JP2005232655A - 高濃度アルコール含浸用不織布 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高濃度アルコール液を含浸するのに適した不織布を提供する。特に、この不織布は、拭き布基材として、高濃度アルコール液を含浸させた拭き布を得るのに適している。
【解決手段】 この不織布は、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維で構成されている。合成繊維は、分割割繊された極細繊維であるのが好ましい。ポリアルキレングリコールとしてはポリエチレングリコールが好ましく、合成繊維としてはポリエステル系繊維が好ましい。含浸されるアルコール液は、その濃度が70質量%以上95質量%未満である。アルコールとしては、沸点100℃未満のアルコールが好ましく、具体的には、イソプロパノール及び/又はエタノールが好ましい。アルコール液の含浸量は、不織布質量に対して、60〜120質量%であるのが好ましい。この不織布を拭き布基材とし、所定濃度のアルコール液が含浸及び保液させて、拭き布として用いるのが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、アルコール濃度が高いアルコール液を含浸させ、保液させるのに適した不織布に関し、特に、メガネレンズ又はカメラレンズなどの透明ガラス表面や、その他の物品表面の汚れを拭き取るのに適した拭き布の基材として用いるのに適した不織布に関するものである。
従来より、種々の物品表面の汚れを拭き取るために、各種の拭き布、とりわけ薬液を含浸させた拭き布(ウェットワイパー)が用いられている。この拭き布としては、不織布に、水や界面活性剤などの液体成分を含浸させたものが用いられている。この拭き布に要求される性能は、汚れの拭き取り性に主眼がおかれており、種々の改良が施されている。たとえば、不織布として、極細繊維を構成繊維とするものを使用して、微細な汚れを良好に除去しうるような改良が施されている。また、界面活性剤として、拭き取り時に埃などが付着しにくいように帯電防止機能を具えたもの、手垢などの皮脂汚れの除去性に優れたもの、また、拭き取った後に油膜などが残存しにくいものが開発されている(特許文献1)。
このように、従来の拭き布は、汚れの拭き取り性に主眼がおかれているが、この拭き布を、メガネレンズ又はカメラレンズなどの透明ガラス表面などの汚れを拭き取るために使用することは、不適当であった。なぜなら、従来の拭き布は、以下のような配慮が殆どされていなかったからである。すなわち、軽く擦っただけで汚れが除去でき、且つ、擦った箇所に拭き取り跡が残存しないような配慮が殆どなされていなかったのである。メガネレンズやカメラレンズの場合は、強く擦ると、擦り傷が生じる恐れがあり、このような擦り傷によって、目視しにくくなる恐れがある。また、拭き取り跡が残存した場合も、同様に目視しにくくなる恐れがある。したがって、メガネレンズやカメラレンズ表面の汚れを拭き取るには、軽く擦っただけで汚れが除去でき、しかも、拭き取り跡が残存しないような拭き布を用いる必要がある。
そこで、本発明は、メガネレンズやカメラレンズなどの透明ガラス表面を拭き取った場合、汚れが良好に拭き取れると共に、拭き取り面に薬液の拭き取り跡が残存しにくい拭き布基材を提供することを目的としてなされたものである。
このような課題を解決するためには、薬液として、汚れの除去性に優れたものを用いること、及び拭き取り面に付着した場合、直ちに蒸散するものを用いることが必要である。本発明者は、このような薬液として、高濃度のアルコール液を用いるのが適していることを見出した。
しかしながら、一般に使用されている不織布の場合、高濃度のアルコール液を比較的大量に含浸することが困難であった。これは、不織布を構成している繊維が親アルコール性でないものが多いからである。また、このような不織布に、無理やり、大量のアルコール液を含浸させても、拭き取り時に、アルコール液が大量に拭き取り面に移行し、蒸散しにくくなるということがあった。
そこで、本発明は、不織布の構成繊維として、親アルコール性の合成繊維を使用して、高濃度のアルコール液を比較的大量に含浸・保液することができ、しかも、拭き取り時においても、拭き取り面にアルコール液が大量に移行しないようにしたものである。
すなわち、本発明は、アルコール濃度が70質量%以上で95質量%未満のアルコール液を含浸させるための不織布であって、該不織布は、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維で構成されていることを特徴とする高濃度アルコール含浸用不織布に関するものである。
本発明に係る不織布の構成繊維は、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維である。ポリアルキレングリコールは、合成繊維中に所定量含まれていればよく、たとえば、50質量%以上含まれていればよい。また、本発明に係る不織布は、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維を構成繊維の一つとして採用されていればよく、たとえば、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維20〜80質量%と、ポリアルキレングリコールを含有しない合成繊維80〜20質量%とからなっていてもよい。もちろん、本発明に係る不織布は、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維100質量%よりなるものであってもよい。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどの従来公知のものが用いられる。一般的に、質量平均分子量が2000〜20000のポリエチレングリコールを用いるのが好ましい。また、合成繊維としても、ポリエステル系合成繊維やポリオレフィン系合成繊維などの従来公知のものが用いられるが、一般的に、ポリエステル系繊維が用いられる。これは、質量平均分子量が2000〜20000のポリエチレングリコールとポリエステルとの相溶性が良好で、繊維中に均一にポリエチレングリコールを含有させることができるからである。合成繊維中におけるポリアルキレングリコールの含有割合は、任意であって差し支えないが、一般的に1.5〜15質量%程度が好ましく、特に3〜10質量%程度がより好ましい。この程度の含有割合で、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維は、良好な親アルコール性を発揮するからである。
合成繊維の繊度としては、ポリアルキレングリコールを含有するか否かを問わず、繊度が0.05〜1.5デニール程度の極細繊維を用いるのが好ましい。これは、微細な塵埃や皮脂などの拭き取り性に優れているからである。また、不織布の目付は、10〜200g/m2程度が好ましい。この範囲のものが、拭き布基材として用いるのに適当だからである。
本発明に係る不織布としては、基本的には、WO01/039562公報に記載されているものを用いるのが好ましい。すなわち、まず、質量平均分子量2000〜20000のポリオキシアルキレングリコールを含有するポリエステル系重合体Aと、このポリエステル系重合体Aに対して非相溶性のポリオレフィン系重合体Bとが貼合されてなる分割型複合繊維を準備する。この分割型複合繊維の横断面は、たとえば、図1に示したような形状となっている。そして、この分割型複合繊維を集積して不織ウェブを形成した後、不織ウェブに部分的に熱を与えて、ポリオレフィン系重合体Bを軟化又は溶融させて、多数の融着区域を形成する。その後、ウォーターニードリングなどの公知の手段で、融着区域以外の区域における分割型複合繊維を分割割繊させ、ポリアルキレングリコールを含むポリエステル系重合体Aよりなる極細繊維と、ポリオレフィン系重合体Bよりなる極細繊維とを生成させてなる不織布を用いることができる。WO01/039562公報の記載においては、この不織布にプラズマ処理を施しているが、本発明においては、プラズマ処理は施さなくてもよい。もちろん、プラズマ処理を施しても良いことは、言うまでもない。
不織布に含浸されるアルコール液は、アルコール濃度が70質量%以上95質量%未満、好ましくは80質量%以上95質量%未満のものが用いられる。すなわち、アルコール70質量部以上95質量部未満と、水などのその他の成分5質量部以上30質量部以下とからなるものである。アルコール濃度が70質量%未満であると、拭き取り面の汚れ除去性が不十分となる。また、拭き取り面に残存したアルコール液が速やかに蒸散しないため、好ましくない。また、アルコール濃度が95質量%以上であると、拭き取り面に白い筋(アルコール液の蒸散跡)が残存するため、好ましくない。
また、アルコールとしては、従来公知のアルコールが用いられるが、沸点が100℃未満のものを採用するのが好ましい。沸点が100℃未満のアルコールを用いると、拭き取り面に残存したアルコール液が速やかに蒸散しやすくなるからである。具体的には、イソプロパノールやエタノールを単独で又は混合して用いるのが好ましい。
アルコール液は、不織布の質量に対して、60〜120質量%含浸するのが好ましい。すなわち、不織布の目付が50g/m2の場合、アルコール液を30〜60g/m2含浸するのが好ましい。アルコール液の含浸量が60質量%未満であると、アルコールの作用によって、拭き取り面の皮脂汚れなどの汚れを除去しにくくなる傾向が生じる。また、アルコール液の含浸量が120質量%を超えると、拭き取り面に過剰のアルコール液が付着しやすくなり、その付着跡が残存する傾向が生じる。
本発明に係る不織布を用いて、高濃度のアルコール液を含浸させると、拭き布(ウェットワイパー)を得ることができる。この拭き布は、手指で把持しうる程度の大きさのもので、気密性袋に封入された状態で、消費者に提供される。そして、消費者は、気密性袋を開封して、拭き布を取り出し、メガネレンズ又はカメラレンズなどの透明ガラス表面の汚れを拭き取るのである。また、透明ガラス表面だけではなく、強い力で汚れを拭き取るのに不適当な、その他の物品表面を拭き取る場合も、好適に用いられる。
本発明に係る不織布は、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維を構成繊維とするものである。この合成繊維は、ポリアルキレングリコールを含有しているため、親アルコール性となっている。したがって、拭き取り性に優れ、拭き取り面から速やかに蒸散する高濃度のアルコール液をよく含浸でき保液する。したがって、この不織布を拭き布基材として用い、高濃度のアルコール液を含浸及び保液させて、拭き布(ウェットワイパー)として使用すると、拭き取り面を拭き取る際に、アルコールが絞り出され、拭き取り面の皮脂汚れなどの各種汚れを除去した後においても、拭き取り面に移行しにくい。すなわち、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維の親アルコール性のために、含浸されているアルコールは、拭き取り面に移行するよりも、不織布中に吸収される傾向が強く、拭き取り面に移行しにくいのである。したがって、本発明に係る不織布を拭き布基材として、高濃度のアルコール液を含浸させて使用すると、拭き取り面にアルコール液の跡などの拭き取り跡が残存しにくいという効果を奏する。
また、本発明に係る不織布に含浸されるアルコールとして、沸点100℃未満のものを採用すると、拭き取り面にアルコール液が残存した場合であっても、速やかに蒸散する。しかも、アルコール濃度が70質量%以上であるため、汚れの拭き取り性も良好で、且つ、蒸散も速い。また、アルコール濃度を95質量%未満としたため、拭き取った後に、アルコール液の蒸散跡も残存しにくい。さらに、含浸されるアルコール液量を、不織布質量に対して、60〜120質量%とすれば、アルコールの作用によって、皮脂汚れなどの各種汚れを良好に除去しうると共に、拭き取り面に過剰のアルコールが付着しにくくなり、アルコール液の跡が拭き取り面により残存しにくくなる。
以上の結果、本発明に係る不織布は、メガネレンズ又はカメラレンズなどの透明ガラス表面の汚れを除去するための拭き布基材として好適に使用でき、拭き取り後にアルコール液の跡などの拭き取り跡が残存しにくいので、透明ガラスを通して目視しにくくなることを防止できるという効果を奏する。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維を構成繊維とする不織布は、親アルコール性が良好で、高濃度のアルコール液を含浸及び保液するのに好適であり、これをアルコール液を含浸させるための拭き布基材として用いれば、メガネレンズ又はカメラレンズなどの透明ガラス表面などを拭き取った場合、汚れが良好に拭き取れると共に、拭き取り面に拭き取り跡が残存しにくくなるとの知見に基づくものとして解釈されるべきである。
実施例1
ポリエステル系重合体Aとしては、質量平均分子量6000のポリエチレングリコールを5質量%含有したポリエチレンテレフタレートを準備した。このポリエステル系重合体Aは、融点が250℃で、テトラクロルエタンとフェノールとの等量混合溶媒で溶解したときの20℃における相対粘度が1.49のものであった。一方、ポリオレフィン系重合体Bとして、融点が127℃でメルトインデックス値[ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、190℃、21.17N(2.16kgf)で測定]が20g/10分である高密度ポリエチレンを準備した。この重合体Aと重合体Bとを各々溶融して、複合紡糸口金に導入した。複合紡糸口金に具えた複合紡糸孔は、図1に示すような横断面の分割型複合繊維が得られる形状のものを採用した。そして、単孔吐出量を1.3g/分とし、複合比[重合体A/重合体B(質量割合)]は1.4/1となるようにして、複合紡糸を行い、横断面が図1に示す形状の紡出糸条を得た。なお、ポリマーラインの温度は、重合体Aの方は285℃であり、重合体Bの方は230℃で、紡糸温度は285℃とした。
ポリエステル系重合体Aとしては、質量平均分子量6000のポリエチレングリコールを5質量%含有したポリエチレンテレフタレートを準備した。このポリエステル系重合体Aは、融点が250℃で、テトラクロルエタンとフェノールとの等量混合溶媒で溶解したときの20℃における相対粘度が1.49のものであった。一方、ポリオレフィン系重合体Bとして、融点が127℃でメルトインデックス値[ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、190℃、21.17N(2.16kgf)で測定]が20g/10分である高密度ポリエチレンを準備した。この重合体Aと重合体Bとを各々溶融して、複合紡糸口金に導入した。複合紡糸口金に具えた複合紡糸孔は、図1に示すような横断面の分割型複合繊維が得られる形状のものを採用した。そして、単孔吐出量を1.3g/分とし、複合比[重合体A/重合体B(質量割合)]は1.4/1となるようにして、複合紡糸を行い、横断面が図1に示す形状の紡出糸条を得た。なお、ポリマーラインの温度は、重合体Aの方は285℃であり、重合体Bの方は230℃で、紡糸温度は285℃とした。
紡出糸条を冷却装置にて冷却した後、紡糸口金下150cmの位置に配置したエアーサッカー群で、これらの紡出糸条を4000m/分で引き取り、公知の開繊装置で分割型複合長繊維群を開繊させた後、移動する金網製捕集コンベア上に堆積させて不織ウェブを得た。この不織ウェブの目付は約45g/m2であり、不織ウェブを構成する分割型複合長繊維の繊度は約3.2デシテックスであった。その後、この不織ウェブを、122℃に加熱された彫刻ロール(凹凸ロール)と平滑ロールからなるエンボス装置に導入して、部分的に熱を与えて融着区域を設け、不織フリースを得た。この融着区域は、重合体Bの軟化又は溶融によって、分割型複合長繊維相互間が融着結合されている区域である。また、熱を与えられなかった区域は、分割型複合長繊維相互間が結合しておらず、単に集積しているだけの非融着区域である。個々の融着区域の面積は0.68mm2であり、不織フリース表面積に対する融着区域の合計面積の割合は10.9%であり、融着区域の密度は16.0個/cm2であった。
次に、融着区域が設けられた不織フリースに、ウォーターニードリングを施し、非融着区域における分割型複合長繊維の分割割繊を行うと共に、分割割繊によって生成した重合体Aよりなる極細繊維及び重合体Bよりなる極細繊維相互間を三次元交絡した。ウォーターニードリングは、以下のような条件で行った。すなわち、孔径0.12mm、孔ピッチ0.6mm、噴射孔群3列よりなるダイから、不織ウェブへ向けて高圧水柱状流(圧力15.68MPa)を噴射させた。不織ウェブは、100メッシュのスクリーン上に載せて、搬送速度10m/分で移動させ、噴射孔と不織ウェブとの間隔は80mmとした。そして、ウォーターニードリングを施した後、マングルロールで絞り、次いで乾燥して不織布を得た。この不織布は、重合体Aよりなる繊維(繊度約0.3デシテックス)と重合体Bよりなる繊維(繊度約1.4デシテックス)が生成しており、各繊維相互間は三次元交絡してなるものであり、その目付は、約45g/m2であった。
比較例1
ポリエステル系重合体Aとしては、ポリエチレングリコールを含有していないポリエチレンテレフタレートを用いる他は、実施例1と同様にして、目付約45g/m2の不織布を得た。
ポリエステル系重合体Aとしては、ポリエチレングリコールを含有していないポリエチレンテレフタレートを用いる他は、実施例1と同様にして、目付約45g/m2の不織布を得た。
[保液試験I]
実施例1及び比較例1で得られた不織布を、10cm×10cmに裁断し、試料とした。そして、各試料の質量を測定し、これを乾質量とした。その後、各試料を、アルコール濃度80質量%のアルコール液300ccが入ったビーカー(容量500cc)に投入して、アルコール液を含浸させた。アルコール液は、イソプロパノールとエタノールと水とからなるものである。投入後、1分間を経過したとき、ピンセットにて各試料を取り出し、その後、1分間ピンセットにて把持した後、各試料の質量を測定した。この質量を湿質量Iとした。そして、下記式で保液率I(%)を算出した。
保液率I(%)=(湿質量I−乾質量)×100/乾質量
この試験を3回繰り返し、実施例1に係る不織布の保液率Iの平均値を算出したところ、367.9%であった。一方、比較例1に係る不織布の保液率Iの平均値を算出したところ、283.7%であった。したがって、実施例1に係る不織布は、比較例1に係る不織布に比べて、高濃度のアルコール液の保液率が高いことが分かる。
実施例1及び比較例1で得られた不織布を、10cm×10cmに裁断し、試料とした。そして、各試料の質量を測定し、これを乾質量とした。その後、各試料を、アルコール濃度80質量%のアルコール液300ccが入ったビーカー(容量500cc)に投入して、アルコール液を含浸させた。アルコール液は、イソプロパノールとエタノールと水とからなるものである。投入後、1分間を経過したとき、ピンセットにて各試料を取り出し、その後、1分間ピンセットにて把持した後、各試料の質量を測定した。この質量を湿質量Iとした。そして、下記式で保液率I(%)を算出した。
保液率I(%)=(湿質量I−乾質量)×100/乾質量
この試験を3回繰り返し、実施例1に係る不織布の保液率Iの平均値を算出したところ、367.9%であった。一方、比較例1に係る不織布の保液率Iの平均値を算出したところ、283.7%であった。したがって、実施例1に係る不織布は、比較例1に係る不織布に比べて、高濃度のアルコール液の保液率が高いことが分かる。
[保液試験II]
保液試験Iと同様の試料を用いて、同様の方法でアルコール液を含浸させて、ピンセットにて各試料を取り出した。そして、コットン繊維を構成繊維とするスパンレース不織布(20cm×20cm、目付35g/m2)を4枚重ねたものを、ガラス板上に置き、取り出した各試料をスパンレース不織布上に置いた。さらに、各試料の上に、上記と同様の4枚重ねのスパンレース不織布を置き、その上から39.2N/100cm2の荷重を負荷して5分間放置した。その後、各試料を取り出し、各試料の質量を測定した。この質量を湿質量IIとした。そして、下記式で保液率II(%)を算出した。
保液率II(%)=(湿質量II−乾質量)×100/乾質量
この試験を2回繰り返し、実施例1に係る不織布の保液率IIの平均値を算出したところ、75.5%であった。一方、比較例1に係る不織布の保液率IIの平均値を算出したところ、58.2%であった。したがって、実施例1に係る不織布は、比較例1に係る不織布に比べて、高濃度のアルコール液を含浸した状態で、圧縮しても、アルコール液が絞り出されにくいことが分かる。
保液試験Iと同様の試料を用いて、同様の方法でアルコール液を含浸させて、ピンセットにて各試料を取り出した。そして、コットン繊維を構成繊維とするスパンレース不織布(20cm×20cm、目付35g/m2)を4枚重ねたものを、ガラス板上に置き、取り出した各試料をスパンレース不織布上に置いた。さらに、各試料の上に、上記と同様の4枚重ねのスパンレース不織布を置き、その上から39.2N/100cm2の荷重を負荷して5分間放置した。その後、各試料を取り出し、各試料の質量を測定した。この質量を湿質量IIとした。そして、下記式で保液率II(%)を算出した。
保液率II(%)=(湿質量II−乾質量)×100/乾質量
この試験を2回繰り返し、実施例1に係る不織布の保液率IIの平均値を算出したところ、75.5%であった。一方、比較例1に係る不織布の保液率IIの平均値を算出したところ、58.2%であった。したがって、実施例1に係る不織布は、比較例1に係る不織布に比べて、高濃度のアルコール液を含浸した状態で、圧縮しても、アルコール液が絞り出されにくいことが分かる。
拭き取り試験例1〜5
保液試験Iで使用した試料に、保液試験Iで使用したアルコール液を、表1記載の量で含浸及び保液させて拭き布を得た。この拭き布を用いて、メガネレンズ表面の汚れを拭き取って、拭き取り面におけるアルコール液の蒸散状態及び拭き取り跡(アルコール液の跡やアルコール液の蒸散跡を含む)の状態を、目視によって以下のとおり評価した。その結果を表1に示した。
[アルコール液の蒸散状態]
◎:拭き取り面に付着したアルコール液が瞬時に蒸散する。
○:拭き取り面に付着したアルコール液が数秒で蒸散する。
×:拭き取り面に付着したアルコール液が数秒では蒸散しない。
[拭き取り跡の状態]
◎:拭き取り跡(アルコール液の跡やアルコール液の蒸散跡を含む)が残らない。
×:拭き取り跡(アルコール液の跡やアルコール液の蒸散跡を含む)が残る。
保液試験Iで使用した試料に、保液試験Iで使用したアルコール液を、表1記載の量で含浸及び保液させて拭き布を得た。この拭き布を用いて、メガネレンズ表面の汚れを拭き取って、拭き取り面におけるアルコール液の蒸散状態及び拭き取り跡(アルコール液の跡やアルコール液の蒸散跡を含む)の状態を、目視によって以下のとおり評価した。その結果を表1に示した。
[アルコール液の蒸散状態]
◎:拭き取り面に付着したアルコール液が瞬時に蒸散する。
○:拭き取り面に付着したアルコール液が数秒で蒸散する。
×:拭き取り面に付着したアルコール液が数秒では蒸散しない。
[拭き取り跡の状態]
◎:拭き取り跡(アルコール液の跡やアルコール液の蒸散跡を含む)が残らない。
×:拭き取り跡(アルコール液の跡やアルコール液の蒸散跡を含む)が残る。
拭き取り試験例6及び7
保液試験Iで使用した試料に、アルコール濃度90質量%のアルコール液を、80質量%の量で含浸及び保液させた拭き布(試験例6)、及びアルコール濃度95質量%のアルコール液を、80質量%の量で含浸及び保液させた拭き布(試験例7)を用い、試験例1と同様の方法でメガネレンズを拭き取り、アルコール液の蒸散状態及び拭き取り跡の状態を、試験例1と同様の方法で評価した。そして、この結果も表1に示した。なお、ここで用いるアルコール液も、保液試験Iの場合と同様に、イソプロパノールとエタノールと水とからなるものである。
保液試験Iで使用した試料に、アルコール濃度90質量%のアルコール液を、80質量%の量で含浸及び保液させた拭き布(試験例6)、及びアルコール濃度95質量%のアルコール液を、80質量%の量で含浸及び保液させた拭き布(試験例7)を用い、試験例1と同様の方法でメガネレンズを拭き取り、アルコール液の蒸散状態及び拭き取り跡の状態を、試験例1と同様の方法で評価した。そして、この結果も表1に示した。なお、ここで用いるアルコール液も、保液試験Iの場合と同様に、イソプロパノールとエタノールと水とからなるものである。
[表1]
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アルコール濃度 含浸量 アルコール液 拭き取り跡
(質量%) (質量%) の蒸散状態 の状態
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試験例1 80 80 ◎ ◎
試験例2 80 100 ◎ ◎
試験例3 80 120 ○ ◎
試験例4 80 150 × ×
試験例5 80 180 × ×
試験例6 90 80 ◎ ◎
試験例7 95 80 ◎ ×
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アルコール濃度 含浸量 アルコール液 拭き取り跡
(質量%) (質量%) の蒸散状態 の状態
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試験例1 80 80 ◎ ◎
試験例2 80 100 ◎ ◎
試験例3 80 120 ○ ◎
試験例4 80 150 × ×
試験例5 80 180 × ×
試験例6 90 80 ◎ ◎
試験例7 95 80 ◎ ×
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表1の結果から明らかなように、実施例1に係る不織布を拭き布基材として、アルコール液を含浸及び保液させて拭き布としたとき、その含浸量が多すぎると、拭き取り面にアルコール液が多量に付着することにより、アルコール液の蒸散が遅くなり、また拭き取り面にアルコール跡が残存しやすくなる。また、濃度が95質量%のアルコール液を用いると、アルコール液の蒸散跡が残りやすくなる。この理由は定かではないが、アルコールの蒸散速度が速すぎて、気化熱による温度変化が激しすぎるためと考えられる。したがって、実施例1に係る不織布を拭き布基材としたときは、アルコール濃度が70質量%以上で95質量%未満のアルコール液を、80〜120質量%程度の量で含浸及び保液させるのが好ましい。
A ポリアルキレングリコールを含有するポリエステル系重合体
B ポリオレフィン系重合体
B ポリオレフィン系重合体
Claims (7)
- アルコール濃度が70質量%以上で95質量%未満のアルコール液を含浸させるための不織布であって、該不織布は、ポリアルキレングリコールを含有する合成繊維で構成されていることを特徴とする高濃度アルコール含浸用不織布。
- アルコール液を60〜120質量%含浸させるための請求項1記載の高濃度アルコール含浸用不織布。
- アルコール液中に含有されているアルコールは、沸点が100℃未満のものである請求項1記載の高濃度アルコール含浸用不織布。
- 合成繊維が分割割繊された極細繊維である請求項1記載の高濃度アルコール不織布。
- ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであり、合成繊維がポリエステル系繊維である請求項1記載の高濃度アルコール含浸用不織布。
- アルコールが、イソプロパノール及び/又はエタノールである請求項1記載の高濃度アルコール含浸用不織布。
- 不織布が拭き布基材として用いられる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高濃度アルコール含浸用不織布。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004047099A JP2005232655A (ja) | 2004-02-23 | 2004-02-23 | 高濃度アルコール含浸用不織布 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3266306B1 (en) | 2016-07-04 | 2022-08-03 | SCHÜLKE & MAYR GmbH | Impregnated textile fabric providing effective delivery of an alcoholic impregnant |
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2004
- 2004-02-23 JP JP2004047099A patent/JP2005232655A/ja active Pending
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