JP2005156414A - 表面プラズモン共鳴測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光源の強度や検出器の感度に変動が起きるなどしても正確に測定することができる、強度検出法を利用した表面プラズモン共鳴測定装置を提供すること。
【解決手段】 測定試料を保持する金属薄膜20に対し媒質を介して光源からの光7を所定の角度で照射し、その金属薄膜20で全反射した反射光を検出器22によって受光して、情報処理手段が、その検出器22からの測定信号を受けて測定試料の状態を反射光強度の変化に基づいて解析するものであって、光源から検出器22までの光路上にP波とS波を取り出す偏光板25を有し、情報処理手段が、S波による検出器からの測定信号を利用して揺らぎの状態を処理しながら、P波による検出器からの測定信号を受けて反射光強度の変化に基づいて解析を行うようにした表面プラズモン共鳴測定装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、検知対象物質であるターゲットの定性及び定量測定を行うための表面プラズモン共鳴測定装置に関し、特に反射光強度を検出して測定を行う強度検出法を採用した表面プラズモン共鳴測定装置に関する。
表面プラズモン共鳴を利用した測定では、例えば、生体分子の相互作用を分子レベルで測定するため、相互作用を起こす生体分子の一方がセンサチップ面に固定され、これに作用する分子を含んだサンプル液がマイクロ流路等を介してセンサチップ表面に流される。2分子間の結合・解離に伴うセンサチップ面近傍での微量な屈折率変化が表面プラズモン共鳴シグナルとして検出され、このシグナルの経時変化がセンサグラムと呼ばれるグラフとして表示される。そして、センサチップ表面での分子の相互作用をリアルタイムにモニタすることにより、センサチップに対して特異的に認識するターゲット(微量物質など)の検出が可能となる。
ここで、表面プラズモン共鳴測定装置に使用されるセンサの構造及び原理について簡単に説明する。図6は表面プラズモン共鳴センサを簡略化して示した図である。この表面プラズモン共鳴センサ100は、ガラスなどからなる透明なチップ基板111の一面に金属膜112が45nm程度成膜されている。表面プラズモン共鳴させるには、金や銀などのある種の金属が必要だからである。一般的には、化学的不活性、表面プラズモン共鳴シグナルの発生効率の良さなどの理由から金が用いられている。従って、ここでも金属膜112には金膜が使用されている(以下、金膜112とする)。なお、金膜112上には、特定の検出種と相互作用して特異的に結合する結合物質(リガンド、分子認識素子)113が塗布されている。
表面プラズモン共鳴センサ100では、図示するようにある角度θで入射光114が与えられると、チップ基板111と金膜112との境界面で反射した反射光115の強度が測定できる。そこで、この表面プラズモン共鳴センサ100を使用した測定装置では、レーザーダイオードなどの光源から、図6に示すように入射光114を入射させ、全反射した反射光115を不図示のフォトダイオードアレイなどの検出器に受光させ、その反射光115の強度を検出するようにしている。
チップ基板111と金膜112との界面で全反射するように光が照射されると、金属表面に誘起される表面プラズモン波が入射光により生成されたエバネッセント波に共鳴して励起される。表面プラズモン共鳴が励起されると、エバネッセント波では金膜112の自由電子がプラズモンの共鳴に使われるため、反射光115の強度が特定の入射角度においてエネルギーの消失がみられる。
そこで、反射光強度の入射角度依存性を測定すると、図7に示されるように、ある特定の角度において反射光115の強度が減衰した「光の谷」が認められる。この光学現象が表面プラズモン共鳴である。
表面プラズモン共鳴は入射光の波長及び角度に依存しており、励起されると特定の入射角又は特定の波長を有する光成分の光エネルギーが表面プラズモン波へ移行し、対応する入射角又は波長を有する反射光が減少する。また、表面プラズモン共鳴は金属層の表面におけるサンプル液の屈折率にも依存しており、サンプル液の屈折率が変化すれば波長一定の場合には共鳴角が変化し、入射角度一定の場合には共鳴波長が変化する。
従って、反射光の強度に基づき共鳴角或いは共鳴波長を調べることにより、金属層の表面におけるサンプル液の屈折率を分析することができる。金膜112表面の屈折率が変化し、図7に示すようにAからBへ共鳴角がシフトした場合、このシフト量の時間的変化を検出すれば、サンプル液などについてその定性情報及び定量情報を得ることができる。
ところで、こうした表面プラズモン共鳴測定には、例えば角度検出法、波長検出法そして強度検出法などを採用した各種測定方法がある。
その一つである角度検出法を採用した測定装置では、図8に示すように、光源となるレーザ201と反射光を受光する検出器202が設けられ、その間に金膜203を保持したプリズム204が配置されている。そして、更に表面プラズモン共鳴角を検出するためには入射光の入射角を変化させる必要があるので、レーザ光源201と検出器202とを矢印方向に回転させる可動装置が必要である。
この角度検出法では、表面プラズモン現象が生じて図7に示すように表面プラズモン共鳴曲線がAからBのように、共鳴角がΔθだけシフトした場合、このシフト量の時間的変化を検出することによって、サンプル液などについてその定性情報及び定量情報を得ることができる。
一方、波長検出法を採用した測定装置では、図8に示す単一波長のレーザ光源201に代えて白色光源が使用され、その白色光源と検出器とはその角度が固定して配置される。そして、白色光源から金膜203を反射して検出器に受光して得られた波長情報からサンプル液などについてその定性情報及び定量情報を得ることができる。
最後に、強度検出法を採用した測定装置では、光源には角度検出法のように例えば単一波長のレーザ光が使用され、波長検出法のように光源と検出器とが固定される。そして、入射角が例えば図7に示す角度θ1に固定され、検出器を介して測定された反射光強度の変化ΔIからサンプル液中のターゲットの定性及び定量が測定できる。この強度検出法を採用した場合、角度検出法のように可動装置が必要でないためコンパクト化が可能であり、同様に可動装置が不要な波長検出法のように解析が困難でもないため簡単な表面プラズモン共鳴測定装置を構築することができる。
特開平10−19768号公報 特開平11−344437号公報 生体物質相互作用のリアルタイム解析実験方法(永田和宏、半田宏、編集シュプリンガーフェアラーク東京(株)発行)
表面プラズモン共鳴測定装置には、前述したようにその表面プラズモン共鳴の特性によって角度検出法、波長検出法そして強度検出法を利用するものに区別することができるが、その中でもコンパクト化や解析の簡便さから強度検出法が有効であると考えられる。従って、本出願人もそうした点に鑑み、特願2003−160234において強度検出法に対応した表面プラズモン共鳴センサを提案している。しかしながら、その強度検出法には次のような問題点があった。
強度検出法では、前述したように図7に示す表面プラズモン共鳴曲線がAからBのように変化した場合、その共鳴角がΔθだけシフトした場合の反射光強度ΔIを検出している。そのため、光源の強度に変動が生じたり、或いは受光側の検出器の感度が変動して、いわゆる「揺らぎ」が生じた場合には、共鳴角に変化が生じていなくても反射光強度に変化が生じることになる。すなわち揺らぎが生じると、図9に示すように表面プラズモン共鳴曲線がAからA´に変化し、共鳴角θnに変化が生じていなくても反射光強度に関してはΔI´が検出されることになる。そして、金膜112表面における屈折率が変化したと判断され、ターゲットの定性及び定量が誤って測定されることになる。
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、光源の強度や検出器の感度に変動が起きるなどしても正確に測定することができる、強度検出法を利用した表面プラズモン共鳴測定装置を提供することを目的とする。
本発明の表面プラズモン共鳴測定装置は、測定試料を保持する金属薄膜に対し媒質を介して光源からの光を所定の角度で照射し、その金属薄膜で全反射した反射光を検出器によって受光して、情報処理手段が、その検出器からの測定信号を受けて測定試料の状態を反射光強度の変化に基づいて解析するものであって、前記光源から検出器までの光路上にP波とS波を取り出す偏光板を有し、前記情報処理手段が、S波による検出器からの測定信号を利用して揺らぎの状態を処理しながら、P波による検出器からの測定信号を受けて前記反射光強度の変化に基づいて解析を行うようにしたものであることを特徴とする。
なお、「揺らぎ」とは、光源の強度に変動が生じたり或いは検出器の感度が変動したことを原因として、情報処理装置において確認される反射光強度の変動をいう。
本発明の表面プラズモン共鳴測定装置において、前記偏光板は、モータによって回転可能に設けられたものであって、前記媒質に入射光が入射する手前に配置され、又は前記金属薄膜を反射した反射光が媒質から前記検出器へ入る手前に配置され、周期的にP波とS波を取り出すようにしたことを特徴とする。
また、本発明の表面プラズモン共鳴測定装置は、前記媒質がセンサ本体を構成する平行な面をもった透明なチップ基板であり、そのチップ基板の一方の面に前記金属膜が設けられ、他方の面には入射光を所定角度で表面プラズモン共鳴検知面に偏向させる回折格子と、前記金属薄膜を反射した反射光を受光する前記検出器とが設けられ、P波とS波を取り出す前記偏光板が回折格子の手前に配置されたものであることを特徴とする。
更に、本発明の表面プラズモン共鳴測定装置は、前記情報処理手段が、P波、S波及びその中間の光量データを連続して取り出した交流成分について、その振幅から前記反射光強度の変化に基づいた解析を行うようにしたものであることを特徴とする。
よって、本発明の表面プラズモン共鳴測定装置では、例えば、光源から照射された光が偏光板を通過して周期的にP波とS波が照射され、そのうち表面プラズモン共鳴に関与するP波が回折格子を通って金属薄膜を所定の角度で反射し、その反射光が検出器に到達して受光される。情報処理装置では、その検出器からの測定信号に基づいて、サンプル液内のターゲットが表面プラズモン共鳴検知面に相互作用している場合の反射光強度の変化から微量物質の定性及び定量について解析が行われる。
また、検出器ではP波とともにS波も検出されるが、そのS波は屈折率に関係なく一定の反射率を示すため反射光強度は一定である。しかし、光源の強度に変動が生じたり、或いは受光側の検出器の感度が変動した場合には、P波とS波による反射光強度が同じように変化するため、情報処理手段では、例えばP波、S波及びその中間の光量データを連続して取り出した交流成分についてみることで、その振幅から揺らぎの状態を無視して反射光強度の変化に基づく解析が行われる。
よって、本発明は、光源から検出器までの光路上にP波とS波を取り出す偏光板を有し、情報処理手段が、S波による検出器からの測定信号を利用して揺らぎの状態を処理しながら、P波による検出器からの測定信号を受けて前記反射光強度の変化に基づいて解析を行うようにしたので、光源の強度や検出器の感度に変動が起きるなどしても正確に測定することができる、強度検出法を利用した表面プラズモン共鳴測定装置を提供することが可能になった。
また、本発明は、偏光板をモータによって回転可能に設け、媒質に入射光が入射する手前か、又は金属薄膜を反射した反射光が媒質から検出器へ入る手前に配置するようにして、周期的にP波とS波を取り出すようにしたので、光源の強度や検出器の感度に変動が起きるなどしても簡便な構成によって正確に測定することができる、強度検出法を利用した表面プラズモン共鳴測定装置を提供することが可能になった。
また、本発明は、媒質がセンサ本体を構成する平行な面をもった透明なチップ基板であり、そのチップ基板の一方の面には金属膜を設け、他方の面には入射光を所定角度で表面プラズモン共鳴検知面に偏向させる回折格子と、金属薄膜を反射した反射光を受光する検出器とを設け、P波とS波を取り出す偏光板をその回折格子の手前に配置した構成としたので、光源や検出器に可動装置を用いる必要がなく、また光学レンズ系を複雑にする必要もなくなったことにより、表面プラズモン共鳴センサのコンパクト化によって装置全体を小型化することが可能になった。
また、本発明は、情報処理手段がP波、S波及びその中間の光量データを連続して取り出した交流成分について、その振幅から反射光強度の変化に基づいた解析を行うようにしているが、その振幅には揺らぎの状態でも変化が生じないため、振幅の大きさを確認するだけで反射光強度の変化に基づく解析を行うことができる。
次に、本発明に係る表面プラズモン共鳴測定装置の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置を構成するセンサ部分を示した図である。本実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置は、図7で示すように、反射光強度の変化ΔIをとるための共鳴角(入射角)を固定し、変化ΔIが大きくなる入射角θ1を設定した強度検出法を採用するものである。そして図2に示すように、表面プラズモン共鳴測定装置5は、表面プラズモン共鳴センサー1に対して例えば情報処理装置として設けられたパーソナル・コンピューター2が接続されている。
その表面プラズモン共鳴センサ1は、シリコン基板などで作られたセンサ基板11、反射防止膜12、それにガラスなどの透明なチップ基板13、そして反射防止膜14が層状に重ねられている。なお、チップ基板13が特許請求の範囲に記載する「媒質」に相当する。
反射防止膜12の層には光路偏向手段として等間隔の回折格子15が設けられ、もう一方の反射防止膜14の層にはプラズモン共鳴検知面16が設けられている。センサ基板11は、チップ基板13へ光を誘導する円形、多角形或いは切りかき等の開口部17が穿設されている。そして、照射された光からある決まった角度の直進光のみを取り出すため、迷光をカットするアパーチャ18を開口部17の入口に取り付けるようにしてもよい。
チップ基板13は上下に平行な面をもち、その一方の面に回折格子15とフォトダイオード22が設けられ、反対の面には金膜20と感応膜21とが重ねられたプラズモン共鳴検知面16が設けられている。本実施形態では、こうして一つのチップ基板13において回折格子15で光を偏向させることによって所定の角度でプラズモン共鳴検知面16に光を入射し、更にプラズモン共鳴検知面16からの反射光をフォトダイオード22に受光させるように構成し、コンパクトな表面プラズモン共鳴センサ1を形成している。そして、チップ基板13の上下両面には回折格子15やプラズモン共鳴検知面16、更にフォトダイオード22を除く部分に反射防止膜12,14が設けられている。
反射防止膜12,14は、光路偏向手段として用いた回折格子15によって、表面プラズモン共鳴に利用する1次光以外の次数の回折光がチップ基板13内で反射を繰り返して迷光になるのを防ぐために設けられている。すなわち、この表面プラズモン共鳴センサ1では、前述したように回折格子15で発生した回折光(0次光、1次光、2次光…)のうち表面プラズモン共鳴現象を発生させる光として1次光が利用されるが、それ以外の次数の回折光がチップ基板13内で反射を繰り返すと、それがフォトダイオード22へ1次光と重なって入った場合、ノイズとなってセンサのS/N比を低下させてしまうことになるからである。
次に、この表面プラズモン共鳴センサ1を利用した測定装置では、例えば入射光7の光源として不図示の赤色レーザが設けられ、そこからのレーザ光7が開口部17の回折格子15へと所定の角度で照射されるように設定されている。回折格子15は、そうしたレーザ光7を偏向させてプラズモン共鳴検知面16へ所定の角度で光を入射させるものであるが、共鳴角は測定するターゲットによって異なる。従って、図7に示す入射角θ1で変化ΔIを得るためには、それに適した角度で入射光及び反射光が得られるように回折格子15の設計およびレーザ光7の入射角度が設定される。
プラズモン共鳴検知面16に入射するレーザ光は、その偏光方向(P波,S波)のうちP波のみが表面プラズモン共鳴に関与する。ここで図3は、P波とS波の反射率の変化と物質の屈折率との関係を計算したものであり、横軸に屈折率をとり、縦軸にプラズモン共鳴検知面16での反射率をとっている。従って、P波の反射率は、屈折率の変化にともなって図示するように大きく変化し、表面プラズモン共鳴によって検出器から検出される反射光強度が大きく変化することが分かる。そして、これとは対称的にS波の反射率は、屈折率に関係なく一定の値を示し表面プラズモン共鳴に関係しないことが分かる。
そこで本実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置では、この屈折率によって変化しないS波を利用し、光源の強度や検出器の感度などの変動を原因として、表面プラズモン共鳴とは関係なく反射光強度が変動する、いわゆる揺らぎを処理して精度良く測定することができるように構成されている。
具体的には、図1に示すように、表面プラズモン共鳴センサ1の回折格子15へ入射するレーザ光7に対して偏光板(偏光フィルタ)25が配置され、それがモータ26によって回転が与えられるようになっている。すなわち、本実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置では、レーザ光7がこの回転する偏光板25を通過することによって、回折格子15へ入射するレーザ光7の偏光方向が、P波とS波とで周期的に変化するように構成されている。また、表面プラズモン共鳴測定装置5のパーソナル・コンピューター2には、後述するように、S波の光量に対するP波の光量の比率をもってプラズモン共鳴のシグナルとし、光源の強度や検出器の感度などの変動によって揺らぎが現れても、これを無視して反射光強度の変化に基づく解析を行う処理プログラムが記憶されている。
続いて、表面プラズモン共鳴測定装置5の作用について以下に説明する。先ず、表面プラズモン共鳴センサ1には、開口部17に入射するレーザ光7がモータ26によって回転する偏光板25を通過し、P波とS波とが周期的に取り出されて所定の角度で回折格子15に照射される。回折格子15により回析したレーザ光7は、回折格子15で発生する回折光(0次光、1次光、2次光…)のうち、表面プラズモン共鳴現象を発生させるのに役立つ光として1次光S1が利用される(一般的にも1次光S1が利用される)。従って、その回折光(1次光)はチップ基板13内を進み、プラズモン共鳴検知面16に対してθ1の角度(図7参照)で反射してフォトダイオード22へと到達する。
このとき、プラズモン共鳴検知面16の表面に屈折率の変化が生じると、表面プラズモン共鳴を発生させた反射光がフォトダイオード22で受光され、そこで反射光の強度に比例した出力電圧が生ずる。そしてフォトダイオード22から出力されたその測定信号がパーソナル・コンピュータ2へと送信され、この測定信号に基づいた定性及び定量情報が反射光強度の変化ΔIに基づいて解析される。プラズモン共鳴検知面16への入射角θ1がレーザ光7の入射角θ2と回折格子15によって設定されているので、図7に示すように角度θ1における反射光強度の情報が得られる。そのため、感応膜21におけるターゲットの有無により屈折率が変化して共鳴角がΔθだけシフトすると、共鳴角θ1における反射光強度にもΔIの変化が生じることになる。従って、この差を測定信号によって検出することができ、その結果、ターゲットの定性及び定量が情報として得られる。
ここで、図4は、表面プラズモン共鳴が大きい場合(実線)と小さい場合(破線)、つまり屈折率が異なる場合のP波とS波の光量示した図である。パーソナル・コンピュータ2では、回転する偏光板25を通って取り出されたP波、S波およびその中間の光によって、図示するように回転周期に対して2倍の周期で光量が変化するデータが得られる。このデータからは、S波は屈折率に関係なく一定の反射率を示すため光量にも変化は見られないが、屈折率により反射率が変化するP波には光量に大きな変化がみられる。従って、本実施形態では、この屈折率によって異なる光量の最大値(S波の光量)に対する最小値(P波の光量)の比率をもってプラズモン共鳴のシグナルとし、光源の強度や検出器の感度などの変動によって揺らぎが現れても、これを無視することができるようにして高い測定精度を確保するようにしている。
また、図5は、光量の時間的な変化をグラフに示した図であり、P波のみの光量データを取り出したもの、S波のみの光量データを取り出したもの、そしてP波、S波及びその中間のデータを取り出した交流成分を示したものである。これは、フォトダイオード22からの測定信号に基づきパーソナル・コンピュータ2において加工されたデータである。そして、このデータから次のことが確認できる。
先ず、サンプル液にターゲットが入った時間t1〜t2間では、プラズモン共鳴検知面16の表面に屈折率の変化が生じ、表面プラズモン共鳴を発生させた反射光がフォトダイオード22で受光され、そこで反射光の強度に比例した出力電圧が生ずる。そのため、P波によって検出された光量が変化するが、一方のS波は屈折率の変化に影響を受けないため一定の値が示される。
次に、光源の強度や検出器の感度に変動が起きた場合には、屈折率に変化が生じなくてもフォトダイオード22に入った光の強度そのものが弱かったり、フォトダイオード22自身の感度が低下したり、あるいは逆に強かったり大きかったりする。そして、フォトダイオード22からはそうした測定信号がパーソナル・コンピュータ2へと送信され、時間t3〜t4あるいはt5〜t6に示されるように、光量の変化を表した、いわゆる揺らぎが生じる。このとき、光の強度などによる変動であるため、時間t3〜t4あるいはt5〜t6の間ではP波及びS波の両方が同じように変化している。
次に、P波及びS波の光量を連続して取り出した交流成分についてみてみる。P波及びS波に変化がないときはその振幅、すなわちS波の光量に対するP波の光量の比率は一定であり、ターゲットが入った時間t1〜t2間ではP波による強度変化が現れるため光量の比率が変化する。一方、時間t3〜t4,t5〜t6間に示すように光源の強度変化などによって光量が変化した場合には、P波及びS波は同じように変化するため、光量の変動はあるがその比率は一定のままである。
従って、情報処理手段であるパーソナル・コンピュータ2では、こうしたS波の光量に対するP波の光量の比率をもってプラズモン共鳴のシグナルとし、比率の大きいところでは反射光強度の変化に基づく解析を実行する一方、振幅の小さい部分では光源の強度や検出器の感度などの変動によって揺らぎが現れても、屈折率が変化しない通常状態と同じ比率であるため、揺らぎの反応を無視することとする。
よって、本実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置5では、偏光板25を設けてレーザ光7からP波とS波とを取り出し、表面プラズモン共鳴に関与するP波の他に、屈折率に関係なく一定の反射率を示すS波をフォトダイオード22に受光させて、そのP波およびS波に基づく信号からパーソナル・コンピュータ2で揺らぎを処理するようにしたので、強度検出方法を採用する本装置でも、光源の強度や検出器の感度に変動が起きた場合に誤って測定しまうことがなくなった。
また、強度検出法を採用する本実施形態の装置では角度検出法のように可動部を有することなく、特に表面プラズモン共鳴センサ1が、一つのチップ基板13に回折格子15、プラズモン共鳴検知面16及びフォトダイオード22を設け、その回折格子15によって表面プラズモン共鳴現象を発生させる角度で反射する光をつくることで装置全体をコンパクトにすることができた。
更に、本実施形態では、回折格子15を使用することによって、チップ基板13内では回折光が反射を繰り返して迷光となりうるが、チップ基板13の上下両面に設けた反射防止膜12,14によって透過させるようにしたので、ノイズの原因となる0次光S0がフォトダイオード22に到達する量が抑えられ、S/N比の向上を図ることができた。
以上、表面プラズモン共鳴センサの一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態ではモータ26によって偏光板25を回転させて同じ周期でP波とS波とを入射させるようにしたが、通常はP波のみを取り出して入射させ、定期的にS波を取り出すように切り換え、そのS波に基づく光量の変化のみから揺らぎを確認するようにして、その揺らぎの状態を処理しながらP波による反射光強度の変化に基づいて解析を行うようにしてもよい。
また、前記実施形態では入射側に偏光板25を設けたが、例えば受光部側に偏光板を設けて金属膜を反射した反射光からP波とS波を選択してフォトダイオードに受光させるようにしてもよい。この場合、前記実施形態ではコンパクト化のため、チップ基板13に回折格子15、プラズモン共鳴検知面16及びフォトダイオード22を設けた表面プラズモン共鳴センサ1を構成したが、図8に示すタイプのようにプリズム204に対して光源201から所定の角度で光りを入射させ、離れた検出器202へ反射光を受光させるものであってもよい。
表面プラズモン共鳴測定装置の一実施形態についてその要部を示した図である。 表面プラズモン共鳴測定装置を簡略化して示したブロック図である。 P波とS波の反射率の変化と物質の屈折率との関係を計算してグラフに示した図である。 表面プラズモン共鳴が大きい場合(実線)と小さい場合(破線)のP波とS波の光量をグラフにして示した図である。 光量の時間的な変化をグラフに示した図であり、P波のみの光量を取り出したもの、S波のみの光量を取り出したもの、そしてP波、S波及びその中間のデータを取り出した交流成分を示したものである。 表面プラズモン共鳴センサを簡略化して示した図である。 表面プラズモン共鳴センサによって検出される反射光強度の入射角度依存性を示した表面プラズモン共鳴曲線である。 角度検出法を採用した表面プラズモン共鳴測定装置を示した図である。 表面プラズモン共鳴センサによって検出される反射光強度の入射角度依存性を示した表面プラズモン共鳴曲線である。
符号の説明
1 表面プラズモン共鳴センサ
2 パーソナル・コンピュータ
5 表面プラズモン共鳴測定装置
7 入射光
11 センサ基板
12,14 反射防止膜
13 チップ基板
15 回折格子
16 プラズモン共鳴検知面
20 金膜
21 感応膜
22 フォトダイオード
25 偏光板
26 モータ

Claims (4)

  1. 測定試料を保持する金属薄膜に対し媒質を介して光源からの光を所定の角度で照射し、その金属薄膜で全反射した反射光を検出器によって受光して、情報処理手段が、その検出器からの測定信号を受けて測定試料の状態を反射光強度の変化に基づいて解析する表面プラズモン共鳴測定装置において、
    前記光源から検出器までの光路上にP波とS波を取り出す偏光板を有し、前記情報処理手段が、S波による検出器からの測定信号を利用して揺らぎの状態を処理しながら、P波による検出器からの測定信号を受けて前記反射光強度の変化に基づいて解析を行うようにしたものであることを特徴とする表面プラズモン共鳴測定装置。
  2. 請求項1に記載する表面プラズモン共鳴測定装置において、
    前記偏光板は、モータによって回転可能に設けられたものであって、前記媒質に入射光が入射する手前に配置され、又は前記金属薄膜を反射した反射光が媒質から前記検出器へ入る手前に配置され、周期的にP波とS波を取り出すようにしたことを特徴とする表面プラズモン共鳴測定装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する表面プラズモン共鳴測定装置において、
    前記媒質がセンサ本体を構成する平行な面をもった透明なチップ基板であり、そのチップ基板の一方の面に前記金属膜が設けられ、他方の面には入射光を所定角度で表面プラズモン共鳴検知面に偏向させる回折格子と、前記金属薄膜を反射した反射光を受光する前記検出器とが設けられ、P波とS波を取り出す前記偏光板が回折格子の手前に配置されたものであることを特徴とする表面プラズモン共鳴測定装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する表面プラズモン共鳴測定装置において、
    前記情報処理手段は、P波、S波及びその中間の光量データを連続して取り出した交流成分について、その振幅から前記反射光強度の変化に基づいた解析を行うようにしたものであることを特徴とする表面プラズモン共鳴測定装置。
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