JP2005225933A - ポリ(トリス−1,3,5(4−フェニル−1−チオ)ベンゼン)及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大量工業生産に適した高モル質量の樹状ポリ(フェニレンスルフィド)のワンポット製造方法を提供し、室温で有機溶媒に可溶な樹状高分子であるポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)を製造すること。
【解決手段】下記式(1)のトリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼンをリチウムスルフィドの存在下に重縮合させて、下記式(2)の繰り返し単位で表されるポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)を製造することを特徴とする樹状高分子の製造方法。
Figure 2005225933

【選択図】なし

Description

本発明は、樹状高分子であるポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)及びその製造方法に関する。
本発明の樹状高分子は各種の高分子材料として有用である。
周知のエンジニアリングポリマーであるポリ(チオ-1,4フェニレン)(PPS)は、高温高圧のN-メチルピロリドンなどの極性溶媒中で1,4-ジクロロベンゼンとナトリウムスルフィドを反応させることによって工業的に製造されている(非特許文献1)。最初に成功したPPSの正確な合成は4-ハロチオフェノールの金属塩の自己縮合であった(非特許文献2)。その後、さまざまな方法によるPPSの合成が報告されている(非特許文献3)。
しかしながら、工業的に合成されるPPSはモル質量的にはオリゴマーに限定されている。なぜならポリマー鎖は反応混合液中に沈殿するからである(非特許文献4)。PPSは、室温、常圧で殆どの有機溶媒に不溶であるため、多くの用途において使用が限定される。PPSの唯一の既知の溶媒は200℃の1-クロロナフタレンである(非特許文献3及び5)。
一方、樹状高分子やデンドリマー等の高度に分岐した分子は、ユニークな物理・化学的特性を持っているためにさまざまな研究グループの注目を集めている(非特許文献6及び7)。
発散的方法および収束的方法のいずれもが明確なナノ構造をもたらし、これを理想的なモデル系として用いることにより物性と分子サイズの間の関係を研究することができる(非特許文献8及び9)。樹状高分子は高分子レオロジー制御剤および球状多機能マクロモノマーとして有用である。そして、樹状高分子はリニアな類似分子と比較して有機溶媒への溶解性が増すという特徴がある(非特許文献10及び11)。
求核合成法(非特許文献12)、p-フェニレンスルフィド星状分子(molecular asterisks:非特許文献13及び14)を使った樹状PPSの合成が試みられている。しかし、この方法は高価な試薬を使い、多段階プロセスでしかも収率が低いため、技術経済的な代替プロセスを開発する必要がある。
J. T. Edmonds jr., H. W. Hill jr. Phillips Petroleum Co., US 3354129 (1967),; chem. abstr. 1968, 68, 13598. R. W. Lenz, C. E. Handlovits, J. Polym. Sci. 1960, 43, 167. L. C. Lopez, G. L. Wilkes, J. Macromol. Sci., Rev. Macromol. Chem. Phys. 1989, C29, 83. C. R. Rajan, S. Ponrathnam, V. M. Nadkarni, J. Appl. Polym. Sci., 1986, 32, 4479. D. Daoust, P. Godard, J. Devaux, R. Legras, C. Strazielle, Polymer 1994, 35, 5491. L. Yu, M. Chen, L. R. Dalton, Chem. Mater. 1990, 2, 649. O. W. Webster, Science 1991, 251, 887. [7a] D. A. Tomalia, A. M. Nylor, W. A. Goddard, Angew, Chem., Int. Ed. Engl. 1990, 29, 138. [7b] C. J. Hawker, J. M. J. Frechet, J. Am. Chem. Soc. 1990, 112, 7638. Y. H. Kim, O. W. Webste,r J. Am. Chem. Soc. 1990, 112, 4592. Y. H. Kim, O. W. Webster, Macromolecules 1992, 25, 5561. M. Jikei, Z. Hu, M. Kakimoto, Y. Imai, Macromolecules 1996, 29, 1062. M. Gingras, A. Pinchart, C. Dallaire, Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 3149. A. V. Bierbeek, M. Gingras, Tetrahedron Letters 1998, 39, 6283.
本発明は、大量の工業生産に適した高モル質量の樹状ポリ(フェニレンスルフィド)のワンポット製造方法を提供するものである。そして、室温で殆どの有機溶媒に可溶な樹状高分子のポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記式(1)のトリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼンをリチウムスルフィドの存在下に重縮合させて、下記式(2)の繰り返し単位で表されるポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)を製造することを特徴とする樹状高分子の製造方法を提供するものである。
Figure 2005225933
また、本発明は、下記式(2)の繰り返し単位からなり、数平均分子量30000〜120000のポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)からなる樹状高分子を提供するものである。










Figure 2005225933
本発明は、ワンポットで、樹状高分子であるポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)を大量生産できるので、工業的製造プロセスとして極めて利用価値が高い。
本発明の製造方法による樹状高分子のポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)は架橋していないので、室温にて各種の有機溶媒に可溶という利点がある。さらに、結晶性が低く、リニアな高分子と比較しても有機溶媒に溶解しやすく、成形加工もし易い。さらには各種機能を有する官能基で修飾することが出来る。したがって、様々な工業的応用が可能であり、高分子材料として極めて有用である。
さらに、本発明により得られるポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)は、高分子レオロジー制御剤および球状多機能マクロモノマーとしても有用である。
以下、本発明について詳述する。
本発明の製造方法を図1の反応スキーム1と図2の反応スキーム2に基づき説明する。
<スキーム1>
モノマー(1)のトリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼンは、1,3,5-トリブロモベンゼンからスキーム1に示す求核置換により製造される。
この反応は、トリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼンに対して三倍モル量の
4-クロロチオフェノールナトリウム塩を反応容器に仕込み、ジメチルアセトアミド、NMP,Nシクロヘキシルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミドなどの有機溶媒中にて、窒素ガスの気泡を溶液に通して空気を完全に置換して、150〜210℃に加熱しながら行う。
反応混合液を6〜20時間にわたり攪拌しながらゆっくりと150℃まで加熱した後、室温まで冷却し、生成物はクロロホルム等の有機溶媒で抽出し、酢酸エチル/ヘキサン等で再結晶してモノマー(1)が得られる。
図3にモノマー(1)の紫外〜可視スペクトルを示す。248 nmの最大吸収バンドはフェニレンスルフィドに帰属し、275 nmの弱いバンドは硫化ベンゼンコアに帰属する。240 nmの励起により、396 nmに最大蛍光発光バンドが見られる。900〜700 cm-1 の範囲における赤外吸収バンドは、ベンゼン環の芳香族置換のタイプを示している。
図4に上記スキーム1の製造によるモノマー(1)のFT−IRスペクトルを示す。モノマー(1)のフェニル環の伸縮に帰属される1556, 1405, および 1374 cm-1 にバンドを示している[D. A. Zimmerman, J. L. Koenig, H. Ishida, Spectrochimica Acta 1995, A 51, 2397.]。1096 cm-1 のバンドはフェニルクロリドの伸縮モードに帰属される可能性がある。なぜならこの特性は4-クロロチオフェノールのスペクトルで観察されるからである[C. J. Pouchert, Ed., "The Aldrich Library of Infrared Spectra", 3rd edition Aldrich Chemical Company Inc., Milwaukee 1981]。
また、チオール基に対応する2600〜2550 cm-1 の範囲にはピークがない。スルホンに帰属される1163, 1323, 1032および641 cm-1 のバンドおよびスルフオキシドに帰属される1030〜1000 cm-1 のバンドも不在であり、このことは、スキーム(1)によって得られる生成物には酸化生成物がないことを示している。1428, 1258および880 cm-1のチアントレンのピークも不在である。したがって、スキーム(1)によって得られる生成物はモノマー(1)であり、架橋結合を持っていない。
<スキーム2>
式(2)にしめすポリマーは、所謂第n世代のデンドリマーではなく、コアから3次元方向(多方向)に、繰り返し単位が各々にランダム(の長さ)に伸びた樹状のものである。
モノマー(1)をスキーム2に示すリチウムスルフィド反応によって重縮合する。反応容器は厚壁の圧力チューブを用いる。トリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼンに対し、1.5倍モルのリチウムスルフィドとN-メチルピロリドンを仕込む。混合液に窒素ガスの気泡を通して内部の空気を全て除去し、チューブに適切な密閉を施して気密にし、180℃の恒温オイル浴で6時間加熱する。室温に冷却し、反応混合液をメタノールに溶かした塩酸(5-vol%)の中に注いで定量的に固体を沈殿させる。固体を濾過し、暖かい蒸留水とメタノールで洗って過剰な反応物と副産物を取り除く。そして、重量が一定になるまで乾燥させ、式(2)の樹状高分子を得る。
式(2)の樹状高分子の特性は、元素分析、IR、NMR、XRDで測定して特定出来る。元素分析 (C24H15S4)n (FW 431)n 計算 C 66.78, H 3.50, S 29.71; 実測 C 65.10, H 3.00, S 25.14により、式(2)の繰り返し単位から構成される高分子であることが分る。IR、XRD、NMRの特性値は次の通りである。
IR (KBr) : 3110, 3072, 1690, 1560, 1543, 1396, 1292, 1099, 985, 846, 789, 756, 735, 671 cm-1;
UV-Vis (CHCl3max (ε) = 266 nm (46249 mol-1cm2);
蛍光発光 (CH2Cl2max = 373nm;
1H-NMR (500MHz,CDCl3) δ= 7.2-7.3(m,10H), δ= 7.4-7.5(m,5H)。
得られる樹状高分子(2)は、25℃でテトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミドなどの典型的な有機溶媒に良く溶ける。高分子溶液の紫外〜可視スペクトルは266 nmに最大吸収バンドを示す。これはフェニレンスルフィドに対応する。この高分子は280 nmで励起したときに373 nmに最大蛍光発光を示した。モノマー(1)と樹状高分子(2)の紫外〜可視スペクトルの比較を図1に示す。
樹状高分子(2)のFT-IRスペクトルは、フェニル環の伸縮に帰属される1690, 1543および1396 cm-1 にバンドを示す(D. A. Zimmerman, J. L. Koenig, H. Ishida, Spectrochimica Acta 1995, A 51, 2397.)。また、フェニルクロリド基に帰属される1096 cm-1にもバンドを示す。しかし、樹状高分子(2)のバンドの強度は、モノマー(1)のものよりも低く、末端の未反応クロロ基の割合が少ないことを示唆している。2600〜2550 cm-1の領域にはピークがなく、高分子にチオール基がないことを示唆している。これとは逆に、以前に報告されたPPSは生成物中にチオメチル末端基を示していた(M. Jikei, Z. Hu, M. Kakimoto, Y. Imai, Macromolecules 1996, 29, 1062. )。
樹状高分子(2)のXRDスキャンを図2に示す。リニアPPSは結晶性70%で高度に結晶化するが(前記非特許文献3)が、樹状PPSは35%結晶質で65%非晶質であることがXRDで明らかになっている。
本発明の方法では、光散乱で固有の屈折率増分0.429 g/cm3 として、分子量は30000〜120000程度の樹状高分子が製造出来る。
次に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されない。
「試薬」
以下の実施例において、4-クロロチオフェノール、1,3,5-ブロモベンゼン、N,N'-ジメチルアセトアミド、リチウムスルフィド、N-メチルピロリドン、メタノールおよびその他の化学薬品はAldrich Chemical Co.またはTCI Chemicalsから入手し、さらなる精製を行わずに使用した。
「測定装置及び測定方法」
元素分析はLECO CHN900 C CHNアナライザで行った。臭化カリウムディスクのフーリエ変換赤外吸収(FT-IR)スペクトルは、Bio-Rad FTS575C FT-IR分光計を使って記録した。紫外〜可視吸収スペクトルは島津UV 2200分光器で測定し、蛍光スペクトルは日立F-4010分光蛍光光度計で測定した。UV測定の場合はクロロホルム、蛍光スペクトルの場合はジクロロメタンに固体を溶かして溶液(1mg/cm3)を調製した。NMRスペクトルは重水素化クロロホルム内でJEOL JNM-L500により測定した。X線回折(XRD)測定はスキャンレート0.5°/分でRigaku RINT 2100 V X線回折計により行った。放射線源はCuKα (λ= 1.5405 Å)を用いた。サンプルは高分子をカプトンフィルム上にキャストして調製した。光散乱測定は、波長λ = 488 nmで動作する15 mWのアルゴンイオンレーザを備えたOtsuka Electronics DLS-700光散乱光度計で円筒セル(10 mm φ)を用いて行った。全ての測定は25℃で行った。
「合成例1:トリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼン」
トリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼンは1,3,5-トリブロモベンゼンからスキーム1に示す求核置換により合成された。窒素ガス取入れ口と還流冷却器を備えた二首丸底フラスコに12.8g(10mmol)の1,3,5-トリブロモベンゼン、23.8g(30 mmol)の4-クロロチオフェノールナトリウム塩および50mlのジメチルアセトアミド溶媒を仕込んだ。窒素ガス(99.9%)の気泡を溶液に通して空気を完全に置換した。反応混合液を6時間にわたり攪拌しながらゆっくりと150℃まで加熱した後、室温まで冷却した。生成物はクロロホルムで抽出した。酢酸エチル/ヘキサン(1:4)混合溶媒でさらに再結晶し、重量が一定になるまで25℃で乾燥した。収率は90%だった。
特性測定の結果を以下に示す。mp 280℃; 元素分析 C24H15S3Cl3 (FW 505) 計算 C 56.97, H 2.98, S 19.01, Cl 21.02; 実測 C 56.10, H 2.51, S 18.42, Cl 20.23; IR (KBr) : 3110, 3072, 2362, 2340, 1739, 1714, 1556, 1527, 1405, 1374, 1351, 1096, 846, 744, 656 cm-1; 紫外〜可視 (CHCl3max(ε) = 248 nm (4121mol-1cm2), 275nm; 蛍光発光 (CH2Cl2max = 396 nm; 1H-NMR (500 MHz,CDCl3) δ= 7.5-7.7 (m,15H).
モノマー(1)の紫外〜可視スペクトルにおいて、248 nmの最大吸収バンドはフェニレンスルフィドに帰属し、275 nmの弱いバンドは硫化ベンゼンコアに帰属する(図3)。240 nmの励起により、396 nmに最大蛍光発光バンドが見られた。900〜700 cm-1 の範囲における赤外吸収バンドは、ベンゼン環の芳香族置換のタイプを示している。トリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼン (1)のFT-IRスペクトルはフェニル環の伸縮に帰属される1556, 1405, および 1374 cm-1 にバンドを示した。1096 cm-1 のバンドはフェニルクロリドの伸縮モードに帰属される可能性がある。なぜならこの特性は4-クロロチオフェノールのスペクトルで観察されるからである。チオール基に対応する2600〜2550 cm-1 の範囲にはピークがない。スルホンに帰属される1163, 1323, 1032および641 cm-1 のバンドおよびスルフオキシドに帰属される1030〜1000 cm-1 のバンドも不在であり、このことはモノマー(1)には酸化生成物がないことを示す。1428, 1258および880 cm-1のチアントレンのピークも不在である。したがって、生成物は架橋結合を持っていない。
「実施例1:トリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼン」
上記で得られたモノマー(1)をスキーム2に示すリチウムスルフィド反応によって重縮合した。厚壁の圧力チューブに0.50 g (10 mmol)のトリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼン、0.070 g (15 mmol)のリチウムスルフィド、および5 mlのN-メチルピロリドンを仕込んだ。混合液に窒素ガスの気泡を通して内部の空気を全て除去し、チューブに適切な密閉を施して気密にした。チューブを180℃の恒温オイル浴で6時間加熱した。それから室温に冷却し、反応混合液をメタノールに溶かした塩酸(5-vol%)の中に注いで定量的に固体を沈殿させた。固体を濾過し、暖かい蒸留水とメタノールで洗って過剰な反応物と副産物を取り除いた。そして、重量が一定になるまで乾燥した。収率は80%だった。
固体生成物の特性を元素分析、分光法、NMRおよびXRDで測定した。元素分析 (C24H15S4)n (FW 431)n 計算 C 66.78, H 3.50, S 29.71; 実測 C 65.10, H 3.00, S 25.14; IR (KBr) : 3110, 3072, 1690, 1560, 1543, 1396, 1292, 1099, 985, 846, 789, 756, 735, 671 cm-1; UV-Vis (CHCl3max (ε) = 266 nm (46249 mol-1cm2); 蛍光発光 (CH2Cl2max = 373nm; 1H-NMR (500MHz,CDCl3) δ= 7.2-7.3(m,10H), δ= 7.4-7.5(m,5H)。
樹状高分子(2)は25℃でテトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミドなどの典型的な有機溶媒に良く溶ける。高分子溶液の紫外〜可視スペクトルは266 nmに最大吸収バンドを示した。これはフェニレンスルフィドに対応する。この高分子は280 nmで励起したときに373 nmに最大蛍光発光を示した。モノマー(1)と樹状高分子(2)の紫外〜可視スペクトルの比較を図3に示す。高分子のFT-IRスペクトルはフェニル環の伸縮に帰属される1690, 1543および1396 cm-1 にバンドを示した。また、フェニルクロリド基に帰属される1096 cm-1にもバンドを示した。しかし樹状高分子におけるこのバンドの強度はモノマーのものよりも低く、末端の未反応クロロ基の割合が少ないことを示唆している。2600〜2550 cm-1の領域にはピークがなく、樹状高分子にチオール基がないことを示唆している。これとは逆に、以前に報告されたPPSは生成物中にチオメチル末端基を示していた。樹状PPS(2)のXRDスキャンを図2に示す。リニアPPSは結晶性70%で高度に結晶化するが、樹状PPSは35%結晶質で65%非晶質であることがXRDで明らかになった。光散乱で固有の屈折率増分0.429 g/cm3 として、分子量は80,000であると評価した。本発明の樹状PPSのモル質量値は以前に報告されている値よりも大きい。これは前者が求核法を用い、後者が求電子法を用いたためである。
De Gennesは、フレキシブルな繰り返しユニットスペーサーを持つ多層の完全に分岐した高分子の最大分子量は制限されているはずであると予言した(P. G. de Gennes, H. Hervet, J. Phys. (Paris) 1983, 44, L351.)。この制限最大分子量においては、高分子の球状成長は立体化学的な飽和点に達し、モノマーの分岐によるそれ以上の二次元的な拡張は禁止される。本発明においては、De Gennesの仮説を支持する制限最大分子量を得るためのフレキシブルなスペーサーの役を硫黄が果たしている。この高分子のハロゲン官能基(クロロ基)は主に高分子の表面にあり、化学的に修飾可能である。この官能化により、樹状高分子を多官能マクロモノマーに変換することができる。
以上にように、本発明によれば、室温において殆どの有機溶媒に可溶な高モル質量の樹状ポリ(フェニレンスルフィド)の求核的合成により製造方法を提供出来る。一方、リニアなポリ(フェニレンスルフィド)はオリゴマー的性質を持ち、室温においては殆ど全ての有機溶媒に不溶である。
本発明の製造方法は、安価な開始材料を使ったわずか二段階の高収率プロセスであり(スキーム1及び2)、工業生産のパイロットプラントにスケールアップ可能である。この方法では、前記特許文献3や12以前の文献に報告されている方法の欠点が排除されていて、モノマーからは樹状高分子がワンポットで製造出来る(スキ−ム2)。
本発明によるポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)は、様々な工業的応用が可能であり、高分子材料として極めて有用である。そしてその製造方法は、ワンポットにより、樹状高分子であるポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)を大量生産できるので、工業的製造プロセスとして極めて利用価値が高い。
樹状高分子のモノマーとなるトリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼンの反応スキームである。 樹状高分子の反応スキームである。 モノマー(1)と樹状高分子(2)の紫外〜可視スペクトルである。 樹状高分子(2)のXRDスキャンである。

Claims (2)

  1. 下記式(1)のトリス-1,3,5(4-クロロフェニル-1-チオ)ベンゼンをリチウムスルフィドの存在下に重縮合させて、下記式(2)の繰り返し単位で表されるポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)を製造することを特徴とする樹状高分子の製造方法。
    Figure 2005225933
  2. 下記式(2)の繰り返し単位からなり、数平均分子量30000〜120000のポリ(トリス-1,3,5(4-フェニル-1-チオ)ベンゼン)からなる樹状高分子。
    Figure 2005225933
JP2004034439A 2004-02-12 2004-02-12 ポリ(トリス−1,3,5(4−フェニル−1−チオ)ベンゼン)及びその製造方法 Withdrawn JP2005225933A (ja)

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JP2013528232A (ja) * 2010-05-14 2013-07-08 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド 有機発光ポリマー及びデバイス
WO2022019204A1 (ja) * 2020-07-22 2022-01-27 株式会社クレハ ハロゲン化ポリフェニレンスルフィド樹脂、樹脂組成物、成形品、及び樹脂用制振化剤

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JP2013528232A (ja) * 2010-05-14 2013-07-08 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド 有機発光ポリマー及びデバイス
WO2022019204A1 (ja) * 2020-07-22 2022-01-27 株式会社クレハ ハロゲン化ポリフェニレンスルフィド樹脂、樹脂組成物、成形品、及び樹脂用制振化剤

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