siマスクを用いてRIEドライエッチングを50分間行い、電極取り出し口18部分のみにプラズマを当て、天板部55を除去して開口する。
(i)電極ガラス基板の液状材料供給口26及び封止剤供給口27部分にレーザ加工を施し、各供給口を貫通させる。
供給口貫通後、封止剤供給口27にギャップ封止剤19としてエポキシ樹脂を流し込み、ギャップを封止する。これによって、ギャップは密閉状態になる。電極取り出し口18を開口する前にギャップを封止することで、開口時に異物やガスがギャップ内に入ることを防止することができる。
(j)液状材料供給口26とリザーバ14を連通する穴を機械加工またはレーザ加工により貫通させる。
次に、各ヘッドチップ毎にノズル32やオリフィス33が予め形成されたノズルプレート70をエポキシ系接着剤によりシリコン基板の上面に接着する。
(k)最後に、ダイシングラインに沿ってダイシングを行い、ウェハに一体形成されている複数の液滴吐出ヘッド10を個々に切り離して完成する。この時、陽極接合時には短絡していたITO電極(アクチュエータ電極部及び等電位接点)は、インクキャビティ毎に分断される。
以上のように、第1の実施の形態によれば、前述のシリコン基板と電極ガラス基板を接合した後に、インクキャビティを形成する方法を用いることで、取り扱いが容易となるため、基板の割れを低減することができ、かつ基板の大口径化が可能となる。大口径化が可能となれば、一枚の基板から多くの液滴吐出ヘッドを取り出すことができるため、生産性を向上させることができる。
また、等電位をとるための窓をパターニングする際に、スプレーコート法によるレジストコートを行うので、先に形成済みの封止溝周辺部もレジストで覆うことができ、封止溝周辺部のTEOS絶縁膜がエッチングされない。これにより、シリコンキャビティプレートとアクチュエータ電極部が短絡することを防止することができる。また、封止剤のアクチュエーター側への入り込み量を安定化させ、アクチュエータの気密不良による耐久性低下を防止することができる。
さらに、シリコン基板とガラス基板を陽極接合した後に、インクキャビティのパターニングを行うため、ガラス基板とインクキャビティとの合わせ精度が向上し、高密度化に対応することができる。
実施の形態2.
図9は上述の実施の形態で製造した液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出方式(インクジェット方式)の印刷装置の主要な構成手段を表す図である。この液滴吐出印刷装置はいわゆるシリアル型の装置である。図9において、被印刷物であるプリント紙110が支持されるドラム111と、プリント紙110にインクを吐出し、記録を行う液滴吐出ヘッド112とで主に構成される。また、図示していないが、液滴吐出ヘッド112にインクを供給するためのインク供給手段がある。プリント紙110は、ドラム111の軸方向に平行に設けられた紙圧着ローラ113により、ドラム111に圧着して保持される。そして、送りネジ114がドラム111の軸方向に平行に設けられ、液滴吐出ヘッド112が保持されている。送りネジ114が回転することによってに液滴吐出ヘッド112がドラム111の軸方向に移動するようになっている。
一方、ドラム111は、ベルト115等を介してモータ116により回転駆動される。また、プリント制御手段117は、印画データ及び制御信号に基づいて送りネジ114、モータ116を駆動させ、また、ここでは図示していないが、液滴吐出ヘッド112にある発振回路4を駆動させて振動板12を振動させ、制御をしながら印刷を行わせる。
以上のように第2の実施の形態によれば、液滴吐出ヘッドを製造する工程において、封止剤を封入し、長寿命化を図った液滴吐出ヘッドを用いるようにしたので、同様に長寿命の印刷装置を得ることができる。しかも、上述の製造方法はキャビティプレートを薄く加工することができるので、振動板をさらに薄く形成することができ、ノズル、吐出室等の間隔を狭くすることができ、さらに高解像度の印刷をすることができる。
実施の形態3.
図10は上述の実施の形態で製造した液滴吐出ヘッドを用いたOELを用いた表示パネル(以下、OEL基板という)の製造装置を表す図である。図10において、120は上述の実施の形態で説明したものと同様の液滴吐出ヘッドである。ここで、液滴吐出ヘッド120は3次元的に移動できるものとする。また、液滴吐出ヘッド120は第1の実施の形態で説明した液滴吐出ヘッドを複数つなぎ合わせたものであってもよい。
Y方向駆動軸122にはY方向駆動モータ123が接続されている。Y方向駆動モータ123は、例えばステッピングモータ等である。制御手段128からY軸方向の駆動信号が供給されると、Y方向駆動軸122を回転させる。Y方向駆動軸122が回転させられると、液滴吐出ヘッド120はY方向駆動軸122の方向に沿って移動する。X方向ガイド軸124は、基台127に対して動かないように固定されている。
設置台121は、製造すべきOEL用基板130を設置させるものである。設置台121には、OEL用基板130を基準位置に固定するための機構が備えられている。設置台121には設置台駆動モータ125が備えられている。設置台駆動モータ125も、例えばステッピングモータ等である。制御手段128からX軸方向の駆動信号が供給されると、設置台121をX軸方向に移動させる。すなわち、設置台121をX軸方向に駆動し、液滴吐出ヘッド120をY軸方向に駆動させることで、液滴吐出ヘッド120をOEL用基板130上のいずれの場所にも自在に移動させることができる。また、OEL用基板130に対する液滴吐出ヘッド120の相対速度も、各軸方向の駆動機構によって駆動する設置台121と液滴吐出ヘッド120の速度によって定まる。
制御手段128は、液滴吐出ヘッド120の発振回路(図示せず)を発振させるための液滴吐出用の電圧を印加し、インク吐出の制御を行う。また、Y方向駆動モータ123には、液滴吐出ヘッド120のY軸方向の移動を制御する駆動信号を送信する。設置台駆動モータ125には設置台121のX軸方向の移動を制御する駆動信号を送信する。
クリーニング機構部126は、液滴吐出ヘッド120を清掃する清掃用布を備えている。特に図示していないが、クリーニング機構部126にもX方向駆動モータが備えられている。そして、このX方向駆動モータを駆動することにより、クリーニング機構126は、X方向ガイド軸124に沿って移動する。このクリーニング機構126の移動も制御手段128によって制御される。ヒータ129は、照明の照射によりOEL用基板130を加熱し、インクの蒸発、乾燥等を行う。このヒータ129の照明の照射に関する制御も制御手段128が行う。
なお、本実施の形態では、液滴吐出ヘッド120はY軸方向にしか移動せず、X軸方向については設置台121が移動するようにした。これを逆にしてもよいし、また、液滴吐出ヘッド120又は設置台121のどちらか一方又は双方がX軸方向及びY軸方向の双方に移動できるようにしてもよい。
次に、本発明に係る部分のOEL基板の製造について説明する。OELに発光層等を形成する方法として、例えば発光材料を蒸着させる方法も採ることができる。ただ、液滴吐出方式でOEL基板の製造を行うと、電界発光素子となる高分子有機化合物の塗布とパターニングとが一度で行える。また目的の位置に直接吐出するので、電界発光素子となる有機化合物を無駄にせず必要最小限の量を吐出するだけですむ。
そこで本実施の形態では、例えばガラス等の透明基板上にITO電極、正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、例えば、赤、緑、青に発光する発光材料を溶媒に溶かした溶液を液滴吐出ヘッド120から基板上に吐出し、塗布する。そして、その溶液の溶媒を蒸発させて発光層を形成するようにする(通常は、加法原色の3色である赤、緑、青の発光材料を用いるので、以下はこれらの発光材料を念頭に説明するが、これに限定されるものではない)。ここで赤の発光層となる部分には、ローダミンBをドープしたPPV(ポリ(p・フェニレンビニレン))のキシレン溶液を用いる。また緑の発光層となる部分にはMEH・PPVのキシレン溶液を用いる。さらに青の発光層となる部分にはクマリンをドープしたPPVのキシレン溶液を用いる。ここで、赤、青又は緑の発光層に用いる有機化合物及び溶液はさまざまあるので、特に上記に示したものでなくてもよい。また、中間色を発色するような材料を用いてもよい。
そして、電子注入層として例えばPPVを溶媒に溶かして塗布した後にコーティング乾燥する。その後、例えばアルミニウムリチウム合金の陰極電極をパターニングして、OEL基板を作製する。
以上のように第3の実施の形態によれば、液滴吐出方式のOEL基板製造装置を構成したので、真空蒸着等の高度の技術を用いなくても容易に基板を製造することができる。また、液滴吐出ヘッドを製造する工程において、封止剤を封入し、長寿命化を図った液滴吐出ヘッドを用いるようにしたので、同様に長寿命のOEL基板製造装置を得ることができる。しかも、上述の製造方法はキャビティプレートを薄く加工することができるので、振動板をさらに薄く形成することができ、ノズル、吐出室等の間隔を狭くすることができ、さらに高解像度のOEL基板を製造することができる。
実施の形態4.
上述の第3の実施の形態では、第1の実施の形態のような液滴吐出ヘッドをOEL基板の製造装置に利用することについて説明した。ただ、本発明はこれに限定されるものではない。DNA(Deoxyribo Nucleic Acids :デオキシリボ核酸)、他の核酸(例えば、Ribo Nucleic Acid:リボ核酸、Peptide Nucleic Acids:ペプチド核酸等)等、他のバイオ、ウィルス等の生体化学に関する分子(生体分子)のマイクロアレイ、物質検査のマイクロアレイ等を製造、検査等をするスポッタ等の装置にも利用することもできる。また、カラーフィルタを形成するための化合物を含む溶液、染料の吐出等、他のあらゆる工業用途、家庭用途に、上述の実施の形態のように製造した液滴吐出ヘッドを用いた印刷装置、記録装置を用いることができる。
液滴吐出ヘッドを分解して表した図。 液滴吐出ヘッドの断面図。 等電位接点部の拡大断面図。 ガラス基板を上面から見た図。 ウェハと複数のヘッドチップ及び等電位接点の配置関係を表した図。 液滴吐出ヘッドの製造工程図。 図6に続く製造工程図。 レジストの付着状況をスピンコート、スプレーコートの場合で比較した図。 液滴吐出印刷装置の主要な構成手段を表す図。 液滴吐出ヘッドを用いた製造装置の例を表す図。
符号の説明
1 第1の基板、2 第2の基板、3 第3の基板、4 発振回路、5 ワイヤ、6 インク滴、7 記録紙、10 液滴吐出ヘッド、11 キャビティプレート、12 振動板、13 吐出室、14 リザーバ、15 封止溝、16 TEOS絶縁膜、17 窓、18 電極取り出し口、19 ギャップ封止剤、20 共通電極、21 ガラス基板、22 凹部、23 アクチュエータ電極部、23a 電極、23b リード部、23c 端子部、24 接続部、25 等電位接点、25a 等電位接点の接点部、26 液状材料供給口、27 封止剤供給口、28 凹部、31 ノズルプレート、32 ノズル、33 オリフィス、50 シリコン基板、51 ボロンドープ層、52 TEOS膜、53 レジスト、54 TEOSエッチングマスク、55 天板部、60 ガラス基板、61 電極ガラス基板、70 ノズルプレート、100 ダイシングライン、110 プリント紙、111 ドラム、112 液滴吐出ヘッド、113 紙圧着ローラ、114 送りネジ、115 ベルト、116 モータ、117 プリント制御手段、120 液滴吐出ヘッド、121 設置台、122 Y方向駆動軸、123 Y方向駆動モータ、124 X方向ガイド軸、125 設置台駆動モータ、126 クリーニング機構部、127 基台、128 制御手段、129 ヒータ、130 OEL用基板

Claims (15)

  1. シリコン基板からなる第1の基板と、ガラス基板からなり、予め該ガラス基板上にアクチュエータ電極部を形成した第2の基板とを陽極接合した後に、前記第1の基板の厚みを減らして少なくとも振動板を形成する製造方法であって、陽極接合前に、
    前記アクチュエータ電極部と短絡する等電位接点を前記第2の基板に形成する工程と、
    前記等電位接点が前記第1の基板に接触する窓を該第1の基板の絶縁膜に形成する工程と、
    を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  2. シリコン基板からなる第1の基板と、ガラス基板からなり、予め該ガラス基板上にアクチュエータ電極部を形成した第2の基板とを陽極接合した後に、前記第1の基板の厚みを減らして少なくとも振動板を形成する製造方法であって、陽極接合前に、
    前記アクチュエータ電極部と短絡する等電位接点を前記第2の基板に形成する工程と、
    前記等電位接点が前記第1の基板に接触する窓を該第1の基板の絶縁膜に形成する工程と、
    前記アクチュエータ電極部と前記振動板との間のギャップを封止するための封止溝を前記第1の基板に形成する工程と、
    前記封止溝にギャップ封止剤を供給する工程と、
    を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  3. ヘッドチップ毎に前記等電位接点を設けることを特徴とする請求項1または2記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記第1の基板の絶縁膜に前記窓を形成する際のレジストコート方法として、スプレーコート法を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  5. 前記等電位接点及び前記アクチュエータ電極部は、同じITO材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記ヘッドチップ毎に切り離す際、前記等電位接点及び前記アクチュエータ電極部の短絡を絶つことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  7. ノズルプレートと、キャビティプレートと、電極ガラス基板とを相互に接合した積層構造を有するものであって、
    シリコン基板からなる前記キャビティプレートと前記電極ガラス基板とが陽極接合されており、前記電極ガラス基板上に設けられた等電位接点が前記キャビティプレートの絶縁膜に開口された窓を通じて該キャビティプレートに直接接触してなることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 前記等電位接点は、前記電極ガラス基板に設けられた凹部内よりそのガラス基板面に延設してなることを特徴とする請求項7記載の液滴吐出ヘッド。
  9. 前記等電位接点及び前記アクチュエータ電極部は、同じ導電性材料で形成され、ほぼ同じ厚みを有することを特徴とする請求項7または8記載の液滴吐出ヘッド。
  10. 前記キャビティプレートに封止溝を設け、前記電極ガラス基板に設けられた供給口を通じてギャップ封止剤を充填してなることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  11. 請求項7乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有し、
    該液滴吐出ヘッドにインクを供給するインク供給手段と、
    ヘッド位置制御信号に基づいて前記液滴吐出ヘッドを移動させる走査駆動手段と、
    記録対象となる記録部材と前記液滴吐出ヘッドとの相対位置を変化させる位置制御手段と、
    を有することを特徴とする液滴吐出記録装置。
  12. 請求項7乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有し、
    該液滴吐出ヘッドに発光材料を含む溶液を供給する材料供給手段と、
    位置制御信号に基づいてノズルから電界発光基板に向けての前記溶液の吐出を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする電界発光基板製造装置。
  13. 前記発光材料は、有機化合物であることを特徴とする請求項12記載の電界発光基板製造装置。
  14. 請求項7乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有し、
    該液滴吐出ヘッドとマイクロアレイ基板とを相対的に移動させる駆動手段と、
    前記液滴吐出ヘッドが有するノズルからマイクロアレイ群に向けての生体分子を含む液体の吐出を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とするマイクロアレイ製造装置。
  15. 請求項7乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有し、
    該液滴吐出ヘッドにカラーフィルタを形成させる溶液を供給する材料供給手段と、
    位置制御信号に基づいてノズルからカラーフィルタ基板に向けての前記溶液の吐出を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とするカラーフィルタ製造装置。
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