JP2005216511A - 燃料電池用ガス拡散部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス拡散部材におけるガス透気性が向上する燃料電池用ガス拡散部材の製造方法を提供する。
【解決手段】耐食性をもつ導電体を基材とする多孔質のシート本体の内部に、流動性をもつ造孔剤を保持したシートを形成するシート形成工程と、シート形成工程を経たシートを加熱し、シートの内部に含浸されている流動性をもつ造孔剤を蒸散させる造孔工程とを含む。流動性をもつ造孔剤としては、ポリビニルアルコール等の高分子材料を主要成分とするものを採用することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】耐食性をもつ導電体を基材とする多孔質のシート本体の内部に、流動性をもつ造孔剤を保持したシートを形成するシート形成工程と、シート形成工程を経たシートを加熱し、シートの内部に含浸されている流動性をもつ造孔剤を蒸散させる造孔工程とを含む。流動性をもつ造孔剤としては、ポリビニルアルコール等の高分子材料を主要成分とするものを採用することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は燃料電池用ガス拡散部材の製造方法に関する。
従来、電極と電解質膜とを接合した接合体の製造方法として、亜鉛,アルミニウム,クロム等の金属あるいはこれらの金属塩の固体状の粉末と、触媒を外表面に担持したカーボンとを混合してシート状のガス拡散電極を形成し、その後、そのシート状のガス拡散電極とシート状の高分子電解質膜とをホットプレスにより互いに接合して一体化し、その後、ガス拡散電極を強酸性水溶液(希硫酸)に浸漬して煮沸し、ガス拡散電極内に含まれている金属あるいは金属塩を溶解させて除去し、これにより内部に細孔を有するガス拡散電極と電解質膜との接合体を製造する方法が提案されている(特許文献1)。この場合、金属あるいはこれらの金属塩の固体状の粉末が造孔剤として機能することができる。
また、電極と電解質膜とを接合した接合体の製造方法として、鉄により針状をなす固体状の造孔剤を形成し、触媒を外表面に担持したカーボンと当該造孔剤とを混合してペースト状のインクとし、インクを塗布してシート状のガス拡散電極を形成し、その後、シート面に対して垂直な方向の磁界を作用させた状態で乾燥させ、その後、そのガス拡散電極とシート状の高分子電解質膜とをホットプレスにより互いに接合して一体化し、その後、ガス拡散電極を強酸性水溶液(希硫酸)に浸漬して煮沸し、ガス拡散電極内に含まれている金属あるいは金属塩を溶解させて除去し、これにより内部に細孔を有するガス拡散電極と電解質膜との接合体を製造する方法が提案されている(特許文献2)。
特開平10−189005号公報
特開平10−189012号公報
上記した燃料電池用ガス拡散部材によれば、ガス拡散部材におけるガス透気性の更なる向上が要請されている。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、ガス拡散部材におけるガス透気性を向上させるのに有利な燃料電池用ガス拡散部材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は燃料電池用ガス拡散部材について鋭意開発を進めている。そして流動性をもつ造孔剤を用いれば、ガス拡散部材におけるガス透気性を高めるのに有利であることを知見し、試験で確認し、本発明を完成させた。特に、ポリビニルアルコール等に代表される高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤を用いれば、ガス拡散部材におけるガス透気性を高めるのに有利であることを知見し、試験で確認し、本発明を完成させた。
ガス拡散部材におけるガス透気性を高め得る理由としては、必ずしも明確ではないものの、造孔剤が固体状の粒子である場合と異なり、造孔剤が所要の粘性および流動性をもつ流動性をもつものであり、ガス拡散部材の内部において流動性をもつ造孔剤が連続的に長く延設されていると共に絡み合い易く、細孔が孤立孔となる割合が低下すると共に、ガス拡散部材の内部において連続細孔となり易いため、と推察される。
また、高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤、高分子材料を構成する高分子鎖が連続的に長く延設されていると共に絡み合い易く、連続細孔となり易いため、と推察される。
即ち、第1発明に係る燃料電池用ガス拡散部材の製造方法は、耐食性をもつ導電体を基材とするシート本体の内部に、流動性をもつ造孔剤を保持したシートを形成するシート形成工程と、シート形成工程を経たシートを加熱してシートの内部に保持されている造孔剤をシートの外方に蒸散させて細孔を形成する造孔工程とを含むことを特徴とするものである。
第2発明に係る燃料電池用ガス拡散部材の製造方法は、耐食性をもつ導電体を基材とするシート本体の内部に、高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤を保持したシートを形成するシート形成工程と、シート形成工程を経たシートを加熱してシートの内部の高分子材料をシートの外方に蒸散させて細孔を形成する造孔工程とを含むことを特徴とするものである。
第3発明に係る燃料電池用ガス拡散部材の製造方法は、耐食性をもつ導電体を基材とするシート本体の内部に、流動性をもつ造孔剤を保持したシートを形成するシート形成工程と、シート形成工程を経たシートの表出面に、導電材料を含む導電層を配置する配置工程と、配置工程を経たシートを加熱し、シートの内部に保持されている造孔剤をシートの外方に蒸散させて細孔を形成する造孔工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明方法によれば、シート形成工程においては、流動性をもつ造孔剤を多孔質のシート本体に保持することにより、シートを形成する。シート本体は、耐食性をもつ導電体を基材とする。耐食性をもつ導電体としては、カーボン材料、繊維の形態が好ましく、故にカーボン繊維、カーボン粒子が代表的なものである。
本発明方法で用いる流動性をもつ造孔剤としては、加熱により熱分解して蒸散するものが好ましい。従って、流動性をもつ造孔剤としては、好ましくは、高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤を採用することができる。この場合、流動性をもつ造孔剤は、高分子材料を溶媒または分散媒に溶解または分散させた流動性をもつものを採用することができる。高分子材料としては、水溶性の高分子材料であることが好ましい。
上記した高分子材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、セルロース、デンプン、ゼラチン、ワックスから選ばれる少なくとも1種とすることができる。セルロースとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性繊維素誘導体を例示することができる。
上記した溶媒または分散媒としては、水系溶媒または有機溶媒を例示できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ベンゼン、アセトン、ブタノン、デカリン、トルエン、ブチロラクトン、ホルムアミド、n−ヘキサン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ペンタンジオールから選ばれる少なくとも1種とすることができる。一般的には、ポリビニルアルコールは有機溶剤に溶けにくいが、水に可溶である。
一般的には、高分子材料の重合度(分子量)は、溶媒または分散媒に対する溶解性、分散性、粘度、接着性等に影響を与える。高分子材料の重合度(分子量)及び/または配合量が増加すれば、高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤の粘度は高くなり、シートの表出面に付着する割合が増加するものの、流動性をもつ造孔剤がシートの内部へ含浸する含浸性が低下する傾向が認められることもある。
これに対して、高分子材料の重合度(分子量)及び/または配合量が過少であれば、高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤の粘度は低めとなり、高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤がシートの内部へ含浸するものの、重力等の影響でシートから過剰に流出してしまうこともある。高分子材料の重合度(分子量)が適切であれば、シートの表出面に過剰に付着すること、重力等の影響でシートの内部から過剰に流出してしまうことを抑えることができる。更に、高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤の固形分の絡み合い、高分子鎖の絡み合いが良好となり、二次元的または三次元的な連続細孔を形成するのに有利である。このような事情を考慮して、高分子材料の重合度(分子量)及び/または配合量を調整することが好ましい。
ポリビニルアルコール等の高分子材料については、重合度(分子量)が増加すれば、溶解性が低下し、シートに対する含浸性が低下する傾向が認められる。また、ポリビニルアルコール等の高分子材料の溶解性または分解性を向上させるため、溶媒または分散媒の温度を、常温よりも高めることができる。この場合、造孔剤であるポリビニルアルコール等の高分子材料がシートの内部に保持される量が増加するため、細孔の割合が増加し、ガス透気性を高めるのに有利である。この場合、溶媒または分散媒の温度としては、100℃以上でも良い。高分子材料を溶解または分散させる溶媒または分散媒として水を用いる場合には、場合によっては、常温以上の温水または熱水(70℃以上)を採用することもできる。
ポリビニルアルコールについては、重合度は200〜6000を例示でき、殊に、300〜4000、400〜2500、450〜1500を例示することができるが、これに限定されるものではない。ポリビニルアルコールについては、けん化度が55〜99モル%のもの、殊に75〜99モル%のものを例示することができる。ポリビニルアルコールとしては、溶解性等の調整のために、親水性モノマーを共重合させた変性ポリビニルアルコールでも良い。
また、流動性をもつ造孔剤の粘度としては、高分子材料の種類、溶媒や分散媒の種類、シートの種類等によっても相違するものの、1〜50cP、または、1〜30cP(測定法:共軸円筒による粘度測定法)を例示することができるが、これに限定されるものではない。
流動性をもつ造孔剤の濃度としては、流動性をもつ造孔剤を100%としたとき、当該高分子材料の濃度としては、高分子材料の種類、溶媒や分散媒の種類、シートの種類等によっても相違するものの、0.1〜30wt%、0.1〜15wt%、0.2〜10wt%、0.3〜5wt%を例示することができるが、これに限定されるものではない。
本発明方法に係るシート形成工程は、好ましくは、流動性をもつ造孔剤と、耐食性をもつ導電体を基材とする1次シートとを用い、流動性をもつ造孔剤を1次シートの内部に含浸させることにより実施される。この場合、1次シートは多孔質とすることができる。流動性をもつ造孔剤に1次シートを浸漬させたり、流動性をもつ造孔剤を1次シートの表出面に塗布させたり、流動性をもつ造孔剤を1次シートの表出面に吹き付けたりできる。なお、流動性をもつ造孔剤を1次シートの内部に含浸させた後に、1次シートを乾燥させる乾燥操作を行うことができる。これにより1次シートの内部に含浸された造孔剤の固形性が促進される。故に、造孔剤の濃度が低いとき等であっても、1次シートに造孔剤を残留させるのに有利であり、細孔を形成するのに有利である。
造孔剤は、前記したように高分子材料を主要成分とすることができる。高分子材料は前述したように水溶性高分子材料であることが好ましい。水溶性高分子材料であれば、溶媒または分散媒が水となり、コストの面、操作の面で有利である。1次シートとしては、カーボンペーパ、カーボンクロス等を例示することができる。カーボンペーパは、耐食性をもつ導電体であるカーボン繊維と液体成分とを含む原料から、抄紙処理により液体成分とカーボン繊維とを分離し、カーボン繊維を集積させたシートを含む意味である。カーボンクロスは織布及び不織布を含む意味である。
また、本発明方法に係るシート形成工程は、流動性をもつ造孔剤と耐食性をもつ導電体(カーボン繊維など)とを混合した原料から直接的にシートを形成しても良い。
本発明方法によれば、シート形成工程を経たシートを加熱してシートの内部に保持されている造孔剤をシートの外方に蒸散させて細孔を形成する造孔工程を実施する。シート加熱する加熱温度としては、シートの内部に保持されている造孔剤をシートの外方に蒸散させる温度であれば良く、造孔剤の種類によっても相違するが、例えば、280℃以上、300℃以上とすることができる。後述するように撥水材料の焼結により、シートの内部に保持されている造孔剤をシートの外方に蒸散させて細孔を形成することができる。
配置工程は、シート形成工程を経たシートの表出面に、導電材料を含む導電層を配置する工程である。導電材料を含む導電層としては、導電ペーストを用いることができる。導電材料としてはカーボンブラック等のカーボン系を例示することができる。導電ペーストは、導電材料を含む塗布可能なものである。導電ペーストとしては、導電材料の他に撥水材料を含むことが好ましい。撥水材料としては公知のフッ素樹脂を例示することができる。造孔工程により造孔剤が導電層を突き抜けるように蒸散すると、ガス拡散部材の細孔と連通するような細孔が導電層にも形成され、ガス透過性を高めることができる。
本発明に係る燃料電池は、各請求項のうちのいずれか一項で形成した燃料電池用ガス拡散部材を有する。このガス拡散部材によれば、ガス透過性が良好であるため、燃料電池の発電出力を向上させるのに有利である。
本発明に係る製造方法によれば、ガス拡散部材におけるガス透気性が向上する。殊にガス拡散部材における垂直方向ガス透気性及び面内方向ガス透気性が向上する。
ガス拡散部材におけるガス透気性を高め得る理由としては、必ずしも明確ではないものの、前述したように、造孔剤が固体状の粒子である場合と異なり、所要の粘性及び流動性をもつ流動性をもつため、流動性をもつ造孔剤が連続的に長く延設されていると共に絡み合うため、連続細孔を形成し易いため、と推察される。また、高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤、高分子材料を構成する高分子鎖が連続的に長く延設されていると共に絡み合うため、細孔が孤立孔となる割合が低下すると共に連続細孔を形成し易いため、と推察される。
本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ各実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1)
図1は、ガス拡散部材を製造する過程を示すフローチャートチャートを示す。実施例1によれば、重量で500gの水(温度:80〜90℃)に、重量で10gのポリビニルアルコール(水溶性の高分子材料に相当, Wako製、重合度500)を混入して高分子水溶液(ポリビニルアルコール水溶液,流動性をもつ造孔剤に相当)を作成した。ポリビニルアルコールの配合量10gは、水500gに対して2%に相当する((10g/(500g+10g)×100%≒2wt%)。
図1は、ガス拡散部材を製造する過程を示すフローチャートチャートを示す。実施例1によれば、重量で500gの水(温度:80〜90℃)に、重量で10gのポリビニルアルコール(水溶性の高分子材料に相当, Wako製、重合度500)を混入して高分子水溶液(ポリビニルアルコール水溶液,流動性をもつ造孔剤に相当)を作成した。ポリビニルアルコールの配合量10gは、水500gに対して2%に相当する((10g/(500g+10g)×100%≒2wt%)。
なお、ポリビニルアルコールの配合量が10gの場合には、ポリビニルアルコール水溶液の粘性はかなり低めであり、水の粘性に近いものであった。
この高分子水溶液(温度:常温)にカーボンペーパを大気雰囲気において浸漬させることにより、高分子水溶液をカーボンペーパ((東レ株式会社製、トレカTGP−H−060、200mm×250mm、厚さ180μm)に含浸した(図2参照)。次に、70℃の温度に保った乾燥炉(大気圧)中に、ポリビニルアルコールを含浸したカーボンペーパを入れ、30分間保持してカーボンペーパを乾燥させた。この場合、カーボンペーパの内部にポリビニルアルコール水溶液(高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤に相当)の固形分が残留している。
また、重量で500gのカーボンブラックペースト(御国製、PSMブラック12134,導電材料に相当)に、ディスパージョン原液(商品名:POLYFLON Dlグレード)を重量で106g添加し、更に十分間攪拌して、カーボンペースト(分散液)を導電ペーストとして製造した。このディスパージョン原液は、四フッ化エチレン(以下PTFEという,ダイキン工業株式会社製,撥水材料)の含有濃度が60wt%である。
上記したようにポリビニルアルコール水溶液を残留させたカーボンペーパの両面にこのカーボンペースト(カーボンインク)を塗布し、カーボンペーパの両面に導電層を配置した(図3(A)参照)。この場合、カーボンペーパの内部にはポリビニルアルコールの固形分が存在しているため、カーボンペーストがカーボンペーパの表出面から内部に含浸することは抑制され、ひいてはガス拡散部材の内部の細孔が閉鎖されてしまうことを防止できると考えられる。
次に、70℃の温度に保った乾燥炉(大気圧)中に、カーボンペーストを塗布したカーボンペーパを入れて30分間保持し、カーボンペーパを仮乾した。その後、このカーボンペーパを焼結温度380℃で60分間保持して、カーボンペーストのPTFEを焼結した。これによりカーボンペーパの内部に細孔を積極的に形成し、ガス拡散部材を製造した。
図4は、上記したように製造したガス拡散部材の内部構造を観察した状態を模式化して示す。図4に示すように、ガス拡散部材(1)は、カーボンペーパからなる基材層(10)、基材層(10)の両面に被覆された導電層(12)とを有する。基材層(10)の内部及び導電層(12)の内部では、燃料または酸化剤のガスが透過する多数の細孔が生成している。殊に、ガス拡散部材の断面及び表面を顕微鏡により観察したところ、基材層(10)における細孔は、基材層(10)の面内方向に良好に延設されており、面内ガス透気性が向上しているとうかがえる。これによりガス拡散部材における面方向のガス透過性の均一化が向上する。
そして、ガス拡散部材のカーボンインク固形分含有量を重量測定により測定した。カーボンインク固形分含有量αは次のように求めた。PTFEを焼結した後のガス拡散部材の重量をW1とした。ポリビニルアルコールを含浸させる前のカーボンペーパの重量をW2とした。そして、(W1−W2/W1)×100%で求めた。カーボンペーパに含浸されていたポリビニルアルコールは、加熱により全て蒸散したものとしている。
また、上記したように製造したガス拡散部材について、垂直方向ガス透過性及び面内方向ガス透過性を測定した。この場合、図5に示すように、試験片S(直径40ミリメートル,厚み0.3〜0.5ミリメートル)をガス流路100に対して垂直方向に沿って配置し、窒素ボンベ102からマスフローコントローラ104を用いて一定流量のガス(窒素ガス)を流し、試験片Sの直前の上流のa点、試験片Sの直後の下流のb点の差圧を差圧計によって測定し、試験片Sの単位面積当たりのガス流量を計算することにより、試験片Sの垂直方向ガス透過性を求めた。試験片Sのガス透過面積は6.15cm2とした。垂直方向ガス透過性は、K1/K2で求めた。K1は(ガス流量/サンプル面積)とした。K2は差圧とした。
また、図6に示すように、台200の測定面202上に載せた試験片S(直径40ミリメートル,厚み0.3〜0.5ミリメートル)に容器状の測定治具204を荷重Fにより密着状態に被着させ、その状態で、窒素ボンベ102からマスフローコントローラ104を用いて一定流量のガス(窒素ガス)を測定治具204の室2061に流し、測定治具204の内のc点の圧力と外の点d点の圧力差を差圧計により測定し、試験片Sの単位面積当たりのガス流量を計算することにより、試験片Sの面内方向ガス透過性を求めた。試験片Sのガス透過面積は6.15cm2とした。面内方向ガス透過性は、M1/M2で求めた。M1は(ガス流量×測定治具204の幅)とした。M2は差圧×(測定治具204の周長)とした。測定治具204の周長は、測定治具204の内周径(28mm)と外周径(30mm)との間の中間径(29mm)の周長とした。
本実施例によれば、カーボンペーパの内部に存在する流動性をもつ造孔剤としてのポリビニルアルコールは、その後の加熱により熱分解してカーボンペーパの外部に蒸散して細孔が形成される。このためガス拡散部材のガス透過性が向上する。殊に、ガス拡散部材の垂直方向ガス透過性及び面内方向のガス透過性が向上する。ポリビニルアルコールが流動性をもつ造孔剤としてガス拡散部材の内部に存在するため、二次元的、三次元的に存在し易くなり、従って、細孔がピンホール的に形成されるのではなく、細孔が二次元的、三次元的に形成され易く、孤立孔の割合が低下し、連通孔の割合が増加するためと推察される。
また本実施例によれば、上記したようにカーボンペーパの表面にカーボンペーストを塗布する前に、カーボンペーパの内部にポリビニルアルコールが含浸されて存在しているため、導電層を形成するカーボンペーストはカーボンペーパの表出面に塗布されつつも、カーボンペーパの内部に含浸することは抑制されると考えられる。
更に、本実施例によれば、高分子材料であるポリビニルアルコールが、ガス拡散部材の内部に細孔を形成する造孔剤として機能するため、蒸散性が良好であり、また、従来技術とは異なり、金属または金属塩を造孔剤として用いないため、金属イオンの残留により電解質膜の性能を低下させるといった不具合を防止することができる。
更にまた、本実施例によれば、金属イオンを強酸性水溶液に溶解させるものではないため、金属イオンにより電解質膜の性能に影響を与えることを回避できる。更に、ガス拡散電極に造孔剤として混在させた粉末状の金属あるいは金属塩を強酸性水溶液により溶解させて除去するものではないため、ガス拡散部材に残留した金属イオンが電解質膜の官能基と結合して電解質膜の性能に影響を与えることを回避できる。
(実施例2)
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて20gとした。ポリビニルアルコールの配合量20gは、水500gに対して3.8%に相当する((20g/(500g+20g)×100%≒3.8wt%)。そして、ガス拡散部材について、カーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて20gとした。ポリビニルアルコールの配合量20gは、水500gに対して3.8%に相当する((20g/(500g+20g)×100%≒3.8wt%)。そして、ガス拡散部材について、カーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
(実施例3)
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて30gとした。ポリビニルアルコールの配合量30gは、水500gに対して5.7%に相当する((30g/(500g+30g)×100%≒5.7wt%)。そして、ガス拡散部材について、カーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて30gとした。ポリビニルアルコールの配合量30gは、水500gに対して5.7%に相当する((30g/(500g+30g)×100%≒5.7wt%)。そして、ガス拡散部材について、カーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
(実施例4)
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて40gとした。ポリビニルアルコールの配合量40gは、水500gに対して7.4%に相当する((40g/(500g+40g)×100%≒7.4wt%)。そして、ガス拡散部材について、カーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて40gとした。ポリビニルアルコールの配合量40gは、水500gに対して7.4%に相当する((40g/(500g+40g)×100%≒7.4wt%)。そして、ガス拡散部材について、カーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
(実施例5)
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて50gとした。ポリビニルアルコールの配合量50gは、水500gに対して9%に相当する((50g/(500g+50g)×100%≒9
wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて50gとした。ポリビニルアルコールの配合量50gは、水500gに対して9%に相当する((50g/(500g+50g)×100%≒9
wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
(実施例6)
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて60gとした。ポリビニルアルコールの配合量60gは、水500gに対して11%に相当する((60g/(500g+60g)×100%≒11wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。なおポリビニルアルコールの配合量が60gの場合には、ポリビニルアルコール水溶液の粘性はかなり高くなり、ポリビニルアルコール水溶液の含浸性が低下する傾向が認められたので、配合量は60gまでとした。
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、ポリビニルアルコールの配合量を実施例1よりも高めて60gとした。ポリビニルアルコールの配合量60gは、水500gに対して11%に相当する((60g/(500g+60g)×100%≒11wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。なおポリビニルアルコールの配合量が60gの場合には、ポリビニルアルコール水溶液の粘性はかなり高くなり、ポリビニルアルコール水溶液の含浸性が低下する傾向が認められたので、配合量は60gまでとした。
(実施例7)
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、実施例1よりもポリビニルアルコールの重合度を高めるものの、アルコールの配合量を10gから5gに減少させた。つまり、ポリビニルアルコール(重合度1000)5gとした。ポリビニルアルコールの配合量5gは、水500gに対して1%に相当する((5g/(500g+5g)×100%≒1wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、実施例1よりもポリビニルアルコールの重合度を高めるものの、アルコールの配合量を10gから5gに減少させた。つまり、ポリビニルアルコール(重合度1000)5gとした。ポリビニルアルコールの配合量5gは、水500gに対して1%に相当する((5g/(500g+5g)×100%≒1wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
(実施例8)
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、実施例1よりもポリビニルアルコールの重合度、配合量を高めた。つまり、ポリビニルアルコール(重合度1000)15gとした。つまり、ポリビニルアルコール(重合度1000)15gとした。ポリビニルアルコールの配合量15gは、水500gに対して3%に相当する((15g/(500g+15g)×100%≒3wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、実施例1よりもポリビニルアルコールの重合度、配合量を高めた。つまり、ポリビニルアルコール(重合度1000)15gとした。つまり、ポリビニルアルコール(重合度1000)15gとした。ポリビニルアルコールの配合量15gは、水500gに対して3%に相当する((15g/(500g+15g)×100%≒3wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
(実施例9)
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、実施例1よりもポリビニルアルコールの重合度、配合量を高めた。つまり、ポリビニルアルコール(重合度2000)15gとした。ポリビニルアルコールの配合量15gは、水500gに対して3%に相当する((15g/(500g+15g)×100%≒3wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、実施例1よりもポリビニルアルコールの重合度、配合量を高めた。つまり、ポリビニルアルコール(重合度2000)15gとした。ポリビニルアルコールの配合量15gは、水500gに対して3%に相当する((15g/(500g+15g)×100%≒3wt%)。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
(実施例10)
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、実施例1よりもポリビニルアルコールの重合度、配合量を高めた。つまり、ポリビニルアルコール(重合度2800)15gとした。ポリビニルアルコールの配合量15gは、水500gに対して3%に相当する((15g/(500g+15g)×100%≒3wt%)。そして、ガス拡散部材のカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
基本的には実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、実施例1よりもポリビニルアルコールの重合度、配合量を高めた。つまり、ポリビニルアルコール(重合度2800)15gとした。ポリビニルアルコールの配合量15gは、水500gに対して3%に相当する((15g/(500g+15g)×100%≒3wt%)。そして、ガス拡散部材のカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
(比較例1)
比較例1によれば、実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、造孔剤として機能する高分子水溶液(ポリビニルアルコール水溶液)をカーボンペーパに含浸しなかった。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
比較例1によれば、実施例1と同様な方法でガス拡散部材を製造した。但し、造孔剤として機能する高分子水溶液(ポリビニルアルコール水溶液)をカーボンペーパに含浸しなかった。そして、ガス拡散部材についてカーボンインク固形分含有量、ガス透過性を実施例1と同じ方法で測定した。
(評価)
表1は試験結果を示す。
表1は試験結果を示す。
(垂直方向ガス透過性)
垂直方向ガス透過性については、表1に示すように、実施例1〜実施例10では29μm/[Pa・S]を越えており、良好であった。殊に、実施例3〜6,実施例10では100μm/[Pa・S]を越えており、良好であった。なかでも実施例4〜6では500μm/[Pa・S]を越えており、良好であった。垂直方向ガス透過性についてみれば、実施例6が最も良好であった。
垂直方向ガス透過性については、表1に示すように、実施例1〜実施例10では29μm/[Pa・S]を越えており、良好であった。殊に、実施例3〜6,実施例10では100μm/[Pa・S]を越えており、良好であった。なかでも実施例4〜6では500μm/[Pa・S]を越えており、良好であった。垂直方向ガス透過性についてみれば、実施例6が最も良好であった。
(面内方向ガス透過性)
面内方向ガス透過性については、表1に示すように、実施例1〜実施例10では 0.13L/[min・MPa]を越えており良好であった。殊に、実施例2〜6,実施例10では、1.0L/[min・MPa]を越えており良好であった。なかでも実施例4〜6では4L/[min・MPa]を越えており良好であった。面内方向ガス透過性についてみれば、実施例6が最も良好であった。
面内方向ガス透過性については、表1に示すように、実施例1〜実施例10では 0.13L/[min・MPa]を越えており良好であった。殊に、実施例2〜6,実施例10では、1.0L/[min・MPa]を越えており良好であった。なかでも実施例4〜6では4L/[min・MPa]を越えており良好であった。面内方向ガス透過性についてみれば、実施例6が最も良好であった。
(カーボンインク固形分含有量)
カーボンインク固形分含有量については、実施例1〜実施例10,比較例1では大きな差はなかった。
カーボンインク固形分含有量については、実施例1〜実施例10,比較例1では大きな差はなかった。
上記したように垂直方向ガス透過性及び面内方向ガス透過性の双方について、実施例6が最も良好であった。造孔材として機能できるポリビニルアルコールがカーボンペーパの内部に含浸し、その後の加熱により熱分解して蒸散したものと推察される。
(細孔分布)
上記したように製造したガス拡散部材の細孔分布を、水銀圧入法により測定した。水銀にかける圧力を段階的に変化させて細孔分布を求めた。図7は比較例1を示す。図8は実施例2を示す。図9は実施例4を示す。図10は実施例10を示す。図7に示すように、比較例1によれば、細孔サイズが0.1μmを越える範囲においては、細孔サイズのピーク域は特に認められなかった。細孔サイズのピーク領域としては、実施例2では約19〜26μmであり、実施例4では約21〜30μm、約39〜60μmであり、実施例10では約10〜22μmであった。ポリビニルアルコールの重合度が同じであれば、ポリビニルアルコールの配合量が多いほど、細孔サイズが大きくなる傾向が認められた。図7〜図10に示すように、実施例に係るガス拡散部材によれば、流動性をもつ造孔剤としてのポリビニルアルコール水溶液において、ポリビニルアルコールの重合度及び/または配合量を調整すれば、細孔サイズのピークを適宜調整することができる。
上記したように製造したガス拡散部材の細孔分布を、水銀圧入法により測定した。水銀にかける圧力を段階的に変化させて細孔分布を求めた。図7は比較例1を示す。図8は実施例2を示す。図9は実施例4を示す。図10は実施例10を示す。図7に示すように、比較例1によれば、細孔サイズが0.1μmを越える範囲においては、細孔サイズのピーク域は特に認められなかった。細孔サイズのピーク領域としては、実施例2では約19〜26μmであり、実施例4では約21〜30μm、約39〜60μmであり、実施例10では約10〜22μmであった。ポリビニルアルコールの重合度が同じであれば、ポリビニルアルコールの配合量が多いほど、細孔サイズが大きくなる傾向が認められた。図7〜図10に示すように、実施例に係るガス拡散部材によれば、流動性をもつ造孔剤としてのポリビニルアルコール水溶液において、ポリビニルアルコールの重合度及び/または配合量を調整すれば、細孔サイズのピークを適宜調整することができる。
(適用例)
図11は適用例を示す。図11に示すように、燃料電池は、イオン伝導性(プロトン伝導性)をもつ電解質膜50と、電解質膜50の厚み方向の一方の片側に設けられた燃料極を形成するガス拡散部材1Aと、電解質膜50の厚み方向の他方の片側に設けられた酸化剤極を形成するガス拡散部材1Bと、燃料極を形成するガス拡散部材1Aに燃料を供給する燃料流路61をもつカーボンまたは金属で形成された燃料配流板60と、酸化剤極を形成するガス拡散部材1Bに酸化剤を供給する酸化剤流路71をもつカーボンまたは金属で形成された酸化剤配流板70とを有する。電解質膜50とガス拡散部材1Aとの間には、触媒及びイオン伝導物質を主要成分とする触媒層70Aが設けられている。電解質膜50とガス拡散部材1Bとの間には、触媒及びイオン伝導物質を主要成分とする触媒層70Bが設けられている。ガス拡散部材1A,1Bによれば、ガス透過性が良好であるため、発電出力を向上させるのに有利である。
図11は適用例を示す。図11に示すように、燃料電池は、イオン伝導性(プロトン伝導性)をもつ電解質膜50と、電解質膜50の厚み方向の一方の片側に設けられた燃料極を形成するガス拡散部材1Aと、電解質膜50の厚み方向の他方の片側に設けられた酸化剤極を形成するガス拡散部材1Bと、燃料極を形成するガス拡散部材1Aに燃料を供給する燃料流路61をもつカーボンまたは金属で形成された燃料配流板60と、酸化剤極を形成するガス拡散部材1Bに酸化剤を供給する酸化剤流路71をもつカーボンまたは金属で形成された酸化剤配流板70とを有する。電解質膜50とガス拡散部材1Aとの間には、触媒及びイオン伝導物質を主要成分とする触媒層70Aが設けられている。電解質膜50とガス拡散部材1Bとの間には、触媒及びイオン伝導物質を主要成分とする触媒層70Bが設けられている。ガス拡散部材1A,1Bによれば、ガス透過性が良好であるため、発電出力を向上させるのに有利である。
(他の例)
また、ポリビニルアルコール水溶液で形成された流動性をもつ造孔剤の粘度が過剰に高いとき、当該流動性をもつ造孔剤がカーボンペーパの表出面に過剰に付着することがある。この場合、カーボンペーパの表出面に対する導電層の密着性が低下するおそれがある。そこで、カーボンペーパの内部に含浸した造孔剤を残留させたまま、図3(B)に示すように、カーボンペーパの表出面に過剰に付着した当該流動性をもつ造孔剤を、除去要素により取り除く操作を必要に応じて行うことができる。この除去要素としては、カーボンペーパの表出面に過剰に付着した当該流動性をもつ造孔剤を掻き取る機能、当該流動性をもつ造孔剤を掻き取るふき取る機能等を有するものを例示することができる。この結果、カーボンペーパの表出面に対する導電層の密着性が確保される。
また、ポリビニルアルコール水溶液で形成された流動性をもつ造孔剤の粘度が過剰に高いとき、当該流動性をもつ造孔剤がカーボンペーパの表出面に過剰に付着することがある。この場合、カーボンペーパの表出面に対する導電層の密着性が低下するおそれがある。そこで、カーボンペーパの内部に含浸した造孔剤を残留させたまま、図3(B)に示すように、カーボンペーパの表出面に過剰に付着した当該流動性をもつ造孔剤を、除去要素により取り除く操作を必要に応じて行うことができる。この除去要素としては、カーボンペーパの表出面に過剰に付着した当該流動性をもつ造孔剤を掻き取る機能、当該流動性をもつ造孔剤を掻き取るふき取る機能等を有するものを例示することができる。この結果、カーボンペーパの表出面に対する導電層の密着性が確保される。
上記した実施例によれば、高分子材料としてポリビニルアルコールが採用されているが、これに限られるものでなく、前述した高分子材料を適宜用いることができる。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
本発明は車両用、定置用、携帯用の燃料電池に使用されるガス拡散部材に利用することができる。
図中、1はガス拡散部材、10は基材層、12は導電層を示す。
Claims (8)
- 耐食性をもつ導電体を基材とするシート本体の内部に、流動性をもつ造孔剤を保持したシートを形成するシート形成工程と、
前記シート形成工程を経た前記シートを加熱して前記シートの内部に保持されている前記造孔剤を前記シートの外方に蒸散させて細孔を形成する造孔工程とを含むことを特徴とする燃料電池用ガス拡散部材の製造方法。 - 耐食性をもつ導電体を基材とするシート本体の内部に、高分子材料を主要成分とする流動性をもつ造孔剤を保持したシートを形成するシート形成工程と、
前記シート形成工程を経た前記シートを加熱して前記シートの内部の高分子材料を前記シートの外方に蒸散させて細孔を形成する造孔工程とを含むことを特徴とする燃料電池用ガス拡散部材の製造方法。 - 耐食性をもつ導電体を基材とするシート本体の内部に、流動性をもつ造孔剤を保持したシートを形成するシート形成工程と、
前記シート形成工程を経たシートの表出面に、導電材料を含む導電層を配置する配置工程と、
前記配置工程を経た前記シートを加熱し、前記シートの内部に保持されている前記造孔剤を前記シートの外方に蒸散させて細孔を形成する造孔工程とを含むことを特徴とする燃料電池用ガス拡散部材の製造方法。 - 請求項2において、前記高分子材料は水溶性高分子材料であることを特徴とする燃料電池用ガス拡散部材の製造方法。
- 請求項2または請求項4において、前記高分子材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、セルロース、デンプン、ゼラチン、ワックスから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする燃料電池用ガス拡散部材の製造方法。
- 請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項において、前記シート形成工程は、前記流動性をもつ造孔剤と、前記耐食性をもつ導電体を基材とする1次シートとを用い、前記流動性をもつ造孔剤を前記1次シートの内部に含浸させることにより実施されることを特徴とする燃料電池用ガス拡散部材の製造方法。
- 請求項6において、前記シート形成工程では、前記1次シートの表出面に過剰に付着した前記流動性をもつ造孔剤を、除去要素により取り除く操作を行うことを特徴とする燃料電池用ガス拡散部材の製造方法。
- 請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項で形成した燃料電池用ガス拡散部材を有する燃料電池。
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