JP2005166485A - 有機エレクトロルミネッセンス装置とその製造方法、電子機器 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置とその製造方法、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 インクジェット法等の液滴吐出法を用いて発光層等の機能層を形成するに際して画素内での濡れ不良の発生を抑制する。
【解決手段】 有機材料からなる発光層110bを含む機能層110を基板2上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、上記基板2上に液状の有機材料を塗布し、これを乾燥させることにより上記発光層110bを形成する工程を備え、上記有機材料を塗布する際に、相対的に低い分子量を持つ有機材料を塗布する第1塗布工程と、上記第1塗布工程の後に相対的に高い分子量を持つ有機材料を塗布する第2塗布工程とを実施する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置とその製造方法、電子機器に関するものである。
電界発光を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子は、自己発光のため視認性が高く、かつ耐衝撃性に優れるなどの優れた特徴を有することから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。有機エレクトロルミネッセンス素子において発光層を形成する際には、低分子系の有機材料を蒸着法で成膜する方法と、高分子系の有機材料を液状にして塗布する方法が知られている。より具体的には、低分子系材料の場合、所定の画素上に発光材料をマスク越しに蒸着して発光層を形成する方法が知られている。また、高分子系材料の場合、材料の無駄がなく、微細かつ容易にパターニングできることから、インクジェット法を用いて発光材料を塗布して発光層を形成する方法が採用されている。
ところが、インクジェット法を用いて発光材料を含むインクを塗布する場合、上記の利点がある反面、塗布したインクが画素内に均一に濡れ広がらないという問題を抱えている。そこで、この問題を解決する方法が、下記の特許文献1または2に提案されている。
特開2002−250811号公報 特開2001−291583号公報
インクジェット法を用いて発光材料を含むインクを塗布する場合、基板表面が乾いた状態であるとインクの濡れ性が悪いという根本的な問題があった。例えば画素内で局所的に多量のインクを吐出すると、後から吐出した液滴が最初に吐出した部分に吸い寄せられてしまい、インクが濡れない箇所が発生する(以下、濡れ不良と呼ぶ)。その結果、画素内に発光しない箇所が生じたり、場合によっては陰極と陽極が短絡するといった不具合が発生することになる。
上記の特許文献1では、インクジェットヘッドの走査を一部重ねて複数回繰り返して行うことにより、各画素内のインク濃度を均一化する方法が開示されている。また、上記の特許文献2では、描画、成膜後に再度描画を行い、膜を均一化する方法が開示されている。しかしながら、いずれの特許文献にも上記の濡れ不良を根本的に対策する手法が開示されておらず、特にインクジェットの描画精度が低い場合、画素内で着弾位置がずれて液滴が濡れ広がらない箇所が発生するという問題は依然として残る。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、インクジェット法等の液滴吐出法を用いて発光層等の機能層を形成するに際して画素内での濡れ不良の発生を抑制し、表示品位に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法を提供することを目的とする。また、表示品位に優れた表示部を備えた電子機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、有機材料からなる発光層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、上記基板上に液状の有機材料を塗布し、これを乾燥させることにより上記発光層を形成する工程を備え、上記有機材料を塗布する際に、相対的に低い分子量を持つ有機材料を塗布する第1塗布工程と、上記第1塗布工程の後に相対的に高い分子量を持つ有機材料を塗布する第2塗布工程とを実施することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法によれば、発光層の形成工程において、まず第1塗布工程によって相対的に低い分子量を持つ有機材料が塗布され、その後、第2塗布工程によって相対的に高い分子量を持つ有機材料が塗布される。
相対的に低い分子量を持つ液状の有機材料は、相対的に高い分子量を持つ液状の有機材料と比較してその粘度が低い。したがって、相対的に低い分子量を持つ有機材料をまず塗布することによって、画素内における濡れ不良の発生を抑止することができる。そして、さらに優れた発光特性を発揮する相対的に高い分子量を持つ有機材料を塗布し、乾燥させることによって、濡れ不良の発生が抑止されかつ優れた発光特性を有する発光層を形成することが可能となる。
次に、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、発光層及び有機材料からなる正孔輸送層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、上記基板上に液状の有機材料を塗布し、これを乾燥させることにより上記正孔輸送層を形成する工程を備え、上記有機材料を塗布する際に、相対的に低い分子量を持つ有機材料を塗布する第1塗布工程と、上記第1塗布工程の後に相対的に高い分子量を持つ有機材料を塗布する第2塗布工程とを実施することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法によれば、正孔輸送層の形成工程において、まず第1塗布工程によって相対的に低い分子量を持つ有機材料が塗布され、その後、第2塗布工程によって相対的に高い分子量を持つ有機材料が塗布される。したがって、濡れ不良の発生が抑止されかつ優れた正孔輸送能力を有する正孔輸送層を形成することが可能となる。
次に、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、有機材料からなる発光層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、上記基板上に液状の有機材料を塗布し、これを乾燥させることにより上記発光層を形成する工程を備え、上記有機材料を塗布する際に、相対的に小さい表面張力を持つ有機材料を塗布する第1塗布工程と、上記第1塗布工程の後に相対的に大きい表面張力を持つ有機材料を塗布する第2塗布工程とを実施することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法によれば、発光層の形成工程において、第1の塗布工程によって相対的に小さい表面張力を持つ有機材料が塗布され、その後、相対的に大きい表面張力を持つ有機材料が塗布される。
相対的に小さい表面張力を持つ液状の有機材料は、相対的に大きい表面張力を持つ液状の有機材料と比較してその濡れ性が高い。したがって、相対的に小さい表面張力を持つ有機材料をまず塗布することによって、画素内における濡れ不良の発生を抑止することができる。そして、さらに優れた発光特性を発揮する相対的に大きい表面張力を持つ有機材料を塗布し、乾燥させることによって、濡れ不良の発生が抑止されかつ優れた発光特性を有する発光層を形成することが可能となる。
次に、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、発光層及び有機材料からなる正孔輸送層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、上記基板上に液状の有機材料を塗布し、これを乾燥させることにより上記正孔輸送層を形成する工程を備え、上記有機材料を塗布する際に、相対的に小さい表面張力を持つ有機材料を塗布する第1塗布工程と、上記第1塗布工程の後に相対的に大きい表面張力を持つ有機材料を塗布する第2塗布工程とを実施することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法によれば、正孔輸送層の形成工程において、第1の塗布工程によって相対的に小さい表面張力を持つ有機材料が塗布され、その後、相対的に大きい表面張力を持つ有機材料が塗布される。したがって、濡れ不良の発生が抑止されかつ優れた正孔輸送能力を有する正孔輸送層を形成することが可能となる。
また、相対的に表面張力が異なる有機材料を塗布する場合には、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、塗布前に上記有機材料に界面活性剤を添加し、その添加量を調整することによって上記表面張力を調整することが好ましい。
このように、有機材料に界面活性剤を添加し、表面張力を調整することによって、有機材料に所望の表面張力を与えることができる。したがって、有機材料の所望の濡れ性を実現することができるため、より効果的に濡れ不良の発生を抑止することが可能となる。
また、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、上記第1塗布工程及び上記第2塗布工程における有機材料の塗布を、液滴吐出法を用いて行うことが好ましい。
このように、有機材料を液滴吐出法を用いて塗布することによって、例えば画素領域にのみ有機材料を塗布することができるため、有機材料を無駄なく効率的に使用することができる。
また、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法においては、上記第1塗布工程で塗布した有機材料を乾燥させる前に上記第2塗布工程における有機材料の塗布を行い、その後、上記第1塗布工程で塗布した有機材料と上記第2塗布工程で塗布した有機材料とを一括して乾燥させるという構成を採用しても良いし、また、上記第1塗布工程で塗布した有機材料を乾燥させた後に上記第2塗布工程における有機材料の塗布を行い、その後、上記第2塗布工程で塗布した有機材料を乾燥させるという構成を採用しても良い。
また、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、上記第2塗布工程で塗布する有機材料の量を上記第1塗布工程で塗布する有機材料の量よりも多くすることが好ましい。
第2塗布工程において塗布される有機材料は、第1塗布工程において塗布された有機材料が画素内に均一に濡れ広がっていれば、それに伴い均一に濡れ広がる。したがって、第1塗布工程において塗布される有機材料が少ない場合であっても、その効果は十分に得られる。このため、第2塗布工程で塗布する優れた特性を有する有機材料の量を第1工程で塗布する有機材料の量より多くすることによって、濡れ不良の発生が抑止されかつより発光特性あるいは正孔輸送能力に優れた層を形成することができる。
次に、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置は、有機材料からなる発光層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、上記発光層が、相対的に低い分子量を持つ有機材料からなる第1発光層の上に相対的に高い分子量を持つ有機材料からなる第2発光層が積層された構造を有することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置によれば、相対的に低い分子量を持つ有機材料からなる第1発光層によって濡れ不良に起因する不具合が抑止され、相対的に高い分子量を持つ有機材料からなる第2発光層によって優れた発光特性が得られる。
また、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置は、上記第1発光層の層厚よりも上記第2発光層の層厚の方が厚いことが好ましい。
このように、上記第1発光層の層厚よりも上記第2発光層の層厚の方が厚いことによって、より優れた発光特性を有する発光層とすることができる。
次に、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置は、発光層及び有機材料からなる正孔輸送層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、上記正孔輸送層が、相対的に低い分子量を持つ有機材料からなる第1正孔輸送層の上に相対的に高い分子量を持つ有機材料からなる第2正孔輸送層が積層された構造を有することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置によれば、相対的に低い分子量を持つ有機材料からなる第1正孔輸送層によって濡れ不良に起因する不具合が抑止され、相対的に高い分子量を持つ有機材料からなる第2正孔輸送層によって優れた正孔輸送能力が得られる。
次に、本発明に係る電子機器は、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明に係る電子機器によれば、優れた特性を有する有機エレクトロルミネッセンス装置を備えるため、優れた表示特性を得ることが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置とその製造方法、電子機器の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各層や各部材を認識可能な大きさとするため、各層や各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は本実施形態のエレクトロルミネッセンス(Electro-Luminescence, 以下、ELと略記する)装置の一例である有機EL装置(表示装置)の配線構造を示す平面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置1には、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線されている。そして、走査線101と信号線102とにより区画された領域が画素領域として構成されている。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
各画素領域には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ123と、この駆動用薄膜トランジスタ123を介して電源線103に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極111と、この画素電極111と共通電極12との間に挟み込まれる機能層110とが設けられている。画素電極111と共通電極12と機能層110により発光部Aが構成され、表示装置1は、この発光部Aをマトリクス状に複数備えて構成されている。
係る構成によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ123のチャネルを介して、電源線103から画素電極111に電流が流れ、さらに機能層110を介して共通電極12に電流が流れる。機能層110は、これを流れる電流量に応じて発光する。
図2は本表示装置の平面模式図である。図3に、本表示装置における表示領域2aの断面構造を拡大した図を示す。
図3に示すように、本実施形態の表示装置1は、基板2上に回路素子部14と表示素子部10が順に積層され、この積層体の形成された基板面が封止部(図示略)によって封止された構造を有する。表示素子部10は、発光層110bを含む発光素子部11と、発光素子部11上に形成された陰極(第2の電極)12とからなる。この共通電極12及び封止部は透光性を有しており、本表示装置1は、発光層から発した表示光が封止部側から出射される、いわゆるトップエミッション型の表示装置として構成されている。
基板2には、透明基板、半透明基板、不透明基板のいずれを用いることもできる。透明又は半透明な基板としては、例えばガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特に、安価なソーダガラス基板が好適に用いられる。不透明な基板としては、例えばアルミナ等のセラミックやステンレススチール等の金属シートに表面酸化等の絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
また、基板2は、図2に示すように、中央に位置する表示領域2aと、基板2の周縁に位置して表示領域2aを囲む非表示領域2bとに区画されている。
表示領域2aは、マトリックス状に配置された発光部Aによって形成される領域であり、表示領域2aの外側に非表示領域2bが形成されている。そして、非表示領域2bには、表示領域2aに隣接するダミー表示領域が形成されている。
回路素子部14には、図2及び図3に示すように、前述の走査線、信号線、保持容量、スイッチング用の薄膜トランジスタ、駆動用の薄膜トランジスタ123等が備えられており、表示領域2aに配置された各発光部Aを駆動するようになっている。
共通電極12は、その一端が発光素子部11上から基板2上に形成された陰極用配線120に接続しており、この配線の一端部がフレキシブル基板5上の配線5aに接続されている。また、配線5aは、フレキシブル基板5上に備えられた駆動IC6(駆動回路)に接続されている。
また、回路素子部14の非表示領域2bには、前述の電源線103(103R、103G、103B)が配線されている。
また、表示領域2aの図2中両側には、前述の走査側駆動回路105、105が配置されている。この走査側駆動回路105、105はダミー領域の下側の回路素子部14内に設けられている。さらに回路素子部14内には、走査側駆動回路105、105に接続される駆動回路用制御信号配線105aと駆動回路用電源配線105bとが設けられている。さらに表示領域2aの図2中上側には検査回路106が配置されている。
より詳細には、この表示装置1は、基板2上に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部14と、画素電極(第1の電極)111と、発光層110bを含む機能層110が形成された発光素子部11と、共通電極12とが順次積層されて構成されている。
回路素子部14には、基板2上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜2cが形成され、この下地保護膜2c上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜141が形成されている。なお、半導体膜141には、ソース領域141a及びドレイン領域141bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。また、Pが導入されなかった部分がチャネル領域141cとなっている。
また、回路素子部14には、下地保護膜2c及び半導体膜141を覆うゲート絶縁膜142が形成されている。そして、このゲート絶縁膜142上には、半導体膜141のチャネル領域141cに対応する位置に、Al、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極143(走査線101)が形成されている。そして、半導体膜141、ゲート絶縁膜142、ゲート電極143により薄膜トランジスタ123が構成されている。
また、ゲート電極143及びゲート絶縁膜142上には透明な第1層間絶縁膜144aと第2層間絶縁膜144bが形成されており、この第1、第2層間絶縁膜144a、144bには、絶縁膜144a、144bを貫通して半導体膜141のソース、ドレイン領域141a、141bにそれぞれ接続されるコンタクトホール145、146が形成されている。コンタクトホール145は画素電極に接続されており、このコンタクトホール145を介して画素電極111と半導体のソース領域141aが電気的に接続されている。また、コンタクトホール146は電源線103に接続されており、このコンタクトホール146を介して、電源線103から画素信号が供給されるようになっている。
以上により駆動用の回路が構成されている。なお、回路素子部14には、前述した保持容量cap及びスイッチング用の薄膜トランジスタ142も形成されているが、図3ではこれらの図示を省略している。
画素電極111は、第2層間絶縁膜144b上に平面視略矩形にパターニングされて形成されており、表示領域2a内にマトリクス状に複数配置されている。
この画素電極111には、例えばアルミニウム(Al)膜や銀(Ag)膜等の高反射率の金属膜が用いられており、基板2側に発した光を上方の封止部側に効率的に出射させるようになっている。
なお、画素電極111は、例えばAl膜の層厚が100nmから500nmの範囲となるように形成され、Al膜の上にITO(インジウム錫酸化膜)を層厚が50nmから200nmの範囲となるように積層して形成してもよい。
発光素子部11は、複数の画素電極111上の各々に積層された機能層110と、各画素電極111及び機能層110の間に備えられて各機能層110を仕切るバンク層112とを主体として構成されている。機能層110上には共通電極12が配置されており、これら画素電極111、機能層110及び共通電極12によって発光部Aが構成されている。
なお、バンク層112と第2層間絶縁膜144bとの間に、隣り合う画素電極111を絶縁するとともに、これを保護するために、絶縁保護膜を配置してもよい。絶縁保護膜としては、例えばCVD法やスパッタリング法によりシリコン酸化膜を10nm〜1μmの厚さに形成することができる。
バンク層112は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストからなり、画素電極111の形成位置に対応して開口部112dが形成されている。
なお、バンク層112に仕切られた各領域において、画素電極111の電極面111aは酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液処理されており、親液性を示す。一方、開口部112dの壁面及びバンク層112の上面112fは、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液処理)されており、撥液性を示す。
機能層110は、画素電極111上に積層された正孔輸送層110aと、正孔輸送層110a上に隣接して形成された発光層110bと、この発光層110b上に隣接して形成された電子注入層110cとから構成されている。
正孔輸送層110aは例えば5nmから80nmの層厚に形成され、正孔を発光層110bに注入する機能を有するとともに、正孔を正孔輸送層110a内部において輸送する機能を有する。この正孔輸送層110aは、相対的に低い分子量を持つ有機材料からなる第1正孔輸送層110aaの上に相対的に高い分子量を持つ有機材料からなる第2正孔輸送層110abが積層された構造を有している。そして、正孔輸送層110aを形成する材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いることができる。
また、電子注入層110cは例えば5nmから20nmの層厚に形成され、電子を発光層110bに注入する機能を有するとともに、電子を電子注入層110c内部において輸送する機能を有する。層厚が5nmよりも小さくなると電子注入効率を向上させる効果がなくなり、層厚が20nmよりも厚くなると内部抵抗が高くなり発光電圧が高くなってしまう。この電子注入層110cとしては、例えばバソクプロイン(BCP)とセシウムの共蒸着膜やMgとAgの共蒸着、LiF/Ca/Alなどを好適に用いることができる。
このような正孔輸送層110a、電子注入層110cを、それぞれ画素電極111と発光層110bの間、及び、共通電極12と発光層110bとの間に設けることにより、発光層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上する。なお、正孔輸送層110aを形成する材料は、各色の発光層110b毎に異ならせてもよく、また、特定の色の発光層110bに対して正孔輸送層110aを設けない構成とすることも可能である。
発光層110bは、赤色(R)に発光する赤色発光層110b、緑色(G)に発光する緑色発光層110b、及び青色(B)に発光する青色発光層110b、の3種類を有し、各発光層110bから110bがストライプ配置されている。この発光層110bは、相対的に低い分子量を持つ有機材料からなる第1発光層110baの上に相対的に高い分子量を持つ有機材料からなる第2発光層110bbが積層された構造を有している。そして、相対的に高い分子量を持つことで高い発光特性を有する第2発光層110bbの層厚が第1発光層110baの層厚よりも厚く形成されている。この発光層110bの材料としては、赤色発光層110bとしてシアノピリフェニレンビニレン、緑色発光層110b及びとして青色発光層110bポリフェニレンビニレンなどを用いることができる。なお、上述した有機化合物以外の有機化合物を発光層110bの材料として用いることができる。
共通電極12としては、ITOやIZO等の透光性を有する金属が採用される。ここで、共通電極12と電子輸送層110cとの間には、透明性を有する膜厚でAl薄膜を形成してもよい。透明性を有する膜厚としては、50nm以下が好ましい。このようなAl薄膜を形成することによって、電子輸送層110cへの電子注入性を促進させるだけでなく、ITOをスパッタで形成する際のプラズマダメージを抑制し、また、共通電極12を透過・侵入する水分や酸素から有機機能層110を保護することができる。
次に、本実施形態の表示装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
本実施形態の表示装置1の製造方法は、例えば、(1)回路素子部形成工程、(2)バンク部形成工程、(3)プラズマ処理工程、(4)正孔輸送層形成工程、(5)発光層形成工程、(6)電子注入層形成工程、(7)陰極形成工程を具備して構成されている。なお、製造方法はこれに限られるものではなく、必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
(1)回路素子部形成工程
例えばガラス等の基板2上に、図4に示すように、周知の方法によって下地保護膜2cを介して薄膜トランジスタ123を形成する。次に、薄膜トランジスタ123が形成された基板2の上面側を平坦化するために、例えばポリイミド、アクリル等の平坦性に優れた材料をスピンコート法により滴下し、平坦化絶縁膜となる第2層間絶縁膜144bを形成する。次に、各画素の薄膜トランジスタ123と画素電極111とを接続するためのスルーホールを第2層間絶縁膜144b、第1層間絶縁膜144aに形成する。スルーホールは、フォトリソグラフィー法によって絶縁膜をパターニングした後、現像処理で露光部分を除去して形成する。その後、本焼成し、第2層間絶縁膜144b等を平坦化膜とする。そして、例えばAlを膜厚100〜500nmとなるようにスパッタ法、蒸着法等により成膜する。さらにITOを積層して画素電極とする場合には、ITOを膜厚50〜200nmとなるようにスパッタ法、蒸着法等により成膜する。その後、フォトリソグラフィー法によってこれらITO、Al膜をパターニングして、画素電極111を形成する。ITOは例えば王水によるウェットエッチングにより、Alは例えば塩素系ガスを含むガスのプラズマを用いたドライエッチングによりエッチングすることができる。
(2)バンク層形成工程
バンク層形成工程は、基板2の所定の位置に開口部112dを有するバンク層112を形成する工程である。層間絶縁膜144a、144bの上に画素電極111を形成した後、図5に示すように、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有する感光性材料を塗布し、フォトリソグラフィー技術により、画素電極111の配置された領域に開口部112dを有するバンク層112を形成する。なお、バンク層は、以下の正孔輸送層、発光層等をインクジェット等の液滴吐出法で形成する場合に必要となるものであって、蒸着法等により形成する場合には不要である。
(3)プラズマ処理工程
プラズマ処理工程は、画素電極111の表面を活性化すること、さらにバンク層112の表面を表面処理する事を目的として行われる。特に活性化工程では、画素電極111上の洗浄、さらに仕事関数の調整を主な目的として行っている。さらに、画素電極111の表面の親液化処理、バンク層112表面の撥液化処理を行う。
(4)正孔輸送層形成工程
正孔輸送層形成工程では、画素電極111上に正孔輸送層を形成する。
正孔輸送層形成工程では、液滴吐出法として、例えばインクジェット装置を用いて、相対的に低い分子量を持つ正孔輸送層形成材料を含む第1組成物を電極面111a上に塗布する(第1塗布工程)。そして、その後、乾燥処理及び熱処理を行い、画素電極111上に第1正孔輸送層110aaを形成する。この第1正孔輸送層110aaの形成工程において、正孔輸送層形成材料を含む第1組成物を電極面111a上に塗布すると、正孔輸送層形成材料の分子量が低いために、第1組成物は電極面111a上に均一に濡れ広がる。これは、正孔輸送層形成材料の分子量が低いために、第1組成物の粘度が低くなるためである。したがって、この第1組成物に対して乾燥処理及び熱処理を行うことによって、電極面111aの全面を覆う第1正孔輸送層110aaを形成することができる。
続いて、第1正孔輸送層110aa上に、例えばインクジェット装置を用いて、相対的に高い分子量を持つ正孔輸送層形成材料を含む第2組成物を塗布する(第2塗布工程)。その後、乾燥処理及び熱処理を行い、第1正孔輸送層110aa上に第2正孔輸送層110abを形成する。そして、この第2正孔輸送層110abの形成工程において塗布される第2組成物には、相対的に高い分子量を有することによって高い正孔輸送能力を発揮する正孔輸送層形成材料が含まれている。したがって、第2組成物に対して乾燥処理及び熱処理を行うことによって、第1正孔輸送層110aa上に、高い正孔輸送能力を有する第2正孔輸送層110abを形成することができる。また、先に形成された第1正孔輸送層110aaによって、第2組成物の塗布面の親和性が向上するため、第1正孔輸送層110aaを形成することによって第2組成物に対する濡れ性を向上させることができる。
第1組成物と第2組成物とは、基本骨格が同一であり、分子量が異なることが望ましい。このようにすることにより、第1正孔輸送層110aaと第2組成物との親和性が向上して、塗布面での濡れ性を向上させることができる。
このようにして形成される正孔輸送層110aによれば、第1正孔輸送層110aaによって正孔輸送層110aの濡れ不良に起因して生じる不具合を抑止することができると共に、第2正孔輸送層110abによって高い正孔輸送能力を有することができる。
なお、この正孔輸送層形成工程を含めこれ以降の工程は、水、酸素の無い雰囲気とする事が好ましい。例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
インクジェットによる製造方法は以下の通りである。
図6に示すように、インクジェットヘッドH1に形成された複数のノズルH2から相対的に低い分子量を持つ正孔輸送層形成材料を含む第1組成物110dを吐出・塗布する。ここではインクジェットヘッドを走査することにより各開口部112d内に第1組成物110dを充填しているが、基板2を走査することによっても可能である。さらに、インクジェットヘッドH1と基板2とを相対的に移動させることによっても第1組成物110dを充填させることができる。なお、これ以降のインクジェットヘッドH1を用いて行う工程では上記の点は同様である。そして、図7に示すように、乾燥工程を行い、第1組成物110dに含まれる極性溶媒を蒸発させて正孔輸送層形成材料を析出させることによって第1正孔輸送層110aaが形成される。
続いて、図8に示すように、インクジェットヘッドH3に形成された複数のノズルH4から相対的に高い分子量を持つ正孔輸送層形成材料を含む第2組成物110eを吐出・塗布する。そして、図9に示すように、乾燥工程を行い、第2組成物110eに含まれる極性溶媒を蒸発させて正孔輸送層形成材料を析出させることによって第2正孔輸送層110abが形成される。
(5)発光層形成工程
発光層形成工程は、表面改質工程、発光層形成材料吐出工程及び乾燥工程とからなる。
表面改質工程は、正孔輸送層110aと発光層110bとの密着性や、成膜の均一性を高めるために行っている。発光層形成工程では、例えばインクジェット装置を用いて、相対的に低い分子量を持つ発光層形成材料(有機材料)を含む第3組成物を正孔輸送層110a上に塗布する(第1塗布工程)。そして、その後、乾燥処理及び熱処理を行い、正孔輸送層110a上に第1発光層110baを形成する。この第1正孔輸送層110baの形成工程において、発光層形成材料を含む第3組成物を電極面111a上に塗布すると、発光層形成材料の分子量が低いために、第3組成物は正孔輸送層110a上に均一に濡れ広がる。したがって、この第3組成物に対して乾燥処理及び熱処理を行うことによって、正孔輸送層110aの全面を覆う第1正孔輸送層110baを形成することができる。
続いて、第1発光層110ba上に、例えばインクジェット装置を用いて、相対的に高い分子量を持つ発光層形成材料を含む第4組成物を塗布する(第2塗布工程)。その後、乾燥処理及び熱処理を行い、第1発光層110ba上に当該第1発光層110baの層厚より厚い第2発光層110bbを形成する。そして、この第2発光層110bbの形成工程において塗布される第4組成物には、相対的に高い分子量を有することによって高い発光特性を発揮する発光層形成材料が含まれている。したがって、第4組成物に対して乾燥処理及び熱処理を行うことによって、第1発光層110ba上に、高い発光特性を有する第2発光層110bbを形成することができる。また、先に形成された第1発光層110baによって、第4組成物の塗布面の親和性が向上するため、第1発光層110baを形成することによって第4組成物に対する濡れ性を向上させることができる。
このようにして形成される発光層110bによれば、第1発光層110baによって発光層110bの濡れ不良に起因して生じる不具合を抑止することができると共に、第1発光層110baよりも層厚の厚い第2発光層110bbによって高い発光特性を有することができる。
具体的には、図10に示すように、インクジェットヘッドH5と基板2とを相対的に移動し、インクジェットヘッドH5に形成された吐出ノズルH6から低い分子量を持つ(例えばここでは青色(B))発光層形成材料を含有する第3組成物110fを吐出・塗布する。次に、第3組成物110fを所定の位置に吐出・塗布し終わったら、塗布後の第3組成物110fを乾燥処理し、第3組成物110fに含まれる非極性溶媒を蒸発させる。これにより、発光層形成材料が析出し、図11に示すような青色(B)発光層110bの第1発光層110baが形成される。
その後、インクジェットヘッド(不図示)に形成された複数のノズル(不図示)から相対的に高い分子量を持つ発光層形成材料を含む第4組成物を吐出・塗布する。そして、図12に示すように、乾燥工程を行い、第4組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させて発光層形成材料が第1発光層110abより厚い層厚となるように析出させることによって第2発光層110bbが形成される。
そして、図13に示すように、前述した青色(B)発光層110bの場合と同様の工程を用い、赤色(R)発光層110bを形成し、最後に緑色(G)発光層110bを形成する。なお、発光層110bの形成順序は、前述の順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能である。
このようにして、画素電極111上に正孔輸送層110a及び発光層110bが形成される。
(6)電子注入層形成工程
電子注入層形成工程では、図14に示すように、発光層110b及びバンク層112の全面に、バソクプロイン(BCP)とセシウムの共蒸着膜からなる電子注入層110cを形成する。
電子注入層110cには、他にも例えばMgとAgの共蒸着や、LiF/Ca/Alなどを用いることができ、蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱による発光層110bの損傷を防止できる点で好ましい。
(7)陰極形成工程
陰極形成工程では、図15に示すように、画素電極111(陽極)と対をなす共通電極12を形成する。ここでは、例えば、ITOを蒸着することによってバンク部112及び発光層110bを含む基板2上の領域全面に共通電極12を形成する。なお、共通電極12と電子注入層110cとの間に透過性を有する膜厚でAl層を形成する場合には、共通電極12を形成する前に、Alをバンク部112及び発光層110bを含む基板2上の領域全面に蒸着させる。
以下、詳細な説明は省略するが、共通電極12上、または共通電極12の上方に空間を隔てて封止樹脂膜、封止基板等からなる封止部材を配置する。さらに、図2に例示した基板2の配線5aに共通電極12を接続するとともに、駆動IC6に回路素子部14の配線を接続することにより、本実施形態の表示装置1が得られる。
ここで、図16〜図19を参照して、本発明の実験例について説明する。
図16は、正孔輸送層上に、相対的に高い分子量(320×10Mw)を持つ発光層材料が含まれた組成物を吐出した場合と相対的に低い分子量(290×10Mw)を持つ発光層材料が含まれた組成物を吐出した場合とにおける各組成物の着弾径を示した表である。なお、相対的に高い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物の粘度は27mPa・sであり、相対的に低い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物の粘度は22mPa・sであり、また、吐出量は共に10plである。
そして、この図に示すように、相対的に高い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物の着弾径は30μmであり、相対的に低い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物の着弾径は35μmであった。したがって、相対的に低い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物は、相対的に高い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物よりも濡れ広がり易いことが分かる。
図17は、正孔注入層上に相対的に高い分子量を持つ発光層材料(320×10Mw)が含まれた組成物を直接吐出した場合と、正孔注入層上に形成された相対的に低い分子量を持つ発光層(290×10Mw)上に相対的に高い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物を吐出した場合とにおける各組成物の着弾径を示した表である。なお、吐出量は、共に10plである。
そして、この図に示すように、正孔注入層上に相対的に高い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物を直接吐出した場合の着弾径は30μmであり、正孔注入層上に形成された相対的に低い分子量を持つ発光層上に相対的に高い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物を吐出した場合の着弾径は40μmであった。したがって、第1発光層によって、相対的に高い分子量を持つ発光層材料が含まれた組成物に対する親和性が向上されることが分かる。
なお、実際に、正孔注入層上に相対的に低い分子量を持つ発光層を形成し、その上に相対的に高い分子量を持つ発光層を形成することによって、発光層における濡れ不良を抑止することができた。
図18は、相対的に高い分子量を持つ正孔注入層材料(330×10Mw)がドープされた組成物をITO電極面に吐出した場合と、相対的に低い分子量を持つ正孔注入層材料(70×10Mw)がドープされた組成物をITO電極面に吐出した場合とにおける各組成物の着弾径を示した表である。なお、相対的に高い分子量を持つ正孔注入層材料ドープされた組成物の粘度は38mPa・sであり、相対的に低い分子量を持つ正孔注入層材料がドープされた組成物の粘度は18mPa・sである。
そして、この図に示すように、相対的に高い分子量を持つ正孔注入層材料がドープされた組成物の着弾径は30μmであり、相対的に低い分子量を持つ正孔注入層材料がドープされた組成物の着弾径は35μmであった。したがって、相対的に低い分子量を持つ正孔注入層材料がドープされた組成物は、相対的に高い分子量を持つ正孔注入層材料がドープされた組成物よりも濡れ広がり易いことが分かる。
図19は、ITO電極上に相対的に高い分子量を持つ正孔注入層材料(330×10Mw)がドープされた組成物を直接吐出した場合と、ITO電極上に形成された相対的に低い分子量を持つ正孔注入層(70×10Mw)上に相対的に高い分子量を持つ正孔注入層材料がドープされた組成物を吐出した場合とにおける各組成物の着弾径を示した表である。なお、吐出量は、共に10plである。
そして、この図に示すように、ITO電極上に相対的に高い分子量を持つ正孔注入層材料がドープされた組成物を直接吐出した場合の着弾径は30μmであり、ITO電極上に形成された相対的に低い分子量を持つ正孔注入層上に相対的に高い分子量を持つ正孔注入層材料がドープされた組成物を吐出した場合の着弾径は40μmであった。したがって、第1正孔注入層によって、相対的に高い分子量を持つ正孔注入層材料がドープされた組成物に対する親和性が向上されることが分かる。
なお、実際に、ITO電極上に相対的に低い分子量を持つ正孔注入層を形成し、その上に相対的に高い分子量を持つ正孔注入層を形成することによって、正孔注入層における濡れ不良を抑止することができた。
図20は、本発明の電子機器の一実施形態を示している。本実施形態の電子機器は、上述した有機EL装置1を表示手段として備えている。図20は、携帯電話の一例を示した斜視図で、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL装置1を用いた表示部を示している。このように本発明に係る有機EL装置を表示手段として備える電子機器は、優れた表示特性を得ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置とその製造方法、電子機器の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、第1正孔注入層110aaあるいは第1発光層110baを形成した後に、相対的に高い分子量を持つ有機材料を塗布し乾燥させることによって第2正孔注入層110abあるいは第2発光層110bbを含む正孔注入層110aあるいは発光層110bを形成した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、相対的に低い分子量を持つ有機材料上に相対的に高い分子量を持つ有機材料を塗布し、これらの有機材料を一括して乾燥させることによって、正孔注入層110aあるいは発光層110bを形成しても良い。
また、上記実施形態においては、有機材料が持つ分子量を変化させることによってその濡れ性を変化させた。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、有機材料が持つ表面張力を変化させることによってその濡れ性を変化させても良い。なお、有機材料の表面張力は、有機材料に添加する界面活性剤の量を調整することによって調整することができる。
また、上記実施形態においては、いわゆるトップエミッション型の有機EL装置を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、いわゆるボトムエミッション型の有機EL装置に適用することも可能である。
本発明の一実施形態に係る有機EL装置の配線構造を示す平面模式図である。 有機EL装置の平面模式図である。 有機EL装置における表示領域2aの断面構造を拡大した図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 有機EL装置の製造方法について説明するための図である。 本発明の一実験例を示した図である。 本発明の一実験例を示した図である。 本発明の一実験例を示した図である。 本発明の一実験例を示した図である。 本発明の一実施形態に係る電子機器を示した図である。
符号の説明
1……有機EL装置(表示装置)、2……基板、110a……正孔注入層、110aa……第1正孔注入層、110ab……第2正孔注入層、110b……発光層、110ba……第1発光層、110bb……第2発光層


Claims (14)

  1. 有機材料からなる発光層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
    前記基板上に液状の有機材料を塗布し、これを乾燥させることにより前記発光層を形成する工程を備え、
    前記有機材料を塗布する際に、相対的に低い分子量を持つ有機材料を塗布する第1塗布工程と、前記第1塗布工程の後に相対的に高い分子量を持つ有機材料を塗布する第2塗布工程とを実施することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  2. 発光層及び有機材料からなる正孔輸送層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
    前記基板上に液状の有機材料を塗布し、これを乾燥させることにより前記正孔輸送層を形成する工程を備え、
    前記有機材料を塗布する際に、相対的に低い分子量を持つ有機材料を塗布する第1塗布工程と、前記第1塗布工程の後に相対的に高い分子量を持つ有機材料を塗布する第2塗布工程とを実施することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  3. 有機材料からなる発光層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
    前記基板上に液状の有機材料を塗布し、これを乾燥させることにより前記発光層を形成する工程を備え、
    前記有機材料を塗布する際に、相対的に小さい表面張力を持つ有機材料を塗布する第1塗布工程と、前記第1塗布工程の後に相対的に大きい表面張力を持つ有機材料を塗布する第2塗布工程とを実施することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  4. 発光層及び有機材料からなる正孔輸送層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
    前記基板上に液状の有機材料を塗布し、これを乾燥させることにより前記正孔輸送層を形成する工程を備え、
    前記有機材料を塗布する際に、相対的に小さい表面張力を持つ有機材料を塗布する第1塗布工程と、前記第1塗布工程の後に相対的に大きい表面張力を持つ有機材料を塗布する第2塗布工程とを実施することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  5. 塗布前に前記有機材料に界面活性剤を添加し、その添加量を調整することによって前記表面張力を調整することを特徴とする請求項3または4記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  6. 前記第1塗布工程及び前記第2塗布工程における有機材料の塗布を、液滴吐出法を用いて行うことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  7. 前記第1塗布工程で塗布した有機材料を乾燥させる前に前記第2塗布工程における有機材料の塗布を行い、その後、前記第1塗布工程で塗布した有機材料と前記第2塗布工程で塗布した有機材料とを一括して乾燥させることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  8. 前記第1塗布工程で塗布した有機材料を乾燥させた後に前記第2塗布工程における有機材料の塗布を行い、その後、前記第2塗布工程で塗布した有機材料を乾燥させることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  9. 前記第2塗布工程で塗布する有機材料の量を前記第1塗布工程で塗布する有機材料の量よりも多くすることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  10. 有機材料からなる発光層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
    前記発光層が、相対的に低い分子量を持つ有機材料からなる第1発光層の上に相対的に高い分子量を持つ有機材料からなる第2発光層が積層された構造を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  11. 前記第1発光層の層厚よりも前記第2発光層の層厚の方が厚いことを特徴とする請求項10記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  12. 発光層及び有機材料からなる正孔輸送層を含む機能層を基板上に備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
    前記正孔輸送層が、相対的に低い分子量を持つ有機材料からなる第1正孔輸送層の上に相対的に高い分子量を持つ有機材料からなる第2正孔輸送層が積層された構造を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  13. 請求項1〜9いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  14. 請求項10〜13いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする電子機器。

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