JP2005193122A - 嫌気性水素発酵処理システム - Google Patents

嫌気性水素発酵処理システム Download PDF

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克士 和田
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Abstract

【課題】 低コストで、効率的な嫌気性有機性廃棄物処理システムを提供すること。
【解決手段】 水素発酵槽、アンモニア含有物発生装置、および脱窒素槽を備え、この順に該有機性廃棄物が移動して処理されるように構成され、該脱窒素槽から処理後の排水が放流されるシステムであり;該アンモニア含有物発生装置からのアンモニア含有物の一部が水素発酵槽に循環・供給されて水素発酵を促進させ;該水素発酵槽において有機性廃棄物の嫌気的発酵により生じた水素発酵ガスの一部または全部が該脱窒素槽に供給されて該脱窒素槽中の窒素化合物の量を低減し;そして、該脱窒素槽から処理後の排水が放流されるように構成された、嫌気性水素発酵処理システムを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機性廃棄物の嫌気性水素発酵処理システムに関する。さらに詳しくは、本発明は、有機性廃棄物を嫌気的に発酵させて得られる水素発酵ガスおよびアンモニアを、有機性廃棄物の処理に利用する、クローズド処理システムに関する。
生ごみや下水などの有機性廃棄物を処理する方法は、従来は、それぞれ、焼却や活性汚泥などで単に処理するのみであったが、最近は、有機性廃棄物から有用物質を回収する方法が種々試みられている。例えば、水素生成細菌を用いて有機物あるいは有機性廃棄物から水素を回収する方法がある(特許文献1および2)。得られた水素ガスは、直接燃料として使用するほか、燃料電池の燃料として使用され、電気エネルギーとして利用されている(特許文献3)。
他に、有機性廃棄物をメタン発酵させて、メタンガスを回収する方法も知られている。また、有機性廃棄物を水素発酵させ、生じた水素発酵残渣をさらにメタン発酵させる方法が知られている(特許文献4および5)。
水素発酵では、有機性廃棄物中の炭水化物を主に利用するため、これらの発酵残渣にはタンパク質などの窒素含有成分が分解されずに残る。また、メタン発酵では、タンパク質が分解された後のアンモニアが残存する。これらの窒素含有成分は、放流先での富栄養化の原因物質であり、環境保全上大きな問題となる。そのため、窒素含有成分の除去方法が検討されている。
窒素含有成分は、水処理工程において空気を曝気することによって硝酸態窒素となるが、特に硝酸態窒素の処理に関して、様々な検討がなされている(非特許文献1)。例えば、硝酸態窒素を含有する廃液に、エタノール、メタノールなどのアルコール、あるいは酢酸などを添加し、固定床の脱窒素微生物と反応させる方法がある。しかし、この方法には、コストが高くなること、添加するアルコールなどにより、廃水中のBODが増加する可能性が高くなるという問題がある。そこで、硝酸態窒素を含有する溶液に水素を吹き込み、脱窒素微生物と反応させることにより、窒素を低減する方法が提案されている(非特許文献1)。さらに、有機汚泥から発生した水素と二酸化炭素との混合ガスを脱窒に用いることを記載する文献(特許文献6)もある。
このように、有機性廃棄物の処理について、水素ガス、メタンガスなどの有用物質の生産と窒素化合物の分解という個々のプロセスについての種々の検討がなされている。しかし、これらを統合したシステムがなく、効率が良く、低コストの有機性廃棄物処理システムが望まれている。
特開平8−191683号公報 特開2000−102397号公報 特開2003−135088号公報 特開2001−149983号公報 特開2003−135089号公報 特開平8−89993号公報 K.JAHANら, Proceedings of the Mid-Atlantic Industrial and Hazardous Waste Conference (2001), pp247-255
本発明は、有機性廃棄物の効率的な処理方法を提供すること目的とする。
本発明は、有機性廃棄物の嫌気性水素発酵処理システムを提供し、このシステムは、水素発酵槽、アンモニア含有物発生装置、および脱窒素槽を備え、この順に該有機性廃棄物が移動して処理されるように構成され、該脱窒素槽から処理後の排水が放流されるシステムであり;該アンモニア含有物発生装置からのアンモニア含有物の一部が水素発酵槽に循環・供給されて水素発酵を促進させ;該水素発酵槽において有機性廃棄物の嫌気的発酵により生じた水素発酵ガスの一部または全部が該脱窒素槽に供給されて該脱窒素槽中の窒素化合物の量を低減し;そして、該脱窒素槽から処理後の排水が放流されるように構成されている。
好ましい実施態様においては、前記アンモニア含有物発生装置がメタン発酵槽、活性汚泥槽、メタン発酵槽とメタン発酵物分離機との組合せ、メタン発酵槽と活性汚泥槽との組合せ、メタン発酵槽とメタン発酵物分離機と活性汚泥槽との組合せからなる群から選択される。
さらに好ましい実施態様においては、前記システムがさらにメタン発酵槽、メタン発酵物分離機、活性汚泥槽および硝化槽を備え、前記有機性廃棄物が水素発酵槽、メタン発酵槽、メタン発酵物分離機、活性汚泥槽、硝化槽および脱窒素槽の順で移動して処理されるように構成され、該メタン発酵槽からのメタン発酵残渣、該メタン発酵物分離機からの分離水、および該活性汚泥槽からの活性汚泥処理水からなる群から選択される少なくとも一つのアンモニア含有物の全部または一部が該水素発酵槽に供給される。
別の好ましい実施態様においては、前記水素発酵槽中のアンモニア態窒素が水素発酵能を阻害しない濃度となるように、該水素発酵槽へのアンモニア含有物の供給量が調整される。
また、好ましい実施態様においては、前記アンモニア含有物が、水素発酵槽に導入される有機性廃棄物の希釈に使用される。
より好ましい実施態様においては、前記アンモニア含有物が、脱窒素槽からの処理後の排水で希釈される。
また、別の好ましい実施態様においては、前記水素発酵槽内のアンモニア態窒素の濃度が1000mg/L以下となるように調整される。
本発明の有機性廃棄物の嫌気性水素発酵処理システムを用いることにより、有機性廃棄物から水素ガス、メタンガスなどの燃料ガスあるいはエネルギーを回収するとともに、有機性廃棄物の処理過程で得られる水素発酵ガス(好ましくは、水素ガスと二酸化炭素との混合ガス)を亜硝酸・硝酸含有排水(亜硝酸および/または硝酸態窒素を含有する排水)に導入することにより、窒素化合物を分解することができる。さらに、メタン発酵あるいは活性汚泥処理で生じるアンモニア態窒素を水素発酵槽に循環・供給することにより、水素発酵が効率的に行われ、水素発酵槽内のpH調整のためのアルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなど)の使用量を低下することができる。このように、有機性廃棄物の分解生成物(水素、二酸化炭素、アンモニアなど)を、各プロセスにおける有機性廃棄物の処理に用いることができるので、有機性廃棄物の、効率的な低コストのクローズド処理システムが構築され得る。
本発明の有機性廃棄物の嫌気性水素発酵処理システムについて、図面を参照しながら説明する。図1に示すシステムは、水素発酵ガス回収装置16を備えた水素発酵槽2、アンモニア含有物発生装置20、および脱窒素槽13を備えている。このシステムにおいて、有機性廃棄物1は、水素発酵槽2、アンモニア含有物発生装置20、および脱窒素槽13の順に移動し、それぞれの槽において、分解処理を受けるように構成されている。
このシステムにおいて、有機性廃棄物1は水素発酵槽2に導入され、嫌気的に水素発酵が行われる。発生した水素発酵ガス15は水素回収装置16に回収され、水素発酵残渣3はアンモニア含有物発生装置20に送られる。アンモニア含有物発生装置20からのアンモニア含有物21の一部はアンモニア供給手段22により水素発酵槽2に循環・供給され、水素発酵槽2内における水素発酵が促進される。アンモニア含有物21の残りの一部は、好ましくはさらに活性汚泥処理および/または硝化処理を受けて、亜硝酸・硝酸含有排水12が脱窒素槽13に送られる。この脱窒素槽13では、微生物の作用により、亜硝酸および/または硝酸(以下、亜硝酸・硝酸という場合がある)が分解されるが、この分解には水素供与体が要求される。そこで、前記水素回収装置16に回収された水素発酵ガス15の全部または一部を脱窒用水素発酵ガス17として、脱窒素槽13に導入する。なお、水素発酵ガス17には水素ガス以外に二酸化炭素が含まれていてもよい。この脱窒用水素発酵ガス17に含まれる水素を利用して亜硝酸・硝酸含有排水12中の窒素化合物が分解され、窒素化合物の含有量が低減された放流水14が排出される。なお、窒素化合物とは、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素など、微生物によって分解される窒素含有化合物を意味する。また、低減というときには、実質的に除去する場合も含む。
このように、図1に示すシステムは、有機性廃棄物1の処理過程で生じるアンモニアを有機性廃棄物1の水素発酵における窒素源およびpH調整剤として使用し、さらに、嫌気的水素発酵により生じる水素発酵ガス(水素と二酸化炭素の混合ガスまたは二酸化炭素を除去した水素ガス)が亜硝酸・硝酸処理に使用される。従って、クローズド処理システムが実現できる。さらに有機性廃棄物1の処理における嫌気的水素発酵におけるpH調整剤の添加、あるいは脱窒処理における有機物(上記アルコール、酢酸など)の添加が不要になるか、あるいは大きく低減される。
なお、図1の水素発酵ガス回収装置16は、必ずしも水素発酵槽2に設けなくともよく、水素発酵ガス15を脱窒用水素発酵ガス17として、直接、脱窒素槽13に導入するように構成してもよい。この場合、脱窒素槽13に水素発酵ガス回収装置16を取りつけてもよい。
この図1における有機性廃棄物のクローズド処理システムに用いるアンモニア含有物発生装置20については、図2において説明する。
図2は、本発明のシステムにおいて、最も好ましいシステムの構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すアンモニア含有物発生装置20として、メタン発酵槽4、メタン発酵物分離機6(以下、単に分離機6ということがある)、および活性汚泥槽9が用いられ、そして、硝化槽11をさらに備えている。
図2は、図1に示すアンモニア含有物発生装置20として、メタン発酵槽4、メタン発酵物分離機6および活性汚泥槽9の組合せを示しているが、アンモニア含有物発生装置20として、メタン発酵槽4のみ、活性汚泥槽6のみ、メタン発酵槽4および活性汚泥槽6の組合せ、並びにメタン発酵槽4およびメタン発酵物分離機6の組合せのいずれかであってもよい。
図2に示すシステムについて説明すると、水素発酵槽2、メタン発酵槽4、分離機6、活性汚泥槽9、硝化槽11、および脱窒素槽13を備えており、この順に、有機性廃棄物1が処理され、移動するように構成されている。このシステムにおいては、水素発酵槽2に水素発酵ガス回収装置16が備えられ、回収した水素発酵ガス15の全部または一部を脱窒用水素発酵ガス17として脱窒素槽13に導入するように構成されている。そして、メタン発酵残渣5は分離機6で固液分離され、アンモニア含有物である分離水8の一部は、有機性廃棄物1の希釈に用いられ、水素発酵槽2へ循環・供給されるように構成されている。
さらに詳しく説明すると、有機性廃棄物1は水素発酵槽2に導入され、嫌気的に水素発酵される。発生した水素発酵ガス15は水素発酵ガス回収装置16に回収される。水素発酵後の水素発酵残渣3は、メタン発酵槽4に導入される。メタン発酵により発生したメタン発酵ガス18はメタン発酵ガス回収装置19に回収される。メタン発酵に伴ってアンモニアが発生するため、メタン発酵残渣5にはアンモニアが含まれる。このメタン発酵残渣5は分離機6に導入され、固液分離される。固形物7は別途処分されるか、コンポストなどに資源化され、アンモニアを含有する分離水8の一部は活性汚泥槽9に導入される。活性汚泥槽9においては、残存BOD源が分解されるが、アンモニア態窒素は残存するため、生じる活性汚泥処理水10はアンモニアを含んでいる。この活性汚泥処理水10は硝化槽11に導入される。硝化槽11においては、アンモニア態窒素が硝化処理され、生じる亜硝酸・硝酸含有排水(硝化処理水)12は、脱窒素槽13に導入される。脱窒素槽13には、水素発酵ガス回収装置16に回収された水素発酵ガス15の全部または一部が脱窒用水素発酵ガス17として、導入される。この脱窒用水素発酵ガス17に含まれる水素を利用して、亜硝酸・硝酸含有排水12中の窒素化合物が分解され、窒素化合物の含有量が低減された脱窒素処理水23(放流水14)が排出される。一方、メタン発酵物の分離水8の一部は有機性廃棄物1の希釈に用いられる。分離水8中のアンモニア濃度が高い場合、脱窒素処理水23の一部を分離水8中のアンモニア濃度を調整(希釈)するために、希釈水24として用いることが、クローズドシステム構築のために好ましい。希釈水24として用いられない脱窒素処理水23は、放流水14として、放流される。このようにして、アンモニアを含有する分離水8は水素発酵槽2に循環・供給され、水素発酵における微生物の窒素源として、および水素発酵に伴って生じる有機酸によるpHの低下を防止するためのpH調整剤として利用される。
さらに、脱窒素処理水23の一部である希釈水24は、分離水8中のアンモニアの含量を調整するためにのみ用いられるわけではなく、有機性廃棄物1の溶解ならびに有機物濃度の調整のために使用することができる。このような用途に使用することにより、放流水14の量が低減される。
このように、本発明のシステムを用いると、有機性廃棄物1の処理において生成するアンモニアを水素発酵槽2に供給することにより、アンモニアが水素発酵微生物の窒素源となり、水素発酵時のpH調整を行い、そして、水素発酵を促進するという効果が得られる。さらに、この有機性廃棄物1に由来する水素発酵ガス15により、この有機性廃棄物1に由来する窒素化合物の処理が促進される。さらに、脱窒素処理水23の一部を、有機性廃棄物1の溶解と有機物濃度の調整および水素発酵槽2に循環・供給するアンモニア濃度の希釈水24として用いることにより、放流水14の量を低減できる。従って、嫌気的水素発酵および脱窒処理において、pH調整剤および有機物を添加することなく、有機性廃棄物1の処理生成物で、有機性廃棄物1の処理を完結し得る有機性廃棄物処理システムを実現することができる。
以下、図2を参照しながら、本発明のシステムを用いて有機性廃棄物を処理する方法を具体的に説明する。本発明において、有機性廃棄物1とは、炭水化物(糖類)並びにタンパク質などの窒素含有有機化合物を含む廃棄物をいい、食品工業、製紙工業、畜産業などにおける廃棄物、都市下水の汚泥などが例示されるが、これらに制限されない。
有機性廃棄物1は、必要に応じて前処理を行ってもよい。前処理には、例えば、加熱処理などが含まれる。50℃以上で加熱することにより、以降の工程において、有機性廃棄物1に含まれる水素発酵を阻害する微生物(例えば、乳酸菌、メタン生成菌など)が死滅するとともに、有機性廃棄物1が微生物による分解を受けやすくなる。
(水素発酵)
有機性廃棄物1は、まず、水素発酵槽2に導入されて、嫌気的に水素発酵される。水素発酵槽2には、水素発酵能を有する微生物が含まれる。水素発酵能を有する微生物は、浮遊状態でもよく、固定床などに固定されていてもいてもよい。水素発酵能を有する微生物に特に制限はない。光合成細菌を用いることもできるが、コスト等の観点から、非光合成の嫌気性微生物であることが好ましい。
水素発酵能を有する微生物としては、単離された、既知の水素発酵能を有する微生物、あるいは、有機性廃棄物中に生息し、水素発酵能を有する微生物(混合微生物、微生物フローラ)が用いられる。有機性廃棄物中に生息し、水素発酵能を有する微生物としては、シトロバクター(Citrobactor)属、エンテロバクター(Enterobactor)属、クロストリジウム(Clostridium)属、クレブシエラ(Klebsiera)属などに属する微生物などが知られているが、これらに制限されない。有機性廃棄物中の水素発酵能を有する微生物は、馴養することにより、集積される。水素発酵能を有する微生物は、有機性廃棄物の種類(成分)に応じて、適宜選択することができ、組合せて使用してもよい。
本発明においては、水素発酵能を有する微生物を、水素発酵槽2内で有機性廃棄物1と接触させる。水素発酵槽2内のpHは3〜8、好ましくは4〜7に維持され、温度は、20〜60℃、好ましくは25〜37℃に維持される。これらは、一般的条件であり、用いる微生物によって異なり、適宜調整され得る。この水素発酵においては、水素発酵に伴う有機酸の生産によってpHが低下し、そしてアンモニア態窒素が律速となり得るので、図2に示すように、有機性廃棄物1の処理によって生じるアンモニアを循環させてpHを調製することが好ましい(後述の「メタン発酵」参照)。
微生物による嫌気条件下における水素発酵では、一般に、水素と二酸化炭素とがほぼ1:1の割合で発生する。従って、本発明の方法において生成される水素発酵ガス15は、水素と二酸化炭素とをほぼ1:1の割合で含む。
水素発酵槽2は、水素分圧を低下させることにより水素を効率的に生成させる目的で、減圧下で稼動するように構成されているか、あるいは生成した水素ガスを通過させるようなガス分離膜を備えていることが好ましい。
水素発酵ガス回収装置16のガス導入口には、二酸化炭素捕捉装置(図示せず。例えば、水酸化ナトリウム水溶液へのバブリング装置)が備えられ、主に水素が水素発酵ガス回収装置16内に回収されるように構成されてもよい。回収された水素は、脱窒用水素発酵ガス17として、脱窒素槽13に導入される。しかし、本発明においては、後述するように、この二酸化炭素が脱窒素槽のpH緩衝剤および微生物の炭素源として機能するので、発生した水素発酵ガス15をそのまま(すなわち、水素ガスおよび二酸化炭素の混合ガスの形態で)水素発酵ガス回収装置16に貯蔵することが好ましい。すなわち、水素発酵ガス15を水素発酵ガス回収装置16に導入するに際し、二酸化炭素捕捉装置を配置しないか、あるいは通過させないようにする。
なお、図1と同様、図2の水素発酵ガス回収装置16は、必ずしも水素発酵槽2に設けなくともよく、水素発酵ガス15を脱窒用水素発酵ガス17として、直接、脱窒素槽13に導入するように構成してもよい。この場合、脱窒素槽13に水素発酵ガス回収装置16を取りつけてもよい。
回収された水素発酵ガスの全部または一部は脱窒用水素発酵ガス17として利用される。残りの水素発酵ガスは、必要に応じて、二酸化炭素捕捉装置等を経由して水素ガスのみを回収し、水素エネルギーとして利用され得る。
(メタン発酵)
水素発酵残渣3には、水素発酵の副生物である有機酸(酢酸、ギ酸、乳酸、酪酸、プロピオン酸など)が含まれ、利用されなかった炭水化物、タンパク質、脂質なども含まれる。そこで、これらの有機酸および炭水化物、タンパク質、脂質などを有効に処理するため、メタン発酵を行う。水素発酵残渣3をメタン発酵槽4に導入し、嫌気条件下でメタン発酵能を有する微生物と接触させる。
メタン発酵能を有する微生物としては、単離された、既知のメタン発酵能を有する微生物、あるいは、有機性廃棄物中に生息し、水素生産能力を有する微生物(混合微生物、微生物フローラ)が用いられる。有機性廃棄物中に生息し、メタン発酵能を有する微生物としては、メタノコッカス(Methanococcus)属、メタノバクテリウム(Methanobacterium)属、メタノサルシナ(Methanosarcina)属などに属する微生物が挙げられるが、これらに制限されない。有機性廃棄物中のメタン発酵能を有する微生物は、馴養することにより、得られる。メタン発酵能を有する微生物は、有機性廃棄物の種類(成分)に応じて、適宜選択することができ、組合せて使用してもよい。
本発明においては、メタン発酵槽2のpHは5〜9、好ましくは6〜8に維持され、温度は25〜65℃、好ましくは30〜40℃、高温菌の場合は、50〜60℃に維持される。これらは、一般的条件であり、用いる微生物によって異なり、適宜調整され得る。
微生物による嫌気条件下におけるメタン発酵では、一般に、メタンと二酸化炭素とがほぼ1:1の割合で発生する。従って、本発明において生じるメタン発酵ガス18は、メタンと二酸化炭素とをほぼ1:1の割合で含む。
メタン発酵ガス回収装置19のガス導入口には、二酸化炭素を吸収するための装置(例えば、水酸化ナトリウム水溶液へのバブリング装置)が備えられ、メタン発酵槽4からのガスが通過するように構成されていることが好ましい。メタン発酵ガス回収装置19に回収されたメタンは、燃料として利用される。
(メタン発酵後の処理)
メタン発酵残渣5は、通常は、分離機6に導入され、固液分離される。固形物7は別途処分されるか、コンポストなどに資源化される。分離水8はそのまま廃棄されるか、液肥として有効に利用されるか、さらなる処理に付される。メタン発酵残渣および分離水8には、メタン発酵により生じるアンモニアが含まれる。一方、水素発酵においては、有機酸などの生成によりpHが低下する。このpHの調節と、水素発酵におけるアンモニア態窒素の供給を兼ねて、メタン発酵残渣5または分離水8の一部を水素発酵槽2に循環するように構成することにより、図2に示すような有機性廃棄物のクローズド処理システムが構築される。
メタン発酵残渣5あるいはその分離水8には、一般的には、アンモニア態窒素として約1500〜2500mg−N/L、場合によっては3000mg−N/Lのアンモニアが含まれる。これは、M−アルカリ度に換算して約7000〜14,000mg/L程度に相当する。そのためメタン発酵残渣5あるいはその分離水8は大きなpH緩衝能を有している。このメタン発酵残渣5あるいは分離水8を水素発酵槽2に循環・供給することにより、水素発酵に伴う有機酸生成によるpH低下を抑制できる。他方、嫌気的な水素発酵は、アンモニア態窒素の濃度により、影響を受ける。本発明者らの実験によると、アンモニア濃度は、1000mg−N/L以下であることが、水素発酵を効率良く行う上で好ましい。より好ましくは、50〜900mg−N/L、さらに好ましくは、300〜700mg−N/L程度である。このようなアンモニア態窒素濃度となるように、分離水8の供給量を調整することが好ましい。
なお、メタン発酵残渣5または分離水8のアンモニア含有量は、上記のように水素発酵に影響を与える1000mg−N/L以上であることが多いため、循環量が多すぎると水素発酵槽内のpHの制御が困難となる。すなわち、pH緩衝能が大きいため、最適pHに維持することが困難となる。そのため、メタン発酵残渣5または分離水8は、希釈されることが好ましい。この希釈には、後述の脱窒素処理水23の一部である希釈水24が用いられる。好ましい希釈率は、上記アンモニア態窒素濃度が維持される濃度であれば制限はない。循環量などを考慮すると、希釈水:分離水の比率は最大でも1:1程度であることが好ましい。このように、希釈水24として、有機性廃棄物1の最終分解物である脱窒素処理水23(放流水14)を用いることにより、処理に使用する水量が減少でき、放流水量が減少する。
なお、アンモニア濃度の調整においては、水素発酵槽2中にアンモニア濃度センサーを設け、水素発酵槽2中のアンモニア濃度が適切な範囲となるように、例えばコンピューターを用いて、メタン発酵残渣5あるいは分離水8の添加量を調整することができる。分離水8および希釈液24を用いて有機性廃棄物1を溶解あるいは希釈する場合は、この溶解液あるいは希釈液中のアンモニア濃度および水素発酵槽2中のアンモニア濃度を測定して、水素発酵槽2中のアンモニア濃度が適切範囲となるように、有機性廃棄物1の溶解液あるいは希釈液の供給量を決定すればよい。これらは、例えば、コンピューターを用いて調整され得る。
このようにメタン発酵残渣5および分離水8には大きなpH緩衝能があることから、これらを水素発酵槽2に循環・供給することにより、pHの調整のために用いられているアルカリ剤(炭酸ナトリウム、苛性ソーダ)などが不要になるか、使用量が減少できる。
(活性汚泥処理)
分離機6からの分離水8は、嫌気性の水素発酵あるいはメタン発酵で利用されなかった水溶性の有機物を多く含むため、活性汚泥槽9に導入されてさらなる処理を受けることが好ましい。活性汚泥槽9においては、当業者に周知の方法、例えば、曝気処理などの好気的処理と嫌気的処理とを組合せて、これらの有機物が処理される。活性汚泥処理後の活性汚泥処理水10には、アンモニアなどの窒素含有化合物が多く含まれている。従って、このアンモニアを含有する活性汚泥処理水10の一部を水素発酵槽2に循環するように構成してもよい。
(硝化処理)
アンモニアを含有する活性汚泥処理水10は硝化槽11に導入される。硝化槽11には、硝化細菌、例えば、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属、ニトロバクター(Nitrobactor)属に属する微生物が含まれており、活性汚泥処理水10中のアンモニアを硝酸あるいは亜硝酸に酸化する。
(脱窒処理)
硝化槽11からの硝化処理水である亜硝酸・硝酸含有排水12は、亜硝酸態窒素および/または硝酸態窒素を多く含む。この亜硝酸・硝酸含有排水12は、脱窒素槽13に導入されて、脱窒処理される。脱窒素槽13には、水素を利用して硝酸態窒素あるいは亜硝酸態窒素を代謝し、窒素ガスを発生させる細菌(水素利用脱窒細菌)が含まれている。水素利用脱窒細菌としては、パルコッカス(Parcoccus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、ミクロカス(Microccus)属などに属する微生物が挙げられる。パルコッカス属に属する微生物としては、パルコッカス デニトリフィカンス(Parcoccus denitrificans)が例示される。ミクロカス属に属する微生物としては、ミクロカス デニトリフィカンス(Microccus denitrificans)が例示される。このような水素利用脱窒細菌は、活性汚泥中に含まれており、活性汚泥を、水素ガスを供給しながらアンモニアを含む廃水で馴養することにより集積される。
水素利用脱窒細菌は、以下の反応式に従って、水素を利用し、硝酸態窒素を窒素に代謝する。
Figure 2005193122
この反応に用いる水素は、有機性廃棄物1の嫌気的水素発酵によって得られた水素発酵ガス15であり、これが脱窒用水素発酵ガス17として、脱窒素槽13に供給される。従って、有機性廃棄物1で発生した水素を水素利用脱窒細菌による窒素除去のために使用するので、有機性廃棄物1の処理生成物を用いて、有機性廃棄物1を処理することができる。
なお、水素は水に溶解しにくい(20℃で、1.6mg/L)ため、脱窒素槽13を加圧状態として、水素の溶解を促進させてもよい。
上記反応式からわかるように、この脱窒反応により、水酸イオンが発生する。そのため、脱窒素槽13のpHが上昇し、反応の進行が妨げられるため、pH調整剤を添加する必要が生じる。そこで、有機性廃棄物1の水素発酵ガスを、発生した水素と二酸化炭素との混合ガスのままで、脱窒素槽13に供給する。このように構成することにより、二酸化炭素が亜硝酸・硝酸含有排水12に溶解し、水酸イオンの緩衝作用を発揮し、亜硝酸・硝酸含有排水12のpHの上昇が抑制される。そして、水素利用脱窒細菌の活性を妨げることなく、硝酸態窒素が窒素ガスに代謝される。さらに、二酸化炭素は水素利用脱窒細菌の生育のための炭素源としても利用され得る。従って、この方法を採用することにより、有機性廃棄物1の水素発酵処理により生じる水素と二酸化炭素との混合ガスをそのまま、有機性廃棄物1の処理に用いることができる。この水素発酵ガスを利用することに加えて、さらに上記の通り、有機性廃棄物1の処理によって生じるアンモニア態窒素を水素発酵槽2に戻すように構成することで、有機性廃棄物処理のクローズドシステムが確立される。
脱窒素槽13からの脱窒素処理水23の一部は、メタン発酵物の分離水8を循環・供給する場合のアンモニア濃度調整のために希釈水24として用いられる。残りの一部は放流水14として、放流される。また、脱窒素処理水23の一部は有機性廃棄物1の溶解あるいは希釈に用いてもよい。希釈水24以外の脱窒素処理水23は、放流水14として放流される。この放流水14は、水溶性炭水化物、硝酸態窒素などの含有量が低減されており、廃水としてさらなる処理の必要がない状態にまで処理されている。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこの実施例に制限されることはない。
(参考例1)
以下の組成のグルコース培地:
Figure 2005193122
を準備し、3L容のジャーファーメンタに2L投入した。水素発酵微生物は、生ごみのメタン発酵残渣(消化汚泥)を35℃の培養温度で1週間馴養することにより、集積した。水素発酵は、この集積した水素発酵微生物を用いて、培養温度35℃、攪拌速度150rpm、pH5.2の条件下、培養液(グルコース培地)の滞留時間が15〜20時間となるように連続培養を行うことにより、行った。なお、培養液のpHはアンモニアを用いて調整した。結果を図3に示す。
図3は、水素発酵ガス中に、水素と二酸化炭素とがほぼ1:1の割合で含まれていることを示す。なお、メタンガスの発生は認められなかった。この参考例1で得た水素と二酸化炭素との混合ガス、および水酸化ナトリウム水溶液へのバブリングにより二酸化炭素除去処理を施した水素発酵ガス(ほぼ純粋な水素ガス)を、以下の脱窒処理に用いた。
(実施例1)
下水処理場の余剰汚泥を入手し、以下の組成の脱窒処理用人工廃水
Figure 2005193122
を用いて回分処理し、馴養することにより、水素利用脱窒細菌群を集積した。得られた水素利用脱窒細菌群を集め、図4に示す装置を用いて、脱窒処理を行った。図4に示す装置は、水素利用脱窒細菌群を含む脱窒素槽13、バルブ32、圧力調整バルブ33、スターラーバー34、スターラー35を備えており、脱窒処理用人工廃水31が1L充填されている。スターラーバー34をスターラー35で回転させて、反応を開始した。
参考例1で回収した水素発酵ガス15(水素と二酸化炭素がほぼ等量含まれる混合ガス)をバルブ32から、4時間おきに100ml供給して、脱窒処理を行った。結果を図5に示す。
(実施例2)
実施例1と同様の装置を用い、水素発酵ガス15(水素と二酸化炭素の混合ガス)の代わりに、脱二酸化炭素処理した水素発酵ガス(水素ガスのみ)を4時間おきに50ml供給したこと以外は実施例1と同様にして、脱窒処理を行った。結果を図5に示す。
(比較例1)
水素利用脱窒細菌群を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、処理を行った。結果を図5に示す。
図5において、黒丸、白丸、および黒三角は、それぞれ実施例1、実施例2、および比較例1の結果を示す。図5(a)は、硝酸態窒素量の経時変化を示すグラフである。実施例1および2ともに、硝酸態窒素が分解されていることがわかる。実施例1では、48時間で90%以上が分解され、実施例2では、90%以上分解するまでに78時間を要した。比較例1では、全く分解されなかった。図5(b)はpHの経時変化を示すグラフである。図5(b)に示すように、実施例1の処理水のpHは、ほぼpH7.2〜7.7の間に維持された。これは、水素ガスと同時に添加された二酸化炭素の緩衝作用によるものと思われる。これに対して、実施例2では、pHは徐々に上昇し、48時間以降はpH10程度にまで上昇した。このpHの差が、図5(a)に示されるような脱窒速度の低下に影響したものと考えられる。これらの結果から、有機性廃棄物の水素発酵で生じる水素発酵ガスを脱窒処理に適用することにより、効率的に脱窒処理が行い得ることがわかる。特に、水素と二酸化炭素の混合ガスを用いることにより、亜硝酸・硝酸含有排水のpHを中性付近で一定に保つことができるため、脱窒処理がさらに効果的に行われる。
(参考例2)
メタン発酵物分離水を、以下のように調製した。生ごみを基質として連続的にメタン発酵を行い、メタン発酵物を遠心分離(5000×g、10分)により固液分離し、分離水を得た。分離水はpH8.1、アンモニア態窒素濃度は2100mg−N/L、M−アルカリ度は9700mg/Lであった。
(実施例3)
ドッグフードを基質として用い、参考例2で得た分離水を水素発酵時の希釈水/調整水として用いて、水素発酵を行った。図6に実施例3に用いた装置の模式図を示す。この水素発酵装置40は、恒温水槽41、マグネティックスターラー42、培養槽(水素発酵槽)43、pHメーター44、基質サンプリング口45、スターラーバー46、pH制御器47、5N−NaOH水溶液48、電磁弁49、がス測定装置50、およびガスサンプリング口51を備えている。グルコースを基質として35℃で連続的に培養して得られた水素生成能を有する微生物200mlを培養槽43に入れた。上記参考例2で得た分離水を、アンモニア態窒素の初期濃度が500mg/Lとなるように調整し、その800mlを添加し、ドッグフード110gを加えた。窒素ガスを培養槽43の液相部に吹きこんで、培養槽43内を嫌気状態とした。マグネティックスターラー42で液相部の攪拌を行い、液相部のpHが6.5に維持されるように制御した。制御は、pH制御器47を用いて、5N−NaOH水溶液48を添加することにより行った。ガス生成量は酸性飽和食塩水で水中置換によりガスを捕捉するガス測定装置50を用いて測定した。実験の終了はガス発生が終了した時点とした。実験の再現性を確認するため、装置40を多数配置し、開始時間をずらして3回実験を行った。
(実施例4〜5)
アンモニア態窒素の初期濃度を1000mg/L(実施例4)および1500mg/L(実施例5)となるように調整した以外は実施例3と同様にして、ガス生成量を測定した。また、アンモニア態窒素の初期濃度を0mg/L(比較例2)となるように調整した以外は実施例3と同様にして、ガス生成量を測定した。結果を表3および図7に示す。
Figure 2005193122
表3および図7からわかるように、アンモニア態窒素の濃度が1500mg/L程度であれば、水素発酵が行われるが、水素収率が低下することがわかる。さらに、表1の5N−NaOH水溶液の消費量を見ると、アンモニア態窒素が含まれない場合(比較例2)は120ml消費されたのに対して、アンモニア態窒素の濃度が500mg/Lの場合、比較例2に比べて、消費量が約30%少ない85mlであった。また、アンモニア態窒素の濃度が1000mg/Lの場合、消費量は50%以上少ない58mlであった。これらの結果は、アンモニア態窒素を用いて水素発酵時のpH調整を有効に行えると同時に、アンモニア態窒素の濃度を適切な範囲に維持することにより、水素発酵が良好に行われることを示す。
以上の実施例から、嫌気性水素発酵により生じた水素発酵ガスを用いることにより、脱窒が有効に行われ、メタン発酵により生じるアンモニア含有物を用いることにより、水素発酵時のpH調整と水素発酵の促進が図られることが示された。
本発明のシステムによれば、有機性廃棄物の水素発酵で生じる水素発酵ガスを、有機性廃棄物の脱窒処理に用いることができる。さらに、水素発酵後のメタン発酵などで生じるアンモニア態窒素を水素発酵の基質およびpH調整剤として利用できる。従って、有機性廃棄物の処理過程における生成物を用いて、有機性廃棄物の処理を行うことができるので、低コストで、効率的な有機性廃棄物処理システムが構築される。すなわち、有機性廃棄物の処理物のみでその処理を促進し得るという、廃棄物処理のクローズドシステムが実現可能となる。
本発明のシステムを示すブロック図である。 本発明の好ましいシステムを示すブロック図である。 水素発酵によるガス発生量およびガス濃度の経時変化を示すグラフである。 実施例1に用いた装置の構成を示す模式図である。 脱窒処理における硝酸態窒素およびpHの経時変化を示すグラフである。 実施例3に用いた装置の構成を示す模式図である。 アンモニア態窒素を用いる水素発酵を示すグラフである。
符号の説明
1 有機性廃棄物
2 水素発酵槽
3 水素発酵残渣
4 メタン発酵槽
5 メタン発酵残渣
6 メタン発酵物分離機
7 固形物
8 分離水
9 活性汚泥槽
10 活性汚泥処理水
11 硝化槽
12 亜硝酸・硝酸含有排水
13 脱窒素槽
14 放流水
15 水素発酵ガス
16 水素発酵ガス回収装置
17 脱窒用水素発酵ガス
18 メタン発酵ガス
19 メタン発酵ガス回収装置
20 アンモニア含有物発生装置
21 アンモニア含有物
22 アンモニア供給手段
23 脱窒素処理水
24 希釈水
31 脱窒処理用人工廃水
32 バルブ
33 圧力調整バルブ
34 スターラーバー
35 スターラー
40 水素発酵装置
41 恒温水槽
42 マグネティックスターラー
43 培養槽
44 pHメーター
45 基質サンプリング口
46 スターラーバー
47 pH制御器
48 5N−NaOH水溶液
49 電磁弁
50 がス測定装置
51 ガスサンプリング口

Claims (7)

  1. 有機性廃棄物の嫌気性水素発酵処理システムであって、
    該システムは、水素発酵槽、アンモニア含有物発生装置、および脱窒素槽を備え、この順に該有機性廃棄物が移動して処理されるように構成され、該脱窒素槽から処理後の排水が放流されるシステムであり;
    該アンモニア含有物発生装置からのアンモニア含有物の一部が水素発酵槽に循環・供給されて水素発酵を促進させ;
    該水素発酵槽において有機性廃棄物の嫌気的発酵により生じた水素発酵ガスの一部または全部が該脱窒素槽に供給されて該脱窒素槽中の窒素化合物の量を低減し;そして、
    該脱窒素槽から処理後の排水が放流されるように構成された、嫌気性水素発酵処理システム。
  2. 前記アンモニア含有物発生装置がメタン発酵槽、活性汚泥槽、メタン発酵槽とメタン発酵物分離機との組合せ、メタン発酵槽と活性汚泥槽との組合せ、メタン発酵槽とメタン発酵物分離機と活性汚泥槽との組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
  3. 前記システムがさらにメタン発酵槽、メタン発酵物分離機、活性汚泥槽および硝化槽を備え、
    前記有機性廃棄物が水素発酵槽、メタン発酵槽、メタン発酵物分離機、活性汚泥槽、硝化槽および脱窒素槽の順で移動して処理されるように構成され、
    該メタン発酵槽からのメタン発酵残渣、該メタン発酵物分離機からの分離水、および該活性汚泥槽からの活性汚泥処理水からなる群から選択される少なくとも一つのアンモニア含有物の全部または一部が該水素発酵槽に供給される、請求項1または2に記載のシステム。
  4. 前記水素発酵槽中のアンモニア態窒素が水素発酵能を阻害しない濃度となるように、該水素発酵槽へのアンモニア含有物の供給量が調整される、請求項1から3のいずれかの項に記載のシステム。
  5. 前記アンモニア含有物が、水素発酵槽に導入される有機性廃棄物の希釈に使用される、請求項4に記載のシステム。
  6. 前記アンモニア含有物が、脱窒素槽からの処理後の排水で希釈される、請求項5に記載のシステム。
  7. 前記水素発酵槽内のアンモニア態窒素の濃度が1000mg/L以下となるように調整される、請求項4から6のいずれかの項に記載のシステム。
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