JP2005155911A - 流体軸受装置および該流体軸受装置を備えたスピンドルモータ、記録ディスク駆動装置 - Google Patents

流体軸受装置および該流体軸受装置を備えたスピンドルモータ、記録ディスク駆動装置 Download PDF

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JP2005155911A
JP2005155911A JP2004317481A JP2004317481A JP2005155911A JP 2005155911 A JP2005155911 A JP 2005155911A JP 2004317481 A JP2004317481 A JP 2004317481A JP 2004317481 A JP2004317481 A JP 2004317481A JP 2005155911 A JP2005155911 A JP 2005155911A
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Rikuro Obara
陸郎 小原
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Minebea Co Ltd
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Abstract

【課題】 軸受剛性を確保しつつ、軸損トルクを低減して、動力消費を削減し、回転軸の
回転を安定にして、回転精度を向上させることができる流体軸受装置を提供する。
【解決手段】 軸受ケース10と、エンドプレート20と、軸体30とを備えて成る流体
軸受装置1において、軸受ケース10の円筒孔11は、大径部11aと小径部11bとを
有する段付き円筒孔にされ、軸体30は、大径部31aと小径部31bとを有する段付き
軸体にされ、段付き円筒孔11の大径部11aと段付き軸体30の大径部31aの外周面
とのいずれかには第1の動圧溝51が形成され、段付き円筒孔11の小径部11bと段付
き軸体30の小径部31bの外周面とのいずれかには第2の動圧溝52が形成され、段付
き円筒孔11の段部11c表面には第3の動圧溝53が形成され、第1〜第3の動圧溝が
それぞれ臨む各対向面間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填されている。
【選択図】 図2

Description

本願の発明は、ラジアル、アキシャル両方向の力に対して軸受機能を発揮し得る流体軸
受装置であって、特に軸受剛性を確保しつつ、軸損トルクの低減を図った流体軸受装置と
、該流体軸受装置を備えたスピンドルモータ、記録ディスク駆動装置に関する。
近年、益々大容量化、小型化するコンピュータ等のオフィスオートメーション機器や、
その周辺機器であるハードディスクドライブ装置等の回転部の駆動装置・部品として使用
されるスピンドルモータには、モータの振れ精度(NRRO(非同期振れ))や騒音、音
響寿命、剛性等に対する信頼性が強く要求されている。
従来、このようなスピンドルモータの回転軸の軸受部には、複数の玉軸受を組み合わせ
て構成された複合玉軸受装置が多く使用されている。ところで、最近では、ハードディス
クドライブ装置等において、記録容量の増大、耐衝撃性の向上、低騒音やデータアクセス
の高速化等が一段と強く要求されてきており、これらの要求に応えるために、スピンドル
モータの玉軸受は、材料の組成の改善、内外輪や転動体等の加工精度の向上が図られ、こ
れらにより、回転精度の一層の向上が達成されてきているが、これらの対策だけでは十分
とは言えず、転がり軸受そのものの限界も認識されてきており、これに対処するために、
流体軸受の搭載が進められている。
図10には、このような流体軸受が搭載された軸回転型スピンドルモータが図示されて
いる。このスピンドルモータ00は、ベース02と、このベース02に支持されて回転す
るロータハブ03と、これらベース02とロータハブ03との間に介装された流体軸受装
置01とを備えている。
流体軸受装置01のスリーブ010は、ベース02の中央部分の円筒状壁07の内周面
に嵌入されて固定され、このスリーブ010には、ロータハブ03に垂設された回転軸0
30が嵌挿されている。スリーブ010と回転軸030との間の微小間隙には潤滑油が充
填されて、回転軸030の回転とともにスリーブ010の内周面に形成された動圧溝(例
えば、ヘリングボーン形状の溝)051、052の作用によって潤滑油の圧力が発生する
ことで得られる動圧力によって、回転軸030をスリーブ010の内周面と非接触の状態
で回転自在にラジアル方向に支承する。動圧溝051、052は、スリーブ010の内周
面の上下2個所に形成されているが、これらの動圧溝は、回転軸030の外周面に形成さ
れる場合もある。
詳細には図示されないが、回転軸030の下端部に嵌着されたスラストリング060の
下端面と上端面それぞれに対向するカウンタープレート020の上面とスリーブ010の
下端面にも動圧溝(例えば、ヘリングボーン形状の溝)がそれぞれ形成されており、これ
らの動圧溝が臨む各対向面間の微小隙間には潤滑油が充填されて、回転軸030の回転と
ともにこれらの動圧溝の作用によって潤滑油の圧力が発生することで得られる動圧力によ
って、スラストリング060をカウンタープレート020の上面とスリーブ010の下端
面それぞれと非接触の状態で回転自在にアキシャル方向に支承する。これらの動圧溝は、
スラストリング060の下端面と上端面とにそれぞれ形成される場合もある。
したがって、ベース02は、流体軸受装置01を介してロータハブ03の回転軸030
を回転自在に支承している。その他、ステータ05、永久磁石06等からなるモータ部の
構造等は、従来の複合玉軸受が使用されるスピンドルモータと基本的に異なるところはな
い。
このような従来の流体軸受装置01においては、全長にわたって同径の回転軸030と
、全長にわたって同径の円筒孔を有するスリーブ010とが使用されているので、ロータ
ハブ03が連結されることにより比較的高い軸受剛性が必要となる軸受上方部に比して、
比較的低い軸受剛性で済む軸受下方部の径が過大になっており、それだけ、軸損トルクが
大きくなって、動力が無駄に消費されていた。回転軸の径およびスリーブの円筒孔径を、
それらの軸方向に2段階に異ならせて、回転軸およびスリーブの円筒孔を段付きに構成し
たものはある(特開平6−159355号公報、特開平6−173943号公報、特開平
10−281150号公報)が、これらのものは、軸受負荷との関連で軸受剛性と軸損ト
ルクとに言及したものではない。
また、このような従来の流体軸受装置01においては、ロータハブ03のディスク載置
面04にディスクが載置された状態で、回転軸030を含む回転部全体の重心は、回転軸
030の中心軸上の中央部寄りの点Qにある。そして、この点Qに回転部全体の重量Fが
重力として掛かり、回転軸030が鉛直姿勢を保つ正常時には、これが回転軸030に作
用する点R方向のスラストとなる。ここで、点Rは、回転軸030の中心軸上の最下点で
ある。これに対して、このスラストFを受ける力(この力は、スラストリング060の下
端面とカウンタープレート020の上面との間の微小隙間に形成される動圧発生部におい
て生成される。)の合力Tが回転軸030に反作用を加える位置は、点Rにあり、その向
きは、点Q方向の上向きであり、スラストFとは逆向きである。このため、スラストFと
合力Tとは打ち消し合い、回転軸030はカウンタープレート020の上面から浮上して
、その上面とは非接触で回転する。ここで、何らかの原因により、回転軸030の鉛直姿
勢が崩れると、回転部全体の重量Fが重力として作用する方向は、点R方向から逸れて、
合力Tの向きと食い違う。この結果、回転軸030には、これを倒そうとするモーメント
が生じて、回転軸030の回転が不安定になり、回転精度が劣化する。この回転軸030
を倒そうとするモーメントは、点Qと点Rとの間の距離が大きくなればなるほど大きくな
る。それ故、点Rの位置は、点Qの位置にできるだけ近づけられるのがよい。
さらに、このような従来の流体軸受装置01においては、回転軸030に作用するスラ
ストがカウンタープレート020により受けられるようになっているので、カウンタープ
レート020の仕上げ精度や、これをスリーブ010に組み付けたときの組付精度が十分
でないと、回転軸030の中心軸とスリーブ010の中心軸との平行が崩れて、矢張り、
回転軸030の回転が不安定になり、回転精度が劣化する。
特開平6−159355号公報 特開平6−173943号公報 特開平10−281150号公報
本願の発明は、従来の流体軸受装置が有する前記のような問題点を解決して、比較的簡
単な構成により、回転軸に必要な軸受剛性を確保しつつ、できるだけ軸損トルクを低減し
て、動力消費を削減するとともに、回転軸の回転を安定化させて、回転精度をさらに向上
させることができる流体軸受装置および該流体軸受装置を備えたスピンドルモータ、記録
ディスク駆動装置を提供することを課題とする。
本願の発明は、前記のような課題を解決した流体軸受装置および該流体軸受装置を備え
たスピンドルモータ、記録ディスク駆動装置に係り、
その請求項1に記載された発明は、中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと、前記
軸受ケースの一端部を閉塞するエンドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプレート
とにより形成される軸受容器内に少なくともその一部が挿入されて支持される軸体と、を
備えて成る流体軸受装置において、前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部
側の大径部と、前記軸受ケースの一端部側の小径部とを有する段付き円筒孔にされ、前記
軸体は、前記段付き円筒孔の大径部と小径部とにそれぞれ対向する大径部と小径部とを有
する段付き軸体にされ、前記段付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面と
のいずれかには、第1の動圧溝が形成され、前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体
の小径部の外周面とのいずれかには、第2の動圧溝が形成され、前記エンドプレートの内
表面と前記段付き軸体の一端部側の端面とのいずれかには、第3の動圧溝が形成され、前
記第1の動圧溝、前記第2の動圧溝および前記第3の動圧溝がそれぞれ臨む各対向面間の
微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填されたことを特徴とする流体軸受装置である。
請求項1に記載された発明は、前記のように構成されているので、軸受ケースおよび軸
体の軸方向に見て、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞される側と反対側にある第1
の動圧溝が臨む微小間隙部に、大径のラジアル動圧軸受部が形成され、軸受ケースがエン
ドプレートにより閉塞される側にある第2の動圧溝が臨む微小間隙部に、小径のラジアル
動圧軸受部が形成され、エンドプレートと軸体の一端部とが対向する個所にある第3の動
圧溝が臨む微小間隙部に、アキシャル動圧軸受部が形成されることになる。
このため、軸体端部にロータハブ等の負荷部材(回転体もしくは固定体)が連結される
ことにより比較的高い軸受剛性が必要となる、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞さ
れる側と反対側に位置する軸体一半部側に、大径のラジアル動圧軸受部を設定し、比較的
低い軸受剛性で済む、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞される側に位置する軸体他
半部側に、小径のラジアル動圧軸受部を設定することができ、この小径のラジアル動圧軸
受部においては、小径とされた分、摩擦損失を低減して軸損トルクを低減することができ
るので、全体としてみて、簡単な構成により、必要な軸受剛性を確保しつつ、できるだけ
軸損トルクを低減して、動力消費を削減することができる。
また、小径のラジアル動圧軸受部において摩擦損失を低減することができることにより
、軸体を倒す方向に作用するモーメントを減らすことができ、このモーメントに起因する
軸体のモーメント振動を低減することもできる。
また、その請求項2に記載された発明は、中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと
、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエンドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプ
レートとにより形成される軸受容器内に少なくともその一部が挿入されて支持される軸体
と、を備えて成る流体軸受装置において、前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの
他端部側の大径部と、前記軸受ケースの一端部側の小径部とを有する段付き円筒孔にされ
、前記軸体は、前記段付き円筒孔の大径部と小径部とにそれぞれ対向する大径部と小径部
とを有する段付き軸体にされ、前記段付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外
周面とのいずれかには、第1の動圧溝が形成され、前記段付き円筒孔の小径部と前記段付
き軸体の小径部の外周面とのいずれかには、第2の動圧溝が形成され、前記段付き円筒孔
の段部と前記段付き軸体の段部の表面とのいずれかには、第3の動圧溝が形成され、前記
第1の動圧溝、前記第2の動圧溝および前記第3の動圧溝がそれぞれ臨む各対向面間の微
小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填されたことを特徴とする流体軸受装置である。
請求項2に記載された発明は、前記のように構成されているので、軸受ケースおよび軸
体の軸方向に見て、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞される側と反対側にある第1
の動圧溝が臨む微小間隙部に、大径のラジアル動圧軸受部が形成され、軸受ケースがエン
ドプレートにより閉塞される側にある第2の動圧溝が臨む微小間隙部に、小径のラジアル
動圧軸受部が形成され、軸受ケースの段付き円筒孔の段部と段付き軸体の段部とが対向す
る個所にある第3の動圧溝が臨む微小間隙部に、アキシャル動圧軸受部が形成されること
になる。
この結果、軸体端部にロータハブ等の負荷部材(回転体もしくは固定体)が連結される
ことにより比較的高い軸受剛性が必要となる、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞さ
れる側と反対側に位置する軸体一半部側に、大径のラジアル動圧軸受部を設定し、比較的
低い軸受剛性で済む、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞される側に位置する軸体他
半部側に、小径のラジアル動圧軸受部を設定することができ、この小径のラジアル動圧軸
受部においては、小径とされた分、摩擦損失を低減して軸損トルクを低減することができ
るので、全体としてみて、簡単な構成により、必要な軸受剛性を確保しつつ、できるだけ
軸損トルクを低減して、動力消費を削減することができる。
また、小径のラジアル動圧軸受部において摩擦損失を低減することができることにより
、軸体を倒す方向に作用するモーメントを減らすことができ、このモーメントに起因する
軸体のモーメント振動を低減することもできる。
また、アキシャル動圧軸受部を軸体の軸方向中央部寄りに位置させて、軸体に作用する
スラストを受ける力の合力が軸体に反作用を加える位置を、軸体と軸体に支持される負荷
部材とを合わせた全体の重心位置に近づけることができるので、簡単な構成により、軸体
の回転(相対回転)を安定化して、回転精度を向上させることができる。
また、アキシャル動圧軸受部がエンドプレートの内表面と軸体の一端部側の端面との間
の微小隙間に設けられていない(換言すれば、軸体に作用するスラストがエンドプレート
により受けられるようにされていない)ので、エンドプレートの仕上げ精度や、これを軸
受ケースに組み付けたときの組付精度によっては、軸体の中心軸と軸受ケースの中心軸と
の平行が崩れて、軸体の回転(相対回転)が不安定になり、回転精度が劣化するといった
虞がない。また、エンドプレートの上面にスパッタリング等によるコーティングをして表
面硬度を高めることによって、起動・停止時における回転軸との耐摺動摩耗性を上げる必
要もない。
さらに、その請求項3に記載された発明は、中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケース
と、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエンドプレートと、前記軸受ケースと前記エンド
プレートとにより形成される軸受容器内に少なくともその一部が挿入されて支持される軸
体と、を備えて成る流体軸受装置において、前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケース
の他端部側の大径部と、前記軸受ケースの一端部側の小径部と、これら大径部と小径部と
を接続するテーパ部とを有する段付き円筒孔にされ、前記軸体は、前記段付き円筒孔の大
径部と小径部とテーパ部とにそれぞれ対向する大径部と小径部とテーパ部とを有する段付
き軸体にされ、前記段付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれ
かには、第1の動圧溝が形成され、前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部
の外周面とのいずれかには、第2の動圧溝が形成され、前記段付き円筒孔のテーパ部と前
記段付き軸体のテーパ部の外周面とのいずれかには、第3の動圧溝が形成され、前記第1
の動圧溝、前記第2の動圧溝および前記第3の動圧溝がそれぞれ臨む各対向面間の微小間
隙には、動圧発生用の潤滑油が充填されたことを特徴とする流体軸受装置である。
請求項3に記載された発明は、前記のように構成されているので、軸受ケースおよび軸
体の軸方向に見て、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞される側と反対側にある第1
の動圧溝が臨む微小間隙部に、大径のラジアル動圧軸受部が形成され、軸受ケースがエン
ドプレートにより閉塞される側にある第2の動圧溝が臨む微小間隙部に、小径のラジアル
動圧軸受部が形成され、軸受ケースの段付き円筒孔のテーパ部と段付き軸体のテーパ部と
が対向する個所にある第3の動圧溝が臨む微小間隙部に、ラジアル・アキシャル動圧軸受
部が形成されることになる。
このため、軸体端部にロータハブ等の負荷部材(回転体もしくは固定体)が連結される
ことにより比較的高い軸受剛性が必要となる、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞さ
れる側と反対側に位置する軸体一半部側に、大径のラジアル動圧軸受部を設定し、比較的
低い軸受剛性で済む、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞される側に位置する軸体他
半部側に、小径のラジアル動圧軸受部を設定することができ、この小径のラジアル動圧軸
受部においては、小径とされた分、摩擦損失を低減して軸損トルクを低減することができ
るので、全体としてみて、簡単な構成により、必要な軸受剛性を確保しつつ、できるだけ
軸損トルクを低減して、動力消費を削減することができる。
また、小径のラジアル動圧軸受部において摩擦損失を低減することができることにより
、軸体を倒す方向に作用するモーメントを減らすことができ、このモーメントに起因する
軸体のモーメント振動を低減することもできる。
また、ラジアル・アキシャル動圧軸受部を軸体の軸方向中央部寄りに位置させて、軸体
に作用するスラストを受ける力の合力が軸体に反作用を加える位置を、軸体と軸体に支持
される負荷部材とを合わせた全体の重心位置に近づけることができるので、簡単な構成に
より、軸体の回転(相対回転)を安定化して、回転精度を向上させることができる。
また、アキシャル動圧軸受部がエンドプレートの内表面と軸体の一端部側の端面との間
の微小隙間に設けられていない(換言すれば、軸体に作用するスラストがエンドプレート
により受けられるようにされていない)ので、エンドプレートの仕上げ精度や、これを軸
受ケースに組み付けたときの組付精度によっては、軸体の中心軸と軸受ケースの中心軸と
の平行が崩れて、軸体の回転(相対回転)が不安定になり、回転精度が劣化するといった
虞がない。また、エンドプレートの上面にスパッタリング等によるコーティングをして表
面硬度を高めることによって、起動・停止時における回転軸との耐摺動摩耗性を上げる必
要もない。
さらに、軸受ケースの段付き円筒孔のテーパ部と段付き軸体のテーパ部とが対向する個
所にある第3の動圧溝が臨む微小間隙部にラジアル・アキシャル動圧軸受部が形成される
ので、この部分においても、軸体に作用するラジアル方向の力を分担して支持することが
でき、必要な軸受剛性をさらに十分に確保することができる。
また、請求項4に記載のように請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の流体軸受装
置を構成することにより、軸受ケースの円筒孔に形成された環状凹溝と軸体の外周面に形
成された環状凹溝とに跨がるようにして、軸体の抜け止め防止用の環状リングが挿入され
るので、流体軸受装置に振動や衝撃が加わっても、軸体が軸受容器から抜け出る虞がない。
また、請求項5に記載のように請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の流体軸受装
置を構成することにより、その軸体の上端部に、回転要素をなすロータハブが嵌着された
流体軸受装置が、次の構成を備えることを特徴としている。すなわち、その軸受ケースの
上端部の外周面に、環状凹溝が形成され、該環状凹溝に臨むロータハブの面に、該環状凹
溝の幅よりも小さい幅を有する環状リングが固定されて、該環状凹溝内に位置するように
して設けられており、これにより、軸体の抜け止めを行なうようにされている。
この結果、軸体の抜け止め用の環状リングは、軸受ケースの外側に設けられることにな
るので、その環状リングの分だけ、軸受ケース牽いては流体軸受装置の軸方向長さを短く
することができ、組立作業も容易になる。
また、その請求項6に記載された発明は、中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと
、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエンドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプ
レートとにより形成される軸受容器内に少なくともその一部が挿入されて支持される軸体
と、前記軸体の一端部に嵌着されるスラストリングと、を備えて成る流体軸受装置におい
て、前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部側の大径部と、前記軸受ケース
の一端部側の小径部と、前記軸受ケースの一端部にあって前記スラストリングを受け入れ
るための拡径部と、を有する段付き円筒孔にされ、前記軸体は、前記段付き円筒孔の大径
部と小径部とにそれぞれ対向する大径部と小径部とを有する段付き軸体にされ、前記段付
き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれかには、第1の動圧溝が
形成され、前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部の外周面とのいずれかに
は、第2の動圧溝が形成され、前記エンドプレートの内表面と前記スラストリングの下面
とのいずれかには、第3の動圧溝が形成され、前記段付き円筒孔の拡径部に連なる段部と
該段部に対向する前記スラストリングの上面とのいずれかには、第4の動圧溝が形成され
、前記第1の動圧溝、前記第2の動圧溝、前記第3の動圧溝および前記第4の動圧溝がそ
れぞれ臨む各対向面間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填されたことを特徴とす
る流体軸受装置である。
請求項6に記載された発明は、前記のように構成されているので、その流体軸受装置は
、請求項1に記載された発明に加えて、軸体の一端部に嵌着されるスラストリングを備え
、軸受ケースの円筒孔は、軸受ケースの一端部にあってスラストリングを受け入れる拡径
部を有し、エンドプレートの内表面とスラストリングの下面とのいずれかに、第3の動圧
溝が形成され、軸受ケースの円筒孔の拡径部に連なる段部と該段部に対向するスラストリ
ングの上面とのいずれかに、第4の動圧溝が形成される。
この結果、軸受ケースの段付き円筒孔の拡径部に連なる段部とスラストリングとが対向
する個所にある第4の動圧溝が臨む微小間隙部に、もう1つのアキシャル動圧軸受部(第
2のアキシャル動圧軸受部)が形成されることになり、この第2のアキシャル動圧軸受部
で生成される力は、第3の動圧溝が臨む微小間隙部に形成されるアキシャル動圧軸受部(
第1のアキシャル動圧軸受部)で生成される力、すなわち、軸体に作用するスラストを受
ける力、の方向と反対の方向を向くので、これらの両微小間隙部の隙間を適切に保って軸
体の相対回転の安定化を図る必要があるときに、この第2のアキシャル動圧軸受部で生成
される力を、第1のアキシャル動圧軸受部で生成される力とともに、そのような必要に応
えるための力として利用することができる。例えば、軸体と軸受ケースとを相対回転させ
るために通常設けられる電磁駆動部(モータ)により励起される電磁力を、そのような必
要に応えるための力として利用することができないときに、この第2のアキシャル動圧軸
受部で生成される力を、そのために利用することもできる。
また、スラストリングが軸受ケースの段付き円筒孔の拡径部に受け入れられるので、流
体軸受装置に振動や衝撃が加わっても、軸体が軸受容器から抜け出る虞がない。
その他、請求項1に記載された発明が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
さらに、その請求項7に記載された発明は、中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケース
と、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエンドプレートと、前記軸受ケースと前記エンド
プレートとにより形成される軸受容器内に少なくともその一部が挿入されて支持される軸
体と、前記軸体の一端部に嵌着されるスラストリングと、を備えて成る流体軸受装置にお
いて、前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部側の大径部と、前記軸受ケー
スの一端部側の小径部と、前記軸受ケースの一端部にあって前記スラストリングを受け入
れるための拡径部と、を有する段付き円筒孔にされ、前記軸体は、前記段付き円筒孔の大
径部と小径部とにそれぞれ対向する大径部と小径部とを有する段付き軸体にされ、前記段
付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれかには、第1の動圧溝
が形成され、前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部の外周面とのいずれか
には、第2の動圧溝が形成され、前記段付き円筒孔の段部と前記段付き軸体の段部の表面
とのいずれかには、第3の動圧溝が形成され、前記段付き円筒孔の拡径部に連なる段部と
該段部に対向する前記スラストリングの上面とのいずれかには、第4の動圧溝が形成され
、前記第1の動圧溝、前記第2の動圧溝、前記第3の動圧溝および前記第4の動圧溝がそ
れぞれ臨む各対向面間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填されたことを特徴とす
る流体軸受装置である。
請求項7に記載された発明は、前記のように構成されているので、その流体軸受装置は
、請求項2に記載された発明に加えて、軸体の一端部に嵌着されるスラストリングを備え
、軸受ケースの円筒孔は、軸受ケースの一端部にあってスラストリングを受け入れるため
の拡径部を有し、該拡径部に連なる段部と該段部に対向するスラストリングの上面とのい
ずれかに、第4の動圧溝が形成される。
この結果、軸受ケースの段付き円筒孔の拡径部に連なる段部とスラストリングとが対向
する個所にある第4の動圧溝が臨む微小間隙部に、もう1つのアキシャル動圧軸受部(第
2のアキシャル動圧軸受部)が形成されることになり、この第2のアキシャル動圧軸受部
で生成される力は、第3の動圧溝が臨む微小間隙部に形成されるアキシャル動圧軸受部(
第1のアキシャル動圧軸受部)で生成される力、すなわち、軸体に作用するスラストを受
ける力、の方向と反対の方向を向くので、これらの両微小間隙部の隙間を適切に保って軸
体の相対回転の安定化を図る必要があるときに、この第2のアキシャル動圧軸受部で生成
される力を、第1のアキシャル動圧軸受部で生成される力とともに、そのような必要に応
えるための力として利用することができる。例えば、軸体と軸受ケースとを相対回転させ
るために通常設けられる電磁駆動部(モータ)により励起される電磁力を、そのような必
要に応えるための力として利用することができないときに、この第2のアキシャル動圧軸
受部で生成される力を、そのために利用することもできる。
また、スラストリングが軸受ケースの段付き円筒孔の拡径部に受け入れられるので、流
体軸受装置に振動や衝撃が加わっても、軸体が軸受容器から抜け出る虞がない。
その他、請求項2に記載された発明が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
また、その請求項8に記載された発明は、中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと
、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエンドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプ
レートとにより形成される軸受容器内に少なくともその一部が挿入されて支持される軸体
と、前記軸体の一端部に嵌着されるスラストリングと、を備えて成る流体軸受装置におい
て、前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部側の大径部と、前記軸受ケース
の一端部側の小径部と、これら大径部と小径部とを接続するテーパ部と、前記軸受ケース
の一端部にあって前記スラストリングを受け入れるための拡径部と、を有する段付き円筒
孔にされ、前記軸体は、前記段付き円筒孔の大径部と小径部とテーパ部とにそれぞれ対向
する大径部と小径部とテーパ部とを有する段付き軸体にされ、前記段付き円筒孔の大径部
と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれかには、第1の動圧溝が形成され、前記段
付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部の外周面とのいずれかには、第2の動圧溝
が形成され、前記段付き円筒孔のテーパ部と前記段付き軸体のテーパ部の外周面とのいず
れかには、第3の動圧溝が形成され、前記段付き円筒孔の拡径部に連なる段部と該段部に
対向する前記スラストリングの上面とのいずれかには、第4の動圧溝が形成され、前記第
1の動圧溝、前記第2の動圧溝、前記第3の動圧溝および前記第4の動圧溝がそれぞれ臨
む各対向面間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填されたことを特徴とする流体軸
受装置である。
請求項8に記載された発明は、前記のように構成されているので、その流体軸受装置は
、請求項3に記載された発明に加えて、軸体の一端部に嵌着されるスラストリングを備え
、軸受ケースの円筒孔は、軸受ケースの一端部にあってスラストリングを受け入れるため
の拡径部を有し、該拡径部に連なる段部と該段部に対向するスラストリングの上面とのい
ずれかに、第4の動圧溝が形成される。
この結果、軸受ケースの段付き円筒孔の拡径部に連なる段部とスラストリングとが対向
する個所にある第4の動圧溝が臨む微小間隙部にアキシャル動圧軸受部が形成されること
になり、このアキシャル動圧軸受部で生成される力は、第3の動圧溝が臨む微小間隙部に
形成されるラジアル・アキシャル動圧軸受部で生成されるアキシャル方向の力、すなわち
、軸体に作用するスラストを受ける力、の方向と反対の方向を向くので、これらの両微小
間隙部の隙間を適切に保って軸体の相対回転の安定化を図る必要があるときに、このアキ
シャル動圧軸受部で生成される力を、ラジアル・アキシャル動圧軸受部で生成されるアキ
シャル方向の力とともに、そのような必要に応えるための力として利用することができる
。例えば、軸体と軸受ケースとを相対回転させるために通常設けられる電磁駆動部(モー
タ)により励起される電磁力を、そのような必要に応えるための力として利用することが
できないときに、このアキシャル動圧軸受部で生成される力を、そのために利用すること
ができる。
また、スラストリングが軸受ケースの段付き円筒孔の拡径部に受け入れられるので、流
体軸受装置に振動や衝撃が加わっても、軸体が軸受容器から抜け出る虞がない。
その他、請求項3に記載された発明が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
さらに、その請求項9に記載された発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載
の流体軸受装置を備えたスピンドルモータであって、ステータと、軸体の上端部に嵌着さ
れた回転要素をなすロータハブと、該ロータハブに嵌着され、該ステータと協働して回転
磁界を発生するロータマグネットとからなり、該ハウジングに対して回転自在に設けられ
たロータとを備え、該流体軸受装置は、該ロータの回転を支持しており、該ロータは、該
流体軸受装置内のアキシャル方向の荷重を受ける動圧を発生させるための動圧溝で発生す
る動圧が作用する方向とは反対方向に磁気力で吸引され、これらの動圧と磁気力とがバラ
ンスすることによって、その荷重が支持されていることを特徴とするスピンドルモータで
ある。
請求項9に記載された発明は、前記のように構成されているので、請求項1ないし請求
項5に記載の流体軸受装置がそれぞれ奏する効果を奏することができるとともに、磁気力
が、これら流体軸受装置内のアキシャル方向の荷重を受ける動圧を発生させるための動圧
溝(第3の動圧溝)で発生する動圧力と釣り合って、該動圧溝が臨む微小間隙部の隙間を
適切に保ち、軸体の相対回転の安定化を図ることができ、動力消費が少なく、信頼性の高
いスピンドルモータを得ることができる。
また、その請求項10に記載された発明は、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載
の流体軸受装置を備えたスピンドルモータであって、ステータと、軸体の上端部に嵌着さ
れた回転要素をなすロータハブと、該ロータハブに嵌着され、該ステータと協働して回転
磁界を発生するロータマグネットとからなり、該ハウジングに対して回転自在に設けられ
たロータとを備え、該流体軸受装置は、該ロータの回転を支持していることを特徴とする
スピンドルモータである。
請求項10に記載された発明は、前記のように構成されているので、請求項6ないし請
求項8に記載の流体軸受装置がそれぞれ奏する効果を奏することができ、動力消費が少な
く、信頼性の高いスピンドルモータを得ることができる。
また、その請求項11に記載された発明は、請求項9または請求項10に記載のスピン
ドルモータを備えた記録ディスク駆動装置であって、記録ディスクに情報を書き込みおよ
び/または読み出しするための記録ヘッドを備え、スピンドルモータが、該記録ディスク
を回転駆動することを特徴とする記録ディスク駆動装置である。
請求項11に記載された発明は、前記のように構成されているので、請求項9または請
求項10に記載のスピンドルモータがそれぞれ奏する効果を奏することができ、動力消費
が少なく、信頼性の高い記録ディスク駆動装置を得ることができる。
以上のとおり、本願の発明の流体軸受装置によれば、軸受ケースがエンドプレートによ
り閉塞される側と反対側にある第1の動圧溝が臨む微小間隙部に、大径のラジアル動圧軸
受部が形成され、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞される側にある第2の動圧溝が
臨む微小間隙部に、小径のラジアル動圧軸受部が形成されるので、軸体端部にロータハブ
等の負荷部材(回転体もしくは固定体)が連結されることにより比較的高い軸受剛性が必
要となる、軸受ケースがエンドプレートにより閉塞される側と反対側に位置する軸体一半
部側に、大径のラジアル動圧軸受部を設定し、比較的低い軸受剛性で済む、軸受ケースが
エンドプレートにより閉塞される側に位置する軸体他半部側に、小径のラジアル動圧軸受
部を設定することができ、この小径のラジアル動圧軸受部においては、小径とされた分、
摩擦損失を低減して軸損トルクを低減することができるので、全体としてみて、簡単な構
成により、必要な軸受剛性を確保しつつ、できるだけ軸損トルクを低減して、動力消費を
削減することができる。
また、小径のラジアル動圧軸受部において摩擦損失を低減することができることにより
、軸体を倒す方向に作用するモーメントを減らすことができ、このモーメントに起因する
軸体のモーメント振動を低減することもできる。
また、軸受ケースの段付き円筒孔の段部と段付き軸体の段部とが対向する個所にある第
3の動圧溝が臨む微小間隙部にアキシャル動圧軸受部が形成される場合には、アキシャル
動圧軸受部を軸体の中央部寄りに位置させて、軸体に作用するスラストを受ける力の合力
が軸体に反作用を加える位置を、軸体と軸体に連結される負荷部材とを合わせた全体の重
心位置に近づけることができるので、簡単な構成により、軸体の回転(相対回転)を安定
化して、回転精度を向上させることができる。
また、この場合には、アキシャル動圧軸受部がエンドプレートの内表面と軸体の一端部
側の端面との間の微小隙間に設けられない(換言すれば、軸体に作用するスラストがエン
ドプレートにより受けられるようにされない)ので、エンドプレートの仕上げ精度や、こ
れを軸受ケースに組み付けたときの組付精度によって、軸体の中心軸と軸受ケースの中心
軸との平行が崩れて、軸体の回転(相対回転)が不安定になり、回転精度が劣化するとい
ったことがない。また、エンドプレートの上面にスパッタリング等によるコーティングを
して表面硬度を高めることによって、起動・停止時における回転軸との耐摺動摩耗性を上
げる必要もない。
さらに、軸体の一端部にスラストリングが嵌着され、軸受ケースの円筒孔に、軸受ケー
スの一端部にあってスラストリングを受け入れるための拡径部が形成され、該拡径部に連
なる段部と該段部に対向するスラストリングの上面とのいずれかに、第4の動圧溝が形成
される場合には、この第4の動圧溝が臨む微小間隙部にアキシャル動圧軸受部を形成する
ことができ、第3の動圧溝および第4の動圧溝がそれぞれ臨む両微小間隙部の隙間を適切
に保って軸体の相対回転の安定化を図る必要があるときには、このアキシャル動圧軸受部
で生成される力を、第3の動圧溝が臨む微小間隙部に形成されるアキシャル動圧軸受部も
しくはラジアル・アキシャル動圧軸受部で生成される力とともに、その必要に応えるため
の力として利用することができる。
さらに、また、以上のような種々の効果を奏する流体軸受装置を備えたスピンドルモー
タ、該スピンドルモータを備えた記録ディスク駆動装置とすることによって、動力消費が
少なく、信頼性の高いスピンドルモータ、記録ディスク駆動装置を得ることができる。
中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと、該軸受ケースの一端部を閉塞するエンド
プレートと、該軸受ケースと該エンドプレートとにより形成される軸受容器内に少なくと
もその一部が嵌入されて支持される軸体と、を備えて成る流体軸受装置において、軸受ケ
ースの円筒孔を、軸受ケースの他端部側の大径部と一端部側の小径部とからなる段付き円
筒孔にて構成し、軸体を、段付き円筒孔の大径部と小径部とにそれぞれ対向する大径部と
小径部とからなる段付き軸体にて構成し、段付き円筒孔の大径部と段付き軸体の大径部の
外周面とのいずれかに第1の動圧溝を形成し、段付き円筒孔の小径部と段付き軸体の小径
部の外周面とのいずれかに第2の動圧溝を形成し、望ましくは、段付き円筒孔の段部もし
くはテーパ部と段付き軸体の段部もしくはテーパ部表面とのいずれかに第3の動圧溝を形
成して、これら第1の動圧溝、第2の動圧溝および第3の動圧溝がそれぞれ臨む各対向面
間の微小間隙に動圧発生用の潤滑油を充填する。
また、必要に応じ、以上の構成に加えて、軸体の一端部にスラストリングを嵌着し、軸
受ケースの円筒孔には、軸受ケースの一端部にあって該スラストリングを受け入れるため
の拡径部を形成し、該拡径部に連なる段部と該段部に対向するスラストリングの上面との
いずれかに、第4の動圧溝を形成するようにする。
次に、本願の発明の第1の実施例(実施例1)について説明する。
図1は、実施例1の流体軸受装置の縦断面図である。同図において、流体軸受装置1は
、中心部に円筒孔11(11a、11b)を有する筒状の軸受ケース10と、軸受ケース
10の図1において下方の一端部を閉塞するエンドプレート20と、軸受ケース10とエ
ンドプレート20とにより形成される軸受容器内に少なくともその一部が嵌入されて支持
される軸体30とを備えている。軸体30は、図示されない負荷回転体に接続されるが、
初めから回転体の回転軸と一体のものとして製造される場合もある。また、軸体30には
、回転体に代えて固定体が接続される場合もある。この場合には、軸受ケース10が回転
側になる。なお、本明細書においては、軸受ケース10の一端部がエンドプレート20に
より閉塞される側を下方とし、軸受容器の開口側を上方としている。
軸受ケース10の円筒孔11は、軸受ケース10の上方の他端部側に形成された大径部
11aと、軸受ケース10の下方の一端部側に形成された小径部11bとからなる段付き
円筒孔として構成されており、また、軸体30は、段付き円筒孔11の大径部11aと小
径部11bとにそれぞれ対向する大径部31aと小径部31bとを有する段付き軸体とし
て構成されている。そして、段付き円筒孔11の大径部11aには第1の動圧溝51が形
成されており、また、段付き円筒孔11の小径部11bには第2の動圧溝52が形成され
ており、さらに、エンドプレート20の内表面21には第3の動圧溝53が形成されてい
る。
これらの動圧溝51〜53は、ヘリンボーン形状に形成されるが、必ずしもこの形状に
限定されず、スパイラル形状や直線形状に形成されてもよい。また、第1の動圧溝51、
第2の動圧溝52、第3の動圧溝53は、段付き軸体30の大径部31aの外周面、小径
部31bの外周面、一端部側の端面(下端面)33に、それぞれ形成されるのであっても
よい。段付き円筒孔11の大径部11aと小径部11bとの間は、孔面に直角の段部11
cとされている。段付き軸体30の大径部31aと小径部31bとの間は、それらの外表
面に直角の段部31cとされている。
第1の動圧溝51は、段付き円筒孔11の大径部11aと段付き軸体30の大径部31
aの外周面との間に形成される微小間隙に臨んでおり、該微小間隙には、動圧発生用の潤
滑油が充填されている。また、第2の動圧溝52は、段付き円筒孔11の小径部11bと
段付き軸体30の小径部31bとの間に形成される微小間隙に臨んでおり、該微小間隙に
は、動圧発生用の潤滑油が充填されている。さらに、第3の動圧溝53は、エンドプレー
ト20の内表面21と段付き軸体30の下端面33との間に形成される微小間隙に臨んで
おり、該微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填されている。
また、軸受ケース10の段付き円筒孔11の小径部11bに形成された環状凹溝12と
、段付き軸体30の小径部31bの外周面に形成された環状凹溝32とに跨がるようにし
て、軸体30の抜け止め防止用の環状リング40が嵌挿されている。この環状リング40
は、流体軸受装置1に振動や衝撃が加わったとき、軸体30が軸受容器から抜け出るのを
防止する。
第1の動圧溝51が臨む、段付き円筒孔11の大径部11aと段付き軸体30の大径部
31aの外周面との間に形成される微小間隙に連通するようにして、それより外部開放端
側に形成される間隙部分は、大径部11aが僅かに拡径されて、該微小間隙より僅かに大
きい幅にされており、そこに潤滑油のシール部13が形成されている。第1の動圧溝51
が臨む該微小間隙に充填された動圧発生用の潤滑油は、この拡幅されたシール部13にお
いて、毛細管現象が遮断されるので、該微小間隙部分から外部開放端側に漏れ出ることが
ない。
軸体30は、それ自体に作用する重力(自重)と、軸体30に支持される図示されない
負荷部材(ロータハブ、ディスク等)に作用する重力と、軸体30と軸受ケース10とを
相対回転させるために設けられる図示されない電磁駆動部(モータ)により励起される電
磁力とにより、常時、エンドプレート20がある方向(図1において下方)に押し付けら
れており、これがアキシャル方向の力(スラスト)として作用している。流体軸受装置1
が、上下を逆にして、すなわち、軸体30が下方に、エンドプレート20が上方に位置さ
れた態様で使用される場合にも、軸体30は、前記した電磁力により、常時、エンドプレ
ート20がある方向に押し付けられている。
実施例1は、前記のように構成されているので、次のような作用、効果を奏することが
できる。
今、軸体30と軸受ケース10とを相対回転させるために設けられた図示されない電磁
駆動部(モータ)が作動して、軸体30が軸受ケース10に対して相対回転すると、第1
の動圧溝51、第2の動圧溝52の働きにより、これらの溝がそれぞれ臨む各対向面間の
微小間隙部分(第1、第2のラジアル動圧軸受部)において潤滑油の圧力が上昇して、軸
体30を軸受ケース10の段付き円筒孔11から浮上させる。このようにして、軸体30
に作用するラジアル方向の力が段付き円筒孔11により受けられて、軸体30は、段付き
円筒孔11とは非接触で回転する。
第1の動圧溝51が臨む微小間隙部分(第1のラジアル動圧軸受部)は、大径であるの
で、大きい軸受剛性を発揮することができ、軸体30の上端に連結される負荷部材(ロー
タハブ等)を安定に回転支持するのに適している。これに対して、第2の動圧溝52が臨
む微小間隙部分(第2のラジアル動圧軸受部)は、小径であるので、第1のラジアル動圧
軸受部に比較して、大きい軸受剛性を発揮することができないが、軸体30の上端に連結
される負荷部材の回転支持は、主として第1のラジアル動圧軸受部が担うので、第2のラ
ジアル動圧軸受部を小径にすることが可能であり、その分、摩擦損失を低減して、軸損ト
ルクを低減することができる。これらにより、簡単な構成により、必要な軸受剛性を確保
しつつ、できるだけ軸損トルクを低減して、動力消費を削減することが可能になる。
また、第2のラジアル動圧軸受部において摩擦損失が低減されることにより、軸体30
を倒そうとする方向に作用するモーメントを減らすことができ、このモーメントに起因す
る軸体30のモーメント振動(軸体30のジャイロによる振れ回り振動)を低減すること
もできる。
また、軸体30が軸受ケース10に対して相対回転すると、第3の動圧溝53の働きに
より、この溝が臨む微小間隙部分(アキシャル動圧軸受部)において潤滑油の圧力が上昇
して、軸体30をエンドプレート20から浮上させる。このようにして、軸体30に作用
するアキシャル方向の力(スラスト)がエンドプレート20の内表面21により受けられ
て、軸体30は、エンドプレート20とは非接触で回転する。
図2は、本願の発明の第2の実施例(実施例2)の流体軸受装置の縦断面図であり、実
施例1と対応する部分には同一の符号を付してある。
図2に図示されるように、本実施例2の流体軸受装置1は、実施例1と比較すると、第
3の動圧溝53が形成される位置のみが異なっている。すなわち、実施例1においては、
第3の動圧溝53は、エンドプレート20の内表面21に形成されたが、本実施例2にお
いては、第3の動圧溝53は、軸受ケース10の段付き円筒孔11の段部11cに形成さ
れている。そして、この第3の動圧溝53が臨む、段付き円筒孔11の段部11cと段付
き軸体30の段部31cの外表面との間に形成される微小間隙部分に潤滑油が充填されて
、ここにアキシャル動圧軸受部が形成されている。なお、この第3の動圧溝53は、段付
き軸体30の段部31cの外表面に形成するように変形されてもよい。
実施例2は、前記のように構成されているので、次のような作用、効果を奏することが
できる。
今、図示されない電磁駆動部(モータ)が作動して、軸体30が軸受ケース10に対し
て相対回転すると、第3の動圧溝53の働きにより、この溝が臨む微小間隙部分(アキシ
ャル動圧軸受部)において潤滑油の圧力が上昇して、軸体30を軸受ケース10の段部1
1cから浮上させる。このようにして、軸体30に作用するアキシャル方向の力(スラス
ト)が軸受ケース10の段部11cにより受けられて、軸体30は、段部11cとは非接
触で回転する。
これにより、アキシャル動圧軸受部を軸体30の中央部寄りに位置させて、軸体30に
作用するスラストを受ける力の合力が軸体30に反作用を加える位置を、軸体30と軸体
30に支持される負荷部材(ロータハブ、ディスク等)とを合わせた全体の重心位置に近
づけることができるので、簡単な構成により、軸体30の回転を安定化して、回転精度を
向上させることができる。
また、アキシャル動圧軸受部がエンドプレート20の内表面21と軸体30の一端部側
の端面(図2において下端面)33との間の微小間隙部に設けられていない(換言すれば
、軸体30に作用するスラストがエンドプレート20により受けられるようにされていな
い)ので、エンドプレート20の仕上げ精度や、これを軸受ケース10に組み付けたとき
の組付精度によっては、軸体30の中心軸と軸受ケース10の中心軸との平行が崩れて、
軸体30の回転が不安定になり、回転精度が劣化するといったことがない。また、エンド
プレート20の上面にスパッタリング等によるコーティングをして表面硬度を高めること
によって、起動・停止時における回転軸との耐摺動摩耗性を上げる必要もない。
その他、軸受剛性、軸損トルク、軸体30のモーメント振動についても、実施例1と同
様の効果を奏することができる。
図3は、本願の発明の第3の実施例(実施例3)の流体軸受装置の縦断面図であり、実
施例2と対応する部分には同一の符号を付してある。
図3に図示されるように、本実施例3の流体軸受装置1は、実施例2と比較すると、軸
受ケース10の段付き円筒孔11の段部11cおよび段付き軸体30の段部31cに傾斜
が付されて、エンドプレート20に向かう方向に窄まるテーパ部とされ、この段付き円筒
孔11のテーパ部11fに第3の動圧溝53が形成されている点、および環状リング40
の配置位置が、軸受ケース10および段付き軸体30の大径部側に移されている点におい
て異なっている。なお、この第3の動圧溝53は、段付き軸体30のテーパ部31fの外
表面に形成するように変形されてもよい。
したがって、本実施例3においては、第3の動圧溝53が臨む、軸受ケース10の段付
き円筒孔11のテーパ部11fとこれに対向するように形成された段付き軸体30のテー
パ部31fの外表面との間に形成される微小間隙部分に、潤滑油が充填されて、ここにラ
ジアル・アキシャル動圧軸受部が形成されている。このラジアル・アキシャル動圧軸受部
においては、軸体30に作用するアキシャル方向の力(スラスト)が受けられるとともに
、軸体30に作用するラジアル方向の力の一部も受けられる。
実施例3は、前記のように構成されているので、次のような作用、効果を奏することが
できる。
今、図示されない電磁駆動部(モータ)が作動して、軸体30が軸受ケース10に対し
て相対回転すると、第1〜第3の動圧溝51〜53の働きにより、これらの溝が臨む微小
間隙部分(第1、第2のラジアル動圧軸受部、ラジアル・アキシャル動圧軸受部)におい
て潤滑油の圧力が上昇して、軸体30を軸受ケース10の段付き円筒孔11の大径部11
a、小径部11bおよびテーパ部11fから浮上させる。これにより、軸体30に作用す
るラジアル方向の力が段付き円筒孔11のこれらの部分により受けられるとともに、軸体
30に作用するアキシャル方向の力(スラスト)が段付き円筒孔11のテーパ部11fに
より受けられる。そして、軸体30は、これらの部分とは非接触で回転する。
このようにして、特に軸体30に作用するラジアル方向の力が段付き円筒孔11のテー
パ部11fにても受けられるようになるので、必要な軸受剛性をさらに十分に確保しつつ
、できるだけ軸損トルクを低減して、動力消費を削減することができる。
さらに、環状リング40の設置位置が軸受ケース10および段付き軸体30の大径部の
外方端側に移されているので、環状リング40の装着が容易になり、また、潤滑油のシー
ル効果を高めることができる。
その他、軸受剛性、軸体30のモーメント振動、軸体30の回転精度等についても、実
施例2と同様の効果を奏することができる。
なお、本実施例3において、段付き円筒孔11のテーパ部11fもしくは段付き軸体3
0のテーパ部31fの外表面の幅が狭くて、ここに第3の動圧溝53を形成することが困
難である場合には、第3の動圧溝53は、実施例1と同様に、エンドプレート20の内表
面21もしくは段付き軸体30の下端面33に形成されることとなる。
以上に説明した本願の発明の第1〜第3の実施例(実施例1〜3)は、軸体30を常時
エンドプレート20に押し付けるように電磁力が作用している場合に使用されて好適な流
体軸受装置である。流体軸受装置において、このような電磁力が期待されない場合には、
相対回転部が浮上して、その回転が不安定になる虞がある。以下に説明する実施例4〜6
は、このような電磁力に代わるアキシャル方向の力を発揮し得る動圧軸受部を備えた流体
軸受装置に関するものである。
図4は、本願の発明の第4の実施例(実施例4)の流体軸受装置の縦断面図であり、実
施例1と対応する部分には同一の符号を付してある。
図4に図示されるように、本実施例4の流体軸受装置1は、実施例1と比較すると、軸
体30の一端部に嵌着されるスラストリング60をさらに備え、軸受ケース10の段付き
円筒孔11は、軸受ケース10の一端部にあってスラストリング60を受け入れる拡径部
11dを有し、該拡径部11dに連なる段部11eに第4の動圧溝54が形成されている
。なお、この第4の動圧溝54は、段部11eに対向するスラストリング60の上面61
に形成されてもよい。
また、実施例1において、第3の動圧溝53が臨む、エンドプレート20の内表面21
と段付き軸体30の下端面33との間の微小間隙部に形成されていたアキシャル動圧軸受
部は、本実施例4においては、エンドプレート20の内表面21とスラストリング60の
下面62との間の微小間隙部に移されている。したがって、本実施例4においては、第3
の動圧溝53は、スラストリング60の下面62と対向するエンドプレート20の内表面
21か、もしくはスラストリング60の下面62に形成される。さらに、実施例1におい
て用いられていた軸体30の抜け止め防止用の環状リング40は、本実施例4においては
、廃止されている。
その他の点については、実施例1と異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
実施例4は、前記のように構成されているので、第4の動圧溝54が臨む、段部11e
とスラストリング60の上面61とが対向する個所に形成される微小間隙部に、もう1つ
のアキシャル動圧軸受部(第2のアキシャル動圧軸受部)が形成されることになり、この
第2のアキシャル動圧軸受部で生成される力は、第3の動圧溝53が臨む微小間隙部に形
成されるアキシャル動圧軸受部(第1のアキシャル動圧軸受部)で生成される力、すなわ
ち、軸体30に作用するスラストを受ける力、の方向と反対の方向を向くので、軸体30
を常にエンドプレート20に押し付けるように作用する。この結果、相対回転部(本実施
例4の場合、軸体30と軸体30に支持される負荷部材)の浮上を防止して、第3、第4
の動圧溝53、54がそれぞれ臨むこれらの両微小間隙部の隙間を適切に保ち、軸体30
の相対回転の安定化を図ることができる。
また、スラストリング60が軸受ケース10の段付き円筒孔11の拡径部11dに受け
入れられているので、流体軸受装置1に振動や衝撃が加わっても、軸体30が軸受容器か
ら抜け出る虞がない。
その他、実施例1と同様の効果を奏することができる。
図5は、本願の発明の第5の実施例(実施例5)の流体軸受装置の縦断面図であり、実
施例2および実施例4と対応する部分には同一の符号を付してある。
図5に図示されるように、本実施例5の流体軸受装置1は、実施例2と比較すると、軸
体30の一端部に嵌着されるスラストリング60をさらに備え、軸受ケース10の段付き
円筒孔11は、軸受ケース10の一端部にあってスラストリング60を受け入れる拡径部
11dを有し、該拡径部11dに連なる段部11eに第4の動圧溝54が形成されている
。なお、この第4の動圧溝54は、段部11eに対向するスラストリング60の上面61
に形成されてもよい。また、実施例2において用いられていた軸体30の抜け止め防止用
の環状リング40は、本実施例5においては、廃止されている。
その他の点については、実施例2と異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
実施例5は、前記のように構成されているので、第4の動圧溝54が臨む、段部11e
とスラストリング60の上面61とが対向する個所に形成される微小間隙部に、もう1つ
のアキシャル動圧軸受部(第2のアキシャル動圧軸受部)が形成されることになり、実施
例4と比較して、第1のアキシャル動圧軸受部が形成される個所は異なるが、実施例4の
相対回転部の浮上防止効果と同様の効果を奏することができる。また、実施例4と同様に
、振動や衝撃により軸体30が軸受容器から抜け出る虞もない。
その他、環状リング40が奏する軸体30の抜け止め防止効果の点を除いて、実施例2
と同様の効果を奏することができる。
図6は、本願の発明の第6の実施例(実施例6)の流体軸受装置の縦断面図であり、実
施例3および実施例5と対応する部分には同一の符号を付してある。
図6に図示されるように、本実施例6の流体軸受装置1は、実施例3に実施例5の第2
のアキシャル動圧軸受部に相当する第2のアキシャル動圧軸受部を付加するとともに、実
施例3の環状リング40を廃止したものである。
その他の点については、実施例3と異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
実施例6は、前記のように構成されているので、第4の動圧溝54が臨む、段部11e
とスラストリング60の上面61とが対向する個所に形成される微小間隙部に、もう1つ
のアキシャル動圧軸受部(第2のアキシャル動圧軸受部)が形成されることになり、実施
例5と比較して、第1のアキシャル動圧軸受部もしくはラジアル・アキシャル動圧軸受部
が形成される個所が、段付き円筒孔11の段部11cと段付き軸体30の段部31cの外
表面との間に形成される微小間隙部であるか、段付き円筒孔11のテーパ部11fと段付
き軸体30のテーパ部31f の外表面との間に形成される微小間隙部であるかの点で異な
るが、実施例5の相対回転部の浮上防止効果と同様の効果を奏することができる。また、
実施例5と同様に、振動や衝撃により軸体30が軸受容器から抜け出る虞もない。
その他、環状リング40が奏する軸体30の抜け止め防止効果の点を除いて、実施例3
と同様の効果を奏することができる。
図7は、本願の発明の第7の実施例(実施例7)のスピンドルモータの縦断面図である
。このスピンドルモータは、実施例2の流体軸受装置1(図2参照)と基本構造を同じく
する流体軸受装置を備えている。したがって、以下においては、実施例2の流体軸受装置
1と対応する部分には同一の符号を付して、詳細な重複説明を省略する。
図7に図示されるように、本実施例7のスピンドルモータ70は、そのベース71(こ
のベース71は、後述する記録ディスク駆動装置80の筐体の一部を兼ねている。)の円
筒状壁76の中央円孔内に、流体軸受装置1の軸受ケース10が嵌入・固着されていて、
軸回転型のスピンドルモータを構成している。円筒状壁76は、ベース71の底部の図に
おいて略中央の位置に、底部から上方に突出するようにして形成されている。
流体軸受装置1の段付き軸体30の上端部には、スピンドルモータ70の回転要素をな
し、全体形状が浅い鍔付き皿状のロータハブ72が、皿を伏せた姿勢で、その段付き中央
開口の大径部を段付き軸体30の上端部に嵌着させることにより、固着されていて、ロー
タハブ72が、段付き軸体30と一体に回転することができるようになっている。
ロータハブ72の中央開口よりもやや半径方向外方寄りには、円筒状壁72aが下方に
向けて突設されている。この円筒状壁72aの内周面の下端部は、拡径されていて、そこ
に、拡径部72bが形成されている。この拡径部72bの内周面には、抜け止め用リング
78が嵌着されている。この抜け止め用リング78は、段付き軸体30、ロータハブ72
等からなる回転体(ロータ組立体)の抜け止めを行なうために設けられるものであるが、
その作用の詳細については、後述する。
拡径部72bに対向する軸受ケース10の外周面には、抜け止め用リング78の幅より
も大きい幅の環状溝14が形成されている。前記した抜け止め用リング78の内周部は、
この環状溝14とは接触しない状態で、その内部にまで延びている。したがって、回転体
が回転途中や回転停止時に強い衝撃や振動を受けて軸受ケース10から抜け出そうとして
も、この抜け止め用リング78の内周部が環状溝14の天井面に接触することにより、そ
の抜け出しを防止することができ、抜け止め用リング78は、回転体の回転を阻害するこ
となく、その抜け止めの役割を果たしている。このように、抜け止め用リング78を軸受
ケース10の外側に設けることによって、抜け止め用リング78の幅の分だけ、軸受ケー
ス10の軸方向長さを短くすることができ、また、組立作業も容易になる。
ロータハブ72の外周面には、図示されない磁気ディスクや光ディスク等の情報記録媒
体(記録ディスク)が複数段に装着される。段付き軸体30の上端部の内部には、詳細に
は図示されないが、タップ孔が形成されており、これらの情報記録媒体を上方から押し付
け固定するクランプ部材が、このタップ孔にねじ止めされて、段付き軸体30に固着され
るようになっている。
ベース71の円筒状壁76の外周面には、ステータコアにコイルが捲回されてなるステ
ータ73が嵌着されており、これとわずかの径方向隙間を置いて、永久磁石74が、ステ
ータ73を囲むように円周方向に配置されて、ロータハブ72の周壁の内周面に取り付け
られている。このように、ヨークを介さずにロータハブ72に永久磁石74を直接取り付
けた構造とするためには、ロータハブ72が磁性材料で作られていることが必要である。
そのために適用可能な磁性材料としては、例えば、マルテンサイト系またはフェライト系
ステンレス合金などがある。他方、ロータハブ72がアルミ合金のような非磁性材料で製
作される場合には、磁性材料から成るリング状のヨークをロータハブ72と永久磁石74
との間に介在させる必要がある。
ベース71の下面には、フレキシブル配線基板75が固着されており、この配線基板7
5の出力端より制御電流がステータ73に供給されることにより、永久磁石74、ロータ
ハブ72、段付き軸体30等からなるロータ組立体(回転体)が、ステータ73に対して
回転を始める。
また、本実施例7では、ロータ組立体の回転時、スラスト方向の荷重のバランスを取る
ために、永久磁石74の直下のベース71の底面に、環状の吸引板77が固定されており
、これにより、第3の動圧溝53によって発生される動圧による力の合力の方向とは反対
方向に、この力の合力と同じ大きさの磁力が作用するようになっている。このようにすれ
ば、吸引板77が永久磁石74を引き付けるように作用するので、段付き軸体30牽いて
はロータ組立体を安定に軸受支持することができる。
本実施例7は、前記のように構成されているので、実施例2の流体軸受装置1が奏する
効果と同様の効果を奏することができるとともに、吸引板77と永久磁石74との間に働
く磁気力の作用により、段付き軸体30牽いてはロータ組立体の相対回転の安定化を図る
ことができ、動力損失が少なく、信頼性の高いスピンドルモータ70を得ることができる。
なお、本実施例7のスピンドルモータ70には、この実施例2の流体軸受装置1に代え
て、実施例1、3の流体軸受装置1もしくはそれらの変形例を適用することも可能である。
図8は、本願の発明の第8の実施例(実施例8)のスピンドルモータの縦断面図である
。図8に図示されるところからも明らかなように、本実施例8のスピンドルモータ70は
、実施例7のスピンドルモータ70と比較すると、その流体軸受装置1が実施例4の流体
軸受装置1(図4参照)と置き換えられていること、これに伴い、抜け止め用リング78
およびその関連構成、吸引板77が省略されていること、の点で異なっているが、その他
の点で異なるところはない。したがって、以下においては、実施例7のスピンドルモータ
70および実施例4の流体軸受装置1と対応する部分には同一の符号を付して、詳細な説
明を省略する。
本実施例8のスピンドルモータ70は、前記のように構成されているので、実施例4の
流体軸受装置1が奏する効果と同様の効果を奏することができるとともに、実施例7のス
ピンドルモータ70と比較すると、その製作および組立が容易になる。
なお、本実施例8のスピンドルモータ70には、この実施例4の流体軸受装置1に代え
て、実施例5、6の流体軸受装置1もしくはそれらの変形例を適用することも可能である。
図9は、本願の発明の第9の実施例(実施例9)の記録ディスク駆動装置の縦断面図で
ある。
図9に図示されるところからも明らかなように、本実施例9の記録ディスク駆動装置8
0は、実施例7のスピンドルモータ70を備えている。このスピンドルモータ70の本体
部は、ベース(筐体の一部に相当)71の底部の図9において中央よりやや左端寄りに設
けられていて、上方よりカバー部材81により覆われている。このカバー部材81は、ベ
ース71内を密閉して、その内部を塵埃等が極度に少ないクリーンな空間に形成する。カ
バー部材81とベース71とにより、記録ディスク駆動装置80の筐体が形成される。
記録ディスク駆動装置80は、これらスピンドルモータ70、該スピンドルモータ70
を収容・固定するベース71、カバー部材81と、磁気ディスク82と、該磁気ディスク
82のクランプ部材83と、該磁気ディスク82に対して情報を書き込みおよび/または
読み出しするための記録ヘッド84と、該記録ヘッド84を支持するアーム85と、該記
録ヘッド84およびアーム85を所要の位置に移動させるボイスコイルモータ86とによ
り構成されている。磁気ディスク82は、ロータハブ72に2枚装着されているが、その
枚数は、これに限定されるものではない。磁気ディスク82は、ロータハブ72の回転と
ともに回転する。
記録ヘッド84は、ベース71の底部の適宜個所に旋回自在に支持されたアーム85に
固定されたヘッド・スタック・アッセンブリの先端部に、上下一対となるように取り付け
られている。この上下一対の記録ヘッド84は、1枚の磁気ディスク82を挟むように配
置され、磁気ディスク82の両面に対して情報の書き込みおよび/または読み出しを行な
うようになっている。従って、磁気ディスク82の1枚毎に一対の記録ヘッド84が設け
られている。本磁気ディスク駆動装置80では、磁気ディスク82が2枚の構成となって
いるために、図のように、記録ヘッド84が2対設けられているが、磁気ディスク82の
枚数は、これに限定されるものではない。
本実施例9の磁気ディスク駆動装置80は、前記のように構成されており、実施例1〜
3の流体軸受装置1もしくはその変形例のうちのいずれかが適用されて得られた実施例7
のスピンドルモータ70が適用されて構成されているので、簡単な構造により、必要な軸
受剛性を備えつつ、振動が起こりにくく、できるだけ軸損トルクを低減して、動力消費を
削減した、信頼性の高いスピンドルモータおよび該スピンドルモータを備えた記録ディス
ク駆動装置を提供することが可能になる。
本実施例9の磁気ディスク駆動装置80には、また、実施例7のスピンドルモータ70
に代えて、実施例8のスピンドルモータ70を適用することも可能であり、このようにし
て構成された磁気ディスク駆動装置80も、本実施例9の磁気ディスク駆動装置80と略
同様の効果を奏することができる。
以上、本願の発明の第1〜第9の実施例(実施例1〜9)について説明したが、本願の
発明は、以上の実施例に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が
可能である。
例えば、実施例9においては、実施例7もしくは実施例8のスピンドルモータ70が、
磁気ディスク駆動装置80に適用されたが、磁気ディスクに代えて、CDやDVD等の記
録ディスクとされてもよく、そのスピンドルモータ70は、これらの記録ディスクを駆動
するための記録ディスク駆動装置に適用されてもよいものである。
本願の発明の第1の実施例(実施例1)を示す流体軸受装置の縦断面図である。 本願の発明の第2の実施例(実施例2)を示す流体軸受装置の縦断面図である。 本願の発明の第3の実施例(実施例3)を示す流体軸受装置の縦断面図である。 本願の発明の第4の実施例(実施例4)を示す流体軸受装置の縦断面図である。 本願の発明の第5の実施例(実施例5)を示す流体軸受装置の縦断面図である。 本願の発明の第6の実施例(実施例6)を示す流体軸受装置の縦断面図である。 本願の発明の第7の実施例(実施例7)を示すスピンドルモータの縦断面図である。 本願の発明の第8の実施例(実施例8)を示すスピンドルモータの縦断面図である。 本願の発明の第9の実施例(実施例9)を示す記録ディスク駆動装置の縦断面図である。 従来の流体軸受装置が使用された軸回転型スピンドルモータの縦断面図である。
符号の説明
1…流体軸受装置、10…軸受ケース、11…(段付き)円筒孔、11a…大径部、1
1b…小径部、11c…段部、11d…拡径部、11e…段部、11f…テーパ部、12
…環状凹溝、13…シール部、14…環状溝、20…エンドプレート、21…エンドプレ
ート内表面、30…(段付き)軸体、31a…大径部、31b…小径部、31c…段部、
31f…テーパ部、32…環状凹溝、33…軸体下端面、40…環状リング、51…第1
の動圧溝、52…第2の動圧溝、53…第3の動圧溝、54…第4の動圧溝、60…スラ
ストリング、61…上面、62…下面、70…スピンドルモータ、71…ベース、72…
ロータハブ、72a…円筒状壁、72b…拡径部、73…ステータ、74…永久磁石、7
5…フレキシブル配線基板、76…円筒状壁、77…吸引板、78…抜け止め用リング、
80…記録ディスク駆動装置、81…カバー部材、82…磁気ディスク、83…クランプ
部材、84…記録ヘッド、85…アーム、86…ボイスコイルモータ。




Claims (11)

  1. 中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエン
    ドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプレートとにより形成される軸受容器内に少
    なくともその一部が挿入されて支持される軸体と、を備えて成る流体軸受装置において、
    前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部側の大径部と、前記軸受ケースの
    一端部側の小径部とを有する段付き円筒孔にされ、
    前記軸体は、前記段付き円筒孔の大径部と小径部とにそれぞれ対向する大径部と小径部
    とを有する段付き軸体にされ、
    前記段付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれかには、第1
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部の外周面とのいずれかには、第2
    の動圧溝が形成され、
    前記エンドプレートの内表面と前記段付き軸体の一端部側の端面とのいずれかには、第
    3の動圧溝が形成され、
    前記第1の動圧溝、前記第2の動圧溝および前記第3の動圧溝がそれぞれ臨む各対向面
    間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填された
    ことを特徴とする流体軸受装置。
  2. 中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエン
    ドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプレートとにより形成される軸受容器内に少
    なくともその一部が挿入されて支持される軸体と、を備えて成る流体軸受装置において、
    前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部側の大径部と、前記軸受ケースの
    一端部側の小径部とを有する段付き円筒孔にされ、
    前記軸体は、前記段付き円筒孔の大径部と小径部とにそれぞれ対向する大径部と小径部
    とを有する段付き軸体にされ、
    前記段付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれかには、第1
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部の外周面とのいずれかには、第2
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の段部と前記段付き軸体の段部の表面とのいずれかには、第3の動圧
    溝が形成され、
    前記第1の動圧溝、前記第2の動圧溝および前記第3の動圧溝がそれぞれ臨む各対向面
    間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填された
    ことを特徴とする流体軸受装置。
  3. 中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエン
    ドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプレートとにより形成される軸受容器内に少
    なくともその一部が挿入されて支持される軸体と、を備えて成る流体軸受装置において、
    前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部側の大径部と、前記軸受ケースの
    一端部側の小径部と、これら大径部と小径部とを接続するテーパ部とを有する段付き円筒
    孔にされ、
    前記軸体は、前記段付き円筒孔の大径部と小径部とテーパ部とにそれぞれ対向する大径
    部と小径部とテーパ部とを有する段付き軸体にされ、
    前記段付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれかには、第1
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部の外周面とのいずれかには、第2
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔のテーパ部と前記段付き軸体のテーパ部の外周面とのいずれかには、
    第3の動圧溝が形成され、
    前記第1の動圧溝、前記第2の動圧溝および前記第3の動圧溝がそれぞれ臨む各対向面
    間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填された
    ことを特徴とする流体軸受装置。
  4. 前記軸受ケースの円筒孔に形成された環状凹溝と前記軸体の外周面に形成された環状凹
    溝とに跨がるようにして、前記軸体の抜け止め防止用の環状リングが挿入されたことを特
    徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の流体軸受装置。
  5. 前記軸体の上端部に、回転要素をなすロータハブが嵌着された流体軸受装置であって、
    前記軸受ケースの上端部の外周面に、環状凹溝が形成され、
    前記環状凹溝に臨む前記ロータハブの面に、前記環状凹溝の幅よりも小さい幅を有する
    環状リングが固定されて、前記環状凹溝内に位置するようにして設けられており、これに
    より、前記軸体の抜け止めを行なうようにされている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の流体軸受装置。
  6. 中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエン
    ドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプレートとにより形成される軸受容器内に少
    なくともその一部が挿入されて支持される軸体と、前記軸体の一端部に嵌着されるスラス
    トリングと、を備えて成る流体軸受装置において、
    前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部側の大径部と、前記軸受ケースの
    一端部側の小径部と、前記軸受ケースの一端部にあって前記スラストリングを受け入れる
    ための拡径部と、を有する段付き円筒孔にされ、
    前記軸体は、前記段付き円筒孔の大径部と小径部とにそれぞれ対向する大径部と小径部
    とを有する段付き軸体にされ、
    前記段付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれかには、第1
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部の外周面とのいずれかには、第2
    の動圧溝が形成され、
    前記エンドプレートの内表面と前記スラストリングの下面とのいずれかには、第3の動
    圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の拡径部に連なる段部と該段部に対向する前記スラストリングの上面
    とのいずれかには、第4の動圧溝が形成され、
    前記第1の動圧溝、前記第2の動圧溝、前記第3の動圧溝および前記第4の動圧溝がそ
    れぞれ臨む各対向面間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填された
    ことを特徴とする流体軸受装置。
  7. 中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエン
    ドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプレートとにより形成される軸受容器内に少
    なくともその一部が挿入されて支持される軸体と、前記軸体の一端部に嵌着されるスラス
    トリングと、を備えて成る流体軸受装置において、
    前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部側の大径部と、前記軸受ケースの
    一端部側の小径部と、前記軸受ケースの一端部にあって前記スラストリングを受け入れる
    ための拡径部と、を有する段付き円筒孔にされ、
    前記軸体は、前記段付き円筒孔の大径部と小径部とにそれぞれ対向する大径部と小径部
    とを有する段付き軸体にされ、
    前記段付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれかには、第1
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部の外周面とのいずれかには、第2
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の段部と前記段付き軸体の段部の表面とのいずれかには、第3の動圧
    溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の拡径部に連なる段部と該段部に対向する前記スラストリングの上面
    とのいずれかには、第4の動圧溝が形成され、
    前記第1の動圧溝、前記第2の動圧溝、前記第3の動圧溝および前記第4の動圧溝がそ
    れぞれ臨む各対向面間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填された
    ことを特徴とする流体軸受装置。
  8. 中心部に円筒孔を有する筒状の軸受ケースと、前記軸受ケースの一端部を閉塞するエン
    ドプレートと、前記軸受ケースと前記エンドプレートとにより形成される軸受容器内に少
    なくともその一部が挿入されて支持される軸体と、前記軸体の一端部に嵌着されるスラス
    トリングと、を備えて成る流体軸受装置において、
    前記軸受ケースの円筒孔は、前記軸受ケースの他端部側の大径部と、前記軸受ケースの
    一端部側の小径部と、これら大径部と小径部とを接続するテーパ部と、前記軸受ケースの
    一端部にあって前記スラストリングを受け入れるための拡径部と、を有する段付き円筒孔
    にされ、
    前記軸体は、前記段付き円筒孔の大径部と小径部とテーパ部とにそれぞれ対向する大径
    部と小径部とテーパ部とを有する段付き軸体にされ、
    前記段付き円筒孔の大径部と前記段付き軸体の大径部の外周面とのいずれかには、第1
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の小径部と前記段付き軸体の小径部の外周面とのいずれかには、第2
    の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔のテーパ部と前記段付き軸体のテーパ部の外周面とのいずれかには、
    第3の動圧溝が形成され、
    前記段付き円筒孔の拡径部に連なる段部と該段部に対向する前記スラストリングの上面
    とのいずれかには、第4の動圧溝が形成され、
    前記第1の動圧溝、前記第2の動圧溝、前記第3の動圧溝および前記第4の動圧溝がそ
    れぞれ臨む各対向面間の微小間隙には、動圧発生用の潤滑油が充填された
    ことを特徴とする流体軸受装置。
  9. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の流体軸受装置を備えたスピンドルモータで
    あって、
    ステータと、
    前記軸体の上端部に嵌着された回転要素をなすロータハブと、該ロータハブに嵌着され
    、前記ステータと協働して回転磁界を発生するロータマグネットとからなり、前記ハウジ
    ングに対して回転自在に設けられたロータと
    を備え、
    前記流体軸受装置は、前記ロータの回転を支持しており、
    前記ロータは、前記流体軸受装置内のアキシャル方向の荷重を受ける動圧を発生させる
    ための動圧溝で発生する動圧が作用する方向とは反対方向に磁気力で吸引され、これらの
    動圧と磁気力とがバランスすることによって、その荷重が支持されている
    ことを特徴とするスピンドルモータ。
  10. 請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の流体軸受装置を備えたスピンドルモータで
    あって、
    ステータと、
    前記軸体の上端部に嵌着された回転要素をなすロータハブと、該ロータハブに嵌着され
    、前記ステータと協働して回転磁界を発生するロータマグネットとからなり、前記ハウジ
    ングに対して回転自在に設けられたロータと
    を備え、
    前記流体軸受装置は、前記ロータの回転を支持している
    ことを特徴とするスピンドルモータ。
  11. 請求項9または請求項10に記載のスピンドルモータを備えた記録ディスク駆動装置で
    あって、
    記録ディスクに情報を書き込みおよび/または読み出しするための記録ヘッドを備え、
    前記スピンドルモータが、前記記録ディスクを回転駆動する
    ことを特徴とする記録ディスク駆動装置。
















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