JP2005185081A - 回転機用回転子鋼板、回転機用回転子、回転機、およびこれを搭載した車両、ならびに回転機用回転子鋼板の製造装置および製造方法 - Google Patents

回転機用回転子鋼板、回転機用回転子、回転機、およびこれを搭載した車両、ならびに回転機用回転子鋼板の製造装置および製造方法 Download PDF

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宗勝 島田
Hideaki Ono
秀昭 小野
Tetsuro Tayu
哲朗 田湯
Makoto Kano
眞 加納
Masaru Owada
優 大和田
Mitsuo Uchiyama
光夫 内山
Toshimitsu Matsuoka
敏光 松岡
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Abstract

【課題】高回転運転時での遠心力への耐性が高い回転子鋼板を提供する。
【解決手段】永久磁石を挿入するための複数の第1開口部103a,第2開口部103bが設けられた円形の鋼板100であって、各開口部103a,103bの端縁の一部分で鋼板100が凹設されて段差が形成された段差部106a,106b,106cが設けられている。また、開口部103a,103bの端部から板厚を連続的に変化させた傾斜部を設けてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転機用回転子鋼板、これを用いた回転機用回転子、埋込磁石型回転機、および、この回転機を搭載した車両、ならびに回転機用回転子鋼板の製造装置および製造方法に関する。
永久磁石式の同期モータ(同期電動機)は、たとえば、EV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド電気自動車)、およびFCV(燃料電池自動車)の駆動用モータとして用いられている。特に、永久磁石が回転子に埋め込まれた埋込磁石同期モータ(IPM)は、高速回転化、小型化、および軽量化を実現することができるため、駆動用モータとして好適に用いられている。
そして、従来から、電気自動車などの性能の向上を目指して、さらなる高速回転を可能とするモータが求められている。モータの高速回転化を実現するためには、高速回転の際の遠心力に耐えることができる回転子の構造の開発が必要である。特に埋込磁石型同期モータは、回転子に磁石が埋め込まれているので、高速回転の際の回転子に加わる遠心力が大きくなる。
回転子は、通常、ケイ素鋼板などの電磁鋼板からなる回転子鋼板を複数枚にわたって積層して構成されている。したがって、モータの高速回転性能は、回転子に用いられている回転子鋼板自体の強度によって制限される。言い換えれば、モータの高速回転性能の向上のためには、回転子鋼板の強度を高める必要がある。
しかしながら、回転子鋼板の材料である電磁鋼板の強度を高めることにも、一定の限界がある。一般に、強度が高い電磁鋼板の材料であるほど、鉄損が大きくなる傾向を示す。したがって、強度が高い電磁鋼板を用いて回転子を構成する場合には、この鉄損によって、回転子での発熱量が多くなってしまう。特に、埋込磁石型モータなどのように永久磁石が回転子に埋め込まれているタイプのモータでは、鉄損に起因する発熱によって、永久磁石の温度が高まり、この永久磁石の磁力が低下してしまうおそれがある。
したがって、仮に低鉄損の汎用な材料で回転子鋼板を構成した場合であっても、高速回転化を達成することができる回転子構造が求められている。従来から、この課題を解決するために、以下の特許文献1および特許文献2などに示される技術が開示されている。
特許文献1は、永久磁石を挿入するための開口部である磁石挿入用開口部(スロット)の角部に、異なる曲率を持つ2つの円弧を含む形の空間を設けた回転子構造を開示している。回転子の外周面と磁石挿入用開口部との間の距離が最短となる部位付近が、破壊力学の観点からみて、回転子の最も弱い部分に相当することに鑑みて、上記円弧状の空間の作用によって、最も弱い部分付近に対して、遠心力に起因する応力集中が生じないようにしている。
また、特許文献2は、本願発明者等によって開発された技術を開示している。この特許文献2に記載の技術によれば、1つの磁極あたりの磁石を2個に分割して配置するために第1および第2の磁石挿入用開口部が設けられる。そして、これら第1および第2の磁石挿入用開口部の間に設けられる特有のブリッジ構造によって、遠心力への耐力を更に増加させている。
特開2001−16809号公報(第2図および第3図) 特開2002−112481号公報(第6図)
以上のように、従来の技術では、特に回転子鋼板の面内での形状、すなわち、磁石挿入用開口部の面内形状、および複数の磁石挿入用開口部相互間の面内でのレイアウトを考慮することによって、遠心力に起因する応力を分散させて、モータの高速回転化を目指している。しかしながら、さらなるモータの高速回転化を実現するためには、回転子鋼板の面内での形状を考慮するのみでは、十分とはいえない。また、特許文献1に記載の技術のように、磁石挿入用の開口部の外周部に空間を設ける技術では、設けられた空間の形状や大きさによっては、応力の集中をうまく分散および緩和することができないため、形状の決定が難しいという問題もある。
本発明は、以上の問題を解決するためになされたものである。したがって、本発明の目的は、高回転運転時での遠心力への耐性が高い回転子鋼板を提供することである。特に、本発明の目的は、回転子鋼板の材料にかかわらず、遠心力への耐性を高めることができ、回転子鋼板の面内での形状に加えて、回転子鋼板の断面形状をも考慮して、さらに遠心力への耐性を高めた回転機用回転子鋼板を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上述のように遠心力への耐性を高めた回転子鋼板を積層してなる回転機用回転子、この回転機用回転子を用いた埋込磁石型回転機、および、この埋込磁石型回転機を搭載した車両を提供することである。
また、本発明の他の目的は、遠心力への耐性を高めた回転機用回転子鋼板の製造装置および製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
(1)本発明の回転機用回転子鋼板は、永久磁石を挿入するための複数の開口部が設けられた円形の鋼板であって、各開口部の端縁の一部分で前記鋼板の板厚が変化した板厚変化部が形成されていることを特徴とする。特に、前記板厚変化部は、各開口部の端縁の一部分で前記鋼板が凹設されて形成された段差であってもよく、各開口部の一部分で当該開口部端部から前記板厚を連続的もしくは段階的に変化させた傾斜部であってもよい。
(2)本発明の回転機用回転子鋼板は、永久磁石を挿入するための複数の開口部が設けられた円形の鋼板であって、各開口部の端縁の一部分で開口部の側壁と鋼板表面とがなす角部から当該側壁の略法線方向に沿って硬度が連続的もしくは段階的に減少するような硬度分布を有することを特徴とする。
(3)本発明の回転機用回転子は、上記の回転機用回転子鋼板を、それぞれの開口部が整列するように複数枚にわたって積層してなる回転子鉄心と、前記複数の開口部を整列して構成された挿入口に挿入される永久磁石と、を有することを特徴とする。
(4)本発明の埋込磁石型回転機は、上記の回転機用回転子と、当該回転機用回転子の外周側に配置される固定子とを有することを特徴とする。
(5)本発明の車両は、上記の埋込磁石型回転機である埋込磁石型電動機を駆動力源として設けたことを特徴とする。
(6)本発明の回転機用回転子鋼板の製造方法は、永久磁石を挿入するための複数の開口部を鋼板に形成する段階と、前記開口部の端縁の一部分で前記鋼板をプレス加工によって凹設して段差を形成する段階と、を有することを特徴とする。
(7)本発明の回転機用回転子鋼板の製造装置は、平坦部と、当該平坦部を基準として板厚が変化した板厚変化部とを有する回転機用回転子鋼板を製造する回転機用回転子鋼板の製造装置であって、前記回転子鋼板の前記板厚変化部を押圧成形するための一対の型と、一方の型を他方の型に対し近接離間可能に支持するための複数の軸と、各軸ごとに設けられており、互いに独立して前記型を駆動可能とする駆動機構と、前記型の各軸ごとの位置を計測するための位置計測手段と、前記位置計測手段による計測結果に基づいて、各軸ごとに設けられた前記駆動機構へ制御信号を送るための制御手段と、を有することを特徴とする。
(8)本発明の回転機用回転子鋼板の製造方法は、平坦部と、当該平坦部を基準として板厚が変化した板厚変化部とを有する回転機用回転子鋼板を製造する回転機用回転子鋼板の製造方法であって、一方の型を他方の型に対し近接離間可能に支持するための複数の軸にそれぞれ設けれられた駆動機構を各軸ごとに独立して制御して、前記一方の型と他方の型とが相対的に近づくように駆動する段階と、前記型の各軸ごとの位置を計測する段階と、前記各軸ごとの位置の計測結果に基づいて、各軸ごとに設けられた前記駆動機構の動作を制御する段階と、前記一対の型によって、前記回転子鋼板の前記板厚変化部を押圧成形する段階と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、永久磁石を挿入するための開口部の端縁の一部分で前記鋼板の板厚が変化した板厚変化部が形成されているので、回転子鋼板の材料にかかわらず遠心力への耐性を高めることができる。したがって、回転子鋼板の面内での形状に加えて、回転子鋼板の断面形状をも考慮して、さらに遠心力への耐性を高めた回転機用回転子鋼板を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態の技術は、埋込磁石型(IPM)モータに関するものであり、特に、回転子(ロータ)構造に関するものである。一般に、IPMモータは、他のモータと同様に、回転部分である回転子と、主要静止部分である固定子(ステータ)とを有する。本実施の形態で扱う回転子は、固定子の内周側に配置されるものであり、いわゆるインナーロータ型の回転子である。この回転子は、永久磁石を内蔵する回転子鉄心と、回転子鉄心の中心に取り付けられた軸とを有する。そして、この回転子鉄心は、ケイ素鋼板などのような薄い電磁鋼板を所定の円形形状に加工して得られた鋼板(以下、「回転子鋼板」と呼ぶ)を複数枚にわたって積層して構成されている。
本実施の形態は、この回転子鋼板の構造を改良したものである。図1は、本実施の形態の回転子鋼板の概略構成を示す図である。なお、図1では、8極のモータ用の回転子鋼板を例にとって示している。
図1に示されるとおり、回転子鋼板100は、円形に加工された電磁鋼板である。回転子鋼板100は、永久磁石を挿入するための複数の開口部103a、103bが設けられている。具体的には、図1に示される回転子鋼板100では、1つの磁極ごとに第1開口部103aと第2開口部103bとからなる1対の開口部が設けられている。したがって、図1に示される8極のモータ用の回転子鋼板100では、合計8対の開口部が設けられている。
図2は、図1に示される回転子鋼板100において、1つの磁極の部分を拡大した概略図である。第1開口部103aと第2開口部103bは、回転子鋼板100の外周に向かって互いの距離が広がるように略V字状に配置されている。第1開口部103aの一端部と第2開口部103bの一端部は、互いに近接している。そして、これら一端部で、両開口部103a、103bは所定の幅を持つセンターブリッジ部104により分離されている。ここで、センターブリッジ部104は、第1開口部103aと第2開口部103bとの距離が最短となる部分の付近で第1開口部103aと第2開口部103bとを分離する部分である。
一方、第1開口部103aの他端部と第2開口部103の他端部は、それぞれ回転子鋼板100の外周面101の近傍まで伸延している。しかしながら、これら他端部は、回転子鋼板100の外周面101までは達しておらず、回転子鋼板100の外周面101と第1開口部103aの他端部との間は、所定の幅を持つアウターブリッジ部105aにより分離されている。同様に、回転子鋼板100の外周端と第2開口部103bの他端部との間も、アウターブリッジ部105bにより分離されている。すなわち、アウターブリッジ部105aは、回転子鋼板100の外周面101と第1開口部103aとの距離が最短となる付近で、回転子鋼板100の外周面101と第1開口部103aとを分離する部分である。同様に、アウターブリッジ部105bは、回転子鋼板100の外周面101と第2開口部103bとの距離が最短となる付近で、回転子鋼板100の外周面101と第2開口部103bとを分離する部分である。
そして、第1開口部103aおよび第2開口部103bなどの端縁の一部分で、回転子鋼板100が凹設されて段差が形成された部分(以下、「段差部」という)106a,106b,106cが設けられている。このような段差部106a,106b,および106cが設けられている点が本実施の形態の回転子鋼板100の特徴の一つである。
次に、これらの段差部106a,106b,および106cを詳細に説明する。図3(A)は、図2のA1−A2線に沿った断面を示す図であり、図3(B)は、図2のB1−B2線に沿った断面を示す図である。
回転子鋼板100の外周面101と第2開口部103bとの距離が最短となる付近の端縁(すなわち、アウターブリッジ部105b付近における開口部103bの端縁)において、段差部106aが設けられている。
図3(A)に示されるとおり、外周面101側から内側方向に向かって平坦部分107が続き、第2開口部103bの端縁の箇所で、表面が凹設されて段差が形成されている。なお、図3(A)では、第2開口部103b側のアウターブリッジ部105b付近における段差部106aのみを示しているが、第1開口部103a側のアウターブリッジ部105a付近にも、同様の段差部が形成されている。
また、第1開口部103aと第2開口部103bとの距離が最短となる付近の端縁(すなわちセンターブリッジ部104付近における開口部103aおよび103bの各端縁)において、段差部106b、106cが形成されている。図3(B)に示されるとおり、第1開口部103aと第2開口部103bとの間の中間部分では、平坦部分107が続き、第1開口部103aの端縁、および第2開口部103bの端縁の双方で、表面が凹設されて段差が形成されている。
このように段差部106a,106b,106cが設けられる箇所であるアウターブリッジ部105a、105b付近、およびセンターブリッジ部104付近は、ともに応力集中部であることが、後述する有限要素法弾性解析(FEM弾性解析)によって確認されている。ここで、応力集中部とは、特に回転子が回転して遠心力が加わる際に、遠心力に起因する応力が集中する部分である。したがって、本実施の形態の回転子鋼板100は、第1開口部103aおよび第2開口部103bの各端縁部のうち応力集中部に相当する箇所に段差を設けた構成を有する。
なお、図3(A)および図3(B)において、段差が形成された部分、すなわち段差部106a〜106cの厚さtは、好ましくは、回転子鋼板100の平坦部分107の厚さsを基準として80〜98%である。
段差部106a〜106cの幅wは、段差を形成する狭幅部の寸法、すなわち、アウターブリッジ部105a,105b、またはセンターブリッジ部104の狭幅部の寸法に応じて設計される。段差部106aが形成されるアウターブリッジ部105を例にとれば、図3(A)に示されるA1−A2に沿った断面部分は回転による遠心力で外側に膨らみ、曲げ力が作用する。この曲げ力により、開口部103b端縁部が最も応力が高くなり、ロータ外周側に向かうにつれて応力が徐々に減少するような応力分布が生じる。そして、この応力分布の勾配は狭幅部の幅が狭いほど大きな勾配となる。したがって、段差部の幅wはこの勾配をもとに決定することになる。
また、図3(A)、(B)に示されるとおり、本実施の形態では、段差は、片面にのみ形成されている。すなわち、鋼板100の一の面のみが凹設されて段差が形成されており、他の面には段差は形成されていない。
なお、段差部106aは、図2に示されるとおり、第1および第2開口部103a,103bと回転子鋼板100の外周面101との距離が最短となる箇所を含むような範囲に拡がっている。より具体的には、上述した曲げ力に起因する応力分布に基づいて、鋼材材料の設計許容応力を超えるような範囲に段差部106aを設けることが望ましい。たとえば、図2に示される場合では、段差部106aが形成される範囲(長さ)は、各開口部103a,103bのそれぞれの他端部の辺全体を包含するように拡がっている。
一方、段差部106bおよび段差部106cは、図2に示されるとおり、第1開口部103aと第2開口部103bとの距離が最短となる箇所を含むような範囲に拡がっている。より具体的には、段差部106bおよび段差部106cが形成される範囲(長さ)は、各開口部103a,103bのそれぞれの一端部の辺全体を包含するように拡がっていることが望ましい。なお、図2では、一つの磁極の部分を例にとって説明したが、磁極ごとに、同様の段差部106a,106b,および106cが形成されている。
以上のように構成される回転子鋼板100は、種々の方法によって製作することができる。たとえば、まず、ワイヤーカット法または打ち抜き法などの各種加工法によって、ケイ素鋼板などを図1に示されるように円形に加工するとともに、所定の位置に第1および第2開口部103a、103bを形成する。そして、このように第1および第2開口部103a、103bが形成された鋼板をプレス加工機(後述)に装填し、第1および第2開口部103a、103bの端縁側の所定の部分をプレス加工する。なお、打ち抜きとプレス加工とを連続的に実行することもできる。
なお、端縁側の部分をプレス加工して段差部106a〜106cを設ける際には、塑性変形が生じる。そして、この塑性変形によって、段差部106a〜106cでは、加工硬化(ひずみ硬化)の処理がなされている。この結果、段差部106a〜106cの領域では降伏点が上昇する。すなわち、段差が形成された部分は、加工硬化して強度が上昇することとなる。
なお、このような加工硬化を積極的に利用する見地からは、回転子鋼板100の段差部106a〜106cは、プレス加工によって形成されることが望ましい。しかしながら、後述するように加工硬化による効果以外にも、段差形状に起因する効果もあるので、他の加工方法によって、段差部106a〜106cを形成してもよい。
次に、以上のように、構成される回転子鋼板100の詳細について説明する。なお、上記の段差が形成されていない回転子鋼板(比較例)と比較しつつ、本実施の形態の回転子鋼板100の作用効果を説明する。なお、比較例として、図1に示されるものと面形状が同一である第1および第2の開口部が形成された回転子鋼板であってセンターブリッジ部およびアウターブリッジ部の断面積のみが本実施の形態の回転子鋼板と異なる回転子鋼板を用いている。すなわち、本実施の形態の回転子鋼板と比較例の回転子鋼板とは、外内径、板厚さ、および開口部の投影面積が同じである。
(FEM弾性解析)
まず、FEM弾性解析によって求めた比較例(段差部無し)の回転子鋼板における応力分布を説明する。具体的には、第1および第2の開口部が形成された比較例を用いて、回転状態において特に磁石に働く遠心力に基づく応力分布を算出した結果を説明する。
FEM弾性解析の結果によれば、鋼板の外周面101と開口部との距離が最短となる付近の開口部側(磁石側)の端縁と、第1および第2開口部の相互間の距離が最短となる付近の開口部側(磁石側)端縁とにおいて、遠心力に起因する応力が集中する部分(応力集中部)が存在することが理解された。いいかえれば、上述したとおり、センターブリッジ部104の付け根の部分、および各アウターブリッジ部105a、105bの磁石側の部分に応力集中部が存在することが理解された。
したがって、図2および図3を用いて説明した本実施の形態の回転子鋼板100では、各開口部側の端縁において応力集中部が存在する箇所を凹設して段差が形成されていることが理解される。このように、応力集中部を含むように段差部106a〜106cが設けられている点は、本実施の形態の回転子鋼板100の特徴点の一つである。
(ロータ単板スピン試験)
次に、ロータ単板スピン試験の一実施形態について説明する。本実施の一形態におけるロータ単板スピン試験は、予め数水準の回転数を決めて、回転子鋼板100を目標の回転数に至るまで回転させ、数水準のサンプルを製作し、回転による応力集中部位での塑性変形の度合いをエッチピット法により求める試験である。塑性変形の度合いは、エッチピットの発生している領域の面積の大きさによって評価することができる。
このロータ単板スピン試験においては、回転子鋼板100に、回転子鋼板100の厚さ分に相当するダミー磁石を入れて、磁石による遠心力が加わるようにした。また、回転子鋼板を回転させる回転数の設定範囲は、上記のFEM弾性解析により予測して決定した。ロータ単板スピン試験は、サンプルと大気との間の摩擦によって発生する摩擦熱の影響を排除するため、真空に排気されたチャンバ内において実施された。試験は、室温にて実施された。
まず、前提として、一般的な塑性変形が始まる箇所、塑性変形が始まる際の回転数(変形開始回転数)、回転数が変形開始回転数より高くなった後の塑性変形の進行の経過を明らかにするために、上記の比較例についてロータ単板スピン試験を実施した。そして、このロータ単板スピン試験の結果と、上記のFEM弾性解析の結果とにより、以下のことが確認された。
具体的には、フォン・ミーゼス説に基づく応力(フォン・ミーゼス応力)の分布を考えた場合に、このフォン・ミーゼス応力が集中する部分である応力集中部(すなわち、センターブリッジ部104の付け根の部分、および各アウターブリッジ部105a、105bの磁石側の部分)において、塑性変形が始まることが確認された。また、回転数が高くなり、分布の中で最大の値を持つフォン・ミーゼス応力(最大応力)が、その材料の引張試験により求めた降伏応力の値に達したときに、塑性変形が始まることが確認された(したがって、この時の、回転数が、変形開始回転数となる)。
さらに、回転数が変形開始回転数を超えて高くなるにつれて、塑性変形がさらに進行することが確認された。具体的には、塑性変形が、各アウターブリッジ部105a、105bを貫通して、ついには、回転子鋼板の外周まで達する。このように、回転子鋼板の外周まで塑性変形が達することによって、鋼板の外径寸法が変化する。したがって、回転数を増すにつれて、永久変形が残るため、回転子の外径寸法は、指数関数的に増加する。
次に、以上の前提となる解析結果を参照して、比較例の回転子鋼板についてのロータ単板スピン試験結果と本実施の形態の回転子鋼板100についてのロータ単板スピン試験結果とを比較した。図4は、比較例の回転子鋼板についてのロータ単板スピン試験結果を示し、図5は、本実施の形態の回転子鋼板についてのロータ単板スピン試験結果を示す。両図において、横軸が回転数(krpm)であり、縦軸が回転子鋼板の外径(mm)である。なお、ここでのロータ単板スピン試験は、上記のものとは異なる、他の実施形態の試験である。一枚の回転子鋼板において、目標の回転数で止めて、外径を測ることを低い回転数から、繰り返す試験である。
なお、本実験では、本実施の形態の回転子鋼板100として、段差部106a〜106cの厚さtが平坦部分の厚さsを基準として90%であり、段差が形成されている端縁の幅wが平坦部分の厚さsを基準として1倍(厚さsと同じ値)であるものを用いた。この回転子鋼板100は、図1に示されるような形状をしている。この回転子鋼板100は、外径が100mmであり、厚さが0.35mmの電磁鋼板(新日本製鉄株式会社製 35H300)を打ち抜いて製作した。また、各段差部106a〜106cは、プレス加工によって形成した。そして、プレス加工時に各段差部106a〜106cに生じている加工硬化を積極的に活用するために、ひずみ除去用の熱処理は行わなかった。
一方、比較例の回転子鋼板は、段差部106a〜106cが形成されていないことを除いて、上記の本実施の形態の回転子鋼板と同様のものを用いた。したがって、本実施の形態と比較例との間で、アウターブリッジ部105a、105b、およびセンターブリッジ部104bは段差の有無を除いてその形状は同様である。
図4および図5に示されるとおり、比較例の場合も、本実施の形態の場合も、共に、回転数が高くなるにつれて、外径が増加する。しかしながら、外径が所定の量(たとえば20μm)だけ増加する回転数(以下、「使用限界回転数」という)を比較すると、比較例の場合には、図4に示されるとおり、使用限界回転数が20.8krpmであるのに対し、本実施の形態の場合には、図5に示されるとおり、使用限界回転数が24.0krpmである。したがって、本実施の形態の回転子鋼板100の方が、比較例の場合と比べて、ブリッジ部の断面積が減少しているにもかかわらず、使用限界回転数を15%ほど高めることができる。
以上のとおり、図4および図5に示されるロータ単板スピン試験の結果によれば、アウターブリッジ部105a、105bの近傍、およびセンターブリッジ部104の近傍において、第1開口部103a、第2開口部103bの端縁をプレス加工により凹設して段差を形成することによって、遠心力への耐性を向上することが確認された。
(引張試験)
次に、第1開口部103aおよび第2開口部103bの端縁をプレス加工により凹設して段差を形成することによる効果を引張試験により評価した結果を説明する。具体的には、アウターブリッジ部105a、105b、およびセンターブリッジ部104の静的な強度を評価するための引張試験を行った結果について説明する。
図6は、引張試験の内容を示す図である。図6に示されるように、1つの磁極分(たとえば、6極の回転子鋼板であれば60度分であり、8極の回転子鋼板であれば45度分)の回転子鋼板100をその半径部分で固定治具201に拘束する。そして、第1開口部103aには、磁石のダミーである第1挿入治具202aを挿入し、第2開口部103bには、磁石のダミーである第2挿入治具202bを挿入する。
第1挿入治具202aおよび第2挿入治具202bは、第1開口部103aおよび第2開口部103bに挿入されるべき磁石と同様の形状をしている。また、第1挿入治具202aおよび第2挿入治具202bには、それぞれピン穴203a、203bが設けられており、これらピン穴203a、203bには、棒状のピン204a,204bが回転自在に挿入されている。そして、これら棒状のピン204a、204bを回転子鋼板100の径方向へ向かって牽引する。このとき、第1および第2挿入治具は202a、202bは、それぞれ第1および第2開口部の内面-のうち鋼板外周側の面(特に鋼板外周側の平面部)で接触する。そして、牽引の際に加わる荷重と、挿入治具の変位とが測定される。この測定された変位は、例えば、図6のA点の変位と等価である。
なお、FEM弾性解析によれば、図6に示される静的な引張時の応力分布は、回転時の応力分布と類似してものとなっていることが確認されており、特に、応力集中部の位置は同じになっていることが確認されている。したがって、図6に示されるような方法で、静的な引張試験を行うことによって、回転時の遠心力への耐性を簡易的に評価することができる。
図7に比較例の回転子鋼板についての引張試験結果を示し、図8に本実施の形態の回転子鋼板100についての引張試験結果を示す。両図において、横軸が回転子鋼板の図6のA点の変位量(μm)であり、縦軸が荷重(N)である。
図7および図8に示される試験においては、本実施の形態の回転子鋼板100および比較例の回転子鋼板として、図9に示されるような6極タイプの回転子鋼板を用いた。なお、極数が異なる点を除いて、図7および図8に示される試験に用いられた回転子鋼板は、図4および図5に示される試験で用いられる回転子鋼板と同様のものである。具体的には、プレス加工時に各段差部106a〜106cに生じている加工硬化を積極的に活用するために、ひずみ除去用の熱処理は、行わなかった。また、比較例の場合(図7)と本実施の形態の場合(図8)の場合とで、アウターブリッジ部105a、105b、およびセンターブリッジ部104bの断面積は段差部の分だけ異なっている。
図7および図8に示されるとおり、比較例の場合も、本実施の形態の場合も、共に、同様の傾向をもつ変位−荷重曲線を示した。これらの変位−荷重曲線は、いわゆる応力−歪曲線と類似した曲線となっている。
まず、荷重が小さい段階では、荷重に比例して変位が直線的に増加する。そして、やがて曲線の傾きが小さくなり、測定点が直線からずれてくるといった傾向を示す。このように、直線からずれてくるのは、応力集中部において降伏が起こり始め、塑性変形が始まるからである。更に、荷重が加わって変形が増すと、加工硬化しながら塑性変形が進行する。
このように、比較例の場合と本実施の形態の場合とでは、変位−荷重曲線の示す傾向は類似している。しかしながら、加重が小さい段階での立ち上がりの直線部分から、ずれ始めるところでの荷重(たとえば、直線から10μmずれたところでの荷重)は、両者間で大きく異なる。
具体的には、直線からずれ始めるところでの荷重は、比較例の場合では図7に示されるとおり210Nであるのに対し、本実施の形態の場合では図8に示されるとおり280Nである。したがって、ブリッジ部の断面積が小さいにもかかわらず、本実施の形態の回転子鋼板100の方が、比較例の回転子鋼板と比べて、値が33%向上している。この結果は、本実施の形態の回転子鋼板100を用いる場合の方が、比較例の場合と比べて、より高い荷重を加えるまで、応力集中部において塑性変形が始まらないことを意味している。また、上述した静止引張試験の応力分布と回転時の応力分布の類似性からすれば、本実施の形態の回転子鋼板100を用いる場合の方が比較例の場合と比べて、遠心力に対する耐性が高いものと判断される。
(形状による効果の確認)
以上のように、比較例に比べて、本実施の形態の回転子鋼板100を用いた方が、ロータ単板スピン試験において15%ほど特性が向上し、静止引張試験において33%ほど特性が向上することが確認された。
このような特性の向上は、応力集中部を含む範囲に段差部106a〜106cを設けたことによる形状による効果と、プレス加工時にこの段差部106a〜106cに生じる加工硬化による効果とが共に生じることに起因すると考えられる。そこで、加工硬化による効果を除外して、純粋に形状による効果を確認するために、以下のように実験を行った。
本実験では、段差部を含まない比較例の回転子鋼板と、段差部106a〜106cが設けられた本実施の形態の回転子鋼板とを用意した。これらの回転子鋼板は、図1に示されるような形状をしており、厚さが0.35mmの電磁鋼板(新日本製鉄株式会社製 35H300)を打ち抜いて、外径100mmの円形に加工されている。本実施の形態の回転子鋼板では、さらにプレス加工によって第1および第2開口部103a、103b側の端縁を凹設して、図3に示されるような段差部106a〜106cが形成されている。この実験では、段差部106a〜106cの厚さtが平坦部分の厚さsを基準として80%であり、段差が形成されている端縁の幅wがブリッジ部の幅(図2のA1−A2間,B1−B2間の長さ)の1/3倍であるサンプルを用いた。比較例の回転子鋼板と本実施の形態の回転子鋼板100とは、段差部106a〜106cの有無を除いて、同様の形状である。
そして、比較例の回転子鋼板と、本実施の形態の回転子鋼板100に対して、750℃で2時間の熱処理(歪取り焼鈍)を施し、加工硬化の影響を完全に除去した。すなわち、比較例の回転子鋼板においては、打ち抜きの際の歪の影響を完全に除去した。また、本実施の形態の回転子鋼板においては、打ち抜きの際の歪を除去するとともに、プレス加工による凹設の際の歪を完全に除去した。このようにして、加工硬化の影響を完全に除去した状態で、比較例の回転子鋼板と、本実施の形態の回転子鋼板100について、上述の図6に示される引張試験を実行した。

図10は、歪を除去した場合における比較例の回転子鋼板についての引張試験の結果を示す。横軸が回転子鋼板の変位量(μm)であり、縦軸が荷重(N)である。
このように、比較例の回転子鋼板について、図10に示されるような変位−荷重曲線が得られた。なお、図示していないが、本実施の形態の回転子鋼板についても、同様の傾向を持つ変位−荷重曲線が得られた。また、曲線の立ち上がりの直線部分から、ずれ始めるところでの荷重(たとえば、直線から10μmずれたところでの荷重)は、比較列の場合が182Nであるのに対し、本実施の形態の場合では190Nであった。したがって、熱処理(歪取り焼鈍)によって、加工硬化の影響を除去した場合であっても、段差部106a〜106cが設けられた本実施の形態の回転子鋼板100の方が、比較例の場合と比べて、値が4%向上している。この実験結果によれば、段差部106a〜106cを設けた形状に起因して、遠心力への耐性を向上させる効果が存在することが確認される。
このように、センターブリッジ部104、およびアウターブリッジ部105a、105bの断面積が同じであるにもかかわらず、段差部106a〜106cの有無という形状のみの違いによって遠心力への耐性が高まる理由は不明であるが、センターブリッジ部104およびアウターブリッジ部105a,105bの幅が局所的に増していることによる効果、および段差によって応力集中が緩和されることによる効果が考えられる。
アウターブリッジ部105a,105bの幅が増す点について説明する。アウターブリッジ部105a、105bの断面積が一定であるという条件の下では(たとえば、プレス加工によって段差部106aを形成する場合などは、この条件を満たす)、段差部106a等が形成されて回転子鋼板100の厚さが部分的に薄くなった分量に応じて、アウターブリッジ部105a、105bの幅が局所的に開口部側に増す。特に、段差部106aは、応力集中部を含むように設けられているので、塑性変形が開始される応力集中部付近のアウターブリッジ部105a、105bの幅を選択的に増すことができ、この応力集中部から回転子鋼板外周面101へ塑性変形が進行することを遅らせることができるものと推測される。
一方、段差によって応力集中が緩和される点については、以下のように推測される。すなわち、平坦部分107に比べて、回転子鋼板100の厚さが薄くなっていることに起因して、段差部106a〜106cが一種の緩衝部として機能するものと推測される。また、各段差部106a〜106aは、応力集中部を含みつつ第1開口部103aおよび第2開口部103bの端部において広がりをもっている。したがって、本来であれば応力集中部に集中する応力分布を段差部106a〜106c全体に拡散することができ、この結果、段差によって応力集中が緩和されるものと推測される。
なお、上述した各実験に用いた回転子鋼板100では、段差部106a〜106cの厚さtを、回転子鋼板100の平坦部分の厚さを基準として80%、および90%とした場合を示したが、本実施の形態は、この場合に限られるものではない。上述したとおり、段差部106a〜106cの厚さtは、好ましくは、回転子鋼板の平坦部分107の厚さsを基準として80〜98%の範囲で適宜に決定することができる。圧延率でいえば、圧延率が2%〜20%の範囲となるように段差部106a〜106cの厚さtを適宜に決定することができる。
電磁鋼板35H300の圧延率と降伏応力の関係、および圧延率と伸びを実験により求めた。その結果を図11に示す。図11の左側の縦軸は、降伏応力(MPa)を示し、右側の縦軸は、伸び(%)を示している。図11の横軸は、段差部106a〜106cの圧延率(%)を示している。
図11に示されるように、圧延率が2%未満であると、降伏応力(左側縦軸)の増加の効果が少なくなる一方、圧延率が20%を超えると、伸び(右側縦軸)がなくなる。したがって、加工硬化による降伏応力の増加の効果を積極的に利用する見地からは、圧延率が2%以上であることが望ましい。また、伸びがなくなることを防止して信頼性を向上させる見地からは、圧延率が20%以下であることが望ましい。したがって、言い換えれば、段差部106a〜106cの厚さtは、回転子鋼板の平坦部分107の厚さsを基準として80〜98%の範囲の範囲で選択されることが望ましい。
また、上述した各実験に用いた回転子鋼板では、凹設されて段差が形成された端縁の幅wは、回転子鋼板100の平坦部分107の厚さを基準として約1倍の場合を示したが、好適には、回転子鋼板100の平坦部分107の厚さを基準として0.5〜1.5倍の範囲で選択される。なお、この範囲が好適に用いられる理由としては、段差が形成された端縁の幅wが、平坦部分107の厚さを基準として、0.5倍未満であると、プレス加工によって加工硬化される領域が狭すぎて、十分な強度の向上が望めなくなる一方、1.5倍を超えると、アウターブリッジ部105a、105b、およびセンターブリッジ部104の断面積の減少量が多くなり、かえって強度の向上が望めなくなるからである。
以上のように本実施の形態の回転機用回転子鋼板100を説明したが、本実施の形態の回転子鋼板100によれば、以下の効果を奏することができる。
鋼板に設けられた各開口部103a、103bの端縁の一部分で鋼板が凹設されて段差部106a〜106cが形成されているので、この段差部106a〜106cによる形状効果によって、回転子鋼板100が回転する際の遠心力への耐性が高くなる。
鋼板の外周面101と開口部103a、103bとの距離が最短となる付近の端縁で段差が形成されているので、応力集中部が存在するアウターブリッジ部105a、105bの開口部側の部分における塑性変形の影響を軽減することができ、遠心力への耐性が高くなる。
センターブリッジ部104によって一端部同士が分離されてV字状に配置された第1開口部103aおよび第2開口部103bからなる一対の開口部が一つの磁極毎に設けられており、第1開口部103aおよび第2開口部103bの夫々の端縁の一部分で鋼板が凹設されて段差部106a〜106cが形成されているので、センターブリッジ部104を設けることにより、遠心力に起因する応力を分散しつつ、回転子鋼板の断面形状によっても、遠心力に起因する応力を分散することができる。
回転子鋼板100の外周面101と第1開口部103aとの距離が最短となる付近であるアウターブリッジ部105aの磁石側の端縁、回転子鋼板100の外周面101と第2開口部103bとの距離が最短となる付近であるアウターブリッジ部105aの磁石側の端縁、ならびに第1開口部103aおよび第2開口部103bの相互間の距離が最短となる付近であるセンターブリッジ部104の根元側の端縁において、それぞれ、段差部106a、106b、106c等の段差が設けられているので、アウターブリッジ部側およびセンターブリッジ部側の双方の応力集中部からの変形を抑制することができる。
段差部106a〜106cの厚さは、回転子鋼板100の平坦部分107の厚さを基準として80〜98%であるので、形状による効果や加工硬化による効果を十分に発揮しつつ、伸びがなくなること防止して、さらに信頼性の高い回転子鋼板を提供することができる。
段差が形成されている端縁の幅wが、回転子鋼板100の平坦部分107の厚さを基準として、0.5〜1.5倍であるので、形状による硬化や加工硬化による効果を十分に発揮しつつ、端縁の幅wが大きすぎることによるアウターブリッジ部105a、105b、およびセンターブリッジ部104の断面積が減少しすぎることを防止して、さらに強度を向上させた回転子鋼板を提供することができる。
段差部106a〜106cの部分は、加工硬化されているので、段差部を設けたことによる形状効果による強度向上のみならず、加工硬化による強度向上を図ることができる。特に、段差部106a〜106cをプレス加工を用いて凹設して形成する場合には、段差部106a〜106cを形成する過程で、同時に加工硬化もなされる。したがって、段差部106a〜106cを形成する過程と、加工硬化を行う過程を別々に行う必要がなくなる。
なお、プレス加工によって、段差部106a〜106cを形成する場合には、鋼板を打ち抜く際に加重される方向と、段差部を形成するべく加重される方向とが同じであるので、プレス加工機を工夫することによって、鋼板の打ち抜き工程と段差部の形成工程とを一連の工程として同時に行うこともできる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の回転子鋼板は、第1の実施の形態とは異なり、段差が両面に形成されている。その他の点は、第1の実施の形態の場合と同様であり、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を用いて説明する。
本実施の形態の回転子鋼板100概略構成は、第1の実施の形態において図1および図2に示されるものと同様である。しかしながら、本実施の段差部106a、106b、および106cが、第1の実施の形態の場合と異なる。
図12(A)は、アウターブリッジ部の断面を示す図であり、図12(B)は、センターブリッジ部の断面を示す図である。図12(A)および図12(B)は、第1の実施の形態における図3(A)および図3(B)に対応するものである。図12(A)、図12(B)に示されるように、本実施の形態の回転子鋼板100では、第1の実施の形態と異なり、第1開口部103aおよび第2開口部103bなどの各開口部の端縁の一部において、鋼板が両面から凹設されて、両面に段差が形成されている。
好ましくは、一の面に形成された段差と、他の面に形成された段差とは、その深さが同じである。いいかえれば、段差は、鋼板100の両面に均等に設けられていることが望ましい。
また、段差部106a〜106cの厚さtは、好ましくは、回転子鋼板100の平坦部分107の厚さsを基準として80%〜98%である。また、段差が形成されている端縁の幅wは、好ましくは、回転子鋼板100の平坦部分107の厚さsを基準として0.5〜1.5倍である。この点は、第1の実施の形態の場合と同様である。
また、各段差106a〜106cは、応力集中部を含むように配置されている。具体的には、段差部106aは、アウターブリッジ部105aの第1開口部側の端縁に形成されており、段差部106bは、センターブリッジ部105aの第1開口部側の端縁に形成されており、段差部106cは、センターブリッジ部105aの第2開口部側の端縁に形成されている。この点は、第1の実施の形態と同様である。
このような第2の実施の形態の回転子鋼板100は、たとえば、第1および第2開口部103a、103bが形成された鋼板をプレス加工機(後述)に装填し、第1および第2開口部103a、103bの端縁側の部分を両面側からプレス加工することによって、製作することができる。
この第2の実施の形態の作用を確認するために、上記の図6に示されるような引張試験を実施したところ、第1の実施の形態と同様の特性が得られ、段差部を有していない比較例と比べて引張強度が向上した。なお、引張強度の増加率は、第1の実施の形態の場合と同様であった。したがって、両面に段差を形成した場合であっても、片面に段差106a〜106cを形成した場合と同様に、遠心力への耐性が向上できることが明らかとなった。
以上のような本実施の形態の回転子鋼板100によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、両面から段差を形成するので、片面にのみ段差106a〜106cを形成する場合に比べて各段差の深さを浅くすることができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図13は本実施形態ではアウターブリッジ部105aの開口端縁部に、開口端縁部に向かって板厚を徐々に減少させた傾斜部108を設けている。すなわち、本実施の形態では、各開口部の端縁の一部分で鋼板の板厚が変化した板厚変化部として、上記の段差部に代えて、開口部端部から板厚を連続的に変化させた傾斜部108を採用しているといえる。より具体的には、本実施の形態の回転子鋼板は、平坦部107から開口部端部へと開口部の略法線方向に沿って板厚が連続的に減少するように構成されている。
傾斜部108の最小板厚、すなわち開口端縁部の板厚tは平坦部107の板厚に対して80%〜98%とすることが望ましい。また、傾斜部108の幅Wは、ロータの形状に依存する。具体的には、応力解析によりブリッジ部断面の応力分布を求めた後、設計許容応力よりも実応力が上回る範囲で塑性変形させてひずみを与えるように傾斜部108の幅Wを決定することによって部分的に降伏応力を向上させる。
図13(A)では、板の片面からのみ圧縮しているが、図13(B)に示したように両面から圧縮して板厚を減少させることも可能である。両面から圧縮した場合には、片面から圧縮した場合と比べて、片面あたりの圧縮量を半分として、開口端縁部の板厚tが平坦部107の板厚に対して80%〜98%とすることが望ましい。
このような傾斜部108を構成する方法としては、プレス型による圧縮がある。図14はロータコアの打ち抜き工程を示した図である。本図では理解を容易にするために、各工程で打ち抜かれる部分は実線、ロータコアの最終形状を点線で示している。
第一工程ではアウターブリッジ部105a近傍に逃げ穴110をあける。第二工程ではアウターブリッジ部105aの一部分をテーパ状の傾斜部108にするためにコイニングを行う。このときに第一工程で設けた逃げ穴110に余肉が移動し板厚が増加することを防止することが可能となる。
第三工程では第一開口部103aと第二開口部103bが打抜きされる。開口部の打抜きは本実施例の場合のように全16個の開口部を一度に打抜くことも可能であるし、プレス機の容量によっては、各磁極の第一開口部103aの8箇所を一気に打抜きして、残りの第二開口部103bの8箇所を続く工程で一度に打抜くことでプレス容量を小さくしたまま加工することも可能である。開口部を打抜きした後に、第四工程でロータ内径穴を打ち抜き、最終工程でロータ外径穴を打抜いて、ロータコア形状が形成される。なお、近年、多用されるようになってきた自動積層法を使用した場合には、これらの工程のあとに、かしめ用の突起を設けて型内で自動的に所定数積層するようにな工法も可能である。
図15は図14に示した工程の一部の断面形状を示したものであり、図14のX1−X2断面を図示している。第二工程では逃げ穴110に掛かるように傾斜部108のコイニングが行われていることが分かる。次に第三工程で磁石挿入用の第一開口部103aおよび第二開口部103bが打ち抜きされる。開口部を打ち抜きする時には第二工程で行ったV字型のコイニング部の頂部が残らないように打ち抜かれ、アウターブリッジ部105aには傾斜部108が形成される。そして、このようにして打ち抜かれた鋼板を所定枚数積層してロータを組み立てていく。
本実施例のように傾斜部を設けることで、材料に与えられたひずみは端縁部から徐々に小さくなるように分布し、アウターブリッジ部105aに作用する応力に相応するように材料を強化することが可能となる。言い換えれば、本実施の形態の形態の回転子鋼板は、各開口部の端縁の一部分で開口部の側壁と鋼板表面とがなす角部から平坦部(アウターブリッジ部105aの場合には、外周側に相当)へと当該側壁の略法線方向に沿って硬度が連続的に減少するような硬度分布を有するものといえる。
以上のように、本実施の形態を説明したが、本実施の形態と異なり、傾斜部として、開口部端部から板厚を段階的に変化させたものを採用することもできる。
また、アウターブリッジ部105aに傾斜部108を設ける場合を例にとって説明したが、アウターブリッジ部105bにおいても同様な傾斜部108が設けられることはもちろんである。このようにアウターブリッジ部105a,105bに傾斜部108を設ければ十分でばあるが、さらに、第1の実施の形態においてセンターブリッジ部104付近に設けた段差部に代えて、本実施の形態で説明したような傾斜部を採用することもできる。
本実施の形態の回転子鋼板によれば、材料に与えられたひずみは端縁部から徐々に小さくなるように分布するので、アウターブリッジ部105aに作用する応力に相応するように材料を強化することが可能となる。さらに、段差を設けることにより応力が集中することを抑制することが出来、強度的に大きな負荷にも耐えうる構造が得られる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図16は、本実施の形態の回転子鋼板を示す拡大図である。図16に示されるとおり、本実施の形態の回転子鋼板は、上記の第1および第2の実施の形態とは異なり、センターブリッジ部104付近における開口部103a,103b側の端縁における段差部106b,106cのみが形成されており、アウターブリッジ部105a,105b付近における開口部103a,103b側の端縁における段差部は形成されていない。なお、他の点については、第1の実施の形態の場合と同様である。
本実施の形態の回転子鋼板100も、1つの磁極ごとに、第1開口部103aと第2開口部103bとからなる1対の開口部が設けられている。そして、第1および第2開口部103a,103bのそれぞれの端縁の一部分で回転子鋼板100が凹設されて段差が形成されている。より具体的には、第1開口部103aと第2開口部103bの相互間の距離が最短となる付近の前記端縁で段差が形成されている。
なお、本実施の形態の回転子鋼板100における段差は、図3(B)に示されるとおり、回転子鋼板100の片面にのみ形成されていてもよく、図12(B)に示されるとおり、回転子鋼板100の両面に形成されていてもよい。なお、段差は、加工硬化を積極的に利用する見地から、プレス加工により形成されることが望ましい。
本実施の形態の回転子鋼板100の作用を確認するために、図6に示されるような引張試験を実施したところ、段差部106b,106cを有しない比較例と比べて、引張強度が17%増加した。したがって、センターブリッジ部104付近における開口部103a,103b側の端縁における段差部106b,106cのみが形成されている場合であっても、遠心力への耐性が向上できることが明らかとなった。
以上のように本実施の形態の回転子鋼板100によれば、段差部106b,106cによる形状効果によって、回転子鋼板100が回転する際の遠心力への耐性が高くなる。また、段差部106a,106bは、加工硬化されているので、段差部106a,106bを設けたことによる形状効果による強度向上のみならず、加工硬化による強度向上を図ることができる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図17は、本発明の第5の実施の形態の回転子鋼板の拡大図である。本実施の形態の回転子鋼板は、上記の第1および第2の実施の形態とは異なり、アウターブリッジ部105a,105b付近における開口部103a,103b側の端縁においてのみ段差部106aが形成されており、センターブリッジ部104付近における開口部103a,103b側の端縁における段差部は形成されていない。なお、他の点については、第1の実施の形態の場合と同様である。
本実施の形態の回転子鋼板100も、1つの磁極ごとに、第1開口部103aと第2開口部103bとからなる1対の開口部が設けられている。そして、段差は、回転子鋼板100の外周面101と第1開口部103aとの距離が最短となる付近、および回転子鋼板100の外周面101と第2開口部103bとの距離が最短となる付近で形成されている。
なお、本実施の形態の回転子鋼板100における段差は、図3(A)に示されるとおり、回転子鋼板100の片面にのみ形成されていてもよく、図12(A)に示されるとおり、回転子鋼板100の両面に形成されていてもよい。なお、段差は、加工硬化を積極的に利用する見地から、プレス加工により形成されることが望ましい。
本実施の形態の回転子鋼板100の作用を確認するために、図6に示されるような引張試験を実施したところ、段差部106aを有しない比較例と比べて、引張強度が17%増加した。したがって、アウターブリッジ部105a,105b付近における開口部103a,103b側の端縁における段差部106aのみが形成されている場合であっても、遠心力への耐性が向上できることが明らかとなった。
以上のように本実施の形態の回転子鋼板100によれば、段差部106aによる形状効果によって、回転子鋼板100が回転する際の遠心力への耐性が高くなる。また、段差部106aは、加工硬化されているので、段差部106aを設けたことによる形状効果による強度向上のみならず、加工硬化による強度向上を図ることができる。
(第6の実施の形態)
本実施の形態は、第1〜第5の実施の形態の場合と比べて、開口部の形状およびレイアウトが異なる。
図18は、本実施の形態の回転子鋼板100の概略構成を示す図である。なお、図18では、8極のモータ用の回転子鋼板を例にとって示している。図18に示されるとおり、本実施の形態の回転子鋼板100では、1つの磁極あたり1つ磁石を配置するための1つの開口部103を有する。たとえば、開口部103は、回転子鋼板100の放射方向に対して直交する向きに置かれており、略矩形型をしている。
図19は、図18に示される回転子鋼板100の拡大図である。図19に示されるとおり、開口部103は、その角部を含むように角部の曲率より大きな曲率で、外周面側101に向けて膨らむ円弧空間109を有する。そして、この円弧空間109に沿った開口部103の端縁に段差部106aを有する。特に、円弧空間109において、回転子鋼板100の外周面101側の部分に段差部106aを設けることが望ましい。段差部106aは、図3(A)に示されるように、回転子鋼板100の片面にのみ形成されていてもよく、図12(A)に示されるとおり、回転子鋼板100の両面に形成されていてもよい。
なお、本実施の形態の回転子鋼板100は、たとえば、打ち抜き法などの各種加工法により、図19に示される形状にケイ素鋼板などを打ち抜いた後に、プレス加工によって、回転子鋼板100の開口部103の端縁の一部分で回転子鋼板100を凹設して段差部106aを形成することによって、作製される。
本実施の形態の回転子鋼板100の作用を確認するために、図6に示されるような引張試験を実施した。また、比較例として、図20に示されるように、段差部106aの有無を除いて本実施の形態の回転子鋼板100と形状が同じである回転子鋼板を作製した。そして、本実施の形態の回転子鋼板100と比較例の回転子鋼板との引張試験の結果を比較した。その結果、段差部106aを有していない比較例と比べて、引張強度が17%増加した。したがって、本実施の形態によれば、開口部103の角部に設けられた円弧空間109による応力集中の分散の効果のみならず、応力集中部周辺に設けられた段差部106aによる効果によって、遠心力への耐性をさらに向上できることが明らかとなった。
以上のように本実施の形態の回転子鋼板100によれば、開口部103の角部に設けられた円弧空間109に沿った開口部103の端縁に段差部106aが設けられているので、円弧空間109による応力集中の分散による効果に加えて、段差部106aによる効果により、遠心力への耐性がさらに向上できる。
(第7の実施の形態)
本実施の形態は、第6の実施の形態の場合と比べて、開口部103に設けられた円弧空間109の形成位置が異なる。本実施の形態の回転子鋼板100の概略構成は、第6の実施の形態における図18に示されるものと同様であるので、詳しい説明を省略する。
図21は、本実施の形態の回転子鋼板100の部分拡大図である。図21に示されるとおり、開口部103は、その角部を含むように角部の曲率より大きな曲率で、回転子鋼板100の周方向に沿って膨らむ円弧空間109を有する。そして、この円弧空間109に沿った開口部103の端縁に段差部106aを有する。段差部106aは、図3(A)に示されるように、回転子鋼板100の片面にのみ形成されていてもよく、図12(A)に示されるとおり、回転子鋼板100の両面に形成されていてもよい。
なお、本実施の形態の回転子鋼板100の作製方法は、第6の実施の形態の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。本実施の形態の回転子鋼板100における段差部106aも、プレス加工に形成されていることが望ましい。この場合、段差部106aによる形状の効果のみならず、加工硬化によっても、遠心力の耐性をさらに向上した回転子鋼板100を提供することができる。
本実施の形態の回転子鋼板100の作用を確認するために、図6に示されるような引張試験を実施した。また、比較例として、図22に示されるように、段差部106aの有無を除いて本実施の形態の回転子鋼板100と形状が同じである回転子鋼板を作製した。そして、本実施の形態の回転子鋼板100と比較例の回転子鋼板との引張試験の結果を比較した。その結果、段差部106aを有していない比較例と比べて、引張強度が17%増加した。したがって、本実施の形態によれば、円弧空間109が回転子鋼板100の周方向に沿って膨らんでいる場合であっても、第6の実施の形態と同様に、遠心力への耐性をさらに向上できることが明らかとなった。
(第8の実施の形態)
本実施の形態は、第1〜第7の実施の形態の場合と比べて、開口部の形状およびレイアウトが異なる。
図23は、本実施の形態の回転子鋼板100の概略構成を示す図である。図23では、8極のモータ用の回転子鋼板を例にとって示している。図23に示されるとおり、本実施の形態の回転子鋼板100では、1つの磁極あたり1つの磁石を配置するための一つの開口部103を有する。開口部103は、V字状をしており、この開口部103には、図示していないV字状の永久磁石が挿入される。
図24は、図23に示される回転子鋼板100の拡大図である。図24に示されるとおり、回転子鋼板100の外周面101と開口部103の端部(V字状の先端部分)との間は、所定の幅を持つアウターブリッジ部105により分離されている。ここで、アウターブリッジ部105は、回転子鋼板100の外周面101と開口103との距離が最短となる付近で、回転子鋼板100の外周面101と開口部103とを分離する部分である。
そして、回転子鋼板100の外周面101と開口部103との距離が最短となる付近の端縁(すなわち、アウターブリッジ部105付近における開口部103の端縁)において、段差部106aが設けられている。
なお、本実施の形態の回転子鋼板100における段差は、図3(A)に示されるとおり、回転子鋼板100の片面にのみ形成されていてもよく、図12(A)に示されるとおり、回転子鋼板100の両面に形成されていてもよい。なお、段差は、加工硬化を積極的に利用する見地から、プレス加工により形成されることが望ましい。
なお、本実施の形態の回転子鋼板100の作用を確認するために、図6に示されるような引張試験を実施した。具体的には、比較例として、段差部106aの有無を除いて本実施の形態の回転子鋼板100と形状が同じである回転子鋼板を作製した。そして、本実施の形態の回転子鋼板100と比較例の回転子鋼板との引張試験の結果を比較した。その結果、段差部106aを有していない比較例と比べて、引張強度が17%増加した。したがって、本実施の形態によれば、遠心力への耐性をさらに向上できることが明らかとなった。
以上のように本実施の形態の回転子鋼板100によれば、1つの磁極あたり1つのV字状の開口部を設けた回転子鋼板であっても、段差部106aによる効果により、遠心力への耐性を向上でき、モータ等の高速回転化を実現することができる。
(第9の実施の形態)
以上のように、本発明の回転子鋼板の例について説明したが、次に第9の実施の形態として、これらの回転子鋼板を積層してなる回転子鉄心を有する回転子を有する埋込磁石同期モータ(IPM)を説明する。
図25は、本実施の形態の埋込磁石同期モータ(IPM)の概略構成を有している。本実施の形態における回転子150は、回転子鉄心151と、回転子鉄心151に設けられた挿入口152に挿入される永久磁石153とを有する。また、図示していないが、回転子150は、その中心に取り付けられた軸を有する。
回転子鉄心151は、上記図2に示される回転子鋼板100を複数枚にわたって積層して構成されている。このとき、回転子鋼板100は、それぞれの第1および第2開口部103a,103bが整列するように積層される。そして、挿入口152は、この複数の第1および第2開口部103a,103bがそれぞれ整列されて構成されている。
複数枚の回転子鋼板100は、たとえば所定の焼き嵌め温度にて軸に焼き嵌めされる。また、磁石153は、挿入口152内に接着材で接着される。また、接着の際には、接着材のキュアリング温度にて接着材のキュアリングがなされる。
このように、上述した段差部を持った回転子鋼板100を積層した回転子鉄心を有する本実施の形態の回転子150によれば、遠心力に対する耐性が高く、高速回転性の向上を図ることができる。なお、上述した段差部を持った回転子鋼板100を積層したときの占積率は、段差部を有しない通常の回転子鋼板を積層した場合と同じである。
そして、図25に示されるように、本実施の形態の埋込磁石同期モータ10は、このような特徴をもった回転子150と、この回転子150の外周側に配置される固定子300と、を有する。なお、固定子300の構造は、図25に示されるものに限られず、適宜に変更することができる。固定子300の構造は、従来のものと同様であるので、詳しい説明を省略する。
次に、本実施の形態の埋込磁石同期モータ10の性能を評価するために、図25に示されるような出力60kWクラスの埋込磁石同期モータを製作した。なお、段差部が無いことを除いて形状が同じである回転子鋼板を複数にわたって積層して構成された回転子を作製し、この回転子を固定子300に組み込んで構成した比較例としてのモータについても性能を評価した。そして、本実施の形態の埋込磁石同期モータと比較例としてのモータとの性能を比較した。
具体的には、18000rpm(回転/分)、60kWでの効率を比較したところ、本実施の形態の埋込磁石同期モータの方が、むしろ比較例の場合と比べて効率が上回っていた。このような結果の主な要因は、トルクが増大していることによると考えられる。したがって、各回転子鋼板100に段差形状を持たせたことに起因する回転子鉄心の鉄損の増加は僅少であり、問題とならないことが分かった。
また、回転子150を作製する過程で加えられる温度(焼き嵌め温度や、接着剤のキュアリング温度)および埋込磁石同期モータ10の動作温度では、回転子強度の低下は現れなかった。このことは、これらの温度では、段差部を形成する際に導入された加工硬化は劣化しないことを示している。
なお、以上の説明では、図2に示される回転子鋼板100を積層して回転子鉄心を構成する場合を示したが、回転子鋼板100として、上記の第1〜第8の実施の形態で説明したいずれのタイプのものも用いることができる。
また、埋込磁石同期モータ10を例にとって説明したが、磁石埋込型の回転機に本発明を適用することができることは、明らかである。すなわち、本発明は、同期モータ以外の電動機に適用することもでき、また、高速回転性が要求されている発電機にも適用することができる。
以上のように、本実施の形態の回転子によれば、遠心力に対する耐性が強い回転子を実現することができ、高速回転可能な回転子を実現することができる。
また、本実施の形態の埋込磁石型回転機によれば、性能を悪化させることなく、高速回転可能な回転機を実現することができる。
(第10の実施の形態)
次に、本発明の車両について説明する。本発明の車両は、EV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド電気自動車)、またはFCV(燃料電池自動車)である。本実施の形態では、EV電気自動車を例にとって説明する。
図26は、本実施の形態に係る電気自動車を模式的に示している。図26に示される電気自動車20は、第10の実施の形態で説明した本発明の埋込磁石同期モータ10を駆動力源として設けたことを特徴としている。図26に示される電気自動車20は、上記の第9の実施の形態で説明した埋込磁石同期モータ10により、トランスミッション21およびデファレンシャルギヤ22を介してトルクを分配してタイヤ23を駆動している。
しかしながら、本発明の車両は、この場合に限られない。トランスミッション機械を持っていないタイプ、モータ2つでそれぞれ独立に車輪を駆動するタイプ、車輪の内部にモータを取り付けたホイールインモータによってタイヤを独立駆動するタイプなど、種々のタイプの車両に利用することができることはもちろんである。
以上のように、本実施の形態の車両によれば、高速回転性能の高い埋込磁石型回転機を駆動力源として用いるので、駆動部分の機械強度に優れ、かつ高速回転領域を含む広範囲にわたっての出力運転を容易に達成することができる車両を提供することができる。
(第11の実施の形態)
次に、第11の実施の形態として、上述したように平坦部を基準として板厚が変化した板厚変化部を有する回転機用回転子鋼板を好適に製造するために用いるプレス加工機(回転子鋼板製造装置)を説明する。図27は、本実施の形態のプレス加工機を模式的に示す図である。
プレス加工機400は、プレス加工機本体401と、プレス加工機本体401を制御する制御部402とを有する。図27では、プレス加工機本体401と制御部402とが別々の筐体に設けられている場合が示されている。しかしながら、本実施の形態と異なり、プレス加工機本体401と制御部402とが一つの筐体に設けられていてもよい。
また、プレス加工機400には、材料となる鋼板をプレス加工機本体401へ送るための送り装置(フィーダ)403が付随していてもよい。なお、送り装置403の構成は、従来と同様であるので詳しい説明を省略する。以下、本実施の形態のプレス加工機400について説明する。
図27に示されるとおり、このプレス加工機400は、上型404および下型405からなる一対の型を有する。上型404および下型405は、回転子鋼板の板厚変化部を押圧成形するためのものである。
また、プレス加工機400は、下型405のダイホルダ部分406から上方に向かって垂直に伸延した複数のガイドポスト407a,407b(実際には、4本のガイドポスト407a〜407d)を有する。ガイドポスト407a,407bは、上型404と下型405の面内方向の位置精度を出すための案内棒として機能する。
各ガイドポスト407a,407bの同軸上には、それぞれボールねじ(ねじ軸)408a,408b(実際には、4本のボールねじ408a〜408d)が回転自在に取り付けられている。そして、各ボールねじ408a,408bには、上型404の四隅に設けられた雌ねじ部材409a,409b(実際には、4個の雌ねじ部材409a〜409d)が螺合される。このように各ボールねじ408a,408bと雌ねじ部材409a,409bとが螺合されることによって、これら複数のボールねじ408a,408bは、上型404を下型405に対し近接離間可能に支持するための複数の軸として機能する。
なお、本実施の形態では、各ガイドポスト407a,407bの同軸上に、それぞれボールねじ408a,408bが取り付けられているので、雌ねじ部材409a,409bをガイドブッシュとしても兼用できる。ここで、ガイドブッシュとは、ガイドポスト407a,407bが摺動自在に嵌合される案内用円筒である。
また、プレス加工機400は、各ボールねじ408a,408bごとにサーボモータ410a,410b(実際には、4個のサーボモータ410a〜410d)を有する。サーボモータ410a,410bは、必要に応じて、互いに独立して上型404を上下方向に駆動可能とする駆動機構(駆動電動機)として機能する。
具体的には、サーボモータ410a,410bは、制御部402からの制御信号を受けて、ボールねじ408a,408bを回転させる。制御信号は、サーボモータ410a,410bの動作量を指示するものであり、上型404の実目標位置Htに対応する。
サーボモータ410a,410bは、制御信号を受けると、ボールねじ408a,408bと雌ねじ部材409a,409bとの螺合関係により上型404を軸に沿って上下動させる。
さらに、プレス加工機400には、各ボールねじ408a,408bごとに、リニアスケール411a,411b(実際には、4個のリニアスケール411a〜411d)が設けられている。リニアスケール411a,411bは、上下動される上型404側と固定される下型405側との間に設けられる。リニアスケール411a,411bは、上型404側と下型405側との間の相対的な位置関係(相対変位)を各軸ごとに計測する位置計測手段として機能する。但し、下型405が固定されている場合には、リニアスケール411a,411bは、上型404の位置を計測するものであってもよい。リニアスケール411a,411bは、位置の計測結果(「位置計測結果」という)を出力する。
次に、制御部402について説明する。制御部402は、リニアスケール411a,411bから各軸ごとの位置計測結果を受ける。そして、制御部402は、これらの位置計測結果に基づいて、サーボモータ410a,410bへ制御信号を送る制御手段として機能する。特に、制御部402は、各軸ごとに得られた位置計測結果に基づいて、各軸ごとに設けられたサーボモータ410a,410bを独立して制御することができる。
続いて、本発明の作用を説明する。先に述べたようにモータに用いる電磁鋼板の応力集中部に圧下工程(プレス加工工程)を施して板厚を10%程度圧縮する場合、プレス加工機には数μmオーダーの下死点精度が要求される。たとえば、板厚0.35mmの電磁鋼板を使用して板厚を10%圧縮するためには、数μmオーダーの誤差で35μm圧下する必要がある。
しかしながら、従来のクランク式プレス加工機を使用する場合には、熱変形などが影響するために下死点精度を高めることが困難である。具体的には、許容加重量が数tf(約10N)クラスの小型のプレス加工機であれば、下死点位置の誤差をある程度小さくすることができるものの、たとえば、EV用のモータに用いられる電磁鋼板を打ち抜くために用いられるような100tf(約9.8×10N)クラスのプレス加工機であれば、下死点位置の値は、20μmから30μm程度ばらついてしまう。したがって、クランク式プレス加工機を用いて、EV用の回転子鋼板に部分圧下工程を取り入れることは困難である。
一方、本実施の形態のプレス加工機400によれば、下死点精度を高めることができる。まず、プレス加工が指示されると、制御部402は、サーボモータ410a,410bを各軸ごとに独立して制御して、ボールねじ408a,408bを回転させる。この結果、上型404と下型405とが相対的に近づくように上型404が駆動される。
この際、上型404と下型405との間の相対的な位置が各軸ごとにリニアスケール411a,411bによって計測される。そして、制御部402が、リニアスケール411a,411bによって計測された位置計測結果を受ける。制御部402は、この位置計測結果に基づいて、上型404の相対的な位置を割り出し、各軸ごとのサーボモータ410a,410bをフィードバック制御する。
したがって、本実施の形態のプレス加工機400によれば、下死点精度を安定的に向上させることが可能となる。また、各軸ごとに非常に精密な駆動制御が行えるので、回転子鋼板の一部で板厚を連続的に減少させるような処理を行うこともできる。
このような装置構成によれば、下死点精度を向上することができるので、部分圧下工程のように高精度な加工を要求する工程を回転子鋼板の製造過程に組み込むことが可能となる。このようにして製造された回転子鋼板を回転子に使用することで、強度向上の度合いが各部分で安定している回転子を提供することができる。
また、プレス加工により、ひずみを加えることができるため、材料強度が向上して回転子の高回転化が可能となる。したがって、モータ出力が向上し、モータの小型化を実現することが可能となる。
さらに、プレス加工を施すことによって、ひずみを与えることにより、材料の磁気特性を好ましい状態に変える効果も得られる。たとえば、強化を必要とする部分において、磁気特性を低めたほうがモータ性能の向上に寄与する場合がある。この場合、ひずみの付与により磁気特性を低めるように材料特性を変更して、モータ性能の向上を図ることが可能となる。
(第12の実施の形態)
第11の実施の形態のプレス加工機では、型の位置をリニアスケール411a,411bによって各軸ごとに計測し、得られた位置計測結果に基づいて、制御部402が、各軸のサーボモータ410a,410bをフィードバック制御する場合を説明した。
本実施の形態のプレス加工機では、さらに、各軸ごとに設けられたサーボモータのモータ電流値(電動機電流値)について計測する電流センサを有する。そして、制御部は、モータ電流の計測結果に基づいて、型の傾き具体を判断し、判断された傾き度合に応じて制御信号に補正を加えて各サーボモータへ送る。
なお、これらの点を除いて、本実施の形態のプレス加工機は、第11の実施の形態のプレス加工機と同様の構成を有するので、プレス加工機についての詳しい説明は省略する。また、第11の実施の形態の場合と同様の部材には、同じ部材番号を用いることとする。
図28は、本実施の形態のプレス加工機を模式的に示す図である。図28に示されるとおり、本実施の形態のプレス加工機400は、各軸ごとに設けられたサーボモータ410a,410bに流れるモータ電流値を検出するための電流センサ412a,412b(実際には、4個の電流センサ412a〜412d)を有する。
電流センサ412a,412bは、各軸ごとに設けられたサーボモータ410a,410bのモータ電流値をそれぞれ計測する電流計測手段として機能する。そして、電流センサ412a,412bは、モータ電流値の計測結果(「モータ電流計測結果」という)を出力する。具体的には、電流センサ412a,412bは、所定のサンプリング周期で各時刻におけるモータ電流値を計測することが望ましい。
本実施の形態の制御部402は、電流センサ412a,412bによって計測されたモータ電流値の計測結果を順次に受け取る。そして、制御部402は、これらのモータ電流計測結果に基づいて、被加工物である電磁鋼板の表面に対する上型404の傾き度合を判断する判断手段としても機能する。また、制御部402は、判断された傾き具体に応じて、上記の制御信号を補正して、サーボモータ410a,410bへ送る機能も有する。
次に、制御部402が、上型404の傾き度合を判断する処理と、傾き具体に応じて、制御信号(実目標位置を指示する信号)を補正する処理の各内容について説明する。
図29は、各モータ電流値の時間変化を上型404の上下1サイクル分の区間について示したものである。なお、図29では、参考のために上型404の位置についても点線で示している。図29で縦軸はモータ電流値を示し、横軸は時間を示している。具体的には、左前(FL)、左後(RL)、右前(FR)、および右後(RR)の各軸ごとに設けられたサーボモータ410a〜410dについて、それぞれモータ電流値の時間変化が計測される。図30に、左前(FL)、左後(RL)、右前(FR)、および右後(RR)の各軸の配置関係を示す。
なお、上型404を下方に移動させるようにサーボモータを回転させる電流方向を負とし、上型404を上方に移動させるようにサーボモータを回転させる電流方向を正とした。一般に、トルクが大きくなるにつれて、モータ電流(絶対値)も大きくなる。したがって、モータ電流値はトルクに対応するものとなる。
図29に示されるように、初期段階では、上型404が下方へ略定速で移動される。この際、モータ電流は、比較的小さい負値を示し、略一定値を維持する。そして、上型404が、被加工物である電磁鋼板の表面に接触すると急激にトルクが高まる。この際、モータ電流値の絶対値が急激に大きくなり、グラフも急峻に立ち下がる(この時刻を「電流変化点」という)。上型404が下死点まで進んで加工が終わると、サーボモータには、それまでとは逆向きにモータ電流が供給されて、上型404が上方へ移動する。
なお、図中、T1は、トリガポイントを示し、このトリガポイントT1を通過すると、計測スタンバイ状態になるように制御部402においてプログラムが組まれている。
図29に示される場合では、右前と右後の軸に設けられたサーボモータ410a,410bでは、時刻T2でモータ電流が大きくなり始めており、大きなトルク変化が生じている。この結果から、この時刻T2で加圧が開始されたことがわかる。一方、時刻T2から少し遅れた時刻T3において、左前と左後の軸に設けられたサーボモータ410c,410d(不図示)のモータ電流が大きくなり始めており、大きなトルク変化が生じている。
以上のように、右前と右後の軸に設けられたサーボモータ410a,410bでは、電流変化点がT2であるのに対し、左前と左後の軸に設けられたサーボモータ410c,410dでは、電流変化点がT2に比べて遅れており、T3となっている。
このように、モータ電流値を検出することによって、右前と右後の軸に設けられたサーボモータ410a,410bの方が、左前と左後の軸に設けられたサーボモータ410c,410dに比べてトルクが大きくなり始めるタイミングが早いことがわかる。この結果、右前、右後側にわずかに型404が傾いていると判断される。
以上のように、制御部402は、モータ電流計測結果に基づいてモータ電流の電流変化点を求め、各軸ごとのモータ電流の電流変化点を相互に比較することによって型の傾きを判断する。
次に、この電流値の情報を元に次のサイクルでは各軸間の時間誤差Teを求める。上記の例では、時間誤差Teは、以下の式から求められる。
Te=T3−T2
上型404の降下速度V(m/s)とすると、上型404の傾きに伴う位置の誤差Heは、以下の式から求められる。
He=Te・V〔m〕
ここで、第11の実施の形態と同様に、本実施の形態でも、各軸ごとの型の位置をリニアスケール411a,411bによって計測し、得られた位置計測結果に基づいて、制御部402が、各軸のサーボモータ410a,410bをフィードバック制御する。具体的には、位置計測結果に基づいて、上型404の実目標位置Htが算出される。
そして、本実施の形態では、さらに、制御部402は、上記のように求めた誤差Heを用いて、実目標位置Htを補正する。具体的には、制御部402は、次式のように、誤差分を次サイクルの実目標位置Htに加算して誤差分を補正する。
H=Ht+He〔m〕
なお、上記の例では、左前および左後の軸を基準として、右前および右後の軸の実目標位置を補正したが、この場合に限られない。たとえば、どれか一つの軸の電流変化点Tn(たとえば、最も早い時刻の電流変化点)を基準として、他の軸の電流変化点との間の差分である時間誤差Teを求める。さらに、この時間誤差Teに上型404の降下速度を乗じて、各軸ごとに上型404の位置の誤差Heを求める。そして、最後に、誤差Heを各軸ごとに実目標位置Htに加算する。このような処理によって、上型404の傾きを考慮して補正することができる。
このように、制御部402は、モータ電流検出結果に基づいて判断された型の傾き度合に応じて、軸目標位置に対応する制御信号を補正し、補正した制御信号を駆動機構へ送る。このような補正によって、上型404は、被加工物である電磁鋼板に対して常に平行状態に保たれる。したがって、板厚の偏差などの変動要因が存在する場合であっても、安定した強化領域が得られる。
なお、電流変化点を割り出すために、種々の手法を用いることができる。たとえば、図31に示されるように、モータ電流値を時間微分して、モータ電流の時間微分値を求め、この時間微分値に基づいて、各軸ごとにモータ電流値の変化点を求めることができる。モータ電流値を時間微分する微分手段としては、たとえば微分回路を用いることができる。この場合、モータ電流を微分回路に通すことによって、モータ電流の時間微分値が得られる。しかしながら、モータ電流値をサンプリングして、最も変化率が高かった時刻を求めることによって、電流変化点を直接的に求めることもできる。
(第13の実施の形態)
上述した第11の実施の形態および第12の実施の形態では、ガイドポスト407a,407bの同軸上に、ボールねじ408a,408bが回転自在に取り付けられている場合を説明した。しかしながら、本発明のプレス加工機(回転子鋼板製造装置)は、これらの場合に限られるものではない。
図32は、本実施の形態のプレス加工機を模式的に示す図である。本実施の形態では、ガイドポスト407a,407bと、ボールねじ408a,408bとが別の位置に設置されている。
複数のガイドポスト407a,407bは、下型405のダイホルダ部分406から上方に向かって垂直に伸延した案内棒である。ガイドポスト407a,407bは、上型404に設けられたガイドブッシュ414a,414b(実際は、4つのガイドブッシュ414a〜414d)に摺動自在に嵌合される。ガイドポスト407a,407bと、ガイドブッシュ414a,414bは、位置精度を出すために用いられる。
一方、複数のボールねじ(ねじ軸)408a,408bは、ベアリングなどを介して回転自在に下型405に取り付けられている。各ボールねじ408a,408bには、上型404の四隅に設けられた雌ねじ部材409a,409bが螺合されている。
このような構成によっても、サーボモータ410a,410bが、制御部402からの制御信号を受けて、ボールねじ408a,408bを回転させることによって、第11および第12の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第14の実施の形態)
本実施の形態のプレス加工機は、上型の構成が異なることを除いて、上述した第11〜第13の実施の形態のプレス加工機と同様の構成を有する。したがって、詳しい説明を省略する。また、第11〜第13の実施の形態の場合と同様の部材には、同じ部材番号を用いて説明する。
図33は、本実施の形態のプレス加工機に用いられる上型の構成を示す模式図である。本実施の形態では、サーボモータ410a,410bによってそれぞれ駆動される上型404に、回転加圧型415が内蔵されている。回転加圧型415は、上型404に回転可能に取り付けられている回転部である。この回転加圧型415には、板厚変化部を直接的に押圧成形するための複数の突起416が形成されている。突起416の配列は、製造される回転子鋼板によって定まる。
回転加圧型415は、たとえば、ギアなどの動力伝達機構を介して回転駆動手段である回転駆動モータ417に連結されている。回転駆動モータ417は、たとえば、制御部402によって制御される。
第11〜13の実施の形態で説明したように、上型404は上下動を繰り返し、押圧成形(加圧成形)する。そして、制御部402あるいは別途設けられた計数部(不図示)は、押圧成形の回数、すなわち、上型404の駆動回数を計数している。
制御部402は、押圧成形の回数が所定回数となったか否かを判断し、押圧成形の回数が所定回数となった場合には、上型404が下型405から離間された状態(上方にある状態)で、上型404の駆動を一時的に停止し、回転駆動モータ417に回転指示を与える。
回転指示を受けた回転駆動モータ417は、回転加圧型415を所定角度にわたって回転する。そして、回転加圧型415が所定角度にわたって回転された後に、上型404の駆動が再開される。
したがって、本実施の形態では、制御部402は、回転加工型が断続的に回転駆動されるように回転駆動モータ417を制御する回転制御手段として機能するといえる。
本実施のプレス加工機は、以下のような作用を奏する。
本実施の形態のプレス加工機400では、所定の回数にわたって押圧成形した後に、上型404が上方にある段階で、回転駆動モータ417によって回転加圧型415を所定角度回転させる処理を一定のインターバルで行うようになっている。
材料となる電磁鋼板が圧延されてプレス加工機400に供給され、これを押圧成形する場合を想定すれば、回転加圧型415を回転させない構成では、型の方向と、電磁鋼板の圧延方向とが常に固定される。したがって、電磁鋼板が持つ圧延方向などの特性の違いに起因して、型の磨耗が局部的に進行するおそれがある。
本実施の形態によれば、回転加工型415を断続的に回転駆動するので、型と電磁鋼板の圧延方向とが固定されることが防止される。このため電磁鋼板が持つ圧延方向などの特性の違いで型の磨耗が局部的に進行するおそれがない。したがって、長期にわたって安定した部分強化領域を有する回転子鋼板を製造することができる。
以上のとおり、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明は、これらの場合に限られるものではなく、当業者によって種々の追加、省略、および変形が可能であることは明らかである。
たとえば、上記の説明では、回転子鋼板100の材料として、0.35mm厚の電磁鋼板を使用する場合を示したが、本発明は、この場合に限られない。たとえば、0.20mm厚の電磁鋼板を使用する場合にも適用することができる。また、段差部と傾斜部とを共に採用する構成としてもよい。
第1の実施の形態の回転子鋼板の概略構成を示す図である。 第1の実施の形態の回転子鋼板の拡大図である。 第1の実施の形態の回転子鋼板の断面を示す図である。 比較例の回転子鋼板についてのロータ単板スピン試験結果を示す図である。 第1の実施の形態の回転子鋼板についてのロータ単板スピン試験結果を示す図である。 引張試験の試験内容を示す図である。 比較例の回転子鋼板についての引張試験の結果を示す図である。 第1の実施の形態の回転子鋼板についての引張試験の結果を示す図である。 第1の実施の形態の回転子鋼板であって6極タイプのものを示す概略構成図である。 歪を除去した場合における比較例の回転子鋼板についての引張試験の結果を示す図である。 第1の実施の形態の回転子鋼板に用いられる材料における圧延率と降伏応力の関係、圧延率と伸びとの関係を示す図である。 第2の実施の形態の回転子鋼板の断面を示す図である。 第3の実施の形態の回転子鋼板の傾斜部の断面を示す図である。 第3の実施の形態の回転子鋼板を打抜く工程を示した図である。 図14に示される打抜き工程における回転子鋼板の断面形状を示した図である。 第4の実施の形態の回転子鋼板の拡大図である。 第5の実施の形態の回転子鋼板の拡大図である。 第6の実施の形態の回転子鋼板の概略構成を示す図である。 第6の実施の形態の回転子鋼板の拡大図である。 比較例の回転子鋼板の拡大図である。 第7の実施の形態の回転子鋼板の拡大図である。 比較例の回転子鋼板の拡大図である。 第8の実施の形態の回転子鋼板の概略構成を示す図である。 第8の実施の形態の回転子鋼板の拡大図である。 本発明の埋込磁石同期モータの一例を示す図である。 本発明の車両の一例を示す図である。 第11の実施の形態のプレス加工機を模式的に示す図である。 第12の実施の形態のプレス加工機を模式的に示す図である。 図28に示されるサーボモータにおけるモータ電流値の時間変化の一例を示す図である。 各サーボモータの位置を示す模式図である。 モータ電流値を時間微分した時間微分値の一例を示す図である。 第13の実施の形態のプレス加工機を模式的に示す図である。 第14の実施の形態のプレス加工機に用いられる上型の構成を示す模式図である。
符号の説明
100 回転子鋼板(回転機用回転子鋼板)、
101 回転子鋼板の外周面、
103a,103b 第1開口部、第2開口部
104 センターブリッジ部、
105a,105b アウターブリッジ部、
106a,106b,106c 段差部、
107 平坦部、
108 傾斜部、
109 円弧空間、
150 回転子、
151 回転子鉄心、
152 挿入口、
153 永久磁石、
300 固定子、
400 プレス加工機(回転子鋼板製造装置)、
402 制御部、
404 上型、
405 下型、
407a,407b ガイドポスト、
408a,408b ボールねじ(軸)、
410a,410b サーボモータ(駆動電動機)、
411a,411b リニアスケール(位置計測手段)、
412a,412b 電流センサ(電流計測手段)、
415 回転加圧型(回転部)、
416 突起、
417 回転駆動モータ、
10 埋込磁石同期モータ(埋込磁石型回転機)、
20 電気自動車(車両)。

Claims (24)

  1. 永久磁石を挿入するための複数の開口部が設けられた円形の鋼板であって、
    各開口部の端縁の一部分で、前記鋼板の平坦部を基準として板厚が変化した板厚変化部が形成されていることを特徴とする回転機用回転子鋼板。
  2. 前記板厚変化部は、各開口部の端縁の一部分で前記鋼板が凹設されて形成された段差であることを特徴とする請求項1に記載の回転機用回転子鋼板。
  3. 前記板厚変化部は、各開口部の一部分で当該開口部端部から前記板厚を連続的もしくは段階的に変化させた傾斜部であることを特徴とする請求項1に記載の回転機用回転子鋼板。
  4. 前記板厚変化部は、前記開口部の側壁と鋼板表面とがなす角部から当該側壁の略法線方向にそって硬度が連続的もしくは段階的に減少するような硬度分布を有することを特徴とする請求項3に記載の回転機用回転子鋼板。
  5. 前記板厚変化部は、回転子鋼板が回転して遠心力が加わる際に当該遠心力に起因する応力が集中する部分である応力集中部付近の前記端縁で形成されることを特徴とする請求項1に記載の回転機用回転子鋼板。
  6. 前記板厚変化部は、前記鋼板の外周面と前記開口部との距離が最短となる付近の前記端縁で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機用回転子鋼板。
  7. 回転機の1つの磁極ごとに、第1の開口部と第2の開口部とからなる1対の開口部が設けられており、前記板厚変化部は、当該第1および第2の開口部の夫々の端縁の一部分で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機用回転子鋼板。
  8. 前記板厚変化部は、前記鋼板の外周面と前記第1の開口部との距離が最短となる付近、および前記回転子鋼板の外周面と前記第2の開口部との距離が最短となる付近で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の回転機用回転子鋼板。
  9. 前記板厚変化部は、前記第1および第2の開口部の相互間の距離が最短となる付近の前記端縁で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の回転機用回転子鋼板。
  10. 前記板厚変化部が、前記鋼板の片面にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機用回転子鋼板。
  11. 前記板厚変化部における最小板厚が、前記回転子鋼板の平坦部分の厚さを基準として80〜98%であることを特徴とする請求項1に記載の回転機用回転子鋼板。
  12. 前記板厚変化部は、加工硬化されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機用回転子鋼板。
  13. 永久磁石を挿入するための複数の開口部が設けられた円形の鋼板であって、
    各開口部の端縁の一部分で開口部の側壁と鋼板表面とがなす角部から当該側壁の略法線方向に沿って硬度が連続的もしくは段階的に減少するような硬度分布を有することを特徴とする回転機用回転子鋼板。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載された回転機用回転子鋼板を、それぞれの開口部が整列するように複数枚にわたって積層してなる回転子鉄心と、
    前記複数の開口部を整列して構成された挿入口に挿入される永久磁石と、
    を有することを特徴とする回転機用回転子。
  15. 請求項14に記載の回転機用回転子と、
    当該回転機用回転子の外周側に配置される固定子とを有することを特徴とする埋込磁石型回転機。
  16. 前記請求項14に記載の埋込磁石型回転機である埋込磁石型電動機を駆動力源として設けたことを特徴とする車両。
  17. 永久磁石を挿入するための複数の開口部を鋼板に形成する段階と、
    前記開口部の端縁の一部分で前記鋼板をプレス加工によって圧縮して段差もしくは傾斜部を形成する段階と、を有することを特徴とする回転機用回転子鋼板の製造方法。
  18. 平坦部と、当該平坦部を基準として板厚が変化した板厚変化部とを有する回転機用回転子鋼板を製造する回転機用回転子鋼板の製造装置であって、
    前記回転子鋼板の前記板厚変化部を押圧成形するための一対の型と、
    一方の型を他方の型に対し近接離間可能に支持するための複数の軸と、
    各軸ごとに設けられており、互いに独立して前記型を駆動可能とする駆動機構と、
    前記型の各軸ごとの位置を計測するための位置計測手段と、
    前記位置計測手段による計測結果に基づいて、各軸ごとに設けられた前記駆動機構へ制御信号を送るための制御手段と、を有することを特徴とする回転機用回転子鋼板の製造装置。
  19. 前記駆動機構は、各軸ごとに設けられた駆動用電動機を含むことを特徴とする請求項18に記載の回転機用回転子鋼板の製造装置。
  20. さらに、各軸ごとに設けられた前記駆動用電動機の電動機電流値をそれぞれ計測する電流計測手段と、
    前記電流計測手段による計測結果に基づいて、前記駆動用電動機により駆動された前記型の傾き度合を判断する判断手段と、を有し、
    前記制御手段は、前記判断手段によって判断された前記傾き度合に応じて前記制御信号を補正して、前記駆動機構へ送ることを特徴とする請求項18に記載の回転機用回転子鋼板の製造装置。
  21. さらに、前記電流計測手段によって計測された電動機電流値を時間微分して電動機電流値の時間微分値を得るための微分手段を有し、
    前記判断手段は、前記微分手段によって得られた前記時間微分値に基づいて、各軸ごとに電動機電流値の変化点を求め、各軸ごとの電動機電流値の変化点を比較することによって前記型の傾きを判断することを特徴とする請求項20に記載の回転機用回転子鋼板の製造装置。
  22. さらに、前記型に回転可能に取り付けられており、板厚変化部を押圧成形するための複数の突起が形成されている回転部と、
    前記回転部を回転駆動する回転駆動手段と、
    前記回転部が断続的に回転駆動されるように前記回転駆動手段を制御する回転制御手段と、を有することを特徴とする請求項18〜21のいずれか一つに記載の回転機用回転子鋼板の製造装置。
  23. 前記一対の型は、前記回転子鋼板が回転して遠心力が加わる際に当該遠心力に起因する応力が集中する部分である応力集中部の付近で前記板厚変化部を押圧成形することを特徴とする請求項18〜22のいずれか一つに記載の回転機用回転子鋼板の製造装置。
  24. 平坦部と、当該平坦部を基準として板厚が変化した板厚変化部とを有する回転機用回転子鋼板を製造する回転機用回転子鋼板の製造方法であって、
    一方の型を他方の型に対し近接離間可能に支持するための複数の軸にそれぞれ設けられた駆動機構を各軸ごとに独立して制御して、前記一方の型と他方の型とが相対的に近づくように駆動する段階と、
    前記型の各軸ごとの位置を計測する段階と、
    前記各軸ごとの位置の計測結果に基づいて、各軸ごとに設けられた前記駆動機構の動作を制御する段階と、
    前記一対の型によって、前記回転子鋼板の前記板厚変化部を押圧成形する段階と、を有することを特徴とする回転機用回転子鋼板の製造方法。
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