JP2005164348A - 生体分子相互作用観察方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に表面プラズモン共鳴測定において、様々な物質が共存するサンプルにおいても、非特異吸着がなく精密な生体分子の相互作用を観察する方法を提供する。
【解決手段】表面に導入した非イオン性官能基に、ヘテロ二官能基型親水性高分子を共有結合的に結合し、該親水性高分子の末端と生体分子を直接的または間接的、化学的結合または物理的吸着により、生体分子を固体表面上に固定化し、固定化した生体分子と、生体分子あるいは生体分子集合体との相互作用を観察する方法
【解決手段】表面に導入した非イオン性官能基に、ヘテロ二官能基型親水性高分子を共有結合的に結合し、該親水性高分子の末端と生体分子を直接的または間接的、化学的結合または物理的吸着により、生体分子を固体表面上に固定化し、固定化した生体分子と、生体分子あるいは生体分子集合体との相互作用を観察する方法
Description
本発明は、表面に導入した非イオン性官能基にヘテロ二官能型親水性高分子を共有結合的に固定化し、親水性高分子を介して生体分子を表面に固定化することにより、生体分子の相互作用を観察する方法に関する
生体分子の生体内における機能を解析する手段として、生体分子の相互作用が調べられてきた。相互作用を調べる手段の一つとして、結合ペアの一方の分子(A)を固体表面に固定化して、測定対象となる分子(B)との相互作用を解析する方法が一般的に用いられている。しかし、Aを表面に固定化するために固体表面に結合している分子、もしくは固体表面そのものへの、Bの非特異吸着が存在する場合、結合を何らかの形で検出できたとしても、本当に特異的な結合であるかどうかの判断がつきにくい場合が多い。
Bが純粋な系である場合は、Bの非特異吸着のみを考慮に入れればよいが、Bが細胞破砕液もしくは細胞抽出液、血清などの体液成分に含まれている場合は、さまざまな物質が溶液中に含まれているため、B以外の物質が非特異的吸着した場合の悪影響も考えられる。
従来の技術として非特異的吸着を抑える手段として牛血清アルブミン(BSA)やミルクカゼインなどを固体表面に接触させ、ブロッキングする手段が考えられてきた。しかし、ブロッキングは単なる物理吸着であり、その表面への結合強度は弱い場合があり、徐々に剥がれて落ちていくことがある。また、ブロッキングによって、固定化されたAが埋もれ、相互作用が検出されない場合もある。
そこで、Aを固定化するための分子を親水性物質とし、ブロッキング操作をしなくても非特異的吸着を低減する手段が検討されてきた。例えば、核酸分子を共有結合で固定化する方法において、核酸分子を合成する際にポリエチレングリコールのスペーサーを設ける方法が示されている(例えば特許文献1参照)。ここでは目的配列と固定化用官能基の間にポリエチレングリコールのスペーサーを設けており、非特異的吸着を抑制する効果が期待できる。しかし、Aを表面に固定化するために固体表面に結合している分子に対してBの非特異的吸着は全く考慮に入れられていない。
まず、この方法ではアルカンチオールの自己組織化表面を作製し、表面にアミノ基を導入する。このアミノ基は表面に密に充填されている。これにスクシンイミド基とマレイミド基を有する架橋剤を反応させ、最後に核酸分子を共有結合的に固定化させる。自己組織化表面によって導入したアミノ基の全てが、架橋剤のスクシンイミド基と反応することはできないため、固体表面にはアミノ基が多量に存在し、プラスの電荷を有している。これでは、Bがマイナス電荷を有する場合、もしくはBの溶液にマイナス電荷を有する物質が含まれている場合、非特異的吸着が生じる結果となる。
また、使用している架橋剤の主鎖はシクロヘキサン環であり、非常に疎水性が高い。この場合、Bが疎水性部位を有する物質である場合、もしくはBの溶液中に疎水性物質を含む場合、非特異的吸着を生じる危険性がある。
米国特許では表面に糖のハイドロゲルを形成し、ゲル内に官能基を設けることで非特異的吸着を抑制する方法が開示されている。非常に効果のある方法ではあるが、ゲルの内部と外部では対象物質の浸透、拡散速度が異なるため、リアルタイムに相互作用Kineticsを厳密に測定する方法としては不適当である。また、糖は生体分子の一つであり、糖に相互作用する物質が試料中に含まれている場合は応用することはできない。(例えば、特許文献2参照)。
また、親水性高分子を有するスペーサーの末端に生体分子を固定化するための官能基を有し、もう一方の末端に固体表面に直接結合できる官能基をもつ分子が設計され、相互作用観察に成功している。しかし、この物質単独が表面に密に充填するのは難しく、その他の親水性基末端物質と混合して表面に固定化される。非特異的吸着を抑制するために、親水性基末端物質を高い比率で混合する結果となり、表面に生体分子が固定化される密度は低くなるため、測定感度は低い問題点が生じる。また、設計された分子は一般的ではなく、入手困難であることも問題点である。(例えば、非特許文献1,2参照)
米国特許5629213には金属基板にアニオン性の物質を導入し、ポリカチオンであるポリLリジンを固定化し、その上に分子(B)に対して特異性のある物質を固定化し、表面プラズモン共鳴法によって検出する方法が開示されている。この方法では、金属基板に密にアニオン性物質が充填され、次にポリLリジンを積層させることで、表面が強いプラス電荷を有する。実施例ではこの表面にストレプトアビジンを固定化し、ビオチン化抗体を固定化して、分子(B)を検出する。しかし、分子(B)が細胞抽出液もしくは体液に含まれる場合、細胞抽出液もしくは体液中に含まれるイオン性物質が、ポリLリジン層、もしくは基板上に密に導入されたアニオン性物質に非特異的に吸着する恐れがある。この場合、細胞抽出液もしくは体液中の物質の検出することは困難である。(特許文献3参照)
特表2002−520620にも抗体を基板に固定化したアレイが開示されている。ここには細胞抽出液を解析する概念も示されており、密に充填する単層(有機薄層)にポリマーを使用する概念も示されている。有機薄層は、表面上への分子の非特異的結合を減少させる官能基(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)を保有し得るとの記述があるものの、非イオン性官能基を導入したのちにPEGを固定化する具体的な方法は記載されていない。(特許文献4)
本発明は非イオン性官能基にヘテロ二官能型親水性高分子を架橋剤に用いて生体分子を固定化し、非特異的吸着を抑制することを可能とする。
本発明は、表面に導入した非イオン性官能基にヘテロ二官能型親水性高分子を共有結合的に固定化し、親水性高分子を介して生体分子を表面に固定化することにより、生体分子の相互作用を観察する方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出した。
1.表面に導入した非イオン性官能基に、ヘテロ二官能基型親水性高分子を共有結合的に結合し、該親水性高分子の末端と生体分子を直接的または間接的、化学的結合または物理的吸着により、生体分子を固体表面上に固定化し、固定化した生体分子と、生体分子あるいは生体分子集合体との相互作用を観察する方法
2.非イオン性官能基がヒドロキシ基、トシル基、トレシル基、スクシンイミド基、チオール基、アルデヒド基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基から選ばれる一つである1記載の方法
3.ヘテロ二官能基型親水性高分子の分子量が1,000以上、10,000以下である1もしくは2記載の方法
4.ヘテロ二官能基型親水性高分子の繰り返し単位がエチレングリコールである1〜3いずれか記載の方法
5.ヘテロ二官能基型親水性高分子の官能基がアミノ基、カルボキシル基、スルホン化スクシンイミド基、マレイミド基、チオール基、アルデヒド基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドラジド基、アジド基の群から選ばれる二つである1〜4いずれかに記載の方法
6.固体表面が平面基板である1〜5いずれかに記載の方法
7.固体表面が平面基板上の金薄層である1〜6いずれかに記載の方法
8.金−硫黄結合を利用して表面に非イオン性官能基を導入した金表面に、ヘテロ二官能性親水性高分子を用いて生体分子を固定化する1〜7いずれかに記載の方法
9.複数の生体分子をアレイ状に固定化する1〜8いずれかに記載の方法
10.固定化する複数の生体分子が5種類以上である1〜9いずれかに記載の方法
11.固定化する生体分子が抗体である1〜10いずれかに記載の方法
12.相互作用を表面プラズモン共鳴法によって観察する1〜11いずれかに記載の方法
13.相互作用を表面プラズモン共鳴イメージング法によって観察する1〜12いずれか記載の方法
1.表面に導入した非イオン性官能基に、ヘテロ二官能基型親水性高分子を共有結合的に結合し、該親水性高分子の末端と生体分子を直接的または間接的、化学的結合または物理的吸着により、生体分子を固体表面上に固定化し、固定化した生体分子と、生体分子あるいは生体分子集合体との相互作用を観察する方法
2.非イオン性官能基がヒドロキシ基、トシル基、トレシル基、スクシンイミド基、チオール基、アルデヒド基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基から選ばれる一つである1記載の方法
3.ヘテロ二官能基型親水性高分子の分子量が1,000以上、10,000以下である1もしくは2記載の方法
4.ヘテロ二官能基型親水性高分子の繰り返し単位がエチレングリコールである1〜3いずれか記載の方法
5.ヘテロ二官能基型親水性高分子の官能基がアミノ基、カルボキシル基、スルホン化スクシンイミド基、マレイミド基、チオール基、アルデヒド基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドラジド基、アジド基の群から選ばれる二つである1〜4いずれかに記載の方法
6.固体表面が平面基板である1〜5いずれかに記載の方法
7.固体表面が平面基板上の金薄層である1〜6いずれかに記載の方法
8.金−硫黄結合を利用して表面に非イオン性官能基を導入した金表面に、ヘテロ二官能性親水性高分子を用いて生体分子を固定化する1〜7いずれかに記載の方法
9.複数の生体分子をアレイ状に固定化する1〜8いずれかに記載の方法
10.固定化する複数の生体分子が5種類以上である1〜9いずれかに記載の方法
11.固定化する生体分子が抗体である1〜10いずれかに記載の方法
12.相互作用を表面プラズモン共鳴法によって観察する1〜11いずれかに記載の方法
13.相互作用を表面プラズモン共鳴イメージング法によって観察する1〜12いずれか記載の方法
本発明により、表面に導入した非イオン性官能基にヘテロ二官能型親水性高分子を共有結合的に固定化し、親水性高分子を介して生体分子を表面に固定化することで、生体分子の相互作用を観察する方法を提供する。
以下に本発明を詳細に説明する。本発明は、表面に導入した非イオン性官能基にヘテロ二官能型親水性高分子を架橋剤に用いて生体分子の固定化し、分子間の相互作用を観察する方法を開示している。
生体分子間の相互作用を解析する方法として、結合ペアの一方の分子(A)を固体表面に固定化して、測定対象となる分子(B)との相互作用を解析する方法が一般的に用いられている。しかし、分子(A)を表面に固定化するために固体表面に結合している分子、もしくは固体表面そのものへの、分子(B)の非特異吸着が存在する場合、結合を何らかの形で検出できたとしても、本当に特異的な結合であるかどうかの判断がつきにくい場合が多い。
本発明は、分子(A)を表面に固定化するために固体表面に導入される官能基は非イオン性である。表面に導入される官能基としてヒドロキシ基、トシル基、トレシル基、スクシンイミド基、チオール基、アルデヒド基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基などが挙げられる。これらは非イオン性であるため、表面に未反応のまま残ったとしても、表面への静電的な非特異的吸着の恐れがない。
上記に挙げた非イオン性官能基にも、他の官能基に対して結合反応の活性の高いものがあるが、共有結合によるブロッキングも容易であるため、大きな問題とはならない。これに対し、イオン性官能基を表面に多数有する場合は、ブロッキングが困難である場合が多く好ましくない。従って、固体表面に密に導入される官能基がイオン性であると、未反応のイオン性官能基と分子(B)の非特異的に吸着、もしくは分子(B)を含む溶液中の物質が吸着した場合、測定に影響を与えることがあり好ましくない。
表面に官能基を導入する方法は特に限定されるものではないが、例えば固体基板が金属である場合、金属結合性官能基を片末端に、非イオン性官能基をもう一つの末端に有するアルカン物質を用いて表面に官能基を導入することができる。より具体的には金表面にアルカンチオールの自己組織化表面を形成させ、非イオン性官能基を導入することが可能である。また、ガラス基板の場合、シランカップリング剤を用いて官能基を容易に導入することができる。
本発明では非イオン性官能基にヘテロ二官能型親水性高分子を共有結合的に結合させる。該高分子は非特異的吸着を抑制するために親水性である必要がある。ここで言う親水性とは高分子が水溶性もしくは水に対して膨潤する性質を有することを意味し、高分子とはモノマーの繰り返し単位が3以上の物質と定義する。高分子の分子量は十分なスペーサーとして機能させるために1,000以上が好ましい。しかし、架橋剤は一定のモル濃度が必要であり、分子量が大きすぎると、固定化に必要な架橋剤のグラム数が増大するため、分子量は10,000以下が好ましい。
高分子の材料は特に限定されるものではないが、親水性であることと鎖のフレキシビリティから、エチレングリコールを繰り返し単位にもつ、ポリエチレングリコールが好ましい。
表面に存在する官能基に対して、架橋剤の片末端の官能基が反応するが、もう一方の末端に存在する官能基は反応せずに残るのが好ましい。架橋剤の両末端が表面の官能基と反応するのであれば、ループを表面に形成し、生体分子を固定化するための官能基をもたなくなるので好ましくない。架橋剤の片方の末端が表面に反応して固定化された後に、反対側の末端に存在する別の官能基を利用して、生体分子を固定化する。従って、二つの異なる官能基を有するヘテロ二官能型の高分子であることが好ましい。
高分子の末端の官能基としてアミノ基、カルボキシル基、スクシンイミド基、スルホン化スクシンイミド基、マレイミド基、チオール基、アルデヒド基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドラジド基、アジド基などが挙げることができる。その中で反応する対象官能基が異なる組合せとして、アミノ基とカルボキシル基、アミノ基とマレイミド基が反応性の面で好ましい。
固体表面の非イオン性官能基にヘテロ二官能型親水性高分子が共有結合的に固定化されたのちに、該高分子の片末端の官能基を利用して分子(A)が表面に固定化される。高分子の片末端と分子(A)の結合は特に限定されるものではなく、共有結合、キレート結合、イオン結合、水素結合などが挙げられる。
本発明のヘテロ二官能基型親水性高分子を用いた後に、生体分子に結合する官能基、物質を導入することも、本発明に含まれる。例えば、ニトリロ三酢酸(NTA)基を含む物質をヘテロ二官能型高分子によって固定化した後に、ヒスチジンタグ蛋白をニッケルキレート結合で表面に導入する方法や、ビオチンあるいはストレプトアビジンをヘテロ二官能基型架橋剤によって導入した後に、ビオチン化生体分子を表面に導入する方法などが考えられる。
本発明によって分子(A)が親水性高分子を介して表面に固定化されることで、非特異的な結合が抑制される。しかし、本発明の効果は、非特異的結合の抑制だけにとどまらないと予想される。基板からスペースをとって分子(A)が固定化されるためにスペーサーとして機能し、基板による影響、例えば立体障害による影響を軽減することができると期待される。また、ポリエチレングリコールなどに代表されるようなフレキシブルな高分子鎖を採用することで、固定化した分子(A)にモビリティを与え、より溶液に近い状態で、相互作用を解析することが可能になると予想される。
生体分子を固定化する固体表面としては、相互作用解析に適した平面基板が好ましい。平面基板には、表面プラズモン共鳴(SPR)法による相互作用解析が可能な金薄層が非常に好ましい。金薄層表面が好ましい理由はもう一つあり、金−硫黄結合を利用して、表面に官能基を導入できることが挙げられる。すなわち、チオール基あるいはジスルフィド基と反応の起点となる官能基の両方をもつ物質を用いることで、表面に官能基を導入できる。導入した官能基にヘテロ二官能基型架橋剤を反応させて、本発明を達成することができる。
また、固定化する物質は複数である方が、ハイスループットな解析ができるために好ましく、3種類以上の異なる生体分子を同時に解析できるのが好ましい。複数の物質を固定化するためにはアレイ状に物質を固定化するのが好ましく、それぞれの固定化部位にて相互作用を解析することが可能となる。固定化される生体分子は特に限定されるものではなく、核酸、タンパク質、ペプチド、糖鎖などが挙げられる。中でも安定であることと、多くの種類を容易に確保するという点で抗体が好ましい。
本発明の基板は電荷の影響が軽減されており、かつ親水性高分子を介して分子(A)を固定化することができるため、非特異的吸着を抑制する効果を有する。従って、本方法は生体分子間の相互作用解析における生体分子の固定化方法として適している。相互作用解析の方法としてはSPR法が好ましく、アレイの解析が可能なSPRイメージング法が特に好ましい。SPR法はラベルフリーな相互作用解析方法であり、タンパク質が固定化生体分子に結合する解析に非常に適している。なぜならば、タンパク質はラベル操作によって活性を失う可能性があるためである。
分子(B)は特に限定されるものではないが、上記のようにタンパク質の場合に、本発明は適している。(B)が含まれる溶液も特に限定されるものではないが、緩衝液、細胞抽出液、血清・血漿などの体液などが挙げられる。本発明は非特異的吸着が少ない利点を有するため、細胞抽出液や血清中の物質の解析に応用可能である。細胞抽出液には、細胞破砕液、またそれらを希釈した液も含まれる。体液には生体から得られる液体成分すべてを含み、血液成分、***などが挙げられる。
将来的には抗体を固定化したアレイを用いて、細胞内や血液内に存在する物質の解析に応用することが可能と期待できる。
将来的には抗体を固定化したアレイを用いて、細胞内や血液内に存在する物質の解析に応用することが可能と期待できる。
表面プラズモン共鳴におけるシグナルの評価方法は特に限定されるものではないが、ランニングバッファを基準として、細胞抽出液や体液を流しいれる前後のシグナル差の結果(前後変化)を取ることが考えられる。また、細胞抽出液や体液を流しれた直後からの途中の変化(流入中変化)も取ることができる。非特異的な吸着が多い場合は、細胞抽出液・体液中の核酸や脂質などによる非特異的吸着が非常に速い速度で完了したのちに、流入中の変化を観察する手段が有効な場合がある。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例]
厚さ2mm、18mm×18mmのSF15製透明ガラス基板上にクロム3nmを蒸着した後、金を45nm蒸着した。蒸着の厚みは水晶発振子にてモニターした。金が表面に蒸着された基板を8−Hydroxy−1−Octanethiol(8−HOT,同仁化学研究所製)の1mMエタノール溶液に16時間浸漬し、8−HOTの自己組織化表面を形成させた。この操作により基板表面に非イオン性のヒドロキシ基が導入できる。
[実施例]
厚さ2mm、18mm×18mmのSF15製透明ガラス基板上にクロム3nmを蒸着した後、金を45nm蒸着した。蒸着の厚みは水晶発振子にてモニターした。金が表面に蒸着された基板を8−Hydroxy−1−Octanethiol(8−HOT,同仁化学研究所製)の1mMエタノール溶液に16時間浸漬し、8−HOTの自己組織化表面を形成させた。この操作により基板表面に非イオン性のヒドロキシ基が導入できる。
Tosyl Chloride(東京化成製)0.5gを5mlの無水アセトンに溶解し、1mlのピリジンを加えて中和した。この溶液中に上記のヒドロキシ基表面の金基板を10分間浸漬し、ヒドロキシ基をトシル化した。トシル化した表面に分子量3,400の末端にアミノ基とカルボシキル基を有するヘテロ二官能型ポリエチレングリコール(NH2−PEG−COOH,Nektar Therapeutics社製)をリン酸緩衝液(20mM リン酸、150mM NaCl、pH7.2)に10mg/mlで溶解し、金表面に2時間反応させた。表面に形成したトシル基とNH2−PEG−COOHのアミノ基が反応し、カルボキシル基は未反応のまま残るため、PEGを介してカルボキシル基を表面に導入することができた。
0.2M水溶性カルボジイミド(EDC:ナカライテスク社製)、0.05M N−ヒドロキシスクシンイミド(ナカライテスク社製)のリン酸緩衝液の溶液に金基板を一時間浸漬し、カルボキシル基をスクシンイミド化した。
得られたスクシンイミド化表面にMultiSPRinter自動スポッター(東洋紡績社製)を用いて、抗アクチン抗体(Santa Cruz社製)、抗KOD抗体(東洋紡績社製)、抗ストレプトアビジン抗体(Vector Laboratories社製)を200μg/mlの濃度でスポットし、2時間反応させてアレイを作製した。スポットの大きさは直径約500μmである。以上の表面反応の化学式を図1に示す。
抗体を固定化した表面をリン酸緩衝液で洗浄した後、未反応のスクシンイミド基をブロックするため濃度10mg/mlのmPEG−NH2(Nektar Therapeutics社製)のリン酸緩衝液溶液に金スライドを15時間浸漬し、リン酸緩衝液で洗浄して抗体アレイを得た。
測定対象物質としては細胞抽出液内に豊富に存在するアクチンを選択した。細胞としてはマウスのThymus(胸腺)を用いた。マウスから胸腺を摘出し、哺乳類細胞溶解試薬CelLytic M(SIGMA社製)を用い、Proteinase阻害剤を加え、機械的に破砕し、遠心してその上清を採取した。最後に0.45μmのフィルターで濾過し、Thymus抽出液とした。
抗体アレイを形成させた金チップをMultiSPRinter SPRイメージング機器(東洋紡績社製)にセットし、リン酸緩衝液をフローセル内に流した。SPRからのシグナルが安定したのを確認した後に、Thymus抽出液をリン酸緩衝液で10倍希釈した液を約15分間SPR装置に流しいれ、次にリン酸緩衝液を流しいれて洗浄した。その際のシグナル変化を図2に示す。抗アクチン抗体を固定化したスポットにおいてSPRのシグナルが大きく増大する結果が得られた。その他のスポットにおいても、シグナルの増大がみられたが、その程度は少ない。Thymus抽出液の10倍希釈液(10×Thymus)を流しいれている間にシグナルが増大するのは、細胞抽出液中の成分によるバルク効果によるものが大きい。リン酸緩衝液で流して洗浄した後でも、全てのスポットで多少なりともシグナルは増大している。このシグナルの差が非特異的吸着によるものであり、完全に非特異吸着を抑制することはできない。
しかし、本実施例において抗アクチン抗体への細胞抽出液中に存在するアクチンが特異的に吸着するのを検出できていると考える。リン酸緩衝液を流している状態を基準とし、10×Thymusを流す前後のシグナル差の結果(前後変化)を表1に示す。また、10×Thymusを流しいれ始めてから1分後と15分後のシグナルの差(流入中変化)についても表1に示す。前後変化にせよ、流入中変化にせよ、抗アクチン抗体におけるシグナル変化は、他の抗体に比べて非常に大きい。
続けて、この抗体アレイに、100ng/mlの濃度でKOD(東洋紡績社製)を添加した10×Thymusを流した時のSPRシグナル変化を図7に示す。抗KOD抗体におけるシグナルの上昇が非常に大きく、KODを検出できていると言える。さらに、続けて100ng/mlの濃度でストレプトアビジン(SA:Vector Laboratories社製)を添加した10×Thymusを流した時のSPRシグナル変化を図8に示す。抗SA抗体におけるシグナルの上昇が非常に大きく、SAを検出できていると言える。このように細胞抽出液中の物質を検出することが可能であった。
[比較例]
厚さ2mm、18mm×18mmのSF15製透明ガラス基板上にクロム3nmを蒸着した後、金を45nm蒸着した。蒸着の厚みは水晶発振子にてモニターした。金が表面に蒸着された基板を7−Carboxy−1−Heptanethiol(7−CHT,同仁化学研究所製)の1mMエタノール溶液に16時間浸漬し、7−CHTの自己組織化表面を形成させた。この操作により基板表面にマイナスの電荷を持ったカルボキシル基が導入される。
厚さ2mm、18mm×18mmのSF15製透明ガラス基板上にクロム3nmを蒸着した後、金を45nm蒸着した。蒸着の厚みは水晶発振子にてモニターした。金が表面に蒸着された基板を7−Carboxy−1−Heptanethiol(7−CHT,同仁化学研究所製)の1mMエタノール溶液に16時間浸漬し、7−CHTの自己組織化表面を形成させた。この操作により基板表面にマイナスの電荷を持ったカルボキシル基が導入される。
0.2M水溶性カルボジイミド(EDC:ナカライテスク社製)、0.05M N−ヒドロキシスクシンイミド(ナカライテスク社製)のリン酸緩衝液の溶液に金基板を一時間浸漬し、カルボキシル基をスクシンイミド化した。
得られたスクシンイミド化表面にMultiSPRinter自動スポッター(東洋紡績社製)を用いて、抗アクチン抗体(Santa Cruz社製)、抗KOD抗体(東洋紡績社製)、抗ストレプトアビジン抗体(Vector Laboratories社製)を200μg/mlの濃度でスポットし、2時間反応させてアレイを作製した。スポットの大きさは直径約500μmである。以上の表面反応の化学式を図5に示す。
抗体を固定化した表面をリン酸緩衝液で洗浄した後、未反応のスクシンイミド基をブロックするため濃度10mg/mlのmPEG−NH2(Nektar Therapeutics社製)のリン酸緩衝液溶液に金スライドを15時間浸漬し、リン酸緩衝液で洗浄して抗体アレイを得た。この場合、自己組織化表面形成によって密に表面に導入されたカルボキシル基が未反応のまま残るため、基板にマイナス電荷が残る。
抗体アレイを形成させた金チップをMultiSPRinter SPRイメージング機器(東洋紡績社製)にセットし、リン酸緩衝液をフローセル内に流した。SPRからのシグナルが安定したのを確認した後に、Thymus抽出液をリン酸緩衝液で10倍希釈した液を約15分間SPR装置に流しいれ、次にリン酸緩衝液を流しいれて洗浄した。その際のシグナル変化を図6に示す。抗アクチン抗体を固定化したスポットにおいてSPRのシグナルが大きく増大する結果が得られたものの、その他のスポットにおいても、シグナルの増大がみられ、その区別はつきにくい。リン酸緩衝液を流している状態を基準とし、10×Thymusを流す前後のシグナル差の結果(前後変化)を表1に示す。また、10×Thymusを流しいれ始めてから1分後と15分後のシグナルの差(流入中変化)についても表1に示す。抗アクチン抗体におけるシグナル変化は、他の抗体に比べて大きいものの、差が小さく検出できたかどうか判断がつきにくい。アクチン以外の抗体におけるシグナル増大は、基板の荷電による非特異的吸着であると考えることができる。
続けて、この抗体アレイに、100ng/mlの濃度でKOD(東洋紡績社製)を添加した10×Thymusを流した時のSPRシグナル変化を図7に示す。抗KOD抗体におけるシグナルの上昇は大きく、KODを検出できていると言えるが、実施例と比べてシグナル増大は小さい。さらに、続けて100ng/mlの濃度でストレプトアビジン(SA:Vector Laboratories社製)を添加した10×Thymusを流した時のSPRシグナル変化を図8に示す。抗SA抗体におけるシグナルについても、実施例と比べると小さいと結果であった。非特異吸着によって固定化した抗体が十分に機能しなくなっていると思われる。
本発明により、表面に導入した非イオン性官能基にヘテロ二官能型親水性高分子を共有結合的に固定化し、親水性高分子を介して生体分子を表面に固定化することで、非特異吸着がなく精密な生体分子の相互作用を観察する方法を提供し、産業界に貢献すること大である。
Claims (13)
- 表面に導入した非イオン性官能基に、ヘテロ二官能基型親水性高分子を共有結合的に結合し、該親水性高分子の末端と生体分子を直接的または間接的、化学的結合または物理的吸着により、生体分子を固体表面上に固定化し、固定化した生体分子と、生体分子あるいは生体分子集合体との相互作用を観察する方法
- 非イオン性官能基がヒドロキシ基、トシル基、トレシル基、スクシンイミド基、チオール基、アルデヒド基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基から選ばれる一つである請求項1記載の方法
- ヘテロ二官能基型親水性高分子の分子量が1,000以上、10,000以下である請求項1もしくは2記載の方法
- ヘテロ二官能基型親水性高分子の繰り返し単位がエチレングリコールである請求項1〜3いずれか記載の方法
- ヘテロ二官能基型親水性高分子の官能基がアミノ基、カルボキシル基、スルホン化スクシンイミド基、マレイミド基、チオール基、アルデヒド基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドラジド基、アジド基の群から選ばれる二つである請求項1〜4いずれかに記載の方法
- 固体表面が平面基板である請求項1〜5いずれかに記載の方法
- 固体表面が平面基板上の金薄層である請求項1〜6いずれかに記載の方法
- 金−硫黄結合を利用して表面に非イオン性官能基を導入した金表面に、ヘテロ二官能性親水性高分子を用いて生体分子を固定化する請求項1〜7いずれかに記載の方法
- 複数の生体分子をアレイ状に固定化する請求項1〜8いずれかに記載の方法
- 固定化する複数の生体分子が3種類以上である請求項1〜9いずれかに記載の方法
- 固定化する生体分子が抗体である請求項1〜10いずれかに記載の方法
- 細胞抽出液もしくは体液に含まれる物質の相互作用を解析する請求項1〜11いずれかに記載の方法
- 相互作用を表面プラズモン共鳴法によって観察する請求項1〜12いずれかに記載の方法
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---|---|---|---|---|
JP2010508520A (ja) * | 2006-10-31 | 2010-03-18 | エス アール ユー バイオシステムズ,インコーポレイテッド | 官能基が付与された表面上の非特異的タンパク質結合をブロッキングする方法 |
JP2011209307A (ja) * | 2011-07-29 | 2011-10-20 | Seiko Epson Corp | 検出キット |
JP2017061473A (ja) * | 2007-11-07 | 2017-03-30 | ロイコケア・アクチェンゲゼルシャフト | 生物学的物質の固定化のための生体適合性三次元マトリクス |
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- 2003-12-02 JP JP2003402517A patent/JP2005164348A/ja not_active Withdrawn
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