JP2005225787A - Hsp90阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、ピラゾール誘導体を有効成分とするHSP90阻害剤に関する。
【解決手段】下記一般式(1)
【化1】
Figure 2005225787

[式中、Xは、水素原子、または、低級アルキル基を示し、Yは、水素原子、または、低級アルキル基を示し、Zは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、または、ハロゲン原子を示す。]で表されるピラゾール誘導体、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHSP90阻害剤。

Description

本発明は、ピラゾール誘導体を有効成分とするHSP90阻害剤に関する。HSP阻害剤は、HSP90のATP結合部位に結合することで、その機能を阻害し、HSP90と標的蛋白質の結合を阻害し、最終的に細胞増殖を抑制する。
分子シャペロンとは、蛋白質の機能的高次構造形成を促進するために標的蛋白質と一時的に複合体を形成する蛋白質の総称である。蛋白質の折り畳みや会合を助け、凝集を抑止する活性を持つ蛋白質を幅広く指して分子シャペロンと呼んでおり、その分子量によって幾つかのファミリーに分類される(HSP90、HSP70、HSP60、HSP40、small HSPsなど)。特にHSP90は細胞内のシグナル伝達系に関わる多数の分子と相互作用することが知られており、HSP90が細胞周期制御および癌化・増殖・生存シグナルに深く関与していることが明らかになりつつある。
HSP90は細胞内に豊富に存在する(全可溶性蛋白質の1〜2%を占めている)分子シャペロンであり、細胞質に一様に分布しており、おもに2量体として存在する。蛋白質の折り畳みにおけるHSP90単独の活性は弱く、折り畳み活性を持つ他の分子シャペロン(以下co−シャペロンという。HSP70、p23など)と共同で機能している。HSP90は複合体を形成した標的蛋白質の機能発現に必要な場合が多く、HSP90が不安定な折り畳み状態にある蛋白質を特異的に認識して結合するという生化学的特性に基づいている。HSP90はATPに依存して変性または折り畳み状態にない蛋白質の(再)折り畳みを行う。特に、癌関連のシグナル伝達に関わる多様なkeyシグナル分子(steroid receptor,Raf serine kinase、tyrosine kinases)の構造構築に必要とされる。最近の知見によると、ヒト腫瘍では多くのkeyシグナル分子の調節が失われており、これらは機能を維持するためにHSP90を必要としている。(非特許文献1)
Geldanamycin(GM)は当初チロシンキナーゼ阻害剤として微生物から見出されたアンサマイシン系天然物であるが、チロシンキナーゼに対する直接の阻害活性は弱く、その後この薬剤がHSP90に特異的に作用することが見出された。GMとは構造の異なるマクロライド系天然物であるRadicicol(RD)もやはりHSP90に作用しその機能を阻害する。GMやRDはin vitroで癌関連のシグナル伝達にかかわる多様なkey蛋白質(steroid receptorやRaf、Her2など)の分解を引き起こすこと、各種癌細胞の増殖抑制を引き起こすことが知られている。HSP90はN末端にシャペロン機能の調節に重要な役割を果たすATP/ADP結合部位を含んでいる。この部位はHSP90 familyに特異的でよく保存されており、他の分子シャペロンには存在しない。GMやRDなどはこのATP/ADP結合部位に直接結合することが結晶構造解析において明らかにされている。(非特許文献2、3)GMやRDなどはATP/ADP結合領域へ結合することにより、p23などのco−シャペロンとの会合を阻害する、HSP90阻害剤である。これらHSP90阻害剤はATP/ADP結合領域へ結合し、その結果、標的蛋白質とHSP90を含むシャペロン複合体の構成が変化して標的蛋白質は複合体から離脱し、主にユビキチン・プロテアソ−ム系で分解される。したがって、HSP90阻害剤による癌細胞の増殖抑制作用は、HSP90の標的蛋白質量であるkeyシグナル分子の減少とそれに伴う下流へのシグナル伝達の遮断によるものと考えられる。
HSP90阻害剤はHSP90に折り畳まれ、機能を発現する標的蛋白質に対して選択的に作用し、それ以外の蛋白質の機能および発現量には全く影響を及ぼさない。癌化する過程では複数の遺伝子異常が蓄積されており、腫瘍細胞では変異蛋白質は正常蛋白質よりもシャペロン活性を必要としているという報告、HSP90の発現量が種々の癌で増加しているという報告、GM誘導体である17−AAGの動物モデルにおける薬物動態の解析からは、正常組織と比較して癌部により17−AAGの蓄積性が高いという報告がなされている。これらのことから、HSP90阻害剤は正常細胞ではなく癌細胞に特異的に作用することが期待できる。また、異常な蛋白質発現や低酸素、栄養飢餓といった一種ストレス状態下にある癌細胞がHSP90に依存している度合いが高いため、癌細胞の感受性がより高いと考えられる。
HSP90阻害剤のうち、17−AAGは第I/II層臨床試験進行中であり、RD誘導体研究も行われているが(非特許文献4)、医薬品として使用するには、何れも分子量、安定性、水溶性等の物性面で問題があるため医薬品として有用な水溶性低分子HSP90阻害剤が求められている。低分子のHSP90阻害剤として、アデノシン誘導体であるPU3(特許文献1、非特許文献5)および3位及び4位に芳香環を有するピラゾール誘導体(特許文献2)が報告されているが、4位にアリールオキシ基を有するピラゾール誘導体については、HSP90阻害活性は知られていない。
国際公開第02/036075号公報 国際公開第03/055860号公報
Trends Mol.Med.2002; 8(4 Suppl.): p.S55−61. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1994; 91(18): p.8324−8328. Cell 1997 Apr 18; 89(2): p.239−250. Curr. Cancer Drug Targets.2003 Oct;.3(5): p.385−390. Chem.Biol.2001 Mar; 8(3): p.289−299.
本発明は、医薬として有用なHSP90阻害剤を提供するものである。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、ピラゾール誘導体またはその薬理学的に許容されうる塩がHSP90を阻害することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1)
Figure 2005225787
[式中、Xは、水素原子、または、低級アルキル基を示し、Yは、水素原子、または、低級アルキル基を示し、Zは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、または、ハロゲン原子を示す。]で表されるピラゾール誘導体、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHSP90阻害剤、
(2)Xが、水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基であり、Yが、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基である(1)に記載のHSP90阻害剤、
(3)Xが水素原子またはエチル基であり、Yが水素原子またはメチル基であり、Zが水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ニトロ基、または、ハロゲン原子である(1)または(2)に記載のHSP90阻害剤、
(4)一般式(1)で表される化合物が、3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(2−フルオロフェノキシ)−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−エトキシフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−フェノキシ−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−フェノキシ−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−ニトロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−n−プロピルフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−フルオロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−クロロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾールまたは3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−n−プロピルフェノキシ)−1H−ピラゾールである(1)〜(3)のいずれか1項に記載のHSP90阻害剤、
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載のピラゾール誘導体、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする癌治療剤、
に関する。
本発明のHSP90阻害剤またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する薬剤組成物は癌治療剤として有用である。
以下に本発明の詳細を述べる。一般式(1)中、Xは水素原子又は低級アルキル基である。低級アルキル基としては、例えば炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状アルキル基が挙げられ、炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐状アルキル基が好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デキル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が好ましく、なかでもエチル基が特に好ましい。Xとしては、水素原子、またはエチル基が特に好ましい。
一般式(1)中、Yは水素原子又は低級アルキル基である。低級アルキル基としては、例えば炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐状低級アルキル基が挙げられ、炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐状低級アルキル基が好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、なかでもメチル基が特に好ましい。Yとしては、水素原子、またはメチル基が特に好ましい。
一般式(1)中、Zは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、またはハロゲン原子である。低級アルキル基としては、例えば炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐状アルキル基が挙げられ、炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐状アルキル基が好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が好ましく、なかでもプロピル基が好ましい。低級アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐状アルコキシ基が挙げられ、炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐状アルコキシ基が好ましく、さらに炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐状アルコキシ基が好ましい。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられ、なかでもエトキシ基が好ましい。ハロゲン原子の具体例としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子などを挙げることができ、なかでもフッ素原子、塩素原子が特に好ましい。Zの置換位置は、酸素原子のオルト位でも、メタ位でも、パラ位でも良い。Zとしては、水素原子、プロピル基、エトキシ基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子が特に好ましい。
本発明のHSP90阻害剤であるピラゾール誘導体は酸、または塩基と塩を形成する場合もあり、本発明は一般式(1)で表される化合物の塩を有効成分とするHSP90阻害剤および癌治療薬も含有する。酸との塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩等の無機酸塩や、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩を挙げることができる。塩基との塩としては、例えばナトリウム塩等を挙げることができる。これらの塩は、定法によって製造することができる。
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、以下の様な化合物が挙げられる。
3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−1H−ピラゾール (18076)
3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−5−メチル−1H−ピラゾール (18032)
3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(2−フルオロフェノキシ)−1H−ピラゾール (18049)
3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−エトキシフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール (18071)
3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−フェノキシ−1H−ピラゾール
(18042)
3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−フェノキシ−5−メチル−1H−ピラゾール (18048)
3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−ニトロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール (18073)
3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−n−プロピルフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール (18044)
3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−フルオロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール (18039)
3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−クロロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール (18064)
3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−n−プロピルフェノキシ)−1H−ピラゾール (18026)
なかでも、次の化合物が特に好ましい。
3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−1H−ピラゾール (18076)
3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−5−メチル−1H−ピラゾール (18032)
本発明のHSP90阻害剤は、例えば以下のスキーム(1)に従って製造することができる。
Figure 2005225787
第一工程:一般式(2)で表されるレゾルシノール誘導体と、一般式(3)で表されるフェノキシ酢酸誘導体とを、ルイス酸の存在下縮合させることにより、一般式(4A)で表されるアシル置換レゾルシノール誘導体を合成する工程である。上記反応式中Xは、水素原子、または、低級アルキル基を示し、Yは、水素原子、または、低級アルキル基を示し、Zは、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、または、ハロゲン原子を示す。一般式(3)中、Lは、水酸基、または、ハロゲン原子を示し、塩素原子が特に好ましい。本反応で使用可能なルイス酸としては、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、四塩化チタン、三フッカホウ素、塩化亜鉛等が挙げられ、なかでも塩化アルミニウム、三フッカホウ素が特に好ましい。本反応で使用可能な溶媒としては、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ニトロベンゼン等が挙げられ、なかでも、1,2−ジクロロエタンが好ましい。反応温度は、−20度から溶媒の沸点で実施でき、なかでも、0度から50度で実施するのが好ましい。反応時間は5分から24時間であり、なかでも、10分から5時間が好ましい。第一工程は、一般式(2)で表されるレゾルシノール誘導体と、Lが塩素原子である一般式(3)で表されるフェノキシ酢酸クロリド誘導体とを、塩化アルミニウムの存在下、1,2−ジクロロエタン中室温で撹拌することにより実施するのが、特に好ましい。
第二工程:一般式(4A)で表されるアシル置換レゾルシノール誘導体のカルボニル基に隣接するメチレン部位にアシル基(−(C=O)Y)を導入し、同時に一般式(5A)で表されるイソフラボン誘導体に変換する工程である。本反応で使用可能なアシル基(−(C=O)Y)を導入する試薬としては、無水酢酸等の酸無水物、アセチルクロライド等の酸ハライド、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、ジメチルアセトアミドジメチルアセタール等のアミドジメチルアセタール等が挙げられる。なかでも、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、ジメチルアセトアミドジメチルアセタール等のアミドジメチルアセタールが好ましい。アミドジメチルアセタールを用いてアシル化する場合、本反応で使用可能な溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられ、なかでも、トルエンが好ましい。反応温度は、−20度から溶媒の沸点で実施でき、なかでも、10度から120度で実施するのが好ましい。反応時間は10分から24時間であり、なかでも、20分から5時間が好ましい。第二工程は、トルエン中、アミドジメチルアセタールと80度に加熱することにより実施するのが、特に好ましい。
第二工程は、一般式(4A)で表されるアシル置換レゾルシノール誘導体の水酸基を保護して一般式(4B)で表される誘導体に変換後実施し、一般式(5B)で表される水酸基が保護されたイソフラボン誘導体に変換後、脱保護することにより実施しても良い。一般式(4B)、(5B)中のProは水酸基の保護基を示す。本反応で使用可能なProは(4B)から(5B)への変換中に脱保護されず、(5B)から(5A)へ円滑に脱保護できる保護基であれば何でもよい。なかでも、tert−ブチルジフェニルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のシリル基が好ましく、tert−ブチルジフェニルシリル基がなかでも特に好ましい。
第三工程:一般式(5A)で表されるイソフラボン誘導体とヒドラジン類との反応により、一般式(1)で表される、HSP90阻害作用を有するピラゾール誘導体を製造する工程である。本反応で使用可能なヒドラジン類としては、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ヒドラジン塩酸塩のいずれを用いても良く、なかでもヒドラジン塩酸塩を5から30当量用いるのが好ましい。ヒドラジン塩酸塩を用いた場合には、塩酸塩を中和するために十分な量の塩基の共存下反応を行う。本反応で使用可能な塩酸塩を中和するための塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン等の有機アミン、または、炭酸ナトリウム等の無機塩基が使用でき、なかでもトリエチルアミンが特に好ましい。本反応で使用可能な溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、またはこれらの混合溶媒等が使用でき、なかでもエタノールが特に好ましい。反応温度は0度から溶媒の沸点で実施でき、なかでも、20度から100度で実施するのが好ましい。反応時間は30分から50時間であり、なかでも、1時間から24時間が好ましい。第三工程は、一般式(5A)で表されるイソフラボン誘導体、塩酸ヒドラジン、トリエチルアミン、およびエタノールの混合物を加熱還流することにより実施するのが特に好ましい。
一般式(1)で表されるピラゾール誘導体または製薬上許容し得る塩を制癌剤として使用する場合は、単独または担体、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、コーティング剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、矯味剤、着香剤、希釈剤、溶解補助剤等の製薬上許容し得る添加剤と混合して粉剤、顆粒剤、錠剤、カブレット剤、カプセル剤、注射剤、座剤、軟膏剤等の製剤形態で、経口または非経口的(全身投与、局所投与等)に安全に投与される。製剤中の本発明化合物または製薬上許容し得る塩の含量は、製剤により種々異なるが、通常0.1〜100重量%であることが好ましい。投与量は投与経路、患者の年齢並びに予防または治療すべき実際の症状等により異なるが、例えば成人に経口投与する場合、有効成分として1日0.01 mg〜2000 mg、好ましくは0.1 mg〜1000 mgとすることができ、1日1回又は数回に分けて投与できる。
一般式(1)で表されるピラゾール誘導体または製薬上許容し得る塩は、HSP90阻害作用を有し、癌治療剤として有用である。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。また、本発明のHSP90阻害剤の有効性を示す本発明の代表的な化合物の薬理試験結果を示す。なお、MS(ESI)は、SHIMADZU LCMS−QP800αを使用し測定した値である。
3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−1H−ピラゾール(18076)の製造
実施例1 1−(5−エチル−2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−フェノキシエタノンの製造
試験管に、塩化アルミニウム(80 mg、0.6mmol)、4−エチルレゾルシノール(138 mg、1mmol)、1,2−ジクロロエタン(1 ml)の順で加え、撹拌した。その溶液にフェノキシアセチルクロライド(171 mg、1mmol)をゆっくり加え、室温で30分撹拌した。反応液に氷、2N塩酸を加え、しばらく撹拌した後、酢酸エチルで抽出し、シリカゲルカラム(酢酸エチル)、分取HPLCにて精製し、標題化合物(103 mg)を得た。
MS(ESI、POS)m/z:273[M+H]
実施例2 6−エチル−7−ヒドロキシ−3−フェノキシクロメン−4−オンの製造
試験管にジメチルホルムアミドジメチルアセタール(23.8 mg、0.2mmol)、1−(5−エチル−2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−フェノキシエタノン(実施例1の化合物、27.2 mg、0.1mmol)、トルエン(1 ml)を加え、80度に加熱しながら1時間撹拌した。反応液を濃縮後、分取HPLCにて精製し、標題化合物(4.3 mg)を得た。
MS(ESI、POS)m/z:283[M+H]
H−NMR(200MHz、CDCl
8.04(1H,s,ArH),7.95(1H,s,=CH),7.22−7.35(2H,m,ArHo), 6.97−7.11(3H,m,ArHm,p),6.85(1H,s,ArH),2.72(2H,q,J=7.5Hz,CH),1.29(3H,t,J=7.5Hz,CH).
実施例3 3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−1H−ピラゾール(18076)の製造
試験管に6−エチル−7−ヒドロキシ−3−フェノキシクロメン−4−オン(実施例2の化合物、23.5 mg、0.083mmol)、エタノール(1.5 ml)、トリエチルアミン(0.29 ml)、塩酸ヒドラジン(87 mg、0.83mmol)を加え、4時間、加熱還流を行った。反応液を大部分濃縮後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。酢酸エチルで抽出後、分取HPLCにて精製し、標題化合物(15.7 mg)を得た。
MS(ESI、POS)m/z:297[M+H]
H−NMR(400MHz,CDCl
10.52(1H,brs,OH),9.80(1H,brs,OH),7.61(1H,s,ArH),7.49(1H,s,=CH),7.25−7.31(2H,m,ArHo),7.00−7.04(3H,m,ArHm,p),6.44(1H,s,ArH),4.85(1H,brs,NH),2.44(2H,q,J=7.5Hz,CH),1.02(3H,t,J=7.5Hz,CH
13C−NMR(100MHz,CDCl
175.5,158.3,155.1,154.1,129.7,127.5,122.8,121.0,120.1,115.9,108.7,103.3,22.0,13.8
前記のその他の本発明のHSP90阻害剤(化合物番号:18026、18032、18039、18042、18044、18048、18049、18064、18071、18073)も同様に合成される。
実施例4 蛍光標識した17−(6−アミノヘキシルアミノ)ハービマイシンAの製造
蛍光標識した17−(6−アミノヘキシルアミノ)ハービマイシンA(6)を以下のスキーム(2)従って合成した。
Figure 2005225787
ハービマイシンA(7)(472 mg、0.82mmol)をクロロホルム(42 ml)に溶かし、これにヘキサメチレンジアミン(691 mg、11.9mmol)を加え室温にて18時間、撹拌した。反応液に水(50 ml)とクロロホルム(50 ml)を加え分液し、クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(150 ml、クロロホルム:メタノール:酢酸=30:6:1)を行い粗化合物(80 mg)を得た。さらに、NH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40 ml、クロロホルム、富士シリシア化学株式会社)を行い17−(6−アミノヘキシルアミノ)ハービマイシンA(8)(48 mg、収率8.5%)を得た。
MS(ESI,POS)m/e:689(M+H)
H−NMR(200MHz,CDCl)δ:9.52(1H,br)、7.70(1H,br)、7.00(1H,s,H−19)、7.00(1H,d,J=11.3Hz)、651(1H,t、J=10.9Hz,H−4),5.84(1H,dd、J=10.9and7.3Hz,H−5),5.4−5.6(2H,br,H−7andH9),4.75(2H,br,CONH),4.71(1H,s,H−15),4.48(1H,d、J=7.3Hz,H−6),3.68(2H,m),3.52(3H,OMe),3.35(3H,OMe),3.33(3H,OMe),3.32(3H,OMe),2.00(3H,s),1.95−1.22(11H,m),1.68(3H,s,Me),1.07(3H,d,J=6.8Hz),0.96(3H,d,J=6.5Hz)
式(8)の化合物の製造法
式(8)の化合物(23 mg、0.033mmol)をアセトニトリル(4 ml)に溶かし、これに、NHS−Fluorescein(17.6 mg、0.033mmol,PIERCE社製)を加え遮光下、室温にて15時間撹拌した。反応液に1N苛性ソーダ水溶液(80 μl)を加え30分撹拌後、水(5 ml)を加えた後、クロロホルム(5 ml)で3回抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を留去した。残渣をメタノール(4 ml)に溶かしシリカゲル(120 mg)を加えた後、濃縮乾固した。残渣をシルカゲルゲルカラムクロマトグラフィー(18 ml、クロロホルム:メタノール=20:1)を行い式(6)の化合物(以下蛍光標識したハービマイシンAという)(17 mg、収率49%)を得た。
TLC Rf: 0.61(CDCl:MeOH=5:1)
MS(FAB,POS)m/e:1048(M+H),1070(M+Na)
MS(FAB,NEG)m/e:1046(M−H)
H−NMR(200MHz,CDOD)のデータは図1に示す。
実施例5 HSP90結合阻害試験1
本発明のHSP90阻害剤がHSP90に結合することを示すため、低分子(HSP90結合物質)と高分子(HSP90)の結合を検出する系として蛍光偏光法を用い、結合評価系を構築した。この方法は、蛍光標識したハービマイシンAとHSP90が結合すると蛍光偏光が上昇するが,HSP90に結合する物質が存在すると、蛍光標識したハービマイシンAに競合して蛍光偏光が減少することを利用したものである。
ヒトHSP90遺伝子発現ベクターの構築,および大腸菌におけるヒトHSP90の精製
GenBank #NM_005348として登録されているヒトHSP90遺伝子配列cDNAクローン(AB1144_H10,ORIGENE TECNOLOGIES,INC.,ROCKVILLE,MD)を購入し、GATEWAYシステム(Invitrogene)により、ヒスチジンタグのついた大腸菌用発現ベクターを構築した。作成した発現ベクター(pDEST17−HSP90)を大腸菌BL21株に形質転換し、HSP90の発現を確認後、ニッケルカラム(His−Trap:Amersham pharmacia)を用いて、HSP90を精製した。
精製したHSP90(5×10−7M (50μg/ml))を、本発明のHSP90阻害剤(18026、18032、18039、18042、18044、18048、18049、18064、18071、18073、18076)と、さらに蛍光標識したハービマイシンA(1×10−7M)と共に2時間室温でインキュベートした後、マイクロプレートリーダー(EnVision,PerkinElmer,Boston,MA)にて蛍光偏光を測定した。
次いで下記の式(1)
Figure 2005225787
を用いてHSP90蛋白質と蛍光標識したハービマイシンAの結合阻害率(%)を求めた。
本発明のHSP90阻害剤の濃度と阻害活性から、HSP90蛋白質と蛍光標識したハービマイシンAの結合を50%阻害する濃度をMicrosoft EXCELの関数GROWTHを用いて算出し、IC50値とした。
本発明のHSP90阻害剤は用量依存的にHSP90と蛍光標識したハービマイシンAの結合を阻害した。表1に本発明のHSP90阻害剤の結合阻害のIC50値を示す。
比較例1 HSP90結合阻害試験2
実施例1と同様に、精製したHSP90(5×10−7M (50μg/ml))を、既知のHSP90阻害剤であるゲルダナマイシン、ハービマイシン、ラディシコール、(いずれもSIGMA社より購入。)、PU3、180090(PU3はJournal of Combinatorial Chemistry,2001,volume 3,page 518−520記載の方法に準じて合成した。180090はBioorganic & Medicinal Chemistry,2002,volume 10,page 3555−3564記載の方法に準じて合成した。)(以下既知のHSP90阻害剤という。)と、さらに蛍光標識したハービマイシンA(1×10−7M)と共に2時間室温でインキュベートした後、蛍光偏光を測定してHSP90と蛍光標識したハービマイシンAの結合阻害率(%)を求め、IC50値を算出した。
既知のHSP90阻害剤は用量依存的にHSP90と蛍光標識したハービマイシンAの結合を阻害した。表1に結合阻害のIC50値を示す。
Figure 2005225787
以上の結果より、本発明のHSP90阻害剤がHSP90と結合することは明らかである。
実施例6 HSP90結合阻害試験3
さらに、本発明のHSP90阻害剤がHSP90に結合することを確認するため、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance、以下SPRという。)を応用して、生体分子の結合をセンサーチップ上で再現し、リアルタイムに生体分子結合活性を測定するBIACORE装置(ビアコア株式会社)を用いたHSP90 binding assay系を構築した。
HSP90 binding assay系はカルボキシメチルデキストランが導入してあるセンサーチップ(CM5、ビアコア株式会社)上のカルボキシル基を介して、(6−アミノへキシルアミノ)ハービマイシンA(式(8)の化合物)を固定化し、BIACORE−Xにより、センサーチップ表面に固定された(6−アミノへキシルアミノ)ハービマイシンAとrHSP90の結合により生じる質量変化をSPRとして検出する系であり、方法は、BIACORE装置のプロトコールに従った。
ハービマイシンAを固定化したセンサーチップ表面に50μg/mlのrHSP90(Stressgen Biotechnologies Corp.,Victoria,BC Canada)を、120秒間添加し、SPRシグナル(相互作用を数値化した値であり、単位はresponse unit(RU))を検出した。その結果,SPRシグナル上昇が認められ、rHSP90と(6−アミノへキシルアミノ)ハービマイシンAの結合が確認できた。
rHSP90(5×10−7M (50μg/ml))を、本発明のHSP90阻害剤(18026、18032、18039、18042、18044、18048、18049、18064、18071、18073、18076)と混合後、(6−アミノへキシルアミノ)ハービマイシンAを固定化したセンサーチップ表面に120秒間添加し、BIACORE−XによりSPRシグナル(SPR値)を測定した。
次いで下記の式(2)
Figure 2005225787
を用いて本発明のHSP90阻害剤によるrHSP90とセンサーチップ上の(6−アミノへキシルアミノ)ハービマイシンAの結合阻害率(%)を求めた。
本発明のHSP90阻害剤の濃度と阻害活性から、rHSP90とセンサーチップ上の(6−アミノへキシルアミノ)ハービマイシンAの結合を50%阻害する濃度をMicrosoft EXCELの関数GROWTHを用いて算出し、IC50値とした。
本発明のHSP90阻害剤は用量依存的にSPRシグナルを低下させ、本発明のHSP90阻害剤がrHSP90と(6−アミノへキシルアミノ)ハービマイシンAの結合を阻害することが示された。表2に結合阻害のIC50値を示す。
比較例2 HSP90結合阻害試験4
rHSP90(5×10−7M (50μg/ml))を、既知のHSP90阻害剤と混合後、(6−アミノへキシルアミノ)ハービマイシンAを固定化したセンサーチップ表面に120秒間添加し、BIACORE−XによりSPRシグナルを測定した。実施例2と同様に結合阻害率を求め、IC50値を算出した。
既知のHSP90阻害剤は用量依存的にSPRシグナルを低下させ、既知のHSP90阻害剤はrHSP90と(6−アミノへキシルアミノ)ハービマイシンAの結合を阻害することが示された。表2に結合阻害のIC50値を示す。
Figure 2005225787
以上の結果より、本発明のHSP90阻害剤がrHSP90のハービマイシンA結合部位すなわち、ATP/ADP結合部位に結合することは明らかである。
実施例7 HSP90標的蛋白質量の測定試験1
本発明のHSP90阻害剤が、HSP90と結合する標的蛋白質または標的ポリペプチドの細胞内の減少を誘導することを確認するため、市販のMCF7細胞(American Type Culture Collection,ROCKVILLE,MD)をHSP90阻害剤および、本発明化合物の濃度を増加させて16時間処理した。種々のHSP90標的蛋白質量はウェスタン・ブロッティングにより評価した。
6cm dishに100万個の細胞を散布し、24時間後に薬剤(18032、18076)を添加した。薬剤処理した細胞を洗浄後、150μlの溶解バッファー(RIPA、150mM NaCl,1% NP40,0.1% deoxycholate(sodium salt),0.1% SDS,10mM Tris−HCl(pH8.0))を添加し、4℃で30分インキュベートした。細胞ライセートを遠心分離(15000rpm、20分間)した後、上清20μgをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS―PAGE)に用いた。電気泳動終了後、ゲルをPVDFメンブランに転写し、HSP90と結合する標的蛋白質の1次抗体(Her2、Raf−1、ERα抗体、いずれもSanta Cruz Biotechnology,Santa cruz,CA)を反応させ、続いて二次抗体(anti−rabbit Ig、Horseradish Peroxidase linked F(ab’)2 fragment(from donkey):Amersham Biosciences UK Limited,Buckinghamshire,UK)で処理し、化学発光試薬(ECL:Amersham Biosciences UK Limited,Buckinghamshire,UK)により蛋白質量を化学発光のシグナル強度として検出した。化学発光のシグナルはModel GS−700 Imaging Densitometer(BIORAD)を用いて取り込み、Molecular Analyst 2.1ソフト(BIORAD)にてシグナル強度を測定した。薬剤未処理群(コントロール)のシグナル強度を対照として、下記の式(3)
Figure 2005225787
を用いて本発明のHSP90阻害剤によるHSP90の標的蛋白質量(Her2、Raf−1、ER)のコントロールの標的蛋白質量に対する割合(%)を求めた。さらに、細胞内標準物質としてβ−アクチンを同様の方法により評価した。さらに、各阻害剤がHSP90の標的蛋白質量を50%まで減少せしめる濃度をMicrosoft EXCELの関数GROWTHを用いて算出し、IC50値とした。
Her2の蛋白質量は、5μMの18032により薬剤を処理していないコントロールに比較して、50%減少した。また、HSP90の標的蛋白質Raf−1及びERαの蛋白質量も50μMの18032により減少した。細胞内標準物質のβ−アクチンの蛋白質量は、本発明のHSP90阻害剤により変化を受けなかった。表3に本発明のHSP90阻害剤のHSP90の標的蛋白質減少のIC50値を示す。
比較例3 HSP90標的蛋白質量の測定試験2
実施例7と同様に既知のHSP90阻害剤がHSP90の標的蛋白質に及ぼす影響を検討した。
Her2の蛋白質量は、1μMのゲルダナマイシンの処理によりコントロールに比較して、検出できないレベルまで減少した。同様に、1μMのハービマイシン、ラディシコールの処理により、Her2の蛋白質量は著しく減少した。一方、100μMのPU3及び5μMの180090はHer2の蛋白質量を50%減少させた。また、HSP90の標的蛋白質Raf−1及びERαの蛋白質量もHSP90阻害剤の処理により著しく減少した。細胞内標準物質のβ−アクチンの蛋白質量は、HSP90阻害剤により変化を受けなかった。表3に既知のHSP90阻害剤のHSP90の標的蛋白質の減少をもたらした化合物と減少率を示す。
Figure 2005225787
以上の結果より、本発明のHSP90阻害剤がHSP90の標的蛋白質への結合を妨害し、これに続く標的蛋白質の減少をもたらすことで標的蛋白質を不活性化せしめることを示す。
実施例8 HSP90阻害剤の細胞増殖抑制試験1
本発明のHSP90阻害剤が細胞増殖に与える影響を確認するため、MCF7細胞(American Type Culture Collection,ROCKVILLE,MD)を本発明のHSP90阻害剤により72時間処理した。薬剤処理後、細胞数をメチレンブルー法により測定した。測定は、マイクロプレートリーダー(BioRad)にて660nmの吸光度により行った。
96well plateにMCF7細胞を2千個/well散布し、24時間後に薬剤を処理した。さらに72時間後、培地を除去し、50μlのメタノールを添加して室温で2分インキュベートした。メタノールを除去後、200μlのメチレンブルー染色液を添加し、30分染色した。200μlの蒸留水で3回洗浄を行い、乾燥後、3%HCl溶液を添加し、メチレンブルーの660nmの吸光度(Abs)をマイクロプレートリーダーにて測定した。
次いで下記の式(4)を用いて細胞増殖阻害率(%)を求めた。
Figure 2005225787
本発明のHSP90阻害剤の濃度と細胞増殖阻害率から、コントロールと比較して細胞増殖を50%阻害する濃度をMicrosoft EXCELの関数GROWTHを用いて算出し、IC50値とした。表4に本発明のHSP90阻害剤の細胞増殖阻害作用のIC50値を示す。
比較例4 HSP90阻害剤の細胞増殖抑制試験2
実施例8と同様に既知のHSP90阻害剤のMCF7細胞の増殖抑制作用を検討した。表4に既知のHSP90阻害剤の細胞増殖阻害作用のIC50値を示す。
Figure 2005225787
以上の結果より、本発明のHSP90阻害剤はMCF7細胞に対する増殖抑制効果を有することは明らかである。
以上の結果より、本発明のHSP90阻害剤はHSP90のハービマイシンA結合部位すなわち、ATP/ADP結合部位に結合し、HSP90の標的蛋白質の細胞内量を減少させ、癌細胞の増殖抑制効果を有し、癌の治療薬として有用であることがわかった。
蛍光標識したハービマイシンA(式(6))のH−NMR(200MHz,CDOD)のチャートである。 本発明のHSP90阻害剤(18032、18076)によるHSP90の標的蛋白質Her2、Raf−1及びERαの蛋白質量減少を示す図である。18032は5、15.8、50μMの3用量、18076は15.8、50μMの2用量をそれぞれMCF7細胞に16時間処理した後、細胞から得たライセート中のHer2、Raf−1、ERαの各蛋白質量をウエスタン・ブロッティングにより評価した。β−アクチンは細胞内標準物質である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2005225787
    [式中、Xは、水素原子、または、低級アルキル基を示し、Yは、水素原子、または、低級アルキル基を示し、Zは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、または、ハロゲン原子を示す。]で表されるピラゾール誘導体、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHSP90阻害剤。
  2. Xが、水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基であり、Yが、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基である請求項1に記載のHSP90阻害剤。
  3. Xが水素原子またはエチル基であり、Yが水素原子またはメチル基であり、Zが水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ニトロ基、または、ハロゲン原子である請求項1または2に記載のHSP90阻害剤。
  4. 一般式(1)で表される化合物が、3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシ−5−エチルフェニル)−4−フェノキシ−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(2−フルオロフェノキシ)−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−エトキシフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−フェノキシ−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−フェノキシ−5−メチル−1H−ピラゾール 、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−ニトロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−n−プロピルフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−フルオロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−クロロフェノキシ)−5−メチル−1H−ピラゾール または3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−n−プロピルフェノキシ)−1H−ピラゾールである請求項1〜3のいずれか1項に記載のHSP90阻害剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のピラゾール誘導体、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする癌治療剤。
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