JP2005206966A - 再生ポリエステル繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】 リサイクルポリエステルを使用していても物性値のバラツキが少なく、耐加水分解性に優れ、高温、高湿度条件下でも好適に使用することができ、かつ布帛とし、染色を行った際にも染色斑が生じにくく、色調にも優れた再生ポリエステル繊維を提供する。
【解決手段】 リサイクルポリエステルの含有量が繊維全体の30質量%以上であり、繊維中の末端カルボキシル基濃度が25当量/トン以下であることを特徴とする再生ポリエステル繊維。
【選択図】 なし
【解決手段】 リサイクルポリエステルの含有量が繊維全体の30質量%以上であり、繊維中の末端カルボキシル基濃度が25当量/トン以下であることを特徴とする再生ポリエステル繊維。
【選択図】 なし
Description
本発明は、使用後回収されたポリエステル(以下、リサイクルポリエステルという)を使用したポリエステルからなる再生ポリエステル繊維に関するものであり、繰り返し高温処理されても強力劣化が少なく耐加水分解性に優れた再生ポリエステル繊維に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)を始めとするポリエステルは、高融点で耐薬品性があり、また、低コストであるために、繊維はもちろんのこと、フィルム成型品等に幅広く用いられている。
これらのポリエステル製品は使用後に廃棄処分されているが、燃焼させる場合には高熱が発生し、焼却炉の傷みが大きく、焼却炉の寿命が短くなるという問題がある。また、焼却しない場合は腐敗分解しないため半永久的に残ることになり、環境の面からも問題となっている。
資源の再利用、環境問題等の面から、様々の分野や素材でリサイクルの試みが行われている。使用量が多く、今後も使用量の大幅な増加が予想されるポリエステルにおいても、液体飲用品用PETボトル等に一度成形使用されたポリエステルを回収し、再度使用することは、資源の再利用に貢献するものであり、地球環境にやさしい企業活動の一環として重要である。そして、このようなリサイクルポリエステルを使用した製品の一つとして、ポリエステルフィラメントがあり、これらのフィラメントは衣料用途や産業資材用途に使用される。
そして、このようなポリエステルフィラメントの用途の一つとして、抄紙装置に使用される抄紙カンバスがあり、抄紙カンバスは熱水の存在下、高温、高湿度条件下で繰り返し使用されるので、フィラメントの耐加水分解性、耐久性が要求される。
リサイクルポリエステルは、様々な製品に加工され、使用された後に回収されたものであるため、溶融粘度、分子量、結晶化度等の物性に大きなバラツキを有しており、ロット間の物性もあまり安定したものではなく、着色や変色が生じやすい。したがって、リサイクルポリエステルより得られたフィラメントの種々の物性も未使用のポリエステル(以下、バージンポリエステルという)フィラメントよりも劣るものであり、このフィラメントより得られた布帛は耐久性等の性能に劣るものとなりやすく、染色を行った場合には、製品内で色斑を生じたり、梱包単位間で色差を生じるという問題がある。
そこで、リサイクルポリエステルのみではなく、バージンポリエステルとリサイクルポリエステルを併用することが提案されている。
そのひとつとして、両ポリエステルを混合して得られたフィラメントがある。例えば、溶融前のチップの段階でバージンポリエステルとリサイクルポリエステルを混合して、溶融紡糸したり、各々別々に溶融押し出しされたバージンポリエステルとリサイクルポリエステルをノズルパック内で混練する方法により得られた混合フィラメントが提案されている。
しかし、この混合フィラメントでは、リサイクルポリエステルの特性は変化していないため、性能の向上は不十分であり、リサイクルポリエステル部分の品質が変動したり、染色斑等の色斑が発生するという問題も十分に解決できなかった。特許文献1に記載されているような芯鞘構造とし、リサイクルポリエステルを繊維表面に露出させないようにすることで、リサイクルポリエステル特有の問題の解決を図ることも行われているが、繊維の形態が限定され、リサイクルポリエステルの割合を多くすることもできず、上記の問題を十分に解決できなかった。
さらに上記したような抄紙カンバス用に使用する際には、ポリエステル繊維特有の加水分解されやすい性質を改良するために、特許文献2に示すように、ポリエステルに末端封鎖剤や共重合成分を添加させることが提案されている。
しかしながら、リサイクルポリエステルを用いた場合、溶融粘度、分子量、結晶化度等の物性に大きなバラツキを有しているため、バージンポリエステルにおいて耐加水分解性を向上させるための方法として、末端封鎖剤を添加する方法を採用したとしても、末端カルボキシル基濃度を低下させることが困難であり、末端封鎖剤を多量に入れると末端カルボキシル基濃度は低下するものの、操業性が非常に悪化するという問題があった。そして、上記のように、バージンポリエステルとリサイクルポリエステルを混合した場合においても同様に耐加水分解性を向上させることはできなかった。
特開2000-328369号公報
特開2002-20931号公報
本発明は、上記のような問題点を解決し、リサイクルポリエステルを使用していても物性値のバラツキが少なく、耐加水分解性に優れ、高温、高湿度条件下でも好適に使用することができ、かつ布帛とし、染色を行った際にも染色斑が生じにくく、色調にも優れている再生ポリエステル繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1) リサイクルポリエステルの含有量が繊維全体の30質量%以上であり、繊維中の末端カルボキシル基濃度が25当量/トン以下であることを特徴とする再生ポリエステル繊維。
(2) リサイクルポリエステルを解重合した低分子量体を用いて再重合してなるポリエステルを含有する再生ポリエステルからなる(1)記載の再生ポリエステル繊維。
(3) 繊維の色調を示すL値が85以上、b値が5.0以下である、(1)又は(2)記載の再生ポリエステル繊維。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1) リサイクルポリエステルの含有量が繊維全体の30質量%以上であり、繊維中の末端カルボキシル基濃度が25当量/トン以下であることを特徴とする再生ポリエステル繊維。
(2) リサイクルポリエステルを解重合した低分子量体を用いて再重合してなるポリエステルを含有する再生ポリエステルからなる(1)記載の再生ポリエステル繊維。
(3) 繊維の色調を示すL値が85以上、b値が5.0以下である、(1)又は(2)記載の再生ポリエステル繊維。
本発明の再生ポリエステル繊維は、一旦使用され、回収されたリサイクルポリエステルを使用していながら、末端カルボキシル基濃度が25当量/トン以下と低いため、耐加水分解性に優れ、繰り返し高温処理されても強力劣化が少なく、高温多湿での使用がなされる抄紙カンバス用途、高温及び高圧洗浄を必要とする医療用や工業用のユニフォーム用途に好適に使用することが可能となる。さらに、リサイクルポリエステルを使用していながら、着色がなく、白度に優れ、布帛として染色を行った際にも染色斑が生じにくく、良好な色調の製品を得ることが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の再生ポリエステル繊維は、原料としてリサイクルポリエステルを使用するものであり、リサイクルポリエステルとしては、液体飲食品用PETボトルやフィルム、繊維などのペレット以外の形に成形された後、低分子に戻されずに再び成形するために回収された樹脂のことをいう。中でもPETボトルを回収したものが比較的品質がよいため好ましい。
本発明の再生ポリエステル繊維は、原料としてリサイクルポリエステルを使用するものであり、リサイクルポリエステルとしては、液体飲食品用PETボトルやフィルム、繊維などのペレット以外の形に成形された後、低分子に戻されずに再び成形するために回収された樹脂のことをいう。中でもPETボトルを回収したものが比較的品質がよいため好ましい。
本発明の再生ポリエステル繊維は、リサイクルポリエステルの含有量が繊維全体の30質量%以上のものである。本発明の再生ポリエステル繊維においては、地球環境保全に貢献する観点から、リサイクルポリエステルをできるだけ多く含むことが好ましいため、リサイクルポリエステルの含有量を30質量%以上とし、中でも40質量%、さらには60質量%以上とすることが好ましい。一方、リサイクルポリエステルの含有量は90質量%以下とすることが好ましい。90質量%を超えると得られる繊維の物性値の均一性や色調が低下しやすくなる。
そして、本発明のポリエステル繊維は、末端カルボキシル基濃度が25当量/トン以下であり、中でも10当量/トン以下であることが好ましい。
末端カルボキシル基濃度が25当量/トンを超えると、ポリエステル繊維の耐加水分解性が大幅に悪化する。なお、末端カルボキシル基濃度の下限としては特に限定するものではないが、以下に詳述するような方法で効率的に得ることができる範囲としては、5当量/トン以上とすることが好ましい。
さらに、本発明のポリエステル繊維は、リサイクルポリエステルを解重合した低分子量体を用いて再重合してなるポリエステルを含有する再生ポリエステルからなる繊維とすることが好ましい。つまり、リサイクルポリエステルを解重合して低分子量化するが、このとき、単量体になるまで解重合することなく、低分子量化したものに続いて再重合することが好ましい。このようなポリエステルについて説明する。
まず、解重合の際には、リサイクルポリエステルにグリコール成分を添加することにより重合体を低分子量化し、得られた低分子量体を低分子量体の状態で続いて再重合を行う。再重合としては、通常の重合方法と同様に、溶融重合や固相重合する方法等が挙げられ、解重合したポリエステルの低分子量体を再重合することにより重合体(ポリエステル)とする。
このように、リサイクルポリエステルを解重合により一旦低分子量体に分解し、この低分子量体を再重合したポリエステルを用いているため、従来のように、リサイクルポリエステルを溶融のみ行って再利用していたポリエステル繊維と異なり、溶融粘度、分子量、結晶化度等の物性値が均一化、安定化し、色調も向上する。
本発明における解重合して低分子量化した低分子量体としては、分子量(数平均分子量)が1000〜4000程度のものとすることが好ましい。分子量が4000を超えるものであると解重合が十分でないため、上記のような物性値の均一化、安定化、色調の向上の効果が不十分となる。一方、分子量を1000未満とするにはコスト的に不利となる。なお、前記したような分子量の低分子量体とするには、リサイクルポリエステルに対するグリコール成分の添加量、反応温度、圧力等を調整することによって可能である。
リサイクルポリエステルを解重合した低分子量体のみを用いて再重合すると、リサイクルポリエステル100%のポリエステル(以下、ポリエステルMとする)を得ることができる。リサイクルポリエステルの含有量を30〜90質量%とするには、一旦、リサイクルポリエステルのみを解重合、再重合したリサイクルポリエステル100%のポリエステル(ポリエステルM)を得、これとバージンポリエステルをブレンドしたポリエステルとしてもよいが、リサイクルポリエステルを解重合した後、再重合時にバージンポリエステルのオリゴマーを添加し、リサイクルポリエステルを解重合した低分子量体とバージンポリエステルの単量体とを再重合させたポリエステル(以下、ポリエステルNとする)としてもよい。ポリエステルの各種の物性値をより均一化、安定化させるためには、後者の再重合時に添加、再重合させて得られたポリエステル(ポリエステルN)とすることが好ましい。
つまり、本発明の繊維を構成する再生ポリエステルは、リサイクルポリエステルを解重合した低分子量体を用いて再重合してなるポリエステルを含有するものであるが、以下に示すような態様のものが挙げられる。
(a)ポリエステルMのみからなる再生ポリエステル。
(b)ポリエステルMにバージンポリエステルをブレンドした再生ポリエステル。
(c)ポリエステルNのみからなる再生ポリエステル。
(d)ポリエステルNとバージンポリエステルをブレンドした再生ポリエステル。
(a)ポリエステルMのみからなる再生ポリエステル。
(b)ポリエステルMにバージンポリエステルをブレンドした再生ポリエステル。
(c)ポリエステルNのみからなる再生ポリエステル。
(d)ポリエステルNとバージンポリエステルをブレンドした再生ポリエステル。
そして、本発明の再生ポリエステル繊維においては、(a)〜(d)の再生ポリエステルの態様のいずれにおいても、上記したようにリサイクルポリエステルの含有量を30質量%以上となるようにする。
また、本発明において、リサイクルポリエステルを含有するポリエステル繊維中の末端カルボキシル基濃度を25当量/トン以下とするには、繊維を形成するポリエステルの末端カルボキシル基濃度を15当量/トン以下とすることが好ましい。
ポリエステル繊維中の末端カルボキシル基濃度をこのような値とするためには、上記のようにして再重合して得られた再生ポリエステルに末端封鎖剤を添加する方法及び再重合時に溶融重合と固相重合とを行う方法が挙げられる。
まず、末端封鎖剤を添加する方法においては、再重合時や再重合後のポリエステルを紡糸する時に末端封鎖剤を添加することが好ましい。末端封鎖剤としては、2,6,2’,6’-テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド(TPC)などのカルボジイミド化合物、フェニルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物等が挙げられる。
また、再重合時に溶融重合と固相重合を行う方法においては、再重合時にまず溶融重合を行い、このポリエステルを常法によりペレット化し、そのペレットを常法で固相重合を行うことが好ましい。このように溶融重合と固相重合の両方を行い、これらの温度や時間等の条件を調整することにより、所望の極限粘度、末端カルボキシル基濃度を有する再生ポリエステルを得ることができる。
さらに、本発明の再生ポリエステル繊維が色調に優れている指標として、繊維の色調を示すL値が85以上、b値が5.0以下であることが好ましく、中でもL値が94以上、b値が3.5以下であることが好ましい。
L値は色の白度を示す指標となり、b値は色の黄度を示す指標となるものであり、L値が85未満であると黒味がかった色となり、b値は低いほど青味がかった色となり、5.0を超えると黄味色が強くなりすぎる。したがって、L値が85未満であったり、b値が5.0を超えると、フィラメント糸を原糸の状態、あるいは布帛として使用した場合ともに、外観的な色調が悪く、品位の悪いものとなる。
なお、本発明におけるL値、b値は、得られた繊維を筒編したもの(染色せず)を重ねて、MINOLTA社製色彩色差計 CR-300にてL値及びb値を測定したものである。
本発明の再生ポリエステル繊維においては、リサイクルポリエステル、バージンポリエステルともに種々のポリエステルを用いることが可能であるが、両者は同種のものとすることが好ましく、リサイクルポリエステルは上記したようにPETボトル由来のものが好ましいため、バージンポリエステルもPETとすることが好ましい。
また、本発明の再生ポリエステル繊維中には、本発明の効果を損なわない範囲であれば共重合成分が含有されていてもよい。共重合成分としては、3 ,3'-ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸などの脂肪族ジカルボン酸、ジエチレングリコール、1 ,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオールなどの脂肪族、脂環式ジオール、P-ヒドロキシ安息香酸などがあげられる。これらはリサイクルポリエステル、バージンポリエステルのいずれに含有されていてもよいし、再重合時に添加されてもよい。
さらに、本発明の再生ポリエステル繊維中には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤、その他顔料、添加剤等が配合されていてもよい。中でも酸化チタンを1.5〜10質量%含有することが好ましい。
酸化チタンを含有することにより、布帛にした際の隠蔽性、すなわち白度を向上させることができる。酸化チタンの含有量が1.5質量%未満であると白度の向上効果が不十分となる。酸化チタンの含有量が10質量%を超えると、紡糸時のフィルター昇圧やガイドの摩耗等の問題が生じて操業性が悪化しやすくなる。
本発明の再生ポリエステル繊維の形状は特に限定するものではなく、丸断面形状のもののみならず、多角形状や多葉形状のものであってもよく、また中空を有するものであってもよい。
次に、本発明の再生ポリエステル繊維の製造方法について一例を用いて説明する。リサイクルポリエステルとしてPETボトル由来のものを用いた場合、リサイクルポリエステルに対してエチレングリコールを5〜30質量%添加し、微加圧下で240〜260℃で解重合反応を行い、低分子量化させる。そして、解重合後にはフィルターで異物を除去することが好ましい。これにより紡糸時の操業性も良好となるばかりでなく、品位も安定する。
続いて、バージンポリエステルとして、テレフタル酸とエチレングリコールを常法によってエステル化し、バージンポリエステルのオリゴマーを得る。
得られたオリゴマーを低分子量化させたリサイクルポリエステルに添加し、再重合を行う。まず、265℃〜290℃で溶融重合を行う。このとき、アンチモン化合物等の重縮合触媒を添加し、常法により重縮合反応を行なうことが好ましい。そして、ポリエステル中のリサイクルポリエステルの量を所望の量とするには、バージンオリゴマーの添加量を調整する。
そして、溶融重合によりポリエステルの極限粘度を 0.5程度とし、このポリエステルを常法によりペレット化し、次にこのペレットを常法により固相重合することにより、末端カルボキシル基濃度が15当量/トン以下の再生ポリエステルを得る。
次に、得られた再生ポリエステルを通常の溶融紡糸装置を用いて溶融紡糸を行う。このとき、2000m/min以上の高速紡糸により、半未延伸糸として巻き取るPOY法、あるいは一旦2000m/min以上の高速紡糸又は2000m/min未満の低速紡糸で溶融紡糸し、一旦巻き取った糸条を別工程で延伸熱処理する方法、さらには、一旦巻き取ることなく、紡糸に連続して延伸を行う紡糸延伸法のいずれの方法を採用してもよい。
以上のように、本発明のポリエステル繊維においては、リサイクルポリエステルを解重合した低分子量体を用いて再重合しているポリエステルを含有する再生ポリエステルからなるので、リサイクルポリエステルの性能や着色のバラツキを減少させることが可能となる。そして、このような再生ポリエステルであるため、末端カルボキシル基濃度が15当量/トン以下のポリエステルとすることができ、得られる繊維中の末端カルボキシル基濃度を25当量/トン以下とすることができ、耐加水分解性に優れ、着色や染色斑生じない色調にも優れたポリエステル繊維とすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例において各種の値の測定及び評価は次の通りに行った。
(1)極限粘度
フェノールと四塩化エタンの質量比1/1の混合物を溶媒とし、20℃で測定した。
(2)強度、伸度
JIS L−1013に従い、島津製作所製の引張試験機AG-100Gを使用し、つかみ間隔500mmとし、引張速度500mm/minとして、糸が切断した時の値を測定した。
(3)末端カルボキシル基濃度の測定
ポリエステル:得られた再生ポリエステル(溶融紡糸前のペレット状のもの)150mgを粉砕してベンジルアルコール10mlに溶解後、クロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定し、ブランクとの滴定量の差より算出した。
ポリエステル繊維:得られたポリエステル繊維150mgを細かく切断し、上記と同様にして滴定し、算出した。
(4)繊維の色調
前記の方法で測定した。
(5)耐湿熱性の評価
得られた繊維(繊維A)を筒編して、135℃で16時間加圧処理を行った。処理後の筒編地より取り出した繊維(繊維B)と繊維Aの強度を(2)の方法で測定し、その値から以下に示す式において、強度保持率を求めた。
強度保持率(%)=(繊維Bの強度/繊維Aの強度)×100
(6)染色斑
(4)の測定の際に得た筒編地を染色し、染色斑を目視で判定し、3段階で評価した。
○:良好
△:やや斑がある
×:斑の発生大
染色条件は、Terasil Nevy Blue SGL (ハ゛イエル社製原糸用染料)の2.0%owf 浴比1:50の染液を用いて99℃で60分間、常法により染色した。
(1)極限粘度
フェノールと四塩化エタンの質量比1/1の混合物を溶媒とし、20℃で測定した。
(2)強度、伸度
JIS L−1013に従い、島津製作所製の引張試験機AG-100Gを使用し、つかみ間隔500mmとし、引張速度500mm/minとして、糸が切断した時の値を測定した。
(3)末端カルボキシル基濃度の測定
ポリエステル:得られた再生ポリエステル(溶融紡糸前のペレット状のもの)150mgを粉砕してベンジルアルコール10mlに溶解後、クロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定し、ブランクとの滴定量の差より算出した。
ポリエステル繊維:得られたポリエステル繊維150mgを細かく切断し、上記と同様にして滴定し、算出した。
(4)繊維の色調
前記の方法で測定した。
(5)耐湿熱性の評価
得られた繊維(繊維A)を筒編して、135℃で16時間加圧処理を行った。処理後の筒編地より取り出した繊維(繊維B)と繊維Aの強度を(2)の方法で測定し、その値から以下に示す式において、強度保持率を求めた。
強度保持率(%)=(繊維Bの強度/繊維Aの強度)×100
(6)染色斑
(4)の測定の際に得た筒編地を染色し、染色斑を目視で判定し、3段階で評価した。
○:良好
△:やや斑がある
×:斑の発生大
染色条件は、Terasil Nevy Blue SGL (ハ゛イエル社製原糸用染料)の2.0%owf 浴比1:50の染液を用いて99℃で60分間、常法により染色した。
実施例1
リサイクルポリエステルとしてPETボトル屑(低分子に戻されずに再び成形するために回収されたフレーク状の樹脂)を用い、エチレングリコール(EG)をリサイクルポリエステルに対して15質量%添加して、温度250℃で2時間、微加圧下で解重合反応を行った。そして、解重合後には目開き20μmのフィルターで異物の除去を行った。解重合により分子量(数平均分子量)が約2000の低分子量体とした。
続いて、バージンポリエステルとして、テレフタル酸とEGのモル比を1:1.6として常法により温度250℃にてエステル化反応を行い、PETオリゴマーを得た。
そして得られたPETオリゴマーを、解重合により低分子量化したリサイクルポリエステルに添加し、再重合を行った。まず、溶融重合として、低分子量化したリサイクルポリエステルとPETオリゴマーとを質量比60:40の比率で重縮合反応釜に投入した後、三酸化アンチモンを重縮合触媒として285℃にて常法により重縮合反応を行ない、また、このとき酸化チタンを、酸化チタンとエチレングリコールのスラリーとして添加し、リサイクルポリエステルの割合が60質量%、酸化チタンを2.0質量%含有した極限粘度0.50 の再生ポリエステルを得、ペレット化した。
次に、このペレットを常法により230℃にて固相重合を行い、極限粘度0.63、末端カルボキシル基濃度が8当量/トンである再生ポリエステルを得た。
このポリエステル(ペレット状)を常法により乾燥し、295℃の押出機に供給し、紡糸装置に供給し、溶融紡糸を行った。紡糸口金には、孔径0.25mmの紡糸孔48個が穿設されていた。紡糸された糸条束を空気流により冷却し、オイリング装置を通過させて0.5質量%の付着量となるように油剤を付与し、集束ガイドで集束し、交絡付与後、紡糸速度3500m/minのローラで引き取り、捲取機にて巻き取った。
得られた繊維(半未延伸糸)は255dtex/48fであり、毛羽、単糸切れによる欠点はなかった。次にこれを通常の延伸装置を用い、700m/minの速度で倍率1.53倍、温度180℃で延伸し、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
リサイクルポリエステルとしてPETボトル屑(低分子に戻されずに再び成形するために回収されたフレーク状の樹脂)を用い、エチレングリコール(EG)をリサイクルポリエステルに対して15質量%添加して、温度250℃で2時間、微加圧下で解重合反応を行った。そして、解重合後には目開き20μmのフィルターで異物の除去を行った。解重合により分子量(数平均分子量)が約2000の低分子量体とした。
続いて、バージンポリエステルとして、テレフタル酸とEGのモル比を1:1.6として常法により温度250℃にてエステル化反応を行い、PETオリゴマーを得た。
そして得られたPETオリゴマーを、解重合により低分子量化したリサイクルポリエステルに添加し、再重合を行った。まず、溶融重合として、低分子量化したリサイクルポリエステルとPETオリゴマーとを質量比60:40の比率で重縮合反応釜に投入した後、三酸化アンチモンを重縮合触媒として285℃にて常法により重縮合反応を行ない、また、このとき酸化チタンを、酸化チタンとエチレングリコールのスラリーとして添加し、リサイクルポリエステルの割合が60質量%、酸化チタンを2.0質量%含有した極限粘度0.50 の再生ポリエステルを得、ペレット化した。
次に、このペレットを常法により230℃にて固相重合を行い、極限粘度0.63、末端カルボキシル基濃度が8当量/トンである再生ポリエステルを得た。
このポリエステル(ペレット状)を常法により乾燥し、295℃の押出機に供給し、紡糸装置に供給し、溶融紡糸を行った。紡糸口金には、孔径0.25mmの紡糸孔48個が穿設されていた。紡糸された糸条束を空気流により冷却し、オイリング装置を通過させて0.5質量%の付着量となるように油剤を付与し、集束ガイドで集束し、交絡付与後、紡糸速度3500m/minのローラで引き取り、捲取機にて巻き取った。
得られた繊維(半未延伸糸)は255dtex/48fであり、毛羽、単糸切れによる欠点はなかった。次にこれを通常の延伸装置を用い、700m/minの速度で倍率1.53倍、温度180℃で延伸し、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
実施例2〜5
再重合時の低分子量化したリサイクルポリエステルとバージンポリエステルオリゴマーの混合比を変更し、再生ポリエステル中のリサイクルポリエステルの割合を表1に示すような値とし、さらに、再重合時の溶融重合と固相重合の時間を調整し、表1に示す末端カルボキシル基濃度を有する再生ポリエステルとなるようにした以外は実施例1と同様に行い、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
再重合時の低分子量化したリサイクルポリエステルとバージンポリエステルオリゴマーの混合比を変更し、再生ポリエステル中のリサイクルポリエステルの割合を表1に示すような値とし、さらに、再重合時の溶融重合と固相重合の時間を調整し、表1に示す末端カルボキシル基濃度を有する再生ポリエステルとなるようにした以外は実施例1と同様に行い、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
比較例1
再重合時に固相重合を行わず、溶融重合のみにより極限粘度0.63、末端カルボキシル基濃度が38当量/トンである再生ポリエステルを得た以外は実施例1と同様に行い、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
再重合時に固相重合を行わず、溶融重合のみにより極限粘度0.63、末端カルボキシル基濃度が38当量/トンである再生ポリエステルを得た以外は実施例1と同様に行い、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
比較例2
実施例1で用いたPETボトル屑(リサイクルポリエステル)を押出機Aに供給して溶融させ、バージンポリエステルとして極限粘度0.64のPETを押出機Bに供給して溶融させ、両者をノズルパック内で混練(リサイクルポリエステルが60質量%となるように供給)して単一孔の紡糸口金より紡糸を行った以外は実施例1と同様に紡糸、延伸を行い、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
実施例1で用いたPETボトル屑(リサイクルポリエステル)を押出機Aに供給して溶融させ、バージンポリエステルとして極限粘度0.64のPETを押出機Bに供給して溶融させ、両者をノズルパック内で混練(リサイクルポリエステルが60質量%となるように供給)して単一孔の紡糸口金より紡糸を行った以外は実施例1と同様に紡糸、延伸を行い、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
比較例3
実施例1で用いたPETボトル屑(リサイクルポリエステル)とバージンポリエステルとして極限粘度0.64のPETを、チップ段階で混合(リサイクルポリエステルが60質量%となるように混合)して溶融混練し、単一孔の紡糸口金より紡糸を行った以外は実施例1と同様に紡糸、延伸を行い、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
実施例1で用いたPETボトル屑(リサイクルポリエステル)とバージンポリエステルとして極限粘度0.64のPETを、チップ段階で混合(リサイクルポリエステルが60質量%となるように混合)して溶融混練し、単一孔の紡糸口金より紡糸を行った以外は実施例1と同様に紡糸、延伸を行い、167dtex/48fの再生ポリエステル繊維を得た。
実施例1〜5、比較例1〜3で得られた再生ポリエステルの末端カルボキシル基濃度、得られた繊維の末端カルボキシル基濃度、強度、伸度、強度保持率(耐湿熱性)、染色斑、色調の測定値及び評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5で得られた再生ポリエステル繊維は、末端カルボキシル基濃度が低く、強度、伸度、強度保持率にも優れ、染色性、色調の評価も良好であった。
一方、比較例1では固相重合を行わなかったため、得られた再生ポリエステル及びこの再生ポリエステルから得られた繊維は、末端カルボキシル基濃度が高く、強度保持率が低く、耐加水分解性に劣るものであった。また、比較例2、3ではリサイクルポリエステルを解重合せずに用いたため、得られた再生ポリエステル及びこの再生ポリエステルから得られた繊維は、末端カルボキシル基濃度が高く、強度保持率が低く、耐加水分解性に劣るとともに、染色斑、色調評価にも劣るものであった。
Claims (3)
- リサイクルポリエステルの含有量が繊維全体の30質量%以上であり、繊維中の末端カルボキシル基濃度が25当量/トン以下であることを特徴とする再生ポリエステル繊維。
- リサイクルポリエステルを解重合した低分子量体を用いて再重合してなるポリエステルを含有する再生ポリエステルからなる請求項1記載の再生ポリエステル繊維。
- 繊維の色調を示すL値が85以上、b値が5.0以下である請求項1又は2記載の再生ポリエステル繊維。
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- 2004-01-22 JP JP2004014400A patent/JP2005206966A/ja active Pending
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