JP2005232156A - 生体成分精製溶液、生体成分分離方法および生体成分分離装置 - Google Patents

生体成分精製溶液、生体成分分離方法および生体成分分離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】臨床プロテオーム解析をする際に、微量成分の検出に対して妨害となる過剰な高分子量のタンパク質を取り除くための方法を得る。
【解決手段】
血液を原液として膜分離と抗体の組み合わせによりアルブミン以上の分子量を有するタンパク質を除去する事を特徴とする生体成分精製溶液分離方法および分離装置。本分離方法および装置により得られた溶液は、質量分析、電気泳動、液体クロマトグラフィー等のタンパク質分析に用いられ、高感度の分析が可能になる。

Description

本発明は血液由来試料から特定のタンパク質を、分離膜と抗体とを組み合わせて分離する方法および分離装置に関する。
近年、ポストゲノム研究として、プロテオーム解析研究(プロテオミクス)が注目され始めた。遺伝子産物であるタンパク質は遺伝子よりも疾患の病態に直接リンクしていると考えられることから、タンパク質を網羅的に調べるプロテオーム解析の研究成果は診断と治療に広く応用できると期待されている。しかも、ゲノム解析では発見できなかった病因タンパク質や疾患関連因子を多く発見できる可能性が高い。
プロテオーム解析の急速に進展しだしたのは、技術的には質量分析装置(mass spectrometer: MS)による高速構造分析が可能となってきたことが大きく、MALDI-TOF-MS (matrix assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry) 等の実用化によって、ポリペプチドのハイスルースループット超微量分析が可能となり、従来検出し得なかった微量タンパク質までが同定可能となり、疾患関連因子の探索に強力なツールとなってきている。
プロテオーム解析の臨床応用の第一目的は、疾患によって誘導あるいは消失するバイオマーカータンパク質の発見である。バイオマーカーは、病態に関連して挙動するため、診断のマーカーとなり得るほか、創薬ターゲットとなる可能性も高い。すなわち、プロテオーム解析の成果は、特定遺伝子よりも診断マーカーや創薬ターゲットとなる可能性が高いため、ポストゲノム時代の診断と治療の切り札(エビデンス)技術となり、同定されたバイオマーカーは患者の薬剤応答性評価や副作用発現予測という直接的に患者が享受しえる利益につながることから、いわゆるテーラーメード医療(オーダーメード医療)の推進に大きな役割を果たすといえる。
臨床研究にプロテオーム解析(臨床プロテオミクス)を導入する場合には、大量の検体を迅速、確実に解析することが求められており、しかも臨床検体は微量で貴重なために高分解能・高感度・高機能測定を迅速に行う必要がある。この大きな推進力となったのは質量分析(mass spectrometry)であり、質量分析装置のもつ超高感度でハイスループットの特性の貢献するところが大きい。しかしながら、その手法や機器が急速に改良されてきてはいるものの、プロテオーム解析が臨床現場で簡便かつ迅速に実施できる状況にはまだない。
ヒト・タンパク質は10万種以上とも推定されているが、血清中に含まれるタンパク質だけでも約1万種類にものぼるといわれ、総量としての血清中濃度は約60〜80mg/mLである。血清中の高含量のタンパク質は、アルブミン(分子量66kDa)、免疫グロブリン(150〜1000kDa)、トランスフェリン(80kDa)、ハプトグロビン(>85kDa)、リポタンパク質(数100kDa)等であり、いずれも大量(>mg/mL)に存在する。一方、病態のバイオマーカーや病因関連因子と考えられているペプチドホルモン、インターロイキン、サイトカイン等の生理活性タンパク質の多くは、極微量 (<ng/mL)にしか存在せず。その含有量比は高分子の高含量成分に比べて、実にnanoからpicoレベルである。タンパク質の大きさという点では、タンパク質全種類の70%以上は分子量60kDa以下であり、上記の極微量なバイオマーカータンパク質はいずれもこの領域に含まれる場合がほとんどである(例えば非特許文献1)。これらのタンパク質は腎臓を通過して尿中に一部***されるため、血液のみならず尿を検体として測定することも可能である。
一般的な血清学的検査でプロテオーム解析するには、病因関連の微量成分検出の妨害となる分子量6万以上の高分子成分を除外することがまず必須となる。また、分子量6万未満の成分についてはできるだけ多く回収することが必須となる。
この高分子量タンパク質の分離手段として、現状では高速液体クロマトグラフィー (liquid chromatography: LC) や二次元電気泳動 (2 dimensional-polyacrylamide gel electrophoresis: 2D-PAGE) が用いられているが、これらは、微量のサンプルしか処理できないために、目的とするサンプル量も少なく、MS分析、2次元電気泳動分析などのタンパク質分析を行っても検出されない場合がある。
この点が解決されると、臨床プロテオーム解析による臨床検査の診断の迅速性は飛躍的に向上すると期待できる。具体的には、効率的に目的タンパク質群を分画・分離できるデバイスがあればよい。
アルブミンを主な対象物質として、すでに実用化されている製品あるいは開示されている技術としては、ブルー色素などのアフィニティーリガンドを固定化した担体(たとえば、日本ミリポア社:"Montage Albumin Deplete Kit(登録商標)"、日本バイオ・ラッド社:AffiGel Blueゲル(登録商標))、高分子量成分を遠心分離ろ過によって分画する遠心管形式の装置(たとえば、日本ミリポア社:"アミコンウルトラ(登録商標)")、特表2002−542163号公報(特許文献1)に開示されている電気泳動原理によって分画する方法(たとえば、グラディポア社:"Gradiflow(登録商標)"システム)、Cohnのエタノール沈澱などの伝統的な沈殿法やクロマトグラフィーによって分画する方法(例えば非特許文献2)などがある。
しかしこれらは、いずれも分離分画性能が十分ではなかったり、微量サンプルには不適当であったり、サンプルが希釈されてしまったり、あるいは質量分析等に障害となる薬剤が混入したりするなどの問題点がある。
また、人工腎臓、人工肺、血漿分離装置などに使用されている分離膜はその用途に応じて様々な大きさのものが開発され、生体成分との適合性を向上させるような改善もされているが(特許文献2)、臨床プロテオームが抱えている問題の解決を示唆するものはない。
これらを解決する溶液の開発により、医学研究ならびに臨床現場でプロテオーム解析が広く行われるようになり、より迅速で高精度な検査や診断が可能となって、有用な治療法がない難治性の疾患の原因究明や早期の診断法の開発には強力なツールとなると期待できる。
特表2002−542163号公報 特許3297707 アンダーソン・NL(Anderson NL),アンダーソン・NG( Anderson, NG)著,「ザ・ヒューマン・プラズマ・プロテオーム:ヒストリー・キャラクター・アンド・ダイアグノスティック・プロスペクツ (The human plasma proteome: history, character, and diagnostic prospects)」,モレキュラー・アンド・セルラー・プロテオミクス(Molecular & Cellular Proteomics),(米国),ザ・アメリカン・ソサエティー・フォー・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー・インコーポレーテッド(The American Society for Biochemistry and Molecular Biology, Inc.),2002年,第1巻,p845-867. 日本生化学会編,「新生化学実験講座(第1巻)タンパク質(1)分離・精製・性質」, 東京化学同人, 1990年
上述のとおり、臨床プロテオーム解析をする際に、妨害となる過剰な高分子量のタンパク質を除去することが必要である。
極最近でも、Affi-Gel Blueゲルを用いた方法(N. Ahmed et al., Proteomics, On-line版, 2003/06/23)が有効な改良されたアルブミン除去法として発表されているが、 Blueゲルは、アルブミンのみを特異的に除去するものではなくプロテオーム解析のターゲットタンパク質をも同時に除去する可能性は否定できず、より多くの情報を得るための分析用溶液を得ることができる生体成分精製溶液とその分離方法および分離装置はない。このことは本発明が解決しようとする課題である。
本発明に係る生体成分精製溶液とその分離方法および分離装置は以下の(1)から(26)のような構成をとる。
(1)血液由来試料から、分子量3万以下のタンパク質と分子量6万以上のタンパク質との透過比率が2以上1000以下である膜分離システムを用いて得た溶液から、更に抗体を用いて特定タンパク質を膜分離システムを用いて得た量の10%以下に低減することによって得られる生体成分精製溶液。
(2)特定タンパク質が分子量6万以上であることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液。
(3)特定タンパク質が複数のタンパク質であることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液。
(4)特定タンパク質のうちの一つがアルブミンであることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液
(5)アルブミン以外の特定タンパク質が免疫グロブリンG、免疫グロブリンA、トランスフェリン、ハプトグロビン、アンチトリプシンの内いずれか、もしくはそれらの組合せであることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液。
(6)抗体がポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液。
(7)血液由来試料から、分子量3万以下のタンパク質と分子量6万以上のタンパク質との透過比率が2以上1000以下である膜分離システムを用いて得た溶液から、更に抗体を用いて複数の特定タンパク質を膜分離システムを用いて得た量の10%以下に低減することを特徴とする生体成分分離方法。
(8)抗体が膜もしくは回路の一部に組み込まれていることを特徴とする請求項7に記載の生体成分分離方法。
(9)抗体が膜表面に固定されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
(10)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が少なくとも第一段目の膜外表面に固定されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
(11)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第二段目の膜内表面に固定されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
(12)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第一段目の膜と第二段目の膜の間に固定されることなく存在することを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
(13)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第一段目の膜と第二段目の膜の間に固定されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
(14)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて、抗体で処理した液をさらに膜で濾過することを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
(15)分離膜が中空糸状であることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
(16)分離膜に親水性成分が含有されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
(17)血液由来試料から、分子量3万以下のタンパク質と分子量6万以上のタンパク質との透過比率が2以上1000以下である膜分離システムを用いて得た溶液から、更に抗体を用いて複数の特定タンパク質を膜分離システムを用いて得た量の10%以下に低減することを特徴とする生体成分分離装置。
(18)抗体が膜もしくは回路の一部に組み込まれていることを特徴とする請求項17に記載の生体成分分離装置。
(19)抗体が膜表面に固定されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
(20)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が少なくとも第一段目の膜外表面に固定されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
(21)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第二段目の膜内表面に固定されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
(22)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第一段目の膜と第二段目の膜の間に固定されることなく存在することを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
(23)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第一段目の膜と第二段目の膜の間に固定されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
(24)分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて、抗体で処理した液を更に膜で濾過することを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
(25)分離膜が中空糸状であることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
(26)分離膜に親水性成分が含有されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。(請求項の転記)(1)〜(26)
本発明によって得た生体成分精製溶液から、血漿をはじめとする血液由来試料から従来検出されなかった微量のタンパク質を数多く検出することが可能となる。
本発明者らは、生体成分精製溶液を得る方法として、血液由来試料溶液から分子量3万以下のタンパク質と分子量6万以上のタンパク質との透過比率が2以上1000以下である膜分離システムを用いて得た分子量3万以下の物質を多く含む溶液から抗アルブミン抗体を用いてアルブミンを特異的に除去することが好ましく、更には他のタンパク質に対する抗体も組み合わせて不要なタンパクを除去することが好ましいことを見出した。
本発明で言う生体成分精製溶液とはタンパク分析に用いられる溶液のことであり、「生体成分分離方法」とはタンパク分析に用いられる溶液を得る方法のことであり生体成分分離装置とはタンパク分析に用いられる溶液を得る方法を有する装置・システムのことである。タンパク分析としては特に限定しないがLCや2D-PAGE、核磁気共鳴(NMR)、MALDI-TOF-MSやESI-MS等を例示することができる。これらは、アルブミンが大量に含まれていることによって、分析感度が低くなる分析方法であり、本発明の溶液、あるいは方法や装置により得られた溶液を用いることによって、高感度分析が可能となる。さらには、アルブミンに次いで一般に生体中に多く含まれる免疫グロブリン類や比較的多く含まれる特定の他のタンパクを除去することによって、さらに高感度分析が可能となる。
「アルブミン」とはヒト、ウシ、その他哺乳動物及び鳥類由来のアルブミンのことをいう。今発明はアルブミンを指標とした溶液分離方法および装置により得られた溶液がタンパク質の分析液として優れた特性を示すことを発見したものである。具体的には膜分離システムを用いて分子量3万以下の物質の存在比が上昇するように処理された溶液から更にアルブミンを特異的に除去するということは、アルブミンより分子量の小さいタンパク質、特に分子量3万以下の微量タンパク質がさらに高濃度に濃縮され、非常に多くのタンパク質情報を得ることが可能となる。
「免疫グロブリン類」とはヒト、ウシ、その他哺乳動物及び鳥類由来の各種の免疫グロブリン及びその構成成分のことをいう。免疫グロブリンは一般に分子量がアルブミンより大きく分子量3万以下のタンパク質と分子量6万以上のタンパク質との透過比率が2以上1000以下である膜分離システムを用いて得た溶液中には完全な免疫グロブリンとしては多くは存在しないが低分子量化した構成成分の一部が含まれることがある。そう言った場合にはアルブミンだけでなく免疫グロブリン類を除去することによってさらに多くのタンパク情報を得ることが可能となる。
このことは免疫グロブリン類に限らず、他のタンパクである補体成分やフィブリノーゲン等にも同様にいえることである。
「血液由来試料」とはヒトなどの動物血液のことであり、血液そのものに加え血清、血漿など血液中の一部の成分からなる溶液も含まれる。
分子量3万以下のタンパク質とはタンパク質の中でも比較的分子量が小さいタンパク質であり、血中総タンパク質に対して存在割合が低いが、種類は非常に多い。ここでは、分子量3万であるα1−マイクログロブリンを指標として用いる。分子量6万以上のタンパク質とは、アルブミン、免疫グロブリン類やトランスフェリンなどが該当し原液中に高含有率で存在する。ここでは血中に最も多く存在し、分子量が6万に近いアルブミンを指標にした。
本発明でいう「分離」とは回収目的のタンパク質と廃棄目的のタンパク質を弁別することをいう。主なタンパク質を分離・分画する手法は、濃度差による凝集沈殿法、分子篩い効果、イオン的相互作用、疎水的相互作用、水素結合、アフィニティーによる特異的結合などを利用したクロマトグラフィー、さらに電気泳動などが挙げられる。分離能を上げるためには、一般的には単一の手法では難しく、通常、複数の分離モードを利用して達成される。たとえば、陽イオンクロマトグラフィーと逆相液体クロマトグラフィーの組み合わせや、ゲルろ過とアフィニティークロマトグラフィーの組み合わせ、逆相液体クロマトグラフィーとSDS-PAGEの組み合わせなどである。
「膜」とは多孔性の分離膜のことであり、平面フィルター、カートリッジ式フィルター等の平膜型分離膜(平膜)、中空糸等の中空状分離膜(中空糸膜)のいずれも用いることができるが、一般に、中空糸は処理液量あたりの表面積が大きく、圧損も少ないため、最も効率よく用いることができる。また、平面フィルターは製膜が容易で安価に作成することができると言う利点がある。膜素材としては、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される素材を例示することができる。この中でも近年透析器などに良く用いられているポリスルホンは分画特性が良好であるために好ましい素材である。
「膜分離システム」とは膜を用いて血清などの血液由来試料から回収目的である分子量3万以下のタンパクを分画する膜分画工程を単独であるいは多段で処理を行うシステムのことである。
また、生体成分分離装置においては必要に応じて上記の工程から得られる液から過剰な水分を取り除きタンパク質を濃縮する工程もシステムに含んでいることが好ましい。本発明の装置における膜分離、吸着、濃縮の各工程は、各工程に適切な中空糸モジュールあるいはフィルター、抗体固定化担体を配置し、これらを連結することによって、完成させることが可能である。
本発明の膜分画工程には特に中空糸モジュールを用いることが好ましい。中空糸はタンパク質関係では従来より人工腎臓(透析モジュール)として多く利用されているが、いずれもアルブミン等のタンパク質を漏れさせないように保持され、クレアチニンや尿素などの低分子成分を漏出させて中空糸内腔側を流れる血液を浄化する目的で使用される。一方、本発明においては、中空糸内腔側から漏出する画分を分析のために収集する方法で用い、中空糸内腔側にはアルブミン等の高分子量成分を保持しながら、主に分子量3万以下のタンパク質成分を漏出させる方法を取る。このような、目的と手法で中空糸を分画デバイスとして用いるのは、本発明で初めて達成された。特に中空糸は表面積が大きく、操作上の圧損が少ないため、効率よく本発明を実施することができる。
本発明のデバイスの概念図は図1のとおりであり、実際の構成は以下のとおりである。
(1)膜分離工程
「膜分離工程」とは試料から廃棄目的の分子量6万以上のタンパク質と、回収目体である分子量3万以下のタンパク質を膜を使って分離する工程を意味する。ここでいう「膜分離」とは分子量によりタンパク質を弁別することをいう。本工程では、平面フィルターあるいは中空糸モジュールの膜に分子篩い効果を有する多孔性膜を用い、分離篩いによる分子量分画を行う。特に中空糸を用いることは分画膜表面積が極めて大きくなるため、有効である。
本発明で用いる膜の素材は特に限定しないが、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される高分子を含む素材が使用される。膜構造に関しては、均一構造に近いスポンジ構造を有するものや、緻密層と空隙率が高く膜強度を維持する支持層の二層構造からなるもののいずれも用いることができる。
親水性膜では、親水性の単量体と疎水性の単量体を共重合させたものや、親水性の高分子と疎水性の高分子をブレンド製膜したもの、あるいは疎水性の高分子からなる膜の表面に親水性ポリマーを結合、付着させたもの、疎水性の高分子からなる膜の表面を化学処理、プラズマ処理、放射線処理したものなどがあげられるが、親水化されていればその方法は特に限定されない。親水性成分は特に限定しないが、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミドなどの親水性高分子が好ましい。これらの親水性膜は必要とするタンパク質の吸着を抑え、無駄なく回収する効果がある。
さらには、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、ポリフェノール、ブルー色素、2価金属イオン(Zn2+, Ni2+, Co2+, Cu2+等)、疎水性化合物(メチル基、ベンジル基、フェニル基、クロロメチル基、オクチル基、ラウリル基等)などのうち、少なくともいずれかひとつ以上を固定化した素材を用いることもできる。
膜の分子分画性能に関しては、生理的食塩水中でアルブミンを50%以上通過させない程度の分子分画能(カットオフ値:30〜60kDa以下)を用いる。
(2)吸着工程
「吸着工程」とは水溶液中のアルブミンおよび他の特定タンパク質を吸着する工程を意味する。ここでいう「吸着」とは水溶液中に可溶化しているアルブミンおよび他の特定タンパク質が抗体との相互作用により捕捉されることをいう。本発明において、抗体は膜分画工程で処理された液が接触する部位にあれば特に特定しないが、ビーズに固定化した抗体を回路の一部もしくは全体に充填して用いること、平面フィルター、あるいは中空糸モジュールの膜に抗体を固定化させることが好ましい。
固定化方法としては、特に限定しないが、抗体の−NH2末端を固定する方法や酸化糖を固定化する方法、プロテインAやプロテインG等のリガンドに固定化する方法等が効率よく抗体を固定化する方法として使用できる。
用いる抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でも限定されることなく使用できる。また抗体を構成するタンパク質は免疫グロブリン類であれば特に限定されるものではないが、免疫グロブリンGが好ましい。
本発明で用いる担体の素材は特に限定しないが、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される高分子を含む素材が使用されるのが好ましい。膜構造に関しては、均一構造に近いスポンジ構造を有するものや、緻密層と空隙率が高く膜強度を維持する支持層の二層構造からなるもののいずれも用いることができる。
また素材形態としては、球状ビーズ、繊維等の形態、繊維を編地、不織布、ステープルを用いた平面状の形態、中空糸の形態などが挙げられ、それぞれに表面の凹凸が大きい多孔体形状であることが吸着表面積を増大させる効果のために好ましい。また、平膜や中空糸膜等の分離膜の形態であれば、分離と吸着を同時に達成できるため、特に好ましい。
また、抗体を膜もしくはビーズなどに固定しない場合には、抗体と接触させた後にこの液を膜を用いて濾過し、抗体およびそれに結合したタンパク質および未反応の抗体を取り除くことが出来る。ここで用いる膜には実質上抗体が通過しない程度以下の孔径の膜を用いる。この手法は抗体を固定化させる必要がないため簡便な方法である。
膜基材自体の特性としては、非特異的タンパク質吸着を抑えるために親水性化されたものや、アルブミン等の高分子量タンパク質を選択的に吸着するために疎水性化されたものが、分画と吸着の各工程に応じて、適宜選択されて使用される。
親水性膜では、親水性の単量体と疎水性の単量体を共重合させたものや、親水性の高分子と疎水性の高分子をブレンド製膜したもの、あるいは疎水性の高分子からなる膜の表面に親水性ポリマーを結合、付着させたもの、疎水性の高分子からなる膜の表面を化学処理、プラズマ処理、放射線処理したものなどがあげられるが、親水化されていればその方法は特に限定されない。親水性成分は特に限定しないが、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどの親水性高分子が好ましい。疎水性膜では、疎水性成分を混入させたり、疎水性リガンドを膜表面に導入したものが用いられる。疎水性成分としてはメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の炭素−炭素二重結合を有する付加重合性化合物からなる重合体や、ポリスルホン、セルロースなどの重合体を例示することができるが、膜素材として用いることができるものであれば特に限定されるものではない。
さらには、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、ポリフェノール、ブルー色素、2価金属イオン、疎水性芳香族化合物等のうち、少なくともいずれかひとつ以上を固定化した素材を用いることもできる。
膜の分子分画性能に関しては、生理的食塩水中でアルブミンを50%以上通過させない程度の分子分画能(カットオフ値:30〜60kDa以下)を用いる。
この工程で得られた非吸着画分は必要に応じ次の再膜分離工程に供される。本工程は省略してもよい。
吸着工程と再膜分離工程では、展開する緩衝液中に、各種の薬剤を加えて、吸着あるいは分画性能を向上させることができる。具体的には、工程に用いる水溶液中に、界面活性剤、乳化剤、有機溶媒、アルコール、エチレングルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、硫酸プロタミン、硫酸アンモニウム、ポリフェノール、ブルー色素、カオトロピック塩および疎水性化合物からなる群より1種類以上選択される物質を含むことを特徴とする
たとえば、アルブミンの凝集を促進させる硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコール、ポエチレンイミン、カオトロピック塩等を適宜加えることにより、高分子成分のタンパク質の凝集による巨大分子化を促進し、吸着の促進や分画膜からの漏出を抑制し、高分子成分を効率的にカットオフすることができる。一方、分画工程では、界面活性剤(両性界面活性剤や陰イオン性海面活性剤等)を適宜加えることにより、タンパク質間の相互作用を抑制し、分子量分画を効率的に行うことができる。
この工程で得られたろ過画分は次の濃縮工程に供される。吸着工程や再膜分離工程で溶液を十分に分離できる場合には、本工程は省略される。
(3)濃縮工程
「濃縮工程」とは水溶液中のタンパク質を濃縮する工程を意味する。ここでいう「濃縮」とは水溶液中から水及び分子量1000以下の低分子成分を除去し、残液中のポリペプチド部分が濃縮されることをいう。本工程では、平面フィルターあるいは中空糸モジュールの膜に分子篩い効果を有する多孔性膜を用い、分離ふるいによる濃縮を行う。サンプルが少量の場合には、遠心型のチューブに平面フィルターを貼り付けた濃縮デバイスを、大量のサンプルの場合には、中空糸を用いることが有効である。
本発明で用いる膜の素材は特に限定しないが、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選ばれる高分子を含む素材が使用される。膜構造に関しては、均一構造に近いスポンジ構造を有するものや、緻密層と空隙率が高く膜強度を維持する支持層の二層構造からなるもののいずれも用いることができる。
膜の分子分画性能に関しては、生理的食塩水中でペプチドを通過させない程度の分子分画能(カットオフ値:10〜1000以下)を有する膜か限外ろ過膜を用いる。ここでカットオフ値とは50%膜透過率を示す物質の分子量を指す。
(4)全体の構成ならびに運転条件
各工程は水溶液流路で直結され、連続して稼動できることによって、簡便かつ自動的に連続運転できるという効果が得られるが、必要により、各工程を独立して稼動させてもよい。チューブにはポンプが装着され、ポンプにより送液されるが、小規模の場合にはシリンジによる送液、濃縮行程では遠心チューブ型装置による濃縮を行っても構わない。また、本発明のいう「組み合わされた各工程が、水溶液流路によって直結され、連続して稼働できる」とは、複数の工程が水溶液流路で結ばれた複数の装置で行われていることを意味し、単独で複数の工程を行う装置を複数個水溶液流路によって直結される態様も含む。すなわち、分子量3万以下の分子量を有するタンパク質を効率よく得る第一工程の中空糸モジュールと、アルブミンを吸着除去する工程とタンパク質溶液を濃縮する工程を同時に行う第二の中空糸モジュールが水溶液流路で直結されているような態様も含まれる。
上記の(1)(2)の工程はこの順列で組み合わせることが必須であるが、(3)は組み合わせることによって、より優れた効果を得ることができる。また、(1)の前処理として更に分画工程を組み合わせることや、(1)と(2)の工程の間に濃縮工程を挟み込むこと、更には(2)の後で再度分画工程を組み合わせることについての判断は、検体に含まれるタンパク質の組成の程度によって判断される。
本発明は血液由来試料、特にヒトの血漿、血清等からの生体分子の分離に適する。上記の各フィルターならびに中空糸モジュールのサイズならびに還流液の流速は、試料の質と量に依存して適宜決められるが、いわゆる卓上サイズで実施する場合、血漿では0.1〜400mL好ましくは1〜20mLで実施され、流速は0.2〜20mL/min好ましくは1〜10mL/minで行われる。
また、膜分離システムは高速処理が可能であり、所要時間としては、1回の処理時間が1〜6時間以内で、検体のコンタミネーションおよびバイオハザードの防止の点から、一連のデバイスは一回使用とする装置を作製する事が可能である。電気泳動システムや液体クロマトグラフィーを用いる分析では、機器を再使用して用いるため、検体による汚染の危険性や再生した分析カラムによる再現性への影響などが問題となることがあり、操作の煩雑さも含めて必ずしも多数の検体の頻回処理には向いていない。本発明になるタンパク質分画デバイスはディスポーザブル仕様化が可能であり、検体からの汚染の回避や分析の再現性の確保の点からも大きな利点である。
本システムによって得られた分析検体は、液体クロマトグラフ、電気泳動、MS等の各種のタンパク質分析に有用であるが、特に好ましくはMS、電気泳動を用いたプロテオーム解析に有用である。 本装置が直接あるいは間接的に連結できるMSは特に限定されないが、好ましくは、電子スプレーイオン化型、大気圧イオン化型、四重極(QQQ)型、磁気セクター型、飛行時間型、MS/MS、MSn、FT-MS型、イオン捕捉型およびこれらの組合せ型のものである。また、MS/MSまたはMSn(例えばMS3)のようなタンデムMSを含む。タンデムMSの場合は、全てのタイプのMSが適用可能であるが、特にイオン捕捉、四重極−飛行時間(Q-TOF)、FT-MS、および四重極およびイオン捕捉とのセクター機器の組合せを使用することが効率がよい。これにより、MS/MSおよび/またはMSn測定において生じるピークの選択的な検出が可能となる。
本装置との組み合わせによる分析により、各種微量タンパク質成分の構造情報を集めることができるが、それらはペプチド・マスフィンガープリント(peptide-mass fingerprint: PMF)のみならず、各ペプチドの一次構造情報(アミノ酸配列)も含まれる。
以下、本発明の溶液得るための一態様例につき、図を用いながら説明する。
図1は、本発明のタンパク質分画装置の概念図(膜分離、吸着、濃縮の3工程の例)である。液の流れを矢印で示してある。血清などの材料の検体はバルブ1から第1工程のモジュール5に注入され、溶液循環回路(チューブ)2の中をポンプ3によって送液せられ、循環する。第1工程で処理された回収液は、回収口4から得られる。この態様が1工程の単位であり、2工程では2段の繰り返しが、3工程では3段繰り返すことになる。図1は3段の例を示しており、第2工程のモジュール6と第3工程のモジュール7が連結されている。処理された回収液は、回収口に直結されたチューブによって次工程のモジュールに注入される。分画と吸着工程の場合の処理液は回収口から、濃縮工程の場合の処理液は工程のモジュール内から回収される。
以下実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例にのみ限定されるものではない
(実施例1)
ポリスルホン中空糸100本を束ね、中空糸中空部を閉塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で両末端をガラス管モジュールケースに固定し、ミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの内直径は約7mm、長さは約17cmであり、一般的な中空糸膜型透析器同様に透析液ポートを2個有している。該ミニモジュールの中空糸およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、PBS(日水製薬社製ダルベッコPBS(−))水溶液を充填し、中空糸膜ミニモジュール(以降、ミニモジュール1と略す)を得た。ヒト血清(SIGMA社 H1388、 Lot 28H8550)を3000rpm15分の条件にて遠心処理を行い沈殿物を取り除いた後0.45μmのフィルター処理を行った。ミニモジュール1の透析液側の一方をキャップし、一方はシリコーンチューブをつなぎ、ペリスターポンプに接続した。中空糸膜内側の液は入口と出口をシリコーンチューブでつなぎ、ペリスターポンプを用いて血清を循環できるようにした。4mlの血清を、循環流量5ml/min、濾過流量0.2mL/minの流速で20℃、4時間濾過を実施した(本工程は、廃棄目的の分子量6万以上のタンパクと回収目体の分子量3万以下のタンパクを分離する工程に相当する)。この時濾過された容量分はPBSを血清に加えて循環する液量は一定に保った。分画前の血清中のアルブミン濃度をHuman Albumin ELISA Quantitation Kit (BETHYL社製)にて測定した結果は27800μg/mlであり、4時間で得た濾液中のアルブミン濃度をHuman Albumin ELISA Quantitation Kit にて測定した結果は61μg/mLであった。分画前の血清中のα1−マイクログロブリン濃度をエスアールエル(株)に外注し測定した結果は8.9μg/mlであり、4時間で得た濾液中のα1−マイクログロブリン濃度は0.45μg/mLであった。従って、α1−マイクログロブリン透過比率/アルブミン透過比率 = 約23であり、2以上1000以下の範囲にあった。
(実施例2)
HiTrap NHS-activated(アマシャムバイオサイエンス製)に抗ヒトアルブミン抗体を固定化し、抗体カラムを作成した。使用した抗体の種類および量は表1の通りである。
この5種類の抗体カラムに実施例1にて得られた濾液を各0.2mLアプライし、カラムに素通りした溶液を素通り画分とした。素通り画分のアルブミン量をHuman Albumin ELISA Quantitation Kit にて測定し、カラムに吸着したアルブミン量を推定した。結果を表2に示す。表2のNo.と表1のNo.が対応する。
それぞれのカラムに吸着したアルブミンを0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.7)にて溶出し、吸着画分とした。素通り画分、吸着画分を遠心分離型分離膜(ザルトリウス製vivaspin, 3000MWCO)を用いてそれぞれ0.2mLまで濃縮し、内、各5 μLをSDS-PAGEにて分析した。分析結果を図2に示す。素通り画分にはアルブミンはほとんどなく、アルブミンは抗体によってほぼ吸着除去された。
(実施例3)
実施例1の操作で得られた濾液の半量を遠心分離型分離膜(ザルトリウス製vivaspin,3000MWCO)を用いて1mLにまで濃縮し、さらにカラム専用の緩衝液(アジレント製BufferA No.5185-5987)4mLを混合後、0.22μmの遠心フィルターにて濾過し、6種の抗体を組み合わせたアフニティーカラムMultiple Affinity Rejoval Column(アジレント製No.5185-5985)を用いて分離した。
このカラムに固定化されている抗体は表3に示した6種類である。
サンプルアプライ後5mL以上BufferAを流して得たカラムにアフィニティーの弱い成分を含む溶液を素通り画分とした。つぎに、カラムに吸着したタンパクをカラム専用の溶出用緩衝液(アジレント製BufferB No.5185-5988)にて溶出し、吸着画分とした。素通り画分、吸着画分を遠心分離型分離膜(ザルトリウス製vivaspin, 3000MWCO)を用いてそれぞれ1mLにまで濃縮し、内、各10μLをSDS-PAGEにて分析した。分析の結果を図3に示す。素通り画分から分離されたバンドと吸着画分から分離されたバンド位置には重なりはほとんど認められず、各物質は抗体によってほぼ吸着除去された。
(比較例1)
実施例1で用いたのと同一ロットのヒト血清(SIGMA社 H1388、 Lot 28H8550)40μLを実施例3で用いた抗体カラム専用緩衝液にて5倍に希釈し分離した。素通り画分、吸着画分を遠心分離型分離膜(ザルトリウス製vivaspin, 3000MWCO)を用いてそれぞれ1mLにまで濃縮し、内、各5 μLをSDS-PAGEにて分析した。分析の結果、抗体によってアルブミンをはじめいくつかのバンドが消失したが、大分子量物質から低分子量物質まで広範囲に渡りバンドが存在していた。
図1は、本発明のタンパク質分画装置の概念図であり、液の流れを矢印で示してある。血清などの試料はバルブ1から第1工程のモジュール5に注入され、溶液循環回路(チューブ)2の中をポンプ3によって送液せられ、循環する。第1工程で処理された回収液は、回収口4から得られる。この態様が1工程の単位であり、2工程では抗体によるアルブミンの吸着処理がなされ、、3工程では濃縮されることになる。処理された回収液は、回収口に直結されたチューブによって次工程のモジュールに注入される。膜分離と吸着工程の場合の処理液は回収口から、濃縮工程の場合の処理液は工程のモジュール内から回収される。
図2は、実施例2で得られた各画分の電気泳動(SDS-PAGE)写真である。抗体カラム処理前のサンプルに多量に存在していたアルブミンが抗体カラム素通り画分からはほぼ消失している。
図1は、本発明のタンパク質分画装置の概念図である。 実施例2で得られた各画分の電気泳動(SDS-PAGE)写真である。
符号の説明
図1の1 バルブ
図1の2 溶液循環回路(チューブ回路)
図1の3 ポンプ
図1の4 第1工程の膜分離ユニットの処理液回収口
図1の5 第1工程モジュール
図1の6 第2工程の処理液回収口
図1の7 第2(吸着)工程モジュール(内表面に抗体を固定した分離膜)
図1の8 第3工程の処理液回収口
図1の9 第3(濃縮)工程モジュール
図2の1 電気泳動用分子量マーカー
図2の2 実施例1で得た濾液
図2の3 カラムNo.1素通り画分
図2の4 カラムNo.2素通り画分
図2の5 カラムNo.3素通り画分
図2の6 カラムNo.4素通り画分
図2の7 カラムNo.5素通り画分
図2の8 カラムNo.1吸着画分
図2の9 カラムNo.2吸着画分
図2の10 カラムNo.3吸着画分
図2の11 カラムNo.4吸着画分
図2の12 カラムNo.5吸着画分
図2の13 電気泳動用分子量マーカー

Claims (26)

  1. 血液由来試料から、分子量3万以下のタンパク質と分子量6万以上のタンパク質との透過比率が2以上1000以下である膜分離システムを用いて得た溶液から、更に抗体を用いて特定タンパク質を膜分離システムを用いて得た量の10%以下に低減することによって得られる生体成分精製溶液。
  2. 特定タンパク質が分子量6万以上であることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液。
  3. 特定タンパク質が複数のタンパク質であることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液。
  4. 特定タンパク質のうちの一つがアルブミンであることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液
  5. アルブミン以外の特定タンパク質が免疫グロブリンG、免疫グロブリンA、トランスフェリン、ハプトグロビン、アンチトリプシンの内いずれか、もしくはそれらの組合せであることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液。
  6. 抗体がポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1に記載の生体成分精製溶液。
  7. 血液由来試料から、分子量3万以下のタンパク質と分子量6万以上のタンパク質との透過比率が2以上1000以下である膜分離システムを用いて得た溶液から、更に抗体を用いて複数の特定タンパク質を膜分離システムを用いて得た量の10%以下に低減することを特徴とする生体成分分離方法。
  8. 抗体が膜もしくは回路の一部に組み込まれていることを特徴とする請求項7に記載の生体成分分離方法。
  9. 抗体が膜表面に固定されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
  10. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が少なくとも第一段目の膜外表面に固定されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
  11. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第二段目の膜内表面に固定されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
  12. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第一段目の膜と第二段目の膜の間に固定されることなく存在することを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
  13. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第一段目の膜と第二段目の膜の間に固定されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
  14. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて、抗体で処理した液をさらに膜で濾過することを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
  15. 分離膜が中空糸状であることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
  16. 分離膜に親水性成分が含有されていることを特徴とする請求項7〜8に記載の生体成分分離方法。
  17. 血液由来試料から、分子量3万以下のタンパク質と分子量6万以上のタンパク質との透過比率が2以上1000以下である膜分離システムを用いて得た溶液から、更に抗体を用いて複数の特定タンパク質を膜分離システムを用いて得た量の10%以下に低減することを特徴とする生体成分分離装置。
  18. 抗体が膜もしくは回路の一部に組み込まれていることを特徴とする請求項17に記載の生体成分分離装置。
  19. 抗体が膜表面に固定されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
  20. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が少なくとも第一段目の膜外表面に固定されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
  21. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第二段目の膜内表面に固定されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
  22. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第一段目の膜と第二段目の膜の間に固定されることなく存在することを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
  23. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて抗体が第一段目の膜と第二段目の膜の間に固定されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
  24. 分離膜を多段に組み合わせたユニットにおいて、抗体で処理した液を更に膜で濾過することを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
  25. 分離膜が中空糸状であることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
  26. 分離膜に親水性成分が含有されていることを特徴とする請求項17〜18に記載の生体成分分離装置。
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