JP2005232257A - 疎水性樹脂組成物の製造方法および樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 疎水性樹脂に、無機層状化合物をナノメートルオーダーで良好に分散させ、強度、耐水性、ガスバリア性が良好な樹脂組成物を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】 水膨潤性無機層状珪酸塩および疎水性樹脂が水性溶剤に分散された水性分散液と、有機オニウム塩とを混合し、水膨潤性無機層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂を凝集させる工程を含むことを特徴とする疎水性樹脂組成物の製造方法。得られる疎水性樹脂組成物は、さらに熱可塑性樹脂と混合されてもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、強度、耐水性、ガスバリア性が良好な疎水性樹脂組成物の製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂中に、ナノメートルオーダーで分散された無機層状化合物が配合された組成物は、ナノコンポジットとも呼ばれている。ナノメートルオーダーで分散とは、無機層状化合物が層の厚さ1〜100nm程度、特に1〜50nm程度の板状の粒子として分散している状態を意味している。上記ナノコンポジットは、比較的少量の無機層状化合物が配合されることにより、高い強度、弾性率や耐熱性が付与されるので軽量化が可能である。またリサイクルも比較的容易なため環境への負荷を小さくできる材料としても注目されている。さらにガスバリア性や難燃性も付与されることから高機能化された組成物としての用途展開も多数報告されている。
熱可塑性樹脂中に、無機層状化合物をナノメートルオーダーで分散させることは容易ではないが、いくつかの技術が提案されている。例えば、有機化合物により変性された無機層状化合物が有機溶剤に分散された分散液および熱可塑性樹脂が有機溶剤に溶解された溶液を混合する方法(特許文献1)、有機化合物により変性された無機層状化合物および熱可塑性樹脂を溶融混練する方法(特許文献2、3)、が知られている。また溶剤、無機層状化合物、無機層状化合物分散剤および熱可塑性樹脂を溶融混合する方法(特許文献4)も知られている。そしてこれらの公知文献において、有機化合物や無機層状化合物分散剤として有機オニウム塩を使用できることも開示されている。しかし、このような方法により得られる組成物は、条件によっては無機層状化合物の分散が充分とならず、強度、耐水性、ガスバリア性が不充分なものとなる場合があった。
水分散させた無機層状化合物とラテックスの混合液に、無機酸を添加して塩析させ、無機層状化合物が分散された熱可塑性樹脂組成物を得る方法(非特許文献1)も知られている。しかし、無機層状化合物の分散が不充分となりやすいほか、組成物の耐水性が悪いものになる場合があった。
特許文献5には、無機層状化合物の分散液および合成樹脂エマルションを混合して、無機層状化合物および合成樹脂を含有する組成物が得られることが開示されている。また、合成樹脂エマルションは有機オニウム塩からなる乳化剤を含有していてもよいことが、乳化剤の例示のひとつとして一応は開示されている。そして無機層状化合物および合成樹脂を含有するエマルションを塗工して乾燥させ、薄い被膜が得られることは開示されている。しかし、無機層状化合物が合成樹脂に良好に分散された強度、耐水性、ガスバリア性が良好な合成樹脂組成物を生産性よく単離する方法については開示も示唆もまったくされていない。
特開平7−70357号公報 特開平9−217012号公報 特開平10−182892号公報 特開2000−239397号公報 特開2000−290895号公報 Journal of Applied Polymer Science,Vol.78,1873-1878(2000)
本発明は、疎水性樹脂に、無機層状化合物をナノメートルオーダーで良好に分散させ、強度、耐水性、ガスバリア性が良好な樹脂組成物を効率よく製造する方法を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の疎水性樹脂組成物の製造方法は、水膨潤性無機層状珪酸塩および疎水性樹脂が水性溶剤に分散された水性分散液と、有機オニウム塩とを混合し、水膨潤性無機層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂を凝集させる工程を含むことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の疎水性樹脂組成物の製造方法は、請求項1に記載の発明において、水性分散液中に分散された水膨潤性無機層状珪酸塩からなる粒子の平均粒子径は、0.2〜100μmであることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明の疎水性樹脂組成物の製造方法は、請求項1に記載の発明において、水性分散液中に分散された疎水性樹脂からなる粒子の平均粒子径は、0.01〜0.5μmであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明の疎水性樹脂組成物の製造方法は、請求項1に記載の発明において、水性分散液中に分散された疎水性樹脂からなる粒子の平均粒子径は、水性分散液中に分散された水膨潤性無機層状珪酸塩からなる粒子の平均粒子径以下であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明の疎水性樹脂組成物の製造方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、疎水性樹脂は、エチレン性不飽和単量体を重合させて得られる重合体からなることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明の疎水性樹脂組成物の製造方法は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、水性分散液は、23℃における粘度が50〜20000mPa・sであることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明の疎水性樹脂組成物の製造方法は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、水性分散液は、疎水性樹脂100質量部を基準として、水膨潤性無機層状珪酸塩10〜5000質量部を含有することを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明の疎水性樹脂組成物の製造方法は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、有機オニウム塩は、炭素数8〜22のアルキル基または芳香族基を有することを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明の疎水性樹脂組成物は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明により製造されることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂および請求項9に記載の発明の疎水性樹脂組成物を含有することを特徴とするものである。
疎水性樹脂に、無機層状化合物をナノメートルオーダーで良好に分散させることができ、強度、耐水性、ガスバリア性が良好な疎水性樹脂組成物を効率よく製造することができた。得られた疎水性樹脂組成物または該疎水性樹脂組成物を含む熱可塑性樹脂組成物は、強度、耐水性、ガスバリア性が良好な被覆材料、包装材料、成形材料、充填材料などとして有用である。
本発明で使用される水膨潤性無機層状珪酸塩(以下、単に層状珪酸塩ともいう。)は、疎水性樹脂に分散されて強度、耐水性、ガスバリア性を向上させる機能を発揮するものである。層状珪酸塩は、2層の珪酸四面体層がマグネシウムまたはアルミニウムを含む八面体層を間にはさんだサンドイッチ型の3層構造となって1枚の板状結晶層を形成し、この結晶層が積層されて層状となったものである。1枚の板状結晶層は、厚さが1nm程度、厚さと垂直方向の面の大きさが縦横平均して100nm〜100μm程度というのが標準的である。珪酸層は負の電荷を有し、これは通常結晶層の間に存在するナトリウムイオンまたはリチウムイオンなどの金属カチオンにより中和されている。層状珪酸塩は、上記のように珪酸層が有する負の電荷に由来するカチオン交換能を持つものであり、カチオン交換容量が30〜150meq/100g(層状珪酸塩100gあたりのミリ当量数)であるものが好ましい。カチオン交換容量が小さすぎても大きすぎても後述する膨潤が不充分になる場合がある。
このような層状珪酸塩としては、ベントナイト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、パイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト、バーミキュライト、マイカ、フッ素化マイカなどを主成分とするものが挙げられる。天然物由来のものでも天然物の処理品でもよく、水膨潤性マイカのように合成品であってもよい。天然物処理品の例としては、水熱処理して水膨潤性を付与されたタルクが挙げられる。層状珪酸塩は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
水膨潤性とは、結晶層間に水分子を引き入れることにより、水を吸って膨潤する性質をいい、水膨潤性の大きさは日本ベントナイト工業会標準試験方法 JBAS−104−77に準じた方法で測定できる。層状珪酸塩は、水膨潤性の値が15ml/2g〜80ml/2gのものが好ましい。このような層状珪酸塩は、水中で結晶層の層間が広がり、単層または数層にまで分散する性質を有している。すなわち数μmの大きさの層状珪酸塩粒子が、厚さが1〜数nm程度の薄片にまで分散する。水膨潤性の値が小さすぎても大きすぎても、層状珪酸塩が疎水性樹脂に均一に分散されない場合がある。
層状珪酸塩は、水中で分散した状態での平均粒子径が0.2μm以上であるものが好ましく、1μm以上であるものがより好ましく、6μm以上であるものがさらに好ましい。0.2μm未満であると層状珪酸塩同士の凝集する割合が多くなり、層状珪酸塩が疎水性樹脂に均一に分散されない場合がある。平均粒子径の上限は特にないが、通常入手できる層状珪酸塩は平均粒子径100μm程度までである。
層状珪酸塩の水中で分散した状態での平均粒子径の測定方法には、回析/散乱法による方法、動的光散乱法による方法、電気抵抗変化による方法、液中顕微鏡撮影後画像処理による方法などが可能であるが、本発明で採用している平均粒子径の測定は回析/散乱法によるものである。
回析/散乱法による粒度分布・平均粒子径測定は、膨潤してへき開した層状珪酸塩をイオン交換水中に分散させた分散液に光を透過させた時に得られる回析/散乱パターンをミー散乱理論などを用いてパターンに最も矛盾の無い粒度分布を計算することによりなされる。分散された板状結晶からなる薄片を含む分散液を試料として、このような方法により求められる平均粒子径は、薄片の厚さをあまり反映せず、厚さと垂直方向の面の大きさを主に反映するものである。
回析/散乱法による粒度分布・平均粒子径測定を行うことができる市販の装置としては、レーザー回析・光散乱法による粒度測定装置(コールター社製LS230)、レーザー回析式粒度分布測定装置(島津製作所製SALD3000)、レーザー回析・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA910、LA700、LA500、マイクロトラックSPA、日機装製MT3000)などが挙げられる。
層状珪酸塩のイオン交換容量は、30meq/100g〜150meq/100gであることが好ましい。イオン交換容量が小さすぎても大きすぎても、層状珪酸塩が疎水性樹脂に均一に分散されない場合がある。
疎水性樹脂は、本発明により得られる組成物の基本性能を担う主要成分であり、層状珪酸塩が強度、耐水性、ガスバリア性を向上させる機能を効果的に発揮するための分散媒となるものである。
疎水性樹脂とは、水を分散媒とし、該疎水性樹脂を分散質とするエマルションを形成可能な樹脂である。疎水性樹脂は、該疎水性樹脂を構成する重合体の単量体単位の合計量を基準として疎水性単量体単位および親水性単量体単位の割合が50質量%以上および50質量%以下であるものが好ましく、60〜99.9質量%および0.1〜40質量%であるものがより好ましく、70〜99.5質量%および0.5〜30質量%であるものがさらに好ましい。
疎水性単量体とは20℃における水への溶解度が2質量%以下の単量体を意味し、親水性単量体とは20℃における水への溶解度が2質量%を超える単量体を意味する。
疎水性樹脂としては、エチレン性不飽和単量体を重合させて得られる重合体からなるものが好ましい。疎水性樹脂の例としては、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、SBR樹脂(スチレン−ブタジエン共重合樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂)、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂などを挙げるとができる。特に、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、SBR樹脂、ABS樹脂が好ましい。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
層状珪酸塩および疎水性樹脂は、水性溶剤に分散された水性分散液として使用される。水性溶剤は、水そのものであってもよいし、水および水と混和する溶剤を主成分とする混合溶剤であってもよい。混合溶剤の場合は水の割合が混合溶剤全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。水と混和する溶剤としては、プロトン供与性を有する溶剤が好ましく、具体例としてはメタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。混合溶剤は、水およびプロトン供与性を有する溶剤以外の溶剤を含むものであってもよい。
層状珪酸塩および疎水性樹脂が水性溶剤に分散された水性分散液(以下、層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液ともいう。)は、水性溶剤に層状珪酸塩および疎水性樹脂を分散させる方法、層状珪酸塩が水性溶剤に分散された分散液に疎水性樹脂を分散させる方法、疎水性樹脂が水性溶剤に分散された分散液に層状珪酸塩を分散させる方法、層状珪酸塩が水性溶剤に分散された分散液と疎水性樹脂が水性溶剤に分散された分散液とを混合する方法などによって製造することができる。層状珪酸塩が水性溶剤に分散された分散液と疎水性樹脂が水性溶剤に分散された分散液とを混合する方法は、得られる層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液が、分散性の良好なものとなりやすいために好ましい方法である。
層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液は、疎水性樹脂100質量部を基準とする層状珪酸塩の含有割合が0.5〜1000質量部であるものが好ましく、1〜500質量部であるものがより好ましく、3〜300質量部であるものがさらに好ましい。
得られる疎水性樹脂組成物が、後述する「疎水性樹脂組成物マスターバッチ」として熱可塑性樹脂との混合に供される場合には、疎水性樹脂100質量部を基準とする層状珪酸塩の含有割合が1〜1000質量部であるものが好ましく、2〜500質量部であるものがより好ましく、6〜300質量部であるものがさらに好ましい。疎水性樹脂組成物が数倍量の熱可塑性樹脂と混合された熱可塑性樹脂組成物は、数分の1に希釈された層状珪酸塩を含むことになる。
得られる疎水性樹脂組成物が、後述する「疎水性樹脂組成物マスターバッチ」として使用されることなく、そのまま使用される場合には、疎水性樹脂100質量部を基準とする層状珪酸塩の含有割合が0.5〜100質量部であるものが好ましく、1〜50質量部であるものがより好ましく、3〜30質量部であるものがさらに好ましい。
上記割合が好ましい理由は、疎水性樹脂組成物または熱可塑性樹脂組成物が、強度、耐水性、ガスバリア性の特に良好なものとなるためである。
層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液は、23℃における粘度が50〜20000mPa・sであることが好ましく、100〜20000mPa・sであることがより好ましい。粘度が低すぎても高すぎても得られる組成物が分散性の不充分なものとなる場合がある。上記粘度はB型回転粘度計を使用して回転速度60rpmにおいて測定したときの値である。
層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液が調製されるときのpHは、中性またはアルカリ性であることが好ましい。その理由は、分散液のpHが酸性であると、層状珪酸塩と疎水性樹脂が混合されたときに凝集が始まり、充分な分散がなされない場合があるためである。好ましいpHは5以上であり、より好ましいpHは6以上であり、さらに好ましいpHは6.5以上である。
層状珪酸塩が水性溶剤に分散された分散液は、例えば撹拌しながら水性溶剤に層状珪酸塩を添加、混合し、混合液をホモジナイザーなどを使用して分散させることによっても得られる。疎水性樹脂が水性溶剤に分散された分散液との混合に供される層状珪酸塩が水性溶剤に分散された分散液は、該分散液中の層状珪酸塩の濃度が0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満では生産性が悪く、20質量%を超えると充分に分散できない場合がある。
疎水性樹脂が水性溶剤に分散された分散液は、水性溶剤に疎水性樹脂を分散させる方法、水性溶剤中で原料単量体を乳化重合させて得られる疎水性樹脂を分散状態とする方法、有機溶剤に疎水性樹脂が溶解した溶液に水性溶剤を添加して疎水性樹脂を分散させる方法、有機溶剤に疎水性樹脂が溶解した溶液に水性溶剤を添加して疎水性樹脂を分散させた後に有機溶剤を除去する方法などによって製造することができる。水性溶剤中で原料単量体を乳化重合させて得られる疎水性樹脂を分散状態とする方法は、生産性が良好であり、得られる分散液は疎水性樹脂の分散性が良好なものとなりやすいために好ましい方法である。
疎水性樹脂は、水性溶剤に分散された状態における平均粒子径が、層状珪酸塩の平均粒子径以下であることが好ましく、層状珪酸塩の平均粒子径の2分の1以下であることがより好ましく、層状珪酸塩の平均粒子径の10分の1以下であることがさらに好ましい。疎水性樹脂の分散粒子の具体的な平均粒子径としては500nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。疎水性樹脂の分散粒子の平均粒子径が大きすぎると、得られる疎水性樹脂組成物は、疎水性樹脂と層状珪酸塩の分散性が不充分なものとなる場合がある。疎水性樹脂の分散粒子の平均粒子径の下限は特にないが、10nm未満のものは製造が難しい場合がある。本発明において、疎水性樹脂の分散粒子の平均粒子径は、層状珪酸塩の分散粒子の平均粒子径の測定と同じ方法により測定された。
疎水性樹脂は、公知の乳化剤が使用されることにより、水性溶剤中に安定に分散される。乳化剤としてはアニオン型乳化剤またはノニオン型乳化剤が好ましく、アニオン型乳化剤が特に好ましい。その理由は、「層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液と、有機オニウム塩とを混合し、層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂を凝集させる工程」において、層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂の凝集がより円滑になされるためである。乳化剤は、汎用の比較的低分子量の乳化剤、反応性乳化剤、高分子乳化剤などのいずれであってもよい。また、疎水性樹脂が自己乳化性を有するものである場合は、乳化剤は使用されなくてもよい。
有機オニウム塩は、層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液と混合されて、層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂の凝集、析出を促進するはたらきをするものである。また、有機オニウム塩は、有機オニウムカチオンが層状珪酸塩の金属カチオンとカチオン交換することにより、層状珪酸塩に疎水性を付与する。有機オニウム塩により疎水性を付与された層状珪酸塩は、耐水性が優れたものとなる。
有機オニウム塩としては、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩などが挙げられる。炭素数が8〜22のアルキル基、または芳香族基を有している有機オニウム塩は好ましいものであり、炭素数が8〜22のアルキル基、または芳香族基を有している有機アンモニウム塩は特に好ましいものである。その理由は、「層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液と、有機オニウム塩とを混合し、層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂を凝集させる工程」において、層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂の凝集がより円滑になされるためである。
有機オニウム塩の具体例としては、オクチルアンモニウム塩、デシルアンモニウム塩、ドデシルアンモニウム塩、テトラデシルアンモニウム塩、オクタデシルアンモニウム塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム塩、オクチルトリメチルアンモニウム塩、デシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルジメチルアンモニウム塩、ドデシルメチルアンモニウム塩、アミノドデカン酸塩などのアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウム塩等の有機ホスホニウム塩などが挙げられる。
本発明の疎水性樹脂組成物の製造方法において、有機オニウム塩は、あらかじめ層状珪酸塩および疎水性樹脂が水性溶剤に分散された水性分散液と混合されることが極めて重要である。
層状珪酸塩および有機オニウム塩の混合物または有機オニウム塩により処理された層状珪酸塩に、疎水性樹脂が添加、混合されると得られる組成物は分散性が不充分となる場合がある。疎水性樹脂および有機オニウム塩の混合物に、層状珪酸塩が添加、混合されても得られる組成物は分散性が不充分となる場合がある。層状珪酸塩、疎水性樹脂および有機オニウム塩が実質的に同時に混合されても得られる組成物は分散性が不充分なものとなる場合がある。これら例示した3つの方法は、いずれも本発明の技術的範囲外の方法である。
層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液と混合される有機オニウム塩は、固体状態のものが使用されてもよいし、水性溶剤に溶解された溶液状態のものが使用されてもよい。得られる組成物の分散性が良好となりやすいために、水性溶剤に溶解された溶液状態の有機オニウム塩を使用することが好ましい。
層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液と有機オニウム塩との混合方法としては、撹拌されている層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液に有機オニウム塩または有機オニウム塩の溶液を徐々に添加する方法、撹拌されている有機オニウム塩の溶液に層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液を徐々に添加する方法、層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液と有機オニウム塩または有機オニウム塩の溶液とを一気に混合する方法などが例示されるが、特に制限はない。
層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液と有機オニウム塩との混合は、15〜100℃の温度で行われることが好ましく、30〜100℃の温度で行われることがより好ましい。その理由は、層状珪酸塩が良好に分散された疎水性樹脂の凝集が、より速やかにおこるためである。
有機オニウム塩の使用量は、使用される層状珪酸塩が有するカチオン交換容量の0.1倍以上に相当する量が好ましく、0.5倍以上に相当する量がより好ましく、1倍以上に相当する量がさらに好ましい。有機オニウム塩の使用量が少なすぎると、水性溶剤中で疎水性樹脂組成物が凝集しにくいために疎水性樹脂組成物回収の作業性が悪く、回収率も小さくなる場合がある。また、得られる疎水性樹脂組成物は層状珪酸塩と疎水性樹脂の分散が不充分なものとなったり、耐水性の不充分なものとなったりする場合がある。
有機オニウム塩の使用量の上限は特にないが、層状珪酸塩が有するカチオン交換容量の10倍以上使用しても効果の向上はなく、経済的に無駄である。
層状珪酸塩および疎水性樹脂の分散液と、有機オニウム塩とが混合されると、層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂すなわち疎水性樹脂組成物が凝集、析出する。本発明によれば、層状珪酸塩が良好に分散された疎水性樹脂組成物が、簡単な生産性のよい回収方法により、高い回収率で得られる。ここに本発明の特徴がある。例えば特許文献5に記載されている無機層状化合物および合成樹脂を含有するエマルションを原料として使用し、水を除去すれば、生成する組成物は、本発明の疎水性樹脂組成物と類似の性能を有するものとなるようにも思えるが、エマルションから水を完全に除去するというのは熱エネルギーを多く必要とするほか、設備としても生産性の悪い方法である。しかも特許文献5に具体的に開示されている発明は、有機オニウム塩が組み合わせて使用されていないために、得られる被膜(組成物)が、条件によっては耐水性の不充分なものとなるのである。さらに、特許文献5に記載されている実施例において、乳化剤が有機オニウム塩に置換された場合には、「合成樹脂(本発明の疎水性樹脂)および有機オニウム塩を含む分散液と無機層状化合物(本発明の層状珪酸塩)の分散液が混合される」こととなり、上述のとおり分散性が不充分になりやすく、本発明のような効果を奏することはない。
水性溶剤および疎水性樹脂組成物を含む水性分散液は、遠心分離機やフィルタープレスにかけるなどの公知の方法により脱溶剤処理をされることにより、単離された疎水性樹脂組成物を与える。有機オニウム塩添加により層状珪酸塩から排除された金属カチオン、層状珪酸塩にとりこまれなかった有機オニウム塩などの夾雑物は、水性溶剤に溶け込んで除去される。疎水性樹脂組成物は、必要に応じて水で洗浄することにより、上記夾雑物の含有量をさらに低減させたものとすることができる。疎水性樹脂組成物は、必要に応じて乾燥させて、水分などの揮発性成分を実質的に含まないものとすることができる。
疎水性樹脂組成物は、そのままで使用されてもよいし、熱可塑性樹脂と混合された組成物(以下、熱可塑性樹脂組成物ともいう。)として使用されてもよい。熱可塑性樹脂に制限はないが、例としては、上記に例示した疎水性樹脂のほか、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
本発明によって得られる疎水性樹脂組成物は、疎水性樹脂からなる分散媒中に層状珪酸塩が極めて良好に分散されるものであるため、比較的高濃度の層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂組成物(以下、疎水性樹脂組成物マスターバッチともいう。)を予め調製しておき、該疎水性樹脂組成物マスターバッチと熱可塑性樹脂を混練することにより、目的とする濃度の層状珪酸塩が分散された熱可塑性樹脂組成物を容易に製造することもできる。
熱可塑性樹脂組成物製造に供される疎水性樹脂組成物マスターバッチと熱可塑性樹脂の混合割合は、生産性および分散性を良好なものとするため、疎水性樹脂組成物マスターバッチ100質量部を基準として、熱可塑性樹脂50質量部〜5000質量部が好ましく、100質量部〜1000質量部がより好ましい。疎水性樹脂組成物マスターバッチと熱可塑性樹脂の混練は、通常熱可塑性樹脂の混練に利用される公知の方法によってなされればよい。
疎水性樹脂組成物または熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤、流動性調節剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、体質顔料、着色顔料など公知の添加剤やその他の樹脂などが添加されたものであってもよい。
(製造例1)(層状珪酸塩分散液の調製)
層状珪酸塩としてNa−モンモリロナイト(平均粒子径2μm、イオン交換容量100meq/100g)を固形分4%となるようにイオン交換水と混合し、80℃に加温後、ホモジナイザーを使用して1時間攪拌し、該層状珪酸塩の水分散液Aを得た。
(製造例2)(層状珪酸塩分散液の調製)
層状珪酸塩としてフッ素合成雲母(平均粒子径10μm、イオン交換容量45meq/100g)を固形分10%となるようにイオン交換水と混合し、80℃に加温後、ホモジナイザーを使用して1時間攪拌し、該層状珪酸塩の水分散液Bを得た。
(製造例3)(比較用の層状珪酸塩有機変性物の調製)
製造例1で得られた層状珪酸塩の水分散液A100質量部に、1%ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド水溶液400質量部を混合し、生成した沈殿物をイオン交換水で3回洗浄した後、80℃の温度において2時間乾燥させて有機変性層状珪酸塩Cを得た。
(製造例4)(疎水性樹脂の製造)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた容量3リットルのガラス製4ツ口フラスコにイオン交換水75質量部とラウリルスルホン酸ナトリウム0.7質量部を仕込んだ。一方、イオン交換水43質量部、スチレン45質量部、2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、メタクリル酸5質量部、ラウリルスルホン酸ナトリウム0.3質量部をホモジナイザーで混合乳化した単量体混合液を別途調製し、単量体混合液の20%をフラスコに投入した。さらに2.5%過硫酸アンモニウム水溶液4質量部を加えた後、フラスコ内を窒素置換し、80℃に昇温して重合反応をおこなった。30分後、残りの単量体混合液と2.5%過硫酸アンモニウム水溶液4質量部を別々に上記フラスコ中へ3時間かけて滴下させ、滴下が終了した後82℃において2.5時間反応させて重合を終了した。重合反応液が冷却されてから、10%アンモニア水を添加することによりpHを9に調整し、固形分40%、粘度50mPa・s、平均粒子径100nmのスチレンアクリルエマルションEを得た。
(製造例5)(疎水性樹脂の製造)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた容量3リットルのガラス製4ツ口フラスコにイオン交換水75質量部とラウリルスルホン酸ナトリウム0.7質量部を仕込んだ。一方、イオン交換水43質量部、スチレン49質量部、2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、メタクリル酸1質量部、ニューコール293(日本乳化剤製アニオン乳化剤)5質量部、ニューコール707SF(日本乳化剤製アニオン乳化剤)1質量部をホモジナイザーで混合乳化した単量体混合液を別途調製した。2.5%過硫酸アンモニウム水溶液4質量部を加えた後、80℃に昇温した後、単量体混合液と2.5%過硫酸アンモニウム水溶液4質量部を別々に上記フラスコ中へ3時間かけて滴下させ、さらに80℃で2.5時間反応させて重合を終了した。重合反応液が冷却されてから、10%アンモニア水を添加することによりpHを9に調整し、固形分40%、粘度12mPa・s、平均粒子径620nmのスチレンアクリルエマルションFを得た。
(実施例1)
製造例4で得られたスチレンアクリルエマルションE100質量部と製造例1で得られた4%Na−モンモリロナイトの水分散液A100質量部を20℃において2時間混合し、イオン交換水を添加して、23℃における粘度が900mPa・sとなるように希釈した。上記のようにして調製された層状珪酸塩と疎水性樹脂が分散された水性分散液を、1%ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド水溶液400質量部に撹拌しながら30分かけて添加し、凝集物を析出させた。析出した凝集物を1000質量部のイオン交換水により3回洗浄した後、フィルタープレスにより脱水処理をし、得られたケーキ状物を80℃で乾燥して、疎水性樹脂組成物を得た。
(実施例2〜5)
使用する原料の種類、量を表1または表2のように変更する以外は実施例1と同様の操作を行って疎水性樹脂組成物を得た。
(比較例1および5)
表1または表2に示す層状珪酸塩および疎水性樹脂を含む分散液をそのまま(有機オニウム塩により処理することなく)ガラス板上に塗布し、60℃において乾燥させて、比較用の組成物を得た。
(比較例2)
製造例3で得られた有機変性層状珪酸塩C(有機オニウム塩により予め処理された層状珪酸塩)を製造例4によって得られたスチレンアクリルエマルションEに分散させ、ガラス板上に塗布し、60℃において乾燥させて、比較用の組成物を得た。混合割合は表1に示すとおりである。
(比較例3、4、6および7)
使用する原料の種類、量を表1または表2のように変更する以外は実施例1と同様の操作を行って比較用の組成物を得た。比較例3、4、6および7においては、有機オニウム塩に代えて比較用の凝集剤として無機の酸または塩を使用した。
Figure 2005232257
Figure 2005232257
上記実施例および比較例により得られた組成物について下記の評価を行った。評価結果を表1および表2に示した。
(評価項目・評価方法)
(1)分散性
組成物に含まれる層状珪酸塩が有する結晶性の消失度合いをX線回折により評価した。組成物粉末を試料とし、X線回折装置を用いて、Cu-Kαの特性X線を使用し、スキャニング速度1°/分、2θ=0.8〜40°の範囲で行った。結晶性を示すピークが小さいほど層状珪酸塩が良好に分散していることを意味する。
○:結晶性を示すピークが認められなかった。
△:結晶性を示すピークが明瞭に認められた。
(2)強度
組成物を200℃で熱プレスして厚さ約250μmのフィルムを作成し、得られたフィルムの強度を測定した。層状珪酸塩を含有しないフィルムの破断強度を基準とする破断強度比を求めた。
破断強度比=層状珪酸塩含有品の破断強度/層状珪酸塩非含有品の破断強度
測定条件 引っ張り試験機:東洋ボールドウイン製UTM−4L
測定雰囲気:20℃、50%RH
引っ張り速度:50mm/分
(3)耐水性
組成物を200℃で熱プレスして厚さ約250μmのフィルムを作成し、得られたフィルムを60℃の水に24時間浸漬し、次の式から吸水率(%)を求めた。吸水率はゼロに近いほど望ましい。吸水率が大きいと寸法変化が生じたり、基材との密着不良が生じたりする場合がある。
吸水率=浸漬後の含水フィルム質量/浸漬後の乾燥フィルム質量×100−100
(4)ガスバリア性
厚さ100μmのフィルムを作成し、JIS Kカップ法に準拠して水蒸気透過度を測定し、層状珪酸塩を含有しないフィルムに対する透湿度比を求めた。透湿度比は大きいほど層状珪酸塩を含有する組成物からなるフィルムのガスバリア性が優れていることを意味する。
透湿度比=層状珪酸塩非含有品の透湿度/層状珪酸塩含有品の透湿度
(5)粘度
層状珪酸塩および疎水性樹脂が分散された水性分散液の23℃における粘度を、B型粘度計(株式会社東京計器製)により回転数60rpmにて測定した。
(実施例6)
疎水性樹脂エマルションGとして、日本ゼオン製ポリブタジエンラテックスLX111A2(固形分濃度54%)を使用した。エマルションG100質量部と製造例2で得られた10%層状珪酸塩の水分散液B500質量部を20℃において2時間混合した。イオン交換水により希釈して23℃における粘度が353mPa・sに調整された、層状珪酸塩および疎水性樹脂を含有する水分散液を得た。この分散液を、1%ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド水溶液2000質量部に、撹拌しながら30分かけて添加し、凝集物を析出させた。析出した凝集物を5000質量部のイオン交換水により3回洗浄した後、フィルタープレスにより脱水処理をし、得られたケーキ状物を80℃で乾燥させて疎水性樹脂組成物を得た。得られた疎水性樹脂組成物20質量部とABS樹脂80質量部を混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物について粉末X線分析を行い、層状珪酸塩の分散性を評価した。粉末X線で結晶ピークは全く見られず、層状珪酸塩が良好に分散していることが確認された。
(比較例8)
ABS樹脂80質量部に、製造例3で得られた有機変性層状珪酸塩C(有機オニウム塩により予め処理された層状珪酸塩)20質量部を混合し、混練機でよく混練りして組成物を得た。得られた組成物について粉末X線分析を行ったところ、結晶ピークが見られ層状珪酸塩の分散が充分でないことが確認された。
疎水性樹脂に、無機層状化合物をナノメートルオーダーで良好に分散させることができ、強度、耐水性、ガスバリア性が良好な疎水性樹脂組成物を効率よく製造することができた。得られた疎水性樹脂組成物または該疎水性樹脂組成物を含む熱可塑性樹脂組成物は、強度、耐水性、ガスバリア性が良好な被覆材料、包装材料、成形材料、充填材料などとして有用である。

Claims (10)

  1. 水膨潤性無機層状珪酸塩および疎水性樹脂が水性溶剤に分散された水性分散液と、有機オニウム塩とを混合し、水膨潤性無機層状珪酸塩が分散された疎水性樹脂を凝集させる工程を含むことを特徴とする疎水性樹脂組成物の製造方法。
  2. 水性分散液中に分散された水膨潤性無機層状珪酸塩からなる粒子の平均粒子径は、0.2〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の疎水性樹脂組成物の製造方法。
  3. 水性分散液中に分散された疎水性樹脂からなる粒子の平均粒子径は、0.01〜0.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の疎水性樹脂組成物の製造方法。
  4. 水性分散液中に分散された疎水性樹脂からなる粒子の平均粒子径は、水性分散液中に分散された水膨潤性無機層状珪酸塩からなる粒子の平均粒子径以下であることを特徴とする請求項1に記載の疎水性樹脂組成物の製造方法。
  5. 疎水性樹脂は、エチレン性不飽和単量体を重合させて得られる重合体からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の疎水性樹脂組成物の製造方法。
  6. 水性分散液は、23℃における粘度が50〜20000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の疎水性樹脂組成物の製造方法。
  7. 水性分散液は、疎水性樹脂100質量部を基準として、水膨潤性無機層状珪酸塩0.5〜1000質量部を含有するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の疎水性樹脂組成物の製造方法。
  8. 有機オニウム塩は、炭素数8〜22のアルキル基または芳香族基を有するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の疎水性樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により製造される疎水性樹脂組成物。
  10. 熱可塑性樹脂および請求項9に記載の疎水性樹脂組成物を含有する熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011016479A1 (ja) * 2009-08-05 2011-02-10 日本ゼオン株式会社 ニトリルゴム組成物、架橋性ニトリルゴム組成物、ゴム架橋物、及びニトリルゴム組成物の製造方法
WO2012105645A1 (ja) * 2011-02-03 2012-08-09 日本ゼオン株式会社 ニトリルゴム組成物および架橋性ニトリルゴム組成物、並びにゴム架橋物
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