JP2005188607A - 油圧ホース - Google Patents

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【課題】 環境に対する負荷が小さく、層と層と間の接着性が高く、耐久性に優れた油圧ホースを提供する。
【解決手段】 内管ゴム層と外被ゴム層とを有し、前記内管ゴム層と前記外被ゴム層との間に少なくとも1の補強層を有する油圧ホースであって、
前記外被ゴム層の直下に少なくとも1の前記補強層が設けられ、かつ、前記外被ゴム層が内添型接着剤を含有してなり、
前記各層に塩素を含有していないことを特徴とする油圧ホースである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建設機械用油圧ホースや土木工事用油圧ホース等の油圧ホースに関する。
油圧ホースの構造は一般的に、内側から内管ゴム層、補強層、外被ゴム層を有し、これらの間に適宜、中間ゴム層が設けられてなる。かかる油圧ホースでは、耐油性、耐候性、耐熱性、耐水性等のバランスを考慮し、クロロプレンゴム(CR)を主成分とした材料が使用されている。
このような油圧ホースは塩素を含有するため、廃棄物処理(主に、焼却処理)によってダイオキシンの発生を伴い、環境に対する負荷を高めてしまう。そのため、環境保護の観点からは、塩素を含有しない材料で油圧ホースを作製することが望ましい。また、塩素を含有しないことで、廃棄物処理時に塩素が発生しないため、焼却炉の劣化を防ぐことができる。さらに、廃棄物処理が環境にやさしく、かつ、効率よく施されれば、油圧ホースの補強層に使用される補強用ワイヤーを再利用することができる。
そこで、内管ゴム層や外被ゴム層等の材料に塩素を含有しないゴムホースが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、当該ゴムホースは、補強層にPET等の補強糸を用いているため、補強層に金属を使用する油圧ホースに適用できるかどうかは不明である。
また、一般的な油圧ホースでは、金属製の補強層と外被ゴム層との間で高い接着性が得られない等の問題があり、それぞれの層を良好に接着させて耐久性を向上させる点で、外被ゴム層の組成等をさらに検討することが必要であることが本発明者らの検討により明らかとなった。
特開2002−106756号公報
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明の目的は、環境に対する負荷が小さく、層と層と間の接着性が高く、耐久性に優れた油圧ホースを提供することにある。
上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明者は、下記本発明により当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、内管ゴム層と外被ゴム層とを有し、前記内管ゴム層と前記外被ゴム層との間に少なくとも1の補強層を有する油圧ホースであって、
前記外被ゴム層の直下に少なくとも1の前記補強層が設けられ、かつ、前記外被ゴム層が内添型接着剤を含有してなり、
前記各層に塩素を含有していないことを特徴とする油圧ホースである。
上記本発明の油圧ホースは、下記(1)〜(6)のいずれかの態様を1以上具備することが好ましい。
(1)前記内添型接着剤が、外被ゴム層のゴム成分100質量部に対し、1〜10質量部含有されてなる態様である。
(2)前記外被ゴム層が、有機酸金属塩を含有してなる態様である。
(3)前記外被ゴム層が、無機化合物を含有してなる態様である。
(4)前記内管ゴム層と前記外被ゴム層との間に、さらに、中間ゴム層が設けられてなり、該中間ゴム層が少なくとも1の前記補強層と隣接し、
前記補強層と隣接した前記中間ゴム層を構成するゴム組成物の未加硫時の引張強さが、25%伸長時に0.4MPa以上である態様である。
(5)前記内管ゴム層と前記外被ゴム層との間に、さらに、中間ゴム層が設けられてなり、該中間ゴム層が少なくとも1の前記補強層と隣接し、
前記補強層と隣接した前記中間ゴム層を構成するゴム組成物中に、高い機械的強度を保有するポリマーおよび短繊維のいずれかが含有されてなる態様である。
(6)前記補強層が金属製の線状物からなり、前記線状物が前記内管ゴム層上に網目状に巻回されて設けられてなる態様である。
本発明の油圧ホースは、環境に対する負荷が小さく、各層が高い接着性を有し、耐久性に優れている。
図1に、本発明の一実施の形態に係る油圧ホースの積層構造例を示す。図1の例では、内管ゴム層10上に、補強層12、中間ゴム層14、補強層16が順次形成され、外周側の補強層16上に外被ゴム層18が形成されている。以下、各層について説明する。
[外被ゴム層]
外被ゴム層18は、主として、補強層12,16を保護するという機能を持ち、耐光性、耐熱性、耐油性、耐オゾンクラック性、柔軟性および外観性能等のホースの使用される環境を考慮して材質選定を行う。特に、塩素を含有しないものを選定する(以下の各層も同様)。
ゴム成分の具体例としては、塩素を含有しないものを使用し、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、VAMAC(エチレンおよびメチルアクリレートの共重合体、特にコポリマーがよい)等を単独または適宜ブレンドしたものを挙げることができる。
なお、本明細書において「ゴム成分」とは、上記のようなゴムからなり、各層の母材となる成分をいう。
また、本発明の油圧ホースの外被ゴム層18には、内添型接着剤が含有されている。
一般に、発泡防止剤等を含有させる等の理由でゴム組成物中の水分がなくなると、外被ゴム層と補強層等との間で接着不良が生じる。しかし、外被ゴム層18中に内添型接着剤を含有させ、所定温度で加硫することで、高い接着効果を発揮することができる。これは、硫化されたワイヤー表面の銅とポリマーとの両方に相互作用を持つことができる構造によるものと考えられる。
内添型接着剤とは、2重結合を有する高分子鎖の無水マレイン酸変性物であり、好ましくは、ポリブタジエンを無水マレイン酸変性したものである。具体的には、ライコボンド(RicoBond、SARTOMER社製)やライコン(Ricon、SARTOMER社製)等を好適に使用することができる。
内添型接着剤は、外被ゴム層18のゴム成分100質量部に対し、1〜10質量部含有させることが好ましく、1〜5質量部含有させることがより好ましい。1〜10質量部含有させることで、加硫阻害を発生させず高い接着効果を発揮させることができる。
また、外被ゴム層18には、種々の添加剤を含有させることが好ましい。
例えば、有機酸金属塩を含有させることで、有機金属塩の触媒的な作用によって外被ゴム層18と補強層16の金属との接着性をより高めることができる。
有機酸金属塩としては、遷移金属を含有する有機酸金属塩、アルミニウムまたはアルカリ金属を含有する有機酸金属塩が好ましく、Co、Zn、Ti、Mo、Zr、Al、Kのいずれ1以上を含有する有機酸金属塩がより好ましく、接着力の改善性や取り扱い性を考慮すると、少なくともCoを含有する有機酸金属塩がさらに好ましい。なお、上記有機酸金属塩は、複数種を併用してもよい。
Coを含有する有機酸金属塩の具体的例としては、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト等が挙げられる。
有機酸金属塩(複数種併用する場合は、すべての有機酸金属塩)は、外被ゴム層の固形分100質量部に対し、1〜10質量部含有させることが好ましく、2〜6質量部含有させることがより好ましい。1〜10質量部含有させることで、良好な接着性を維持させることができる。
また、外被ゴム層18には、無機化合物を含有させることが好ましい。塩浴で加硫して油圧ホースを作製する場合、無圧加硫にて加硫が行われるため、ゴム中に水分が存在すると加硫中に発泡が生じることがある。そこで、無機化合物(例えば、CaO)を含有させることで、脱水反応(例えば、CaO+H2O→Ca(OH)2)を進行させ、発泡を防ぐことができる。無機化合物としては、CaO、MgO、ZnO等を使用することができる。特に、脱水作用を有する化合物、金属酸化物等が好ましい。これらも複数種併用することができる。
無機化合物は、外被ゴム層18のゴム成分100質量部に対し、1〜20質量部含有させることが好ましく、1〜10質量部含有させることがより好ましい。特に、3〜5質量部含有させることが好ましい。無機化合物(ここではCaO)を大量に含有させると、加硫ゴム物性に悪影響を及ぼす。そのため、発泡防止と物性確保の観点から、外被ゴム層18のゴム成分100質量部に対し、1〜20質量部含有させることが好ましい。
必要に応じて、加硫遅延剤(リターダともいう)を含有させることが好ましい。加硫遅延剤としては、無水フタル酸、フタルイミド化合物等を挙げることができる。
その他に、カーボンブラック(C/B)、老化防止剤、亜鉛華(ZnO)、遅効性促進剤(DZ;大内新興化学社製)等を含有させることができる。
特に、遅効性促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(「NS」ともいう)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(「DZ」ともいう)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(「CZ」ともいう)等のスルフェンアミド類;ジベンゾチアジルジサルファイド(「DM」ともいう)等のチアゾール類等が挙げられる。
遅効性促進剤の含有量(複数種併用する場合は、合計の含有量)は、外被ゴム層18のゴム成分100質量部に対し、0.3〜2質量部とすることが好ましく、0.5〜1質量部とすることがより好ましい。0.3〜2質量部含有させることで、ゴムと補強層との接着性と、ゴム物性と、の両立を図ることができる。
外被ゴム層18の厚さは、好ましくは0.5〜2.5mmの範囲内とし、より好ましくは0.8〜1.5mmの範囲内とする。
[内管ゴム層]
内管ゴム層10は、主に耐油性を考慮してその材質が選定され、さらには耐熱性、セット性をも考慮して材質選定することが好ましい。すなわち、内管ゴム層10は、内圧を支持すると共に油系流体の浸透を抑制する機能を持たせることが好ましい。
内管ゴム層10を構成する材料としては、上記機能を考慮しながら、外被ゴム層18と同じものを使用することができる。また、上記材料には、通常用いられる加工助剤、抗酸化剤、加硫剤、補強剤、加硫促進剤等の配合剤を適宜添加することができる。
内管ゴム層10の厚さは、好ましくは1.0〜2.0mmの範囲内とし、より好ましくは1.5〜1.8mmの範囲内とする。
[補強層,中間ゴム層]
補強層12,16は、図1に示す実施の形態においては2層構造であり、その間に中間ゴム層14を設けた構造としてあるが、2層に限らず3層以上の構造としてもよく、また、1層だけの構造としてもよい。
補強層12,16は、金属製の線状物からなり、前記線状物が内管ゴム層10(中間ゴム層が設けられている場合は当該中間ゴム層)上に巻回されて設けられてなる。
補強層12,16に用いる金属製の線状物(補強材)は、特に制限されないが、好ましくは、金属ワイヤー、例えば、真鍮メッキを施した硬鋼線ワイヤー;ステンレスワイヤー;亜鉛メッキを施した既知の金属ワイヤー;等を用いることが好ましい。
補強層12,16は、既述のように、2層以上の複数層にて形成してもよい。層数は、使用時の液体の圧力、すなわち、ホースにかかる内圧等に応じて、適切に決定することが好ましい。この場合の補強層12,16における個々の層の構成についても特に制限はないが、好適には、図示するような、金属ワイヤーが網目状に巻かれた構成(網目構成)が挙げられる。また、金属ワイヤーが螺旋状に巻かれた構成(螺旋構成)等とすることもできる。網目構成は主に低圧用途に使用され、螺旋構成は主に高圧用途に使用される。
金属製の線状物の本数は、油圧ホースの径や補強層の構成(螺旋状、ブレード状等の構成)にもよるが、好ましくは8〜60本、より好ましくは12〜36本ずつ巻きつける。
また、中間ゴム層14は、内管ゴム層を透過してくる流体に対して耐久性を示したり補強層同士のこすれを防止するクッション材としての機能を有する。中間ゴム層14を構成するゴム成分としては、NBR、SBR、BR、天然ゴム(NR)、EPDMなどを適宜組み合わせ、場合によっては単独で使用することができる。
中間ゴム層14を構成するゴム組成物の未加硫時の引張強さは、25%伸長時に0.4MPa以上であることが好ましく、0.4〜2.0MPaであることがより好ましい。0.4MPa以上とすることで、中間ゴム層14の耐疲労性を向上させ、油圧ホースの耐久性をより良好なものとすることができる。また、0.4MPa未満では、ホース成形時に中間ゴム層が過度に伸長もしくは破断されやすくなり生産性が低下することがある。
ここで、ゴム組成物の未加硫時の引張強さは、下記の点に変更する以外はJIS K 6251の加硫ゴムの引張試験法と同様にして測定することができる。すなわち、変更点としては、(1)サンプルとして中間ゴム層を形成する際の材料となる未加硫のゴム組成物のシートを使用すること、(2)サンプルはJIS1号ダンベルで打ち抜くこと、(3)引張速度は50mm/minであること、(4)25%伸張ごとに応力を測定すること、が挙げられる。以下、当該試験をグリーンモジュラス測定試験ということがある。
また、少なくとも、補強層と隣接する中間ゴム層14を構成するゴム組成物中には、高い機械的強度を保有するポリマーおよび短繊維のいずれかが含有されいることが好ましい。
高い機械的強度を保有するポリマーおよび短繊維のいずれかを含有させることで、上記引張強さ(25%伸張時のグリーンモジュラス)を0.4MPa以上とすることが可能である。また、中間ゴム層の耐疲労性を向上させ、油圧ホースの耐久性をより良好なものとすることができる。
なお、本明細書において「ゴム組成物」とは、例えば、中間ゴム層の場合は、中間ゴム層全体を構成する組成物であって、NBR等のゴム成分と必要に応じて添加される種々の添加剤とで構成された組成物をいう。
高い機械的強度を保有するポリマーとは、ポリマー単独で物理的強度を示すことができるようなポリマーをいう。具体的には、ニトリルコンテントが35%以上の高極性NBRもしくは高極性の水添NBR(以下、これらをまとめて「高極性NBR」ということがある);シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(RB)等の高結晶性ポリマー;アクリルゴム;ブチルゴム等が挙げられる。好ましくは、高極性NBRおよびRBである。
高極性NBRをゴム組成物中に含有させることで、極性由来の摩擦が発生し耐疲労性等の物性を向上させることができる。また、RB等の高結晶性ポリマーは伸張結晶性を有するので、伸張した場合に分子鎖の移動が少ない。そのため、ゴム組成物中に含有させることで、伸張に対する強さが向上し、耐疲労性等の物性を向上させることができる。以上のようにして耐疲労性を向上させることで、油圧ホースの耐久性の向上に寄与することができる。
高極性NBRの含有量(2種以上を併用する場合は、これらの合計量)は、ゴム組成物中に、30〜100質量%とすることが好ましく、50〜70質量%とすることがより好ましい。30〜100質量%含有させることで、25%伸長時のグリーンモジュラスを既述の所望の範囲とすることができる。
RB等の高結晶性ポリマーの含有量は、ゴム組成物中に3.0質量%以下とすることが好ましく、1.5〜2.0質量%とすることがより好ましい。3.0質量%以下とすることで、25%伸長時のグリーンモジュラスを既述の所望の範囲とすることができる。
また、短繊維をゴム組成物中に含有させた場合、これがゴム組成物中の分子鎖に入り込みことで摩擦が発生し、耐疲労性等の物性が向上する。
短繊維の材質としては、綿、レーヨン、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、ビニロン、アラミド、スチール、ガラス等の材質からなるものを挙げることができる。短繊維の長さは、1〜20mmであることが好ましく、短繊維の太さは、2〜3000μmであることが好ましい。
短繊維の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、1〜20質量部とすることが好ましく、2〜5質量部とすることがより好ましい。1〜20質量部含有させることで、25%伸長時のグリーンモジュラスを既述の所望の範囲とすることができる。
なお、高極性NBR、RB等の高結晶性ポリマーおよび短繊維は、それぞれを2種以上組み合わせて使用してもよい。
内管ゴム層、中間ゴム層、補強層および外被ゴム層を積層してなる油圧ホースは、慣用に従い製造することができる。
ワイヤーブレードホース(補強層のワイヤーが網目状に絡み合って巻きつけられてなるホース:網目構成)は、最後の加硫で、樹脂で被覆しながら130〜150℃で熱風を吹きつけて加硫する熱風加硫を行うことが好ましい。
また、リーンホースメント・ファースト・ホース(Reinforcement First Hose)は、最後の加硫で、溶融塩中で170〜190℃で加硫する塩浴加硫を行うことが好ましい。なお、90℃前後の温度に加熱した内管ゴムのみを押出すと型崩れをするので、それを防止するためにマンドレルという棒状のものの上に押出し、加硫後これを引き抜くことが好ましい。
さらに、ワイヤースパイラルホース(補強層のワイヤーが螺旋状に巻きつけられてなるホース:螺旋構成)は、最後の加硫で、布で被覆しながら140〜160℃の蒸気で加硫する蒸気加硫を行うことが好ましい。
上記ワイヤースパイラルホースの構成例としては、図2に示すものを挙げることができる。すなわち、内管ゴム層10上に、中間ゴム層11、補強層13、中間ゴム層15、補強層17、外被ゴム層18を順次形成したものである。
内管ゴム層10と中間ゴム層11との間には、糸層が形成されていてもよい。糸層は、内管ゴム層を保護するために設けられ、PET等の材料を使用することができる。
種々の油圧ホースの中でも、上記ワイヤースパイラルホースでは、バルヂの発生が問題となる。
ここで、「バルヂ」とは、高温(80℃程度以上)条件下での使用により接続金具の加締部口元付近でゴム部材が膨れ上がったかのように見える現象をいう。
油圧ホースの端部の一部を示す図3〜図5を用いて、バルヂの発生機構を説明する。
まず、常温において、加締金具30を油圧ホース端部に取り付け、加締める(図3)。加締めたことにより、内管ゴム層10が圧縮され、反発力が油圧ホースの長手方向に働く(図4)。但し、常温では反発力に対し、内管ゴム層10と補強層(ワイヤー)13との摩擦力、内管ゴム層10の物性により、圧縮された体積の移動は生じない。すなわち、バルヂは発生しない。
しかし、加締められた油圧ホースを高温雰囲気下に放置すると、中間ゴム層11および内管ゴム層10が膨張するため、反発力が大きくなる。一方、反発力に対抗していた内管ゴム層10と補強層(ワイヤー)13との摩擦力、内管ゴム層10の物性は、高温と圧縮力により、低下する。
その結果、圧縮されていた体積が加締金具30の拘束から開放され、体積移動が生じる。ところが、油圧ホース本体部のゴムは、各種物性および摩擦力により、上記体積移動に対抗する。両者の力に挟まれた中間ゴム層11および内管ゴム層10は、補強層13との接着界面、または中間ゴム層11自体が破壊し、補強層13への拘束力(接着力)が無くなり、金具口元においてバルヂを発生させることでその力を解放する(図5)。
以上のようにして、バルヂが発生すると流体がそのバルヂ部分から外へ漏れやすくなり、直ちに交換しなくてはならない。
しかし、既述のような中間層を設けることで、当該バルヂの発生を抑え、油圧ホースの耐久性を向上させることができる。
以上、本発明の油圧ホースは、廃棄、焼却時等にダイオキシンを発生する塩素含有ゴムポリマーを一切使用していない。従って、環境に対する負荷が小さく、かつ、ワイヤー以外の構成物を焼却し、残ったワイヤーを鉄くずとして再利用することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
NBRをベースとした配合物(コンパウド)からなる筒状の内管ゴム(厚さ:1.5mm)の外周面に、ワイヤー(材質:芯線は鉄、メッキはブラス(銅と亜鉛))を絡み合うように網目状に巻きつけて補強層(厚さ:0.3mm)を形成した。その後、中間ゴム層(厚さ:0.3mm)、補強層(網目状、厚さ:0.3mm)を順次形成した。
外周側の補強層上に、EPDM35質量部とSBR65質量部と内添型接着剤(ライコボンド)3質量部とを含有する外被ゴムを押出し外被ゴム層を形成した。下記表1に示す添加剤とを含有する塗布液を塗布し、外被ゴム形成用の塗布層を形成した。
外被ゴム層を形成した後、熱風中で150℃で加硫を行って、図1に示すような、内管ゴム層、補強層、中間ゴム層、補強層、外被ゴム層を順次積層した油圧ホースを作製した。
なお、中間ゴム層(25%伸張時のグリーンモジュラス:0.55)の組成は、以下のようにした。
(1)ゴム成分…天然ゴム(TECK BEE HAND CO製 恒粘度天然ゴム):50質量部、高極性のNBR(JSR製 JSR N220S):30質量部、RB(JSR製 RB820):20質量部
(2)短繊維(日本モンサント製 サントウェーブD):5質量部(ゴム成分100質量部に対して)
(3)ステアリン酸コバルト(大日本インキ化学製):2質量部(ゴム成分100質量部に対して)
(4)硫黄(鶴見化学製 Z硫黄):3.5質量部(ゴム成分100質量部に対して)
(5)促進剤(大内新興化学 ノクセラーCZ):0.8質量部(ゴム成分100質量部に対して)
(6)亜鉛華(三保製):5質量部(ゴム成分100質量部に対して)
(ピーリング試験)
ピーリング試験を、以下に説明するようにして行った。
まず、図6に示すようにして、スラブシート作製用のモールド(金型)100に、ワイヤー102を7本を1セットとし、これを3セットを貼りつけた。次に、モールド100の大きさと同じ大きさになるように、外被ゴム層と同じ組成の未加硫ゴム(厚さ:2mm)104を圧延し、図7(A)に示すように、貼りつけたワイヤー102上に被せた。被せた状態で、モールド100を加硫プレスに入れ、加硫し、ゴム105とワイヤー102との複合物を作製した。なお、加硫条件は、1.5ベスト(1ベストはキュラストにおけるT90(分))とした。
加硫終了後、ゴム105とワイヤー102との複合物を取りだし、図7(B)、(C)に示すように1セット中の7本あるワイヤーうち両端にあるワイヤーを折り曲げ、その間にある5本のワイヤーを手で引き剥がした。図8に示すように、引き剥がした5本のワイヤーの表面積(Sw)のうち、ゴムが付着している面積(Sr)を測定し、その面積率(Sr/Sw×100(%))を算出して、接着性の評価を行った。結果を下記表1に示す。
次に、実施例および比較例の油圧ホースについて、バルヂの発生の有無(バルヂ試験)および耐久性試験(インパルス試験)を行った。
(バルヂ試験)
バルヂ試験は以下に説明するようにして行った。まず、作製した油圧ホースの両端を金具で加締め、24時間、室温で放置する。その後、オーブンにて加締しめた油圧ホース80℃まで加熱し、80℃から150℃まで10℃おきに各温度で1時間保持して加熱処理を施した。
各温度での加熱処理後に、加締めた金具から油圧ホース内部を観察し、加締部付近に膨れ(バルヂ)が発生しているかどうかを確認した。各温度でバルヂが発生しなかったものを合格(表中の「○」に相当)とし、各温度のいずれかでバルヂが発生したものを不合格(表中の「×」に相当)とした。結果を下記表1に示す。
(インパルス試験)
インパルス試験(耐疲労性試験)は以下に説明するようにして行った。まず、図9に示すようにして、インパルステスター(カバヤ工業株式会社製超高圧インパルステスター)に、作製した油圧ホース202を加締金具204を介して取り付けた。下記試験条件にて、流体を矢印方向に循環させた後、加締金具204がとりつけられた油圧ホース202を取り外した。取り外した油圧ホース202を解剖し、(1)加締め部の状態、(2)油圧ホースの補強層を構成するワイヤーの断線の有無、(3)ゴム切れの状態、を確認した。上記した状態を確認して、油漏れ、ホース抜け、ホース部バースト等の問題がない場合を合格(表中の「○」に相当)とし、いずれかの減少が生じており、実用上問題がある場合を不合格(表中の「×」に相当)とした。結果を下記表1に示す。
インパルス試験条件:
流体…IRM903。
衝撃回数…100万回。
油圧…18MPa。
油温…100℃。
[実施例2〜9および比較例1,2]
外被ゴム層の組成を下記表1に示す組成とした以外は、実施例1と同様にして油圧ホースを作製した。また、実施例1と同様にして、ピーリング試験、バルヂ試験、インパルス試験を行った。結果を下記表1に示す。
Figure 2005188607
表1のピーリング試験の結果から、実施例の油圧ホースは、接着性が高いことが示唆された。
また、表1より、実施例のいずれの油圧ホースについてもバルヂは発生せず、インパルステストもすべて合格であり、接着性が良好であることが確認された。
なお、当該実施例の油圧ホースは、ゴム組成物に塩素を含有しないため、廃棄物処理する際には、環境に対する負荷が少なく、ワイヤーは鉄くずとして再利用できるため、環境保護および省資源の観点からも有意である。
また、実施例1において、「熱風中で150℃で加硫」を「溶融塩中で180℃で加硫」としても、同様の結果が得られた。
本発明の一実施形態に係る油圧ホースの積層構造を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る油圧ホースの積層構造を示す斜視図である。 バルヂの発生機構を説明するための油圧ホースの端部の部分断面を示す説明図である。 バルヂの発生機構を説明するための油圧ホースの端部の部分断面を示す説明図である。 バルヂの発生機構を説明するための油圧ホースの端部の部分断面を示す説明図である。 ピーリング試験の方法を説明するための説明図である。 ピーリング試験の方法を説明するための説明図である。 ピーリング試験におけるゴム付着の状態を説明するための説明図である。 インパルス試験の方法を説明するための説明図である。
符号の説明
10・・・内管ゴム層
12,13,16,17・・・補強層
11,14,15・・・中間ゴム層
18・・・外被ゴム層

Claims (7)

  1. 内管ゴム層と外被ゴム層とを有し、前記内管ゴム層と前記外被ゴム層との間に少なくとも1の補強層を有する油圧ホースであって、
    前記外被ゴム層の直下に少なくとも1の前記補強層が設けられ、かつ、前記外被ゴム層が内添型接着剤を含有してなり、
    前記各層に塩素を含有していないことを特徴とする油圧ホース。
  2. 前記内添型接着剤が、外被ゴム層のゴム成分100質量部に対し、1〜10質量部含有されてなることを特徴とする請求項1に記載の油圧ホース。
  3. 前記外被ゴム層が、有機酸金属塩を含有してなることを特徴とする請求項1または2に記載の油圧ホース。
  4. 前記外被ゴム層が、無機化合物を含有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油圧ホース。
  5. 前記内管ゴム層と前記外被ゴム層との間に、さらに、中間ゴム層が設けられてなり、該中間ゴム層が少なくとも1の前記補強層と隣接し、
    前記補強層と隣接した前記中間ゴム層を構成するゴム組成物の未加硫時の引張強さが、25%伸長時に0.4MPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油圧ホース。
  6. 前記内管ゴム層と前記外被ゴム層との間に、さらに、中間ゴム層が設けられてなり、該中間ゴム層が少なくとも1の前記補強層と隣接し、
    前記補強層と隣接した前記中間ゴム層を構成するゴム組成物中に、高い機械的強度を保有するポリマーおよび短繊維のいずれかが含有されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油圧ホース。
  7. 前記補強層が金属製の線状物からなり、前記線状物が前記内管ゴム層上に網目状に巻回されて設けられてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の油圧ホース。
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