JP2005163093A - 高融点鋳物及びこれを応用した製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 EGRクーラーなど、従来はステンレス鋼が用いられていた自動車用ディーゼルエンジンの排気流路に係る機器において、ステンレス鋼とニッケルろう付けが可能な高融点鋳物を、ステンレス鋼の代わりに用いることにより、コストダウンを図る。
【解決手段】 鋳鉄材の表面層の炭素含有量を減少させることにより、その部分の溶融温度を上げ、且つ黒鉛も消失させて、この高融点鋳物とステンレス鋼とのニッケルろう材によるろう付けを可能とした。

Description

本発明は、高融点鋳物に関するものである。更には、高融点のろう材例えばニッケルろうを使用してろう付けすることが可能な高融点鋳物と、これを応用した製品例えば、EGR(Exhaust Gas Recirculatorの頭文字を採った略称)クーラーに関するものである。
近年自動車の排気中に含まれる各種酸化物に対する規制が強化されるようになった。自動車用ディーゼルエンジンの排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)についても、その低減が望まれている。自動車用ディーゼルエンジンの排気マニホールドに連なるEGRクーラーは、排気マニホールドを通過した排気の一部を吸気系に戻す途中に装着され、排気を冷やしてエンジンに送り込む働きをするものであって、これによりディーゼルエンジンの排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を低減することが出来る。
EGRクーラーは、600°C〜800°Cという高温の排気が通過するため、耐熱性、耐腐食性が要求される。そこで従来は、EGRクーラーの、排気が通過する部分のパイプや、パイプ取り付け部分即ちパイプ取り付けフランジには、ステンレス鋼管やステンレス鋳鋼が用いられてきた。
ステンレス鋼材を用いたEGRクーラーは、耐腐食性が高い点などから信頼性が高いので、従来はステンレス鋼材を用いたEGRクーラーが主流を占めていた。然しコストが大きな問題となっていた。つまり、ステンレス鋼材を用いたEGRクーラーは「パイプとフランジを溶接又はろう付けした構造」であり、パイプ部分についてはさておき、パイプ取り付けフランジの製造コストが問題であった。
このステンレス鋼材による、パイプ取り付けフランジの製造は、ロストワックス法による鋳造が一般的であるが、後述するように、鋳鉄の鋳造と比較して加工費が高くつき、材料費も鋳鉄の3〜5倍前後の高コストとなる。従って、コストに厳しい車種ほど、この点が問題であった
(1) 特開2003−293073号公報 (2) 特開平 10−176236号公報 特許文献(1)には片状黒鉛鋳鉄を、銅ろう、黄銅ろう、銀ろうなどでろう付けする記載が、又特許文献(2)にはC/V黒鉛鋳鉄を、黄銅ろうでろう付けする記載があるが、これらのろう付け温度は何れもこれらの鋳鉄の溶融温度以下である。
そこで、コストの問題を解決するために、問題のパイプ取り付けフランジは一般鋳造法により鋳鉄で造り、パイプ部分には従来通りステンレス鋼管を用いて、両者をろう付けによって接合する方法の可能性を検討した。しかしながら、銅ろうは排気中のS(硫黄)に耐えられず、銀ろうはろう付け温度が排気温度に近すぎるため排気温度に耐えられなかった(表1 参照)。
又、排気の高温にも耐え、且つ耐腐食性も十分なニッケルろうを用いてろう付け(例えば、ろう付け温度、1150°C〜1205°C)で両者を接合するには、鋳鉄の溶融温度(1153°C)が低すぎて、ろう付けの温度に耐えられないという根本的な問題を解決しなければならなかった。それは従来の、ステンレス鋼のパイプ部分とステンレス鋳鋼のパイプ取り付けフランジとが溶接又はろう付けされた構造の時には生じなかった問題である。
そこで本発明者らは、鋳鉄の性質について研究を重ね、遂にこの課題を解決するに到ったのである。即ち、鋳鉄材において、少なくとも表層部の炭素含有率を2.1〜0.1%の範囲に至るまで減少させて(以後、所定の炭素含有率まで減少させる工程又は減少させた状態を脱炭と称し、その表面からの深さを脱炭深さ又は脱炭層厚みと言うことがある)、この表層部の溶融温度を1153〜1500°Cとした高融点鋳物を開発したのである。この高融点鋳物によって、鋳鉄材は、表1に示すニッケルろうによるろう付けが可能となった。従って、本発明者らはニッケルろうによるろう付けを行った高融点鋳物の接合品をも提供するものである。炭素含有率を減少させるべき表層部の深さ即ち脱炭深さについては後に「0014」及び「0015」において詳述する。
鋳鉄材の溶融温度は、炭素含有率が減少するに従って上昇する(図1〜3参照)。図1はSi=0%の場合の、図2はSi=2.4%の場合の、図3はSi=4.8%の場合の、Fe−C状態図をそれぞれ示す。例えばSi=0%(図1)の場合、炭素含有率が2.1%〜0.1%では、溶融温度は1153°C〜1500°Cまで上昇する。同じく図1の場合、炭素含有率が1.5%では、溶融温度は1250°Cまで上昇する。又例えばSi=2.4%(図2)の場合炭素含有率が0.8%では、溶融温度は1250°Cまで上昇する。この原理を応用することによって得た高融点鋳物を利用することによりニッケルろうによるろう付けが可能となった。
ニッケルろうが例えばJIS Z 3265の BNi−5の場合では、ろう付け温度(1150°C〜1205°C)(図5 参照)に保たれる間に、高融点鋳物の内部に未脱炭層(所定の炭素含有率まで減少していない層、以下同じ)が残っていた場合には、未脱炭層は溶融してしまう。従って高融点鋳物としては鋳物の中心まで脱炭してしまえば、この問題は解決する。未脱炭層及び脱炭層については0011〜0015及び0029にて詳述する。
しかしながら、鋳物の中心まで脱炭することは、大きな経済的負担つまりコストの上昇を招く。そこで、鋳物の表層部を脱炭する方法も模索された。この場合、未脱炭層が脱炭層に対して限度以上に大きくなると、ろう付け後の冷却によって未脱炭層溶融部分が固まった時、鋳物が膨張状態から元の状態まで収縮せずに固まってしまう。これを以後本明細書において膨脹変形と称することとする。
この鋳物の膨張変形の現象は、溶接のように部分的に然も短時間の間、高温となる場合には問題とはならないが、1150°C以上で行うニッケルろう付けなどのように、高温の炉内に長時間にわたって高融点鋳物を置く場合に、初めて問題となったのである。つまり、ろう付けの要件として必要なろう付け面の黒鉛消失による濡れ性の良さなどは達成されていても尚、この膨脹変形の問題は解決されなかったのである。
この鋳物の膨張変形により、その鋳物の寸法正確性が失われる。従って請求項に記載の「少なくとも表層部」の表層部は、経済性つまりコストの面から見て表面からの深さを過大にとる必要はないが、過小であってはならない。これを決めるための基礎的データは、次の「0014」にて述べる所である。
図4は、横軸にテストピースの板厚をとり、縦軸には「鋳物の膨張変形=0」の時の脱炭層厚み/板厚をとったグラフである。このグラフから板厚に対して必要な脱炭層の厚みが求められる。テストピースは50mm×50mmの形状で、厚さ(板厚)のみ、4.5mm、6.0mm、8.0mm、10.0mmの4種類にて行った。図4から、テストピースの板厚に関係なく、「鋳物の膨張変形=0」となる限界は、、脱炭層厚み/板厚=0.2〜0.35の範囲にあることが判る。脱炭層厚み/板厚の値がこれよりも大きくなれば、「鋳物の膨張変形=0」となる。脱炭層厚み/板厚の値が0.5となれば、板の中心まで脱炭された状態となり、此処で言う「鋳物の膨張変形」は起こり得ない。従って「鋳物の膨張変形=0」を得るための脱炭層厚み/板厚の値は、0.2〜0.5の範囲であるが、望ましくは0.35〜0.5である。 図4を導く元となるデータは「0029〜0032」にて詳述する。
しかしながら、ろう付けの際、鋳物が膨張変形して、その寸法正確性が失われても、コストを優先する場合など部品によっては、少々のことなら許される場合がある。この場合も、本発明の技術的範囲に属する。又、平面部の板厚を小さくしたり、平面部を曲面化したり、リブを設ける等の設計変更で膨張に対する抵抗を大きくすれば、必要な脱炭層の厚みは小さくなり、脱炭処理の時間を短くしても膨張を防止出来るからコストの低減に更に寄与する。
本発明に係る高融点鋳物にろう付けすべき相手の物質は、同じく本発明に係る高融点鋳物であってもよいが、ニッケルろう付けに耐える材質のものであればよい。EGRクーラーの場合には、パイプ取り付けフランジは本発明に係る高融点鋳物とし、パイプ部分はステンレス鋼管として、ニッケルろう付けを行うことが望ましい。
本発明に係る脱炭工程の後、ニッケルろう付けの前に、ろう付けの際に必要な寸法精度を得るため、機械加工(切削加工、穴加工を含む)が必要なときがある(これを機械加工(A)とする)。この機械加工(A)の取り代をなるべく小さくして脱炭層の厚みを減らさない為にも、鋳造工程の誤差を取り除く目的で、本発明に係る脱炭工程の前に機械加工(B)(切削加工、穴加工を含む)を行うことが望ましい。
白心可鍛鋳鉄の場合にも、本発明の実施に入る前に機械加工(B)を済ませておくことが望ましいことは、片状黒鉛鋳鉄、C/V黒鉛鋳鉄又は球状黒鉛鋳鉄の鋳物などの場合と同様である。しかし、白心可鍛鋳鉄の場合には機械加工(B)の前に、切削性の悪い白銑鋳物の切削性を改良する為に、更に白銑鋳物を脱炭するための脱炭工程を前もって済ませておく必要があるので脱炭工程が2回となる。従って脱炭工程が1回で済む片状黒鉛鋳鉄、C/V黒鉛鋳鉄又は球状黒鉛鋳鉄の鋳物の方が低コストとなる。この場合の白心可鍛鋳鉄と他の鋳鉄の場合との工程の違いを図6において示す。
鋳鉄の溶融温度は、例えば図1の場合、炭素の含有量1.0%〜0.1%では、1350°C〜1500°Cまで上昇する。この原理を応用することによりニッケルろう例えば、BNi−5(JIS Z 3265)によるろう付けが可能となった。排気温度の上限は、800°C前後とされているから、高融点鋳物の溶融を来たさない範囲でろう材は高融点のものが好ましい。
つまり、部品を製作する時点で高融点鋳物の溶融を来たしては困るが、一旦製品が出来たならばろう材の融点と排気温度との差は大きい方が安全だからである。その意味で、数種類あるニッケルろうの内、(JIS Z 3265)の BNi−5(ろう付け温度 1150°C〜1205°C)が、融点も高く、靭性を害するBを殆ど含まないのでろう付け部の機械的性質が優れており、現在の所、最も好ましい(表2 参照)。しかしながら、更に高温で使用されるニッケルろうが開発された場合にはそれを使用することも可能である。
そもそもEGRクーラーのパイプ取り付けフランジは、中空である上に、多種類の曲面が組み合わさった複雑な形状である為、削り出し等の切削加工や鍛造等の塑性加工では製作が困難である。そのために、パイプ取り付けフランジについては鋳造に頼らざるを得ない。そこで従来のステンレス系の場合、オーステナイト系SUS304相当ステンレス鋳鋼材(SCS13)、オーステナイト系SUS304相当耐熱鋳鋼材(SCH12)、フェライト系SUS430相当ステンレス鋳鋼材(SCS1)、等の耐熱材料を鋳造して製作していた。
然しながら、これらステンレス系の材料はNi、Crを多く含むので材料の単価が高い。その上に、これらの材料の溶湯の粘性は鋳鉄と比べて非常に高い為に湯まわりが悪いので、一般的な鋳造法では、厚肉となるために材料費も高くつき、軽量化にも反するから、これは採用できない。従って、EGRクーラーのような高精度の薄肉部品を製作する場合にはロストワックス法で鋳造するのが一般的である。従って鋳造コストは高コストとなる。又最終的に切削加工が必要な場合にも、これらの材料は難削材であるから、この加工コストも高くつく。
他方、鋳鉄は自動車の排気マニホールド等耐熱部品に広く使われている安価で、優れた耐熱材料である。又、鋳鉄はその含有する高いCとSiにより溶湯の粘性が非常に低くなっているため鋳造しやすく、安価な生型鋳造法で肉厚3mm程度の製品を高精度に鋳造することが可能である。又鋳鉄は、含有する黒鉛粒がチップブレーカーの役目をするため、切削性はステンレス鋳鋼に比すると更に格段に優れている。従って脱炭処理前に(つまり本来の鋳鉄の状態で)切削加工の大部分を行うことにより、ステンレス鋳鋼のような難削材の切削加工に比べるとその加工コストを大幅に低減できる。
「0022」に記載のステンレス鋳鋼のデータと、「0023」に記載の鋳鉄のデータとを比較すると、パイプ取り付けフランジを従来のステンレス鋳鋼から鋳鉄に変更することにより、その材料費、鋳造費、切削加工費の全てについて大幅なコストダウンが可能となり、コストはロストワックス品の1/3〜1/5程度と成る。このように、パイプ取り付けフランジを従来のステンレス鋳鋼から鋳鉄に変更することによって大きなメリットが得られる。
本発明に係る、EGRクーラーのパイプ部分の材質は耐腐食性を考慮してステンレス鋼である。多くの場合、オーステナイト系SUS304ステンレス鋼管、フェライト系SUS430ステンレス鋼管が用いられる。又同じく本発明に係る、EGRクーラーのパイプ取り付けフランジには、耐腐食性のよい鋳鉄を用いるが、中でも球状黒鉛鋳鉄は強度が大で機械的特性に優れるのでこれに適している。
本発明中パイプ部分と称するものは、単にパイプのみを指すのではなく、パイプ取り付けフランジとの接合部分がパイプ状であればよく、EGRクーラーなどの場合のように、パイプ部分の中に冷却用の配管その他が既に設けてあって、パイプ部分とパイプ取り付けフランジとがろう付けされることによって、完成品と成るような場合又はほぼそれに近い場合も含まれる。
鋳鉄中の炭素含有率を1.5%〜0.1%まで減少させることにより、鋳鉄の溶融温度は1250°C〜1500°Cまで上昇したのである。このような脱炭処理を施すことにより得られた高融点鋳物は、ニッケルろう付けによって溶融することのない各種材料とろう付けされる。又高融点鋳物そのもの自体が、耐熱性、耐腐食性の要求される部品として用いられる。
そして本発明に係る高融点鋳物及びこれを利用したろう付け部品は、高温・高腐食性のガスと接触する部分に適したものとして、応用される。例えば、EGRクーラーの場合、この高融点鋳物で製作したパイプ取り付けフランジと、ステンレス鋼管で製作したパイプ部分とをニッケルろう付けによって接合することにより、本発明に係る接合品が得られる。このEGRクーラー製作上のコストダウンについては、従来のオールステンレス製に対し、パイプ取り付けフランジのトータルコストが1/2〜1/3程度となるほどの、極めて顕著な効果が得られた。
「実験結果」
JIS Z 3265 BNi−5を用いてニッケルろう付けを行うには、1205°C以上の溶融温度を有する高融点鋳物が必要である。ここではろう付けの操業時のトラブル発生を防ぐ意味で、1270°Cの溶融温度を有する高融点鋳物で下記の実験を行った。Si=2.4%の場合、1270°Cの溶融温度を有する高融点鋳物の炭素含有率は、図2より0.6%となるため、ここでは、C=0.6%以下の領域を脱炭層と称する。
実験中に、高融点鋳物のニッケルろう付けが可能であることが確認された後にも問題が発生した。それは鋳鉄部品の表層部を脱炭処理し、ニッケルろう付けする場合、鋳鉄部品内部が未脱炭であると未脱炭層が溶融する結果、ろう付け後冷却するときに、部品が膨張状態のまま固まってしまうという現象である。このことについては0011〜0015において既に詳しく述べた。
そこで実験を行った結果、0014で述べた図4を導く元となったデータが得られた。その実験の条件は表3及び表4の通りである。実験の結果を表5〜表10に示す。表中から膨脹変形=0の時の、脱炭層厚み/試験片板厚をプロットすると、図4が得られた。
実際の部品では、形状、肉厚など千差万別だから、大量生産に当たっては、最適条件を探す努力を惜しんではならないが、その時まず基本となるのが図4である。即ち、設計上の肉厚が決まれば、横軸の試験片板厚から膨脹変形=0の時の、脱炭層厚み/試験片板厚が縦軸で求まるので、その数値を基準にして所要脱炭時間を求めればよい。又、もし可能ならば、直接、表5〜表10の中のデータから所要脱炭時間を求めてもよい。
次ぎに本発明の実施例と比較例について記す。実施例中では、球状黒鉛鋳鉄から製造された本発明に係る高融点鋳鉄を単に高融点と表示する。高融点を製造するための処理条件は、脱炭時間を30時間とする点以外は、表4(1)及び(2)に示す通りである。実施例と比較例の試験片の材質は、高融点、SUS304及びSS41Pの3種類で、試験片の形状は、各材質とも30mm×25mm×8mmとした。ニッケルろう付けの際の試験片同士の重ね代は、剪断テストにおいて試験片が座屈することなくろう付け部で破断するように、全て4mmとした(図7 参照)。
こうしてニッケルろう付けしたものを剪断テストにかけた。剪断テストは、試験片をろう付けしたものを、スペーサを用いて治具にセットし万能アムスラー試験機で荷重をかけて実施した。その方法を図8に示す。実施例と比較例の剪断テスト結果の一覧を表11に示す。剪断テストによる破断は、何れも主にろう材内部で起こった。
本発明の「実施例1」は、「0035」において得られた高融点の試験片同士をニッケルろう付けしたもの3個である。これを剪断テストにかけた結果、剪断破断応力(MPa)の3個の平均値は246であった。これは、比較例のSS41P同士における剪断破断応力(MPa)の3個の平均値256及び同じくSUS304同士における平均値250と比較して同レベルの数字であり、高融点の試験片同士のろう付けは完全なものと言いうる。
本発明の「実施例2」は、高融点の試験片とSUS304の試験片とをニッケルろう付けしたもの3個である。剪断破断応力(MPa)の3個の平均値は237で、上記の数字に比し多少見劣りはするものの、一般的には(JIS)BNi−5系ニッケルろう材の剪断破断応力200MPa以上と言われており、それを満たしているので、ろう付けは完全なものと言いうる。
「実施例3」は、高融点の試験片とSS41Pの試験片とをニッケルろう付けしたもの3個である。剪断破断応力(MPa)の3個の平均値は269であって、比較例の2例を含む上記の何れの数字をも十分に上回っており、ろう付けは完全なものと言いうる。この破断の様子を写真1及び2に示す。写真1は、破断前のもので、完全にろう付けされた状態が見られる。写真2は、破断後のもので、破断は主にろう材内部で起きている状態が見られる。これは実施例1及び実施例2の場合も同様である。
本発明は、自動車用ディーゼルエンジンのEGRクーラー製作上のコストダウンを端緒とするものだが、この問題を解決した結果、本発明に係る高融点鋳物及びこれを利用して得られる製品は、広く産業界での利用が期待されるものとなった。そして片や鋳鉄の利用範囲を広げ、片やステンレス鋼の利用範囲を広げ得るものとなった。又高融点鋳物そのもの自体が、耐熱性、耐腐食性の要求される部品として用いられる。
Fe−C状態図(Si=0%の場合) Fe−C状態図(Si=2.4%の場合) Fe−C状態図(Si=4.8%の場合) 膨脹変形=0の時の、脱炭層厚み/板厚−板厚を示すグラフ ニッケルろう材(JISに規定するBNi−5系)の標準的な温度サイクル(ろう付け温度=1150〜1205°C) 白心可鍛鋳鉄と他の鋳鉄の場合との工程の違いを示す図 剪断テスト用に試験片をろう付けした所を示す図 万能アムスラー試験機で行う剪断テストの様子を示す図 ろう付け部の断面を示す顕微鏡写真 剪断テストによって破断したろう付け部の断面を示す顕微鏡写真
符号の説明
1 ろう付けした試験片
2 スペーサ
3 治具
4 ろう付け部(ろう材)
4−1 破断したろう材(SS41P側)
4−2 破断したろう材(高融点鋳物側)
5 SS41P
6 高融点鋳物

Claims (10)

  1. 鋳鉄材において、少なくとも表層部の炭素含有率を2.1〜0.1%の範囲に至るまで減少させて、この表層部の溶融温度を1153〜1500°Cとした、高融点鋳物。
  2. 鋳鉄材において、少なくとも表層部の炭素含有率を2.1〜0.1%の範囲に至るまで減少させて、この表層部の溶融温度を1153〜1500°Cとし、ニッケルろう付けを可能とした、高融点鋳物。
  3. 鋳鉄材において少なくとも表層部の炭素含有率を2.1〜0.1%の範囲に至るまで減少させてこの表層部の溶融温度を1153〜1500°Cとした高融点鋳物をろう付け部の片方の部材とし、もう一方の部材を同じくこの高融点鋳物とするか又はニッケルろう付けに耐えうる他の部材としてニッケルろう付けをした接合品。
  4. ニッケルろう付けに耐えうる他の部材がステンレス鋼材である請求項3記載の接合品。
  5. 高融点鋳物として脱炭後ろう付け前に機械加工を施した高融点鋳物を用いる請求項3又は4記載の接合品。
  6. 高融点鋳物として膨張変形を抑制した高融点鋳物を用いる請求項3、4又は5記載の接合品。
  7. 鋳鉄材が、片状黒鉛鋳鉄、C/V黒鉛鋳鉄又は球状黒鉛鋳鉄である請求項3、4、5又は6記載の接合品。
  8. 球状黒鉛鋳鉄鋳物で製作したパイプ取り付けフランジの少なくとも表層部の炭素含有率を2.1〜0.1%に至るまで減少させてこの部分の溶融温度を1153°C〜1500°Cまで上げたパイプ取り付けフランジに対し、ステンレス鋼製のパイプ部分を、ニッケルろう付けしたEGRクーラー。
  9. パイプ取り付けフランジとして、膨張変形を抑制したパイプ取り付けフランジを用いる請求項8記載のEGRクーラー。
  10. パイプ取り付けフランジとして、脱炭後ろう付け前に機械加工を施したパイプ取り付けフランジを用いる請求項8又は9記載のEGRクーラー。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015021441A (ja) * 2013-07-19 2015-02-02 ダイハツ工業株式会社 Egr導入管路

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