JP2005167193A - 剥離剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アッシング後に発生するアルミニウム配線のデポや、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポを効果的に除去でき、アルミニウム配線材料や、ホール底のチタン、窒化チタン等に対して腐食を大幅に抑制できる剥離剤組成物、該組成物を用いて金属配線を有する半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄する方法、ならびに該剥離洗浄方法を用いる半導体基板又は半導体素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】金属配線を含む半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄に用いる剥離剤組成物であって、標準試験(A−1)によるアルミナ溶解量が10ppm以上の溶解剤と標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である抑制剤とを含有し、含フッ素化合物を実質的に含有しない剥離剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコンウェハ等の半導体用基板上に半導体素子を形成する工程において使用したレジストをアッシングにより除去した後に残存するデポ(金属材料由来の酸化生成物など)の剥離に用いられる剥離剤組成物、該剥離剤組成物を用いる半導体用基板及び半導体素子の剥離洗浄方法、ならびに該剥離剤組成物を用いて剥離洗浄する工程を有する半導体基板又は半導体素子の製造方法に関する。
半導体素子の製造において、スパッタリング等の方法で薄膜を形成し、リソグラフィーにより薄膜上に所定のパターンをレジストで形成する。これをエッチングレジストとして下層部の薄膜を選択的にエッチングで除去した後、アッシングにてレジストを除去する工程が取られる。その後、残存するデポを剥離剤を用いて除去する工程が必要とされる。
従来のアルミニウム配線を用いた半導体素子の剥離剤として様々な剥離剤組成物が提案されており、含フッ素化合物を用いた剥離剤やヒドロキシルアミンに代表されるアミンを用いた剥離剤が主に使用されている。
しかしながら、半導体素子の高速化、高集積化の要求が高まるにつれ、配線の微細化が進み、配線幅が狭くなってきていることから、洗浄時に剥離剤による配線の腐食(エッチング)が起こらないことが必要条件となってきている。
金属膜を腐食しない洗浄剤として、4級アンモニウム塩又は有機カルボン酸アンモニウム塩と、フッ化アンモニウム、水溶性有機溶剤、無機酸又は有機酸で構成された剥離剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)が、この剥離剤組成物は、従来の配線幅が広い素子のレベルでの使用には効果があるが、配線幅が狭い素子では、フッ化アンモニウムのアルミニウム配線に対する腐食性が大きいために使用には問題がある。
また、有機酸と界面活性剤(有機硫酸塩、スルホン酸塩、脂肪酸塩等)を組み合わせた剥離剤組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、デポ剥離力は弱く、このデポの除去性を高めるために有機酸量を増やすと、アルミニウム配線の腐食が生じてしまうため、十分な効果が得られない。したがって、配線幅が狭い素子で必要なデポ剥離性とアルミニウム配線の低腐食性の両者を満足できるものは得られていないのが現状である。
一方、配線間をつなぐビアホールの形成時においても、配線幅の微細化により、ビアホール底のチタン、窒化チタンをエッチングした際の、チタン由来のデポが多量に付着する傾向が高まっている。これら、チタン由来のデポはその後のアッシング工程でさらに固着してしまい、非常に剥離洗浄が困難になるため、含フッ素化合物系剥離剤やアミン系剥離剤を用いて剥離を行っても充分な剥離性が得られない。
上記のような問題に対し、過酸化水素と第四級アンモニウム塩と過酸化水素化物を含有する剥離剤(例えば、特許文献3参照)、過酸化水素と第四級アンモニウム塩と防食剤を含有しアルカリ条件下で使用される剥離剤(例えば、特許文献4参照)等が提案されているが、高温条件下での剥離洗浄が必要であり、チタン由来のデポに対する剥離性がまだ充分ではないため、問題を解決するに至っていない。
また、有機酸と水や、有機酸と水溶性溶剤と水の組み合わせによる水系洗浄剤(例えば、特許文献5及び6参照)を用いて洗浄しようとした場合、洗浄初期に比べて、連続洗浄するにつれて、デポ剥離性が低下したり、アルミニウム配線の防食性が悪化するなどの問題が起こり、現実には長期の連続洗浄はできない。したがって、短期間で剥離剤を入れ替えて使用する必要がある。
一方、リン酸とリン酸アンモニウムの系(例えば、特許文献7参照)や、フッ化アンモニウムと酸と有機カルボン酸アンモニウム塩の系(例えば、特許文献1参照)においては、連続洗浄に伴う洗浄特性の変化は小さいが、洗浄初期の段階から、基本的特性であるデポの溶解性とアルミニウム配線の防食性との両立が不十分である。
また、半導体の洗浄に使用される水系洗浄剤が開示されている(例えば、特許文献8及び9参照)がいずれもデポ剥離性とアルミニウム配線の防食性との両立が不十分である。
特に、今後の高速、高集積化に必要な配線幅が小さい180nm以下の配線を有するような半導体基板や半導体素子においては、これらの従来公知の水系剥離剤を使用するのは難しいのが現状である。
また、従来公知の水系剥離剤を解放された洗浄槽で長期に使用される場合や循環使用される場合、時間とともに半導体基板等が汚染されるという問題もあり、現実には短時間で剥離剤を交換することで対処している。
特開平10−55993号公報 特開2000−267302号公報 特開2002−202618号公報 特開2003−5383号公報 特開平10−256210号公報 特開平11−316464号公報 特開2000−232063号公報 特開平9−279189号公報 特開2001−26890号公報
本発明の目的は、アッシング後に発生するアルミニウム配線のデポや、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポを効果的に除去でき、アルミニウム配線材料や、ホール底のチタン、窒化チタン等に対して腐食を大幅に抑制できる剥離剤組成物、該組成物を用いて金属配線を有する半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄する方法、ならびに該剥離洗浄方法を用いる半導体基板又は半導体素子の製造方法を提供することにある。特に、配線幅の狭い180nm以下のアルミニウム配線を有する半導体素子の洗浄に適した剥離剤組成物、該組成物を用いた半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄方法、ならびに該剥離洗浄方法を用いる半導体基板又は半導体素子の製造方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、アルミニウム配線材料や、ホール底のチタン、窒化チタン等を腐食することなく、アッシング後に発生するアルミニウム配線のデポや、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポを剥離洗浄する際に、半導体への汚染を防止することができる水系剥離剤組成物及びその洗浄方法、並びにその剥離洗浄する工程を有する半導体基板又は半導体素子の製造方法を提供することにある。特に、汚染物の影響を受けやすい配線幅の狭い180nm以下のアルミニウム配線を有する半導体基板又は半導体素子の汚染を防止して洗浄する方法、及びその汚染防止洗浄工程を有する半導体基板又は半導体素子の製造方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、アルミニウム配線材料や、ホール底のチタン、窒化チタン等を腐食することなく、アッシング後に発生するアルミニウム配線のデポや、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポを剥離剤組成物を用いて剥離洗浄する際に、初期性能が変化することなく長期間連続して使用することができる剥離剤組成物、及びそれを用いた半導体基板又は半導体素子などの半導体の連続洗浄方法、並びにその連続洗浄方法を用いた洗浄工程を有する半導体の製造方法を提供することにある。特に、洗浄性が要求される配線幅の狭い180nm以下のアルミニウム配線を有する半導体に効果的に働く剥離剤組成物、それに関連した連続洗浄方法、及び半導体の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕金属配線を含む半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄に用いる剥離剤組成物であって、標準試験(A−1)によるアルミナ溶解量が10ppm以上の溶解剤と標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である抑制剤とを含有し、含フッ素化合物を実質的に含有しない剥離剤組成物、
〔2〕抑制剤が無機酸塩及び/又は有機酸塩である前記〔1〕記載の剥離剤組成物、
〔3〕溶解剤が酸である前記〔1〕又は〔2〕記載の剥離剤組成物、
〔4〕抑制剤が、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩酸塩、及び硼酸塩からなる群より選ばれる1種以上の塩である前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の剥離剤組成物、
〔5〕溶解剤と抑制剤の重量比(溶解剤/抑制剤)が、2/1〜1/30である前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の剥離剤組成物、
〔6〕水を50重量%以上含み、かつpHが1〜10である前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の剥離剤組成物、
〔7〕金属配線が180nm以下の配線幅を有するアルミニウム配線を含む前記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の剥離剤組成物、
〔8〕配線幅180nm以下の金属配線を含む半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄に用いる剥離剤組成物であって、標準試験(A−1)によるアルミナ溶解量が10ppm以上の溶解剤と標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である抑制剤とを含有する剥離剤組成物、
〔9〕金属配線が、アルミニウム、銅、タングステン及びチタンからなる群から選ばれる1種以上の金属を含む金属配線である前記〔1〕〜〔8〕いずれか記載の剥離剤組成物、
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕いずれか記載の剥離剤組成物を用いて、半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄する方法、
〔11〕前記〔1〕〜〔9〕いずれか記載の剥離剤組成物を用いて、半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄する工程を有する半導体基板又は半導体素子の製造方法、
〔12〕酸と、無機酸塩及び/又は有機酸塩とを含有する剥離剤組成物であって、以下の(i)〜(v):
(i)酸が1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸で、無機酸塩及び/又は有機酸塩がカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩酸塩、及び硼酸塩からなる群より選ばれる1種以上の塩、
(ii)酸が硫酸で、無機酸塩が硫酸塩及び/又は硝酸塩、
(iii)酸がシュウ酸で、無機酸塩がホスホン酸塩、
(iv)酸が硫酸及びシュウ酸で、無機酸塩が硫酸塩、
(v)酸が1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びシュウ酸で、無機酸塩が硫酸塩
のいずれかの成分を含む剥離剤組成物、
〔13〕a)水とb)水への溶解度(25℃)が10g以上/水100gの化合物とを含有してなる剥離剤組成物であって、a)の含有量が50〜99.8重量%で、b)の含有量がa)を除いた部分の90重量%以上であり、さらに標準試験(A−2)での酸化アルミニウム溶解量が10ppm以上かつ標準試験(B−2)でのアルミニウムエッチング量が7nm以下である剥離剤組成物、
〔14〕b)の化合物として、酸と、無機酸塩及び/又は有機酸塩とを含有する前記〔13〕記載の剥離剤組成物、
〔15〕酸を0.01〜5重量%、無機酸塩及び/又は有機酸塩を0.2〜40重量%含有する前記〔13〕記載の剥離剤組成物、
〔16〕pHが1〜10である前記〔13〕〜〔15〕いずれか記載の剥離剤組成物、
〔17〕前記〔13〕〜〔16〕いずれか記載の剥離剤組成物を用いた半導体の洗浄方法、
〔18〕半導体の配線幅が180nm以下のアルミニウム配線を有するものである前記〔17〕記載の半導体の洗浄方法、
〔19〕前記〔17〕又は〔18〕記載の洗浄方法を用いた洗浄工程を有する半導体の製造方法、
〔20〕酸化アルミニウム溶解剤とアルミニウム腐食抑制剤を含有する水系剥離剤組成物であって、1)水の含有量が50重量%以上、2)標準試験(A−2)での酸化アルミニウム溶解量が10ppm以上、3)標準試験(B−2)でのアルミニウムのエッチング量が7nm以下、かつ4)標準試験(A−2)前後でのpH変化が0.5以下である剥離剤組成物、
〔21〕酸化アルミニウム溶解剤が酸であり、アルミニウム腐食抑制剤が無機酸塩及び/又は有機酸塩である前記〔20〕記載の剥離剤組成物、
〔22〕剥離剤組成物のpHが1〜10である前記〔20〕又は〔21〕記載の剥離剤組成物、
〔23〕前記〔20〕〜〔22〕いずれか記載の剥離剤組成物を用いて60℃以下で洗浄する工程を有する半導体の連続洗浄方法、
〔24〕配線幅が180nm以下のアルミニウム配線を有する半導体基板又は半導体素子を用いる前記〔23〕記載の半導体の連続洗浄方法、ならびに
〔25〕前記〔23〕又は〔24〕記載の連続洗浄方法を用いた洗浄工程を有する半導体の製造方法
に関する。
本発明の一態様の剥離剤組成物は、半導体素子形成時に発生するアルミニウム配線デポやビアホール底のチタン由来のデポに対し優れた剥離性を有し、且つ配線幅の狭い配線金属材料に対してもエッチングが起こらず防食性に優れる。従って、本発明の一態様の剥離剤組成物を用いることで、半導体素子の高速化、高集積化が可能となり、品質の優れたLCD、メモリ、CPU等の電子部品を製造することができるという効果が奏される。
また、本発明の一態様の剥離剤組成物を用いて半導体素子形成時に発生するアルミニウム配線デポやビアホール底のチタン由来のデポを剥離する際に、半導体の電気特性等の品質に大きく影響を与える汚染を防止できることができるという効果が奏される。
また、本発明の一態様の剥離剤組成物を、半導体素子形成時に発生するアルミニウム配線デポやビアホール底のチタン由来のデポを剥離する半導体の剥離洗浄工程で用いることにより、半導体の品質に大きく影響を与えるデポの残存や配線の腐食を防止することができ、かつ新しい剥離剤を追加したり入替えることなく長期に連続して洗浄することができるため、半導体の生産性を上げられ、高性能のLCD、メモリ、CPU等の電子部品を経済的に製造することができるという効果が奏される。
本発明の第1の態様は、金属配線を含む半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄に用いられ、アッシング後に発生するアルミニウム配線のデポや、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポを効果的に除去でき、アルミニウム配線材料や、ホール底のチタン、窒化チタン等に対して腐食を大幅に抑制できる剥離剤組成物、該剥離剤組成物を用いて半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄する方法、ならびに該剥離洗浄方法を用いる半導体基板又は半導体素子の製造方法に関する。特に、配線幅の狭い180nm以下のアルミニウム配線を有する半導体素子の洗浄に適した剥離剤組成物、該剥離剤組成物を用いる半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄方法、ならびに該剥離洗浄方法を用いる半導体基板又は半導体素子の製造方法に関する。
また、本発明の第2の態様は、アルミニウム配線材料や、ホール底のチタン、窒化チタン等を腐食することなく、アッシング後に発生するアルミニウム配線のデポや、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポを剥離洗浄する際に、半導体への汚染を防止することができる水系剥離剤組成物、該剥離剤組成物を用いて半導体基板、半導体素子などの半導体を剥離洗浄する方法、並びにその剥離洗浄方法を用いた洗浄工程を有する半導体の製造方法に関する。
特に、汚染物の影響を受けやすい配線幅の狭い180nm以下のアルミニウム配線を有する半導体の汚染を防止して洗浄する方法、及びその汚染防止洗浄工程を有する半導体の製造方法に関する。
また、本発明の第3の態様は、アルミニウム配線材料や、ホール底のチタン、窒化チタン等を腐食することなく、アッシング後に発生するアルミニウム配線のデポや、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポを剥離剤組成物を用いて剥離洗浄する際に、初期性能が変化することなく長期間連続して使用することができる剥離剤組成物、及びそれを用いた半導体基板又は半導体素子などの半導体の連続洗浄方法、並びにその連続洗浄方法を用いた洗浄工程を有する半導体の製造方法に関する。
特に、洗浄性が要求される配線幅の狭い180nm以下のアルミニウム配線を有する半導体に効果的に働く剥離剤組成物、それに関連した連続洗浄方法、及び半導体の製造方法に関する。
なお、これらの態様1〜3で示される本発明は、いずれもシリコンウェハ基板のポリッシング等で発生したパーティクル除去や、配線間を繋ぐための埋め込み金属研磨(CMP研磨)後のパーティクル及び金属不純物除去用洗浄剤とは異なるものである。
(態様1)
第1の態様の発明は、金属配線を含む半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄に用いる剥離剤組成物であって、標準試験(A−1)によるアルミナ溶解量が10ppm以上の溶解剤と標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である抑制剤とを含有し、含フッ素化合物を実質的に含有しないものである。
1.剥離剤組成物
本発明者らは、アルミニウム配線の腐食を抑えながらアルミニウム配線のアッシング後のデポ剥離性を高めるためには、アルミナの溶解量がある特定の値よりも大きい溶解剤とアルミニウムエッチング量がある特定の値よりも小さい抑制剤とを含有する剥離剤組成物を用いることが極めて有効であることを見出した。すなわち、本態様1においては、用いられる剥離剤組成物が、標準試験(A−1)によるアルミナ溶解量が10ppm以上の溶解剤と、標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である抑制剤とを含有する点に特徴があり、かかる剥離剤組成物を用いることにより半導体素子の形成時に発生するデポに対し優れた剥離性が得られ、且つ配線金属等の材料に対する腐食を防止することができるという効果が発現される。
また、該剥離剤組成物は、含フッ素化合物を実質的に含有しない点にも一つの特徴があり、かかる特徴を有することで、配線の防食性や廃液処理の問題を発生しないという利点がある。
特に、水溶液(0.2%)にし、標準試験(B−1)と同様にアルミニウムエッチング試験を行った時、アルミニウムエッチング量が50nmを超える含フッ素化合物、例えば、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ酸のアミン塩等を有効成分として含有する水系の剥離剤組成物においては、水の含有率が増加するにつれて金属の腐食がより顕著に発生するようになるという傾向がある。したがって、本態様1において、含フッ素化合物を実質的に含有しないとは、具体的には、本態様1において使用される剥離剤組成物中の含フッ素化合物の含有量が0.1重量%以下であることをいい、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、更に好ましくは0.001重量%以下であり、特に好ましくは含まないことである。
なお、配線幅180nm以下の金属配線を含む半導体基板又は半導体素子を剥離剤組成物を用いて剥離洗浄する場合の剥離剤組成物としては、後述の標準試験(A−1)によるアルミナ溶解量が10ppm以上の溶解剤と標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である抑制剤とを含有するものでも十分な効果を有する。したがって、本願発明は、配線幅180nm以下の金属配線を含む半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄に用いる剥離剤組成物であって、標準試験(A−1)によるアルミナ溶解量が10ppm以上の溶解剤と標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である抑制剤とを含有する剥離剤組成物にも関する。
以下に、標準試験(A−1)及び標準試験(B−1)の手順を示す。
<標準試験(A−1)>
1)100ml容のポリエチレン容器に、溶解剤の0.2重量%水溶液20gを入れ、40℃の恒温槽中で恒温化する。
2)次に、アルミナ粉末(フジミコーポレーション製:商品名「WA−10000」;平均粒径0.5μm)0.1gを添加し、30分間十分撹拌する。
3)上澄み10gを遠心チューブに分取し、遠心分離装置(日立製作所製:商品名「himac CP56G」)を用い、20000r/min、15分間の条件で分離を行い、その結果生じた上澄み液をICP発光分析装置(堀場製作所(株)製、商品名「JY238」)を用いてアルミニウムの発光強度を測定する。
4)アルミナの溶解量は、既知の濃度のアルミニウム水溶液により作成した検量線から求める。
なお、測定をより良好に行う観点から、3)においてアルミニウムの発光強度を測定する際には、上澄み液を超純水を用いて10倍に希釈して測定を行い、検量線範囲(0〜2ppm)を超えた場合は、再度10倍希釈し測定する。また、4)においてはアルミニウム水溶液(1000ppm)をそれぞれ超純水にて10000倍希釈(0.1ppm)、500倍希釈(2.0ppm)したものを原子吸光分析して検量線(3点検量)を作成する。
<標準試験(B−1)>
1)シリコン上にCVD法によりアルミニウム蒸着層(厚さ約500nm)を形成させた基板から、3cm角に切り出し、試験片を作製する。
2)1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(ソルシアジャパン製:「ディクエスト2010R」)濃度が0.2重量%で抑制剤濃度が4.0重量%である試験水溶液を調製する。
3)試験片を、0.1重量%HF水溶液に室温下30秒間浸漬し、水リンス、窒素ブローで乾燥することにより前洗浄を行う。その試験片について蛍光X線測定装置(理学電機工業製:「ZSX100e」)を用いアルミニウムの強度測定を行う(試験水溶液浸漬前の膜厚測定)。
4)その後、恒温化された40℃の試験水溶液20gに試験片を30分間浸漬し、イオン交換水でリンスし、窒素ブローにより乾燥した後、浸漬前に測定した場所と同一場所を蛍光X線測定装置を用いアルミニウムの強度測定を行う(試験水溶液浸漬後の膜厚測定)。
5)あらかじめ既知の膜厚のアルミニウム蒸着膜について蛍光X線測定装置を用いて作成した検量線から試験水溶液浸漬前後での膜厚を算出する。
本態様1の剥離剤組成物が含有する溶解剤は、前記標準試験(A−1)によるアルミナの溶解量が10ppm以上のものであり、アッシング後のデポ剥離性を上げる観点から、好ましくは12ppm以上、更に好ましくは15ppm以上であることが望ましい。
前記溶解剤としては、上記の規定を達成できるものであれば、特に限定されるものではないが、デポ剥離性と配線防食性との両立の観点から、酸を使用することが望ましい。これらの中でも、特に、ホスホン酸、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸等の無機酸、並びに有機ホスホン酸、有機硫酸、カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸からなる群より選ばれる1種以上の酸を使用することが望ましい。具体的には、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、スルホコハク酸、シュウ酸、及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸が好ましく、特に、硫酸、シュウ酸、及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸が好ましい。
溶解剤の含有量は、デポ剥離性と配線防食性との両立の観点から、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましく、0.01〜2重量%が更に好ましく、0.05〜2重量%が特に好ましい。
また、本態様1の剥離剤組成物が含有する抑制剤は、標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下であり、アルミニウム配線の腐食性を防ぐ観点から、好ましくは5nm以下、更に好ましくは3nm以下であることが望ましい。本発明における抑制剤としては、上記の規定を達成できるものであれば、特に限定されるものではないが、無機酸塩及び/又は有機酸塩を使用することが望ましい。これらの中でも特に、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩酸塩、硼酸塩からなる群より選ばれる1種以上の塩であることが望ましい。具体的には、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、スルホコハク酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、メタンスルホン酸アンモニウム、ホスホン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、四硼酸アンモニウム等が挙げられる。陽イオンに注目するとアンモニウム塩以外にもアミン塩でも第四級アンモニウム塩でもよい。アミンとしては塩基性を示すものであれば特に限定されるものではなく、ヒドロキシルアミンやジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン類、エチルアミン、プロパンジアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノ−ルアミン、メチルエタノ−ルアミン、メチルジエタノールアミン等のアルカノ−ルアミン類、アニリン、ベンジルアミン等の芳香族アミン類等が挙げられる。第四級アンモニウム塩を形成する第四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、ラウリルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
これらの組み合わせの中でも、硫酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム硫酸塩、硫酸メチルエタノールアミン塩、硫酸メチルジエタノールアミン塩、塩化アンモニウムが特に好ましく、硫酸アンモニウムが最も好ましい。
本態様1の剥離剤組成物における抑制剤の含有量は、アルミニウム配線等の金属材料に対する防食性、水への均一溶解性、及びデポ溶解性の観点から、0.2〜40重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより好ましく、1〜20重量%が更に好ましく、5〜10重量%が特に好ましい。
本態様1における溶解剤と抑制剤の配合重量比(溶解剤/抑制剤)は、デポ剥離性と配線防食性との両立の観点から、2/1〜1/30であることが好ましく、1/2〜1/30がより好ましく、1/4〜1/30が更に好ましく、1/6〜1/25が更に好ましい。
溶解剤と抑制剤との組み合わせは前記のものの中から適宜選択され、特に限定されないが、例えば、デポ剥離性と配線腐食性との両立の観点から、溶解剤が1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸であり、抑制剤がカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩酸塩、及び硼酸塩からなる群より選ばれる1種以上の塩であることが好ましく、中でも、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸と硫酸塩との組み合わせが好ましい。
また、硫酸と硫酸塩及び/又は硝酸塩との組み合わせ、シュウ酸とホスホン酸塩との組み合わせ、硫酸とシュウ酸と硫酸塩との組み合わせ、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸とシュウ酸と硫酸塩との組み合わせ等も好適例として挙げられる。
また、他の好適例としては、溶解剤がホスホン酸、有機ホスホン酸、有機硫酸から選ばれる1種であり、抑制剤が、ホスホン酸塩、塩酸塩、硼酸塩から選ばれる1種の組み合わせが挙げられる。
また、別の好適例としては、溶解剤がメタンスルホン酸、スルホコハク酸から選ばれる1種であり、抑制剤がクエン酸アンモニウム、スルホコハク酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、メタンスルホン酸アンモニウム、ホスホン酸アンモニウム、塩化アンモニウムから選ばれる1種の組み合わせが挙げられる。
本態様1の剥離剤組成物においては、溶解剤や抑制剤等の均一溶解性が高いことによる薬液安定性や、作業性、廃液処理等の環境性の観点から、水を50重量%以上含有することが好ましく、60〜99.7重量%がより好ましく、70〜99.4重量%が更に好ましく、90〜99.4重量%が特に好ましい。
前記剥離剤組成物のpHについては、1以上の場合には抑制剤が効きやすくなり配線腐食防止に特に優れ、10以下の場合にはデポ剥離性に優れ、中でも6以下の場合には溶解剤によるアルミニウム配線デポ剥離性が特に優れ、また、7以上の場合はホール形成時の層間膜由来のデポ剥離性に特に優れる。
したがって、デポ剥離性と配線防食性との両立の観点から、pHは1〜10が好ましい。また、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポ剥離性に優れるという観点から、pHは1〜6がより好ましく、1〜5が更に好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜3が特に好ましい。
また、ホール形成時の層間膜由来のデポ剥離性と配線防食性との両立の観点、ならびにTEOSなどの成膜成分由来のデポ及びレジスト由来のデポ剥離性に優れるという観点から、pHは6〜10が好ましく、7〜9.5が更に好ましく、7.5〜9.0が特に好ましい。
また、前記剥離剤組成物として、水を50重量%以上含有する場合は、デポ剥離性と配線防食性の観点から、pHが1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
更に、上記のデポ剥離性、配線防食性の機能を大きく低減させない範囲で、必要に応じてその他の添加剤を含有しても良い。例えば、浸透性等を付与するために、水溶性溶剤を含有することも可能であり、その含有量は30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、10重量%以下が更に好ましい。その他、防食剤、界面活性剤、防腐剤等を添加することができる。
本態様1に用いられる剥離剤組成物は、半導体素子や半導体基板の製造工程のいずれの工程で使用しても良い。具体的には、半導体素子製造工程、例えば、レジスト現像後、ドライエッチング後、ウェットエッチング後、アッシング後等の工程で使用することができる。特に、アルミニウム配線におけるデポの剥離性、アルミニウム配線の防食性に優れている。特にデポの剥離性の観点から、ドライアッシング後の剥離工程に用いることが好ましく、特にアルミニウム配線を有する半導体基板や半導体素子におけるデポの剥離性、アルミニウム配線の防食性に優れている。
前記剥離剤組成物中の各成分の濃度は、使用時における好ましい濃度であるが、該剥離剤組成物の高濃度品を製造して使用前に希釈することもできる。高濃度品としては、硫酸塩20〜40重量%と1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸1〜5重量%、水60〜80重量%が好ましい。
また、2液形態で準備したものを使用時に混合して1液化してから使用してもかまわない。
本態様1に用いられる剥離剤組成物は、媒体に前記溶解剤、抑制剤等を公知の方法で混合して製造することができる。
本態様1に用いられる剥離剤組成物は、優れたデポ剥離性と配線防食性を兼ね備えているため、従来の剥離剤では適用できなかった配線幅が180nm以下という微細な半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄にも使用できる。配線幅が500nmあるいはそれ以上の半導体基板においては、配線幅が広いために、デポを除去した際の配線金属の腐食が小さくなくてもそれにより電気抵抗は上昇しにくく問題になりにくい。しかし、高集積化、高速化に伴い、配線幅が180nm以下の狭い配線になると、腐食量が大きいと電気抵抗の増加が顕著になり通電不良が発生する恐れが出てくる。かかる状況に対して本態様1に用いられる剥離剤組成物は、デポ剥離性が高く、かつ抑制剤の効果により配線金属の腐食量が極めて小さいため、配線幅の狭い半導体基板に特に有利に適用できる。
2.半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄方法
本態様1の半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄方法は、前記剥離剤組成物を用いて、金属配線を含む半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄することを特徴とする。かかる剥離洗浄手段としては、特に限定されるものではなく、浸漬剥離洗浄、揺動剥離洗浄、枚葉剥離洗浄、スピナーのような回転を利用した剥離洗浄、パドル洗浄、気中又は液中スプレーによる剥離洗浄、超音波を用いた剥離洗浄等が挙げられるが、中でも、浸漬剥離洗浄と揺動剥離洗浄に好適である。
洗浄温度は、デポの溶解性、デポ剥離性、金属配線材料の防食性、安全性、及び操業性の観点から20〜70℃が好ましく、20〜60℃の範囲がより好ましく、20〜50℃が更に好ましい。なお、前記剥離洗浄手段における、他の洗浄条件については、特に限定はない。
前記剥離剤組成物で洗浄した後のすすぎ工程においては、水すすぎが可能である。従来のフッ化アンモニウム系剥離剤やヒドロキシルアミン等のアミン系剥離剤は、溶剤系の剥離剤であるために水ではすすぎにくく、また、水との混合で配線等の腐食が起こる恐れがあるため、一般的にイソプロパノール等の溶剤ですすぐ方法が用いられていた。しかし、本態様1に用いられる剥離剤組成物は水系である点と、抑制剤の含有により配線の腐食が抑えられる点から、水過剰になっても配線の腐食に対する耐性は高い。これにより、水すすぎが可能となり、環境負荷が極めて小さく経済的な剥離洗浄方法が得られる。
3.半導体基板又は半導体素子の製造方法
本態様1の半導体基板又は半導体素子の製造方法は、前記剥離剤組成物を用いて、半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄する工程を有することを特徴とする。該製造方法に用いられる半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄方法は、前記方法と同じであることが好ましい。前記剥離剤組成物及び前記半導体基板又は半導体素子の洗浄方法を用いて得られる半導体基板又は半導体素子は、デポの残留がなく、金属配線材料の腐食が極めて少ないものであり、従来の剥離剤では適用できなかった配線幅が180nm以下という微細な半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄にも使用できるため、より小型で高性能なLCD、メモリ、CPU等の電子部品の製造に好適に使用できる。
なお、本態様1の発明は、アルミニウム、銅、タングステン、チタン等の金属を含む配線を有する半導体基板及び半導体素子の製造に適しており、アルミニウム及びチタン由来のデポに対する剥離性に優れるため、中でもアルミニウム及び/又はチタンを含有する配線材料を使用した半導体基板及び半導体素子の製造に好適である。
なお、これらの金属配線の配線幅は、180nm以下が好ましく、130nm以下、さらには90nm以下の配線幅の金属配線においても有効に洗浄することができる。
(態様2)
また、本発明者らは、半導体基板又は半導体素子(以下、単に半導体と略す)の汚染経路を探求したところ、剥離洗浄時に開放系で長時間の使用や循環使用を行うと剥離剤組成物中の水が揮発し、溶解していた固形分が洗浄槽の側壁やフィルター等に析出して、さらにクリーンルーム上のエアーブロー等でそれが雰囲気中に拡散し被洗浄物である半導体基板等を汚染することを突き止めた。そこで、剥離洗浄工程で用いられる剥離剤組成物中の成分の水への溶解度に注目し、本態様2の発明に至った。
即ち、本態様2の半導体の剥離剤組成物は、a)水とb)水への溶解度(25℃)が10g以上/水100gの化合物とを含有してなる剥離剤組成物であって、a)の含有量が50〜99.8重量%で、b)の含有量がa)を除いた部分の90重量%以上であり、さらに標準試験(A−2)での酸化アルミニウム溶解量が10ppm以上かつ標準試験(B−2)でのアルミニウムエッチング量が7nm以下のものである。このような剥離剤組成物を用いることにより、洗浄工程中に媒体である水が揮発した場合等に起こる剥離剤組成物からの析出物の発生が抑えられ、半導体への汚染を防止することができ、さらには高性能のLCD、メモリ、CPU等の電子部品を製造することができるという効果が発現される。
中でも、配線幅の小さいアルミニウム配線を有する半導体基板、又は半導体素子に対しては、少量の汚染であっても性能に大きく影響を及ぼすために、極めて有効的である。
また、これら析出物の発生は、配管等のフィルターの目詰まりを引き起こし、作業性等へも影響を及ぼすことが問題となっており、これを防止する効果もある。
本態様2の剥離剤組成物は、a)水を50〜99.8重量%含有する。水の含有量は、析出物の発生のより効果的な抑制及び薬液安定性、作業性、廃液処理等の環境性の観点、並びに剥離性の観点から、前記剥離剤組成物中、60〜98重量%がより好ましく、70〜96重量%が更に好ましい。
本態様2の剥離剤組成物における、b)水への溶解度(25℃)が10g以上/水100gの化合物の含有量は、a)を除いた部分の90重量%以上である。水揮発時の析出物の発生をより効果的に抑えるためには、該含有量は、a)を除いた部分中、好ましくは93重量%以上、更に好ましくは95重量%以上である。
更に、本発明者らは、アルミニウム配線の腐食を抑えながらアルミニウム配線のアッシング後のデポ剥離性を高めるためには、アルミナの溶解力が一定レベル以上であり、かつアルミニウムエッチング量が一定レベル以下である剥離剤組成物が極めて有効であることを見出した。すなわち、本態様2の剥離剤組成物は、標準試験(A−2)によるアルミナ溶解量が10ppm以上であり、かつ標準試験(B−2)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である点にも一つの特徴があり、かかる剥離剤組成物を用いることにより半導体素子の形成時に発生するデポに対し優れた剥離性が得られ、且つ配線金属等の材料に対する腐食を防止することができるという効果が発現される。
以下に、標準試験(A−2)及び標準試験(B−2)の手順を示す。
<標準試験(A−2)>
1)100ml容のポリエチレン容器に、剥離剤組成物20gを入れ、40℃の恒温槽中で恒温化する。
2)次に、アルミナ粉末(フジミコーポレーション製:商品名「WA−10000」;平均粒径0.5μm)0.1gを添加し、30分間十分撹拌する。
3)上澄み10gを遠心チューブに分取し、遠心分離装置(日立製作所製:商品名「himac CP56G」)を用い、20000r/min、15分間の条件で分離を行い、その結果生じた上澄み液をICP発光分析装置(堀場製作所(株)製、商品名「JY238」)を用いてアルミニウムの発光強度を測定する。
4)アルミナの溶解量は、既知の濃度のアルミニウム水溶液により作成した検量線から求める。
なお、測定をより良好に行う観点から、3)においてアルミニウムの発光強度を測定する際には、上澄み液を超純水を用いて10倍に希釈して測定を行い、検量線範囲(0〜2ppm)を超えた場合は、再度10倍希釈し測定する。また、4)においてはアルミニウム水溶液(1000ppm)をそれぞれ超純水にて10000倍希釈(0.1ppm)、500倍希釈(2.0ppm)したものを原子吸光分析して検量線(3点検量)を作成する。
<標準試験(B−2)>
1)シリコン上にCVD法によりアルミニウム蒸着層(厚さ約500nm)を形成させた基板(厚さ1mm)から、3cm角に切り出し、試験片を作製する。
2)試験片を、0.1重量%HF水溶液に室温下30秒間浸漬し、水リンス、窒素ブローで乾燥することにより前洗浄を行う。その試験片について蛍光X線測定装置(理学電機工業製:「ZSX100e」)を用いアルミニウムの強度測定を行う(試験水溶液浸漬前の膜厚測定)。
3)100ml容のポリエチレン容器に、剥離剤組成物20gを入れ、40℃の恒温槽中で恒温化する。
4)その後、恒温化された40℃の剥離剤組成物20gに試験片1個を30分間浸漬し、イオン交換水でリンスし、窒素ブローにより乾燥した後、浸漬前に測定した場所と同一場所を蛍光X線測定装置を用いアルミニウムの強度測定を行う(試験水溶液浸漬後の膜厚測定)。
5)あらかじめ既知の膜厚のアルミニウム蒸着膜について蛍光X線測定装置を用いて作成した検量線から試験水溶液浸漬前後での膜厚を算出する。
本態様2の剥離剤組成物は、前記標準試験(A−2)によるアルミナの溶解量が10ppm以上のものであり、アッシング後のデポ剥離性を高める観点から、好ましくは12ppm以上、更に好ましくは15ppm以上である。また、標準試験(B−2)によるアルミニウムエッチング量は7nm以下であり、アルミニウム配線の腐食性をより効果的に防ぐ観点から、好ましくは5nm以下、更に好ましくは3nm以下である。
前記剥離剤組成物は、b)水への溶解度(25℃)が10g以上/水100gの化合物として、酸と、無機酸塩及び/又は有機酸塩とを含有することが望ましい。ここで、酸は、アルミニウム配線のデポを除去するための溶解剤(酸化アルミニウム溶解剤)として働き、無機酸塩及び/又は有機酸塩は、アルミニウム配線の腐食を防止するためのエッチング抑制剤(アルミニウム腐食抑制剤)として働くことにより、アルミニウム配線デポやビアホール底のチタン由来のデポを効果的に剥離洗浄でき、かつアルミニウム配線等の材料への腐食を抑えられる。そして、これら酸、無機酸塩及び有機酸塩の水へ溶解度が上記の値よりも高い場合に、該剥離剤組成物が高温にさらされた際や、循環して長時間連続使用した際にも、析出物の発生がなく、半導体基板や半導体素子を汚染することなく洗浄できる。
本態様2における酸としては、上記の規定を達成できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、ホスホン酸、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸等の無機酸、及び有機ホスホン酸、有機硫酸、カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸が挙げられる。中でも、デポ剥離性と配線防食性との両立の観点から、硫酸(溶解度50g以上/水100g)、塩酸(溶解度50g以上/水100g)、硝酸(溶解度50g以上/水100g)、メタンスルホン酸(溶解度50g以上/水100g)、スルホコハク酸(溶解度50g以上/水100g)、シュウ酸(溶解度11.6g/水100g)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(溶解度50g以上/水100g)が好ましく、特に、硫酸、シュウ酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸が好ましい。なお、「溶解度g/水100g」とは水100g中への溶解量(25℃)を示す。
酸の水100gへの溶解度(25℃)は、より効果的に析出物の発生を抑え、汚染を防止する観点から、10g以上であることが必要であり、好ましくは15g以上、更に好ましくは20g以上である。
また、酸の含有量は、析出物の発生を抑え、かつデポ剥離性と配線防食性を両立させる観点から、剥離剤組成物中0.01〜5重量%が好ましく、0.03〜3重量%がより好ましく、0.05〜2重量%が更に好ましい。
また、本態様2において用いられる無機酸塩及び/又は有機酸塩としては、上記の規定を達成できるものであれば、特に限定されるものではない。これらの中でも特に、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩酸塩、硼酸塩からなる群より選ばれる1種以上の塩であることが望ましい。具体的には、酢酸アンモニウム(溶解度50g以上/水100g)、クエン酸アンモニウム(溶解度50g以上/水100g)、スルホコハク酸アンモニウム(溶解度50g以上/水100g)、硫酸アンモニウム(溶解度43.3g/水100g)、メタンスルホン酸アンモニウム(溶解度50g以上/水100g)、ホスホン酸アンモニウム(溶解度50g以上/水100g)、硝酸アンモニウム(溶解度50g以上/水100g)、塩化アンモニウム(溶解度28.2g/水100g)、等が挙げられる。陽イオンに注目するとアンモニウム塩以外にもアミン塩でも第四級アンモニウム塩でもよい。アミンとしては塩基性を示すものであれば特に限定されるものではなく、ヒドロキシルアミンやジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン類、エチルアミン、プロパンジアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、アニリン、ベンジルアミン等の芳香族アミン類等が挙げられる。第四級アンモニウム塩を形成する第四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
これらの組み合わせの中でも特に、硫酸アンモニウム、硫酸メチルジエタノールアミン塩、塩化アンモニウムが好ましく、硫酸アンモニウムが最も好ましい。
また、酸と塩の組み合わせは前記のものの中から適宜選択され、特に限定されないが、デポ剥離性、配線防食性、及び被洗浄物の汚染防止という3つの特性に特に優れる点で、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸と硫酸塩との組み合わせ、硫酸と硝酸塩との組み合わせ、シュウ酸と硫酸塩との組み合わせ等が好適例として挙げられる。
また、前記態様1での酸と塩の好適例の組み合わせは、本態様2においても好適例として使用され得る。
無機酸塩及び/又は有機酸塩の水100gへの溶解度(25℃)は、析出物の発生を抑え、汚染を防止する観点から、10g以上であることが必要であり、好ましくは20g以上、更に好ましくは30g以上である。
また、無機酸塩及び/又は有機酸塩の含有量は、析出物の発生を抑え、かつアルミニウム配線等の金属材料に対する防食性、水への均一溶解性、及びデポ溶解性の観点から、剥離剤組成物中0.2〜40重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより好ましく、1〜20重量%が更に好ましい。
本態様2の剥離剤組成物中における酸と、無機酸塩及び/又は有機酸塩(以下、単に塩ともいう)との配合重量比(酸/塩)は、デポ剥離性と配線防食性との両立の観点から、2/1〜1/30であることが好ましく、1/2〜1/30がより好ましく、1/4〜1/30が更に好ましく、1/6〜1/25が更に好ましい。
また、本態様2の剥離剤組成物のpHは、1以上の場合には塩が効きやすくなり配線腐食防止に特に優れ、10以下の場合には、デポ剥離性に優れ、中でも、5以下の場合には酸によるアルミニウム配線デポ剥離性が特に優れ、また、7以上の場合はホール形成時の層間膜由来のデポ剥離性に特に優れる。
したがって、デポ剥離性と配線防食性との両立の観点から、pHは1〜10が好ましい。また、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポ剥離性に優れるという観点から、pHは1〜6がより好ましく、1〜5が更に好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜3が更に好ましい。
また、ホール形成時の層間膜由来のデポ剥離性と配線防食性との両立の観点、ならびにTEOSなどの成膜成分由来のデポ及びレジスト由来のデポ剥離性に優れるという観点から、pHは6〜10が好ましく、7〜9.5が更に好ましく、7.5〜9.0が特に好ましい。
また、本態様2の剥離剤組成物は、b)の化合物として、前記の酸や塩の他に、浸透性等を付与するために、水溶性溶剤を含有することも可能であるが、該溶剤量が多くなればなるほど、含有物の酸や塩の溶解量は減ることになり、析出物が析出しやすくなる。したがって、水溶性溶剤の含有量は、本態様2の剥離剤組成物中、30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、10重量%以下が更に好ましい。
また、水揮発時等に析出物を発生せず、かつデポ剥離性、配線防食性の機能を大きく低減させない範囲で、必要に応じてその他の添加剤を更に含有してもよい。例えば、含フッ素化合物は配線の防食性や廃液処理の問題からできるだけ含まない方が良いが、上記の機能を阻害しない範囲で添加することは可能であり、その含有量は剥離剤組成物中で0.1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、更に好ましくは0.001重量%以下であり、特に好ましくは含まないことである。その他、防食剤、界面活性剤、防腐剤等を目的に応じて添加することができる。
本態様2の剥離剤組成物は、半導体素子や半導体基板の製造工程のいずれの工程で使用しても良い。具体的には、半導体素子製造工程、例えば、レジスト現像後、ドライエッチング後、ウェットエッチング後、アッシング後等の工程で使用することができる。特に、アルミニウム配線におけるデポの剥離性、アルミニウム配線の防食性に優れている。特にデポの剥離性の観点から、ドライアッシング後の剥離工程に用いることが好ましく、特にアルミニウム配線を有する半導体基板や半導体素子におけるデポの剥離性、アルミニウム配線の防食性に優れている。
前記剥離剤組成物中の各成分の濃度は、使用時における好ましい濃度であるが、該剥離剤組成物の高濃度品を製造して使用前に希釈することもできる。高濃度品としては、酸は0.01〜5重量%、無機酸塩及び/又は有機酸塩は0.2〜40重量%が好ましい。また、2液に分けて調製したものを使用時に混合して1液にして使用してもかまわない。
本態様2の剥離剤組成物は、a)水、b)水への溶解度(25℃)が10g以上/水100gの化合物、必要に応じてその他の添加剤を公知の方法で混合して製造することができる。
本態様2の半導体(具体的には、半導体基板又は半導体素子)の洗浄方法は、前記剥離剤組成物を用いて、半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄することを特徴とする。かかる剥離洗浄手段としては、浸漬剥離洗浄と揺動剥離洗浄、枚葉剥離洗浄、スピナーのような回転を利用した剥離洗浄、パドル洗浄、気中又は液中スプレーによる剥離洗浄、超音波を用いた剥離洗浄等が挙げられるが、中でも、浸漬剥離洗浄と揺動剥離洗浄に好適である。
洗浄温度は、析出物の発生を抑制し、かつデポの溶解性、デポ剥離性、金属配線材料の防食性、安全性、操業性等の観点から20〜60℃の範囲が好ましく、更に好ましくは20℃〜40℃である。
本態様2の剥離剤組成物で洗浄した後のすすぎ工程においては、水すすぎが可能である。従来のフッ化アンモニウム系剥離剤やヒドロキシルアミン等のアミン系剥離剤は、溶剤系の剥離剤であるために水ではすすぎにくく、また、水との混合で配線等の腐食が起こる恐れがあるため、一般的にイソプロパノール等の溶剤ですすぐ方法が用いられていた。しかし、本態様2の剥離剤組成物は水系である点と、前記塩の含有により配線の腐食が抑えられる点から、水過剰になっても配線の腐食に対する耐性は高い。これにより、水すすぎが可能となり、環境負荷が極めて小さく経済的な半導体の洗浄方法が得られる。
本態様2の半導体の製造方法は、前記洗浄方法を用いる洗浄工程を有する方法であり、具体的には、剥離剤組成物を用いて、半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄する工程を有することを特徴とする。なお、剥離洗浄する具体的な操作としては、前記のものと同様であれば特に限定はない。前記剥離剤組成物や、前記半導体基板又は半導体素子の洗浄方法を用いて得られる半導体基板又は半導体素子は、デポの残留がなく金属配線材料の腐食が極めて少ないものであり、従来の剥離剤では配線腐食のために適用できなかった配線幅が180nm以下という微細な半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄にも使用できるため、より小型で高性能なLCD、メモリ、CPU等の電子部品の製造に好適に使用できる。
なお、本態様2の発明は、アルミニウム、銅、タングステン、チタン等の金属を含む配線を有する半導体基板及び半導体素子に適しており、アルミニウム及びチタン由来のデポに対する剥離性に優れるため、中でもアルミニウム及び/又はチタンを含有する配線材料を使用した半導体基板及び半導体素子に好適である。
(態様3)
また、本発明者らは、半導体基板や半導体素子などの半導体を洗浄する際、剥離洗浄液のpH変化を小さく抑えることで、デポの除去性が高くかつ配線の防食性も高い状態が維持でき、連続洗浄が可能になることを見出し、態様3の発明を完成した。中でも、配線幅の小さいアルミニウム配線を有する半導体基板又は半導体素子に対しては、少量の配線腐食であっても性能に大きく影響を及ぼすために、安定な洗浄性能は重要である。
即ち、本態様3の剥離剤組成物は、酸化アルミニウム溶解剤とアルミニウム腐食抑制剤を含有する水系剥離剤組成物であって、1)水の含有量が50重量%以上、2)標準試験(A−2)での酸化アルミニウム溶解量が10ppm以上、3)標準試験(B−2)でのアルミニウムのエッチング量が7nm以下、かつ4)標準試験(A)前後でのpH変化が0.5以下である剥離剤組成物であり、該剥離剤組成物を用いて半導体を洗浄することにより、半導体素子の形成時に発生するデポに対し優れた剥離性と配線金属等の材料に対する優れた防食性が長期に渡り得られるという効果が奏される。
なお、標準試験(A−2)及び標準試験(B−2)は、前記と同様のものである。
本態様3の剥離剤組成物は、前記標準試験(A−2)による酸化アルミニウムの溶解量が10ppm以上のものであり、アッシング後のデポ剥離性を上げる観点から、好ましくは12ppm以上、更に好ましくは15ppm以上であることが望ましい。また、標準試験(B−2)によるアルミニウムエッチング量は7nm以下であり、アルミニウム配線の腐食性を防ぐ観点から、好ましくは5nm以下、更に好ましくは3nm以下であることが望ましい。
更に、本態様3の剥離剤組成物は、洗浄性を長期間維持する(即ち、連続洗浄性を有する)には、洗浄中のpH変化を小さく抑えることが必要であることを見出した。その指標としては標準試験(A−2)前後でのpH変化を使え、その変化が0.5以下であることが重要である。標準試験(A−2)前後でのpH変化の測定方法は、あらかじめ25℃での剥離剤組成物のpHを測定しておき、標準試験(A−2)を行った後に再び剥離剤組成物を25℃の状態にしてpH測定を行い、その前後の差をpH変化として計算する。このpH変化が0.5以下のとき、剥離剤のデポ剥離性やアルミニウム配線に対する腐食性能の変化が小さく抑えられるため、連続洗浄が可能となる。このpH変化は、長期間の連続洗浄性を高める観点から、好ましくは0.4以下であり、更に好ましくは0.3以下である。
本態様3の剥離剤組成物は、酸化アルミニウム溶解剤及びアルミニウム腐食抑制剤を含有する。
酸化アルミニウム溶解剤とは、酸化アルミニウムを溶解する剤をいい、その溶解性に優れる観点から酸が好ましい。例えば、ホスホン酸、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸等の無機酸、並びに有機ホスホン酸、有機硫酸、カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸が挙げられる。中でも、デポ剥離性と配線防食性との両立の観点から、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、スルホコハク酸、シュウ酸、及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸が好ましく、特に、硫酸、シュウ酸、及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸が好ましい。
酸化アルミニウム溶解剤の含有量は、デポ剥離性と配線防食性とのバランス、及び洗浄中のpH変化を低くする観点から、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましく、0.01〜2重量%が更に好ましく、0.05〜2重量%が特に好ましい。
アルミニウム腐食抑制剤とは、アルミニウムの腐食を防止する効果を有する剤をいい、その腐食防止効果に優れる観点から無機酸塩及び/又は有機酸塩が好ましい。さらに、無機酸塩及び有機酸塩は、デポである金属酸化物等が溶解された際にpH変化を抑える働きがあり、緩衝剤として働いていると推定している。無機酸塩及び有機酸塩としては、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩酸塩及び硼酸塩からなる群より選ばれる1種以上の塩であることが望ましい。具体的には、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、スルホコハク酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、メタンスルホン酸アンモニウム、ホスホン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、四硼酸アンモニウム等が挙げられる。陽イオンに注目するとアンモニウム塩以外にもアミン塩でも第四級アンモニウム塩でもよい。アミンとしては塩基性を示すものであれば特に限定されるものではなく、ヒドロキシルアミンやジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン類、エチルアミン、プロパンジアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、アニリン、ベンジルアミン等の芳香族アミン類等が挙げられる。第四級アンモニウム塩を形成する第四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、ラウリルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。これらの組み合わせの中でも、硫酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム硫酸塩、硫酸メチルエタノールアミン塩、硫酸メチルジエタノールアミン塩、塩化アンモニウムが特に好ましく、硫酸アンモニウムが最も好ましい。
本態様3の剥離剤組成物におけるアルミニウム腐食抑制剤の含有量は、アルミニウム配線等の金属材料に対する防食性やデポ溶解性を維持するために洗浄中のpH変化を抑える観点から、0.2〜40重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより好ましく、1〜20重量%が更に好ましく、5〜10重量%が特に好ましい。
本態様3における酸化アルミニウム溶解剤とアルミニウム腐食抑制剤の配合重量比(酸化アルミニウム溶解剤/アルミニウム腐食抑制剤)は、デポ剥離性と配線防食性を維持して連続洗浄する観点から、2/1〜1/30であることが好ましく、1/2〜1/30がより好ましく、1/4〜1/30が更に好ましく、1/6〜1/25が更に好ましい。
また、酸化アルミニウム溶解剤とアルミニウム腐食抑制剤の組み合わせは前記のものの中から適宜選択され、特に限定されないが、デポ剥離性、配線防食性に優れ、pH変化が小さいという3つの特性に特に優れる点で、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸と硫酸塩との組み合わせ、硫酸と硝酸塩との組み合わせ、シュウ酸とホスホン酸塩との組み合わせ等が好適例として挙げられる。
また、前記態様1での溶解剤と抑制剤との好適例の組み合わせは、本態様3においても好適例として使用され得る。
本態様3の剥離剤組成物のpHは、特に、1以上のときアルミニウム腐食抑制剤が効きやすく配線腐食防止に優れ、10以下の場合にはデポ剥離性に優れ、中でも、6以下のとき酸化アルミニウム溶解剤によるアルミニウム配線デポ剥離性が優れ、7以上の場合はホール形成時の層間膜由来のデポ剥離性に特に優れる。
したがって、デポ剥離性と配線防食性との両立の観点から、pHは1〜10が好ましい。また、ビアホール形成時に発生するチタン由来のデポ剥離性に優れるという観点から、pHは1〜6がより好ましく、1〜5が更に好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜3が更に好ましい。
また、ホール形成時の層間膜由来のデポ剥離性と配線防食性との両立の観点、ならびにTEOSなどの成膜成分由来のデポ及びレジスト由来のデポ剥離性に優れるという観点から、pHは6〜10が好ましく、7〜9.5が更に好ましく、7.5〜9.0が特に好ましい。
さらに、デポ剥離性、配線防食性を維持し、洗浄中のpH変化を大きくしない範囲で、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。例えば、浸透性等を付与するために、水溶性溶剤を添加してもよく、その含有量は30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、10重量%以下が更に好ましい。水溶性溶剤としてはブチルジグリコールなどのグリコール系化合物が挙げられる。また、含フッ素化合物は配線の防食性や廃液処理の問題からできるだけ含まない方が良いが、上記の機能を阻害しない範囲で添加することは可能であり、その含有量は0.1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、更に好ましくは0.001重量%以下であり、特に好ましくは含まないことである。その他、防食剤、界面活性剤、防腐剤等を目的に応じて添加することができる。
本態様3の剥離剤組成物は、媒体に前記酸化アルミニウム溶解剤、アルミニウム腐食抑制剤等を公知の方法で混合して製造することができる。また、2液に分けて調製したものを使用時に混合して1液にして使用してもかまわない。
本態様3の連続洗浄方法は、前記剥離剤組成物を用いて60℃以下で洗浄する工程を有するものであり、特に、優れたデポ剥離性と配線防食性が長期洗浄でも維持できるため、従来では適用できなかった配線幅が180nm以下という微細な配線を有する半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄にも使用できる。配線幅が500nmあるいはそれ以上の半導体基板においては、配線幅が広いために、デポを除去した際の配線金属の腐食が小さくなくてもそれにより電気抵抗は上昇しにくく問題になりにくい。しかし、高集積化、高速化に伴い、配線幅が180nm以下の狭い配線になると、腐食量が大きいと電気抵抗の増加が顕著になり通電不良が発生する恐れが出てくる。かかる状況に対して本態様3の連続洗浄方法は、デポ剥離性が高く、かつ配線金属の腐食量も極めて小さい状態が連続して維持できるため、配線幅の狭い半導体基板又は半導体素子、中でも、配線幅が180nm以下のアルミニウム配線を有する半導体基板又は半導体素子に特に有利に適用できる。
本態様3の連続洗浄方法において、半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄方法の手段としては、特に限定されるものではなく、浸漬剥離洗浄、揺動剥離洗浄、枚葉剥離洗浄、スピナーのような回転を利用した剥離洗浄、パドル洗浄、気中又は液中スプレーによる剥離洗浄、超音波を用いた剥離洗浄等が挙げられるが、中でも、浸漬剥離洗浄と揺動剥離洗浄に好適である。
洗浄温度は、デポの溶解性、デポ剥離性、金属配線材料の防食性、安全性、及び操業性の観点から60℃以下であり、50℃以下が好ましい。なお、前記剥離洗浄手段における、他の洗浄条件については、特に限定はない。
剥離剤組成物で洗浄した後のすすぎ工程においては、水すすぎが可能である。従来のフッ化アンモニウム系剥離剤やヒドロキシルアミン等のアミン系剥離剤は、溶剤系の剥離剤であるために水ではすすぎにくく、また、水との混合で配線等の腐食が起こる恐れがあるため、一般的にイソプロパノール等の溶剤ですすぐ方法が用いられていた。しかし、本態様3の剥離剤組成物は水系である点と、抑制剤の含有により配線の腐食が抑えられる点から、水過剰になっても配線の腐食に対する耐性は高い。これにより、水すすぎが可能となり、環境負荷が極めて小さく経済的な剥離洗浄方法が得られる。
本態様3の半導体(例えば、半導体基板又は半導体素子)の製造方法は、前記連続洗浄方法を用いた洗浄工程を有するものであり、具体的には、半導体基板又は半導体素子を前記の連続洗浄方法を用いて洗浄する工程を有することを特徴とする。該連続洗浄方法を用いて得られる半導体基板又は半導体素子は、デポの残留や金属配線材料の腐食が極めて少ないものであり、従来の洗浄方法では適用できなかった配線幅が180nm以下という微細な配線を有する半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄にも使用できるため、より小型で高性能なLCD、メモリ、CPU等の電子部品の製造に好適に使用できる。
なお、本態様3の発明は、アルミニウム、銅、タングステン、チタン等の金属を含む配線を有する半導体基板及び半導体素子の製造に適しており、アルミニウム及びチタン由来のデポに対する剥離性に優れるため、中でもアルミニウム及び/又はチタンを含有する配線材料を使用した半導体基板及び半導体素子の製造に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に記載し説明するが、この実施例は本発明を単に開示するものであり、何ら限定することを意味するものではない。
実施例I−1〜I−15、比較例I−1〜I−11
I−1.アルミナ溶解試験及びアルミニウムエッチング試験
表1に、標準試験(A−1)により測定した溶解剤のアルミナ溶解量の結果を、また、表2には、標準試験(B−1)により測定した抑制剤のアルミニウムエッチング量を示す。
Figure 2005167193
Figure 2005167193
I−2.評価用ウェハ
以下の条件で、配線幅0.5μm(500nm)、及び0.18μm(180nm)のアルミニウム(Al)配線を有するパターン付きウェハと0.5μm(500nm)径のホールを有するパターン付ウェハを1cm角に分解し、洗浄試験に使用した。
(アルミニウム配線の構造)
TiN/Al−Si/TiN/Ti/SiO/下地
I−3.剥離剤組成物の調製
表1及び2に示した溶解剤及び抑制剤を用いて、表3〜4に示す組成(数値は重量%)の剥離剤組成物を調製した。
I−4.剥離性評価
(a)アルミニウム配線デポ又は層間膜デポの剥離性評価
(1)剥離方法:30mlの剥離剤組成物に40℃で15分間、評価用ウェハを浸漬し、剥離した。
(2)すすぎ方法:30mlの超純水に25℃で1分間、評価用ウェハを浸漬し、これを2回繰り返してすすぎとした。
(3)評価方法:すすぎを終えた評価用ウェハを乾燥後、FE−SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて50000倍〜100000倍の倍率下でアルミニウム配線デポの剥離性、ホールを有するパターン付ウェハでの層間膜デポの剥離性及び防食性の評価を下記の4段階で行った。
ただし、比較例9のみ、剥離方法の浸漬条件を25℃で5分間にして評価した。
(Al配線デポ剥離性・層間膜デポの剥離性)
◎:デポの残存が全く確認されない
○:デポが一部残存している
△:デポが大部分残存している
×:デポ除去できず
(Al配線防食性)
◎:Al配線の腐食が全く確認されない
○:絶縁材料の腐食が一部発生している
△:絶縁材料の腐食が大部分発生している
×:絶縁材料の腐食が発生している
なお、合格品はアルミニウム配線デポ剥離性又は層間膜デポの剥離性と、アルミニウム配線防食性とのいずれも◎か○であるものとする。
Figure 2005167193
Figure 2005167193
なお、表中、
HEDPは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、
LASはドデシルベンゼンスルホン酸、
DMSOはジメチルスルホキシド、
DMFはジメチルホルムアミド、
EP120Aはポリオキシエチレンフェニルエーテル(第一工業製薬社製)を示す。
表3、4の結果より、実施例I−1〜I−15で得られた剥離剤組成物は、いずれも比較例I−1〜I−11で得られたものに比べて、デポ剥離性及び防食性に優れたものであり、特に、配線幅が180nmと極めて微細な配線であっても腐食が大幅に抑えられたものであることがわかる。また、実施例I−1〜I−15で得られた剥離剤組成物は、15分という短時間の浸漬時間でも優れたデポ剥離性を有するものであることがわかる。
(b)ビアホ−ル底のチタン由来デポの剥離性評価
実施例I−8、10、11および12で得られた剥離剤組成物によるビアホ−ル底のチタン由来デポの剥離性について以下の方法に従って評価を行った。
(1)剥離方法:30mlの剥離剤組成物に40℃で20分間、評価用ウェハを浸漬し、剥離した。
(2)すすぎ方法:30mlの超純水に25℃で1分間、評価用ウェハを浸漬し、これを2回繰り返してすすぎとした。
(3)評価方法:すすぎを終えた評価用ウェハの乾燥後、FE-SEM(電子走査型顕微鏡)を用いて50000倍〜100000倍の倍率下で以下のようにビアホ−ル底のチタン由来デポの剥離性および防食性の評価を下記の四段階で行った。
(チタン由来デポ剥離性)
◎:デポの残存が全く確認されない
○:デポが一部残存している
△:デポが大部分残存している
×:デポ除去できず
Figure 2005167193
なお、合格品はチタン由来デポ剥離性が◎〜○であるものとする。
表5の結果より、本発明の剥離剤組成物(実施例I−8、10、11および12)は、チタン由来デポに対しても高い剥離性を有していた。
実施例II−1、II−2及び比較例II−1、II−2
II−1.剥離剤組成物の調製
表6に示した組成(数値は重量%)を有する剥離剤組成物を調製し、評価に用いた。
Figure 2005167193
II−2.評価用ウェハ
以下の条件で、配線幅500nm、及び180nmのアルミニウム(Al)配線を有するパターン付きウェハを1cm角に分解し、洗浄試験に使用した。
(アルミニウム配線の構造)
TiN/Al−Si/TiN/Ti/SiO/下地
II−3.剥離性評価
(1)剥離方法:30mlの剥離剤組成物に40℃で15分間、評価用ウェハを浸漬し、剥離した。
(2)すすぎ方法:30mlの超純水に25℃で1分間、評価用ウェハを浸漬し、これを2回繰り返してすすぎとした。
(3)評価方法:すすぎを終えた評価用ウェハを乾燥後、FE−SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて50000倍〜100000倍の倍率下でアルミニウム配線デポの剥離性及び腐食性の評価をそれぞれ、下記の4段階で行った。
(アルミニウム配線のデポ剥離性)
◎:デポの残存が全く確認されない
○:デポが一部残存している
△:デポが大部分残存している
×:デポが除去できない
(アルミニウム配線の防食性)
◎:アルミニウム配線の腐食が全く確認されない
○:絶縁材料の腐食が一部発生している
△:絶縁材料の腐食がかなり発生している
×:絶縁材料の腐食が著しく発生している
なお、合格品はアルミニウム配線デポ剥離性とアルミニウム配線防食性のいずれも◎か○であるものとする。
II−4.析出物の評価方法
100gの剥離剤組成物を200mlビーカーに入れ、40℃の恒温槽中で、スターラーで撹拌しながら、10時間、蓋を閉めずに開放系で放置した。その後、ビーカーを取り出し、析出物の有無を目視で確認した。
なお、得られた剥離剤組成物の酸化アルミニウム溶解量とアルミニウムエッチング量は、前記標準試験(A−2)、(B−2)に従って測定した。
これらの結果を表7に示す。
Figure 2005167193
表6、7の結果より、実施例II−1、II−2の剥離剤組成物は、比較例II−1、II−2のものに比べて、アルミニウム配線のデポ剥離性及び腐食防止性が共に優れたものであり、長時間保存しても析出物が生じないものであることがわかる。
特に、実施例II−1、II−2の剥離剤組成物は、配線幅180nmという極めて微細なアルミニウム配線においても、優れたデポ剥離性及び腐食防止性を示すものであることがわかる。
実施例III−1〜III−3、比較例III−1〜III−3
III−1.剥離剤組成物
表8に示した組成を有する剥離剤組成物を調製し、評価に用いた。
Figure 2005167193
表中、HEDPは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、BDGはブチルジグリコールをそれぞれ示す。
III−2.標準試験(A−2)、標準試験(B−2)
前記の標準試験方法に基づき、酸化アルミニウム溶解量及びアルミニウムエッチング量を測定した。結果は、表8に示した。
III−3.pH変化の測定
前記標準試験(A−2)の1)における昇温前の剥離剤組成物のpHを25℃で測定し、これを「初期」pHとした。その後、同2)の操作を経て、3)の遠心分離後、上澄み液のpHを「標準試験後」pHとした(25℃)。これら2つの値の絶対値をpH「変化量」とし、結果を表8に示した。
III−4.評価用ウェハ
以下の条件で、配線幅0.5μm(500nm)、及び0.18μm(180nm)のアルミニウム(Al)配線を有するパターン付きウェハを1cm角に分解し、洗浄試験に使用した。
(アルミニウム配線の構造)
TiN/Al−Si/TiN/Ti/SiO/下地
III−5.剥離性評価
1)初期剥離性
(1)剥離方法:30mlの剥離剤組成物に40℃で15分間、評価用ウェハを浸漬し、剥離処理した。
(2)すすぎ方法:30mlの超純水に25℃で1分間、評価用ウェハを浸漬し、これを2回繰り返してすすぎとした。
(3)評価方法:すすぎを終えた評価用ウェハを乾燥後、FE−SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて50000倍〜100000倍の倍率下でアルミニウム配線デポの剥離性及び防食性の評価を下記の4段階で行った。
2)標準試験後の剥離性
(1)剥離方法:標準試験で行った剥離剤組成物30mlに40℃で15分間、評価用ウェハを浸漬し、剥離した。
(2)、(3)は、初期剥離性と同様の操作で行い、アルミニウム配線のデポ剥離性、防食性を評価した。
(アルミニウム配線デポ剥離性)
◎:デポの残存が全く確認されない
○:デポが一部残存している
△:デポが大部分残存している
×:デポが除去できない
(アルミニウム配線防食性)
◎:Al配線の腐食が全く確認されない
○:絶縁材料の腐食が一部発生している
△:絶縁材料の腐食がかなり発生している
×:絶縁材料の腐食が著しく発生している
なお、合格品はアルミニウム配線デポ剥離性とアルミニウム配線防食性のいずれも◎か○であるものとする。これらの結果を表9に示す。
Figure 2005167193
表9の結果より、実施例III−1〜III−3で得られた剥離剤組成物を用いた洗浄方法では、比較例III−1〜III−3に比べ、連続洗浄を仮定して行った酸化アルミニウムを溶解した標準試験後も、十分なデポ剥離性及び防食性を維持しており、特に、配線幅が180nmと極めて微細な配線であっても腐食性が悪化しないことがわかる。
本発明について、前記態様1の剥離剤組成物は、半導体素子形成時に発生するアルミニウム配線デポやビアホール底のチタン由来のデポに対し優れた剥離性を有し、且つ配線幅の狭い配線金属材料に対してもエッチングが起こらず防食性に優れる。従って、前記態様1の剥離剤組成物を用いることで、半導体素子の高速化、高集積化が可能となり、品質の優れたLCD、メモリ、CPU等の電子部品を製造することができるという効果が発現される。
また、前記態様2の剥離剤組成物を用いて半導体素子形成時に発生するアルミニウム配線デポやビアホール底のチタン由来のデポを剥離する際に、半導体の電気特性等の品質に大きく影響を与える汚染を防止できることができるという効果が奏される。
また、前記態様3の剥離剤組成物を、半導体素子形成時に発生するアルミニウム配線デポやビアホール底のチタン由来のデポを剥離する半導体の剥離洗浄工程で用いることにより、半導体の品質に大きく影響を与えるデポの残存や配線の腐食を防止することができ、かつ新しい剥離剤を追加したり入替えることなく長期に連続して洗浄することができるため、半導体の生産性を上げられ、高性能のLCD、メモリ、CPU等の電子部品を経済的に製造することができるという効果が奏される。
したがって、本発明の剥離剤組成物は、より小型で高性能なLCD、メモリ、CPU等の電子部品の製造、中でもアルミニウム及び/又はチタンを含有する配線材料を使用した半導体基板及び半導体素子の洗浄に好適に使用することができる。
また、本発明の剥離洗浄方法は、高速化、高集積化がより進んだ、品質の優れたLCD、メモリ、CPU等の電子部品の製造に適用することができる。
以上に述べた本発明は、明らかに同一性の範囲のものが多数存在する。そのような多様性は発明の意図及び範囲から離脱したものとはみなされず、当業者に自明であるそのような全ての変更は、以下の請求の範囲の技術範囲内に含まれる。

Claims (17)

  1. 金属配線を含む半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄に用いる剥離剤組成物であって、標準試験(A−1)によるアルミナ溶解量が10ppm以上の溶解剤と標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である抑制剤とを含有し、含フッ素化合物を実質的に含有しない剥離剤組成物。
  2. 抑制剤が無機酸塩及び/又は有機酸塩である請求項1記載の剥離剤組成物。
  3. 溶解剤が酸である請求項1又は2記載の剥離剤組成物。
  4. 抑制剤が、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩酸塩、及び硼酸塩からなる群より選ばれる1種以上の塩である請求項1〜3いずれか記載の剥離剤組成物。
  5. 配線幅180nm以下の金属配線を含む半導体基板又は半導体素子の剥離洗浄に用いる剥離剤組成物であって、標準試験(A−1)によるアルミナ溶解量が10ppm以上の溶解剤と標準試験(B−1)によるアルミニウムエッチング量が7nm以下である抑制剤とを含有する剥離剤組成物。
  6. 金属配線が、アルミニウム、銅、タングステン及びチタンからなる群から選ばれる1種以上の金属を含む金属配線である請求項1〜5いずれか記載の剥離剤組成物。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の剥離剤組成物を用いて、半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄する方法。
  8. 請求項1〜6いずれか記載の剥離剤組成物を用いて、半導体基板又は半導体素子を剥離洗浄する工程を有する半導体基板又は半導体素子の製造方法。
  9. 酸と、無機酸塩及び/又は有機酸塩とを含有する剥離剤組成物であって、以下の(i)〜(v):
    (i)酸が1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸で、無機酸塩及び/又は有機酸塩がカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩酸塩、及び硼酸塩からなる群より選ばれる1種以上の塩、
    (ii)酸が硫酸で、無機酸塩が硫酸塩及び/又は硝酸塩、
    (iii)酸がシュウ酸で、無機酸塩がホスホン酸塩、
    (iv)酸が硫酸及びシュウ酸で、無機酸塩が硫酸塩、
    (v)酸が1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びシュウ酸で、無機酸塩が硫酸塩
    のいずれかの成分を含む剥離剤組成物。
  10. a)水とb)水への溶解度(25℃)が10g以上/水100gの化合物とを含有してなる剥離剤組成物であって、a)の含有量が50〜99.8重量%で、b)の含有量がa)を除いた部分の90重量%以上であり、さらに標準試験(A−2)での酸化アルミニウム溶解量が10ppm以上かつ標準試験(B−2)でのアルミニウムエッチング量が7nm以下である剥離剤組成物。
  11. b)の化合物として、酸と、無機酸塩及び/又は有機酸塩とを含有する請求項10記載の剥離剤組成物。
  12. 請求項10又は11記載の剥離剤組成物を用いた半導体の洗浄方法。
  13. 請求項12記載の洗浄方法を用いた洗浄工程を有する半導体の製造方法。
  14. 酸化アルミニウム溶解剤とアルミニウム腐食抑制剤を含有する水系剥離剤組成物であって、1)水の含有量が50重量%以上、2)標準試験(A−2)での酸化アルミニウム溶解量が10ppm以上、3)標準試験(B−2)でのアルミニウムのエッチング量が7nm以下、かつ4)標準試験(A−2)前後でのpH変化が0.5以下である剥離剤組成物。
  15. 酸化アルミニウム溶解剤が酸であり、アルミニウム腐食抑制剤が無機酸塩及び/又は有機酸塩である請求項14記載の剥離剤組成物。
  16. 請求項15又は16いずれか記載の剥離剤組成物を用いて60℃以下で洗浄する工程を有する半導体の連続洗浄方法。
  17. 請求項16記載の連続洗浄方法を用いた洗浄工程を有する半導体の製造方法。
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