JP2005200624A - ポリエステル系熱収縮性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数の試験片の主収縮方向と直交する方向についての特定条件で引張試験をした時の破断伸度(A)が全試験片において400%以上であり、かつ、温水浸漬後、冷却した時の主収縮方向の収縮率が30〜70%以上であるポリエステル系熱収縮性フィルムであって、主収縮方向の引張弾性率と主収縮方向と直行する方向の引張弾性率の和が6,500MPa以下であり、かつ、温度35℃、相対湿度50%の雰囲気下に2週間保管した後、複数の試験片について同じ条件の引張試験をした時の破断伸度(B)が前記破断伸度(A)平均値の90%以上の値である試験片数が、全試験片数の80%以上であるポリエステル系熱収縮性フィルム。
【選択図】 なし
Description
また、製膜時に主収縮方向に直交する方向(熱収縮性フィルム製造・加工工程における流れ方向)でフィルムが破断し易く、印刷工程やチュービング加工工程、ラベル加工工程において、あるいは、容器等に被覆収縮させた後も衝撃等を受けた際に、フィルムが破断する等の問題があった。
これらの現象は室温環境下であってもフィルム製造後の経過時間、保管時間が長くなると顕著となる傾向が見られ、さらに保管環境温度がより高温となるにしたがってより顕著となる。
昨今、経済性の問題から、熱収縮性フィルムの薄肉化、高速加工化の要請は高まっており、その際、耐破断性(耐破れ性)の向上は、ポリエステル系熱収縮性フィルムにおける大きな課題となっている。
しかし、フィルムに柔軟性を付与すると本願の主目的である上記の耐破れ性が悪化する傾向が見られ、耐破れ性と柔軟性とを両立させたポリエステル系熱収縮性フィルムは従来存在しなかった。
さらには、上記の特性に加えて透明性を向上したポリエステル系熱収縮性フィルムを提供することを目的とする。
また、当該ポリエステル系熱収縮性フィルムにおいて、多価カルボン酸成分として、脂環式ジカルボン酸成分を含み、多価アルコール成分として、脂環式ジオール成分及びポリアルキレングリコール成分を含んだポリエステル樹脂を使用することにより、耐破れ性と柔軟性をあわせ持つ上で有利であることを見出した。
さらに、そのようなポリエステル樹脂に芳香族ポリカーボネート樹脂を配合することにより、ポリエステル構成成分間の相溶性が増す結果、透明性が向上し、収縮仕上がりがより良好な、好ましい熱収縮性ポリエステル系フィルムが得られることも知見した。
(1)主収縮方向の長さ15mm、主収縮方向と直交する方向の長さ100mmの短冊形状に切り出した複数の試験片を、主収縮方向と直交する方向について、チャック間距離20mm、温度23℃、引張速度200mm/分で引張試験した時の破断伸度(A)が全試験片において400%以上であり、かつ、80℃の温水に10秒間浸漬した後、23℃の水で30秒間浸漬冷却した時の主収縮方向の収縮率が30〜70%であるポリエステル系熱収縮性フィルムであって、
主収縮方向の引張弾性率と主収縮方向と直交する方向の引張弾性率の和が6,500MPa以下であり、かつ、温度35℃、相対湿度50%の雰囲気下に2週間保管した後、前記と同じ形状に切り出した複数の試験片を、前記と同じ条件で引張試験をした時の破断伸度(B)が前記破断伸度(A)平均値の90%以上の値である試験片数が、全試験片数の80%以上であることを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルム、
(2)ポリエステル系熱収縮性フィルムにおいて、多価カルボン酸成分中の脂環式ジカルボン酸成分が5モル%以上であり、多価アルコール成分中の脂環式ジオール成分を10モル%以上であり、かつ、数平均分子量が500〜6,000であるポリアルキレングリコールを2〜15重量%(ポリエステル樹脂中)含有する上記(1)記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(3)多価カルボン酸成分中の脂環式ジカルボン酸成分が10〜60モル%であり、多価アルコール成分中の脂環式ジオール成分が20〜60モル%である上記(2)記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
(4)多価カルボン酸成分中の脂環式ジカルボン酸成分が5モル%以上であり、多価アルコール成分中の脂環式ジオール成分を10モル%以上であり、かつ、数平均分子量が500〜6,000であるポリアルキレングリコールを2〜15重量%含有するポリエステル樹脂100重量部に、さらに芳香族系ポリカーボネート樹脂1〜100重量部を混合した樹脂組成物からなる上記(1)記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
(5)脂環式ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であり、脂環式ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノールであり、ポリアルキレングリコールがポリテトラメチレンエーテルグリコールである上記(2)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム、
を提供するものである。
また、本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムは、多価カルボン酸成分中に脂環式ジカルボン酸成分を含み、多価アルコール成分中に脂環式ジオール成分及びポリアルキレングリコール成分を含んだポリエステル樹脂を使用することが、耐破れ性と柔軟性をあわせ持たせるために有利である。そしてさらに芳香族ポリカーボネート樹脂を配合することにより、ポリエステル構成成分間の相溶性が増して透明性が向上し、収縮仕上がりが一層良好な熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることができる。
また、80℃温水浸漬後、冷却した時の主収縮方向の収縮率が30〜70%であることは、熱収縮性が良好であり、ペットボトルやガラス瓶など容器等への包装後の収縮仕上がり良好であるために必要な条件であり、40%〜70%であることがより好ましい。該収縮率が70%以上であると、フィルムにしわや歪みなどが発生して収縮仕上がりが悪くなる。
かかる条件での保管後の引張試験における破断伸度(B)が破断伸度(A)平均値の90%以上の値である試験片数が、全試験片数の80%以上であれば、熱収縮性フィルムの製造工程において、長手>流れ方向の強度が強く熱収縮性フィルム帯の破断トラブルがほとんどなくなって、薄肉化や高速加工が可能であり、また、製造後も破れの問題のない熱収縮性ポリエステル系フィルムとなり得る。ポリエステル系熱収縮性フィルムの製造から、熱収縮性フィルムの製造・加工、容器への包装までの各段階で時間が経過しても破断トラブルの少ないものとなる。無論、破断伸度(B)が破断伸度(A)平均値の90%以上の値である試験片が100%に近くなるほど好ましい。
「引張弾性率」(MPa)=初期断面積で除した直線上の2点間の応力差/同じ2点間の歪み差
また、上記脂環式ジオール成分に用いられる脂環式ジオール化合物としては特に限定されないが、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等が例示され、これらの中で1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好適に使用される。更に、1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス/シス異性体比は、トランス体が50モル%以上であることが耐熱性の観点から好ましい。
これら脂環式ジカルボン酸成分および脂環式ジオール成分は、結晶性のエチレンテレフタレート等からなるポリエステルの結晶性を乱して非晶化度合いを高め、それによる弾力性、柔軟性付与のために、フィルムに高い熱収縮率を発現させ、収縮仕上がりを良好にし、そして、それぞれを上記所定モル%以上含有させることで、本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムに要請される耐破断性(耐破れ性)を向上させることができる。
ポリアルキレングリコール成分を構成するポリアルキレングリコールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合体などが挙げられる。これらは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの中で、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましく、ポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。
また、ポリアルキレングリコールは、数平均分子量の異なるものを複数種併用することもできる。複数種併用する場合は、均一に混合した状態での数平均分子量が前記範囲内であることが好ましい。なお、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等の一般的な方法により測定することができる。
他の多価カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸成分を多く含むものであることが好ましい。芳香族ジカルボン酸成分を構成する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体などが例示され、これらの中でテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体が、特にジオール成分としてエチレングリコールなどを用いたときに高い結晶性となるためポリエステル系熱収縮性フィルムに十分な強度を確保させるので特に好ましい。
さらに、芳香族ジカルボン酸成分を含有させる場合、脂環式ジカルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分の合計量は多価カルボン酸成分の全量に対して80モル%以上であることが収縮仕上がりの観点から好ましい。
他の多価アルコール成分としては、脂肪族ジオール化合物を主成分として用いることが好ましい。具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール等が例示され、これらの中でエチレングリコールが好適に使用される。
さらに好ましくは1〜5重量%の範囲で共重合されることが好ましい。
重縮合反応により得られた樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断されてペレット状とされる。さらに、この重縮合後のペレットを加熱処理して固相重縮合させることにより、更に高重合度化させ得ると共に、反応副生物のアセトアルデヒドや低分子オリゴマー等を低減化することもできる。
また、重縮合反応は、例えば、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、及びこれらのエステルや有機酸塩等の燐化合物の存在下、及び、例えば、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等の金属酸化物、或いは、アンチモン、ゲルマニウム、亜鉛、チタン、コバルト等の有機酸塩や有機金属化合物等の重縮合触媒の存在下でなされる。
これらの重縮合触媒のうち、特に、テトラブトキシチタネート、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウムから選択される1種以上が好適に使用される。
また、重合過程での消泡を促進するため、シリコーンオイル等の消泡剤を添加することもできる。
上記芳香族系ポリカーボネート樹脂は、5重量部以上含有するのが好ましく、上限は好ましくは60重量部、更に好ましくは50重量部である。
なお、ポリエステル樹脂として、脂環式ジカルボン酸と脂環式ジオールとポリアルキレングリコールからなる共重合体を使用する場合には、当該共重合体100重量部に対して、芳香族系ポリカーボネート樹脂20〜100重量部、好ましくは25重量部以上で、好ましくは60重量部以下、更に好ましくは50重量部以下を含む樹脂組成物をフィルム化することが好ましい。
ここで芳香族系ポリカーボネート樹脂としては特に限定されないが入手のしやすさ等の観点からビスフェノール型ポリカーボネート樹脂が好ましい。
また、ポリエステル樹脂と芳香族系ポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物は、ポリエステル樹脂と芳香族系ポリカーボネート樹脂を混合することのほか、それぞれのオリゴマーを製造しておき、それらを重縮合させることにより共重合体樹脂として得ることもできる。
無機の微粒子を構成するものとしては特に制限はなく、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、フッ化リチウムなどが挙げられ、またポリエステルの重合時に用いられるリン化合物等の触媒に起因する微粒子であってもよい。また有機の微粒子についても特に制限はなく、例えばカーボンブラック、各種架橋ポリマー等が挙げられる。
これらの微粒子の平均粒子径としては、前述した効果の観点から、0.001〜6μmの範囲であることが好ましく、さらには0.005〜4μmの範囲、特には0.01〜3μmの範囲である。なお、平均粒子径はレーザー回折法で測定した50%体積平均粒子径(d50)を意味する。
また、該微粒子の混合方法としては特に限定されず、ポリエステル樹脂の重合過程で添加することもできるし、樹脂組成物を用いる場合にはその組成物製造の過程や、更に熱収縮性フィルム成形過程で混合することもできる。
さらに、ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステル系、チオエーテル系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系等の光安定剤、無機系または有機系の結晶核剤、分子量調整剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、滑材、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃補助剤、発泡剤、着色剤、分散助剤などの添加剤を含有していてもよい。
押出し方法としては、特に限定されず、Tダイ法、チューブラー法等を用いることができる。
Tダイ法の場合には、押出し後、表面温度が15〜80℃のキャスティングドラム上で急冷し、厚さ30〜300μmの未延伸フィルムを形成する。そして、加熱縦延伸ロールを使用し、ロール温度60〜120℃、延伸倍率1.0〜1.3倍、好ましくは1.0〜1.1倍の条件下、未延伸フィルムを延伸する。次いで、テンターを使用し、延伸温度60〜120℃、延伸倍率1.7〜7.0の条件下、上記の一軸延伸フィルムを延伸した後、55〜100℃の温度で熱処理して巻き取る。ここで、上記の延伸温度については、80℃の温水に10秒間浸漬した後、23℃の水で30秒間浸漬冷却した時の主収縮方向の収縮率が30%以上、好ましくは40%〜70%となるように適宜決めればよい。
なお、製膜の原料としてはリサイクル原料を使用することもできる。すなわち、本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムに好適に用いることのできるポリエステル系樹脂もしくは樹脂組成物を原料としてシート、フィルム、繊維、成形容器、ボトル等を成形加工する際に発生する端材、あるいは本発明に係る樹脂組成物を一旦溶融してペレット状にしたものも原料として用いることができる。
各実施例及び比較例で用いるポリエステル樹脂の組成分析及び固有粘度の測定は以下の方法で行った。
(ポリエステル樹脂の組成分析)
ポリエステル樹脂溶液試料を、核磁気共鳴装置(NMR)により1Hをモニターすることにより分析し、ジカルボン酸成分に関しては全ジカルボン酸成分に対するモル%を、ジオール成分に関しては全ジオール成分に対するモル%を、さらにポリアルキレングリコール成分のポリエステル樹脂に対する含有量(重量%)を求めた。
(固有粘度(dl/g)の測定)
ポリエステル樹脂約0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒約25mlに1.0重量%となるように110℃で溶解させた後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(中央理化製「2CH型DJ504」)にて30℃で測定した。
(評価方法)
(1)80℃収縮率
各実施例又は比較例におけるフィルムを、延伸方向(主収縮方向)に70mm、これに対する直交方向に10mmの大きさに切り取り試料を作成した。試料の延伸方向に50mm間隔の標線を付し、80℃の温水浴に10秒間浸漬させ、その後30秒間23℃の冷水に浸漬冷却した後の標線間隔(D)を測定し、下式(1)により80℃収縮率を算出した。
「80℃収縮率」(%)=100×(50−D)/50 …式(1)
(2)引張弾性率の和
フィルムの主収縮方向に長さ70mm、幅5mmの試験片を複数枚採取し、また、主収縮方向と直交する方向に長さ70mm、幅5mmの試験片を複数枚採取した。各試験片をチャック間50mmで23℃の恒温室に設置した引張試験機にセットし、長さ方向の応力−歪曲線を引張試験速度5mm/分で求め、試験開始直後の直線部において、下記式により引張弾性率を求めた。主収縮方向の引張弾性率の測定値の平均値及び主収縮方向と直交する方向の引張弾性率の測定値の平均値を各々求め、その和を算出した。
「引張弾性率」(MPa)=初期断面積で除した直線上の2点間の応力差/同じ2点間の歪み差
(3)つの堅さ
各実施例又は比較例におけるフィルムから図1に示したオーバーラップ用製袋品を作り、熱収縮加工した際の口部の肩口に形成される「端部つの」(1)の堅さに関して触感評価を行った。熱収縮加工は、ケーユーシステム株式会社「SKT−3000型」スチーム収縮トンネルを使用し、トンネル温度85℃にて10秒間トンネル内を通過させることにより熱収縮加工を行った。その後「端部つの」に関して触感評価を行った。評価基準は下記の通り。
○:抵抗が小さい、△:やや抵抗を感じた、×:強い抵抗を感じた
(4)収縮仕上がり
各実施例又は比較例におけるフィルムを延伸方向が横方向となるよう円筒状にし、水を充填した350mLのペットボトルにフィルムをかぶせて、80〜90℃に調整した蒸気シュリンクトンネルを5秒間通過させた後の収縮状態を観察し、以下の基準で判定した。
○:収縮ムラやしわの無いきれいな外観
△:収縮ムラやしわが僅かにある外観
×:収縮ムラやしわが著しい外観
(5)破断伸度
各実施例又は比較例におけるフィルムを、主収縮方向の長さ15mm、主収縮方向と直交する方向の長さ100mmの短冊形状に切り出した10枚以上の試験片を、主収縮方向と直交する方向について、チャック間距離20mm、温度23℃、引張速度200mm/分で引張試験を行った。
各実施例及び比較例で用いた原料ポリエステル樹脂について、以下説明する。
(1)ポリエステル樹脂1(PET1)
イーストマン・ケミカル社製「EMBRACE Copolyester」を使用した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がテレフタル酸(以下、「TPA」と略記する。)であり、ジオール成分は、エチレングリコール(以下、「EG」と略記する。)が全ジオールに対して72モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「CHDM」と略記する。)が全ジオールに対して20モル%、ジエチレングリコール(以下、「DEG」と略記する。)が全ジオールに対して8モル%であるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.83dl/gであった。
以下に記載する製造例1の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以下、「CHDA」と略記する。)であり、ジオール成分がCHDMであり、更にポリテトラメチレングリコール(以下、「PTMG」と略記する。)がポリエステル樹脂100重量部に対して10重量部共重合されたポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、1.28dl/gであった。
製造例1
攪拌機を備えた反応槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置に、トランス体含量98%のCHDA18.4kg(107モル)と、トランス体含量70%のCHDM15.6kg(108モル)、及びテトラ−n−ブチルチタネートの6%ブタノール溶液870mlを仕込み、窒素フロー下で150℃まで加熱した後、200℃まで昇温した。その後200℃で1時間保持し、エステル化反応を行った。次いで数平均分子量1,000のPTMG5kgを反応槽内に添加し、200℃から250℃へ昇温しつつ徐々に反応器内を減圧にしながら重縮合反応を行った。反応槽内圧力0.1kPa、反応温度250℃で2.2時間重縮合後、得られたポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
イーストマン・ケミカル社製「EASTAR PETG Copolyester6763」を使用した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がTPAであり、ジオール成分は、EGが全ジオールに対して68モル%、CHDMが全ジオールに対して32モル%であるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.78dl/gであった。
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバドュラン5008」を使用した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がTPAであり、ジオール成分が1,4−ブタンジオール(以下、「BD」と略記する。)であるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.85dl/gであった。
以下に記載する製造例2の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分は、TPAが全ジカルボン酸に対して70モル%、イソフタル酸(以下、「IPA」と略記する。)が全ジカルボン酸に対して30モル%であり、ジオール成分がEGであるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.81dl/gであった。
製造例2
ジカルボン酸成分がTPAが全ジカルボン酸に対して70モル%、イソフタル酸(以下、「IPA」と略記する。)が全ジカルボン酸に対して30モル%であり、ジオール成分がEGであるポリエステル樹脂(以下、「PET5」と略記する。);
スラリー調製槽、エステル化反応槽、重縮合槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置を用い、TPAとIPAの混合物(モル比4:1)とEGのエステル化反応物50kgを入れたエステル化反応槽に、予めスラリー調製槽にて調製したTPA30.2kg(182モル)、IPA13.0kg(78モル)及びEG19.4kg(313モル)(ジカルボン酸とジオールのモル比は1:1.2)のスラリーを連続的に添加してエステル化反応を行った。エステル化反応は、反応温度250℃、常圧の条件下、エステル化反応触媒としてポリエステル樹脂の理論収量に対して200重量ppmの三酸化アンチモンを添加し、生成する水を連続的に留出させながら、反応率95%に達するまでエステル化反応を行った。エステル化反応終了後、エステル化反応物の50kgをエステル化反応槽に残し、エステル化反応物を重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応物が移送された重縮合槽に、安定剤として正リン酸を添加し、重合触媒として酢酸コバルトと三酸化二アンチモンを添加した(何れもEG溶液として添加)。正リン酸、酢酸コバルト、三酸化二アンチモンの添加量はそれぞれ、ポリエステル樹脂の理論収量に対して、60重量ppm、150重量ppm、200重量ppmとした。
その後、常圧から1mmHgまで減圧すると共に、内温を約250℃から約280℃まで上昇させ、EGを留出させながら溶融重縮合反応を行った。減圧開始後4時間経過したところで復圧し、重縮合反応を終了した。重縮合槽を復圧後、槽下部よりポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
以下に記載する製造例3の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がCHDAであり、ジオール成分がCHDMであり、更にPTMGがポリエステル樹脂100重量部に対して25重量部共重合されたポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、1.50dl/gであった。
製造例3
トランス体含量98%のCHDA18.4kg(107モル)、トランス体含量70%のCHDM15.6kg(108モル)及び数平均分子量1,000のPTMG12.5kgを原料とし、ポリエステル樹脂2と同様の方法でポリエステル樹脂を得た。
ポリエステル樹脂PET1を90重量部、ポリエステル樹脂PET2を10重量部配合し、東芝機械製「TEM58mm」押出機により、幅200mmのTダイ口金から、真空ベントを引きつつ時間吐出量8kgにて冷却ロール上に押出し、幅150mm、厚さ0.20mmのシートを得た。その後、上記シートをT.M.Long社製「フィルムストレッチャー」を標準仕様にて使用し、延伸温度77℃、延伸速度3000%/分でキャスティング押出方向に対して、垂直方向に4倍延伸を行い、厚さ50μmの熱収縮性フィルムを得た。該熱収縮性フィルムについて、上記方法にて評価を行った。結果を表1に示す。
表1に示す配合量にてポリエステル樹脂及び芳香族ポリカーボネート樹脂を配合し、実施例1と同様にして熱収縮性フィルムを得、同様に評価した。結果を表1に示す。
B:容器
1:端部のつの
Claims (5)
- 主収縮方向の長さ15mm、主収縮方向と直交する方向の長さ100mmの短冊形状に切り出した複数の試験片を、主収縮方向と直交する方向について、チャック間距離20mm、温度23℃、引張速度200mm/分で引張試験した時の破断伸度(A)が全試験片において400%以上であり、かつ、80℃の温水に10秒間浸漬した後、23℃の水で30秒間浸漬冷却した時の主収縮方向の収縮率が30〜70%であるポリエステル系熱収縮性フィルムであって、
主収縮方向の引張弾性率と主収縮方向と直交する方向の引張弾性率の和が6,500MPa以下であり、かつ、温度35℃、相対湿度50%の雰囲気下に2週間保管した後、前記と同じ形状に切り出した複数の試験片を、前記と同じ条件で引張試験をした時の破断伸度(B)が前記破断伸度(A)平均値の90%以上の値である試験片数が、全試験片数の80%以上であることを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルム。 - ポリエステル系熱収縮性フィルムにおいて、多価カルボン酸成分中の脂環式ジカルボン酸成分が5モル%以上であり、多価アルコール成分中の脂環式ジオール成分を10モル%以上であり、かつ、数平均分子量が500〜6,000であるポリアルキレングリコールを0.5〜15重量%(ポリエステル樹脂中)含有する請求項1記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- 多価カルボン酸成分中の脂環式ジカルボン酸成分が10〜60モル%であり、多価アルコール成分中の脂環式ジオール成分が20〜60モル%である請求項2記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- 少なくとも、多価カルボン酸成分中の脂環式ジカルボン酸成分が5モル%以上であり、多価アルコール成分中の脂環式ジオール成分を10モル%以上であり、かつ、数平均分子量が500〜6,000であるポリアルキレングリコールを0.5〜15重量%含有するポリエステル樹脂100重量部に対して、芳香族系ポリカーボネート樹脂1〜100重量部を含む樹脂組成物からなる請求項1記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
- 脂環式ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であり、脂環式ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノールであり、ポリアルキレングリコールがポリテトラメチレンエーテルグリコールである請求項2〜4のいずれかに記載のポリエステル系熱収縮性フィルム。
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