JP2005189299A - 電気化学表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 対極側の電極における酸化還元反応の安定化を図ることができ、1サイクル目から十分な表示品位を実現することができる電気化学表示装置を提供する。
【解決手段】 ITOよりなる第1電極14と白金よりなる第2電極15との間に電解質13が配置されている。電解質13は、酸化還元反応により析出および溶解する第1の酸化還元材料として銀イオンと、この第1の酸化還元材料とは異なる酸化還元反応を行う第2の酸化還元材料としてビオロゲン誘導体またはスチリル化合物とを含んでいる。銀イオンの析出および溶解と対になる酸化還元反応が、第2の酸化還元材料により安定して行われる。第2の酸化還元材料は、酸化還元反応により変色する材料に限らず変色しない材料でもよい。特に変色材料は、応答速度を速めたり、小さい注入電荷量で着色効率を高めることができ、黒色濃度や色合いの微妙な調整も可能となるので好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】 ITOよりなる第1電極14と白金よりなる第2電極15との間に電解質13が配置されている。電解質13は、酸化還元反応により析出および溶解する第1の酸化還元材料として銀イオンと、この第1の酸化還元材料とは異なる酸化還元反応を行う第2の酸化還元材料としてビオロゲン誘導体またはスチリル化合物とを含んでいる。銀イオンの析出および溶解と対になる酸化還元反応が、第2の酸化還元材料により安定して行われる。第2の酸化還元材料は、酸化還元反応により変色する材料に限らず変色しない材料でもよい。特に変色材料は、応答速度を速めたり、小さい注入電荷量で着色効率を高めることができ、黒色濃度や色合いの微妙な調整も可能となるので好ましい。
【選択図】 図2
Description
本発明は、電気化学的な酸化還元反応により画像情報の表示を行う電気化学表示装置に関する。
近年、ネットワークの普及につれ、従来印刷物として配布されていた文書類が、いわゆる電子書類で配信されるようになってきた。更に、書籍や雑誌などもいわゆる電子出版の形で提供される場合が多くなりつつある。これらの情報を閲覧するために、従来より、コンピュータのCRT(Cathode-Ray Tube;ブラウン管)または液晶ディスプレイが用いられている。
しかし、これら発光型のディスプレイでは、人間工学的理由から疲労が著しく、長時間の読書には耐えられないことが指摘されている。また、読む場所がコンピュータの設置場所に限られるという難点もある。
最近では、ノート型コンピュータの普及により、携帯型のディスプレイとして使えるものもあるが、それらは主にバックライトによる発光型であることに加えて消費電力との関係で、これも数時間以上の読書に用いることが難しい。また、反射型液晶ディスプレイも開発され、これによれば低消費電力で駆動することができるが、液晶の無表示(白色表示)における反射率は30%であり、紙への印刷物に比べ著しく視認性が悪く、疲労が生じやすく、これも長時間の読書に耐えるものではない。
これらの問題点を解決するために、最近、主に電気泳動法により着色粒子を電極間で移動させるか、あるいは二色性を有する粒子を電場で回転させることにより着色させたディスプレイが開発されつつある。しかし、このディスプレイでは、粒子間の隙間が光を吸収し、その結果としてコントラストが悪くなり、また駆動する電圧を100V以上にしなければ実用上の書き込み速度(1秒以内)が得られないという難点がある。
一方、電圧の印加により色が変化することを利用したエレクトロクロミック表示装置(Electro Chromic Display ;ECD)も開発されている。このようなエレクトロクロミック表示装置としては、例えば、H+ などのイオンが入ることにより透明から青色に変化する酸化タングステン(WO3 )、または、酸化あるいは還元により発色する有機材料を用いたものが知られている。これらは、コントラストの高さという点では上記電気泳動方式のものなどに比べて優れているが、黒色の品位が悪い他、マトリクス駆動の必要性がない調光ガラスあるいは時計用ディスプレイの用途として開発が進められているため、現状では、ペーパーライクディスプレイ、あるいは電子ペーパーなどのマトリクス駆動の表示装置用としては用いることは難しい。なお、マトリクス駆動のもの(特許文献1参照)も知られるが、駆動素子は液晶表示装置との組み合わせでその一部を構成するに過ぎない。
更に、有機材料は、一般的に、耐光性に乏しいので、用途上太陽光や室内光などの光に晒され続けることになる電子ペーパーに用いた場合、長時間使用すると褪色して黒色濃度が低下するという問題が生ずる。
そこで、金属イオンを含む白く着色した電解質を介して電極を対向配置し、表示側の電極に金属を析出させることにより画像の書き込みを行い、その析出させた金属を電解質に溶解させることにより画像の消去を行うエレクトロデポジション型表示装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。これによれば、マトリクス駆動が容易であり、かつコントラストおよび黒色濃度を高くすることが可能となる。
特公平4−73764号公報
特開2002−258327号公報
しかしながら、このエレクトロデポジション型表示装置でも、特性、特に寿命が未だ不十分である。寿命悪化の原因として、例えば、表示側の電極に析出させる金属として銀(Ag)を用い、かつ対極側の電極を銀により構成した場合、表示側の電極への銀の析出に伴って、対極側の電極から銀が不可逆的に溶解してしまうことが挙げられる。この対策としては、対極側の電極を白金(Pt)などの溶解しない材料により構成することが考えられる。しかし、表示側の電極における銀の析出は、対極側の電極における銀の溶解と対になっているので、対極側の電極を溶解しない材料により構成すると反応が不安定になってしまい、特に1サイクル目の黒色濃度が不十分になってしまうという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、対極側の電極における酸化還元反応の安定化を図ることができ、1サイクル目から十分な表示品位を実現することができる電気化学表示装置を提供することにある。
本発明による電気化学表示装置は、第1電極と第2電極との間に電解質を備えたものであって、電解質は、酸化還元反応により析出および溶解する第1の酸化還元材料と、この第1の酸化還元材料とは異なる酸化還元反応を示す第2の酸化還元材料とを含むものである。ここで、第1の酸化還元材料としては、還元により金属として析出する金属イオンが挙げられる。第2の酸化還元材料は、酸化還元材料により変色する変色材料であることが好ましい。また、第2の酸化還元材料は、有機材料であることが好ましい。具体的には、第2の酸化還元材料は、ビオロゲン誘導体またはスチリル系化合物が挙げられる。
本発明による電気化学表示装置では、第1の酸化還元材料が析出することにより画像の書き込みが行われ、析出した第1の酸化還元材料が電解質に溶解することにより画像が消去される。また、第1の酸化還元材料の酸化還元反応に伴って、第2の酸化還元材料が第1の酸化還元材料とは異なる酸化還元反応を示す。
本発明による電気化学表示装置によれば、電解質が、第1の酸化還元材料とは異なる酸化還元反応を行う第2の酸化還元材料を含むようにしたので、第1の酸化還元材料の析出および溶解と対をなす酸化還元反応を安定化させることができ、1サイクル目から十分な表示品位を得ることができる。また、対極側の電極を溶解しない材料により構成することができるので、対極側の電極の不可逆的な溶解に起因する寿命悪化を防止し、電気化学表示装置の寿命を長くすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る電気化学表示装置の概略構成を表すものである。この電気化学表示装置は、例えば、電気化学表示素子10と、この電気化学表示素子10を駆動させるための周辺回路部20とを備えている。
図2は、図1に示した電気化学表示素子10の概略構成を表すものである。電気化学表示素子10は、第1基板11と第2基板12とが電解質13を介して対向配置された構造を有している。第1基板11の第2基板12と対向する側の面には、画素に対応して複数の第1電極14がマトリクス状に配列され、第2基板12の第1基板11と対向する側の全面には第2電極15が形成されている。また、第1基板11の第2基板12と対向する側の面には、TFT(Thin Film transistor;薄膜トランジスタ)16が画素毎に設けられており、TFT16により第1電極14への通電が制御されるようになっている。すなわち、この電気化学表示装置は、アクティブマトリクス型の駆動機構を有している。更に、第1基板11および第2基板12の側面と電解質13とは封止部材17により封止されている。
第1基板11は、透明性を有する材料、具体的には、石英ガラスまたは白板ガラスなどにより構成されている。また、この他にも、例えば、合成樹脂、具体的には、ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンテレフタレートあるいはポリカーボネートなどのエステル、または、酢酸セルロースなどのセルロースエステル、または、ポリフッ化ビニリデンあるいはポリテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素ポリマー、または、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル、または、ポリアセタール,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレンあるいはメチルペンテンポリマーなどのポリオレフィン、または、ポリアミドイミドあるいはポリエーテルイミドなどのポリイミド、または、ポリアミドにより構成してもよい。これら合成樹脂は、容易に曲がらないような剛性基板状であってもよく、また、可とう性を有するフィルム状の構造体であってもよい。
第2基板12は、透明であっても、透明でなくてもよく、例えば、石英ガラス、白板ガラス、ガラスエポキシ材、セラミックス、紙あるいは木材により構成することができる。また、この他にも、第1基板11で説明した合成樹脂により構成するようにしてもよい。なお、第2電極15自体が十分な剛性を有する場合には、第2基板12を不要とした構成とすることも可能である。
電解質13は、例えば、溶媒と、酸化還元反応により析出および溶解する第1の酸化還元材料と、この第1の酸化還元材料とは異なる酸化還元反応を示す第2の酸化還元材料とを含んでいる。これにより、この電気化学表示装置では、第1の酸化還元材料の析出および溶解と対になる酸化還元反応を、第2の酸化還元材料により安定して行わせることができ、1サイクル目から十分な表示品位を得ることができるようになっている。
溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコールあるいはこれらの混合物などの親水性を有するもの、または、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、ブチロラクトン、アセトニトリル、スルホラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンあるいはこれらの混合物などの疎水性を有するものが挙げられる。
第1の酸化還元材料は、析出した状態と溶解した状態とで色が変化することを利用して画素の表示を可能にするためのものである。第1の酸化還元材料としては、還元により金属として析出する金属イオンが挙げられる。金属イオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ビスマスイオン,銅イオン,銀イオン,鉄イオン,クロムイオン,ニッケルイオンあるいはカドミウムイオンが挙げられる。その中でも特に好ましい金属イオンはビスマスイオンあるいは銀イオンであり、更に好ましいのは銀イオンである。ビスマスイオンおよび銀イオンは、可逆的な反応を容易に進めることができると共に、析出時の変色度が高く、特に、銀イオンはイオン価数が通常1であるので、イオン価数が通常3であるビスマスイオンに比べて、1原子を還元させて金属にするのに必要な電荷量が3分の1となるからである。金属イオンは、例えば、金属塩として溶媒に添加されている。金属塩としては、銀塩であれば、例えば、硝酸銀、ホウフッ化銀、ハロゲン化銀、過塩素酸銀、シアン化銀あるいはチオシアン化銀が挙げられる。金属塩には、いずれか1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
第2の酸化還元材料は、第1の酸化還元材料の析出および溶解と対になる酸化還元反応を安定化させるためのものである。第2の酸化還元材料は、第1の酸化還元材料とほぼ同期して酸化還元反応を行うことができるように、第1の酸化還元材料の酸化還元電位に近い酸化還元電位を有することが好ましい。また、第2の酸化還元材料は、有機材料であることが好ましい。膜状に形成する必要はなく、電解質13に容易に添加可能であり、かつ添加量の調整も容易であるので、製造工程が簡単になるからである。
第2の酸化還元材料は、電解質13中において安定に可逆的な酸化還元反応を示すことができるものであれば、酸化還元反応により変色する変色材料に限らず、酸化還元反応により変色しない非変色材料でもよいが、変色材料がより好ましい。第1の酸化還元材料の析出による色の変化と変色材料の変色とを重畳させることにより、第1の酸化還元材料のみの場合よりも応答速度を速めたり、小さい注入電荷量で着色効率を高めることができるからである。
変色材料の変色は必ずしも黒でなくてもよい。例えば第1の酸化還元材料として黒に変色する金属イオンと、黒以外の色に変色する変色材料とを用いることにより、黒色濃度または色合いの微妙な調整が容易になり、特に文字情報の読みやすさを高めることができるからである。すなわち、従来では、黒色濃度の調整には注入電荷量の複雑な制御が必要であり、黒の色合いの調整は駆動電圧などの制御により可能ではあるが微妙な調整は難しかった。これに対して、本実施の形態では、例えば青に変色する変色材料を、析出により黒になる銀イオンと併用することにより、青みのある黒などの微妙な色合いをもつ黒の表示も容易に可能となる。
更に、変色材料としては、鮮明な表示に適したコントラストを得るために必要な注入電荷量が小さいものが好ましく、更に、第1の酸化還元材料よりも注入電荷量が小さければより好ましい。応答速度または着色効率を更に高めることができるからである。
具体的には、変色材料としては、ビオロゲン構造を有するビピリジニウム塩化合物などのビオロゲン誘導体、または、3,3−ジメチル−2−(P−ジメチルアミノスチリル)インドリノ[2,1−b]オキサゾリン(IRPDM)などのスチリル系化合物が挙げられる。また、これらの混合物よりなるレドックス系材料でもよい。中でも、ビオロゲン誘導体が好ましい。注入電荷量が小さく着色効率が優れているからである。また、置換基を変えることにより青、赤紫あるいは緑など様々な色に変化させることができ、色のバリエーションに富むからである。例えば、青に変色するものとしては1,1’−ジ−n−へプチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(以下、「へプチルビオロゲン」という)が挙げられ、紫色に変色するものとしては1,1’−ジ−n−エチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(エチルビオロゲン)が挙げられ、赤紫色に変色するものとしては1,1’−ジ−n−へキシル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(ヘキシルビオロゲン)が挙げられる。なお、ビオロゲン誘導体は、着色種がラジカルであるため分子間の相互作用が強く、消え残りが生じやすいという問題があるので、その分子の結晶化を防止するため、電解質13は、ビオロゲン誘導体と共にシクロデキストリンなどの包接化合物を含むことが好ましい。
変色材料の含有量は、変色材料の着色効率および電解質13への溶解度、求められる色合いなどの表示品位に応じて異なりうる。例えば、着色効率が高い、すなわち必要な注入電荷量が小さいほど、変色材料の含有量は小さくすることができる。また、着色効率の高い変色材料の含有量を大きくし、かつ第1の酸化還元材料の含有量を小さくすることにより、全体として必要な注入電荷量を低減させるようにしてもよい。
非変色材料としては、例えばフェロセンが挙げられる。なお、第2の酸化還元材料としては、上記の変色材料および非変色材料のうち、1種または2種以上を用いてもよい。
この電解質13は、また、必要に応じて支持電解質塩と着色剤と各種添加剤とを含んでいてもよい。
支持電解質塩は、電解質のイオン伝導性を高めることにより、析出溶解材料の析出溶解反応がより効果的に、かつ安定して行われるようにするためのものである。支持電解質塩としては、例えば、塩化リチウム(LiCl),臭化リチウム(LiBr),ヨウ化リチウム(LiI),テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4 ),過塩素酸リチウム(LiClO4 ),ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6 )あるいはトリフルオロメチル亜硫酸リチウム(LiCF3 SO3 )などのリチウム塩、または、塩化カリウム(KCl),臭化カリウム(KBr)あるいはヨウ化カリウム(KI)などのカリウム塩、または、塩化ナトリウム(NaCl),臭化ナトリウム(NaBr)あるいはヨウ化ナトリウム(NaI)などのナトリウム塩、または、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム(N(C2 H5 )4 LiBF4 ),過塩素酸テトラエチルアンモニウム(N(C2 H5 )4 ClO4 ),テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム(N(C4 H9 )4 BF4 ),過塩素酸テトラブチルアンモニウム(N(C4 H9 )4 ClO4 )あるいはテトラブチルアンモニウムハライドなどのテトラアルキル四級アンモニウム塩が挙げられる。これらのテトラアルキル四級アンモニウム塩のアルキル鎖長は不揃いでもよい。支持電解質塩にはいずれか1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
着色剤は、コントラストを向上させるためのものである。着色剤としては、例えば、無機顔料あるいは有機顔料が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。例えば、銀のように金属の発色が黒色の場合には、白色の隠蔽性の高い材料が好ましい。このような材料として、例えば、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムあるいは酸化アルミニウムなどの無機粒子を使用することができる。また、色素を用いることもできる。色素としては、油溶性染料を用いることが好ましい。
着色剤の含有量は、無機粒子の場合、電解質13に対して、10質量%〜80質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であればより好ましく、30質量%〜70質量%であれば更に好ましい。着色剤が少ないと所望の着色が得られず、逆に多いと、着色剤の無機粒子が凝集して白色性(光学濃度)の不均一によるむらを生じたり、イオン量の低下、さらには電解質13の導電性の低下を来すからである。すなわち、この範囲内で着色剤を含有させることにより、これらの不具合を発生することなく、良好な着色状態を実現することが可能となる。
一方、色素の場合には、電解質13に対して、10質量%程度でもよい。色素の発色効率は無機粒子に比べてはるかに高いためである。従って、電気化学的に安定した色素であれば、少ない量でもコントラストを向上させることが可能となる。
添加剤としては、電気化学的な反応、特に金属の析出溶解反応を可逆的、かつ効率的に行うために、成長阻害剤、応力抑制剤、光沢剤、錯化剤あるいは還元剤のいずれか1種または2種以上を混合して含んでいることが好ましい。このような添加剤としては、酸素原子(O)または硫黄原子(S)を有する基を備えた有機化合物が好ましい。例えば、クマリンおよび2−メルカプトベンゾイミダゾールは、金属の析出溶解反応の可逆性を向上させることができると共に、長期保存性および高温保存性においても優れた効果を得ることができるので好ましく、両者を同時に用いることで、より効果が増大するので好ましい。
また、アニオン種に起因した副反応に伴い、所望の発色以外の発色が生じる虞があるので、添加剤としては、アニオン種に起因した副反応を抑制するための還元剤または酸化剤のいずれか1種または2種以上を混合して含んでいることが好ましい。例えば、電解質13がハロゲン化物を含有している場合、ハロゲン化物は電位によっては化1、化2あるいは化3に示したような反応によりイオン状態から酸化される場合がある。
このような還元剤としては、例えば、トリアルキルアルコールアミン種であるトリエタノールアミンは、長期保存性および高温保存性においても優れた効果を得ることができるので好ましい。
更に、添加剤としては、着色剤の無機粒子を分散安定化させるためのものを含んでいてもよい。
なお、この電解質13は、これら液状の溶媒,析出溶解材料および添加剤などからなる液状のいわゆる電解液とされていてもよいが、更に、これらを保持する高分子化合物を含み、ゲル状とされていてもよい。ゲル状とする場合、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。複数層にする場合、着色剤は複数層に含有させる必要はなく、少なくとも1層に含有させるようにすればよい。
高分子化合物としては、例えば、骨格構造が−(−C−C−O−)n −で表されるポリエチレンオキシドあるいはポリプロピレンオキシド、骨格構造が−(−C−C−N−)n −で表されるポリエチレンイミン、または、骨格構造が−(−C−C−S−)n −で表されるポリエチレンスルフィドが好ましく、これらの骨格構造を主鎖構造として枝分かれを有するものであってもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンあるいはポリカーボネートも好ましい。高分子化合物には、いずれか1種を用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
電解質13の厚みは、無機粒子を着色剤として含む場合、10μm〜100μmであることが好ましく、10μm〜50μmであればより好ましい。薄い方が電極間の抵抗が小さくなり、発色・消色時間の低減や消費電力の低下を図ることができる一方、薄すぎると着色剤の含有量が少なくなるため、白色性(光学濃度)が十分でなく、特に、10μm未満であると、機械的強度が低下してピンホールや亀裂も生じるからである。
なお、電解質13は、例えば、溶媒に第1の酸化還元材料および第2の酸化還元材料を溶解させたのち、これに必要に応じて、支持電解質塩,着色剤および各種添加剤を添加することにより製造することができる。あるいは、溶媒に必要に応じて、支持電解質塩,着色剤および各種添加剤を添加したのち、これに第1の酸化還元材料および第2の酸化還元材料を溶解させることにより製造するようにしてもよい。また、ゲル状とする場合には、この電解液と高分子化合物とを混合して乾燥させることにより製造することができる。また、この電解液を高分子化合物の出発原料であるモノマーあるいはオリゴマーと混合し、加熱法あるいはUV照射法により、重合あるいは架橋させることにより製造することもできる。なお、この場合、効率的にゲル化を促進させるために、架橋助剤や光増感剤などを併用してもよい。
第1電極14は、画素として表示する金属を析出させるものであり、例えば、透明導電性膜により構成されている。具体的には、酸化インジウム(In2 O3 )あるいは酸化スズ(SnO2 )をコーティングしたもの、酸化インジウムと酸化スズとの混合物であるITO(Indium Tin Oxide)よりなるもの、または、これらにスズあるいはアンチモン(Sb)などをドーピングしたものにより構成されることが好ましい。また、酸化マグネシウム(MgO)あるいは酸化亜鉛(ZnO)などにより構成してもよい。
第2電極15は、電気化学的に安定な金属により構成されていることが好ましく、中でも、銀(Ag),白金(Pt),クロム(Cr),アルミニウム(Al),コバルト(Co)およびパラジウム(Pd)からなる群のうちの少なくとも1種により構成されることが好ましい。あるいは、ステンレス鋼により構成するようにしてもよい。また、主反応に用いる金属を予めあるいは随時十分に補うことができれば、カーボンにより構成するようにしてもよい。カーボンを使用することで、第2電極15の低価格化を図ることができるからである。また、第1電極14と同じ透明導電性膜により構成するようにしてもよい。
封止部材17は、例えば、両面テープまたは接着剤により構成されている。なお、封止部材17を両面テープにより構成する場合にはスペーサとしての機能も兼ねることができる。
周辺回路部20は、図1に示したように、信号制御部21と、データ線駆動回路22A,22Bと、ゲート線駆動回路23とを有している。信号制御部21は、信号線24,25,26を介して、データ線駆動回路22A,22Bおよびゲート線駆動回路23とそれぞれ接続されている。データ線駆動回路22A,22Bおよびゲート線駆動回路23は、信号制御部21からの信号により、電気化学表示素子10の各画素を選択的に表示させるようになっている。
このような構成を有する電気化学表示装置は例えば図3に示した工程によって製造することができる。
まず、図3(A)に示したように、例えば、ガラスなどよりなる第1基板11上に、公知の半導体製造技術によりTFT16を形成したのち、蒸着あるいはスパッタリングによりITOなどよりなる第1電極14を形成する。このとき、第1電極14を形成するに先立って、第1基板11と第1電極14との結着性を向上させる処理を第1基板11に施してもよい。次いで、図3(B)に示したように、例えば、第1基板11にUVオゾン処理を施して第1基板11の洗浄および表面改質を行う。
また、図3(C)に示したように、例えば、ガラスなどによりなる第2基板12上に、例えば、蒸着、スパッタリング、あるいはめっきにより白金よりなる第2電極15を形成する。このとき、第2電極15を形成するに先立って、予め第2基板12に第2電極15とは異なる金属薄膜を形成したのち第2電極15を形成するような、第2基板12と第2電極15との結着性を向上させるための処理を施してもよい。また、カーボンを例えば樹脂を用いてインク化し、第2基板12に印刷するか、もしくは、その他ドライプロセスによる成膜により、第2基板12上にカーボンよりなる第2電極15を形成するようにしてもよい。
次いで、電解質13をゲル状とする場合には、図3(D)に示したように、例えば、第1基板11上に電解質13を形成する。そののち、図3(E)に示したように、例えば、第1基板11に電解質13を介して第2基板12を真空貼り合わせ法により貼り合わせる。その際、第1電極14と第2電極15とを対向配置させる。続いて、図3(F)に示したように、例えば、第1基板11,第2基板12および電解質13などの側面を封止部材17により封止し、必要に応じて、電解質13を熱または紫外線などにより架橋させる。最後に、電気化学表示素子10の周辺に周辺回路部20を設ける。以上により、図1に示した電気化学表示装置が完成する。
また、この電気化学表示装置は、図4に示した工程によっても製造することができる。
まず、先の製造方法と同様に、第1基板11上にTFT16および第1電極14を順次形成したのち、第1基板11にUVオゾン処理を施す。また、第2基板12上に第2電極15を形成する。そののち、図4(A)に示したように、例えば、第1基板11と第2基板12とを封止部材17を用いて所定の間隔で対向配置させる。続いて、図4(B)に示したように、例えば、図示しない注入口から、例えば、真空注入法により流動性のある電解質13を注入し、その後、図4(C)に示したように、例えば、注入口を接着剤31などにより封止し、必要に応じて、電解質13を熱または紫外線などにより架橋させる。最後に、電気化学表示素子10の周辺に周辺回路部20を設ける。以上により、図1に示した電気化学表示装置が完成する。
この電気化学表示装置では、周辺回路部20により、入力した画像信号に基づいて第1電極14と第2電極15との間に所定の電圧が印加され、これら第1電極14と第2電極15との間に存在する電解質13中の金属イオンが第1電極14に移動し、第1電極14において金属イオンが還元されて第1電極14に金属が析出し、書き込みが行われる。析出した金属は第1基板11を通して画像として認識される。一方、第1電極14と第2電極15との間に所定の逆電圧が印加されると、第1電極14に析出した金属が酸化されて電解質13に金属イオンとなって溶解し、消去が行われる。その際、電解質13が第1の酸化還元材料としての金属イオンと第2の酸化還元材料とを含むので、金属イオンの酸化還元反応に伴って、第2の酸化還元材料による酸化還元反応が生じる。よって、金属イオンの析出および溶解と対をなす酸化還元反応が安定して行われ、1サイクル目から十分な表示品位が得られる。
このように本実施の形態では、電解質13が、第1の酸化還元材料とは異なる酸化還元反応を示す第2の酸化還元材料を含むようにしたので、第1の酸化還元材料の析出および溶解と対をなす酸化還元反応を安定して行わせることができ、1サイクル目から十分な表示品位を得ることができる。また、第2電極15を溶解しない白金により構成することができるので、第2電極15の不可逆的な溶解に起因する寿命悪化を防止し、電気化学表示装置の寿命を長くすることができる。
特に、第2の酸化還元材料を、酸化還元反応により変色する変色材料とすれば、第1の酸化還元材料の析出による色の変化と変色材料の変色とを重畳させることにより、第1の酸化還元材料のみの場合よりも応答速度を速めたり、小さい注入電荷量で着色効率を高めることができる。また、黒以外の色に変色する変色材料を用いるようにすれば、黒色濃度または色合いの微妙な調整を容易に行うことができ、特に文字情報の読みやすさを向上させることができる。特に、第2の酸化還元材料を、ビオロゲン誘導体とすれば、注入電荷量が小さく豊富な色を表現できるので、黒色濃度または色合いの微妙な調整を更に容易に行うことができる。
なお、本実施の形態に係る電気化学表示装置では、電気化学表示素子10を図2に示した以外の構成としてもよい。例えば、図5に示したように、第1電極14を第1基板11の全面に形成し、第2電極15をマトリクス状に複数形成すると共に、TFTを第2基板12上に画素に対応して形成し、第2電極15への通電を制御するようにしてもよい。この場合、第2電極15はTFT全体を覆うように形成することが好ましい。また、第1基板11の第2電極15と対向する部分を除いた領域に図示しない絶縁層を形成するようにしてもよい。なお、図5においては、電解質,TFTを省略して表している。
また、図6に示したように、第1電極14を第1基板11にストライプ状に形成し、第2電極15を第2基板12にストライプ状に形成し、第1電極14と第2電極15とが互いに直交するように対向配置させるようにしてもよい。なお、図6では、電解質および封止部材を省略して表している。
更に、図7に一例を示したように、金属の析出溶解反応の進み具合を第1電極14および第2電極15の影響を受けることなく正確に検知するための銀などよりなる第3電極18を設けるようにしてもよい。この第3電極18により電気化学表示素子10の駆動を的確に制御し、信頼性を向上させることができる。なお、第3電極18は、電気化学表示素子10の構造に応じて適宜の形状および適宜の場所に形成するようにすればよく、例えば、蒸着,スパッタリングあるいはめっきにより形成することができる。
なお、このように電気化学表示素子10を図2に示した以外の構成とした場合には、周辺回路部20等の構成は電気化学表示素子10の構成に応じて適宜変更すればよい。
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例)
電気化学表示素子10を備えた電気化学表示装置を作製した。まず、ジメチルスルホキシド(DMSO)とγ−ブチロラクトン(γBL)とを、ジメチルスルホキシド:γ−ブチロラクトン=3:2の体積比で混合した溶媒に、LiI,ヘプチルビオロゲンおよびAgIをそれぞれ750mmol/l,60mmol/lおよび500mmol/lとなるように溶解させると共に、トリエタノールアミンと、クマリンと、2−メルカプトベンゾイミダゾールとを67mmol/l、5g/l、5g/lとなるように添加し、電解液を作製した。
電気化学表示素子10を備えた電気化学表示装置を作製した。まず、ジメチルスルホキシド(DMSO)とγ−ブチロラクトン(γBL)とを、ジメチルスルホキシド:γ−ブチロラクトン=3:2の体積比で混合した溶媒に、LiI,ヘプチルビオロゲンおよびAgIをそれぞれ750mmol/l,60mmol/lおよび500mmol/lとなるように溶解させると共に、トリエタノールアミンと、クマリンと、2−メルカプトベンゾイミダゾールとを67mmol/l、5g/l、5g/lとなるように添加し、電解液を作製した。
次いで、この電解液とポリエーテル樹脂とを電解液:ポリエーテル樹脂=5:2の質量比で混合したのち、更に、これに二酸化チタン(IV)をポリエーテル樹脂に対して6倍の質量比で添加し、ホモジナイザーおよび自転・公転方式ミキサーで均一に分散させた。更に、これに重合開始剤として有機過酸化物(日本油脂社製「パーへキシル(登録商標)ND」)をポリエーテル樹脂に対して2質量%の割合で添加し、自転・公転方式ミキサーで攪拌することにより前駆体溶液を作製した。
ITOよりなる第1電極14が形成されたガラスよりなる第1基板11と、白金よりなる第2電極15が形成されたガラスよりなる第2基板12とを、厚さ80μmの両面テープ(テサテープ社製「tesa(登録商標)4980」)よりなる封止部材17を用いて貼り合わせた。なお、この両面テープは、第1基板11と第2基板12との間のスペーサを兼ねた。
続いて、真空注入法により前躯体溶液を第1基板11と第2基板12との間の空間に注入したのち、恒温槽中において90℃で10分間加熱することにより前躯体溶液をゲル化させ、電解質13を形成した。そののち、注入口および貼り合わせの端面を接着剤により封止し、電気化学表示素子10を作製した。最後に、電気化学表示素子10の周辺に周辺回路部20を設けた。得られた電気化学表示装置について、導電率を測定したところ、18×10-4S・cm-1であった。
(比較例)
ヘプチルビオロゲンを含まない電解質を用いたことを除き、他は実施例と同様にして電気化学表示装置を作製した。得られた比較例の電気化学表示装置についても、導電率を測定したところ、18×10-4S・cm-1と実施例と同等であった。
ヘプチルビオロゲンを含まない電解質を用いたことを除き、他は実施例と同様にして電気化学表示装置を作製した。得られた比較例の電気化学表示装置についても、導電率を測定したところ、18×10-4S・cm-1と実施例と同等であった。
作製した実施例および比較例の電気化学表示装置について、それぞれサイクリックボルタンメトリ法により酸化還元電位を調べた。その際、電位掃引範囲は−1.2Vないし+1.1V、電位掃引速度は50mV/sとした。得られた実施例のサイクリックボルタモグラムを図8および図9に示し、比較例のサイクリックボルタモグラムを図10および図11に示す。なお、図9は図8の点線で囲まれた部分を拡大して表すものであり、図11は図10の点線で囲まれた部分を拡大して表すものである。
図8ないし図11から分かるように、実施例のサイクリックボルタモグラムでは、銀の還元によるピークのほかに、約−0.6Vおよび約−1.0Vでヘプチルビオロゲンの還元によるピークが観察されたが、比較例のサイクリックボルタモグラムではそのようなことは認められなかった。すなわち、電解質13が、第1の酸化還元材料として銀イオンと、第2の酸化還元材料として酸化還元反応により変色するヘプチルビオロゲンとを含むようにすれば、ヘプチルビオロゲンの変色と銀の析出とを重畳して起こさせることができることが分かった。
また、実施例および比較例の電気化学表示装置について、電圧を−2.0V,−2.4Vおよび−2.8Vと変化させてそれぞれ書き込みおよび消去を行い、駆動特性および表示特性を評価した。書き込みは、上記の電圧を、必要濃度(絶対反射率10%、光学濃度(オプティカルデンシティ;OD)1.0)に達するまでの時間印加することにより行い、一方、消去は、光学濃度を初期状態に復帰させるため任意の電圧を任意の時間印加した。1回の書き込みおよび1回の消去を1サイクルとして10サイクル繰り返し、各サイクルの間には、光学濃度が初期状態に復帰するまでの休止時間をとった。光学濃度の測定方法は、水平に設置した電気化学表示装置の垂直上方から波長670nmのレーザ光を照射し、入射光から30°傾いた斜め上方で受光した反射光の強度を光学濃度に換算することにより求めた。駆動特性としては、10サイクル目において、電圧印加後、必要濃度に達するまでの時間(応答時間)を調べた。また、表示特性としては、光学濃度が1.0となるのに要した電荷量を調べた。それらの結果を図12に示す。
図12から分かるように、ヘプチルビオロゲンを含む実施例では、ヘプチルビオロゲンを含まない比較例に比べて、応答時間および必要電荷量のいずれについても良好な結果が得られた。すなわち、電解質13が、第1の酸化還元材料として銀イオンと、第2の酸化還元材料として酸化還元反応により変色するヘプチルビオロゲンとを含むようにすれば、ヘプチルビオロゲンの変色と銀の析出とを重畳させて、より速く、濃い表示を行い、高速応答性を得ることができると共に、注入電荷量を低減することができることが分かった。
なお、上記実施例では、ビオロゲン誘導体について具体的に例を挙げて説明したが、上述した効果はその構造に起因するものと考えられる。よって、他のビオロゲン誘導体を用いても同様の結果を得ることができる。また、上記実施例では、ゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、電解液を用いても同様の結果を得ることができる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、電気化学表示素子の構造について具体的に例を挙げて説明したが、他の構造としてもよい。例えば、図示しないが、電解質を不織布や多孔質性のフィルムに含浸するようにしてもよい。また、電解質13と第2電極15との間に、イオンを導入および放出できる材料よりなる層、または酸化還元反応を行う材料よりなる層を設けるようにしてもよい。その場合、イオンを導入および放出できる材料よりなる層、または酸化還元反応を行う材料よりなる層は、例えばカーボン(C)を含むことが望ましい。
更に、例えば、上記実施の形態および実施例において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。例えば、第1の酸化還元材料としては、金属イオン以外の他の材料を用いてもよい。また、第1の酸化還元材料は、黒以外の色に変色するものでもよい。この場合、例えば第1の酸化還元材料として黒以外の色に変色する金属イオンと、第2の酸化還元材料として黒に変色する変色材料とを用いることにより、黒色濃度または色合いの微妙な調整を行うようにしてもよい。更に、電解質13に添加される着色剤は、白以外のものでもよい。
加えて、上記実施の形態および実施例では、電気化学表示装置が電気化学表示素子10を一つ有する場合について説明したが、電気化学表示素子10を複数個平面状に配列するようにしてもよい。例えば三原色の画素の各画素をそれぞれ一つの電気化学表示素子10として分離したものでもよい。
更にまた、上記実施の形態および実施例では、表示領域が複数の画素に分けられた場合について説明したが、表示領域全体が一つの画素を構成するものでもよい。
加えてまた、上記実施の形態および実施例では、黒と白との表示を行う場合について説明したが、本発明の電気化学表示装置はモノカラー、マルチカラーまたはフルカラーのいずれにも適用可能である。
本発明による電気化学表示装置は、特に電子ブック端末など文字情報を表示する用途に好適であるが、記号、画像などの表示にも用いることができる。
また、本発明による電気化学表示装置は、表示装置としての用途のほか、反射または透過光量の調節などの調光機能を生かして、光シャッターあるいは光通信機器などへの応用も可能である。
10…電気化学表示素子、11…第1基板、12…第2基板、13…電解質、14…第1電極、15…第2電極、16…TFT、17…封止部材、18…第3電極、20…周辺回路部、21…信号制御部、22A,22B…データ線駆動回路、23…ゲート線駆動回路、24,25,26…信号線、31…接着剤。
Claims (10)
- 第1電極と第2電極との間に電解質を備えた電気化学表示装置であって、
前記電解質は、酸化還元反応により析出および溶解する第1の酸化還元材料と、この第1の酸化還元材料とは異なる酸化還元反応を示す第2の酸化還元材料とを含む
ことを特徴とする電気化学表示装置。 - 前記第1の酸化還元材料は、還元により金属として析出する金属イオンである
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。 - 前記第1の酸化還元材料は、ビスマスイオン,銅イオン,銀イオン,鉄イオン,クロムイオン,ニッケルイオンおよびカドミウムイオンからなる群のうちの少なくとも1種である
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。 - 前記第2の酸化還元材料は、酸化還元反応により変色する変色材料および酸化還元反応により変色しない非変色材料のうちの少なくとも一方である
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。 - 前記第2の酸化還元材料は、有機材料である
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。 - 前記第2の酸化還元材料は、ビオロゲン誘導体またはスチリル系化合物である
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。 - 前記第1電極は透明電極である
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。 - 前記第1電極は酸化スズ(IV)(SnO2 )および酸化インジウム(III)(In2 O3 )のうちの少なくとも一種により構成された
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。 - 前記第2電極は金属電極である
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。 - 前記第2電極は白金(Pt)またはステンレス鋼により構成された
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
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