JP2005231999A - カルバペネム誘導体の製造方法 - Google Patents
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- C07D477/00—Heterocyclic compounds containing 1-azabicyclo [3.2.0] heptane ring systems, i.e. compounds containing a ring system of the formula:, e.g. carbapenicillins, thienamycins; Such ring systems being further condensed, e.g. 2,3-condensed with an oxygen-, nitrogen- or sulphur-containing hetero ring
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルバペネム系抗生物質の製造方法及び合成中間化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、式(16a及び16b):
【化62】
及び
【化63】
で示されるカルバペネム化合物またはその薬理学的に許容しうる塩は、広範な抗菌スペクトルと優れた抗菌力及びクラスBに属するβ−ラクタメースに対する阻害作用を有し、且つ腎デヒドロペプチダーゼ−1(DHP−1)に耐性を有する有用な新規化合物であるという知見を得、先に特許出願をした(WO99/31106)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記式(16a及び16b)の化合物は、側鎖ピロリジン環の3位及び5位の置換がトランスに配位、それぞれが3S及び5Rなる立体配置を有し、またベンゼン環に置換する側鎖にも不斉中心が存在するため、公知の製造方法は合成工程が長く且つ操作の難しい反応を含み、合成収率及び工程管理の面から工業的製造方法としては必ずしも満足すべきものではなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、前記カルバペネム化合物の合成工程を短縮し、立体選択的に且つ収率良く合成する方法を開発し、また、該カルバペネム化合物を合成する上で極めて重要な合成中間体を見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)式(1):
【化64】
(式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2はアミノ基の保護基を表す。)
で表される(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドン誘導体と式(2):
【化65】
(式中、M1は金属を表し、R3は置換基を表す。)
で表されるアリール金属試薬とを作用させて、式(3):
【化66】
(式中、R1、R2及びR3は前記定義に同じ。)
で表されるカルボニル化合物を製造し、続いてカルボニル化合物を還元反応に付して、式(4):
【化67】
(式中、R1、R2及びR3は前記定義に同じ。)
で表されるアルコール化合物を製造した後、(a)このアルコール化合物の二級水酸基を脱離基へ変換し、次いで分子内環化反応に付するか、または(b)光延反応に付するかして、式(5):
【化68】
(式中、R1、R2及びR3は前記定義に同じ。)
で表されるピロリジン誘導体を製造し、所望により水酸基の保護基を除去した後に、置換基R3を増炭反応によりアクリル酸エステル構造に変換し、式(6):
【化69】
(式中、R2は前記定義に同じ。R1’はHまたはR1(前記定義と同義)を表し、R4は置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアラルキル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体を製造し、該不飽和エステル誘導体を、式(7):
【化70】
(式中、M2は金属、R5及びR6は同一または異なっていてもよい置換基を表す)で表される有機金属アミドまたはその有機金属アミドの光学活性体を用いる共役付加反応に付して、式(8):
【化71】
で表されるアミン化合物を製造し、次いで該アミン化合物のアミノ基に結合する置換基R5及びR6を除去して、式(9):
【化72】
で表されるアミノ化合物を製造し、次いで該化合物の1級アミノ基に保護基R50を導入し、さらに、所望により置換基R60を導入して、式(10):
【化73】
で表されるアミノカルボン酸誘導体を製造し、該アミノカルボン酸誘導体の―COOR4で表される置換基を、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基またはN,N−ジ置換カルバモイル基に変換して、式(11):
【化74】
(式中、R1’R2及びZ2は前記定義に同じ。R7及びR8 はHまたは置換基を表す。)
で表されるアミド化合物を製造し、これを所望によりヒドロキシ基の保護基を除去した後に、(a)該アミド化合物のヒドロキシ基を脱離基に変換し、さらに置換メルカプタンまたはそれらの塩を作用させるか、または(b)光延反応に付するかにより、式(12):
【化75】
(式中、R2、R7、R8及びZ2は前記定義に同じ。R9は置換基を表す。)で表される化合物を製造し、次いで、置換基R9を除去し、所望によりアミノ基の保護基も除去して、式(13):
【化76】
で表されるメルカプト化合物またはその塩を製造し、この化合物と式(14):
【化77】
(式中、R10はカルボキシル基の保護基を表し、Wは脱離基を表す。)
で表される1−β−メチルカルバペネム化合物とを縮合させて、式(15):
【化78】
(式中、R7、R8、R10、R20及びZ20は前記定義に同じ。)
で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩を製造し、次いで該1−β−メチルカルバペネム誘導体のカルボキシル基の保護基及び所望によりアミノ基の保護基を除去する事を特徴とする、式(16):
【化79】
で表される1−β−メチルカルバペネムまたはその薬理学的に許容しうる塩の製造方法、
(2)式(1a):
【化80】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表される(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドン誘導体と式(2a):
【化81】
(式中、MはLiまたはMgBrを表し、Meはメチル基を表す。)
で表されるアリール金属試薬とを作用させることを特徴とする、式(3a):
【化82】
(式中、Me、TBS及びBocは前記定義に同じ。)
で表されるカルボニル化合物の製造方法、
(3)式(6a):
【化83】
(式中、R1’はHまたはTBSを表す。TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体と式(7a):
【化84】
(式中、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表す。)
で表される有機金属アミドとを共役付加反応に付することを特徴とする、式(8a):
【化85】
(式中、R1’、Bu−t、Boc、Me及びPhは前記定義に同じ。)
で表されるアミン化合物またはその塩の製造方法、
(4)式(6a):
【化86】
(式中、R1’はHまたはTBSを表し、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体と式(7b):
【化87】
(式中、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表す。)
で表される有機金属アミドとを共役付加反応に付することを特徴とする、式(8b):
【化88】
(式中、R1’、Bu−t、Boc、Me及びPhは前記の定義に同じ。)
で表されるアミン化合物またはその塩の製造方法、
(5)式(3b):
【化89】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、R3は置換基を表す。)
で表されるカルボニル化合物、
(6)R3がテトラヒドロピラニルオキシ基、ベンジルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、Br、Cl、I、ビニル基、またはジメトキシメチル基である前記(5)に記載のカルボニル化合物、
(7)式(4a):
【化90】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、THPはテトラヒドロピラニル基を表す。)
で表されるアルコール化合物、
(8)式(4b):
【化91】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表されるアルコール化合物、
(9)式(4c):
【化92】
(式中、R30はベンジルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、Cl、Iまたはビニル基を表す。)
で表されるアルコール化合物、
(10)式(5a):
【化93】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(11)式(5b):
【化94】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、THPはテトラヒドロピラニル基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(12)式(5c):
【化95】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(13)式(5d):
【化96】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Tfはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(14)式(5e):
【化97】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、R30は、ベンジルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、Cl、Iまたはビニル基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(15)式(17):
【化98】
(式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2はアミノ基の保護基を表し、R4はメチル基、イソプロピル基、またはベンジル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体、
(16)式(6a):
【化99】
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体、
(17)式(6b):
【化100】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体、
(18)式(6):
【化101】
で表される化合物において、R1’がHまたはt−ブチルジメチルシリル基、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基である不飽和エステル誘導体、
(19)前記(18)に記載の式(6)で表される不飽和エステル誘導体において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がエチル基である不飽和エステル誘導体、
(20)式(8a):
【化102】
または式(8b):
【化103】
(式中、Phはフェニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Meはメチル基を表す。)
で表されるアミン化合物またはその塩、
(21)(8):
【化104】
で表されるアミン化合物において、R1’がHまたはt−ブチルジメチルシリル基、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基、R5がベンジル基、R6が(R)−α−メチルベンジル基であるアミン化合物またはその塩、
(22)前記(21)に記載の式(8)で表されるアミン化合物において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がエチル基、R5がベンジル基、R6が(R)−α−メチルベンジル基であるアミン化合物またはその塩、
(23)式(9a):
【化105】
または式(9b):
【化106】
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表されるアミノ化合物またはその塩、
(24)式(9):
【化107】
で表されるアミノ化合物において、R1’がHまたはt−ブチルジメチルシリル基、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基であるアミノ化合物またはその塩、
(25)前記(24)に記載の式(9)で表されるアミノ化合物において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がエチル基であるアミノ化合物またはその塩、
(26)式(10a):
【化108】
または、式(10b):
【化109】
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表されるアミノカルボン酸誘導体、
(27)式(10):
【化110】
で表されるアミノカルボン酸誘導体において、R1’がHまたはt−ブチルジメチルシリル基、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基、R50 がt−ブトキシカルボニル基、R60がHであるアミノカルボン酸誘導体、
(28)前記(27)に記載の式(10)で表されるアミノカルボン酸誘導体において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がt−ブチル基、R50 がアリルオキシカルボニル基またはp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHであるアミノカルボン酸誘導体、
(29)前記(27)に記載の式(10)で表されるアミノカルボン酸誘導体において、R1’がH、R2がアリルオキシカルボニル基、R4がエチル基、R50 がアリルオキシカルボニル基、R60がHであるアミノカルボン酸誘導体、(30)式(11a):
【化111】
または式(11b):
【化112】
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表されるアミド化合物またはその塩、
(31)式(11c):
【化113】
で表されるアミド化合物において、R2がt−ブトキシカルボニル基、R50 がアリルオキシカルボニル基またはp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHであるアミド化合物またはその塩、
(32)前記(31)に記載の式(11c)で表される化合物において、R2及びR50 がアリルオキシカルボニル基、R60がHであるアミド化合物またはその塩、
(33)式(11d):
【化114】
または式(11e):
【化115】
(式中、Msはメシル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)で表される化合物またはその塩、
(34)式(12a):
【化116】
または式(12b):
【化117】
(式中、Acはアセチル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表される化合物またはその塩、
(35)式(12c):
【化118】
で表される化合物において、R2がt−ブトキシカルボニル基、R50 がアリルオキシカルボニル基またはp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R9がアセチル基である化合物またはその塩、
(36)前記(35)に記載の式(12c)で表される化合物において、R2及びR50 がアリルオキシカルボニル基、R60がH、R9がアセチル基である化合物またはその塩、
(37)前記(35)に記載の式(12c)で表される化合物において、R2及びR50 がt−ブトキシカルボニル基、R60がH、R9がベンゾイル基である化合物またはその塩、
(38)式(13a):
【化119】
または式(13b):
【化120】
で表されるメルカプト化合物またはその塩。
(39)式(13c):
【化121】
で表される化合物において、R20及びR51がともにt−ブトキシカルボニル基またはアリルオキシカルボニル基、R60がHであるメルカプト化合物またはその塩、
(40)前記(39)に記載の式(13c)で表されるメルカプト化合物において、R20がHまたはt−ブトキシカルボニル基、R51がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHであるメルカプト化合物またはその塩、
(41)前記(39)に記載の式(13c)で表されるメルカプト化合物において、R20がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R51がHまたはアリルオキシカルボニル基、R60がHであるメルカプト化合物またはその塩、
(42)式(15a):
【化122】
または式(15b):
【化123】
(式中、PNBはp−ニトロベンジル基を表す。)
で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩。
(43)式(15c):
【化124】
で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がアリル基、R20及びR51 がともにアリルオキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩、
(44)前記(43)に記載の式(15c)で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がp−ニトロベンジル基、R20及びR51 がともにt−ブトキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩、
(45)前記(43)に記載の式(15c)で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がp−ニトロベンジル基、R20がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R51 がHまたはアリルオキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩、及び
(46)前記(43)に記載の式(15c)で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がp−ニトロベンジル基、R20がH、R51 がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩、
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に関与する各工程は下記に要約される。
【化125】
【0007】
【化126】
上記工程図において、R1、R1’、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R20、R50、R60、Z1、Z2、Z20及びZ3は前記と同意義である。
本発明は工業的に有利な式(16)で示されるカルバペネム化合物の製造方法であり、かかる工業的に有利な製造方法に貢献する新規化合物を含む。
【0008】
[化合物(1)]
化合物(1)は、例えば公知の化合物である(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドン(Pellegata.R.ら Synthesis 1978 614〜616頁)から以下に述べる方法により合成することができる。定法(Protective Groups in Organic Synthesis T. W. Green and P. G. M. Wuts 1991)に準じて、(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンの1位窒素及び1位の水酸基にそれぞれ適当な保護基を導入する。
水酸基の保護基(R 1)としては、例えば、ベンジル基;テトラヒドロピラニル(以下、THPと略す)基;メトキシメチル基;トリメチルシリル (以下、TMSと略す)基、トリエチルシリル(以下、TESと略す)基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル(以下、TBSと略す)基あるいはテトライソプロピルシリル(以下、TIPSと略す)基等のトリアルキルシリル基;t-ブチルジフェニルシリル(以下、TBDPSと略す)基等が挙げられるが、中でもTBS基、TES基、TBDPS基またはトリイソプロピルシリル基などのアルキルシリル基が好ましい。
好ましい保護基であるTBS基の導入は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、メチレンクロリドまたはアセトニトリル等の有機溶媒中、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド中で、例えばイミダゾール、トリエチルアミンまたはピリジン等の1〜3当量の塩基、好ましくはイミダゾールの存在下、TBSCl、TBSOTf等の1〜3当量のTBS化剤、好ましくはTBSClを、氷冷から室温程度で作用させて行うことができる。ここで、「OTf」はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。室温とは、約10℃〜35℃程度を意味する。以下も同様である。
又、1位窒素の保護基(R2)としては、例えばt−ブトキシカルボニル(以下Bocと略す)基あるいはアリルオキシカルボニル(以下Allocと略す)基などのアルコキシカルボニル基、p−ニトロベンジル(以下PNBと略す)基あるいはベンジルオキシカルボニル(以下Cbz と略す)基などのアラルキルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル(以下PNZと略す)基,またはp−メトキシベンジルオキシカルボニル(以下PMZと略す)基等が挙げられるが、中でもBoc基、Alloc基またはPNZ基が好ましい。
好ましい保護基であるBoc基の導入は、例えば、アセトニトリル、メチレンクロリド、クロロホルム、N,N ―ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中、好ましくはアセトニトル中、トリエチルアミンまたは4‐(ジメチルアミノ)ピリジン等の0.5〜3当量の塩基の存在下、(Boc)2O、t-ブチル(4,6-ジメチルピリミジン-2-イルチオ)ホルメイト等の1〜3当量のBoc化剤を、氷冷から室温程度で作用させて行う。
1位窒素及び4位水酸基への保護基の導入の順序が逆になっても良い。
【0009】
化合物(1)の合成工程のより好ましい態様としては、化合物(1)においてR1がTBS基、R2がBoc基という好適な置換基を有する化合物 (4R)−1−t−ブトキシカルボニル−4−t−ブチルジメチルシロキシ−2−ピロリドンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
すなわち、窒素気流中、氷冷下で、(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液に1.05当量のt−ブチルジメチルシリルクロリド 及び1.5当量のイミダゾールを順次加え、反応液を同温度で約30分撹拌した後反応液を水にあけ、析出物を乾燥する。得られた白色固体のアセトニトリル溶液に0.56当量のN,N−ジメチルアミノピリジン及び0.6当量のトリエチルアミンを加え、更に窒素気流中、氷冷下、1.05当量のジ−t−ブチルジカーボネートを加え抽出操作後得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥し、上記化合物の白色固体を得ることができる。
【0010】
[化合物(2)]
式(2)で示される化合物は、4位に置換基R3を有するアリール金属試薬である。置換基R3としては(a)例えばジメチルアセタールなどで保護されたホルミル基、(b)例えばTBS基あるいはTHP基で保護されていても良いヒドロキシメチル基、(c)例えばベンジル基、TBS基あるいはTHP基で保護されていても良い水酸基、(d)置換していてもよいビニル基、(e)保護されたカルボキシル基または(f)例えばBr等のハロゲン原子等が挙げられる。
用いる金属種としては、例えばリチウム、マグネシウム、亜鉛または銅等が挙げられるが、中でもリチウムまたはマグネシウムが好ましい。したがって、好ましくは、M1はLi、MgBrまたはMgCl等である。
該化合物は定法(Comprehensive Organic Synthesis Vol. 1, 1991等)により調製できる。
【0011】
[工程−1]
工程−1は化合物(1)に対してアリール金属試薬(2)を付加させ化合物(3)を得る工程である。本工程では、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはトルエン等の有機溶媒中、約−70℃から室温程度で、化合物(1)と1〜5当量の金属試薬(2)とを作用させる工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(3)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がジメトキシメチル基という好適な置換基を有する化合物 (3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、4当量のマグネシウム及び2当量の4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタールよりテトラヒドロフラン中調製したグリニアル試薬に対して、氷冷下、(4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドンのテトラヒドロフラン溶液を1時間30分かけて加えた後、反応液を抽出操作し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、上記化合物を得ることが出来る。
また、別のより好ましい態様としては、化合物(3)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がBrという好適な置換基を有する化合物(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ブロモフェニル)ブタノンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、1.2当量のn−ブチルリチウム及び1当量の1,4-ジブロモベンゼンよりテトラヒドロフラン中調製したアリールリチウム試薬に対して、約−70℃にて(4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドンのテトラヒドロフラン溶液を加えた後、反応液を抽出操作し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し上記化合物を得ることができる。
化合物(3)について好適な化合物として挙げられた上記2つの化合物は、いずれも新規化合物である。また、その他、化合物(3)においては、例えばR1がTBS基、R2がBoc基、R3がCl、I、ビニル基、ベンジルオキシ(以下、OBnと略す)基、OTHP基あるいはOTBS基で示される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0012】
[工程−2]
本工程は、化合物(3)のカルボニル基を還元、好ましくは立体選択的に還元して水酸基にする工程である。
好ましい態様としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化リチウムトリエチルホウ素、水素化ジイソブチルアルミニウムまたはジボラン等の1〜3当量の還元剤、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化リチウムトリエチルホウ素を、例えばメタノール、テトラヒドロフラン、トルエンまたはメチレンクロリド等の有機溶媒中約−70℃から室温程度で作用させることにより、目的とする立体化学を有する化合物(4)を優先的に得る工程が挙げられる。
また、本工程において、立体選択的な還元反応を種々の光学活性な配位子を用いて行うこともできる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(4)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がジメトキシメチル基という好適な置換基を有する化合物(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールの合成工程である以下の工程を挙げることができる。即ち、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノンに対して約−20 ℃から氷冷下でメタノール中 1.2当量の水素化ホウ素ナトリウムを加えるか、または、−70 ℃でテトラヒドロフラン中1.2当量の水素化リチウムトリエチルホウ素を加えることで合成することが出来る。
特に、還元剤として水素化リチウムトリエチルホウ素を用いた場合には還元反応が立体選択的に進行し、(1S,3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールを主生成物として得ることができる。
該化合物は公知であるが、その他、化合物(4)については、例えばR1がTBS基、R2がBoc基、R3がBr、Cl、I、ビニル基、OBn基、OTHP基あるいはOTBS基で示される化合物があげられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0013】
[工程−3]
工程3は、ピロリジン環を形成する工程であって、(a)化合物(4)の二級水酸基を脱離基に変換し分子内環化反応を行うことによりピロリジン環を形成する工程、及び(b)いわゆる光延反応を用いる工程をあげることができる。
【0014】
(a)化合物(4)の二級水酸基を脱離基に変換し、次いで分子内環化反応を行う工程である。脱離基としては、好ましくはメシルオキシ基、トシルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等、より好ましくはメシルオキシ基が挙げられる。
好ましい態様としては、化合物(4)に対して例えばメチレンクロリド、クロロホルム、テトラヒドロフランまたは酢酸エチル等の溶媒中、約−60℃から約60℃の間で、メシルクロリドあるいはトシルクロリド等の1〜3当量のアルキルスルホン酸ハライド、またはアリールスルホン酸ハライドを1〜5当量の塩基の存在下で作用させ、必要ならば昇温等する事により行うという工程が挙げられる。この工程で使用する有機溶媒としてはクロロホルムが好ましく、スルホン酸ハライドとしてはメシルクロリドが好ましく、塩基としてはトリエチルアミンが好ましい。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(5)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がホルミル基という好適な置換基を有する化合物 (2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールのメチレンクロリド溶液に、窒素気流中、約−60 ℃で、3当量のトリエチルアミン及び1.1当量メタンスルホニルクロリドを加えた後、反応液を抽出操作する。得られた残査を水及びテトラヒドロフランに溶かし、3当量のp-トルエンスルホン酸一水和物を加え、室温で約1時間攪拌した後、反応液を抽出操作し得られた残査をヘキサンに溶かし、析出物を減圧濾過することにより上記化合物を得ることが出来る。
【0015】
(b)化合物(4)に対していわゆる光延反応 (Mitsunobu O. Synthesis 1981. 1) を行う工程も挙げられる。
好ましい態様としては、例えば、化合物(4)に対して、例えばメチレンクロリドまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中、トリフェニルホスフィンあるいはトリエチルホスフィン等の1〜5当量のホスフィン試薬、アゾジカルボン酸ジエチルあるいはアゾジカルボン酸ジイソプロピル等の1〜5当量アゾジカルボン酸ジアルキルエステルまたはアゾジカルボン酸アミドを作用させる工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(5)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がホルミル基という好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールのテトラヒドロフラン溶液に、窒素気流中、氷冷下で、2当量のトリフェニルホスフィン及び2当量のアゾジカルボン酸ジエチルを加えた後、反応液を抽出操作する。得られた残査を水及びテトラヒドロフランに溶かし、3当量のp-トルエンスルホン酸一水和物を加え、室温で約1時間攪拌した後、反応液を抽出操作後精製することにより上記化合物を得る。
【0016】
化合物(5)について好適な化合物として挙げられた上記化合物は、新規化合物である。また、その他、化合物(5)においては、例えば、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がBr、Cl、I、水酸基、ビニル基、OBn基、OTHP基またはOTBS基で示される化合物があげられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0017】
[工程−4]
本工程は、化合物(5)の置換基R3を増炭反応によりアクリル酸エステル構造に変換する工程である。増炭反応としては、置換基R3の種類によって、(a)保護基の除去、(b)酸化反応、(c)還元反応、(d)付加反応、(e)置換反応、(f)脱水反応、(g)クロスカップリング反応、のうち全てあるいはそのうちの幾つかの反応の組み合わせが挙げられる。より好ましい態様として、置換基R3の種類によって、以下の工程4−1、工程4−2及び工程4−3に示される工程が挙げられる。
【0018】
[工程4−1]
化合物(5)においてベンゼン環上4位の置換基R3がBr、ClまたはI等のハロゲン原子である場合、アクリル酸エステル等とのカップリング反応、好ましくはヘック反応(Heck, R.F.Organic Reactions 27巻、345頁、1982年 等)を行うことにより、アクリル酸エステル構造をベンゼン環上4位に導入するという工程が挙げられる。
好ましい態様としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド,ジオキサンまたはベンゼン等の溶媒中、酢酸パラジウム、テトラキスジベンジリデンアセトンビスパラジウムあるいはテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等の0.01〜1当量のパラジウム化合物、トリフェニルホスフィン、トリ(2-フリル)ホスフィンあるいはトリ(o-トルイル)ホスフィン等の0.05〜1当量のトリアリールホスフィン、トリエチルアミン、トリブチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の1〜3当量の有機塩基または炭酸ナトリウム、炭酸セシウムまたは炭酸カリウム等の無機塩基の存在下に、アクリル酸メチルまたはアクリル酸t−ブチル等の1〜5当量のアクリル酸エステルを化合物(5)に作用させる工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(6)において、R1’がH、R2がBoc基、R4がt-ブチル基という好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン、または、R1’がTBS基、R2がBoc基、R4がt-ブチル基という好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-2-(4-ブロモフェニル)-4-ヒドロキシピロリジン、または、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ブロモフェニル)ピロリジンのアセトニトリル溶液に窒素気流中3当量のトリエチルアミン、2当量のアクリル酸t−ブチルエステル、0.05当量の酢酸パラジウム、及び0.2当量のトリ(o−トルイル)ホスフィンを加え、一晩加熱還流した後、反応液を抽出操作後得られた残査を精製することにより、上記化合物を得ることが出来る。
【0019】
[工程4−2]
化合物(5)においてベンゼン環上4位の置換基R3が保護されていても良いヒドロキシ基の場合は、このヒドロキシ基を定法に従い対応するトリフルオロメタンスルホニルオキシ(以下、TfOと略す)基に変換することにより、工程4−1と同様にしてアクリル酸エステルとのカップリング反応を行い化合物(6)に変換するという工程が挙げられる。
本工程に先立ち、二級水酸基にTHP基、TBS基またはベンジル基等の保護基が存在する場合、即ち化合物(6)においてR1’がHでない場合は定法(Protective Groups in Organic Synthesis T.W.Green and P.G.M.Wuts 1991年等)に従い、これら保護基を除去しても良い。好ましい態様としては、例えば、R1にTBS基を有する化合物(6)に対し、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンまたはアセトニトリル等の溶媒中、約0℃から約40℃の間でテトラn-ブチルアンモニウムフルオリドまたはフッ化カリウム等の1〜5当量のフッ素試薬を作用させる工程、または、例えばメタノールまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中、塩酸または硫酸等の1〜50当量の酸を作用させる工程等が挙げられる。
【0020】
[工程4−3]
化合物(5)において4位の置換基R3がホルミル基の場合、酢酸エステル及びその誘導体との縮合反応、好ましくはaldol反応と、引き続く脱水反応またはWittig反応(Maercker、A.Organic Reactions 14巻、270頁、1965年など)及びその変法(Maryanoff、B.E.Reitz、A.B.Chemical Review 89巻、863頁、1989年など)によりベンゼン環上4位の置換基R3をアクリル酸エステル構造に変換する工程が挙げられる。
また、上記工程4−3におけるaldol反応と、引き続く脱水反応においては、化合物(6)の前駆体である式(17):
【化127】
(式中、R1、R2及びR4は前記定義に同じ。)
で表される化合物が存在するが、この化合物は化合物(6)の製造中間体として有用である。
好ましい態様としては、例えば、Wittig反応の場合、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、アセトニトリル、メタノールまたはアセトン等の溶媒中、必要ならば1当量から3当量の例えば水素化ナトリウム、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、水酸化ナトリウムまたはジアザビシクロウンデセン等の塩基の存在下、約−60℃から約60℃の間で、1当量から3当量の例えばトリフェニルホスホラニリデン酢酸t-ブチルエステルまたは亜リン酸トリエチルエステル等のリン化合物を作用させるという工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(6)において、R1’がTBS基、R2がBoc基、R4がt−ブチル基という好適な置換を有する化合物 (2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、1.2当量のt-ブチルジエチルホスホノアセテートのテトラヒドロフラン溶液に窒素気流中、氷冷下で、1.2当量の水素化ナトリウムを加え、反応液をさらに約30分間攪拌した後、同温度で、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジンのテトラヒドロフラン溶液を加える。得られた反応液を抽出操作後精製し上記化合物を得ることが出来る。
【0021】
[化合物(7)]
化合物(7)は有機金属アミドまたはその光学活性体である化合物(7)において、置換基R5、R6はそれぞれアルキル基、アルケニル基、ベンジル基あるいは置換していてもよいベンジル基等のアラルキル基またはトリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基を表し、R5とR6は同一であっても、異なっていてもよい。トリメチルシリル基、置換していてもよいベンジル基または置換していてもよい2−プロペニル基が好ましいが、中でも好適な組み合わせは、R5がベンジル基であり、R6が(RまたはS)α−メチルベンジル基である。
また、化合物(7)において置換基M2は金属であり、好ましくはリチウム、マグネシウム、ナトリウムまたはカリウムであり、中でもリチウム、マグネシウムが好ましい。
マグネシウムはMgBrまたはMgClであってもよい。
【0022】
[工程−5]
不飽和エステル化合物(6)に対して化合物(7)を文献記載の方法( Davis, S. G.; Ichihara, O.; Walters, A. S.synlett, 1993, 461. Davis, S. G.; Ichihara, O. Tetrahedron: Asymmetry. 1991, 2, 183.等)に準じて共役付加させ光学活性化合物(8)を得る工程である。
好ましい態様としては、化合物(6)に対して例えばテトラヒドロフラン、ベンゼンまたはエーテル等の溶媒中 −70 ℃から室温の間で1〜5当量の化合物(7)を作用させるという工程を挙げることができる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(8)において、R1’がH、R2がBoc基、R4がt-ブチル基、R5がベンジル基、R6が(R)-α-メチルベンジル基という好適な置換基を有する化合物、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-[4-[(S)-1-[(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチルフェニル]ピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、5当量の(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミン及び5当量のn-ブチルリチウムから窒素気流中、氷冷下にて調製したリチウムアミドのテトラヒドロフラン溶液に約−70℃で、(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンのテトラヒドロフラン溶液を加えることにより得る。
該化合物は新規物質である。その他、化合物(8)には、例えば、以下の表に掲げられる新規または公知の化合物が挙げられる。
【表1】
(表中、Bnはベンジル基を表し、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。TBS及びBocは前記定義に同じ。)
【0023】
[工程−6]
本工程は、化合物(8)のアミノ基上の置換基R5及びR6を除去する工程である。
好ましい態様としては、例えば、R5またはR6がベンジル基、p-メトキシベンジル基またはα-メチルベンジル基のいずれかである場合、定法(Protective Groups in Organic Synthesis T.W.Green and P.G.M.Wuts 1991年 等)に準じて通常の接触加水素分解の条件下、即ち例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランまたは酢酸等の溶媒中、化合物(8)の10〜50%重量のパラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金またはパラジウム黒等の触媒存在下で、水素ガスの常圧ないしは加圧下に室温から60℃の間で置換基R5及びR6を除去するという工程が挙げられる。
又、例えば、塩酸または酢酸などの酸の添加により反応が速やかに進行する場合があり生成物は用いた酸との塩を形成しても良い。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(9)において、R1’がH、R2がBoc基、R4がt-ブチル基、という好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-2-[4-[(1S)-1-アミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン 酢酸塩の合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-[4-[(S)-1-[(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチルフェニル]ピロリジンのメタノール溶液に室温で、1当量の酢酸及び水酸化パラジウム炭素触媒を加え室温にて3.5気圧の水素雰囲気下攪拌する。反応液から触媒を濾別し、濾液を減圧下留去する事により白色結晶の上記化合物が得られる。
該化合物は新規物質である。その他、化合物(9)には、例えば、R1’がHまたはTBS基、R2がBoc基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基で示される化合物、また、R1’がH、R2がBoc基、R4がエチル基で表される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0024】
[工程−7]
本工程は、1級アミノ基に保護基及び所望により置換基を導入する工程である。すなわち、先の工程で得られた化合物(9)のアミノ基に定法(Protective Groups in Organic Synthesis T.W.Green and P.G.M.Wuts 1991年 等)に従い保護基R50を導入する。
アミノ基の保護基R50としては、例えばBoc基、PNZ基、Cbz基またはAlloc基等が挙げられるが、中でもBoc基、PNZ基またはAlloc基が好ましい。
好ましい置換基としてのBoc基の導入工程は、例えばアセトニトリル、メチレンクロリド、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミドあるいはテトラヒドロフラン等の有機溶媒中またはこれらの有機溶媒と水の混合溶媒中、好ましくはアセトニトリル中で、例えばトリエチルアミン、ピリジンあるいは4-(ジメチルアミノ)ピリジン等の1〜3当量の有機塩基または例えば水酸化ナトリウムまたは炭酸カリウム等の1〜3当量の無機塩基の存在下、(Boc)2O、t-ブチル(4,6-ジメチルピリミジン-2-イルチオ)ホルメイト等の1〜3当量のBoc化剤を氷冷から室温程度で作用させるという工程が挙げられる。
又、必要によりこのアミノ基の保護基の導入に先立つかまたはこれに引き続いて、新たな置換基(R60)を定法に従い導入することもできる。好ましい置換基としては置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアルケニル基が挙げられる。生成するアミノ基への保護基の導入の前に行うならば、例えばアルデヒドとの還元アミノ化反応等が挙げられ、又、保護基の導入の後ならば、ハロゲン化アルキルとのアルキル化反応等が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(10)において、R1’がH、R2がBoc基、R4がt-ブチル、R50がBoc基、R60がHという好適な置換基を有する化合物、(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-アミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを含むジオキサン−水の混合溶液に室温で1.1当量のジ-t-ブチル-ジカーボネートを加え約4時間攪拌の後、抽出操作することにより上記化合物を白色結晶で得る。
該化合物は新規物質である。その他、化合物(10)には、例えば、以下の表に掲げられる新規または公知の化合物が挙げられる。
【表2】
【0025】
[工程−8]
本工程は、化合物(10)の−COOR4で示される置換基を定法に従いカルバモイル基、N−置換カルバモイル基またはN、N−ジ置換カルバモイル基に変換する工程である。
好ましい態様としては、例えばトリメチルアルミ等の1〜3当量のトリアルキルアルミの存在下に1〜20当量のアミン類と反応させてアミド誘導体(11)に変換する工程が挙げられる。また、まず酸またはアルカリ加水分解により対応するカルボン酸とし、引き続いて例えば、メシルクロリドあるいはトシルクロリド等のスルホン酸ハライド、クロロギ酸エチルあるいはクロロギ酸イソプロピル等のクロロギ酸エステル、またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等のカルボジイミドあるいはカルボニルジイミダゾール(CDI)等の1〜3当量の活性化剤の存在下に1〜20当量のアミン類と縮合するという工程も挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(10)において、R1’がH、R2がBoc基、R7及びR8がH、R50がBoc、R60がHという好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-(カルバモイル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、化合物(9)のクロロホルム溶液に氷冷下で、4当量のトリエチルアミン及び3当量のクロロギ酸エチルを加え、約30分間から1時間攪拌する。この反応液に20当量の28%アンモニア水溶液 (400 ml)を加え氷冷下で約1時間攪拌した後、抽出操作することにより上記化合物を得る。
該化合物は新規物質である。その他、化合物(11)には、例えば、R1’、R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 がBoc基、R50がAlloc基あるいはPNZ基で示される化合物、または、R1’、R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 及びR50がそれぞれAlloc基で示される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0026】
[工程−9]
化合物(11)の保護されていても良い二級ヒドロキシ基を置換反応により置換メルカプト基に変換する工程である。
二級水酸基に保護基が存在する場合、即ち化合物(11)においてR1’がHでない場合は本工程に先立ち、工程−4で述べたのと同様に定法(Protective Groups in Organic Synthesis T.W.Green and P.G.M.Wuts 1991年 等)に従い除去しておく。
本工程としては、以下の2つの工程を挙げることができる。
【0027】
(a)本工程としては、まず該アミン誘導体のヒドロキシ基を脱離基に変換し、該化合物に置換メルカプタンまたはそれらの塩を作用させるという工程が挙げられる。脱離基としては、例えばメシルオキシ基、トシルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が好ましい。作用させる置換メルカプタンまたはそれらの塩としては、例えばアシルメルカプタン、置換ベンジルメルカプタンまたはそれらの塩が好ましく、中でもチオ酢酸カリウムまたはチオ安息香酸カリウムが好ましい。
好ましい態様としては、化合物(11)(R1’=H)に対して、メチレンクロリドまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中、例えばピリジンまたはトリエチルアミン等の1〜5当量の塩基の存在下、約−40℃から室温の間で例えばメシルクロリドまたはトシルクロリド等の1〜3当量のスルホン酸ハライドを作用させることにより、メシルオキシ基またはトシルオキシ基等の脱離基とする。次いで、例えばメチレンクロリド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中、約0℃から約100℃の間で、必要ならば例えば炭酸カリウム、水素化ナトリウムあるいは水酸化ナトリウム等の1〜5当量の無機塩基または例えばピリジンあるいはトリエチルアミン等の1〜5当量の有機塩基の存在下、チオ酢酸、チオ安息香酸またはp−メトキシベンジルメルカプタン等の1〜5当量の種々の置換メルカプタン(R9-SH)またはそれらの塩で置換する工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(12)において、R7、R8及びR60がH、R2 及びR50がBoc基、R9がアセチル基という好適な置換基を有する化合物 (2R,4S)-4-アセチオ-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンのテトラヒドロフラン溶液に氷冷下で、トリエチルアミン及びメタンスルホニルクロリドを順次加え同温度で約1時間攪拌した。反応液に酢酸エチル (300 ml)を加え有機層を分離し抽出操作する。得られた残査をN,N−ジメチルホルムアミド溶液に溶解し3当量のチオ酢酸カリウムを加え、反応液を約55 ℃で約10間攪拌する。反応液を抽出操作後得られた残査をクロロホルム−ヘキサンに溶かし室温で約1時間攪拌し, 析出物をクロロホルム-ヘキサンで洗浄し上記化合物の白色固体を得る。
【0028】
(b)化合物(11)(R1’=H)に対して、いわゆる光延反応 (Mitsunobu O. Synthesis 1981. 1) を行う工程も挙げることができる。
好ましい態様としては、例えばメチレンクロリドまたはテトラヒドロフラン等の有機溶媒中、トリフェニルホスフィンあるいはトリエチルホスフィン等の1〜3当量のトリアルキルホスフィン及び例えばアゾジカルボン酸ジエチルあるいはアゾジカルボン酸ジイソプロピル等の1〜3当量のアゾジカルボン酸ジアルキルエステルまたは1〜3当量のアゾジカルボン酸アミドを作用させるという工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(12)において、R7、R8及びR60がH、R2 及びR50がBoc基、R9がアセチル基という好適な置換基を有する化合物(2R,4S)-4-アセチルチオ-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
すなわち、(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンのテトラヒドロフラン溶液に窒素気流中氷冷下で、2当量のトリフェニルホスフィン、及び2当量のアゾジカルボン酸ジエチルを加え攪拌した後、反応液を抽出操作し結晶化、シリカゲルクロマトグラフィー等の方法により精製することにより上記化合物を得る。
【0029】
上記化合物は新規物質である。その他、化合物(10)には、例えば、(a)R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 がBoc基、R50がAlloc基またはPNZ基、R9がアセチル基で示される化合物、(b)R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 及びR50がそれぞれAlloc基、R9がアセチル基で示される化合物、また、(c)R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 及びR50がそれぞれBoc基、R9がベンゾイル基で示される化合物が挙げられ、これらはすべて新規化合物である。
【0030】
[工程−10]
本工程は、化合物(12)の置換基R9を除去し、さらに所望によりアミノ基の保護基も除去する工程である。
置換基R9が例えばアセチル基またはベンゾイル基等のアシル基の場合、アルカリ条件下での加水分解あるいは加溶媒分解により置換基R9を除去することができる。好ましい態様としては、例えば水、メタノール、テトラヒドロフランあるいはメチレンクロリド等の溶媒中、またはそれらの混合溶媒中、約0℃から約40℃の間で例えば水酸化ナトリウム、炭酸カリウムまたはナトリウムメトキシド等の1〜10当量の塩基で処理する工程が挙げられる。
又、酸性条件下、置換基R9を除去することもできる。好ましい態様としては、例えばメタノール、テトラヒドロフランまたは酢酸エチル等の溶媒中、約0℃から約40℃の間で例えば塩化水素または臭化水素等の1〜20当量の酸で処理することによりチオールの保護基R9を除去することができる。
アミノ基の保護基(R2、R50)がBoc基の場合、酸性条件下で同時にこれらBoc基も除去されても良い。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(12)において、R7、R8、R20、R51及びR60がそれぞれHで示される化合物 (2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩の合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4S)-4-アセチルチオ-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンのメタノール-テトラヒドロフラン混合溶液に窒素気流中氷冷下で、1.1当量の5モル水酸化ナトリウム水溶液を加え、反応液を同温度で約20間攪拌する。反応液に1.1当量の5モル塩酸水溶液を加え酢酸エチル、水の混合溶液にあける。抽出操作後得られた残査を10%塩化水素-クロロホルム溶液に溶かし窒素気流中室温で約14時間攪拌し、析出する白色固体を窒素気流下クロロホルムで洗浄し上記化合物を得る。
上記化合物は新規物質である。その他、化合物(13)には、例えば、(a)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20及びR51がそれぞれAlloc基で示される化合物、(b)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20及びR51がBoc基で示される化合物、(c)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20がBoc基またはH、R51がPNZ基で示される化合物、また、(d)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20がPNZ基、R51がAlloc基またはHで示される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0031】
[化合物(14)]
化合物(14)はカルバペネム化合物であり、2位の置換基Wとしてジフェニルホスホリルオキシ基、トシルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の脱離基、好ましくはジフェニルホスホリルオキシ基を有し、カルボニル基の保護基R10として好ましくはp−ニトロベンジル基、アリル基、ジフェニルメチル基またはパラメトキシベンジル基を有する化合物である。
該化合物は、公知の方法またはそれに準ずる方法によって容易に製造できる。
【0032】
[工程−11]
本工程は、メルカプト化合物(13)とカルバペネム化合物(14)を縮合する工程である。
好ましい態様としては、カルバペネム化合物(14)を、定法(Chemistry and Biology of beta−Lactam Antibiotics、2巻、227頁、1982年 等)に従い、溶媒中、所望によりトリエチルアミンあるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミン等の1〜5当量の有機塩基または水酸化ナトリウムあるいは炭酸水素ナトリウム等の無機塩基の存在下、約−40℃から室温にて0.8〜1.5当量の化合物(13)と縮合させる工程が挙げられる。
なお、生成物は単離精製操作を行わず、次の工程で使用することができる。
溶媒としては、例えばメチレンクロリド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシドあるいは水等の溶媒、またはそれらの混合溶媒があげられ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN,N−メチルピロリジノンが挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(15)において、R7、R8、R20、R51及びR60がそれぞれH、R10がPNB基という好適な置換基を有する化合物p−ニトロベンジル(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-(カルバモイル)エチル]フェニル}ピロリジン-3-イルチオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル‐1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸の合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩のN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶液に窒素気流中、氷冷下で、0.9当量の p-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-ジフェノキシホスホリルオキシ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート及び3.3当量のトリエチルアミンを加え、反応液を同温度で約4時間攪拌する。反応液を濃縮後カラムクロマトグラフィー等で精製することにより上記化合物を得る。
上記化合物は新規物質である。その他、化合物(13)には、例えば、(a)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20及びR51がAlloc基、R10がAllyl基で示される化合物、(b)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20及びR51がBoc基、R10がPNB基で示される化合物、(c)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20がPNZ基、R51がAlloc基、R10がPNB基で示される化合物、(d)R7、R8、R51及びR60がそれぞれH、R20がPNZ基で示される化合物、または(e)R7、R8、R20及びR60がそれぞれH、R51がPNZ基で示される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0033】
[工程−12]
本工程は、1−β−メチルカルバペネム誘導体(15)の保護基を除去する工程である。例えば、カルボキシル基の保護基及びアミノ基に保護基を有している場合は、その保護を定法(Chemistry and Biology of beta-Lactam Antibiotics、2巻、227頁、1982年 等)に従い除去する工程が挙げられる。好ましい態様としては、保護基によって以下の3つの工程が挙げられる
【0034】
1)(a)R10がPNB基で、R20及びR50がHである場合、(b)R10がPNB基で、R20及びR50がPNZ基である場合、(c)R10がPNB基、R20がPNZ基、R50がHである場合、または(d)R10がPNB基、R20がH、R50がPNZ基である場合は,通常の接触加水素分解の条件下に除去する工程が挙げられる。
好ましい態様としては、溶媒中必要ならば反応溶液を生成するカルバペネム化合物(16)の至適pH(5〜8)付近に保つための添加物の存在下に化合物(16)の10〜50%重量のパラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金またはパラジウム黒等の触媒存在下に室温から40℃の間で水素ガスの常圧ないしは加圧下に室温から40℃の間で除去する工程が挙げられる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンあるいは水等の溶媒中またはこれらの混合溶媒が挙げられる。添加物としては、例えばトリエチルアミンあるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、水酸化ナトリウムあるいは炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、塩酸あるいはリン酸等の無機酸またはモルホリノプロパンスルホン酸(以下、MOPSと略す)、トルエンスルホン酸、酢酸あるいはギ酸等の有機酸などが挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(16)において、R7、R8、R51及びR60がそれぞれHで表される化合物 (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸の合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち p-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート2塩酸塩のテトラヒドロフラン及びMOPSバッファーにパラジウム炭素触媒を加え、水素気流中反応液を室温で約4時間攪拌する。反応液は、パラジウム炭素触媒を濾別し濾液を濃縮後精製し上記化合物を得ることができる。
【0035】
2)例えばR10がアリル基、R20及びR5 1がAlloc基である場合は文献記載の方法(Guibeら J. Org. Chem. 1989, 52, 4984)に準じてこれら保護基を除去する工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(16)において、R7、R8、R51及びR60がそれぞれHで表される化合物(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸の合成工程である以下の工程が挙げられる。
即ちアリル(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-1-アリルオキシカルボニル-5-{4-[(1S)-1-アリルオキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート、0.1当量のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、10当量の水を含む塩化メチレン溶液に5当量のトリn−ブチルすずを加え氷冷下攪拌する。反応液を水で抽出しクロマトグラフィー等により精製し上記化合物を得る。
【0036】
3)例えばR10がジフェニルメチル基、R20及びR51がBoc基である場合は文献記載の方法(Isoら J. Antibiot. 1996, 49, 478)に準じてこれら保護基を除去する工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(16)において、R7、R8、R51及びR60がそれぞれHで示される化合物(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸の合成工程である以下の工程が挙げられる。
即ちジフェニルメチル (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-1-t-ブトキシカルボニル-5-{4-[(1S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラートの塩化メチレン及びアニソールの溶液に約−40℃で塩化アルミニウムを加え攪拌する。反応液を水で抽出しクロマトグラフィー等により精製し上記化合物を得る。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び参考例をもって本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲をこれら実施例に限定するものではないことはいうまでもない。
【0038】
〔実施例1〕
(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンから(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ブロモフェニル)ブタノールを製造する工程
【化128】
本実施例は工程1及び2の実施例である。
p-ジブロモベンゼン (3.48 g, 14.7 mmol)のテトラヒドロフラン(以下、THFと略す。)(20 ml)溶液に窒素気流中、-78 ℃で、n-ブチルリチウム (1.54 M ヘキサン溶液)を10.5 ml(16.2 mmol)加え、反応液をさらに30分間攪拌した。同温度にて、(4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドン 5.10 g(16.2 mmol)をTHF30 mlに溶解した溶液を反応液に10分かけて加えた。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をTHF70 mlに溶解し、反応液に-78 ℃で水素化リチウムトリエチルホウ素(1.0 MTHF溶液)18.3 mlを加えた。同温度で反応液を15分攪拌した後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和過ホウ素酸ナトリウム水溶液100 mlにあけ、反応液を室温にて2時間30分攪拌し、反応液を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル=4:1)で精製し、標記化合物の無色油状物を4.20 g(収率:54.8 %)得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 0.11 (6H,s), 0.93 (9H,s), 1.44 (9H,s), 1.86 (2H,m), 3.20 (2H,m), 4.08 (1H,m), 4.77 (1H,m), 4.90 (1H,m), 7.22 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.47 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0039】
〔実施例2〕
実施例1で得た化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)ピロリジンを製造する工程
【化129】
本実施例は工程3の実施例である。
(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ブロモフェニル)ブタノール3.35 g(7.08 mmol)をメチレンクロリド60 mlに溶解した溶液に、窒素気流中、-60 ℃で、トリエチルアミン 1.82 ml(25.5 mmol)及びメタンスルホニルクロリド 0.98 ml(12.7 mol)を順次加えた。反応液を水にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をTHF20 mlに溶かした後、テトラブチルアンモニウムフロリド(1 MTHF溶液)を室温で15.0 ml加え、同温度で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにあけ、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で4回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル = 1:1)で精製し、標記化合物の白色固体を1.66 g(収率:68.6%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.22 (6H, s), 1.55 (3H, s), 1.95 (1H, m), 2.58 (1H, m), 3.55 (1H, m), 3.85 (1H, m), 4.48 (1H, m), 4.79(1H, m), 7.05 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.42 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0040】
〔実施例3〕
実施例2で得た化合物から(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化130】
本実施例は工程4の実施例である。
(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)ピロリジン150 mg(0.44 mmol)をアセトニトリル溶液5 mlに溶解し、この溶液に酢酸パラジウム5.00 mg(0.022 mmol)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン27.0 mg(0.089 mmol)、トリエチルアミン0.18 ml,(0.13 mmol)及びアクリル酸tert-ブチルエステル160 mg(0.89 mmol)を加え、加熱還流下6時間攪拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル =1:1)で精製し、標記化合物の白色固体を155 mg(収率:90.6%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.20 (9H, s), 1.53 (9H, s), 1.94 (1H, m), 2.60 (1H, m), 3.54 (1H, dd, J = 10.6, 2.0 Hz), 3.85 (1H, m), 4.43 (1H, m), 4.85 (1H, m), 6.43 (1H, d, J = 16.0 Hz), 7.28 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.48 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.55 (1H, d, J = 16.0 Hz)。
【0041】
〔実施例4〕
(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンから(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-テトラヒドロピラノキシフェニル)ブタノールを製造する工程
【化131】
本実施例は工程1及び2の実施例である。
マグネシウム 675 mg(0.028 mol)をTHF10 mlに溶解し、この溶液に窒素気流中、室温で、ジブロモエタン0.1 ml及び2−(4−ブロモフェノキシ)テトラヒドロピラン 6.0 g(0.023 mol)をTHF10 mlに溶解した溶液を加え、同温度にて、反応液をさらに30分間攪拌した後、 (4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドン1.0 g(6.35 mmol)をTHF10 mlに溶解した溶液を加えた。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルにて抽出し、有機層を1規定水酸化ナトリウム水溶液及び水で順次洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をテトラヒドロフラン6 mlに溶解し、-78 ℃で水素化リチウムトリエチルホウ素(1.0 MTHF溶液) をを3.94 ml(3.94 mmol)加えた。同温度で反応液を15分攪拌した後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和過ホウ素酸ナトリウム水溶液10 mlにあけ、反応液を室温で2時間30分攪拌し、反応液を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル = 4:1)で精製し、標記化合物の無色油状物を1.20 g(収率:38.2 %)得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 0.11 (6H,s), 0.92 (9H,s), 1.44 (9H,s), 1.55-2.04 (8H,m), 3.20 (2H,m), 3.60(1H,m), 3.90(1H,m), 4.08 (1H,m), 4.81 (2H,m), 5.28-5.40 (1H,m), 7.03 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.30 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0042】
〔実施例5〕
実施例4で得た化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-フェノキシ)ピロリジンを製造する工程
【化132】
本実施例は工程3の実施例である。
実施例4で得た化合物、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-テトラヒドロピラノキシフェニル)ブタノール1.10 g(2.04 mmol)をメチレンクロリド50 mlに溶解した溶液に、窒素気流中、-60 ℃で、トリエチルアミン1.23 ml(8.16 mmol)及びメタンスルホニルクロリド 0.34 ml(4.08 mol)を順次加えた。反応液を水にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をメタノール6 mlに溶かした後、ピリジニウムp−トルエンスルホナート60 mgを加え、室温で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにあけ、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル = 1:1)で精製し、標記化合物の白色固体を539 mg(収率:61.7%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.05 (6H, s), 0.83 (9H, s), 1.20 (6H, s), 1.43 (3H, s), 1.85 (1H, m), 2.48 (1H, m), 3.43 (1H, m), 3.84 (1H, m), 4.38 (1H, m), 4.40-4.80 (1H, m), 6.70 (2H, br d, J = 7.0 Hz), 7.09 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0043】
〔実施例6〕
実施例5で得た化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-トリフルオロメタンスルホニルオキシフェニル)ピロリジンを製造する工程
【化133】
本実施例は工程4−2の前処理の実施例である。
実施例5で得た化合物、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)ピロリジン264 mg(0.68 mmol)を無水ジクロロメタン5 mlに溶解し、-70 ℃で、トリエチルアミン0.22ml(1.62ml)及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物0.14 ml(0.81 mmol) を加え、反応液を同温度で30分攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル = 4:1)で精製し、標記化合物 (326 mg, 収率:91.8%)の無色油状物を326 mg(収率:91.8%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.04 (6H, s), 0.76 (9H, s), 1.18 (6H, s), 1.43 (3H, s), 1.89 (1H, m), 2.49 (1H, m), 3.49 (1H, m), 3.80 (1H, m), 4.40 (1H, m), 4.76-5.01 (1H, m), 7.15 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.33 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0044】
〔実施例7〕
実施例6で得た化合物から(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-tert-ブチルジメチルシロキシピロリジンを製造する工程
【化134】
本実施例は工程4−2の実施例である。
(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-トリフルオロメタンスルホニルオキシフェニル)ピロリジン50.0 mg(0.095 mmol)をジメチルホルムアミド2 mlに溶解した溶液に、酢酸パラジウム8.8 mg(0.039 mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン43.0 mg(0.078 mmol)、炭酸セシウム95 mg(0.29 mmol)、アクリル酸tert-ブチルエステル50 mg(0.29 mmol)及び塩化リチウム8.1 mg(0.19 mmol)を加え、反応液を加熱還流下6時間攪拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル =4:1)で精製し、標記化合物の白色固体を33.1 mg(収率:69.1%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.08 (6H, s), 0.81 (9H, s), 1.24 (9H, s), 1.42 (9H, s), 1.94 (1H, m), 2.52 (1H, m), 3.51 (1H, dd, J = 10.6, 4.4 Hz), 3.85 (1H, m), 4.43 (1H, m), 4.88 (1H, m), 6.43 (1H, d, J = 16.0 Hz), 7.33 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.50 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.73 (1H, d, J = 16.0 Hz)。
【0045】
〔実施例8〕
(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンから(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールを製造する工程
【化135】
本実施例は、工程1及び2の実施例である。
マグネシウム 170 g(6.98 mol)をTHF 3000 mlに溶解した溶液に窒素気流中、室温で、4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール 806.6 g (3.49 mol)を1時間かけて加え、反応液をさらに30分間攪拌した後、氷冷下、 (4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドン 550 g(1.74 mol)をTHF4000 mlに溶解した溶液を1時間30分かけて加えた。反応液に窒素気流中、氷冷下、テトラヒドロホウ酸ナトリウム 99.1 g(2.61 mol)及びメタノール 3500 mlを順次加えた。反応液を酢酸エチル、飽和塩化ナトリウムの混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗った。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル 5:1 - 4:1) で精製し、上記化合物の無色油状物を458.6 g(収率:56.0%)得た。
IR (Nujol)νmax 1712, 1693 cm-1; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.11 (6H,s), 0.92 (9H,s), 1.42 (9H,s), 1.86 (2H,m), 3.20 (1H,m), 3.31 (6H,s), 4.08 (1H,m), 4.77 (1H,m), 4.90 (1H,m), 5.37 (1H,s), 7.33 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.41 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0046】
〔実施例9〕
(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンから(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールを製造する別工程
【化136】
本実施例は、工程1及び2の実施例である。
4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール 40.1 g(0.174 mol)をTHF 250mlに溶解した溶液に窒素気流中1.50Mブチルリチウム(1.50Mヘキサン溶液 )120ml(0.18 mol)を-78 ℃で20分間かけて加え、滴下終了後さらに反応液を60分間攪拌した。得られた懸濁液へ同温にて、(4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドン 47 g(0.149 mol)をTHF250 ml溶液を40分間かけて加えた。滴下終了後、反応溶液を同温で1時間攪拌した。反応溶液を激しく攪拌した飽和塩化アンモニウム1L及び5N塩酸30 mlの混合溶液へすばやく加えた後、反応液を引き続き15分間攪拌を続けた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル500mlで抽出した後、集めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し黄色油状物質を80.3g得た。
上記の工程で得られた黄色油状物質 80.3gをTHF800mlに溶解した溶液に、窒素気流中、-78 ℃にて水素化リチウムトリエチルホウ素(1.0MTHF溶液)180mlを35分間かけて滴下した。滴下終了後、反応溶液をさらに−78 ℃で30分間攪拌した後、激しく攪拌した飽和塩化アンモニウム水溶液1Lにゆっくりと加えた。有機層を分離した後、水層をトルエン 500 mlで抽出し、集めた有機層へ水1L及び過ホウ素酸ナトリウム四水和物91gを加え、反応液を12時間激しく攪拌した。水層を分離した後、酢酸エチル500 mlで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300、20L、ヘキサン-酢酸エチル7:1)で精製し、標記化合物の無色油状物を52.7 g(収率:75.3%)得た。
IR (Nujol)νmax 1712, 1693 cm-1; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.11 (6H,s), 0.92 (9H,s), 1.42 (9H,s), 1.86 (2H,m), 3.20 (1H,m), 3.31 (6H,s), 4.08 (1H,m), 4.77 (1H,m), 4.90 (1H,m), 5.37 (1H,s), 7.33 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.41 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0047】
〔実施例10〕
実施例8または9で製造された化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジンを製造する工程
【化137】
本実施例は、工程3の実施例である。
実施例8または9で得られた化合物、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノール 52.7 g(0.112 mol)をクロロホルム500mlに溶解した溶液に、窒素気流中、0 ℃で、トリエチルアミン39.9 g(0.395 mol)及びメタンスルホニルクロリド 19.2 g(0.168 mol)を順次加え、温度を徐々に室温まで上げながら反応液を12時間攪拌した。反応液を水1Lで洗浄し、その後1.2N塩酸1Lで3回で洗浄後、有機層を無水炭酸カリウムで乾燥後、濃縮した。得られた残査をヘキサンに溶かし、析出物を減圧濾過し、標記化合物の白色固体を23.9 g(収率:52.6%)得た。
IR (KBr)νmax 1708, 1673, 1606 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.03 (6H, s), 0.72 (9H, s), 1.18 (6H, s), 1.43 (3H, s), 1.88 (1H, m), 2.48 (1H, m), 3.43 (1H, m), 3.80 (1H, m), 4.40 (1H, m), 4.79 (0.34H, m), 4.81 (0.66H, m), 7.40 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.78 (2H, d, J = 7.0 Hz), 9.96 (1H, s)。
【0048】
〔実施例11〕
(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-[4-(1-ヒドロキシ-2-(エトキシカルボニル)エチル)フェニル]ピロリジン
【化138】
本実施例は、工程4の実施例である。
リチウム-ビス-トリメチルシリルアミド 1.0モル-THF溶液(3.08 L, 3.08 mol)のTHF(3000 ml)溶液に、窒素気流中、-78 ℃で酢酸エチル(315.5 ml, 3.23 mol)を滴下し、反応液は同温度で1時間30分間攪拌した。反応液に同温度で (2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-フォルミルフェニル)ピロリジン (500 g, 1.23 mol)のTHF(2000 ml)溶液を1時間かけて滴下した。反応液に2N塩酸(4000 ml)を加えた後酢酸エチルにあけた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム及び飽和食塩水で順次洗った。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル 7:1〜3:1)で精製し、上記標記化合物 (555 g, 収率:91.1%)の黄色油状物を得た。
IR (Nujol)νmax 3457, 1704, 1091, 721 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.03 (6H, s) 78, 0. (9H, s), 1.18 (6H, s), 1.28 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.43 (3H, s), 1.88 (1H, m), 2.49 (1H, m), 2.92 (2H, m), 3.41(1H, m), 3.86 (1H, m), 4.19 (2H, q, J = 7.1 Hz), 4.37 (1H, m), 4.71 (0.7H, m), 4.87 (0.3H, m), 5.03 (0.3H, m), 5.18 (0.7H, m), 7.29 (4H, m)
【0049】
〔実施例12〕
実施例10で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシピロリジンを製造する工程
【化139】
本実施例は、工程4の実施例である。
t-ブチル ジエチルホスホノアセテート37.3 g(148 mmol)をテトラヒドロフラン 300 mlに溶解した溶液に窒素気流中、氷冷下で、60重量%水素化ナトリウム 5.92 g(148 mmol)を10分間かけて加え、反応液をさらに30分間攪拌した後、同温度で、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジン 50 g(123 mmol)をテトラヒドロフラン 100 mlに溶解した溶液を10分間かけて加えた。反応液を酢酸エチル及び飽和塩化アンモニウムの混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を精製することなく次の工程に用いた。単離精製した標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。 IR (Nujol)νmax 1699, 1653 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.08 (6H, s), 0.81 (9H, s), 1.24 (9H, s), 1.42 (9H, s), 1.94 (1H, m), 2.52 (1H, m), 3.51 (1H, d, J = 10.6, 4.4 Hz), 3.85 (1H, m), 4.43 (1H, m), 4.88 (1H, m), 6.43 (1H, d, J = 15.9 Hz), 7.33 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.50 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.73 (1H, d, J = 15.9 Hz)。
【0050】
〔実施例13〕
実施例11で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化140】
本実施例は、工程5の前処理の実施例である。
窒素気流中、室温で、実施例11で得られた混合物 をテトラヒドロフラン 200 mlに溶解した溶液に、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド (1Mテトラヒドロフラン溶液)123 mlを加え、反応液を同温度で30分撹拌した。反応液を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層をリン酸緩衝液(pH 6.0)及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。析出物をヘキサンで洗浄し、標記化合物の白色結晶を44.3 g(収率:92.2%)得た。 IR (Nujol)νmax 3401, 1693, 1645, 1434, 1324, 987 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.23 (6H, br s), 1.44 (12H, s), 1.96 (1H, m), 2.61 (1H, m), 3.58 (1H, d, J = 10.3, 2.5 Hz), 3.87 (1H, m), 4.48 (1H, m), 4.89 (1H, m), 6.33 (1H, d, J = 16.3 Hz), 7.29 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.45 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.57 (1H, d, J = 16.3 Hz)。
【0051】
〔実施例14〕
実施例12で製造された化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-[4-[(S)-1-[(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチルフェニル]ピロリジンを製造する工程
【化141】
本実施例は工程5の実施例である。
(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミン 117.6 g(556 mmol)をテトラヒドロフラン 1000 mlに溶解した溶液に窒素気流中、氷冷下で、 n-ブチルリチウム(1.53Mヘキサン溶液)363 ml(556 mmol)を25分間かけて加え、反応液をさらに30分間攪拌した後、-77 ℃で 、実施例12で得られた化合物 43.2 g(111 mmol)をテトラヒドロフラン 450 mlに溶解した溶液を45分間かけて加えた。反応液を酢酸エチル及び飽和塩化ナトリウムの混合溶液にあけ、有機層を1M塩酸水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。標記化合物を含むオイル状混合物 72.6 gを得、残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。
IR (Nujol)νmax 3398, 1693, 1652, 1417, 1257, 723 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.12 (6H, br s), 1.22 (15H, s), 1.94 (1H, m), 2.53 (3H, m), 3.54 (1H, d, J = 12.0 , 3.8 Hz), 3.65 (2H, s), 3.88 (1H, m), 3.94 (1H, q, J = 6.9 Hz), 4.37 (1H, dd, J = 9.2, 5.5 Hz), 4.42 (1H, m), 4.79 (1H, br s), 7.22 (14H, m)。
【0052】
〔実施例15〕
実施例13で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-アミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン 酢酸塩を製造する工程
【化142】
本実施例は、工程6の実施例である。
実施例13で得られた混合物 63.1 gをメタノール 600 mlに溶解した溶液に室温で、 酢酸 5.73 ml(100 mmol)及び20重量%水酸化パラジウム炭素触媒 9 gを加え、室温下、反応液を水素気流中3.5気圧で20時間激しく攪拌した後、触媒を濾別した。濾液を減圧下留去し得られた析出物をヘキサンで洗浄し標記化合物の白色結晶を46.8 g(収率:99.9%)得た。
IR (Nujol)νmax 3392, 1720, 1627, 1556, 1178, 659 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.14 (6H, br s), 1.39 (12H, s), 1.82 (1H, m), 1.91 (3H, s), 2.59 (1H, m), 2.78 (1H, dd, J = 15.7, 7.4 Hz), 2.86 (1H, dd, J = 15.7, 7.2 Hz), 3.42 (1H, m), 3.83 (1H, dd, J = 12.5, 6.5 Hz), 4.38 (1H, m), 4.49 (1H, m), 7.36 (4H, br s)。
【0053】
〔実施例16〕
実施例14で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化143】
本実施例は、工程7の実施例である。
実施例14で得られた化合物 46.8 g(100 mmol)を1,4-ジオキサン-水 (5:2)の混合溶液 500 mlに溶解した溶液を、室温で、5M水酸化ナトリウム水溶液を用いpH 10を保持しながら、ジ-t-ブチル-ジカーボネート24.0 g(110 mmol)を加えた。反応液を酢酸エチルにあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を酢酸エチル300 ml、ヘキサン300 mlに溶かし室温で4時間攪拌した。析出物は酢酸エチル-ヘキサンで洗浄し標記化合物の白色結晶を41.6 g(収率:82.0%)得た。
IR (Nujol)νmax 3428, 3369, 1716, 1677, 1670 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.18 (6H, br s), 1.34 (9H, s), 1.41 (12H, s), 1.95 (1H, m), 2.57 (1H, m), 2.72 (2H, m), 3.54 (1H, dd, J = 11.9, 4.0 Hz), 3.86 (1H, br s), 4.43 (1H, m), 4.82 (1H, br s), 5.03 (1H, br s), 5.43 (1H, br s), 7.22 (4H, s)。
【0054】
〔実施例17〕
実施例15で製造された化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-[4-[(R)-1-[(S)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチルフェニル]ピロリジンを製造する工程
【化144】
本実施例は、工程5の実施例である。
(S)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミン 315 mg(1.49 mmol)をテトラヒドロフラン 5 mlに溶解した溶液に窒素気流中、氷冷下で、 n-ブチルリチウム(1.58Mヘキサン溶液)945 μl(1.49 mmol)を10分間かけて加え、反応液をさらに30分間攪拌した後、-77 ℃で、実施例15で得た(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン 116 mg(0.298 mmol)をテトラヒドロフラン 2 mlに溶解した溶液を同温度で10分間かけて加えた。反応液を酢酸エチル及び飽和塩化ナトリウムの混合溶液にあけ、有機層を1M塩酸水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し上記標記化合物を含むオイル状混合物 190 mgを得た。得られた残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。 IR (Nujol)νmax 3348, 1687, 1648, 1417, 728 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.12 (6H, br s), 1.23 (15H, s), 1.92 (1H, m), 2.53 (3H, m), 3.52 (1H, d, J = 11.8 , 3.6 Hz), 3.66 (2H, s), 3.88 (1H, m), 3.94 (1H, q, J = 6.7 Hz), 4.37 (1H, m), 4.42 (1H, m), 4.81 (1H, br s), 7.26 (14H, m)。
【0055】
〔実施例18〕
実施例16で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(R)-1-アミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン 酢酸塩を製造する工程
【化145】
本実施例は、工程6の実施例である。
実施例16で得られた混合物 190 mgをメタノール 10 mlに溶解した溶液に室温で、酢酸 17 μl(0.298 mmol)及び20重量%水酸化パラジウム炭素触媒10 mgを加え、室温下、水素気流中3.5気圧で反応液を16時間激しく攪拌した後、触媒を濾別し、濾液を減圧下留去し得られた析出物をヘキサンで洗浄し標記化合物の白色結晶を125 mg(収率:99%)得た。
IR (Nujol)νmax 1711, 1622, 1548, 1173, 665 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.13 (6H, br s), 1.39 (12H, s), 1.84 (1H, m), 1.91 (3H, s), 2.60 (1H, m), 2.78 (1H, dd, J = 15.9, 7.5 Hz), 2.86 (1H, dd, J = 15.9, 7.5 Hz), 3.42 (1H, m), 3.86 (1H, dd, J = 12.3, 6.5 Hz), 4.39 (1H, m), 4.51 (1H, m), 7.37 (4H, br s)。
【0056】
〔実施例19〕
実施例17で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(R)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化146】
本実施例は、工程7の実施例である。
実施例17で得られた化合物 125 mg(0.268 mmol)を1,4-ジオキサン-水 (5:2)の混合溶液5 mlに溶解した溶液に、室温で、1M水酸化ナトリウム水溶液を用いpH 10を保持しながら、ジ-t-ブチル-ジカーボネート71 mg,(0.33 mmol)を加えた。反応液を酢酸エチルにあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル 1:2)で精製し、標記化合物の無色油状物を117 mg(収率:86.3%)得た。
IR (Nujol)νmax 3418, 3359, 1723, 1679, 1670 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.15 (6H, br s), 1.34 (9H, s), 1.43 (12H, s), 1.96 (1H, m), 2.55 (1H, m), 2.72 (2H, m), 3.53 (1H, dd, J = 11.8, 3.9 Hz), 3.86 (1H, br s), 4.44 (1H, m), 4.83(1H, br s), 5.01 (1H, br s), 5.42(1H, br s), 7.22 (4H, s)。
【0057】
〔実施例20〕
実施例15で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルボキシエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化147】
実施例15で得られた化合物 34.2 g(67.6 mmol)を、エタノール 210 ml及び水 80 mlの混合溶液に溶解した溶液に、氷冷下で、5M水酸化ナトリウム水溶液 68 ml(338 mmol)を加え、反応液を100 ℃で1時間攪拌した。反応液に氷冷下、5M塩酸水溶液 68 mlを加えた後減圧下溶媒を留去した。残査を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。標記化合物を含むオイル状混合物 31.1 gを得た。得られた残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した上記標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。
IR (Nujol)νmax 1727, 1695, 1687, 1662 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.13 (6H, br s), 1.42 (12H, br s), 1.96 (1H, m), 2.53 (1H, m), 2.84 (2H, m), 3.54 (1H,m), 3.80 (1H, m), 4.40 (1H, m), 4.74 (1H, br s), 5.03 (1H, m), 5.53 (1H, br s), 7.22 (4H, s)。
【0058】
〔実施例21〕
実施例19で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-メシロキシピロリジンを製造する工程
【化148】
実施例19で得られた混合物 31.1 gをテトラヒドロフラン 600 mlに溶解した溶液に-20 ℃で、トリエチルアミン 47 ml(338 mmol)及びメタンスルホニルクロリド 15.7 ml(203 mmol)を順次加え、反応液を同温度で20分間攪拌した。反応液に28容量%アンモニア水溶液 60 mlを加え、減圧下溶媒を留去した。残査を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を3M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。標記化合物を含むオイル状混合物 31.1 gを得た。得られた残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。
IR (Nujol)νmax 3218, 1708, 1699, 1687, 1652, 912 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.12 (6H, br s), 1.38 (12H, s), 2.34 (1H, m), 2.67 (3H, m), 2.69 (3H, br s), 3.83 (1H,m), 3.92 (1H, br s), 4.96 (1H, m), 5.23 (1H, br s), 5.29 (1H, br s), 5.98 (1H, br s), 7.19 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.24 (2H, d, J = 8.4 Hz)。
【0059】
〔実施例22〕
実施例20で製造された化合物から(2R,4S)-4-アセチルチオ-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンを製造する工程
【化149】
実施例20で得られた混合物 31.1 gをN, N-ジメチルホルムアミド 600 mlに溶解した溶液に窒素気流中室温で、チオ酢酸カリウム 20.2 g(177 mmol) を加え、反応液を55 ℃で10時間攪拌した。反応液を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をクロロホルム 60 ml及びヘキサン 120 mlの混合溶液に溶かし室温で1時間攪拌した。析出物をクロロホルム-ヘキサンで洗浄し上記標記化合物の白色固体を21.5 g(収率:62.7%)得た。
IR (Nujol)νmax 3222, 1702, 1699, 1687, 1650 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.18 (6H, br s), 1.43 (12H, s), 2.22 (1H, m), 2.33 (3H, s), 2.36 (1H, m), 2.74 (2H, br s), 3.51 (1H,m), 4.01 (2H, m), 4.99 (1H, m), 5.28 (1H, br s), 5.69 (1H, br s), 5.87 (1H, br s), 7.14 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.26 (2H, d, J = 8.2 Hz)。
【0060】
〔実施例23〕
実施例18で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(R)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルボキシエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化150】
実施例18で得られた化合物 1.0 g( 1.97 mmol)をエタノール 10 ml及び水 3 mlの混合溶液に溶解した溶液を、氷冷下で、5M水酸化ナトリウム水溶液 790μlを加え、反応液を100 ℃で1時間攪拌した。反応液に氷冷下、5M塩酸水溶液 790μl を加えた後減圧下溶媒を留去した。残査を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。標記化合物を含むオイル状混合物 1.1 gを得た。得られた残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した上記標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。
IR (Nujol)νmax 1734, 1691, 1683, 1662 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.15 (6H, br s), 1.42 (12H, br s), 1.94 (1H, m), 2.55 (1H, m), 2.83 (2H, m), 3.54 (1H,m), 3.79 (1H, m), 4.40 (1H, m), 4.78 (1H, m), 5.01 (1H, m), 5.52 (1H, m), 7.21 (4H, s)。
【0061】
〔実施例24〕
実施例22で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(R)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-メシロキシピロリジンを製造する工程
【化151】
実施例22で得られた混合物 9.15 gをテトラヒドロフラン 200 mlに溶解した溶液に-20 ℃で、トリエチルアミン 11.3 ml(81.3 mmol)及びメタンスルホニルクロリド 4.72 ml(60.9 mmol)を順次加え、反応液を同温度で1時間攪拌した後反応液に28容量%アンモニア水溶液 16 mlを加え、減圧下溶媒を留去した。残査を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を3M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 酢酸エチル-アセトン 10:1)で精製し、上記標記化合物の白色固体を5.07 g(収率:47.3%)得た。
IR (Nujol)νmax 3233, 1714, 1698, 1683, 1649, 909 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.12 (6H, br s), 1.39 (12H, s), 2.32 (1H, m), 2.69 (3H, m), 2.69 (3H, br s), 3.84 (1H,m), 3.92 (1H, m), 4.93 (1H, m), 5.23 (1H, m), 5.29 (1H, m), 5.98 (1H, m), 7.18 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.22 (2H, d, J = 8.2 Hz)。
【0062】
〔実施例25〕
実施例23で製造された化合物から(2R,4S)-4-アセチルチオ-2-[4-[(R)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンを製造する工程
【化152】
実施例23で得られた化合物 4.03g(7.64 mmol)をN, N-ジメチルホルムアミド 120 mlに溶解した溶液に窒素気流中室温で、チオ酢酸カリウム 2.6 g(22.9 mmol) を加え、反応液を55 ℃で16時間攪拌した。反応液を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗った。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 酢酸エチル-アセトン 10:1)で精製し、標記化合物の白色固体を2.69 g(収率:69.2%)得た。
IR (Nujol)νmax 3231, 1709, 1694, 1683, 1652 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.16 (6H, br s), 1.44 (12H, s), 2.21 (1H, m), 2.32(3H, s), 2.36 (1H, m), 2.73 (2H, br s), 3.53 (1H,m), 4.01 (2H, m), 4.98 (1H, m), 5.28 (1H, m), 5.70 (1H, m), 5.84 (1H, m), 7.16 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.27 (2H, d, J = 8.2 Hz)。
【0063】
〔実施例26〕
実施例21で製造された化合物から(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩を製造する工程である。
【化153】
本実施例は、工程10の実施例である。
実施例22で得られた化合物 5.8 g(11.4 mmol)をメタノール 60 ml及びテトラヒドロフラン 10 mlの混合溶液に溶解した溶液に、窒素気流中氷冷下で、5M水酸化ナトリウム水溶液 2.5 ml(12.5 mmol)を加え、反応液を同温度で20時間攪拌した。反応液に5M塩酸水溶液 2.5 ml(12.5 mmol)を加え酢酸エチル及び水の混合溶液にあけた。有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を10容量%塩化水素-クロロホルム溶液 60 mlに溶かし窒素気流中室温で14時間攪拌した。得られた析出物を窒素気流中クロロホルムで洗浄し標記化合物の白色固体を3.72 g(収率:96.2%)得た。
IR (Nujol)νmax 1668, 1610, 1305, 1255, 759, 572 cm-1; 1H NMR (300 MHz, D2O) δ 2.46 (1H, ddd, J = 14.1, 7.4, 3.4 Hz), 2.75 (1H, ddd, J = 14.1, 10.6, 7.0 Hz), 2.98 (1H, dd, J = 15.4, 7.6 Hz), 3.05 (1H, dd, J = 15.4, 7.4 Hz), 3.38 (1H, dd, J = 12.6, 3.9 Hz), 3.90 (1H, dd, J = 12.6, 6.6 Hz), 3.98 (1H, m), 5.13 (1H, dd, J = 10.6, 7.4 Hz), 7.53 (4H, s)。
【0064】
〔実施例27〕
実施例24で製造された化合物(2R,4S)-2-[4-[(R)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩を製造する工程
【化154】
本実施例は、工程10の実施例である。
実施例24で得られた化合物 200 mg(0.394 mmol)をメタノール5 ml及びテトラヒドロフラン 2 mlの混合溶液に溶解した溶液を、窒素気流中氷冷下で、5M水酸化ナトリウム水溶液 86 μl(0.431 mmol) を加え、反応液を同温度で20分間攪拌した。反応液に5M塩酸水溶液 86 μl(0.431 mmol)を加え酢酸エチル及び水の混合溶液にあけた。有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を10%塩化水素-クロロホルム溶液 5 mlに溶かし窒素気流中室温で16時間攪拌した。得られた析出物を窒素気流中クロロホルムで洗浄し標記化合物 (128 mg, 収率:96.2%)の白色固体を得た。
IR (Nujol)νmax 1667, 1620, 1302, 1254, 766, 576 cm-1; 1H NMR (300 MHz, D2O) δ 2.47 (1H, ddd, J = 14.2, 7.4, 3.6 Hz), 2.74 (1H, ddd, J = 14.2, 10.8, 7.0 Hz), 2.97 (1H, dd, J = 15.5, 7.6 Hz), 3.03 (1H, dd, J = 15.5, 7.4 Hz), 3.38 (1H, dd, J = 12.6, 4.0 Hz), 3.92 (1H, dd, J = 12.6, 6.7 Hz), 3.99 (1H, m), 5.12 (1H, dd, J = 10.8, 7.4 Hz), 7.51 (4H, s)。
【0065】
〔実施例28〕
実施例26で製造された化合物からp-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-[4-[(S)-1-アミノ-2-(カルバモイル)エチル]フェニル]ピロリジン-3-イルチオ]-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 二塩酸塩を製造する工程
【化155】
本実施例は、工程11の実施例である。
(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩 1.5 g(4.43 mmol)をN, N-ジメチルホルムアミド 31 mlに溶解した溶液に、窒素気流中氷冷下で、p-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-ジフェノキシホスホリルオキシ-6-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 2.37 g(3.99 mmol)及びトリエチルアミン 2.04 ml(14.6 mmol) を順次加え、反応液を同温度で5時間攪拌し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー (50 ml, 30 〜 40%アセトニトリルで溶出)で精製し、目的画分を集め、減圧下溶媒を留去し、1N塩酸水溶液を加えpH 5.8として、凍結乾燥して、標記化合物を1.64 g(収率:60.2%)得た。
IR (Nujol)νmax 3340, 1766, 1763, 1606, 1519, 721 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.28 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.31 (3H, d, J = 6.2), 2.38 (1H, m), 2.49 (1H, m), 2.94 (2H, m), 3.17 (1H, m), 3.58 (1H, m), 3.83 (1H, m), 4.18 (2H, m), 4.32 (1H, m), 4.08 (1H, m), 4.72 (1H, m), 5.29 (1H, d, J = 13.9 Hz), 5.47 (1H, d, J = 13.9 Hz), 7.78 (2H, d, J = 8.7 Hz), 8.30 (2H, d, J = 8.7 Hz)。
【0066】
〔実施例29〕
実施例25で製造された化合物からp-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-[4-[(S)-1-アミノ-2-(カルバモイル)エチル]フェニル]ピロリジン-3-イルチオ]-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 二塩酸塩を製造する工程
【化156】
本実施例は、工程11の実施例である。
実施例25で得た化合物、(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩 500 mg(1.47 mmol)をN, N-ジメチルホルムアミド 10 mlに溶解した溶液に窒素気流中氷冷下で、p-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-ジフェノキシホスホリルオキシ-6-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 790 mg(1.33 mmol)及びトリエチルアミン680 μl(4.86 mmol) を順次加え、反応液を同温度で5時間攪拌し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を逆相カラムクロマトグラフィー (50 ml, 30 〜 40%アセトニトリルで溶出)で精製し、目的画分を集め、減圧下溶媒を留去し、1N塩酸水溶液を加えpH 5.8として、凍結乾燥して、標記化合物 468 mg(収率:51.6%)を得た。
IR (Nujol)νmax 3333, 1764, 1763, 1609, 1509, 727 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.25 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.29 (3H, d, J = 6.3), 2.37 (1H, m), 2.48 (1H, m), 2.94 (2H, m), 3.14 (1H, m), 3.54(1H, m), 3.83 (1H, m), 4.19 (2H, m), 4.33 (1H, m), 4.08 (1H, m), 4.72 (1H, m), 5.26 (1H, d, J = 13.7 Hz), 5.45 (1H, d, J = 13.7 Hz), 7.82 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.29 (2H, d, J = 8.5 Hz)。
【0067】
〔実施例30〕
実施例25で製造された化合物から(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]ピロリジン-3-イルチオ]-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸 一塩酸塩を製造する工程.
【化157】
(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩30 g(88.75 mmol)及びp-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-ジフェノキシホスホリルオキシ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 44.85 g(75.44 mmol, 0.85 eq)を無水N-メチル-2-ピロリジノン 500 mlに溶解した溶液に窒素気流中、2 から 4 ℃で、トリエチルアミン 40.8 ml(293 mmol)を10分間かけて加え、反応液を5 ℃で14時間攪拌した。
反応液にテトラヒドロフラン 1120 ml、水 1120 ml及び3-モルホリノプロパンスルホン酸 37.14 g(177.4 mmol) を加えた。反応液に10重量%パラジウム炭素7.5 gを加え、水素気流下、室温、1気圧で反応液を3時間激しく攪拌した後、反応液から触媒を濾別した。濾液から減圧下、テトラヒドロフランを留去した。溶液は5M水酸化ナトリウム水溶液でpH 7.3とした後、クロロホルム (4000 ml)で3回洗浄し、水層の不溶物を濾別した。
濾液は、中圧逆相カラムクロマトグラフィー (YMC-GEL, ODS-AQ 120S-50, 1000 ml; 10%アセトニトリル水溶液で溶出)で精製し、目的画分を集め、減圧下溶媒を留去し、1N塩酸水溶液を加えpH 6.5とした。
得られた水溶液をイオン交換樹脂 (Mitsubishi Chemical, DIAION, SA-10A, 1500 cc; 水で溶出)に付して塩交換を行い目的画分を集め、減圧下濃縮し、室温で無水アセトンに投入した。析出物を窒素気流中濾取し アセトンで洗浄した。得られた固体は減圧下、室温で40時間乾燥し標記化合物 21.3 g(収率;55.2%)を得た。
IR (KBr)νmax 1751, 1672, 1585, 1388, 1259, 1147, 773, 665 cm‐ 1; 1H NMR (500 MHz, D2O) δ 1.04 (3H, d, J = 7.0 Hz), 1.08 (3H, d, J = 6.4 Hz), 2.36 (1H, dd, J = 14.0, 7.0 Hz), 2.61 (1H, m), 2.81 (1H, dd, J = 15.6, 7.3 Hz), 2.88 (1H, dd, J = 15.6, 7.3), 3.18 (1H, dq, J = 8.8, 7.0 Hz), 3.28 (1H, dd, J = 5.8, 2.8 Hz), 3.31 (1H, br d, J = 12.8 Hz), 3.72 (1H, dd, J = 12.8, 5.8 Hz), 4.05 (3H, m), 4.59 (1H, t, J = 7.3 Hz), 4.92 (1H, dd, J = 11.0, 7.0 Hz), 7.36 (4H, m).
【0068】
【発明の効果】
式(16)で表される医薬品として有用なカルバペネム系抗生物質が工業的有利に製造される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルバペネム系抗生物質の製造方法及び合成中間化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、式(16a及び16b):
【化62】
及び
【化63】
で示されるカルバペネム化合物またはその薬理学的に許容しうる塩は、広範な抗菌スペクトルと優れた抗菌力及びクラスBに属するβ−ラクタメースに対する阻害作用を有し、且つ腎デヒドロペプチダーゼ−1(DHP−1)に耐性を有する有用な新規化合物であるという知見を得、先に特許出願をした(WO99/31106)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記式(16a及び16b)の化合物は、側鎖ピロリジン環の3位及び5位の置換がトランスに配位、それぞれが3S及び5Rなる立体配置を有し、またベンゼン環に置換する側鎖にも不斉中心が存在するため、公知の製造方法は合成工程が長く且つ操作の難しい反応を含み、合成収率及び工程管理の面から工業的製造方法としては必ずしも満足すべきものではなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、前記カルバペネム化合物の合成工程を短縮し、立体選択的に且つ収率良く合成する方法を開発し、また、該カルバペネム化合物を合成する上で極めて重要な合成中間体を見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)式(1):
【化64】
(式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2はアミノ基の保護基を表す。)
で表される(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドン誘導体と式(2):
【化65】
(式中、M1は金属を表し、R3は置換基を表す。)
で表されるアリール金属試薬とを作用させて、式(3):
【化66】
(式中、R1、R2及びR3は前記定義に同じ。)
で表されるカルボニル化合物を製造し、続いてカルボニル化合物を還元反応に付して、式(4):
【化67】
(式中、R1、R2及びR3は前記定義に同じ。)
で表されるアルコール化合物を製造した後、(a)このアルコール化合物の二級水酸基を脱離基へ変換し、次いで分子内環化反応に付するか、または(b)光延反応に付するかして、式(5):
【化68】
(式中、R1、R2及びR3は前記定義に同じ。)
で表されるピロリジン誘導体を製造し、所望により水酸基の保護基を除去した後に、置換基R3を増炭反応によりアクリル酸エステル構造に変換し、式(6):
【化69】
(式中、R2は前記定義に同じ。R1’はHまたはR1(前記定義と同義)を表し、R4は置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアラルキル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体を製造し、該不飽和エステル誘導体を、式(7):
【化70】
(式中、M2は金属、R5及びR6は同一または異なっていてもよい置換基を表す)で表される有機金属アミドまたはその有機金属アミドの光学活性体を用いる共役付加反応に付して、式(8):
【化71】
で表されるアミン化合物を製造し、次いで該アミン化合物のアミノ基に結合する置換基R5及びR6を除去して、式(9):
【化72】
で表されるアミノ化合物を製造し、次いで該化合物の1級アミノ基に保護基R50を導入し、さらに、所望により置換基R60を導入して、式(10):
【化73】
で表されるアミノカルボン酸誘導体を製造し、該アミノカルボン酸誘導体の―COOR4で表される置換基を、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基またはN,N−ジ置換カルバモイル基に変換して、式(11):
【化74】
(式中、R1’R2及びZ2は前記定義に同じ。R7及びR8 はHまたは置換基を表す。)
で表されるアミド化合物を製造し、これを所望によりヒドロキシ基の保護基を除去した後に、(a)該アミド化合物のヒドロキシ基を脱離基に変換し、さらに置換メルカプタンまたはそれらの塩を作用させるか、または(b)光延反応に付するかにより、式(12):
【化75】
(式中、R2、R7、R8及びZ2は前記定義に同じ。R9は置換基を表す。)で表される化合物を製造し、次いで、置換基R9を除去し、所望によりアミノ基の保護基も除去して、式(13):
【化76】
で表されるメルカプト化合物またはその塩を製造し、この化合物と式(14):
【化77】
(式中、R10はカルボキシル基の保護基を表し、Wは脱離基を表す。)
で表される1−β−メチルカルバペネム化合物とを縮合させて、式(15):
【化78】
(式中、R7、R8、R10、R20及びZ20は前記定義に同じ。)
で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩を製造し、次いで該1−β−メチルカルバペネム誘導体のカルボキシル基の保護基及び所望によりアミノ基の保護基を除去する事を特徴とする、式(16):
【化79】
で表される1−β−メチルカルバペネムまたはその薬理学的に許容しうる塩の製造方法、
(2)式(1a):
【化80】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表される(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドン誘導体と式(2a):
【化81】
(式中、MはLiまたはMgBrを表し、Meはメチル基を表す。)
で表されるアリール金属試薬とを作用させることを特徴とする、式(3a):
【化82】
(式中、Me、TBS及びBocは前記定義に同じ。)
で表されるカルボニル化合物の製造方法、
(3)式(6a):
【化83】
(式中、R1’はHまたはTBSを表す。TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体と式(7a):
【化84】
(式中、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表す。)
で表される有機金属アミドとを共役付加反応に付することを特徴とする、式(8a):
【化85】
(式中、R1’、Bu−t、Boc、Me及びPhは前記定義に同じ。)
で表されるアミン化合物またはその塩の製造方法、
(4)式(6a):
【化86】
(式中、R1’はHまたはTBSを表し、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体と式(7b):
【化87】
(式中、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表す。)
で表される有機金属アミドとを共役付加反応に付することを特徴とする、式(8b):
【化88】
(式中、R1’、Bu−t、Boc、Me及びPhは前記の定義に同じ。)
で表されるアミン化合物またはその塩の製造方法、
(5)式(3b):
【化89】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、R3は置換基を表す。)
で表されるカルボニル化合物、
(6)R3がテトラヒドロピラニルオキシ基、ベンジルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、Br、Cl、I、ビニル基、またはジメトキシメチル基である前記(5)に記載のカルボニル化合物、
(7)式(4a):
【化90】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、THPはテトラヒドロピラニル基を表す。)
で表されるアルコール化合物、
(8)式(4b):
【化91】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表されるアルコール化合物、
(9)式(4c):
【化92】
(式中、R30はベンジルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、Cl、Iまたはビニル基を表す。)
で表されるアルコール化合物、
(10)式(5a):
【化93】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(11)式(5b):
【化94】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、THPはテトラヒドロピラニル基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(12)式(5c):
【化95】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(13)式(5d):
【化96】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Tfはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(14)式(5e):
【化97】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、R30は、ベンジルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、Cl、Iまたはビニル基を表す。)
で表されるピロリジン誘導体、
(15)式(17):
【化98】
(式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2はアミノ基の保護基を表し、R4はメチル基、イソプロピル基、またはベンジル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体、
(16)式(6a):
【化99】
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体、
(17)式(6b):
【化100】
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表される不飽和エステル誘導体、
(18)式(6):
【化101】
で表される化合物において、R1’がHまたはt−ブチルジメチルシリル基、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基である不飽和エステル誘導体、
(19)前記(18)に記載の式(6)で表される不飽和エステル誘導体において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がエチル基である不飽和エステル誘導体、
(20)式(8a):
【化102】
または式(8b):
【化103】
(式中、Phはフェニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Meはメチル基を表す。)
で表されるアミン化合物またはその塩、
(21)(8):
【化104】
で表されるアミン化合物において、R1’がHまたはt−ブチルジメチルシリル基、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基、R5がベンジル基、R6が(R)−α−メチルベンジル基であるアミン化合物またはその塩、
(22)前記(21)に記載の式(8)で表されるアミン化合物において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がエチル基、R5がベンジル基、R6が(R)−α−メチルベンジル基であるアミン化合物またはその塩、
(23)式(9a):
【化105】
または式(9b):
【化106】
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表し、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表されるアミノ化合物またはその塩、
(24)式(9):
【化107】
で表されるアミノ化合物において、R1’がHまたはt−ブチルジメチルシリル基、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基であるアミノ化合物またはその塩、
(25)前記(24)に記載の式(9)で表されるアミノ化合物において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がエチル基であるアミノ化合物またはその塩、
(26)式(10a):
【化108】
または、式(10b):
【化109】
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を、Bu−tはt−ブチル基を表す。)
で表されるアミノカルボン酸誘導体、
(27)式(10):
【化110】
で表されるアミノカルボン酸誘導体において、R1’がHまたはt−ブチルジメチルシリル基、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基、R50 がt−ブトキシカルボニル基、R60がHであるアミノカルボン酸誘導体、
(28)前記(27)に記載の式(10)で表されるアミノカルボン酸誘導体において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がt−ブチル基、R50 がアリルオキシカルボニル基またはp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHであるアミノカルボン酸誘導体、
(29)前記(27)に記載の式(10)で表されるアミノカルボン酸誘導体において、R1’がH、R2がアリルオキシカルボニル基、R4がエチル基、R50 がアリルオキシカルボニル基、R60がHであるアミノカルボン酸誘導体、(30)式(11a):
【化111】
または式(11b):
【化112】
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表されるアミド化合物またはその塩、
(31)式(11c):
【化113】
で表されるアミド化合物において、R2がt−ブトキシカルボニル基、R50 がアリルオキシカルボニル基またはp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHであるアミド化合物またはその塩、
(32)前記(31)に記載の式(11c)で表される化合物において、R2及びR50 がアリルオキシカルボニル基、R60がHであるアミド化合物またはその塩、
(33)式(11d):
【化114】
または式(11e):
【化115】
(式中、Msはメシル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)で表される化合物またはその塩、
(34)式(12a):
【化116】
または式(12b):
【化117】
(式中、Acはアセチル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
で表される化合物またはその塩、
(35)式(12c):
【化118】
で表される化合物において、R2がt−ブトキシカルボニル基、R50 がアリルオキシカルボニル基またはp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R9がアセチル基である化合物またはその塩、
(36)前記(35)に記載の式(12c)で表される化合物において、R2及びR50 がアリルオキシカルボニル基、R60がH、R9がアセチル基である化合物またはその塩、
(37)前記(35)に記載の式(12c)で表される化合物において、R2及びR50 がt−ブトキシカルボニル基、R60がH、R9がベンゾイル基である化合物またはその塩、
(38)式(13a):
【化119】
または式(13b):
【化120】
で表されるメルカプト化合物またはその塩。
(39)式(13c):
【化121】
で表される化合物において、R20及びR51がともにt−ブトキシカルボニル基またはアリルオキシカルボニル基、R60がHであるメルカプト化合物またはその塩、
(40)前記(39)に記載の式(13c)で表されるメルカプト化合物において、R20がHまたはt−ブトキシカルボニル基、R51がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHであるメルカプト化合物またはその塩、
(41)前記(39)に記載の式(13c)で表されるメルカプト化合物において、R20がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R51がHまたはアリルオキシカルボニル基、R60がHであるメルカプト化合物またはその塩、
(42)式(15a):
【化122】
または式(15b):
【化123】
(式中、PNBはp−ニトロベンジル基を表す。)
で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩。
(43)式(15c):
【化124】
で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がアリル基、R20及びR51 がともにアリルオキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩、
(44)前記(43)に記載の式(15c)で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がp−ニトロベンジル基、R20及びR51 がともにt−ブトキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩、
(45)前記(43)に記載の式(15c)で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がp−ニトロベンジル基、R20がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R51 がHまたはアリルオキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩、及び
(46)前記(43)に記載の式(15c)で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がp−ニトロベンジル基、R20がH、R51 がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩、
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に関与する各工程は下記に要約される。
【化125】
【0007】
【化126】
上記工程図において、R1、R1’、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R20、R50、R60、Z1、Z2、Z20及びZ3は前記と同意義である。
本発明は工業的に有利な式(16)で示されるカルバペネム化合物の製造方法であり、かかる工業的に有利な製造方法に貢献する新規化合物を含む。
【0008】
[化合物(1)]
化合物(1)は、例えば公知の化合物である(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドン(Pellegata.R.ら Synthesis 1978 614〜616頁)から以下に述べる方法により合成することができる。定法(Protective Groups in Organic Synthesis T. W. Green and P. G. M. Wuts 1991)に準じて、(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンの1位窒素及び1位の水酸基にそれぞれ適当な保護基を導入する。
水酸基の保護基(R 1)としては、例えば、ベンジル基;テトラヒドロピラニル(以下、THPと略す)基;メトキシメチル基;トリメチルシリル (以下、TMSと略す)基、トリエチルシリル(以下、TESと略す)基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル(以下、TBSと略す)基あるいはテトライソプロピルシリル(以下、TIPSと略す)基等のトリアルキルシリル基;t-ブチルジフェニルシリル(以下、TBDPSと略す)基等が挙げられるが、中でもTBS基、TES基、TBDPS基またはトリイソプロピルシリル基などのアルキルシリル基が好ましい。
好ましい保護基であるTBS基の導入は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、メチレンクロリドまたはアセトニトリル等の有機溶媒中、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド中で、例えばイミダゾール、トリエチルアミンまたはピリジン等の1〜3当量の塩基、好ましくはイミダゾールの存在下、TBSCl、TBSOTf等の1〜3当量のTBS化剤、好ましくはTBSClを、氷冷から室温程度で作用させて行うことができる。ここで、「OTf」はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。室温とは、約10℃〜35℃程度を意味する。以下も同様である。
又、1位窒素の保護基(R2)としては、例えばt−ブトキシカルボニル(以下Bocと略す)基あるいはアリルオキシカルボニル(以下Allocと略す)基などのアルコキシカルボニル基、p−ニトロベンジル(以下PNBと略す)基あるいはベンジルオキシカルボニル(以下Cbz と略す)基などのアラルキルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル(以下PNZと略す)基,またはp−メトキシベンジルオキシカルボニル(以下PMZと略す)基等が挙げられるが、中でもBoc基、Alloc基またはPNZ基が好ましい。
好ましい保護基であるBoc基の導入は、例えば、アセトニトリル、メチレンクロリド、クロロホルム、N,N ―ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中、好ましくはアセトニトル中、トリエチルアミンまたは4‐(ジメチルアミノ)ピリジン等の0.5〜3当量の塩基の存在下、(Boc)2O、t-ブチル(4,6-ジメチルピリミジン-2-イルチオ)ホルメイト等の1〜3当量のBoc化剤を、氷冷から室温程度で作用させて行う。
1位窒素及び4位水酸基への保護基の導入の順序が逆になっても良い。
【0009】
化合物(1)の合成工程のより好ましい態様としては、化合物(1)においてR1がTBS基、R2がBoc基という好適な置換基を有する化合物 (4R)−1−t−ブトキシカルボニル−4−t−ブチルジメチルシロキシ−2−ピロリドンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
すなわち、窒素気流中、氷冷下で、(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液に1.05当量のt−ブチルジメチルシリルクロリド 及び1.5当量のイミダゾールを順次加え、反応液を同温度で約30分撹拌した後反応液を水にあけ、析出物を乾燥する。得られた白色固体のアセトニトリル溶液に0.56当量のN,N−ジメチルアミノピリジン及び0.6当量のトリエチルアミンを加え、更に窒素気流中、氷冷下、1.05当量のジ−t−ブチルジカーボネートを加え抽出操作後得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥し、上記化合物の白色固体を得ることができる。
【0010】
[化合物(2)]
式(2)で示される化合物は、4位に置換基R3を有するアリール金属試薬である。置換基R3としては(a)例えばジメチルアセタールなどで保護されたホルミル基、(b)例えばTBS基あるいはTHP基で保護されていても良いヒドロキシメチル基、(c)例えばベンジル基、TBS基あるいはTHP基で保護されていても良い水酸基、(d)置換していてもよいビニル基、(e)保護されたカルボキシル基または(f)例えばBr等のハロゲン原子等が挙げられる。
用いる金属種としては、例えばリチウム、マグネシウム、亜鉛または銅等が挙げられるが、中でもリチウムまたはマグネシウムが好ましい。したがって、好ましくは、M1はLi、MgBrまたはMgCl等である。
該化合物は定法(Comprehensive Organic Synthesis Vol. 1, 1991等)により調製できる。
【0011】
[工程−1]
工程−1は化合物(1)に対してアリール金属試薬(2)を付加させ化合物(3)を得る工程である。本工程では、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはトルエン等の有機溶媒中、約−70℃から室温程度で、化合物(1)と1〜5当量の金属試薬(2)とを作用させる工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(3)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がジメトキシメチル基という好適な置換基を有する化合物 (3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、4当量のマグネシウム及び2当量の4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタールよりテトラヒドロフラン中調製したグリニアル試薬に対して、氷冷下、(4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドンのテトラヒドロフラン溶液を1時間30分かけて加えた後、反応液を抽出操作し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、上記化合物を得ることが出来る。
また、別のより好ましい態様としては、化合物(3)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がBrという好適な置換基を有する化合物(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ブロモフェニル)ブタノンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、1.2当量のn−ブチルリチウム及び1当量の1,4-ジブロモベンゼンよりテトラヒドロフラン中調製したアリールリチウム試薬に対して、約−70℃にて(4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドンのテトラヒドロフラン溶液を加えた後、反応液を抽出操作し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し上記化合物を得ることができる。
化合物(3)について好適な化合物として挙げられた上記2つの化合物は、いずれも新規化合物である。また、その他、化合物(3)においては、例えばR1がTBS基、R2がBoc基、R3がCl、I、ビニル基、ベンジルオキシ(以下、OBnと略す)基、OTHP基あるいはOTBS基で示される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0012】
[工程−2]
本工程は、化合物(3)のカルボニル基を還元、好ましくは立体選択的に還元して水酸基にする工程である。
好ましい態様としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化リチウムトリエチルホウ素、水素化ジイソブチルアルミニウムまたはジボラン等の1〜3当量の還元剤、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化リチウムトリエチルホウ素を、例えばメタノール、テトラヒドロフラン、トルエンまたはメチレンクロリド等の有機溶媒中約−70℃から室温程度で作用させることにより、目的とする立体化学を有する化合物(4)を優先的に得る工程が挙げられる。
また、本工程において、立体選択的な還元反応を種々の光学活性な配位子を用いて行うこともできる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(4)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がジメトキシメチル基という好適な置換基を有する化合物(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールの合成工程である以下の工程を挙げることができる。即ち、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノンに対して約−20 ℃から氷冷下でメタノール中 1.2当量の水素化ホウ素ナトリウムを加えるか、または、−70 ℃でテトラヒドロフラン中1.2当量の水素化リチウムトリエチルホウ素を加えることで合成することが出来る。
特に、還元剤として水素化リチウムトリエチルホウ素を用いた場合には還元反応が立体選択的に進行し、(1S,3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールを主生成物として得ることができる。
該化合物は公知であるが、その他、化合物(4)については、例えばR1がTBS基、R2がBoc基、R3がBr、Cl、I、ビニル基、OBn基、OTHP基あるいはOTBS基で示される化合物があげられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0013】
[工程−3]
工程3は、ピロリジン環を形成する工程であって、(a)化合物(4)の二級水酸基を脱離基に変換し分子内環化反応を行うことによりピロリジン環を形成する工程、及び(b)いわゆる光延反応を用いる工程をあげることができる。
【0014】
(a)化合物(4)の二級水酸基を脱離基に変換し、次いで分子内環化反応を行う工程である。脱離基としては、好ましくはメシルオキシ基、トシルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等、より好ましくはメシルオキシ基が挙げられる。
好ましい態様としては、化合物(4)に対して例えばメチレンクロリド、クロロホルム、テトラヒドロフランまたは酢酸エチル等の溶媒中、約−60℃から約60℃の間で、メシルクロリドあるいはトシルクロリド等の1〜3当量のアルキルスルホン酸ハライド、またはアリールスルホン酸ハライドを1〜5当量の塩基の存在下で作用させ、必要ならば昇温等する事により行うという工程が挙げられる。この工程で使用する有機溶媒としてはクロロホルムが好ましく、スルホン酸ハライドとしてはメシルクロリドが好ましく、塩基としてはトリエチルアミンが好ましい。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(5)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がホルミル基という好適な置換基を有する化合物 (2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールのメチレンクロリド溶液に、窒素気流中、約−60 ℃で、3当量のトリエチルアミン及び1.1当量メタンスルホニルクロリドを加えた後、反応液を抽出操作する。得られた残査を水及びテトラヒドロフランに溶かし、3当量のp-トルエンスルホン酸一水和物を加え、室温で約1時間攪拌した後、反応液を抽出操作し得られた残査をヘキサンに溶かし、析出物を減圧濾過することにより上記化合物を得ることが出来る。
【0015】
(b)化合物(4)に対していわゆる光延反応 (Mitsunobu O. Synthesis 1981. 1) を行う工程も挙げられる。
好ましい態様としては、例えば、化合物(4)に対して、例えばメチレンクロリドまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中、トリフェニルホスフィンあるいはトリエチルホスフィン等の1〜5当量のホスフィン試薬、アゾジカルボン酸ジエチルあるいはアゾジカルボン酸ジイソプロピル等の1〜5当量アゾジカルボン酸ジアルキルエステルまたはアゾジカルボン酸アミドを作用させる工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(5)において、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がホルミル基という好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールのテトラヒドロフラン溶液に、窒素気流中、氷冷下で、2当量のトリフェニルホスフィン及び2当量のアゾジカルボン酸ジエチルを加えた後、反応液を抽出操作する。得られた残査を水及びテトラヒドロフランに溶かし、3当量のp-トルエンスルホン酸一水和物を加え、室温で約1時間攪拌した後、反応液を抽出操作後精製することにより上記化合物を得る。
【0016】
化合物(5)について好適な化合物として挙げられた上記化合物は、新規化合物である。また、その他、化合物(5)においては、例えば、R1がTBS基、R2がBoc基、R3がBr、Cl、I、水酸基、ビニル基、OBn基、OTHP基またはOTBS基で示される化合物があげられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0017】
[工程−4]
本工程は、化合物(5)の置換基R3を増炭反応によりアクリル酸エステル構造に変換する工程である。増炭反応としては、置換基R3の種類によって、(a)保護基の除去、(b)酸化反応、(c)還元反応、(d)付加反応、(e)置換反応、(f)脱水反応、(g)クロスカップリング反応、のうち全てあるいはそのうちの幾つかの反応の組み合わせが挙げられる。より好ましい態様として、置換基R3の種類によって、以下の工程4−1、工程4−2及び工程4−3に示される工程が挙げられる。
【0018】
[工程4−1]
化合物(5)においてベンゼン環上4位の置換基R3がBr、ClまたはI等のハロゲン原子である場合、アクリル酸エステル等とのカップリング反応、好ましくはヘック反応(Heck, R.F.Organic Reactions 27巻、345頁、1982年 等)を行うことにより、アクリル酸エステル構造をベンゼン環上4位に導入するという工程が挙げられる。
好ましい態様としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド,ジオキサンまたはベンゼン等の溶媒中、酢酸パラジウム、テトラキスジベンジリデンアセトンビスパラジウムあるいはテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等の0.01〜1当量のパラジウム化合物、トリフェニルホスフィン、トリ(2-フリル)ホスフィンあるいはトリ(o-トルイル)ホスフィン等の0.05〜1当量のトリアリールホスフィン、トリエチルアミン、トリブチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の1〜3当量の有機塩基または炭酸ナトリウム、炭酸セシウムまたは炭酸カリウム等の無機塩基の存在下に、アクリル酸メチルまたはアクリル酸t−ブチル等の1〜5当量のアクリル酸エステルを化合物(5)に作用させる工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(6)において、R1’がH、R2がBoc基、R4がt-ブチル基という好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン、または、R1’がTBS基、R2がBoc基、R4がt-ブチル基という好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-2-(4-ブロモフェニル)-4-ヒドロキシピロリジン、または、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ブロモフェニル)ピロリジンのアセトニトリル溶液に窒素気流中3当量のトリエチルアミン、2当量のアクリル酸t−ブチルエステル、0.05当量の酢酸パラジウム、及び0.2当量のトリ(o−トルイル)ホスフィンを加え、一晩加熱還流した後、反応液を抽出操作後得られた残査を精製することにより、上記化合物を得ることが出来る。
【0019】
[工程4−2]
化合物(5)においてベンゼン環上4位の置換基R3が保護されていても良いヒドロキシ基の場合は、このヒドロキシ基を定法に従い対応するトリフルオロメタンスルホニルオキシ(以下、TfOと略す)基に変換することにより、工程4−1と同様にしてアクリル酸エステルとのカップリング反応を行い化合物(6)に変換するという工程が挙げられる。
本工程に先立ち、二級水酸基にTHP基、TBS基またはベンジル基等の保護基が存在する場合、即ち化合物(6)においてR1’がHでない場合は定法(Protective Groups in Organic Synthesis T.W.Green and P.G.M.Wuts 1991年等)に従い、これら保護基を除去しても良い。好ましい態様としては、例えば、R1にTBS基を有する化合物(6)に対し、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンまたはアセトニトリル等の溶媒中、約0℃から約40℃の間でテトラn-ブチルアンモニウムフルオリドまたはフッ化カリウム等の1〜5当量のフッ素試薬を作用させる工程、または、例えばメタノールまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中、塩酸または硫酸等の1〜50当量の酸を作用させる工程等が挙げられる。
【0020】
[工程4−3]
化合物(5)において4位の置換基R3がホルミル基の場合、酢酸エステル及びその誘導体との縮合反応、好ましくはaldol反応と、引き続く脱水反応またはWittig反応(Maercker、A.Organic Reactions 14巻、270頁、1965年など)及びその変法(Maryanoff、B.E.Reitz、A.B.Chemical Review 89巻、863頁、1989年など)によりベンゼン環上4位の置換基R3をアクリル酸エステル構造に変換する工程が挙げられる。
また、上記工程4−3におけるaldol反応と、引き続く脱水反応においては、化合物(6)の前駆体である式(17):
【化127】
(式中、R1、R2及びR4は前記定義に同じ。)
で表される化合物が存在するが、この化合物は化合物(6)の製造中間体として有用である。
好ましい態様としては、例えば、Wittig反応の場合、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、アセトニトリル、メタノールまたはアセトン等の溶媒中、必要ならば1当量から3当量の例えば水素化ナトリウム、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、水酸化ナトリウムまたはジアザビシクロウンデセン等の塩基の存在下、約−60℃から約60℃の間で、1当量から3当量の例えばトリフェニルホスホラニリデン酢酸t-ブチルエステルまたは亜リン酸トリエチルエステル等のリン化合物を作用させるという工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(6)において、R1’がTBS基、R2がBoc基、R4がt−ブチル基という好適な置換を有する化合物 (2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、1.2当量のt-ブチルジエチルホスホノアセテートのテトラヒドロフラン溶液に窒素気流中、氷冷下で、1.2当量の水素化ナトリウムを加え、反応液をさらに約30分間攪拌した後、同温度で、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジンのテトラヒドロフラン溶液を加える。得られた反応液を抽出操作後精製し上記化合物を得ることが出来る。
【0021】
[化合物(7)]
化合物(7)は有機金属アミドまたはその光学活性体である化合物(7)において、置換基R5、R6はそれぞれアルキル基、アルケニル基、ベンジル基あるいは置換していてもよいベンジル基等のアラルキル基またはトリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基を表し、R5とR6は同一であっても、異なっていてもよい。トリメチルシリル基、置換していてもよいベンジル基または置換していてもよい2−プロペニル基が好ましいが、中でも好適な組み合わせは、R5がベンジル基であり、R6が(RまたはS)α−メチルベンジル基である。
また、化合物(7)において置換基M2は金属であり、好ましくはリチウム、マグネシウム、ナトリウムまたはカリウムであり、中でもリチウム、マグネシウムが好ましい。
マグネシウムはMgBrまたはMgClであってもよい。
【0022】
[工程−5]
不飽和エステル化合物(6)に対して化合物(7)を文献記載の方法( Davis, S. G.; Ichihara, O.; Walters, A. S.synlett, 1993, 461. Davis, S. G.; Ichihara, O. Tetrahedron: Asymmetry. 1991, 2, 183.等)に準じて共役付加させ光学活性化合物(8)を得る工程である。
好ましい態様としては、化合物(6)に対して例えばテトラヒドロフラン、ベンゼンまたはエーテル等の溶媒中 −70 ℃から室温の間で1〜5当量の化合物(7)を作用させるという工程を挙げることができる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(8)において、R1’がH、R2がBoc基、R4がt-ブチル基、R5がベンジル基、R6が(R)-α-メチルベンジル基という好適な置換基を有する化合物、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-[4-[(S)-1-[(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチルフェニル]ピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、5当量の(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミン及び5当量のn-ブチルリチウムから窒素気流中、氷冷下にて調製したリチウムアミドのテトラヒドロフラン溶液に約−70℃で、(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンのテトラヒドロフラン溶液を加えることにより得る。
該化合物は新規物質である。その他、化合物(8)には、例えば、以下の表に掲げられる新規または公知の化合物が挙げられる。
【表1】
(表中、Bnはベンジル基を表し、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。TBS及びBocは前記定義に同じ。)
【0023】
[工程−6]
本工程は、化合物(8)のアミノ基上の置換基R5及びR6を除去する工程である。
好ましい態様としては、例えば、R5またはR6がベンジル基、p-メトキシベンジル基またはα-メチルベンジル基のいずれかである場合、定法(Protective Groups in Organic Synthesis T.W.Green and P.G.M.Wuts 1991年 等)に準じて通常の接触加水素分解の条件下、即ち例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランまたは酢酸等の溶媒中、化合物(8)の10〜50%重量のパラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金またはパラジウム黒等の触媒存在下で、水素ガスの常圧ないしは加圧下に室温から60℃の間で置換基R5及びR6を除去するという工程が挙げられる。
又、例えば、塩酸または酢酸などの酸の添加により反応が速やかに進行する場合があり生成物は用いた酸との塩を形成しても良い。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(9)において、R1’がH、R2がBoc基、R4がt-ブチル基、という好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-2-[4-[(1S)-1-アミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン 酢酸塩の合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-[4-[(S)-1-[(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチルフェニル]ピロリジンのメタノール溶液に室温で、1当量の酢酸及び水酸化パラジウム炭素触媒を加え室温にて3.5気圧の水素雰囲気下攪拌する。反応液から触媒を濾別し、濾液を減圧下留去する事により白色結晶の上記化合物が得られる。
該化合物は新規物質である。その他、化合物(9)には、例えば、R1’がHまたはTBS基、R2がBoc基、R4がメチル基、イソプロピル基またはベンジル基で示される化合物、また、R1’がH、R2がBoc基、R4がエチル基で表される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0024】
[工程−7]
本工程は、1級アミノ基に保護基及び所望により置換基を導入する工程である。すなわち、先の工程で得られた化合物(9)のアミノ基に定法(Protective Groups in Organic Synthesis T.W.Green and P.G.M.Wuts 1991年 等)に従い保護基R50を導入する。
アミノ基の保護基R50としては、例えばBoc基、PNZ基、Cbz基またはAlloc基等が挙げられるが、中でもBoc基、PNZ基またはAlloc基が好ましい。
好ましい置換基としてのBoc基の導入工程は、例えばアセトニトリル、メチレンクロリド、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミドあるいはテトラヒドロフラン等の有機溶媒中またはこれらの有機溶媒と水の混合溶媒中、好ましくはアセトニトリル中で、例えばトリエチルアミン、ピリジンあるいは4-(ジメチルアミノ)ピリジン等の1〜3当量の有機塩基または例えば水酸化ナトリウムまたは炭酸カリウム等の1〜3当量の無機塩基の存在下、(Boc)2O、t-ブチル(4,6-ジメチルピリミジン-2-イルチオ)ホルメイト等の1〜3当量のBoc化剤を氷冷から室温程度で作用させるという工程が挙げられる。
又、必要によりこのアミノ基の保護基の導入に先立つかまたはこれに引き続いて、新たな置換基(R60)を定法に従い導入することもできる。好ましい置換基としては置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアルケニル基が挙げられる。生成するアミノ基への保護基の導入の前に行うならば、例えばアルデヒドとの還元アミノ化反応等が挙げられ、又、保護基の導入の後ならば、ハロゲン化アルキルとのアルキル化反応等が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(10)において、R1’がH、R2がBoc基、R4がt-ブチル、R50がBoc基、R60がHという好適な置換基を有する化合物、(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-アミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを含むジオキサン−水の混合溶液に室温で1.1当量のジ-t-ブチル-ジカーボネートを加え約4時間攪拌の後、抽出操作することにより上記化合物を白色結晶で得る。
該化合物は新規物質である。その他、化合物(10)には、例えば、以下の表に掲げられる新規または公知の化合物が挙げられる。
【表2】
【0025】
[工程−8]
本工程は、化合物(10)の−COOR4で示される置換基を定法に従いカルバモイル基、N−置換カルバモイル基またはN、N−ジ置換カルバモイル基に変換する工程である。
好ましい態様としては、例えばトリメチルアルミ等の1〜3当量のトリアルキルアルミの存在下に1〜20当量のアミン類と反応させてアミド誘導体(11)に変換する工程が挙げられる。また、まず酸またはアルカリ加水分解により対応するカルボン酸とし、引き続いて例えば、メシルクロリドあるいはトシルクロリド等のスルホン酸ハライド、クロロギ酸エチルあるいはクロロギ酸イソプロピル等のクロロギ酸エステル、またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等のカルボジイミドあるいはカルボニルジイミダゾール(CDI)等の1〜3当量の活性化剤の存在下に1〜20当量のアミン類と縮合するという工程も挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(10)において、R1’がH、R2がBoc基、R7及びR8がH、R50がBoc、R60がHという好適な置換基を有する化合物(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-(カルバモイル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、化合物(9)のクロロホルム溶液に氷冷下で、4当量のトリエチルアミン及び3当量のクロロギ酸エチルを加え、約30分間から1時間攪拌する。この反応液に20当量の28%アンモニア水溶液 (400 ml)を加え氷冷下で約1時間攪拌した後、抽出操作することにより上記化合物を得る。
該化合物は新規物質である。その他、化合物(11)には、例えば、R1’、R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 がBoc基、R50がAlloc基あるいはPNZ基で示される化合物、または、R1’、R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 及びR50がそれぞれAlloc基で示される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0026】
[工程−9]
化合物(11)の保護されていても良い二級ヒドロキシ基を置換反応により置換メルカプト基に変換する工程である。
二級水酸基に保護基が存在する場合、即ち化合物(11)においてR1’がHでない場合は本工程に先立ち、工程−4で述べたのと同様に定法(Protective Groups in Organic Synthesis T.W.Green and P.G.M.Wuts 1991年 等)に従い除去しておく。
本工程としては、以下の2つの工程を挙げることができる。
【0027】
(a)本工程としては、まず該アミン誘導体のヒドロキシ基を脱離基に変換し、該化合物に置換メルカプタンまたはそれらの塩を作用させるという工程が挙げられる。脱離基としては、例えばメシルオキシ基、トシルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が好ましい。作用させる置換メルカプタンまたはそれらの塩としては、例えばアシルメルカプタン、置換ベンジルメルカプタンまたはそれらの塩が好ましく、中でもチオ酢酸カリウムまたはチオ安息香酸カリウムが好ましい。
好ましい態様としては、化合物(11)(R1’=H)に対して、メチレンクロリドまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中、例えばピリジンまたはトリエチルアミン等の1〜5当量の塩基の存在下、約−40℃から室温の間で例えばメシルクロリドまたはトシルクロリド等の1〜3当量のスルホン酸ハライドを作用させることにより、メシルオキシ基またはトシルオキシ基等の脱離基とする。次いで、例えばメチレンクロリド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中、約0℃から約100℃の間で、必要ならば例えば炭酸カリウム、水素化ナトリウムあるいは水酸化ナトリウム等の1〜5当量の無機塩基または例えばピリジンあるいはトリエチルアミン等の1〜5当量の有機塩基の存在下、チオ酢酸、チオ安息香酸またはp−メトキシベンジルメルカプタン等の1〜5当量の種々の置換メルカプタン(R9-SH)またはそれらの塩で置換する工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(12)において、R7、R8及びR60がH、R2 及びR50がBoc基、R9がアセチル基という好適な置換基を有する化合物 (2R,4S)-4-アセチオ-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンのテトラヒドロフラン溶液に氷冷下で、トリエチルアミン及びメタンスルホニルクロリドを順次加え同温度で約1時間攪拌した。反応液に酢酸エチル (300 ml)を加え有機層を分離し抽出操作する。得られた残査をN,N−ジメチルホルムアミド溶液に溶解し3当量のチオ酢酸カリウムを加え、反応液を約55 ℃で約10間攪拌する。反応液を抽出操作後得られた残査をクロロホルム−ヘキサンに溶かし室温で約1時間攪拌し, 析出物をクロロホルム-ヘキサンで洗浄し上記化合物の白色固体を得る。
【0028】
(b)化合物(11)(R1’=H)に対して、いわゆる光延反応 (Mitsunobu O. Synthesis 1981. 1) を行う工程も挙げることができる。
好ましい態様としては、例えばメチレンクロリドまたはテトラヒドロフラン等の有機溶媒中、トリフェニルホスフィンあるいはトリエチルホスフィン等の1〜3当量のトリアルキルホスフィン及び例えばアゾジカルボン酸ジエチルあるいはアゾジカルボン酸ジイソプロピル等の1〜3当量のアゾジカルボン酸ジアルキルエステルまたは1〜3当量のアゾジカルボン酸アミドを作用させるという工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(12)において、R7、R8及びR60がH、R2 及びR50がBoc基、R9がアセチル基という好適な置換基を有する化合物(2R,4S)-4-アセチルチオ-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンの合成工程である以下の工程を挙げることができる。
すなわち、(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンのテトラヒドロフラン溶液に窒素気流中氷冷下で、2当量のトリフェニルホスフィン、及び2当量のアゾジカルボン酸ジエチルを加え攪拌した後、反応液を抽出操作し結晶化、シリカゲルクロマトグラフィー等の方法により精製することにより上記化合物を得る。
【0029】
上記化合物は新規物質である。その他、化合物(10)には、例えば、(a)R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 がBoc基、R50がAlloc基またはPNZ基、R9がアセチル基で示される化合物、(b)R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 及びR50がそれぞれAlloc基、R9がアセチル基で示される化合物、また、(c)R7、R8及びR60がそれぞれH、R2 及びR50がそれぞれBoc基、R9がベンゾイル基で示される化合物が挙げられ、これらはすべて新規化合物である。
【0030】
[工程−10]
本工程は、化合物(12)の置換基R9を除去し、さらに所望によりアミノ基の保護基も除去する工程である。
置換基R9が例えばアセチル基またはベンゾイル基等のアシル基の場合、アルカリ条件下での加水分解あるいは加溶媒分解により置換基R9を除去することができる。好ましい態様としては、例えば水、メタノール、テトラヒドロフランあるいはメチレンクロリド等の溶媒中、またはそれらの混合溶媒中、約0℃から約40℃の間で例えば水酸化ナトリウム、炭酸カリウムまたはナトリウムメトキシド等の1〜10当量の塩基で処理する工程が挙げられる。
又、酸性条件下、置換基R9を除去することもできる。好ましい態様としては、例えばメタノール、テトラヒドロフランまたは酢酸エチル等の溶媒中、約0℃から約40℃の間で例えば塩化水素または臭化水素等の1〜20当量の酸で処理することによりチオールの保護基R9を除去することができる。
アミノ基の保護基(R2、R50)がBoc基の場合、酸性条件下で同時にこれらBoc基も除去されても良い。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(12)において、R7、R8、R20、R51及びR60がそれぞれHで示される化合物 (2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩の合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4S)-4-アセチルチオ-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンのメタノール-テトラヒドロフラン混合溶液に窒素気流中氷冷下で、1.1当量の5モル水酸化ナトリウム水溶液を加え、反応液を同温度で約20間攪拌する。反応液に1.1当量の5モル塩酸水溶液を加え酢酸エチル、水の混合溶液にあける。抽出操作後得られた残査を10%塩化水素-クロロホルム溶液に溶かし窒素気流中室温で約14時間攪拌し、析出する白色固体を窒素気流下クロロホルムで洗浄し上記化合物を得る。
上記化合物は新規物質である。その他、化合物(13)には、例えば、(a)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20及びR51がそれぞれAlloc基で示される化合物、(b)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20及びR51がBoc基で示される化合物、(c)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20がBoc基またはH、R51がPNZ基で示される化合物、また、(d)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20がPNZ基、R51がAlloc基またはHで示される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0031】
[化合物(14)]
化合物(14)はカルバペネム化合物であり、2位の置換基Wとしてジフェニルホスホリルオキシ基、トシルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の脱離基、好ましくはジフェニルホスホリルオキシ基を有し、カルボニル基の保護基R10として好ましくはp−ニトロベンジル基、アリル基、ジフェニルメチル基またはパラメトキシベンジル基を有する化合物である。
該化合物は、公知の方法またはそれに準ずる方法によって容易に製造できる。
【0032】
[工程−11]
本工程は、メルカプト化合物(13)とカルバペネム化合物(14)を縮合する工程である。
好ましい態様としては、カルバペネム化合物(14)を、定法(Chemistry and Biology of beta−Lactam Antibiotics、2巻、227頁、1982年 等)に従い、溶媒中、所望によりトリエチルアミンあるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミン等の1〜5当量の有機塩基または水酸化ナトリウムあるいは炭酸水素ナトリウム等の無機塩基の存在下、約−40℃から室温にて0.8〜1.5当量の化合物(13)と縮合させる工程が挙げられる。
なお、生成物は単離精製操作を行わず、次の工程で使用することができる。
溶媒としては、例えばメチレンクロリド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシドあるいは水等の溶媒、またはそれらの混合溶媒があげられ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN,N−メチルピロリジノンが挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(15)において、R7、R8、R20、R51及びR60がそれぞれH、R10がPNB基という好適な置換基を有する化合物p−ニトロベンジル(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-(カルバモイル)エチル]フェニル}ピロリジン-3-イルチオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル‐1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸の合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち、(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ]-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩のN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶液に窒素気流中、氷冷下で、0.9当量の p-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-ジフェノキシホスホリルオキシ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート及び3.3当量のトリエチルアミンを加え、反応液を同温度で約4時間攪拌する。反応液を濃縮後カラムクロマトグラフィー等で精製することにより上記化合物を得る。
上記化合物は新規物質である。その他、化合物(13)には、例えば、(a)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20及びR51がAlloc基、R10がAllyl基で示される化合物、(b)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20及びR51がBoc基、R10がPNB基で示される化合物、(c)R7、R8及びR60がそれぞれH、R20がPNZ基、R51がAlloc基、R10がPNB基で示される化合物、(d)R7、R8、R51及びR60がそれぞれH、R20がPNZ基で示される化合物、または(e)R7、R8、R20及びR60がそれぞれH、R51がPNZ基で示される化合物が挙げられ、これらはいずれも新規化合物である。
【0033】
[工程−12]
本工程は、1−β−メチルカルバペネム誘導体(15)の保護基を除去する工程である。例えば、カルボキシル基の保護基及びアミノ基に保護基を有している場合は、その保護を定法(Chemistry and Biology of beta-Lactam Antibiotics、2巻、227頁、1982年 等)に従い除去する工程が挙げられる。好ましい態様としては、保護基によって以下の3つの工程が挙げられる
【0034】
1)(a)R10がPNB基で、R20及びR50がHである場合、(b)R10がPNB基で、R20及びR50がPNZ基である場合、(c)R10がPNB基、R20がPNZ基、R50がHである場合、または(d)R10がPNB基、R20がH、R50がPNZ基である場合は,通常の接触加水素分解の条件下に除去する工程が挙げられる。
好ましい態様としては、溶媒中必要ならば反応溶液を生成するカルバペネム化合物(16)の至適pH(5〜8)付近に保つための添加物の存在下に化合物(16)の10〜50%重量のパラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金またはパラジウム黒等の触媒存在下に室温から40℃の間で水素ガスの常圧ないしは加圧下に室温から40℃の間で除去する工程が挙げられる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンあるいは水等の溶媒中またはこれらの混合溶媒が挙げられる。添加物としては、例えばトリエチルアミンあるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、水酸化ナトリウムあるいは炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、塩酸あるいはリン酸等の無機酸またはモルホリノプロパンスルホン酸(以下、MOPSと略す)、トルエンスルホン酸、酢酸あるいはギ酸等の有機酸などが挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(16)において、R7、R8、R51及びR60がそれぞれHで表される化合物 (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸の合成工程である以下の工程を挙げることができる。
即ち p-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート2塩酸塩のテトラヒドロフラン及びMOPSバッファーにパラジウム炭素触媒を加え、水素気流中反応液を室温で約4時間攪拌する。反応液は、パラジウム炭素触媒を濾別し濾液を濃縮後精製し上記化合物を得ることができる。
【0035】
2)例えばR10がアリル基、R20及びR5 1がAlloc基である場合は文献記載の方法(Guibeら J. Org. Chem. 1989, 52, 4984)に準じてこれら保護基を除去する工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(16)において、R7、R8、R51及びR60がそれぞれHで表される化合物(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸の合成工程である以下の工程が挙げられる。
即ちアリル(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-1-アリルオキシカルボニル-5-{4-[(1S)-1-アリルオキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート、0.1当量のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、10当量の水を含む塩化メチレン溶液に5当量のトリn−ブチルすずを加え氷冷下攪拌する。反応液を水で抽出しクロマトグラフィー等により精製し上記化合物を得る。
【0036】
3)例えばR10がジフェニルメチル基、R20及びR51がBoc基である場合は文献記載の方法(Isoら J. Antibiot. 1996, 49, 478)に準じてこれら保護基を除去する工程が挙げられる。
本工程のより好ましい態様としては、化合物(16)において、R7、R8、R51及びR60がそれぞれHで示される化合物(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-{4-[(1S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸の合成工程である以下の工程が挙げられる。
即ちジフェニルメチル (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-1-t-ブトキシカルボニル-5-{4-[(1S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル}ピロリジン-3-イル]チオ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラートの塩化メチレン及びアニソールの溶液に約−40℃で塩化アルミニウムを加え攪拌する。反応液を水で抽出しクロマトグラフィー等により精製し上記化合物を得る。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び参考例をもって本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲をこれら実施例に限定するものではないことはいうまでもない。
【0038】
〔実施例1〕
(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンから(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ブロモフェニル)ブタノールを製造する工程
【化128】
本実施例は工程1及び2の実施例である。
p-ジブロモベンゼン (3.48 g, 14.7 mmol)のテトラヒドロフラン(以下、THFと略す。)(20 ml)溶液に窒素気流中、-78 ℃で、n-ブチルリチウム (1.54 M ヘキサン溶液)を10.5 ml(16.2 mmol)加え、反応液をさらに30分間攪拌した。同温度にて、(4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドン 5.10 g(16.2 mmol)をTHF30 mlに溶解した溶液を反応液に10分かけて加えた。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をTHF70 mlに溶解し、反応液に-78 ℃で水素化リチウムトリエチルホウ素(1.0 MTHF溶液)18.3 mlを加えた。同温度で反応液を15分攪拌した後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和過ホウ素酸ナトリウム水溶液100 mlにあけ、反応液を室温にて2時間30分攪拌し、反応液を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル=4:1)で精製し、標記化合物の無色油状物を4.20 g(収率:54.8 %)得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 0.11 (6H,s), 0.93 (9H,s), 1.44 (9H,s), 1.86 (2H,m), 3.20 (2H,m), 4.08 (1H,m), 4.77 (1H,m), 4.90 (1H,m), 7.22 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.47 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0039】
〔実施例2〕
実施例1で得た化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)ピロリジンを製造する工程
【化129】
本実施例は工程3の実施例である。
(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ブロモフェニル)ブタノール3.35 g(7.08 mmol)をメチレンクロリド60 mlに溶解した溶液に、窒素気流中、-60 ℃で、トリエチルアミン 1.82 ml(25.5 mmol)及びメタンスルホニルクロリド 0.98 ml(12.7 mol)を順次加えた。反応液を水にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をTHF20 mlに溶かした後、テトラブチルアンモニウムフロリド(1 MTHF溶液)を室温で15.0 ml加え、同温度で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにあけ、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で4回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル = 1:1)で精製し、標記化合物の白色固体を1.66 g(収率:68.6%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.22 (6H, s), 1.55 (3H, s), 1.95 (1H, m), 2.58 (1H, m), 3.55 (1H, m), 3.85 (1H, m), 4.48 (1H, m), 4.79(1H, m), 7.05 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.42 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0040】
〔実施例3〕
実施例2で得た化合物から(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化130】
本実施例は工程4の実施例である。
(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)ピロリジン150 mg(0.44 mmol)をアセトニトリル溶液5 mlに溶解し、この溶液に酢酸パラジウム5.00 mg(0.022 mmol)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン27.0 mg(0.089 mmol)、トリエチルアミン0.18 ml,(0.13 mmol)及びアクリル酸tert-ブチルエステル160 mg(0.89 mmol)を加え、加熱還流下6時間攪拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル =1:1)で精製し、標記化合物の白色固体を155 mg(収率:90.6%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.20 (9H, s), 1.53 (9H, s), 1.94 (1H, m), 2.60 (1H, m), 3.54 (1H, dd, J = 10.6, 2.0 Hz), 3.85 (1H, m), 4.43 (1H, m), 4.85 (1H, m), 6.43 (1H, d, J = 16.0 Hz), 7.28 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.48 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.55 (1H, d, J = 16.0 Hz)。
【0041】
〔実施例4〕
(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンから(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-テトラヒドロピラノキシフェニル)ブタノールを製造する工程
【化131】
本実施例は工程1及び2の実施例である。
マグネシウム 675 mg(0.028 mol)をTHF10 mlに溶解し、この溶液に窒素気流中、室温で、ジブロモエタン0.1 ml及び2−(4−ブロモフェノキシ)テトラヒドロピラン 6.0 g(0.023 mol)をTHF10 mlに溶解した溶液を加え、同温度にて、反応液をさらに30分間攪拌した後、 (4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドン1.0 g(6.35 mmol)をTHF10 mlに溶解した溶液を加えた。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルにて抽出し、有機層を1規定水酸化ナトリウム水溶液及び水で順次洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をテトラヒドロフラン6 mlに溶解し、-78 ℃で水素化リチウムトリエチルホウ素(1.0 MTHF溶液) をを3.94 ml(3.94 mmol)加えた。同温度で反応液を15分攪拌した後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和過ホウ素酸ナトリウム水溶液10 mlにあけ、反応液を室温で2時間30分攪拌し、反応液を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル = 4:1)で精製し、標記化合物の無色油状物を1.20 g(収率:38.2 %)得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 0.11 (6H,s), 0.92 (9H,s), 1.44 (9H,s), 1.55-2.04 (8H,m), 3.20 (2H,m), 3.60(1H,m), 3.90(1H,m), 4.08 (1H,m), 4.81 (2H,m), 5.28-5.40 (1H,m), 7.03 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.30 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0042】
〔実施例5〕
実施例4で得た化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-フェノキシ)ピロリジンを製造する工程
【化132】
本実施例は工程3の実施例である。
実施例4で得た化合物、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-テトラヒドロピラノキシフェニル)ブタノール1.10 g(2.04 mmol)をメチレンクロリド50 mlに溶解した溶液に、窒素気流中、-60 ℃で、トリエチルアミン1.23 ml(8.16 mmol)及びメタンスルホニルクロリド 0.34 ml(4.08 mol)を順次加えた。反応液を水にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をメタノール6 mlに溶かした後、ピリジニウムp−トルエンスルホナート60 mgを加え、室温で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにあけ、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル = 1:1)で精製し、標記化合物の白色固体を539 mg(収率:61.7%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.05 (6H, s), 0.83 (9H, s), 1.20 (6H, s), 1.43 (3H, s), 1.85 (1H, m), 2.48 (1H, m), 3.43 (1H, m), 3.84 (1H, m), 4.38 (1H, m), 4.40-4.80 (1H, m), 6.70 (2H, br d, J = 7.0 Hz), 7.09 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0043】
〔実施例6〕
実施例5で得た化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-トリフルオロメタンスルホニルオキシフェニル)ピロリジンを製造する工程
【化133】
本実施例は工程4−2の前処理の実施例である。
実施例5で得た化合物、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)ピロリジン264 mg(0.68 mmol)を無水ジクロロメタン5 mlに溶解し、-70 ℃で、トリエチルアミン0.22ml(1.62ml)及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物0.14 ml(0.81 mmol) を加え、反応液を同温度で30分攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル = 4:1)で精製し、標記化合物 (326 mg, 収率:91.8%)の無色油状物を326 mg(収率:91.8%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.04 (6H, s), 0.76 (9H, s), 1.18 (6H, s), 1.43 (3H, s), 1.89 (1H, m), 2.49 (1H, m), 3.49 (1H, m), 3.80 (1H, m), 4.40 (1H, m), 4.76-5.01 (1H, m), 7.15 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.33 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0044】
〔実施例7〕
実施例6で得た化合物から(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-tert-ブチルジメチルシロキシピロリジンを製造する工程
【化134】
本実施例は工程4−2の実施例である。
(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-トリフルオロメタンスルホニルオキシフェニル)ピロリジン50.0 mg(0.095 mmol)をジメチルホルムアミド2 mlに溶解した溶液に、酢酸パラジウム8.8 mg(0.039 mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン43.0 mg(0.078 mmol)、炭酸セシウム95 mg(0.29 mmol)、アクリル酸tert-ブチルエステル50 mg(0.29 mmol)及び塩化リチウム8.1 mg(0.19 mmol)を加え、反応液を加熱還流下6時間攪拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル =4:1)で精製し、標記化合物の白色固体を33.1 mg(収率:69.1%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.08 (6H, s), 0.81 (9H, s), 1.24 (9H, s), 1.42 (9H, s), 1.94 (1H, m), 2.52 (1H, m), 3.51 (1H, dd, J = 10.6, 4.4 Hz), 3.85 (1H, m), 4.43 (1H, m), 4.88 (1H, m), 6.43 (1H, d, J = 16.0 Hz), 7.33 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.50 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.73 (1H, d, J = 16.0 Hz)。
【0045】
〔実施例8〕
(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンから(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールを製造する工程
【化135】
本実施例は、工程1及び2の実施例である。
マグネシウム 170 g(6.98 mol)をTHF 3000 mlに溶解した溶液に窒素気流中、室温で、4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール 806.6 g (3.49 mol)を1時間かけて加え、反応液をさらに30分間攪拌した後、氷冷下、 (4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドン 550 g(1.74 mol)をTHF4000 mlに溶解した溶液を1時間30分かけて加えた。反応液に窒素気流中、氷冷下、テトラヒドロホウ酸ナトリウム 99.1 g(2.61 mol)及びメタノール 3500 mlを順次加えた。反応液を酢酸エチル、飽和塩化ナトリウムの混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗った。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル 5:1 - 4:1) で精製し、上記化合物の無色油状物を458.6 g(収率:56.0%)得た。
IR (Nujol)νmax 1712, 1693 cm-1; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.11 (6H,s), 0.92 (9H,s), 1.42 (9H,s), 1.86 (2H,m), 3.20 (1H,m), 3.31 (6H,s), 4.08 (1H,m), 4.77 (1H,m), 4.90 (1H,m), 5.37 (1H,s), 7.33 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.41 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0046】
〔実施例9〕
(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドンから(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノールを製造する別工程
【化136】
本実施例は、工程1及び2の実施例である。
4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール 40.1 g(0.174 mol)をTHF 250mlに溶解した溶液に窒素気流中1.50Mブチルリチウム(1.50Mヘキサン溶液 )120ml(0.18 mol)を-78 ℃で20分間かけて加え、滴下終了後さらに反応液を60分間攪拌した。得られた懸濁液へ同温にて、(4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-ピロリドン 47 g(0.149 mol)をTHF250 ml溶液を40分間かけて加えた。滴下終了後、反応溶液を同温で1時間攪拌した。反応溶液を激しく攪拌した飽和塩化アンモニウム1L及び5N塩酸30 mlの混合溶液へすばやく加えた後、反応液を引き続き15分間攪拌を続けた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル500mlで抽出した後、集めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し黄色油状物質を80.3g得た。
上記の工程で得られた黄色油状物質 80.3gをTHF800mlに溶解した溶液に、窒素気流中、-78 ℃にて水素化リチウムトリエチルホウ素(1.0MTHF溶液)180mlを35分間かけて滴下した。滴下終了後、反応溶液をさらに−78 ℃で30分間攪拌した後、激しく攪拌した飽和塩化アンモニウム水溶液1Lにゆっくりと加えた。有機層を分離した後、水層をトルエン 500 mlで抽出し、集めた有機層へ水1L及び過ホウ素酸ナトリウム四水和物91gを加え、反応液を12時間激しく攪拌した。水層を分離した後、酢酸エチル500 mlで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300、20L、ヘキサン-酢酸エチル7:1)で精製し、標記化合物の無色油状物を52.7 g(収率:75.3%)得た。
IR (Nujol)νmax 1712, 1693 cm-1; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.11 (6H,s), 0.92 (9H,s), 1.42 (9H,s), 1.86 (2H,m), 3.20 (1H,m), 3.31 (6H,s), 4.08 (1H,m), 4.77 (1H,m), 4.90 (1H,m), 5.37 (1H,s), 7.33 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.41 (2H, d, J = 7.0 Hz)。
【0047】
〔実施例10〕
実施例8または9で製造された化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジンを製造する工程
【化137】
本実施例は、工程3の実施例である。
実施例8または9で得られた化合物、(3R)-4-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシロキシ-1-(4-ジメトキシメチルフェニル)ブタノール 52.7 g(0.112 mol)をクロロホルム500mlに溶解した溶液に、窒素気流中、0 ℃で、トリエチルアミン39.9 g(0.395 mol)及びメタンスルホニルクロリド 19.2 g(0.168 mol)を順次加え、温度を徐々に室温まで上げながら反応液を12時間攪拌した。反応液を水1Lで洗浄し、その後1.2N塩酸1Lで3回で洗浄後、有機層を無水炭酸カリウムで乾燥後、濃縮した。得られた残査をヘキサンに溶かし、析出物を減圧濾過し、標記化合物の白色固体を23.9 g(収率:52.6%)得た。
IR (KBr)νmax 1708, 1673, 1606 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.03 (6H, s), 0.72 (9H, s), 1.18 (6H, s), 1.43 (3H, s), 1.88 (1H, m), 2.48 (1H, m), 3.43 (1H, m), 3.80 (1H, m), 4.40 (1H, m), 4.79 (0.34H, m), 4.81 (0.66H, m), 7.40 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.78 (2H, d, J = 7.0 Hz), 9.96 (1H, s)。
【0048】
〔実施例11〕
(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-[4-(1-ヒドロキシ-2-(エトキシカルボニル)エチル)フェニル]ピロリジン
【化138】
本実施例は、工程4の実施例である。
リチウム-ビス-トリメチルシリルアミド 1.0モル-THF溶液(3.08 L, 3.08 mol)のTHF(3000 ml)溶液に、窒素気流中、-78 ℃で酢酸エチル(315.5 ml, 3.23 mol)を滴下し、反応液は同温度で1時間30分間攪拌した。反応液に同温度で (2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-フォルミルフェニル)ピロリジン (500 g, 1.23 mol)のTHF(2000 ml)溶液を1時間かけて滴下した。反応液に2N塩酸(4000 ml)を加えた後酢酸エチルにあけた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム及び飽和食塩水で順次洗った。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル 7:1〜3:1)で精製し、上記標記化合物 (555 g, 収率:91.1%)の黄色油状物を得た。
IR (Nujol)νmax 3457, 1704, 1091, 721 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.03 (6H, s) 78, 0. (9H, s), 1.18 (6H, s), 1.28 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.43 (3H, s), 1.88 (1H, m), 2.49 (1H, m), 2.92 (2H, m), 3.41(1H, m), 3.86 (1H, m), 4.19 (2H, q, J = 7.1 Hz), 4.37 (1H, m), 4.71 (0.7H, m), 4.87 (0.3H, m), 5.03 (0.3H, m), 5.18 (0.7H, m), 7.29 (4H, m)
【0049】
〔実施例12〕
実施例10で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシピロリジンを製造する工程
【化139】
本実施例は、工程4の実施例である。
t-ブチル ジエチルホスホノアセテート37.3 g(148 mmol)をテトラヒドロフラン 300 mlに溶解した溶液に窒素気流中、氷冷下で、60重量%水素化ナトリウム 5.92 g(148 mmol)を10分間かけて加え、反応液をさらに30分間攪拌した後、同温度で、(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-t-ブチルジメチルシロキシ-2-(4-ホルミルフェニル)ピロリジン 50 g(123 mmol)をテトラヒドロフラン 100 mlに溶解した溶液を10分間かけて加えた。反応液を酢酸エチル及び飽和塩化アンモニウムの混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を精製することなく次の工程に用いた。単離精製した標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。 IR (Nujol)νmax 1699, 1653 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.08 (6H, s), 0.81 (9H, s), 1.24 (9H, s), 1.42 (9H, s), 1.94 (1H, m), 2.52 (1H, m), 3.51 (1H, d, J = 10.6, 4.4 Hz), 3.85 (1H, m), 4.43 (1H, m), 4.88 (1H, m), 6.43 (1H, d, J = 15.9 Hz), 7.33 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.50 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.73 (1H, d, J = 15.9 Hz)。
【0050】
〔実施例13〕
実施例11で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化140】
本実施例は、工程5の前処理の実施例である。
窒素気流中、室温で、実施例11で得られた混合物 をテトラヒドロフラン 200 mlに溶解した溶液に、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド (1Mテトラヒドロフラン溶液)123 mlを加え、反応液を同温度で30分撹拌した。反応液を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層をリン酸緩衝液(pH 6.0)及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。析出物をヘキサンで洗浄し、標記化合物の白色結晶を44.3 g(収率:92.2%)得た。 IR (Nujol)νmax 3401, 1693, 1645, 1434, 1324, 987 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.23 (6H, br s), 1.44 (12H, s), 1.96 (1H, m), 2.61 (1H, m), 3.58 (1H, d, J = 10.3, 2.5 Hz), 3.87 (1H, m), 4.48 (1H, m), 4.89 (1H, m), 6.33 (1H, d, J = 16.3 Hz), 7.29 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.45 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.57 (1H, d, J = 16.3 Hz)。
【0051】
〔実施例14〕
実施例12で製造された化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-[4-[(S)-1-[(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチルフェニル]ピロリジンを製造する工程
【化141】
本実施例は工程5の実施例である。
(R)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミン 117.6 g(556 mmol)をテトラヒドロフラン 1000 mlに溶解した溶液に窒素気流中、氷冷下で、 n-ブチルリチウム(1.53Mヘキサン溶液)363 ml(556 mmol)を25分間かけて加え、反応液をさらに30分間攪拌した後、-77 ℃で 、実施例12で得られた化合物 43.2 g(111 mmol)をテトラヒドロフラン 450 mlに溶解した溶液を45分間かけて加えた。反応液を酢酸エチル及び飽和塩化ナトリウムの混合溶液にあけ、有機層を1M塩酸水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。標記化合物を含むオイル状混合物 72.6 gを得、残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。
IR (Nujol)νmax 3398, 1693, 1652, 1417, 1257, 723 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.12 (6H, br s), 1.22 (15H, s), 1.94 (1H, m), 2.53 (3H, m), 3.54 (1H, d, J = 12.0 , 3.8 Hz), 3.65 (2H, s), 3.88 (1H, m), 3.94 (1H, q, J = 6.9 Hz), 4.37 (1H, dd, J = 9.2, 5.5 Hz), 4.42 (1H, m), 4.79 (1H, br s), 7.22 (14H, m)。
【0052】
〔実施例15〕
実施例13で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-アミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン 酢酸塩を製造する工程
【化142】
本実施例は、工程6の実施例である。
実施例13で得られた混合物 63.1 gをメタノール 600 mlに溶解した溶液に室温で、 酢酸 5.73 ml(100 mmol)及び20重量%水酸化パラジウム炭素触媒 9 gを加え、室温下、反応液を水素気流中3.5気圧で20時間激しく攪拌した後、触媒を濾別した。濾液を減圧下留去し得られた析出物をヘキサンで洗浄し標記化合物の白色結晶を46.8 g(収率:99.9%)得た。
IR (Nujol)νmax 3392, 1720, 1627, 1556, 1178, 659 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.14 (6H, br s), 1.39 (12H, s), 1.82 (1H, m), 1.91 (3H, s), 2.59 (1H, m), 2.78 (1H, dd, J = 15.7, 7.4 Hz), 2.86 (1H, dd, J = 15.7, 7.2 Hz), 3.42 (1H, m), 3.83 (1H, dd, J = 12.5, 6.5 Hz), 4.38 (1H, m), 4.49 (1H, m), 7.36 (4H, br s)。
【0053】
〔実施例16〕
実施例14で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化143】
本実施例は、工程7の実施例である。
実施例14で得られた化合物 46.8 g(100 mmol)を1,4-ジオキサン-水 (5:2)の混合溶液 500 mlに溶解した溶液を、室温で、5M水酸化ナトリウム水溶液を用いpH 10を保持しながら、ジ-t-ブチル-ジカーボネート24.0 g(110 mmol)を加えた。反応液を酢酸エチルにあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を酢酸エチル300 ml、ヘキサン300 mlに溶かし室温で4時間攪拌した。析出物は酢酸エチル-ヘキサンで洗浄し標記化合物の白色結晶を41.6 g(収率:82.0%)得た。
IR (Nujol)νmax 3428, 3369, 1716, 1677, 1670 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.18 (6H, br s), 1.34 (9H, s), 1.41 (12H, s), 1.95 (1H, m), 2.57 (1H, m), 2.72 (2H, m), 3.54 (1H, dd, J = 11.9, 4.0 Hz), 3.86 (1H, br s), 4.43 (1H, m), 4.82 (1H, br s), 5.03 (1H, br s), 5.43 (1H, br s), 7.22 (4H, s)。
【0054】
〔実施例17〕
実施例15で製造された化合物から(2R,4R)-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシ-2-[4-[(R)-1-[(S)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチルフェニル]ピロリジンを製造する工程
【化144】
本実施例は、工程5の実施例である。
(S)-N-(α-メチルベンジル)-N-ベンジルアミン 315 mg(1.49 mmol)をテトラヒドロフラン 5 mlに溶解した溶液に窒素気流中、氷冷下で、 n-ブチルリチウム(1.58Mヘキサン溶液)945 μl(1.49 mmol)を10分間かけて加え、反応液をさらに30分間攪拌した後、-77 ℃で、実施例15で得た(2R,4R)-2-[4-[(E)-2-(t-ブトキシカルボニル)ビニル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン 116 mg(0.298 mmol)をテトラヒドロフラン 2 mlに溶解した溶液を同温度で10分間かけて加えた。反応液を酢酸エチル及び飽和塩化ナトリウムの混合溶液にあけ、有機層を1M塩酸水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し上記標記化合物を含むオイル状混合物 190 mgを得た。得られた残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。 IR (Nujol)νmax 3348, 1687, 1648, 1417, 728 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.12 (6H, br s), 1.23 (15H, s), 1.92 (1H, m), 2.53 (3H, m), 3.52 (1H, d, J = 11.8 , 3.6 Hz), 3.66 (2H, s), 3.88 (1H, m), 3.94 (1H, q, J = 6.7 Hz), 4.37 (1H, m), 4.42 (1H, m), 4.81 (1H, br s), 7.26 (14H, m)。
【0055】
〔実施例18〕
実施例16で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(R)-1-アミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン 酢酸塩を製造する工程
【化145】
本実施例は、工程6の実施例である。
実施例16で得られた混合物 190 mgをメタノール 10 mlに溶解した溶液に室温で、酢酸 17 μl(0.298 mmol)及び20重量%水酸化パラジウム炭素触媒10 mgを加え、室温下、水素気流中3.5気圧で反応液を16時間激しく攪拌した後、触媒を濾別し、濾液を減圧下留去し得られた析出物をヘキサンで洗浄し標記化合物の白色結晶を125 mg(収率:99%)得た。
IR (Nujol)νmax 1711, 1622, 1548, 1173, 665 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.13 (6H, br s), 1.39 (12H, s), 1.84 (1H, m), 1.91 (3H, s), 2.60 (1H, m), 2.78 (1H, dd, J = 15.9, 7.5 Hz), 2.86 (1H, dd, J = 15.9, 7.5 Hz), 3.42 (1H, m), 3.86 (1H, dd, J = 12.3, 6.5 Hz), 4.39 (1H, m), 4.51 (1H, m), 7.37 (4H, br s)。
【0056】
〔実施例19〕
実施例17で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(R)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-(t-ブトキシカルボニル)エチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化146】
本実施例は、工程7の実施例である。
実施例17で得られた化合物 125 mg(0.268 mmol)を1,4-ジオキサン-水 (5:2)の混合溶液5 mlに溶解した溶液に、室温で、1M水酸化ナトリウム水溶液を用いpH 10を保持しながら、ジ-t-ブチル-ジカーボネート71 mg,(0.33 mmol)を加えた。反応液を酢酸エチルにあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 ヘキサン-酢酸エチル 1:2)で精製し、標記化合物の無色油状物を117 mg(収率:86.3%)得た。
IR (Nujol)νmax 3418, 3359, 1723, 1679, 1670 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.15 (6H, br s), 1.34 (9H, s), 1.43 (12H, s), 1.96 (1H, m), 2.55 (1H, m), 2.72 (2H, m), 3.53 (1H, dd, J = 11.8, 3.9 Hz), 3.86 (1H, br s), 4.44 (1H, m), 4.83(1H, br s), 5.01 (1H, br s), 5.42(1H, br s), 7.22 (4H, s)。
【0057】
〔実施例20〕
実施例15で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルボキシエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化147】
実施例15で得られた化合物 34.2 g(67.6 mmol)を、エタノール 210 ml及び水 80 mlの混合溶液に溶解した溶液に、氷冷下で、5M水酸化ナトリウム水溶液 68 ml(338 mmol)を加え、反応液を100 ℃で1時間攪拌した。反応液に氷冷下、5M塩酸水溶液 68 mlを加えた後減圧下溶媒を留去した。残査を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。標記化合物を含むオイル状混合物 31.1 gを得た。得られた残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した上記標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。
IR (Nujol)νmax 1727, 1695, 1687, 1662 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.13 (6H, br s), 1.42 (12H, br s), 1.96 (1H, m), 2.53 (1H, m), 2.84 (2H, m), 3.54 (1H,m), 3.80 (1H, m), 4.40 (1H, m), 4.74 (1H, br s), 5.03 (1H, m), 5.53 (1H, br s), 7.22 (4H, s)。
【0058】
〔実施例21〕
実施例19で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-メシロキシピロリジンを製造する工程
【化148】
実施例19で得られた混合物 31.1 gをテトラヒドロフラン 600 mlに溶解した溶液に-20 ℃で、トリエチルアミン 47 ml(338 mmol)及びメタンスルホニルクロリド 15.7 ml(203 mmol)を順次加え、反応液を同温度で20分間攪拌した。反応液に28容量%アンモニア水溶液 60 mlを加え、減圧下溶媒を留去した。残査を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を3M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。標記化合物を含むオイル状混合物 31.1 gを得た。得られた残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。
IR (Nujol)νmax 3218, 1708, 1699, 1687, 1652, 912 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.12 (6H, br s), 1.38 (12H, s), 2.34 (1H, m), 2.67 (3H, m), 2.69 (3H, br s), 3.83 (1H,m), 3.92 (1H, br s), 4.96 (1H, m), 5.23 (1H, br s), 5.29 (1H, br s), 5.98 (1H, br s), 7.19 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.24 (2H, d, J = 8.4 Hz)。
【0059】
〔実施例22〕
実施例20で製造された化合物から(2R,4S)-4-アセチルチオ-2-[4-[(S)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンを製造する工程
【化149】
実施例20で得られた混合物 31.1 gをN, N-ジメチルホルムアミド 600 mlに溶解した溶液に窒素気流中室温で、チオ酢酸カリウム 20.2 g(177 mmol) を加え、反応液を55 ℃で10時間攪拌した。反応液を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をクロロホルム 60 ml及びヘキサン 120 mlの混合溶液に溶かし室温で1時間攪拌した。析出物をクロロホルム-ヘキサンで洗浄し上記標記化合物の白色固体を21.5 g(収率:62.7%)得た。
IR (Nujol)νmax 3222, 1702, 1699, 1687, 1650 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.18 (6H, br s), 1.43 (12H, s), 2.22 (1H, m), 2.33 (3H, s), 2.36 (1H, m), 2.74 (2H, br s), 3.51 (1H,m), 4.01 (2H, m), 4.99 (1H, m), 5.28 (1H, br s), 5.69 (1H, br s), 5.87 (1H, br s), 7.14 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.26 (2H, d, J = 8.2 Hz)。
【0060】
〔実施例23〕
実施例18で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(R)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルボキシエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジンを製造する工程
【化150】
実施例18で得られた化合物 1.0 g( 1.97 mmol)をエタノール 10 ml及び水 3 mlの混合溶液に溶解した溶液を、氷冷下で、5M水酸化ナトリウム水溶液 790μlを加え、反応液を100 ℃で1時間攪拌した。反応液に氷冷下、5M塩酸水溶液 790μl を加えた後減圧下溶媒を留去した。残査を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。標記化合物を含むオイル状混合物 1.1 gを得た。得られた残査は精製することなく次の工程に用いた。単離精製した上記標記化合物のスペクトルデータを以下に示す。
IR (Nujol)νmax 1734, 1691, 1683, 1662 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.15 (6H, br s), 1.42 (12H, br s), 1.94 (1H, m), 2.55 (1H, m), 2.83 (2H, m), 3.54 (1H,m), 3.79 (1H, m), 4.40 (1H, m), 4.78 (1H, m), 5.01 (1H, m), 5.52 (1H, m), 7.21 (4H, s)。
【0061】
〔実施例24〕
実施例22で製造された化合物から(2R,4R)-2-[4-[(R)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニル-4-メシロキシピロリジンを製造する工程
【化151】
実施例22で得られた混合物 9.15 gをテトラヒドロフラン 200 mlに溶解した溶液に-20 ℃で、トリエチルアミン 11.3 ml(81.3 mmol)及びメタンスルホニルクロリド 4.72 ml(60.9 mmol)を順次加え、反応液を同温度で1時間攪拌した後反応液に28容量%アンモニア水溶液 16 mlを加え、減圧下溶媒を留去した。残査を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を3M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 酢酸エチル-アセトン 10:1)で精製し、上記標記化合物の白色固体を5.07 g(収率:47.3%)得た。
IR (Nujol)νmax 3233, 1714, 1698, 1683, 1649, 909 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.12 (6H, br s), 1.39 (12H, s), 2.32 (1H, m), 2.69 (3H, m), 2.69 (3H, br s), 3.84 (1H,m), 3.92 (1H, m), 4.93 (1H, m), 5.23 (1H, m), 5.29 (1H, m), 5.98 (1H, m), 7.18 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.22 (2H, d, J = 8.2 Hz)。
【0062】
〔実施例25〕
実施例23で製造された化合物から(2R,4S)-4-アセチルチオ-2-[4-[(R)-1-t-ブトキシカルボニルアミノ]-2-t-カルバモイルエチル]フェニル]-1-t-ブトキシカルボニルピロリジンを製造する工程
【化152】
実施例23で得られた化合物 4.03g(7.64 mmol)をN, N-ジメチルホルムアミド 120 mlに溶解した溶液に窒素気流中室温で、チオ酢酸カリウム 2.6 g(22.9 mmol) を加え、反応液を55 ℃で16時間攪拌した。反応液を酢酸エチル及び水の混合溶液にあけ、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗った。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (WakogelTM C-300 酢酸エチル-アセトン 10:1)で精製し、標記化合物の白色固体を2.69 g(収率:69.2%)得た。
IR (Nujol)νmax 3231, 1709, 1694, 1683, 1652 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.16 (6H, br s), 1.44 (12H, s), 2.21 (1H, m), 2.32(3H, s), 2.36 (1H, m), 2.73 (2H, br s), 3.53 (1H,m), 4.01 (2H, m), 4.98 (1H, m), 5.28 (1H, m), 5.70 (1H, m), 5.84 (1H, m), 7.16 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.27 (2H, d, J = 8.2 Hz)。
【0063】
〔実施例26〕
実施例21で製造された化合物から(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩を製造する工程である。
【化153】
本実施例は、工程10の実施例である。
実施例22で得られた化合物 5.8 g(11.4 mmol)をメタノール 60 ml及びテトラヒドロフラン 10 mlの混合溶液に溶解した溶液に、窒素気流中氷冷下で、5M水酸化ナトリウム水溶液 2.5 ml(12.5 mmol)を加え、反応液を同温度で20時間攪拌した。反応液に5M塩酸水溶液 2.5 ml(12.5 mmol)を加え酢酸エチル及び水の混合溶液にあけた。有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を10容量%塩化水素-クロロホルム溶液 60 mlに溶かし窒素気流中室温で14時間攪拌した。得られた析出物を窒素気流中クロロホルムで洗浄し標記化合物の白色固体を3.72 g(収率:96.2%)得た。
IR (Nujol)νmax 1668, 1610, 1305, 1255, 759, 572 cm-1; 1H NMR (300 MHz, D2O) δ 2.46 (1H, ddd, J = 14.1, 7.4, 3.4 Hz), 2.75 (1H, ddd, J = 14.1, 10.6, 7.0 Hz), 2.98 (1H, dd, J = 15.4, 7.6 Hz), 3.05 (1H, dd, J = 15.4, 7.4 Hz), 3.38 (1H, dd, J = 12.6, 3.9 Hz), 3.90 (1H, dd, J = 12.6, 6.6 Hz), 3.98 (1H, m), 5.13 (1H, dd, J = 10.6, 7.4 Hz), 7.53 (4H, s)。
【0064】
〔実施例27〕
実施例24で製造された化合物(2R,4S)-2-[4-[(R)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩を製造する工程
【化154】
本実施例は、工程10の実施例である。
実施例24で得られた化合物 200 mg(0.394 mmol)をメタノール5 ml及びテトラヒドロフラン 2 mlの混合溶液に溶解した溶液を、窒素気流中氷冷下で、5M水酸化ナトリウム水溶液 86 μl(0.431 mmol) を加え、反応液を同温度で20分間攪拌した。反応液に5M塩酸水溶液 86 μl(0.431 mmol)を加え酢酸エチル及び水の混合溶液にあけた。有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を10%塩化水素-クロロホルム溶液 5 mlに溶かし窒素気流中室温で16時間攪拌した。得られた析出物を窒素気流中クロロホルムで洗浄し標記化合物 (128 mg, 収率:96.2%)の白色固体を得た。
IR (Nujol)νmax 1667, 1620, 1302, 1254, 766, 576 cm-1; 1H NMR (300 MHz, D2O) δ 2.47 (1H, ddd, J = 14.2, 7.4, 3.6 Hz), 2.74 (1H, ddd, J = 14.2, 10.8, 7.0 Hz), 2.97 (1H, dd, J = 15.5, 7.6 Hz), 3.03 (1H, dd, J = 15.5, 7.4 Hz), 3.38 (1H, dd, J = 12.6, 4.0 Hz), 3.92 (1H, dd, J = 12.6, 6.7 Hz), 3.99 (1H, m), 5.12 (1H, dd, J = 10.8, 7.4 Hz), 7.51 (4H, s)。
【0065】
〔実施例28〕
実施例26で製造された化合物からp-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-[4-[(S)-1-アミノ-2-(カルバモイル)エチル]フェニル]ピロリジン-3-イルチオ]-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 二塩酸塩を製造する工程
【化155】
本実施例は、工程11の実施例である。
(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩 1.5 g(4.43 mmol)をN, N-ジメチルホルムアミド 31 mlに溶解した溶液に、窒素気流中氷冷下で、p-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-ジフェノキシホスホリルオキシ-6-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 2.37 g(3.99 mmol)及びトリエチルアミン 2.04 ml(14.6 mmol) を順次加え、反応液を同温度で5時間攪拌し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー (50 ml, 30 〜 40%アセトニトリルで溶出)で精製し、目的画分を集め、減圧下溶媒を留去し、1N塩酸水溶液を加えpH 5.8として、凍結乾燥して、標記化合物を1.64 g(収率:60.2%)得た。
IR (Nujol)νmax 3340, 1766, 1763, 1606, 1519, 721 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.28 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.31 (3H, d, J = 6.2), 2.38 (1H, m), 2.49 (1H, m), 2.94 (2H, m), 3.17 (1H, m), 3.58 (1H, m), 3.83 (1H, m), 4.18 (2H, m), 4.32 (1H, m), 4.08 (1H, m), 4.72 (1H, m), 5.29 (1H, d, J = 13.9 Hz), 5.47 (1H, d, J = 13.9 Hz), 7.78 (2H, d, J = 8.7 Hz), 8.30 (2H, d, J = 8.7 Hz)。
【0066】
〔実施例29〕
実施例25で製造された化合物からp-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-[4-[(S)-1-アミノ-2-(カルバモイル)エチル]フェニル]ピロリジン-3-イルチオ]-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 二塩酸塩を製造する工程
【化156】
本実施例は、工程11の実施例である。
実施例25で得た化合物、(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩 500 mg(1.47 mmol)をN, N-ジメチルホルムアミド 10 mlに溶解した溶液に窒素気流中氷冷下で、p-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-ジフェノキシホスホリルオキシ-6-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 790 mg(1.33 mmol)及びトリエチルアミン680 μl(4.86 mmol) を順次加え、反応液を同温度で5時間攪拌し、溶媒を減圧下留去した。得られた残査を逆相カラムクロマトグラフィー (50 ml, 30 〜 40%アセトニトリルで溶出)で精製し、目的画分を集め、減圧下溶媒を留去し、1N塩酸水溶液を加えpH 5.8として、凍結乾燥して、標記化合物 468 mg(収率:51.6%)を得た。
IR (Nujol)νmax 3333, 1764, 1763, 1609, 1509, 727 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.25 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.29 (3H, d, J = 6.3), 2.37 (1H, m), 2.48 (1H, m), 2.94 (2H, m), 3.14 (1H, m), 3.54(1H, m), 3.83 (1H, m), 4.19 (2H, m), 4.33 (1H, m), 4.08 (1H, m), 4.72 (1H, m), 5.26 (1H, d, J = 13.7 Hz), 5.45 (1H, d, J = 13.7 Hz), 7.82 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.29 (2H, d, J = 8.5 Hz)。
【0067】
〔実施例30〕
実施例25で製造された化合物から(1R,5S,6S)-2-[(3S,5R)-5-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]ピロリジン-3-イルチオ]-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボン酸 一塩酸塩を製造する工程.
【化157】
(2R,4S)-2-[4-[(S)-1-アミノ-2-カルバモイルエチル]フェニル]-4-メルカプトピロリジン 二塩酸塩30 g(88.75 mmol)及びp-ニトロベンジル (1R,5S,6S)-2-ジフェノキシホスホリルオキシ-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-1-メチル-1-カルバペン-2-エム-3-カルボキシラート 44.85 g(75.44 mmol, 0.85 eq)を無水N-メチル-2-ピロリジノン 500 mlに溶解した溶液に窒素気流中、2 から 4 ℃で、トリエチルアミン 40.8 ml(293 mmol)を10分間かけて加え、反応液を5 ℃で14時間攪拌した。
反応液にテトラヒドロフラン 1120 ml、水 1120 ml及び3-モルホリノプロパンスルホン酸 37.14 g(177.4 mmol) を加えた。反応液に10重量%パラジウム炭素7.5 gを加え、水素気流下、室温、1気圧で反応液を3時間激しく攪拌した後、反応液から触媒を濾別した。濾液から減圧下、テトラヒドロフランを留去した。溶液は5M水酸化ナトリウム水溶液でpH 7.3とした後、クロロホルム (4000 ml)で3回洗浄し、水層の不溶物を濾別した。
濾液は、中圧逆相カラムクロマトグラフィー (YMC-GEL, ODS-AQ 120S-50, 1000 ml; 10%アセトニトリル水溶液で溶出)で精製し、目的画分を集め、減圧下溶媒を留去し、1N塩酸水溶液を加えpH 6.5とした。
得られた水溶液をイオン交換樹脂 (Mitsubishi Chemical, DIAION, SA-10A, 1500 cc; 水で溶出)に付して塩交換を行い目的画分を集め、減圧下濃縮し、室温で無水アセトンに投入した。析出物を窒素気流中濾取し アセトンで洗浄した。得られた固体は減圧下、室温で40時間乾燥し標記化合物 21.3 g(収率;55.2%)を得た。
IR (KBr)νmax 1751, 1672, 1585, 1388, 1259, 1147, 773, 665 cm‐ 1; 1H NMR (500 MHz, D2O) δ 1.04 (3H, d, J = 7.0 Hz), 1.08 (3H, d, J = 6.4 Hz), 2.36 (1H, dd, J = 14.0, 7.0 Hz), 2.61 (1H, m), 2.81 (1H, dd, J = 15.6, 7.3 Hz), 2.88 (1H, dd, J = 15.6, 7.3), 3.18 (1H, dq, J = 8.8, 7.0 Hz), 3.28 (1H, dd, J = 5.8, 2.8 Hz), 3.31 (1H, br d, J = 12.8 Hz), 3.72 (1H, dd, J = 12.8, 5.8 Hz), 4.05 (3H, m), 4.59 (1H, t, J = 7.3 Hz), 4.92 (1H, dd, J = 11.0, 7.0 Hz), 7.36 (4H, m).
【0068】
【発明の効果】
式(16)で表される医薬品として有用なカルバペネム系抗生物質が工業的有利に製造される。
Claims (46)
- 式(1):
で表される(4R)−ヒドロキシ−2−ピロリドン誘導体と式(2):
で表されるアリール金属試薬とを作用させて、式(3):
で表されるカルボニル化合物を製造し、続いてカルボニル化合物を還元反応に付して、式(4):
で表されるアルコール化合物を製造した後、(a)このアルコール化合物の二級水酸基を脱離基へ変換し、次いで分子内環化反応に付するか、または(b)光延反応に付するかして、式(5):
で表されるピロリジン誘導体を製造し、所望により水酸基の保護基を除去した後に、置換基R3を増炭反応によりアクリル酸エステル構造に変換し、式(6):
で表される不飽和エステル誘導体を製造し、該不飽和エステル誘導体を、式(7):
で表されるアミド化合物を製造し、これを所望によりヒドロキシ基の保護基を除去した後に、(a)該アミド化合物のヒドロキシ基を脱離基に変換し、さらに置換メルカプタンまたはそれらの塩を作用させるか、または(b)光延反応に付するかにより、式(12):
で表される1−β−メチルカルバペネム化合物とを縮合させて、式(15):
で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩を製造し、次いで該1−β−メチルカルバペネム誘導体のカルボキシル基の保護基及び所望によりアミノ基の保護基を除去する事を特徴とする、式(16):
- R3がテトラヒドロピラニルオキシ基、ベンジルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、Br、Cl、I、ビニル基、またはジメトキシメチル基である請求項5に記載のカルボニル化合物。
- 請求項18に記載の式(6)で表される不飽和エステル誘導体において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がエチル基である不飽和エステル誘導体。
- 請求項21に記載の式(8)で表されるアミン化合物において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がエチル基、R5がベンジル基、R6が(R)−α−メチルベンジル基であるアミン化合物またはその塩。
- 請求項24に記載の式(9)で表されるアミノ化合物において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がエチル基であるアミノ化合物またはその塩。
- 請求項27に記載の式(10)で表されるアミノカルボン酸誘導体において、R1’がH、R2がt−ブトキシカルボニル基、R4がt−ブチル基、R50 がアリルオキシカルボニル基またはp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHであるアミノカルボン酸誘導体またはその塩。
- 請求項27に記載の式(10)で表されるアミノカルボン酸誘導体において、R1’がH、R2がアリルオキシカルボニル基、R4がエチル基、R50 がアリルオキシカルボニル基、R60がHであるアミノカルボン酸誘導体。
- 請求項31に記載の式(11c)で表される化合物において、R2及びR50 がアリルオキシカルボニル基、R60がHであるアミド化合物またはその塩。
- 請求項35に記載の式(12c)で表される化合物において、R2及びR50 がアリルオキシカルボニル基、R60がH、R9がアセチル基である化合物またはその塩。
- 請求項35に記載の式(12c)で表される化合物において、R2及びR50 がt−ブトキシカルボニル基、R60がH、R9がベンゾイル基である化合物またはその塩。
- 請求項39に記載の式(13c)で表されるメルカプト化合物において、R20がHまたはt−ブトキシカルボニル基、R51がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHであるメルカプト化合物またはその塩。
- 請求項39に記載の式(13c)で表されるメルカプト化合物において、R20がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R51がHまたはアリルオキシカルボニル基、R60がHであるメルカプト化合物またはその塩。
- 請求項43に記載の式(15c)で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がp−ニトロベンジル基、R20及びR51 がともにt−ブトキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩。
- 請求項43に記載の式(15c)で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がp−ニトロベンジル基、R20がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R51 がHまたはアリルオキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩。
- 請求項43に記載の式(15c)で表される1−β−メチルカルバペネム誘導体において、R10がp−ニトロベンジル基、R20がH、R51 がp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、R60がHである1−β−メチルカルバペネム誘導体またはその塩。
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