JP2005225752A - ディスプレイ基板用板ガラス、その製造方法、ディスプレイ基板用板ガラスの梱包体及びその梱包方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶表示装置のディスプレイ基板に使用される以前の板ガラスとその梱包体として、帯電性を改善した機能を持つ板ガラス、その板ガラスの製造方法、その板ガラスが収納された梱包体及び梱包体の梱包方法を提供する。
【解決手段】本発明のディスプレイ基板用板ガラス1は、透光表面2が両面で24×104mm2/枚以上の面積で、面のゼータ電位が電位が水に対する接触角4°未満となるように調製されたものである。また本発明の板ガラス1の製造方法は、ガラス原料溶融工程、下方に延伸成形する板成形工程、透光面2にプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射の1以上を行う該透光面2の表面処理工程よりなる。また本発明の梱包体は、透光面2の帯電電荷半減期が、電荷減衰測定法による計測で30秒以下の板ガラスが収納されている。そして、本発明の梱包方法は、透光面2の表面処理工程と該板ガラス1の配列工程と配列板ガラスの周囲を被覆する工程とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のディスプレイ基板用板ガラス1は、透光表面2が両面で24×104mm2/枚以上の面積で、面のゼータ電位が電位が水に対する接触角4°未満となるように調製されたものである。また本発明の板ガラス1の製造方法は、ガラス原料溶融工程、下方に延伸成形する板成形工程、透光面2にプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射の1以上を行う該透光面2の表面処理工程よりなる。また本発明の梱包体は、透光面2の帯電電荷半減期が、電荷減衰測定法による計測で30秒以下の板ガラスが収納されている。そして、本発明の梱包方法は、透光面2の表面処理工程と該板ガラス1の配列工程と配列板ガラスの周囲を被覆する工程とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、無機多成分酸化物よりなるディスプレイ基板用板ガラスとその製造方法及びそのディスプレイ基板用板ガラスを収納する板ガラス梱包体及びその梱包方法に関する。
各種方式によって画像を表示するディスプレイ装置が、情報産業の基盤的な技術として注目を集め、この画像表示装置に関連する技術は、日進月歩で高度なものとなってきている。このような画像表示装置の中で注目されるものとしては、PDP(プラズマディスプレイ)、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等多種の方式が発表されているが、その中でも突出して開発が進み、従来のCRT表示装置を凌ぐ規模で製造販売が行われているのが、液晶ディスプレイを採用した画像表示装置である。
この液晶ディスプレイとしては、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を用いたアクティブマトリックス液晶ディスプレイがある。この装置の製造方法は、薄板の無アルカリガラス基板上にアモルファスシリコン、絶縁体、半導体等の各種の薄膜層を形成してパターン加工を施し、TFTや液晶駆動用の表示電極、配線を形成するTFT工程(TFTアレイ工程、基板プロセス、アレイ基板プロセスともいう)、TFT基板とカラーフィルター基板を位置合わせして積層させ、その間隙に液晶を注入するパネル工程(セル工程、パネルプロセスともいう)、パネル周辺に駆動IC等の集積半導体回路を接続してバックライトを配設するモジュール工程(実装プロセス、モジュールプロセスともいう)等からなる。このようなTFTタイプの薄型の表示装置には、従来にない高い性能が要求され、同種工程を要とした半導体等と比較し、この画像装置を量産する製造工程ではその寸法や重量等によって発生する大きな制約を回避するため、各種の問題に対する改善が行われてきている。その中でも特に大きいものとして、各部材が帯びる静電気の対策に関連するものがある。
薄板の無アルカリガラスは、絶縁材料であるため類似した工程を経て製造されているLSIの基板材料として利用される半導体、すなわちシリコン単結晶と比較して、静電気による帯電が発生し易い材料である。このため、無アルカリガラスを基板として利用する場合には、半導体の量産工程で行われたものよりも遙かに厳しい静電気対策を行わねばならなくなる。なぜなら、静電気による塵埃付着、ガラス微紛等のパーティクル付着の問題や基板上に形成された素子の絶縁破壊、素子性能の劣化へと結びつく危険性が高いものだからである。そして、前記したような液晶表示ディスプレイを組み立てる工程には、無アルカリガラスを帯電させる危険が多数存在している。例えば、液晶表示装置の製造のため、薄板の無アルカリガラス基板を搬送する際に搬送用コロとガラス基板の間に発生する摩擦帯電、熱処理を行うTFT工程において異種物質の接触により接触電位差に基づくボルタ効果のため発生する剥離帯電等は、この表示装置の製造歩留まりに関わる問題である。このため、このような静電気を高速に除去する手段として、特許文献1にあるような軟X線照射による除電方法や特許文献2に開示されたイオナイザ(コロナ放電)による除電方法、さらに特許文献3に記述された相対湿度の高いエアを吹き付ける方法等が開発されてきている。また、特許文献4にあるような剥離帯電を防止する基板固定用チャックや特許文献5にあるような剥離帯電を防止するための基板台座等についても発明が開示されている。
このような用途で使用される無アルカリガラスの薄板を液晶ディスプレイ装置の製造工程へと搬送するために、板ガラスは、複数枚を1つの梱包された形態として搬送するのが一般的である。そしてこの梱包形態についても、前記したような問題を回避するために各種の改善が行われてきている。例えば、特許文献6では梱包箱の上端側面に防塵壁を設けた構造を採用した梱包体が提案されている。また特許文献7では、略L字型の発泡樹脂成形体に4つの板ガラス角部を挿入して並列配列し、その周囲を熱収縮性樹脂フィルムで包装した後に加熱処理を施すことによってシュリンク包装することによって、搬送の振動衝撃等から発生する発塵を効果的に抑止することが可能となるという開示も行われている。
特開平7−73991号公報
特開平8−2944号公報
特開平7−130488号公報
特開2000−294486号公報
特開2001−148413号公報
特開2001−354281号公報
特開2002−193340号公報
しかし、これまでの行われてきた静電気対策や各種の除電方法等については、液晶表示ディスプレイを組み立てる工程や組み立て工程間の搬送に着目したものであって、板ガラスをディスプレイ基板へと組み立てる工程まで、すなわちガラス製造業者のガラス工場から電子機器を扱う製造業者のディスプレイ組み立て工場まで搬送する際の板ガラスそのものとその板ガラスを収納した梱包体については、十分な対策が施されていないのが現状である。このため、搬送後に板ガラス梱包体を開封する環境にも依存するものの、開封操作時や板ガラスを組み立て工程に載せるための板ガラス取り出し操作時に板ガラス透光面に発生する静電気を十分に排除することが困難であった。また、ディスプレイを作製する工程中において各種の洗浄処理を行うだけでは、洗浄作業に労力、時間を要するにも関わらず、その洗浄効果に持続性がなく、この静電気問題に対する本質的な解決には至らないという状況となっている。
本発明者らは、かかる状況に鑑み、液晶表示装置等に使用され、ディスプレイを作製する工程に投入する以前のディスプレイ基板に使用される板ガラスと板ガラスを収納した梱包体として、これまでに求められてきた高い諸特性に加え、帯電性を改善した信頼性高い機能を併せ持つディスプレイ基板用板ガラス、その製造方法、ディスプレイ基板用の板ガラスを収納した梱包体及びその板ガラスの梱包方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明のディスプレイ基板用板ガラスは、ディスプレイを作製する工程に投入する以前の多成分系酸化物ガラスからなるディスプレイ基板用板ガラスであって、前記板ガラスの透光表面が両面で24×104mm2/枚以上の面積を有し、該透光表面のゼータ電位が水に対する接触角4°未満となるように調製されたものであることを特徴とする。
ここで、ディスプレイを作製する工程に投入する以前の多成分系酸化物ガラスからなるディスプレイ基板用板ガラスであって、板ガラスの透光表面が両面で24×104mm2/枚以上の面積を有し、該透光表面のゼータ電位が水に対する接触角4°未満となるように調製されたものであることとは、酸化物表示でガラス組成を表示した場合に2以上の成分を少なくとも1質量%以上含有するガラスであって、そのガラスがディスプレイ製造工程に投入されてディスプレイ表示素子装置の基板材料として利用されるもので、ディスプレイ製造工程投入前の板ガラス1枚につき、透光面一面側の面積が12×104mm2以上であるようなガラスについて、その2面の透光面のゼータ電位(またはζ電位、ゼータポテンシャル(zeta potential)ともいう)が水に対する接触角4°未満となるように所定範囲に保持されていることを意味している。
ゼータ電位とは、物質表面に形成される電気二重層の内、物質と電気的に強固に結合した電荷層(固定層という)とその電荷層のさらに外側に形成された拡散層の内の一部を伴って滑り面を形成するが、物質から充分離れて電気的に中性な点での電位をゼロとした場合の滑り面の電位を表すものであって、ガラス板についてその透光表面の静電気状態を表示するものである。
そして、このゼータ電位が水に対する接触角4°未満となるように所定範囲に保持された状態とは、ガラス物品の組成を特定の組成に限定するだけでは足りず、さらにそのガラス物品の透光面についての物理化学的な表面処理を施す等することによって実現できる品位を意図的に実現したものである。そして接触角とは、板ガラス透光面について、その表面の水に対する濡れ性を知るための尺度であって、この角度が4°未満とすることによって、ディスプレイ基板用板ガラスの板ガラス透光面についての帯電性能を調整することによって、ディスプレイ基板用の板ガラスに最適な表面性状とすることが可能となる。接触角については、JIS R3257−1999に従う基板ガラス表面における接触角の測定方法によって計測することができる。このような計測方法で計測することで、接触角が4°未満の状態となるように調整されたものであることを確認できる。
そして、24×104mm2/枚以上の面積を有するガラス透光表面とは、板ガラスの寸法で表すならば、例えば縦と横の寸法が300×400mm以上、200×600mm以上といった面積を板ガラスの透光面の両面で有するものを意味しており、この面積の板ガラスについてそのゼータ電位を評価するのは、表裏2面の透光面、すなわち片面の2倍の24×104mm2を対象とするものである。これ以外に板ガラスの周辺の端面部について、その表面についても必要に応じて透光面と同じ物理化学的な表面処理等の対処を施すことが可能である。
ちなみに、どのような寸法の板ガラスが対象となるか例示すれば、板ガラスの板厚については、1.1mm、1.0mm、0.7mm、0.4mmといったものが使用でき、板ガラスの縦横寸法としては、300×400mm、360×465mm、370×470mm、400×500mm、550×650mm、600×720mm、650×830mm、680×880mm、730×920mm、1000×1200mm、1100×1250mm、1370×1670mm、1500×1800mmといった寸法の板ガラスが可能であって、加工条件さえ整えば他の比率を有する縦横寸法の板ガラスであっても対象とすることができる。
そしてディスプレイを作製する工程に投入する以前の多成分系酸化物ガラスからなるディスプレイ基板用板ガラスであってとは、前記したTFT工程、パネル工程、モジュール工程といったディスプレイ作製工程内におけるディスプレイ基板用板ガラスを対象としたものではなく、一連の工程以前の板ガラス、すなわちガラス製造業者がディスプレイ基板用板ガラスとして成形したガラス物品としての板ガラスが、ディスプレイ製造者のディスプレイ製作工程に投入されるまでのものを対象とするものであることを意味している。
また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスは、上述に加え板ガラスの透光表面のゼータ電位が、−75mV以上であるならば、ディスプレイ基板用ガラスとして高い性能を実現できるため好ましい。
ここで、板ガラスの透光表面のゼータ電位が、−75mV以上であることとは、板ガラスの表裏2面の透光表面のゼータ電位値が平均で−75mV以上であることを意味しており、−75mVより小さい値である場合には、梱包体開封作業中等に板ガラス表面に微細な異物、ゴミ等を電気的に付着させる危険性が高くなるため好ましくない。そしてこの値については、ガラスの組成にも依存する場合があるが、例えば無アルカリガラスに関して上限を定めるとするなら、その値は0mVであって、より高い清浄度を必要とする場合には、−20mVが上限となる。そしてどれだけの清浄度を安定して実現するかにもよるが、板ガラス表面を洗剤等で洗浄した後に、板ガラス表面の付着異物を防止することを考慮する場合には、より安定した板ガラス表面の清浄度を実現するためには、−40mVから−74mVの範囲内とすることが好ましく、さらに安定した品位を実現するためには−50mVから−73mVの範囲内とする方がよい。
板ガラスについて、その透光面部のゼータ電位の計測については、電気泳動光散乱法等の計測方法を採用することによって測定することができる。
また本発明のディスプレイ基板用ガラスは、上述に加え板ガラス表面の電気抵抗率が4×1013(Ω/sq:オームバースクエアー)以上であるなら、表面の清浄度がいっそう高い品位で維持可能となるため、好適である。
ここで、板ガラス表面の電気抵抗率が4×1013(Ω/sq:オームバースクエアー)以上であるとは、板ガラスの表面電気抵抗率(Surface resistivity)をJIS6911(1995)に従い内部電極直径50mm、外部電極直径57.2mmの二重リング法で印加電圧1000V、抵抗補正係数100、測定温度25℃、測定湿度35%にて5回計測した計測値の平均が、4×1013(Ω/sq:オームバースクエアー)以上となることを意味している。
そして、本発明の板ガラス表面の電気抵抗率は、その値が高いほど安定した清浄度品位を実現できるため、より好ましくは、板ガラス表面の電気抵抗率が5×1013(Ω/sq:オームバースクエアー)以上であることであって、さらに好ましくは6×1013(Ω/sq:オームバースクエアー)以上であることである。
また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスは、上述に加えディスプレイが液晶表示装置であるならば、液晶表示装置の性能を充分に発揮できるものとなるため好ましい。
ここで、ディスプレイが液晶表示装置であるとは、本発明のディスプレイ基板用板ガラスの搭載されるディスプレイが液晶ディスプレイであって、液晶素子の違いや画像表示方式の違い等には関係なく使用されるものであることを意味している。そしてこの板ガラスは、液晶用であるということから、組成としては無アルカリガラスを採用したものである。ここで、無アルカリガラスとは、無アルカリガラス、すなわちアルカリ元素であるLi(リチウム)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)を実質的に含有しないガラスであることを意味している。そしてこの無アルカリガラスでは、耐火物や原料の不純物としてガラス物品中に混入してくるppmオーダーのアルカリ元素の含有物は、含有しても差し支えない。
また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスは、上述に加えディスプレイがTFT液晶表示装置であるならば、TFT液晶表示装置の高い機能を発揮できるものとなるため好ましい。
ここで、ディスプレイがTFT液晶表示装置であるとは、板ガラスがアクティブマトリックス方式の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、略してTFT)を搭載する液晶用基板ガラスとして利用されるものであることを意味している。TFT方式であるならば、アモルファスシリコンやポリシリコン等の部材の違いには関係なく採用できるものである。そして、このようなTFT液晶用基板用途の板ガラスの組成としては、前述に加え軽量、すなわち密度が小さく、しかも高い化学的耐久性を満足する必要性がある。具体的にこのような組成を例示すれば、質量%表示でSiO2 50〜73%、Al2O3 0.1〜17%、B2O3 7〜16%、BaO+SrO+MgO+CaO+ZnO 0.5〜28%といったものとなる。
また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスの製造方法は、無機ガラス原料を1400℃以上に加熱して溶融ガラスにするガラス溶融工程と、該溶融ガラスを下方に延伸成形する成形手段による板成形工程と、板ガラスの透光面に対してプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射のいずれか1以上を行う表面処理工程とを有することを特徴とする。
ここで、無機ガラス原料を1400℃以上に加熱して溶融ガラスにするガラス溶融工程とは、炭酸塩や酸化物、ガラスカレット等の無機ガラス原料をガラス溶融炉、溶融タンク、坩堝等の耐熱性容器内で1400℃以上の温度で溶融することによって溶融ガラスとする工程のことであって、溶融したガラスの均質性を向上する各種の操作を行うことによって、高い均質度を有する状態とするものである。
そして、溶融ガラスを下方に延伸成形する成形手段による板成形工程とは、板ガラス物品の成形手段として下方延伸成形法であるスロットダウンドロー成形法、オーバーフローダウンドロー成形法、ロールアウト成形法といった下方延伸成形法を成形手段として採用する板成形工程であることを意味している。
板ガラスの透光面に対してプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射のいずれか1以上を行う表面処理工程とは、板ガラスの透光表面に対して、プラズマ状態とした特定のガス種を均一に照射するか、あるいは特定の照射種のレーザー照射を行うか、あるいは特定種のイオンビームによる照射のいずれか1種類以上を行うことを意味している。
プラズマ照射であれば、プラズマ状態として照射するガス種としては、種々のものを単独あるいは複数種組み合わせて採用することが可能である。例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、アルゴン−水素、アルゴン−酸素等のガス種を採用することが可能であって、所定の効果が得られれば支障はない。また、レーザー照射種についても、KrFレーザー、CO2レーザー等の種々の照射種を選択することが可能である。そして、イオンビーム照射に関してもヘリウム、ネオン、アルゴン等の複数の照射種を単独あるいは複数種併用することが可能であって、照射する板ガラスに応じて最適な効果を実現できる照射方法を採用することが可能である。
また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスの製造方法は、上述に加え板透光面の表面処理工程が、板ガラスの透光面の水に対する接触角を4°未満にするものであるならば、ディスプレイ基板用板ガラスを高い品位に維持できるため好ましい。
ここで、板透光面の表面処理工程が、板ガラスの透光面の水に対する接触角を4°未満にするとは、上記したプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射のいずれか1以上を行う表面処理工程が板ガラスの透光面の性状を水との接触角が4°未満となるような条件とするように調整されたものであることを意味している。
接触角とは、前述したように板ガラス透光面について、水に対する濡れ性を知るための尺度であり、この角度が4°未満とし、板ガラス透光面についての帯電性能を調整することによって、ディスプレイ基板用の板ガラスに最適な表面性状とすることができるのである。なぜなら、単に上記のプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射といった各種処理を行っても、一時的に有機成分等の汚れを洗浄して除去することができても板ガラス透光面の帯電状態までを改善できない場合があり、そのような場合には1ヶ月程までの長時間に亘る効果を維持することが困難であって、本発明の目的とする表面性状とはならないからである。本発明者らの研究によれば、板ガラス透光面の表面状態を長時間に亘り安定した電気的な状態(静電電荷状態)とするには、板ガラス表面の水に対する接触角を4°未満に調整することが必要であることを見いだした。よって、さらに板ガラス透光面の電気的な状態を安定したものにするためには、より好ましくは、3.7°以下の接触角とする方がよく、さらに好ましくは3.5°以下とすることであり、一層好ましくは3.0°以下とすることである。そして、接触角については、前述したようにJIS R3257−1999に従う基板ガラス表面における接触角の測定方法によって計測することができる。
また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスの梱包体は、ゼータ電位の調整された透光面の帯電電荷半減期が、電荷減衰測定法(JIS L1094−1980)による計測で30秒以下である板ガラスが互いの透光面を対向させた並列配置状態で収納されていることを特徴とする。
ここで、ゼータ電位の調整された透光面の帯電電荷半減期が、電荷減衰測定法(JIS L1094−1980)による計測で30秒以下である板ガラスが互いの透光面を対向させた並列配置状態で収納されているとは、JIS L1094(1980)に記述される電荷減衰測定法による測定をおこなうことで、板ガラスの透光面の帯電電荷の半減期が30秒以下の板ガラスが複数枚互いの透光面を対向させた並列配置状態で納められている梱包体であることを意味している。
ゼータ電位の調整されたとしたのは、特定の組成を有する板ガラスについて、そのガラス物品の透光面について板ガラスの透光面の水に対する接触角を4°未満にするような条件となるように、プラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射といった物理化学的な表面処理を施すことによって実現できる品位を意図的に実現したということを意味している。そして1つの梱包体に関して、梱包されている複数の全ての板ガラスについて、イレギュラーな静電気特性を示すことなく、所定範囲のゼータ電位を示す状態に調整されていることを意味するものである。
そして板ガラスの透光面の帯電電荷半減期が30秒を超えるものとなるなら、板ガラス梱包体を開封し、各々の板ガラスを取り出す操作等で板ガラスが帯電した後に元の状態にまで戻るのに長い時間を要するために、その間に板ガラスの透光面の周囲にある粉塵、浮遊異物、ゴミ、ダスト等が電気的に透光面上に付着し易い状態となる。よって、ガラスの透光面の帯電電荷半減期が30秒以下の板ガラスとすることが好ましい。また、より好ましくは20秒以下とすることである。
さらに、収納されている複数の積層状態の板ガラスについて、そのガラス透光面の表面の帯電電荷の測定値の半減期のばらつきは±5秒の範囲にあればよく、より好ましくは±3秒の範囲内となっていることである。
また、互いの透光面を対向させた並列配置した板ガラスが収納されているとは、前述のように複数枚の板が収納されているということであるが、複数枚が並列状態で互いの透光面を対向させた並列配置されていることであって、板ガラスの収納角度等は問わないものである。そして、互いの透光面を対向させて並列配置されていれば、板ガラスの各端面の位置や角の位置等がそれぞれずれていても支障はない。
梱包体については、搬送中に板ガラスに過度な衝撃が加わったり、あるいは板ガラスの表面を損傷するような異物と板ガラスが接触したりすることのないような状態で梱包されているものであって、板ガラスが充分に保護されるものであるならば特に限定されるものではない。ただ、板ガラス周囲の梱包体を構成する板ガラス以外の材料については、長期間利用できるような堅牢性と形態を維持できるような材料強度、紫外線等によって化学的に著しく変質しないような化学的な安定性等についても注意を払って採用されるべきである。
そして、上記の板ガラスの透光面の帯電電荷の半減期が30秒以下の板ガラスが複数枚積層した状態で納めるために、より好ましい梱包形態としては、板ガラスの帯電電荷を逃しやすくする導電体材料と板ガラスが直接接触している構造を採用することができる。この導電体材料としては、必ずしも金属である必要性はなく、例えば導電性プラスチックや導電性ゴム等の導電性ポリマー材料を適宜選択することも可能である。
また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスの梱包体は、上記に加え3枚以上の板ガラスを略直立または略水平に並列配置した状態で収納したものであるならば、多数のディスプレイ基板用板ガラスを安定した状態に保持することができるため好ましい。
ここで、3枚以上の板ガラスを略直立または略水平に透光面を対向させた並列配置した状態で収納したものとは、3枚以上の板ガラスの端面を透光面側から俯瞰して揃えた状態で配置とすることであって板ガラスについては、縦方向に並べたものであっても横方向に並べたものであってもよいものである。
そして、3枚以上の板ガラスの端面を透光面側から俯瞰して揃えた状態で配置とするとは、板ガラス透光面を互いに接触させながら保持するということを意味しているのではなく、いわゆる略直立(あるいは略直立姿勢)に並列保持する、あるいは略水平に並列保持することを含むものであって、隣り合った2枚の板ガラスの間には気体や導電性スペーサー等を介在させることもできる。また、このような介在物を意図的に排除して真空状態あるいは減圧状態の乾燥気体中等で保持することも可能である。
また、このような略垂直、略水平の配置を行うために、板ガラス梱包体内部には板ガラスを所定配置に保持するためのガイド部材が配設された構造となっていることが必要であって、このガイド部材の役割としては、板ガラスを搬送する途中で板ガラスに不要な傷やクラック等を発生させたり、板ガラス表面を摩耗したり、あるいはガイド部材そのものに起因する発塵、揮発等によって板ガラス表面を汚染したりすることのないものであれば、特にその形状や材質について限定されるものではない。よって、このような機能を有する構造を例示すれば、櫛の目構造の板状体、溝付き構造の板状体、突起付き板状体等があり、可能であるならば、複数本の長尺棒状物を採用することによってガイド部材としての役割を持たせることもできる。
そして、前記の導電体材料をこのガイド部材の表面の一部、あるいは全部として採用することによって、板ガラスの透光面が帯電し易いような状況となるものであっても、板ガラス表面の前述した性質に加えて、その帯電半減期をより確実に減少させることが可能となり、本発明の板ガラスの梱包体は長期保管後の開封時にも初期性能を維持し続ける性能を有するものとなる。
さらに、このガイド部材の一部あるいは全部に採用される導電体材料について、好ましい態様を示すなら、この導電体材料は、2面ある板ガラス透光面の両方に接触するように配設されていることが好ましく、板ガラスの面積が大きい場合には1カ所で接触するより2カ所、さらにそれより多い接触箇所を有することが好ましい。また、複数箇所で接触する場合であっても、接触箇所が局所的に偏在しているよりも、分散した状態であることが好ましい。ただし、接触箇所を多くする場合に特に注意すべきこととして、梱包体内での板ガラスの振動があり、強い振動等で板ガラスと導電体材料とが擦れるようなことがないように、充分な注意をおこない、板ガラスが確実に固持されるようにすることが大切である。
そして、前記したように本発明のディスプレイ基板用板ガラスは、上記に加え板ガラスの透光表面のゼータ電位が、−75mV以上であり、梱包体として複数枚の板ガラスが収納されている状態では、1つのディスプレイ基板用板ガラス梱包体を構成する複数枚の板ガラスの透光表面のゼータ電位のばらつきは、小さい方が好ましく、最もよい状態で±5mVの範囲内に収まるものとなるが、±12mVの範囲内の値となるならば実使用上大きなばらつきが無いと判断してよい。
また、板ガラスの透光面の水に対する接触角については4°未満であって、梱包体として複数枚の板ガラスが収納されている状態では、1つのディスプレイ基板用板ガラス梱包体を構成する複数枚の板ガラスの透光表面の水に対する接触角のばらつきは、±0.5°の範囲内となれば好ましく、さらに好ましくは±0.3°となることである。
また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスの梱包方法は、ディスプレイ基板用板ガラスの透光面に対してプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射のいずれか1以上を行う表面処理工程と、該板ガラスを互いの透光面を対向させて並列に配置する工程と、並列に配置した板ガラスの周囲を被覆する工程とを有することを特徴とする。
ここで、透光面に対してプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射のいずれか1以上を行う板ガラス透光面の表面処理工程は、前述したような表面処理を行うことを意味している。また板ガラスを互いの透光面を対向させた並列配置する工程についても前述したような配置とするものであるが、表面処理工程の都度、板ガラスを互いの透光面を対向させて並列配置していくものであっても、一度にまとめて互いの透光面を対向させて並列に配置していくものであってもよい。すなわち、それぞれの板ガラスについて1枚毎に照射処理を行い、その都度ロボットアーム、人力等によって互いの透光面を対向させた並列配置としてもよいし、照射は1枚毎であっても互いの透光面を対向させた並列配置状態にするのは、複数枚を同時におこなうものであってもよい。また照射についても、複数枚を同時に行うものであっても所定の機能を付与できるものであるならば差し支えない。
ここで、照射工程から板ガラスを互いの透光面を対向させて並列に配置する工程への板ガラスの搬送にロボットアーム、ロボットハンド等を利用する場合には、板ガラスを固持するロボットアーム表面が導電性部材で構成されていることが好ましい。また、それがかなわぬ場合には、ロボットアームで取り扱った箇所にスチームを吹き付ける、あるいは高湿度空気を吹き付ける手段を採用することで接触帯電を防止することもできる。また、人力によって複数枚の板ガラスを互いの透光面を対向させた並列配置とする際には、人体帯電防止対策を施した状態で作業する方がよい。すなわち帯電防止作業服を着衣し、導電靴、導電手袋を装着した状態で作業を行うのがよい。また、上記以外に高周波除電装置、電圧印加式除電装置、送風型除電装置、ワークベンチイオナイザ、コロナ放電式除電装置等も必要に応じて併用できるものである。
また、互いの透光面を対向させて並列に配置した板ガラスの周囲を被覆する工程については、搬送時に異物、粉塵、ゴミ等の付着を防止するために所定の静電気状態となっている透光面を有する板ガラス積層体の上方、下方を含めた外周の周囲を被覆材料によって被覆するものである。ここで被覆材料については、所定の遮蔽性を有するものであるならば、単一種あるいは複数種の材料を適宜選択して採用することができるものである。
(1)以上のように本発明のディスプレイ基板用板ガラスは、ディスプレイを作製する工程に投入する以前の多成分系酸化物ガラスからなるディスプレイ基板用板ガラスであって、前記板ガラスの透光表面が両面で24×104mm2/枚以上の面積を有し、該透光表面のゼータ電位が水に対する接触角4°未満となるように調製されたものであるため、液晶表示装置を製造する際に問題となるガラス透光面へのダストや異物付着の危険性を低減し、製造工程の各段階で行われる各種の静電気是正対策を効果的なものとすることによって製造物の良品率を向上させることを可能とするものである。
(2)また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスは、板ガラスの透光表面のゼータ電位が、−75mV以上であるならば、板ガラスを搬送する際に発生する摩擦帯電や剥離帯電を抑止することによって、過大な静電気防止処置を施さずとも清浄な状態の板ガラス透光表面を実現することができるものである。
(3)さらに、本発明のディスプレイ基板用板ガラスは、ディスプレイが液晶表示装置であるならば、ガラス表面に静電気を蓄積し易い組成を有する材料が採用されている表示装置であるにもかかわらず、ディスプレイ表示装置として組み立てられ、製品化された後には、高い安定性した性能を長時間に亘り実現できるものであって、高機能な表示装置の長寿命化に大きく寄与するものである。
(4)また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスは、ディスプレイがTFT液晶表示装置であるならば、大型のディスプレイを製造するための大面積の板ガラスを静電気対策が施された状態で供給することを可能とするものであって、静電気等によってガラス加工時に発生するガラス微粉等のパーティクル付着を極力減らすことができ、板ガラスが大きい寸法となることによって一層顕著となる板ガラス透光面についての静電気に関する問題を是正する一助となるものである。
(5)本発明のディスプレイ基板用板ガラスの製造方法は、無機ガラス原料を1400℃以上に加熱して溶融ガラスにするガラス溶融工程と、該溶融ガラスを下方に延伸成形する成形手段による板成形工程と、板ガラスの透光面に対してプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射のいずれか1以上を行う表面処理工程とを有するものであるため、製造方法に起因する板ガラス透光面の表面粗さ等の表面性状に特有の帯電状態等を確実に解消することによって、1枚の板ガラスに関して均質な帯電状態を実現し、それに伴う板ガラスの均等な清浄度を達成することができるものである。
(6)また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスの製造方法は、表面処理工程が、板ガラスの透光面の水に対する接触角を4°未満にするものであるならば、撥水性の原因となるようなガラス表面の介在物を確実に除去し、しかも安定した帯電状態を実現することができるまでにガラス表面の帯電イオンや静電荷等を除去することによって、板ガラス透光表面の清浄度を、長時間に亘り所望される高い品位のまま維持しつづけることができるものである。
(7)ゼータ電位の調整された透光面の帯電電荷半減期が、電荷減衰測定法(JIS L1094−1980)による計測で30秒以下である板ガラスが互いの透光面を対向させた並列配置状態で収納されているものであるため、板ガラスに施される各種帯電防止処置を一層効果的なものとし、表示装置製造工程で帯電するようなことがあっても速やかに除電操作が行えるため、製造を行う各工程の処理速度を高い状態に維持することで、効率よい製造を可能とし、表示装置の製品単価を低くすることが可能となるものである。
(8)また、本発明のディスプレイ基板用板ガラスの梱包体は、3枚以上の板ガラスを略直立または略水平に並列配置した状態で収納したものであるならば、開封操作時に速やかに板ガラスを次工程へと搬送することができるものであって、板ガラス表面への異物やダスト等の付着する機会を極力減らすことを可能とするものであり、ディスプレイ装置製造者が板ガラス梱包体を開封して使用する際に過剰な心配をせずとも安心して使用することのできる良質のディスプレイ基板用板ガラス梱包体である。
(9)本発明のディスプレイ基板用板ガラスの梱包方法は、ディスプレイ基板用板ガラスの透光面に対してプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射のいずれか1以上を行う表面処理工程と、該板ガラスを互いの透光面を対向させて並列に配置する工程と、並列配置した板ガラスの周囲を被覆する工程とを有するものであるため、板ガラス透光表面の静電気状態を確実に調整した状態で梱包することを可能とするものであって、長時間に亘って各種交通手段によって搬送され、1ヶ月間梱包体の状態のままであったとしても初期の帯電性状を維持しつづけ、板ガラス梱包体内部を高い清浄度を有する品位とするものである。
以下に本発明のディスプレイ基板用板ガラスとその製造方法、及びその梱包体とその梱包方法について、実施例に基づいて説明する。
まず、例えば図1のようなディスプレイ基板用板ガラスについて、その製造方法と性能に関して具体的な調査結果を示す。
本発明の梱包体を構成する板ガラスの製造方法は、以下のようになる。すなわち、ガラス原料としてガラスカレットや無機高純度原料粉末を均質混合し、耐熱構造を有する大型のタンク炉中に投入する。その後タンク炉内で、1600℃の溶融温度を有する溶融を行った後に、バブリング、スターラーによる攪拌操作を行い、均質な溶融ガラスとする。タンク炉の成形域において、耐熱製樋を採用し、オーバーフローダウンドロー法により板ガラス1を成形する。その後、成形した板ガラス1をメカニカルスクライブによって折り割り加工して450×450×0.7mmの寸法を有する無アルカリガラス(SiO2−B2O3−Al2O3−CaO−BaO−SrO系ガラス)製の板ガラス1を得る。板ガラス1の端面3や稜線4等に問題がないか、傷やクラック、ガラス粉や異物等の付着等の検査を行った後、試験に採用する板ガラス1を決める。板ガラスの処理方法としては、2種類のガス種を採用して処理を行う。一方は、板ガラス1の透光面2にガス種としてAr(アルゴン)を使用し、印加電圧5Kv、照射速度1.5m/分の条件でプラズマ照射を行ったものであり、他方は、ガス種としてArとH2(水素)を混合したものを採用し、Ar同様の印加電圧、照射速度で処理を行ったものである。その後、いずれの処理を行ったものも一旦梱包して24時間屋内で放置した。そして、同じ梱包体内に保持してあった並列配列状態の5枚の板ガラス1の透光面2についてゼータ電位の計測を行った結果、表1の結果となった。
表1から明らかなように、プラズマ照射を行った試料については、Ar照射の板ガラス1の透光面2のゼータ電位が−62.42mV、Ar+H2照射のゼータ電位が−62.14mVの値を示し、この平均値に対して、それぞれの板ガラス1についてのゼータ電位計測値のばらつきは、それぞれ±0.4mV、±0.3mVの精度であった。また、比較試料として、同じ組成を有する無アルカリ板ガラスをプラズマ照射せずに未処理試料として別に梱包し、実施例と同様に24時間後のゼータ電位の計測を行ったところ、その値は−78.35mVを示し、低すぎる結果となった。ちなみにこの実施例の板ガラス1のAr照射した板ガラスの透光面2の表面と比較例の板ガラスの表面をTOF−SIMS(飛行時間型2次イオン分析法)による調査を行い、表面付着異物の官能基について2次イオンピークの強度比較によって比較を実施した。その結果、処理前に比較して処理後の板ガラス透光表面については、特にC3H8N基、C4H8NO基、C8HH16NO基、C9H20NO基等の官能基について著しい減少を確認することができ、清浄な透光面2となっていることを確認することができた。
上記板ガラス1の透光面2についてその静電気の帯電状態を評価するために行ったゼータ電位の計測は、大塚電子(株)製、ELS−8000を使用することによって計測したものである。具体的に、その条件としては、溶媒としてpH7.0、溶媒屈折率1.3313、溶媒粘度0.884cp(センチポイズ)、溶媒の誘電率78.526の条件を有する10mM−NaCl水溶液を石英セル中に入れ、その中に粒子径500nmで、粒子表面にヒドロキシプロピルセルロースをコーティングして粒子帯電電荷を0にした球状ポリエチレンラテックスを分散させた状態で測定温度25℃にて、セル上にセットした試料となる板ガラスの静電荷をレーザー散乱光のドップラーシフト量を計測することで測定するものである。
ちなみに、実施例1のプラズマ照射条件は、板ガラスの接触角の計測によって設定したものである。実施例1に先だっておこなった評価結果を以下に示す。
無アルカリ板ガラスについて、実施例1の条件のAr(アルゴン)を使用し、印加電圧5Kv、照射速度1.5m/分の条件でプラズマ照射を行った後、一旦梱包して24時間屋内で放置した後の板ガラス1の透光面2についての水の接触角とプラズマ照射を全く行わなかった場合についての水の接触角についてそれぞれ3枚の測定結果を表2にまとめた。接触角の測定については、JIS R3257−1999に従う計測方法を採用した。
表2から明らかなように、プラズマ照射を行った板ガラス1では透光面2の水接触角が平均2.4°であるのに対し、プラズマ照射を行わなかった試料の透光面は平均12.5°と大きい結果となった。このことから、上記のプラズマ処理条件によってプラズマ処理を行うことで、水接触角が4°未満となる本発明のディスプレイ基板用板ガラスを得ることができることが明らかとなった。
次に、本発明の板ガラス梱包体について、その具体例を示して説明する。
図2に本発明の板ガラス梱包体の構成例に関する説明図を示す。ここでは、表裏の透光面の帯電状態を−75mV以上に予め調整した複数枚の無アルカリガラス(SiO2−B2O3−Al2O3−CaO−BaO−SrO系ガラス)製の薄板ガラス1を保持パッド12a、12b(保持パッドは、側面保持パッド12bと底面保持パッド12aに分離できるように組み合わされている。)によって略直立状態に板ガラス1の互いの透光面を対向させた並列配置し、保持パッド12a、12bは硬質樹脂を主成分とする高い剛性を有する基台11上に固定されている。
そして、保持パッド12bの外周には衝撃緩衝用のスペーサー16としてポリプロピレンあるいはポリエチレン等よりなる発泡成形体を充填し、さらにその外側には、外側壁体13として例えばプラスチック段ボール材のような高い弾性を有するプレート15によって囲われ、四隅の稜線部にはアルミニウム、アルミ合金、ステンレスあるいはFRP製のL字状等の断面を有する枠材14で固定されている。このように、略直立状態に保持した薄板ガラス1の上面より、前記保持パッド12a、12bの外周に合致するような寸法を有する上部保持パッド(図示省略)で板ガラス1を固定し、さらにその上から外側壁体15の上端開口部を塞ぐ蓋体17を配設する構造となっている。ちなみに、保持パッド12a、12bは、板ガラス1を略垂直に配設するガイド部材としての役割を有するものであり、剛性の低い緩衝材等よりなる成形体、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル等を適宜選択することができる。またこの保持パッド12a、12bの一部表面には、導電性プラスチックを組み込み板ガラス1の表面電荷が容易に表面から除電されるような構造としている。
そしてこのような梱包体10構造とすることによって、基台11、外側壁体13及び蓋体17によって複数枚の略並列配列した板ガラス1は、外気から遮断されることになり、さらに保持パッド12a、12bを板ガラス1端面3に圧接する等の構成とするならば、板ガラス1が搬送中に梱包体10内で振動する等して板ガラス1表面に傷、摩耗粉等を発生したりすることも防止することができるものである。
ちなみに、保持パッド12a、12bの一部に採用する導電性プラスチックの配設状態は、図3に示すような態様が可能である。図3(A)にはシート状の導電材料として導電プラスチックを保持パッドの一部に採用した構成を示し、図3(B)には、保持パッドの上面部の一部を導電材料で置き換えた形態を採用した場合を示した。いずれの形態でも、板ガラス1の2面ある透光面2に対して、その稜線4に相当する箇所で導電材料と接触するような構成とすることで、板ガラス1の透光面2についての帯電電荷を解放することが可能となるものである。
次いで、実施例1と同様の手順で準備した370×470×0.7mmの寸法を有する無アルカリガラス(SiO2−B2O3−Al2O3−CaO−BaO−SrO系ガラス)製の板ガラスを使用して、帯電電荷の半減期に関して行った評価を以下に示す。
450×450×0.7mmの寸法の板ガラスを実施例2と同様にガス種としてArを使用し、印加電圧5Kv、照射速度1.5m/分の条件でプラズマ照射を行った。その結果、ゼータ電位は−72.3mvの値を示すものとなった。一方比較試料としては、これも実施例同様に未処理の状態のものを準備した。そして、いずれの試料についても一旦梱包体を製造して実施例3と同じ形態の梱包状態とした。その後この梱包状態のまま所定日数経過するまで、空調等がおこなわれない屋内に放置した。その後に、梱包体の開封作業を1日、2日、5日、12日、19日、26日、33日の所定経過日数後に帯電防止服に身を包んだ熟練作業者によって行った。
そして梱包体より取り出した板ガラスから、45mm角の板ガラスをメカニカルスクライブ加工することによって半減期測定用試料を得た。この試料を温度25℃、湿度35%で管理された恒温高湿槽内に設置しているシシド静電気(株)製、静電電荷半減期測定器のターンテーブル上に保持した状態で、ターンテーブルを1550rpm回転させた。ドライバーからコロナ放電の形でガラス試料に直流高電圧10Kvを印加して、ガラス試料表面に帯電した電荷をレシーバで検出し、その値が飽和値に達したとき印加を遮断し、その後の試料面上の電荷が時間経過と共に漏れ電流によって電位の減衰状態を記録計で連続的に検出して、レシーバの検出飽和値の1/2に達する時間を半減期として求めた。以上の結果を表3にまとめる。
表3から明らかなように、処理を行った試料では、33日目でも半減期が6秒と少なく、照射後1日経過した時の半減期6秒と差のない結果となった。一方、何も処理しない板ガラスについては、1日経過後では、231秒であり、その後経時的に帯電量が自然放電されて少なくなるが、33日における計測でも39秒を示し半減期30秒より少なくなることはない事が判明した。
以上の結果より、本発明のディスプレイ基板用板ガラスの梱包体は、1ヶ月亘る長時間の板ガラスの保管を行うことができる構成を有するものであって、高い品質を維持することができるものであることが判明した。
さらに、実施例1と同様の手順で準備した370×470×0.7mmの寸法を有する無アルカリガラス(SiO2−B2O3−Al2O3−CaO−BaO−SrO系ガラス)製の板ガラスを使用して、板ガラス表面の表面電気抵抗率に関する調査結果を以下に示す。
板ガラス1の透光面2にガス種としてAr(アルゴン)を使用し、印加電圧5Kv、照射速度1.5m/分の条件でプラズマ照射を行い、その後49日間デシケーター中で保持したものと、プラズマ処理を行わずに296日間カセットボックス内に保管したものとの板ガラス表面の電気抵抗率の比較を行った。板ガラスの表面電気抵抗率(Surface resistivity)は、JIS6911(1995)に従い内部電極直径50mm、外部電極直径57.2mmの二重リング法で印加電圧1000V、抵抗補正係数100、測定温度25℃、測定湿度35%にて大気雰囲気下にて5回計測した計測値の算術平均値を計測した。以上の結果を表4にまとめた。
表4から明らかなように、プラズマ処理を施さない板ガラスの表面電気抵抗率は、5回の計測の平均値が、1.7×1013Ω/sqと低い値であるのに対し、プラズマ処理を施した板ガラスは、14.4×1013Ω/sqと高い値であることが判明した。またこのプラズマ処理を施した板ガラスについては、前記したゼータ電位、接触角についても本発明の要件を具備するものであり、高い清浄度を実現できていることが明瞭になった。
本発明の板ガラスに利用された技術は、画像入出力を行う板ガラスや電磁波を透過する板ガラスに対して有用な効果を実現できるものであって、本発明の液晶用板ガラス以外にも、プラズマディスプレイ用途の基板用板ガラス、固体撮像素子であるCCD素子のカバーガラス用途の板ガラスやCMOS素子のカバーガラス、さらにレーザーダイオード用途のカバーガラス等に採用することができるものである。
1 板ガラス
2 透光面
3 端面
4 稜線
10 板ガラス梱包体
11 基台
12a 底部保持パッド
12b 側面保持パッド
13 外側壁体
14 枠材
15 プレート
16 緩衝スペーサー材
17 蓋体
18 導電体材料
2 透光面
3 端面
4 稜線
10 板ガラス梱包体
11 基台
12a 底部保持パッド
12b 側面保持パッド
13 外側壁体
14 枠材
15 プレート
16 緩衝スペーサー材
17 蓋体
18 導電体材料
Claims (9)
- ディスプレイを作製する工程に投入する以前の多成分系酸化物ガラスからなるディスプレイ基板用板ガラスであって、
前記板ガラスの透光表面が両面で24×104mm2/枚以上の面積を有し、該透光表面のゼータ電位が水に対する接触角4°未満となるように調製されたものであることを特徴とするディスプレイ基板用板ガラス。 - 板ガラスの透光表面のゼータ電位が、−75mV以上であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ基板用板ガラス。
- ディスプレイが液晶表示装置であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスプレイ基板用板ガラス。
- ディスプレイがTFT液晶表示装置であることを特徴とする請求項3に記載のディスプレイ基板用板ガラス。
- 無機ガラス原料を1400℃以上に加熱して溶融ガラスにするガラス溶融工程と、該溶融ガラスを下方に延伸成形する成形手段による板成形工程と、板ガラスの透光面に対してプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射のいずれか1以上を行う表面処理工程とを有することを特徴とするディスプレイを作製する工程に投入する以前のディスプレイ基板用板ガラスの製造方法。
- 表面処理工程が、板ガラスの透光面の水に対する接触角を4°未満にするものであることを特徴とする請求項5に記載のディスプレイ基板用板ガラスの製造方法。
- ゼータ電位の調整された透光面の帯電電荷半減期が、電荷減衰測定法(JIS L1094−1980)による計測で30秒以下である板ガラスが互いの透光面を対向させた並列配置状態で収納されていることを特徴とするディスプレイ基板用板ガラス梱包体。
- 3枚以上の板ガラスを略直立または略水平に並列配置した状態で収納したものであることを特徴とする請求項7に記載のディスプレイ基板用板ガラス梱包体。
- ディスプレイ基板用板ガラスの透光面に対してプラズマ照射、レーザー照射、イオンビーム照射のいずれか1以上を行う表面処理工程と、該板ガラスを互いの透光面を対向させた並列配置する工程と、並列配置した板ガラスの周囲を被覆する工程とを有することを特徴とするディスプレイ基板用板ガラスの梱包方法。
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- 2005-01-12 JP JP2005004641A patent/JP2005225752A/ja active Pending
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