JP2005232347A - リグニン分解酵素によって分解処理された酵素分解ゴムを含有するゴム組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 加硫ゴムがリグニン分解酵素で分解処理されて得られる酵素分解ゴムを再生ゴムとして含有しつつ、ヴァージンゴムからなるゴム組成物とほぼ同等の破壊強度および耐摩耗性を有するゴム組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 加硫ゴムがリグニン分解酵素によって分解処理されて得られる酵素分解ゴムを含有するゴム組成物に関する。特に、天然ゴムおよび/またはジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、該酵素分解ゴムが0.5質量部〜50質量部の範囲内で配合されたゴム組成物であることが好ましい。また、分解処理前の加硫ゴムの直径は1mm以下であることが好ましい。本発明のゴム組成物は空気入りタイヤのタイヤトレッド、サイドウォール、カーカスプライ、ベルトプライ等に対して好適に用いられる。
【選択図】 なし
【解決手段】 加硫ゴムがリグニン分解酵素によって分解処理されて得られる酵素分解ゴムを含有するゴム組成物に関する。特に、天然ゴムおよび/またはジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、該酵素分解ゴムが0.5質量部〜50質量部の範囲内で配合されたゴム組成物であることが好ましい。また、分解処理前の加硫ゴムの直径は1mm以下であることが好ましい。本発明のゴム組成物は空気入りタイヤのタイヤトレッド、サイドウォール、カーカスプライ、ベルトプライ等に対して好適に用いられる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、加硫ゴムをリグニン分解酵素によって分解処理して得られた酵素分解ゴムを再生ゴムとして含有しつつ、ヴァージンゴムからなるゴム組成物と比べて物性が大きく低下することがないゴム組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来、使用済みゴム製品の廃棄処理方法としてはサーマルリサイクルが中心であったが、近年、環境問題への関心の高まりから、使用済みタイヤのゴム片またはゴム粉末をそのまま用い、ゴムとして再利用するマテリアルリサイクルの実用化が要求されている。リサイクルの方法としては、たとえば二軸押出機等によってゴム片またはゴム粉末に大きな剪断力を加えて粉砕、脱硫する方法等が検討されているが、物理的な処理方法は大きなエネルギーを必要とする問題がある。
そこで、より少ないエネルギーでマテリアルリサイクルを行なう方法として、微生物による各種ゴムの分解処理方法が種々提案されている。
たとえば特許文献1、2には、ノカルディア属またはロドコッカス属に属し、イソプレン系ゴム分解能を有する微生物を用いるゴムの分解法、特許文献3には、キサントモナス属に属し、イソプレン系ゴム分解能を有する微生物を用いることを特徴とするイソプレン系ゴムの分解法、特許文献4には、バチルス属に属し、ニトリルゴム分解能を有する微生物を用いることを特徴とするニトリルゴムの分解方法、特許文献5には、バチルス属またはシュードモナス属に属し、親水性基導入ニトリルゴム分解能を有する微生物を用いるニトリルゴムの分解方法、がそれぞれ開示されている。
しかし上記の方法はいずれも適用されるゴムの種類が限定されており、限定されたゴム以外に適用した場合に必ずしも良好な分解効果が期待できないという問題がある。
一方特許文献6には、ノカルディア属に属する微生物を用い、軟質ゴム製品の存在下で硬質ゴム製品を処理する硬質ゴム製品の分解方法、特許文献7には、ノカルディア属に属する微生物を用い、軟質ゴムの不存在下で硬質ゴムを処理することを特徴とする硬質ゴムの分解処理方法、がそれぞれ提案されている。
しかし上記の方法はいずれも天然ゴムを多く含む硬質ゴム製品に限定された分解処理方法であり、合成ゴムを多く含有するタイヤ等の加硫ゴム製品のマテリアルリサイクルには適用し難しいという問題がある。
さらに特許文献8には、シュードノカルディアセアエに属する微生物を用いて粉ゴムの表面に凹凸化処理を施す方法が提案されている。
しかし上記の方法のように粉ゴムの表面積を増加させるのみでは、得られたゴム組成物の破壊特性や耐摩耗性が十分に得られない場合がある。
特公昭63−5426号公報
特公平4−60634号公報
特公平6−8365号公報
特開平7−258458号公報
特開平8−280392号公報
特開平9−194624号公報
特開平11−60793号公報
特開2003−231118号公報
本発明は上記の課題を解決し、加硫ゴムをリグニン分解酵素によって分解処理して得られる酵素分解ゴムを再生ゴムとして含有しつつ、ヴァージンゴムからなるゴム組成物とほぼ同等の破壊強度および耐摩耗性を有するゴム組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、加硫ゴムをリグニン分解酵素によって分解処理して得られる酵素分解ゴムを含有するゴム組成物に関する。
本発明はまた、該加硫ゴムが、天然ゴムおよびジエン系ゴムから選択される1種以上を含むゴム組成物に関する。
本発明のゴム組成物は、天然ゴムおよび/またはジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、該酵素分解ゴムが0.5質量部〜50質量部の範囲内で配合されることが好ましい。
本発明におけるリグニン分解酵素としては、木材腐朽菌由来のリグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼから選択される1種以上が好ましく使用される。
本発明はまた、加硫ゴムをリグニン分解酵素によって分解処理して得られる酵素分解ゴムを含有するゴム組成物の製造方法であって、
加硫ゴムを、該加硫ゴムの最大粒径が1mm以下となるように粉砕する工程と、
粉砕された該加硫ゴムを、リグニン分解酵素によって分解処理して酵素分解ゴムを得る工程と、
該酵素分解ゴムが他のゴム成分とともに混合されたゴム組成物を生成させる工程と、
を含むゴム組成物の製造方法に関する。
加硫ゴムを、該加硫ゴムの最大粒径が1mm以下となるように粉砕する工程と、
粉砕された該加硫ゴムを、リグニン分解酵素によって分解処理して酵素分解ゴムを得る工程と、
該酵素分解ゴムが他のゴム成分とともに混合されたゴム組成物を生成させる工程と、
を含むゴム組成物の製造方法に関する。
本発明のゴム組成物は、バス用、トラック用、乗用車用等として使用される空気入りタイヤに対して好ましく適用される。
本発明によれば、リグニン分解酵素を用いて加硫ゴムを分解処理することにより得られる酵素分解ゴムを再生ゴムとして含有し、かつヴァージンゴムからなるゴム組成物とほぼ同等の破壊強度および耐摩耗性を有するゴム組成物を得ることができる。これにより再生ゴムを含有しつつ良好な耐久性を有する空気入りタイヤの製造が可能となる。
本発明は、リグニン分解酵素によって分解処理された酵素分解ゴムを含有するゴム組成物に関する。
本発明には加硫ゴム全般を分解し得るリグニン分解酵素が用いられるため、本発明において分解処理される加硫ゴムは特に限定されるものではなく、天然ゴムおよび合成ゴムの中から選択される少なくとも1種を含むものが挙げられる。特に、本発明に使用されるリグニン分解酵素は、タイヤ用ゴム組成物の基材ゴムとして一般的に用いられるジエン系ゴムを良好に分解する能力を有するため、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等の加硫ゴムを好ましく分解処理することができる。このような加硫ゴムとしては、廃タイヤ、チューブ等に限らず、タイヤ等の製造時に発生する未加硫スクラップ物や、タイヤ等の加硫時に発生するスピュー片等が挙げられる。
本発明に用いられる酵素はリグニン分解酵素に分類されるものであれば特に限定されず、微生物から単離して用いられるものでも合成された酵素でも良く、また市販の酵素でも良い。
リグニンを分解する微生物としては糸状菌、担子菌等が知られており、各々のリグニン分解酵素が研究されているが、分解速度や作業性の面から担子菌由来のリグニン分解酵素が好ましい。担子菌(木材腐朽菌)としては褐色腐朽菌および白色腐朽菌があり、特に限定されないが、加硫ゴム中の硫黄鎖切断能力および酸化能力の面から白色腐朽菌由来のリグニン分解酵素がより好ましい。
好ましいリグニン分解酵素としては、たとえば木材腐朽菌由来のリグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼ等が挙げられる。これらのリグニン分解酵素は単独で用いても2種以上の組み合わせで用いても良い。
リグニン分解酵素はその種類によって分解機構が異なる。よって本発明で使用されるリグニン分解酵素の種類は分解処理の対象である加硫ゴムに含まれるゴム成分や使用目的に応じて適宜選択すれば良く、特に限定されない。たとえばゴム内部まで分解を進行させることが必要な場合にはラジカル連鎖反応を起こすことが可能なマンガンペルオキシダーゼ、加硫ゴムの表面積を増加させるために凹凸化処理を施すことを目的とする場合にはリグニンペルオキシダーゼ、ラッカーゼ等が好適に使用できる。これらのリグニン分解酵素は単独で用いても良いが、たとえば複数のリグニン分解酵素を用い、複数段階で分解処理を行なっても構わない。
加硫ゴムの分解処理方法としては通常の酵素反応条件が利用でき、特に分解処理方法の限定はない。ラジカル連鎖反応を利用して加硫ゴムの分解処理を行なう場合を例にとると、反応容器に白色腐朽菌であるPhanerochaete chrysosporium由来のマンガンペルオキシダーゼ、電子受容体である過酸化水素水、および加硫ゴムを加え、酸素存在下で振とうまたは撹拌することにより、酵素分解ゴムを得ることができる。
リグニン分解酵素の添加量は酵素活性によって適宜設定されるものであるが、分解処理前の加硫ゴム100質量部に対して0.0001質量部〜20質量部、特に0.001質量部〜10質量部の範囲内とされることが好ましい。リグニン分解酵素の添加量が0.0001質量部以上であれば加硫ゴムの分解反応を進行させるために十分な量のリグニン分解酵素が供給される。また20質量部以下であれば良好な酵素活性を維持して加硫ゴムの分解を十分進行させることができるとともにコスト的にも優れる。
本発明において、酵素活性は0.1U/ml〜50U/ml、特に1U/ml〜25U/mlの範囲内とされることが好ましい。ここで1U(Unit)は、酵素の最適条件下で、30℃において、1分間当たり1μmolの基質を変換させる酵素量として定義される。すなわち、酵素活性の単位U/mlは、1分間に1mlの酵素がどれだけの基質を変換できるかを表わすものであり、たとえば0.1U/mlは、酵素1mlが1分間に0.1μmolの基質を変換し得ることを意味する。酵素活性が0.1U/ml以上であれば効率的に酵素分解反応を進行させることができ、また50U/ml以下であれば分解により生成する酵素分解ゴムの物性が不安定になることを防止できる。
本発明における酵素分解反応の温度は、所望の程度の反応速度が確保でき、かつ使用する酵素が失活しない範囲で適宜温度設定すれば良く、たとえば20℃〜40℃、特に25℃〜37℃とされることが好ましい。
酵素分解反応の時間は、酵素分解ゴムが再生ゴムとして用いられる際に所望される特性に応じて適宜選択すれば良いが、たとえば10時間〜30日間、特に1日間〜20日間とされることが好ましい。10時間以上の反応時間である場合、安定した反応により酵素分解ゴムに均一な物性を付与できる。一方反応時間が30日間以下であれば比較的低いコストで酵素分解ゴムを生成することができる。
本発明のゴム組成物は、天然ゴムおよび/またはジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、リグニン分解酵素によって分解処理された酵素分解ゴムが0.5質量部〜50質量部、さらに1質量部〜45質量部、特に5質量部〜40質量部の範囲内で配合されることが好ましい。該酵素分解ゴムの配合量が0.5質量部以上である場合、再生ゴムが利用されることによって環境問題に与えられる利点が大きく、50質量部以下である場合ゴム組成物の物性を良好に維持できる。ここでゴム成分のうちのジエン系ゴムとしては、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。
本発明のゴム組成物には、基材となるゴム成分、酵素分解ゴムの他に、ゴム製品の製造に通常用いられる添加剤が適宜添加され得る。添加剤としては、たとえば、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、シランカップリング剤、軟化剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、老化防止剤、硫黄その他の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、過酸化物、酸化亜鉛、ステアリン酸等が挙げられる。
リグニン分解酵素によって分解処理される加硫ゴムの形状は限定されるものではないが、たとえば最大粒径を1mm以下とすると、酵素による分解反応を効率良く進行させることができるため好ましい。したがって、分解処理の前に加硫ゴムを1mm以下の粒径まで粉砕することが好ましい。粉砕方法としては、たとえばミキサーやロール、二軸押出機を用いる機械的粉砕法や冷凍粉砕法等が挙げられる。なお加硫ゴムの最大粒径はメッシュ法等により評価できる。
加硫ゴムを分解処理して得られる再生ゴムを含有させた本発明のゴム組成物においては、使用するリグニン分解酵素の選択により加硫ゴムの分解の程度や表面形状等が任意に制御できるため、ヴァージンゴムのみからなるゴム組成物と比べて破壊特性や耐摩耗性の著しい低下は生じない。本発明のゴム組成物は、特に空気入りタイヤのタイヤトレッド、サイドウォール、カーカスプライやベルトプライ等に対して好適に用いられる。
<実施例>
(1) マンガンペルオキシダーゼ酵素活性の測定
吸光度測定用のブラックセルに、4mM2,6−ジメトキシフェノール(2,6−DMP)水溶液50μl、0.1M酒石酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)250μl、5mM硫酸マンガン水溶液100μl、1mM過酸化水素水100μl、脱イオン水490μlを順次加えた。さらにマンガンペルオキシダーゼ(Phanerochaete chrysosporium由来)10μlを加え、素早く撹拌した後、波長470nmにおける吸光度を測定した。
(1) マンガンペルオキシダーゼ酵素活性の測定
吸光度測定用のブラックセルに、4mM2,6−ジメトキシフェノール(2,6−DMP)水溶液50μl、0.1M酒石酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)250μl、5mM硫酸マンガン水溶液100μl、1mM過酸化水素水100μl、脱イオン水490μlを順次加えた。さらにマンガンペルオキシダーゼ(Phanerochaete chrysosporium由来)10μlを加え、素早く撹拌した後、波長470nmにおける吸光度を測定した。
対照として、Mn非存在下での吸光度を測定した。ブラックセルに2,6−DMP水溶液50μl、0.1M酒石酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)250μl、脱イオン水100μl、1mM過酸化水素水100μl、脱イオン水490μlを順次加え、素早く撹拌した後、波長470nmにおける吸光度を測定した。
得られた吸光度から、以下の式に従い、マンガンペルオキシダーゼの活性量を算出し、必要量を決定した。
1Unit=1分間に1μmolの基質を反応させるのに必要な酵素量
1Unit/ml=1分間に1μmolの基質を反応させるのに必要な、酵素1ml当たりに含まれる酵素量
分子吸光係数ε=1/(生成物濃度[mol/l]×セルの長さ[cm])×吸光度[ABS]
すなわち、
生成物濃度=酵素活性=吸光度[ABS]/(ε×セルの長さ[cm])
である。
1Unit=1分間に1μmolの基質を反応させるのに必要な酵素量
1Unit/ml=1分間に1μmolの基質を反応させるのに必要な、酵素1ml当たりに含まれる酵素量
分子吸光係数ε=1/(生成物濃度[mol/l]×セルの長さ[cm])×吸光度[ABS]
すなわち、
生成物濃度=酵素活性=吸光度[ABS]/(ε×セルの長さ[cm])
である。
(2) 加硫ゴムの酵素分解処理
2リットルの耐圧ガラス容器に、村岡ゴム工業社製の再生ゴム(30メッシュ=最大粒径0.5mm)50gを入れ、0.1M酒石酸ナトリウム緩衝液(pH=4.5)を125ml、脱イオン水375ml、1%Tween20水溶液62.5ml、10mM硫酸マンガン水溶液125ml、2mM過酸化水素水250ml、600mMリノール酸アセトン溶液187.5ml、を順次加えた。さらにマンガンペルオキシダーゼを2Uになるように加えた。次いで、反応系内を酸素で置換し、撹拌しながら35℃で5日間反応させた。反応終了後、ゴム粉をろ過し、アセトンおよび脱イオン水で数回洗浄した後、40℃で真空乾燥させて酵素分解ゴム粉末を得た。
2リットルの耐圧ガラス容器に、村岡ゴム工業社製の再生ゴム(30メッシュ=最大粒径0.5mm)50gを入れ、0.1M酒石酸ナトリウム緩衝液(pH=4.5)を125ml、脱イオン水375ml、1%Tween20水溶液62.5ml、10mM硫酸マンガン水溶液125ml、2mM過酸化水素水250ml、600mMリノール酸アセトン溶液187.5ml、を順次加えた。さらにマンガンペルオキシダーゼを2Uになるように加えた。次いで、反応系内を酸素で置換し、撹拌しながら35℃で5日間反応させた。反応終了後、ゴム粉をろ過し、アセトンおよび脱イオン水で数回洗浄した後、40℃で真空乾燥させて酵素分解ゴム粉末を得た。
(3) 加硫ゴムの酵素無し処理
2リットルの耐圧ガラス容器に、村岡ゴム工業社製の再生ゴム(30メッシュ=最大粒径0.5mm)50gを入れ、0.1M酒石酸ナトリウム緩衝液(pH=4.5)を125ml、脱イオン水375ml、1%Tween20水溶液62.5ml、10mM硫酸マンガン水溶液125ml、2mM過酸化水素水250ml、600mMリノール酸アセトン溶液187.5ml、を順次加えた。次いで、反応系内を酸素で置換し、撹拌しながら35℃で5日間反応させた。反応終了後、ゴム粉をろ過し、アセトンおよび脱イオン水で数回洗浄した後、40℃で真空乾燥させて酵素無し処理ゴム粉末を得た。
2リットルの耐圧ガラス容器に、村岡ゴム工業社製の再生ゴム(30メッシュ=最大粒径0.5mm)50gを入れ、0.1M酒石酸ナトリウム緩衝液(pH=4.5)を125ml、脱イオン水375ml、1%Tween20水溶液62.5ml、10mM硫酸マンガン水溶液125ml、2mM過酸化水素水250ml、600mMリノール酸アセトン溶液187.5ml、を順次加えた。次いで、反応系内を酸素で置換し、撹拌しながら35℃で5日間反応させた。反応終了後、ゴム粉をろ過し、アセトンおよび脱イオン水で数回洗浄した後、40℃で真空乾燥させて酵素無し処理ゴム粉末を得た。
(4) ゴム組成物の調製
表1に示す配合処方に従って配合成分を混練りし、ゴム組成物を得た。これを150℃で30分間プレス加硫し、破壊特性の評価および摩耗試験を行なった。結果を表1に示す。
表1に示す配合処方に従って配合成分を混練りし、ゴム組成物を得た。これを150℃で30分間プレス加硫し、破壊特性の評価および摩耗試験を行なった。結果を表1に示す。
注1:SBRは、JSR(株)製のスチレンブタジエンゴム「SBR1502」(スチレン単位量=23.5質量%)である。
注2:BRは、宇部興産(株)製のブタジエンゴム「ウベポールBR130B」である。
注3:カーボンブラックは、昭和キャボネット(株)製の「ショウブラックN220」(N2SA=125m2/g)である。
注4:再生ゴム粉末は、村岡ゴム工業(株)製の再生ゴム(30メッシュ)である。
注5:アロマオイルは、(株)ジャパンエナジー製の(商品名)「JOMOプロセスX140」である。
注6:ステアリン酸は、日本油脂(株)製である。
注7:酸化亜鉛は、三井金属鉱業(株)製の「亜鉛華1号」である。
注8:老化防止剤は、大内新興化学工業(株)製の「ノクラック6C」(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)である。
注9:硫黄は、鶴見化学(株)製の「粉末硫黄」である。
注10:加硫促進剤(TBBS)は、大内新興化学工業(株)製の「ノクセラーNS」(N−第三ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)である。
注2:BRは、宇部興産(株)製のブタジエンゴム「ウベポールBR130B」である。
注3:カーボンブラックは、昭和キャボネット(株)製の「ショウブラックN220」(N2SA=125m2/g)である。
注4:再生ゴム粉末は、村岡ゴム工業(株)製の再生ゴム(30メッシュ)である。
注5:アロマオイルは、(株)ジャパンエナジー製の(商品名)「JOMOプロセスX140」である。
注6:ステアリン酸は、日本油脂(株)製である。
注7:酸化亜鉛は、三井金属鉱業(株)製の「亜鉛華1号」である。
注8:老化防止剤は、大内新興化学工業(株)製の「ノクラック6C」(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)である。
注9:硫黄は、鶴見化学(株)製の「粉末硫黄」である。
注10:加硫促進剤(TBBS)は、大内新興化学工業(株)製の「ノクセラーNS」(N−第三ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)である。
(5) 破壊特性の評価
JIS K6301−1995に準拠し、破壊強度(TB)を測定した。測定値は、以下の式に従い、比較例1を100とした相対値で表わした。値が大きい程、破壊特性に優れる。
破壊強度(相対値)=破壊強度測定値/比較例1の破壊強度測定値×100
(6) 摩耗試験
ランボーン摩耗試験機にて、温度20℃、スリップ率20%、試験時間5分の条件でランボーン摩耗量を測定し、容積損失を算出して、比較例1を100とした相対値で表わした。値が大きい程耐摩耗性に優れる。
耐摩耗性(相対値)=比較例1の容積損失測定値/容積損失測定値×100
表1に示す結果より、無処理の再生ゴム粉末を含有する比較例2、3、および酵素無し処理を施した再生ゴム粉末を含有する比較例4、5においては、再生ゴムを含有しない比較例1の破壊強度(相対値)である100に対して88〜97の範囲であり、破壊強度が低下している傾向である。これに対し、酵素分解処理を行なった再生ゴム粉末を含有する実施例1および実施例2の破壊強度(相対値)は99および100であり、再生ゴム粉末を含有しない比較例1と比べて破壊強度の低下は僅かである。
JIS K6301−1995に準拠し、破壊強度(TB)を測定した。測定値は、以下の式に従い、比較例1を100とした相対値で表わした。値が大きい程、破壊特性に優れる。
破壊強度(相対値)=破壊強度測定値/比較例1の破壊強度測定値×100
(6) 摩耗試験
ランボーン摩耗試験機にて、温度20℃、スリップ率20%、試験時間5分の条件でランボーン摩耗量を測定し、容積損失を算出して、比較例1を100とした相対値で表わした。値が大きい程耐摩耗性に優れる。
耐摩耗性(相対値)=比較例1の容積損失測定値/容積損失測定値×100
表1に示す結果より、無処理の再生ゴム粉末を含有する比較例2、3、および酵素無し処理を施した再生ゴム粉末を含有する比較例4、5においては、再生ゴムを含有しない比較例1の破壊強度(相対値)である100に対して88〜97の範囲であり、破壊強度が低下している傾向である。これに対し、酵素分解処理を行なった再生ゴム粉末を含有する実施例1および実施例2の破壊強度(相対値)は99および100であり、再生ゴム粉末を含有しない比較例1と比べて破壊強度の低下は僅かである。
また耐摩耗性(相対値)についても、比較例1の100に対して比較例2〜5では90〜95であるのに比べ、実施例1および2では99および97であり、酵素分解処理を行なった再生ゴム粉末を含有するゴム組成物においては耐摩耗性の低下が僅かである。
これらの結果より、本発明のゴム組成物は、再生ゴムを含有しつつもヴァージンゴムのみからなるゴム組成物と比べて破壊強度および耐摩耗性の大きな低下はなく、良好な物性を維持していることが分かる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
リグニン分解酵素によって分解処理されて得られる酵素分解ゴムを再生ゴムとして含有する本発明のゴム組成物は、ヴァージンゴムからなるゴム組成物とほぼ同等の破壊強度および耐摩耗性を有し、空気入りタイヤのトレッド、サイドウォール、カーカスプライやベルトプライ等に対して好適に使用できる。
Claims (6)
- 加硫ゴムをリグニン分解酵素によって分解処理して得られる酵素分解ゴムを含有するゴム組成物。
- 天然ゴムおよび/またはジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、前記酵素分解ゴムが0.5質量部〜50質量部の範囲内で配合されてなる請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記リグニン分解酵素が、木材腐朽菌由来のリグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼから選択される1種以上を含む請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記加硫ゴムが、天然ゴムまたはジエン系ゴムから選択される少なくとも1種類を含む請求項1に記載のゴム組成物。
- 加硫ゴムをリグニン分解酵素によって分解処理して得られる酵素分解ゴムを含有するゴム組成物の製造方法であって、
加硫ゴムを、前記加硫ゴムの最大粒径が1mm以下となるように粉砕する工程と、
粉砕された前記加硫ゴムをリグニン分解酵素によって分解処理し、酵素分解ゴムを得る工程と、
前記酵素分解ゴムが他のゴム成分とともに混合されたゴム組成物を生成させる工程と、
を含むゴム組成物の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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JP2004044231A Withdrawn JP2005232347A (ja) | 2004-02-20 | 2004-02-20 | リグニン分解酵素によって分解処理された酵素分解ゴムを含有するゴム組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いた空気入りタイヤ |
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JP (1) | JP2005232347A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006152237A (ja) * | 2004-10-26 | 2006-06-15 | Kyoto Univ | ゴム組成物およびその製造方法、ならびに該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ |
JP2007291333A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-11-08 | Bridgestone Corp | 微生物分解した粉ゴムを用いた天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムマスターバッチの製造方法 |
JP2009072162A (ja) * | 2007-09-25 | 2009-04-09 | Ibiden Co Ltd | リグニン含有物質の処理方法 |
JP2009256645A (ja) * | 2008-03-24 | 2009-11-05 | Institute Of National Colleges Of Technology Japan | ゴムの分解剤および分解方法 |
CN106117641A (zh) * | 2016-07-15 | 2016-11-16 | 山东永泰集团有限公司 | 一种大型客机轮胎垫带胶及其制备方法 |
DE102022128331A1 (de) | 2022-10-26 | 2024-05-02 | Vibracoustic Se | Gummimischung enthaltend biotechnisch modifizierte Gummipartikel |
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2004
- 2004-02-20 JP JP2004044231A patent/JP2005232347A/ja not_active Withdrawn
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