JP2005178312A - ガスバリア性積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ガスバリア性積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 蒸着金属層との優れた接着性を有し、それにより蒸着後のガスバリア性、とりわけ水蒸気バリア性に優れ、かつ、ボイル、レトルトなどの高温熱水処理を施した後も、基材フィルムとの優れた接着性、ガスバリア性を有するガスバリア性積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、厚み0.01〜0.5μmの易接着層が形成されるとともに、少なくとも一方の易接着層の表面に膜厚10〜5000Åの無機薄膜または無機酸化物薄膜からなるガスバリア層が形成されたガスバリア性積層ポリエステルフィルムであり、該積層ポリエステルフィルムの水蒸気透過度(g/m2・day)が2.0以下で、かつ95℃熱水中で30分間処理した後の水蒸気透過度(g/m2・day)が5.0以下であることを特徴とするガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガスバリア性積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。特に酸素バリア性、水蒸気バリア性、透明性に優れ、生鮮食品、加工食品、医薬品、医療機器、電子部品等の包装材料、工業材料に提供されるガスバリア性積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
ポリエステルフィルムは、機械的性質、耐熱性および透明性に優れており、工業用途や食品包装用フィルムとしても広く使用されている。しかし、ポリエステルフィルム単独では、食品包材にとって極めて重要な性能の一つである、酸素および水蒸気遮断性などのいわゆるガスバリア性に欠ける。したがって、フィルム表面にアルミニウムをはじめとする金属ないしは金属酸化物などの蒸着、いわゆるガスバリア層を形成することによりガスバリア性を改善し、食品保存性をさらに高めている。
ポリエステルフィルムは優れた特性を有するが、その表面が高度に配向結晶化し表面の凝集性が高く、一般に接着性は低い。そのため、コロナ放電処理やプラズマ処理などの物理的処理方法や、酸、アルカリなどの化学薬品を使用してフィルム表面を活性化させる化学的処理方法により表面改質を図り、各種蒸着層の接着性を高める試みがなされている。しかし、このような物理的方法では、工程は簡便であるが得られる接着性は不十分であり、化学的方法では、工程は複雑となり作業環境悪化などの問題がある。
上記の物理的、化学的処理方法とは別に、基材フィルムに接着活性を有する下塗り剤を塗布して、易接着層を積層する方法があるが、この方法は易接着層の上にコートされる各種の蒸着層に応じて易接着成分を選択できることなどから広く利用されている。
易接着層の構成成分としては、作業性、安全性およびコスト面から水性樹脂が汎用されているが、蒸着金属との接着性向上にはとりわけポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂などが好適に使用される。
また、前記の水性樹脂に各種の硬化剤を配合し、易接着層としての性能、特に耐水性、耐熱性を向上させることが実施されている。この目的で使用される硬化剤としては、たとえばイソシアネート化合物やメラミン化合物およびエポキシ化合物などが挙げられる(例えば、特許文献1、2参照。)。また、ポリエステル樹脂とメラミン化合物とからなる易接着層により、蒸着層の耐水接着性が向上することが知られている(例えば、特許文献3参照。)。また、一分子当たりカルボジイミド基一つを含有するカルボジイミド単量体を使用して、易接着性積層フィルムを得る方法もある(例えば、特許文献4参照。)。
特公昭56−151562号公報 特公昭61−10311号公報 特開平8−311221号公報 特開平8−332706号公報
しかしながら、これら既存の技術を用いた易接着層は、特にボイル、レトルトなどの高温熱水処理を施した場合には、基材フィルムとトップコート層間の層間接着性が低下し、食品包材としての実用性能に問題が生じることがあった。すなわち、水性易接着コート剤として用いられる各種硬化剤、架橋剤は、添加量が少なく、十分な層間接着性が得られておらず、昨今の食品包材に対する厳しい品質水準に鑑みて、その要求に応えられないことがしばしばある。
易接着層としてポリウレタンやポリエステル系樹脂等の水性樹脂に実質的に水不溶性のアミノ樹脂を添加することにより、耐熱性ならびに耐水性に優れた易接着性プラスチックフィルムが得られるが、アミノ樹脂が水不溶性であるため、安定した樹脂水溶液もしくは水分散液を調製することが困難であり、また得られたフィルムの表面ヘイズも高くなるという問題を有していた。
一方、無機薄膜からなるバリア層としては、例えば特許文献5に、合成樹脂体表面にSixy(例えばSiO2)を蒸着したガスバリアフィルムが提案されているが、ガスバリア性の良好なSiOx系(x=1.3〜1.8)は、やや褐色を有している問題点がある。また、特許文献6に、酸化アルミニウムがガスバリア層を形成したものがあるが、酸素バリア性が若干劣ることや、耐屈曲性の問題もある。さらに、特許文献7には、レトルト性を有するガスバリアフィルムとしてのAl23・SiO2系の例として、Al23とSiO2を積層したものがあるが、そのガスバリア特性、耐屈曲性は、不充分である。すなわち、耐レトルト性が必要な食品包装材の場合、薄膜の厚みは2000Å以上が要求されるのに対し、耐屈曲性を向上させるには、できるだけ薄くしなければならないという二律背反的課題がある。
特公昭51−148511号公報 特開昭62−101428号公報 特開平2−194944号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、蒸着金属層との優れた接着性を有し、それにより蒸着後のガスバリア性、とりわけ水蒸気バリア性に優れ、かつ、ボイル、レトルトなどの高温熱水処理を施した後も、基材フィルムとの優れた接着性、ガスバリア性を有するガスバリア性積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供しようというものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用するものである。すなわち、
1.基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、厚み0.01 〜0.5μmの易接着層が形成されるとともに、少なくとも一方の易接着層の表面に膜厚10〜5000Åの無機薄膜または無機酸化物薄膜からなるガスバリア層が形成されたガスバリア性積層ポリエステルフィルムであり、該積層ポリエステルフィルムの水蒸気透過度(g/m2・day)が2.0以下で、かつ95℃熱水中で30分間処理した後の水蒸気透過度(g/m2・day)が5.0以下であることを特徴とするガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
2.前記積層ポリエステルフィルムの酸素透過度(ml/m2・day・Mpa)が20以下で、かつ95℃熱水中で30分間処理した後の酸素透過度(ml/m2・day・Mpa)が40以下であることを特徴とする前記1に記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
3.基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、易接着層が形成されるとともに、少なくとも一方の易接着層の表面に無機薄膜または無機酸化物薄膜からなるガスバリア層が形成されたガスバリア性積層ポリエステルフィルムであり、前記易接着層が、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂、(B)トリアジン環を有するアミノ樹脂からなり、ATR−IR法による測定で1540cm-1の吸光度/1340cm-1の吸光度の比が0.010以上であることを特徴とするガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
4.前記易接着層を形成する成分(A)が、水溶性もしくは水分散性樹脂がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする前記3に記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
5.前記易接着層を形成する各成分の構成比が、成分(A)と成分(B)の質量比が40/60〜5/95であることを特徴とする前記1〜のいずれかに記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
6.ガスバリア層が、酸化珪素と酸化アルミニウムとの混合物からなる薄膜であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
7.(A)水溶性もしくは水分散性樹脂、(B)トリアジン環を有するアミノ樹脂を含む水溶液または水分散液を二軸配向結晶化終了前の基材フィルムに塗布、乾燥した後、少なくとも一方向に延伸し、熱処理した後、形成された易接着層の表面に無機薄膜または無機酸化物薄膜を形成することを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルムの製造方法。
本発明によれば、蒸着金属層に対し、熱水処理後も高い水蒸気バリア性を維持することが可能なガスバリア性積層ポリエステルフィルムを提供することができる。したがって、ボイル、レトルトなどの高温熱水処理を施した後も、基材フィルムとの優れた接着性、ガスバリア性を有するため、特に、食品包装材の用途に好適なガスバリア性積層ポリエステルフィルムである。本積層フィルムを使用することにより、蒸着、ラミネートなどの加工工程において作業性が改善されるという利点も有する。
以下に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、易接着層が形成されるとともに、少なくとも一方の易接着層の表面に無機薄膜または無機酸化物薄膜からなるガスバリア層が形成された積層ポリエステルフィルムであり、該積層ポリエステルフィルムの水蒸気透過度(g/m2・day)が2.0以下で、かつ95℃熱水中で30分間処理した後の水蒸気透過度(g/m2・day)が5.0以下であり、好ましくは積層ポリエステルフィルムの95℃熱水中で30分間処理した後の水蒸気透過度(g/m2・day)が4.0以下、より好ましくは3.0以下である。積層ポリエステルフィルムの水蒸気透過度(g/m2・day)が2.0を超え、かつ95℃熱水中で30分間処理した後の水蒸気透過度(g/m2・day)が5.0を超えると、基材フィルム及び蒸着層との密着性が不足し、蒸着層が基材フィルムより剥がれたり、あるいは蒸着層が割れたりしやすくなる。蒸着層の密着性が弱いと水が層間に浸透し水蒸気の透過する面積が広がるため、水蒸気バリア性は低下することになる。
該積層ポリエステルフィルムは、さらに、酸素透過度(ml/m2・day・Mpa)が20以下で、かつ95℃熱水中で30分間処理した後の酸素透過度(ml/m2・day・Mpa)が40以下であることが好ましい。
かかる特性を有するため、ボイル、レトルトなどの高温熱水処理を施した後も、基材フィルムとの接着性に優れ、かつ優れたガスバリア性を有し、特に、食品包装材の用途に好適に用いることができる。
本発明において易接着層を形成する樹脂組成としては、基材フィルムと蒸着層とに高い接着性を有する熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂と反応し架橋することができる化合物や樹脂との組合せが好ましい。かかる樹脂組成の例としては、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂、(B)トリアジン環を含むアミノ樹脂からなる易接着層が挙げられる。この場合、自己縮合性がある(B)トリアジン環を含むアミノ樹脂成分を(A)水溶性もしくは水分散性樹脂成分と同量あるいはそれ以上の量を配合することにより、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂成分、あるいは(B)アミノ樹脂成分に親水性があっても、ボイル、レトルト処理に耐久性があるという特長を有する。
前記特長は、ATR−IR法による測定で1540cm-1の吸光度/1340cm-1の吸光度の比が、0.010以上であることにより発現される。
トリアジン環を有するアミノ樹脂成分の添加は、蒸着層と基材フィルム間の密着性向上に寄与する。この密着性を向上させる架橋剤成分の存在量を、ATR−IR法による測定で、非常に薄い易接着層から精度よく定量することが可能となる。
前記のATR−IR法による測定で1540cm-1の吸光度/1340cm-1の吸光度の比は、水蒸気バリア性の観点から0.010以上が好ましく、特に好ましくは0.015以上、更に好ましくは0.020以上である。また、この吸光度の比が大きくなると、膜厚の上昇を意味し、得られたポリエステルフィルムの屈曲性に悪影響を及ぼす。この観点から、ATR−IR法による測定で1540cm-1の吸光度/1340cm-1の吸光度の比は0.2以下が好ましい。
また、上記易接着層を設けることにより、加熱時の基材フィルムからのオリゴマー析出/凝集も抑制されている。このことにより、蒸着時の異物による欠陥が抑制されて、よりハイレベルなガスバリアフィルムを形成することができる。
本発明の基材フィルムとして用いられるポリエステルフィルムは、厚み5〜100μm程度のフィルムであり、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体が用いられるが、なかでもポリエチレンテレフタレートから形成された二軸延伸フィルムが特に好適である。これらの重合体の製法としては、特に限定するものではなく、固相重合または重合体を溶剤抽出等でオリゴマー含有量を低減したポリエステルを使用してもかまわない。
また、本発明で用いられるポリエステルフィルムには、重縮合触媒(エステル交換法の場合には、エステル交換反応触媒も使用される)、燐酸または燐酸化合物などの熱安定剤が必須成分として用いられる。これら以外に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩も適性量含有させておくことが、シート状の溶融ポリエステル樹脂を回転冷却ロール上に静電印加法により密着固化させ、厚みの均一な未延伸シートを得ることができる点から好ましい。
また、フィルムの滑り性、巻き性、耐ブロッキング性などのハンドリング性や、耐摩耗性、耐スクラッチ性などの摩耗特性を改善するために、基材のポリエステルフィルム中に不活性粒子を含有させることが好ましい。その他必要に応じて、ポリエステル樹脂中に各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐光剤、ゲル化防止剤、有機潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などが挙げられる。
本発明の積層ポリエステルフィルムを光学用部材の基材フィルムとして使用する場合には、高度な透明性を維持しながらハンドリング性に優れていることが要求されるため、基材フィルムには実質的に粒子を含有させず、被覆層にのみ微粒子を含有させることが好ましい。
本発明における易接着層の構成に適用される水溶性もしくは水分散性樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂があげられる。中でも、ウレタン樹脂またはポリエステル樹脂が混合しやすく、バリア性発現においても好ましい。
本発明における易接着層の構成に適用される水溶性もしくは水分散性ポリウレタン樹脂としては、各種ポリウレタン樹脂、ポリウレタンポリ尿素樹脂およびそれらのプレポリマー等が例示できる。このようなウレタン樹脂の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネートなどのジイソシアネート成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエチレングリコールなどのジオール成分との反応物、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、アミノ化合物、アミノスルホン酸塩、ポリヒドロキシカルボン酸、重亜硫酸などとの反応物などを挙げることができる。
また、水溶性もしくは水分散性ポリエステル樹脂としては、各種ポリエステル樹脂およびそれらの変性物が例示できる。このようなポリエステル樹脂の具体例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールなどのジオール成分との反応物が挙げられ、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などによる変性物も含まれる。
なかでも、水性芳香族ポリエステル系樹脂または酸価が200eq/t以上の水性アクリル系樹脂から選ばれる1種以上の樹脂または2種以上の共重合体が好ましい。この共重合体にはブロック体及びグラフト体が含まれる。この場合、易接着層の耐水性を悪化させないようにする必要がある。
この共重合体での水性アクリル樹脂成分に含まれる耐水性を悪化させない極性基としては、加熱後に分解して極性が低下するカルボン酸のアミン塩が例示される。使用することができるアミンは、塗膜の乾燥条件で気化することが必要であり、例えばアンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
さらに好ましくは、水性芳香族ポリエステル系樹脂または酸価が200eq/t以上の水性アクリル系樹脂から選ばれる1種以上の樹脂または2種以上の共重合体が、2重結合を有する酸無水物を含有する少なくとも1種のモノマーからなるラジカル重合体を5質量%以上含有することである。5質量%未満では耐水性の効果が十分得られない。
前記の酸無水物を樹脂中に導入することにより、樹脂分子間で架橋反応を行なうことが可能となる。すなわち、樹脂中の酸無水物はコート液中では加水分解等によりカルボン酸に変化し、乾燥及び製膜中の熱履歴により、分子間で酸無水物または他の分子の活性水素基と反応してエステル基等を生成し、塗布層の樹脂の架橋を行い、耐水性及び加熱白化防止性等を発現することができる。
2重結合を有する酸無水物を含有するモノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2,5−ノルボネンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。また、ラジカル重合体は、他の重合性不飽和単量体との共重合体であってもよい。
他の重合性不飽和単量体としては、フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジエステル;マレイン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエステルまたはジエステル;イタコン酸、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル;フェニルマレイミド等のマレイミド等;スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体;ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなど;アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等)などのアクリル重合性単量体;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのヒドロキシ含有アクリル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリル単量体;N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートのアミノ基含有アクリル単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基含有アクリル単量体;アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体、などが挙げられる。
本発明において、ポリビニルアルコール樹脂の鹸化度と重合度は、目的とする微粒子分散性、コート液の粘度、製造時の延伸性を加味して定められる.ポリビニルアルコールの重合度(以下、いずれも「数平均分子量」を示す。)は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上であり、さらに好ましくは2600以下、さらにより好ましくは2000以下とすることが推奨される。重合度が300未満になると、結晶化速度が速すぎるため、十分な延伸性が得られないことがある。また重合度が2600を超えるとPVA水溶液粘度が高くなり過ぎて、ゲル化し易くなるためコーティングが困難となることがある。
本発明のアクリル樹脂として、例えば、水に分散したアクリル樹脂エマルジョンを用いることができ、その分散径は好ましくは20〜200nm、さらに好ましくは30〜100nmであるのが他の樹脂と混合させる上で望ましい。20nm未満の分散径とするには、乳化重合などによってアクリルエマルジョンを作成するときにその比表面積から乳化剤の使用量が多くする必要があり、接着性などで支障を来す場合がある。200nmを越える場合には、微分散化が困難になる場合がある。また、該アクリル樹脂のガラス転移温度は、0〜80℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜70℃である、ガラス転移温度が低すぎると耐ブロッキング性に不利な場合があり、高すぎると水に分散させる際の樹脂の不安定さが問題になる場合がある。
アクリル樹脂を構成するモノマー成分としては、特に限定するものではないが、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて共重合される。更に、これらは他種のモノマーと併用することができる。
ここで他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどを用いることができる。また、変性アクリル共重合体、例えば、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体なども使用可能である。
本発明において用いられる好ましいアクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸から選ばれる共重合体などである。
本発明におけるアクリル樹脂エマルジョンの重合方法は特に限定しないが通常は乳化重合、懸濁重合などが好ましく用いられる。
本発明における易接着層には、トリアジン環を有するアミノ樹脂を用いることが必要である。アミノ樹脂としては、例えばメラミン、ベンゾグアナミンなどのホルムアルデヒド付加物、さらにこれらの炭素原子数が1〜6のアルコールによるアルキルエーテル化合物を挙げることができる。具体的にはメトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメトキシ化メチロールベンゾグアナミンであり、それぞれ単独または併用して使用することができる。
本発明における易接着層において、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂と(B)トリアジン環を有するアミノ樹脂の構成比はA/B=60/40〜5/95(質量比)にする必要があり、好ましくは45/55〜10/90、更に好ましくは50/50〜15/85である。この範囲内とすることにより、水分散性を確保することができるとともに、基材フィルムと蒸着層間の接着性に優れ、優れたガスバリア性、特に水蒸気バリア性を発揮することができる。(B)トリアジン環を有するアミノ樹脂の、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂に対する配合比が40質量%より低いと接着性が得られず、また95質量%より多くしても得られる接着性に大きな向上は認められず、かえって耐熱水/レトルト接着性が低下する。
本発明において、基材フィルムに塗工する易接着層の水溶液もしくは水分散液の濃度は、1〜30質量%とするのが適当であり、フィルムへの塗工性ならびに作業性から3〜10質量%がさらに好ましい。
また、該水溶液または水分散液ならびに基材フィルムには、本発明の効果を妨げない範囲において、必要に応じて帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を配合することも可能である。
本発明における易接着層の水溶液または水分散液を基材フィルムにコーティングする方法として、例えば、二軸配向結晶化終了前の基材フィルム、すなわち未延伸ないしは一軸延伸フィルムに上記水溶液または水分散液を塗布し、延伸熱処理を経て二軸延伸フィルムを得るいわゆるインラインコート法に適用できる。インラインコート法は、未延伸ないしは一軸延伸フィルムに上記水溶液または水分散液を塗布したのち延伸熱処理を実施するため、延伸後コーティングを施すポストコート法よりも易接着層を薄くすることが可能であり、基材フィルムと蒸着層等の密着性を高めることができる。また、易接着層の塗布工程が基材フィルムの製造工程に組み込まれていることから、低コストで該易接着コートフィルムの製造が可能である。なお基材フィルムの延伸方法に関しては、材質に応じてテンター式同時二軸延伸法や逐次二軸延伸法を適用することができる。
本発明において、易接着層の厚みは、0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1μm、さらに好ましくは0.01〜0.05μmである。0.01μmより薄いと接着性が低下し、0.5μmより厚いと易接着性向上等に有意な変化が見られず、むしろフィルム巻物にブラッシングないしはブロッキングが生じ、易接着層の裏写りやフィルム巻出し時の易接着層損壊やさらにはフィルム切断が発生するなど弊害が生じ、コスト面にも不利である。水分散液の塗布方法としては、既知の任意の方法を選択することができ、例えば、バーコート法、エアーナイフコート法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法を適用することができる。
本発明により提供されるガスバリア性積層プラスチックフィルムは、無機薄膜からなるガスバリア層を形成する前に、その表面にコロナ処理をはじめとする表面活性処理を施したり、印刷、各種機能コーティング、ラミネート等を行うことにより諸性能を付加し、その利用価値をさらに向上させることも可能である。
本発明において、無機薄膜からなるガスバリア層を形成するのに用いる無機物質は、一般に知られているものをそのまま使用することができ、例えば、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、マグネシウムなどの金属又はこれらの金属酸化物、酸化チタンなどを典型的なものとして例示することができる。
無機薄膜からなるガスバリア層の形成には、真空蒸着法、スパッター法、イオンプレーティングなどのPVD法(物理蒸着法)、あるいはCVD法(化学蒸着法)などが適宜用いられる。例えば、真空蒸着法においては、蒸着源材料として無機物、例えば、Al23とSiO2やAlとSiO2の混合物等を用いることができ、また、加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱等を用いることができる。また、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を用いてもよい。また、ポリアミドフィルム基材にバイアス等を加えたり、ポリアミドフィルム基材の温度を上昇、あるいは、冷却したり等、本発明の目的を損なわない限りに於いて、作成条件を変更してもよい。スパッター法やCVD法等のほかの作成法でも同様である。
本発明における好ましい無機薄膜は、酸化アルミニウム、酸化硅素薄膜であるが、この薄膜は、通常、酸化アルミニウムと酸化硅素との混合物又は化合物等とから成り立っていると考えられる。ここでいう酸化アルミニウムは、Al、AlO、Al23等の各種アルミニウム酸化物の混合物から成り立ち、酸化アルミニウム内での各々の含有率等は製造条件で異なる。また、酸化珪素は、Si、SiO、SiO2等から成り立っていると考えられ、これらの比率も製造条件で異なる。本発明における該薄膜の酸化アルミニウムの比率としては、20〜99質量%であって、好ましくは5〜45質量%である。しかして、酸化珪素、酸化アルミニウム量が5質量%未満では、蒸着膜中に格子欠陥が生じて十分なガスバリア性が得られ難くなり、また酸化珪素・酸化アルミニウム系蒸着膜中の酸化アルミニウム量が45質量%超になると、膜の柔軟性が低下し、熱水処理時における寸法変化によって膜の破壊(割れや剥離)が生じやすくなってガスバリア性が低下するといった問題が生じ、本発明の目的にそぐわなくなる。また、この成分中に、特性が損なわれない範囲で微量(全成分に対して高々3%まで)の他成分を含んでもよい。該薄膜の厚さとしては、特にこれを限定するものではないが、ガスバリア性及び可撓性の点からは、10〜5000Åが好ましく、更に好ましくは、50〜2000Åであるが、該薄膜層内の組成比率、及び薄膜の厚さは、各使用用途における要求品質にあわせて無機薄膜組成を選択すればよい。
ガスバリア性積層ポリエステルフィルムの全体の厚みは、5〜40μmが好ましく、5μm未満ではバリア性が不足することがあり、40μmを超えると屈曲性が低下する傾向があるのみならず、用途によっては不経済になる場合がある。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
ラミネートフィルムの作成
フィルムの蒸着面にポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製、TM−590)を約3μm塗布し、80℃で熱処理した後、低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡績社製 L6102、厚み40μm)を80℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力でドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
(2)ATR法による1540cm-1と1340cm-1の吸光度測定
フーリエ変換赤外分光光度計(パーキンエルマー社製)を使用し、固体ATR法により吸光度を求めた。クリスタルはSe結晶を用い、バックグラウンド測定、サンプル測定とも資料室内を十分に窒素置換した後に測定を行った。定量は、ベースラインとして該当ピークの前後の最小値を結んだ線をベースラインとして(1540cm-1では、1510付近、1600cm-1付近の最小値を結んだ線、1340cm-1では1310cm-1付近、1360cm-1付近の最小値を結んだ線)、該当波長のピーク高さを読み取り、計算した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
(3)ラミネートフィルムの熱水処理
上記(1)で作成したラミネートフィルムの試験片(10cm×15cm)を95℃の熱水中で30分間ボイル処理した。
(4)酸素バリア性の測定
上記(1)で作成したラミネートフィルムの酸素透過度をJIS K7126B法に準拠し、酸素透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製製 OX−TRAN100)を用いて、温度23℃、湿度65%RHの測定条件で測定した。
(5)水蒸気バリア性の測定
上記(1)で作成した作成したラミネートフィルムをJIS K7129B法に準拠し、米国モコン(MOCON)社製の水蒸気透過度測定装置(PERMATRAN−W3/31)を用いて、温度40℃、湿度100%RHの測定条件で測定した。
(6)ラミネート強度の測定
上記(1)で作成した作成したラミネートフィルムを長さ15cm、1.5cm幅に切りだし、剥離面に蒸留水をスポイトで一適落とした後、チャック間距離1cm、100mm/minの測定条件で引張試験機(テンシロン)を用いて測定した。
(実施例1)
アミノ樹脂(サイメル370、三井サイテック社製、固形分88質量%)22質量部に、水性ポリウレタン樹脂(HW340、大日本インキ株式会社製、固形分25質量%)78質量部を加え30分間撹拌したのち、水、イソプロパノールで希釈して総固形分濃度が5質量%となるよう濃度調整し、さらに20分間撹拌して水性樹脂配合液を得た。極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン(質量比)=60/40)のPETを予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムの片面に、上記塗布液をファウンテンバーコート法により延伸前の樹脂固形分厚みが0.1μmとなる様に塗布し、引き続き乾燥しつつテンターに導き、100℃で予熱し、横延伸を120℃で4.0倍延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら225℃で熱処理を行い、厚さは12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
次いで、蒸着源として、3〜5mm程度の粒子状SiO2(純度99.9%)とAl23(純度99.9%)を用いて、電子ビーム蒸着法で、得られた易接着フィルム上に酸化アルミニウムと二酸化ケイ素の混合ガスバリア層の形成を行った。真空層内には、巻き出し部、コーティング部、巻取り部が入っており、連続でフィルムに蒸着が可能である。蒸着時の圧力を1.0×10-4Torrになるように調整した。SiO2とAl23は、混合せずに2つに区切って入れた。加熱源として、電子銃(以下EB銃)を用い、2種類の原料をそれぞれ時分割で加熱した。その時のEB銃のエミッション電流を1.2Aとし、SiO2とAl23の加熱比を1:2で加熱した。フィルムの送り速度は、130m/minとし、150Å(オングストローム)厚の膜を作った。また、蒸着時のフィルムを冷却する為のロールの温度を−10℃に調整した。
得られた積層ポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2及び3、比較例1〜4)
樹脂成分と配合比を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様の手順で水性樹脂配合液およびガスバリア性積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
(共重合ポリエステル樹脂の調製)
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート163質量部、ジメチルイソフタレート163質量部、1,4−ブタンジオール169質量部、エチレングリコール324質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5質量部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。
次いで、フマル酸14質量部およびセバシン酸203質量部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで、255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、29Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂は、淡黄色透明で、重量平均分子量は18000であった。
(1)グラフト樹脂の製造
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、共重合ポリエステル樹脂(A−1)75質量部、メチルエチルケトン56質量部およびイソプロピルアルコール19質量部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、無水マレイン酸15質量部をポリエステル溶液に添加した。
次いで、スチレン10質量部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5質量部をメチルエチルケトン12質量部に溶解した溶液を、0.1ml/分でポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5質量部を添加した。次いで、水300質量部とトリエチルアミン15質量部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。
その後、反応器の内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散グラフト重合樹脂B−1を得た。該水分散グラフト樹脂(B−1)は淡黄色透明であった。このグラフト体の酸価は1400eq/tであった。
樹脂成分と配合比を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様の手順で水性樹脂配合液および易接着層コートフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2005178312
本発明のガスバリア性積層ポリエステルフィルムは、蒸着金属層に対して優れた接着性を有し、特に、熱水処理後も高い水蒸気バリア性を維持することが可能であり、耐ボイル、耐レトルト性などが要求される食品包装用フィルムのみならず、電気・電子部品、建材、写真製版、粘着テープ、離型材などの一般工業用フィルムなど、多様な用途に利用することができ、産業界に寄与すること大である。

Claims (7)

  1. 基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、厚み0.01 〜0.5μmの易接着層が形成されるとともに、少なくとも一方の易接着層の表面に膜厚10〜5000Åの無機薄膜または無機酸化物薄膜からなるガスバリア層が形成されたガスバリア性積層ポリエステルフィルムであり、該積層ポリエステルフィルムの水蒸気透過度(g/m2・day)が2.0以下で、かつ95℃熱水中で30分間処理した後の水蒸気透過度(g/m2・day)が5.0以下であることを特徴とするガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  2. 前記積層ポリエステルフィルムの酸素透過度(ml/m2・day・Mpa)が20以下で、かつ95℃熱水中で30分間処理した後の酸素透過度(ml/m2・day・Mpa)が40以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  3. 基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、易接着層が形成されるとともに、少なくとも一方の易接着層の表面に無機薄膜または無機酸化物薄膜からなるガスバリア層が形成されたガスバリア性積層ポリエステルフィルムであり、前記易接着層が、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂、(B)トリアジン環を有するアミノ樹脂からなり、ATR−IR法による測定で1540cm-1の吸光度/1340cm-1の吸光度の比が0.010以上であることを特徴とするガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  4. 前記易接着層を形成する成分が水溶性もしくは水分散性樹脂がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  5. 前記易接着層を形成する各成分の構成比が、成分(A)と成分(B)の質量比が40/60〜5/95であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  6. ガスバリア層が、酸化珪素と酸化アルミニウムとの混合物からなる薄膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  7. (A)水溶性もしくは水分散性樹脂、(B)トリアジン環を有するアミノ樹脂を含む水溶液または水分散液を二軸配向結晶化終了前の基材フィルムに塗布、乾燥した後、少なくとも一方向に延伸し、熱処理した後、形成された易接着層の表面に無機薄膜または無機酸化物薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性積層ポリエステルフィルムの製造方法。
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