JP2005154538A - 超低硫黄軽油基材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決方法】 以下の(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする硫黄含有量が1質量ppm以下の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
(1)硫黄分1.6質量%以下の軽油留分を、LHSV0.05〜1.2h-1、水素/油比200〜800NL/L、反応温度300〜390℃、水素分圧2〜9MPaの条件下で水素化脱硫する工程
(2)工程(1)から生成油を回収する工程
(3)工程(2)で回収された生成油から、除去される軽質留分の終点が200℃以上となるように、大気圧より低い圧力下において軽質留分を当該生成油の全量に対して0.1〜8容量%除去する工程
【選択図】 なし
Description
しかしながら、硫黄分の多い軽油を燃料とした場合には、これらの排出ガス浄化装置の劣化が著しいことが指摘されている。排ガス浄化装置では、燃料に由来する硫黄分によって被毒を受けるが、硫黄分のレベルが500質量ppm、50質量ppmあるいは10質量ppmなどと比較して、1質量ppm以下となると被毒の影響が飛躍的に低減されると言われている。これは、硫黄分が1質量ppm以下となると、硫黄そのものの被毒が低減するだけでなく、硫黄被毒を除去する工程による排出ガス除去装置の劣化をも抑制し、相乗的に排ガス浄化装置の寿命が延びるためである。特に走行距離の長い輸送用トラックなどでは排ガス浄化装置の寿命がコストに直結するため、可能な限り排ガス浄化装置への影響を少なくすることが強く切望されており、軽油の硫黄分を一層低減することが不可欠となっている。
しかしながら、石油精製プラントで実際に操業している脱硫のレベルは、最も厳しい場合でも10質量ppm程度である。本発明者らは、実際の軽油脱硫装置において脱硫反応を極限まで進行させて有機硫黄化合物を除去し得る反応速度論的に充分な条件を与えて脱硫を行ってみたが、あるレベルから先はどうしても脱硫が進行しないことを確認した。そのため通常の脱硫方法では、硫黄分を1質量ppm以下にまで脱硫することができないことが分かった。これまで実際の軽油脱硫装置を用いて硫黄分1質量ppm以下の軽油を製造した例が見あたらないのはこのような現象も一因と推測される。
(1)硫黄分1.6質量%以下の軽油留分を、LHSV0.05〜1.2h-1、水素/油比200〜800NL/L、反応温度300〜390℃、水素分圧2〜9MPaの条件下で水素化脱硫する工程
(2)工程(1)から生成油を回収する工程
(3)工程(2)で回収された生成油から、除去される軽質留分の終点が200℃以上となるように、大気圧より低い圧力下において軽質留分を当該生成油の全量に対して0.1〜8容量%除去する工程
本発明において用いられる軽油留分としては、一般的な原油から常圧蒸留装置によって分留された直留軽油留分を用いることができる。また、流動接触分解(FCC)装置、水素化分解装置、重油脱硫装置などから生成する軽油留分を混合して用いることができる。ただし、脱硫反応性が低下するため、直留軽油留分以外の軽油留分の混合割合は全体の30容量%以下であることが好ましい。
また、軽油留分の窒素分含有量は200質量ppm以下であることが好ましく、180質量ppm以下であることがさらに好ましい。これより多い場合には脱硫反応性が極度に低下し、脱硫が進行しにくくなるおそれがある。
なお、ここでいう硫黄分含有量とは、JIS K 2541「硫黄分試験方法」またはASTM−D5453に記載の方法に準拠して測定される軽油全量を基準とした硫黄分の質量含有量を意味する。また窒素分含有量とは、JIS K2609「窒素分試験方法」またはASTM−D4629、D−5762に記載の方法に準拠して測定される軽油全量を基準とした窒素分の質量含有量を意味する。
第一工程である水素化脱硫工程における運転条件は、LHSVは0.05〜1.2h-1であり、好ましくはLHSV0.08〜1.0h-1、より好ましくは0.1〜0.7h-1、さらに好ましくは0.15〜0.5h-1である。LHSVが1.2h-1より高い場合には脱硫反応が充分に進行せず、0.05h-1より低い場合には原料油供給ポンプなどでの運転制約が生じる。
また、水素/油比は200〜800NL/Lであり、好ましくは350〜800NL/L、より好ましくは450〜800NL/L、さらに好ましくは500〜750NL/Lである。水素/油比が800NL/Lより高い場合には既存コンプレッサーでの運転制約が生じ、200NL/Lより低い場合には副生する硫化水素の除去が不十分となる。
また、反応温度は300〜390℃であり、好ましくは305〜380℃、より好ましくは310〜370℃である。反応温度が300℃より低い場合には、脱硫反応が充分に進行せず、390℃より高い場合には分解反応が進行し液回収率が低下するとともに、副生硫化水素と分解生成物との付加反応が進み、1質量ppm以下への脱硫が困難になる。
また、水素分圧は2〜9MPaであり、好ましくは3〜8.5MPaであり、より好ましくは4〜8MPaである。水素分圧が2MPaより小さい場合には脱硫反応が充分に進行せず、8MPaより高い場合には既存コンプレッサーでの運転制約が生じる。
第二工程における生成油の回収は、気液分離処理および/またはストリッピング処理により行うことができる。
気液分離処理は、生成物を気相と液相に分離する操作であり、一般的には容器内に生成物を入れ、容器上部から気相を、下部から液相をそれぞれ分離回収する。気相には原料油とともに随伴してきた水素ガスや脱硫反応で副生する硫化水素、あるいは分解等によって生成した炭素数の少ない軽質炭化水素ガスなどが回収される。回収された気相の水素ガス濃度が多い場合には、状況に応じて硫化水素を除去、あるいはそのままリサイクルして原料油に混合される。ただし、一般的な商業装置では、一段で完全に気液を分離しうるような高い分離効率を有する気液分離装置を有しているのものではないため、後段のストリッピング操作で分離される軽質炭化水素、ガス分もある。また、一段ではなく複数の気液分離処理を行ってもよい。分離圧力は特に限定されないが、分離容器内は反応塔圧力に相応した圧力がかかっており、複数段の気液分離容器を有する場合には、後段の分離容器の圧力は1段目より低くなることは言うまでもない。また、分離温度も特に限定されないが分離容器に送られる間に熱交換器を経由することにより適宜反応塔出口の温度より低くなっている場合が多い。いずれにしても装置構成によって分離条件は異なり、化学工学的に計算することによって分離効率を計算し、分離条件や装置構成を設定することができるが、一般的には、圧力は1.5〜9MPaであることが好ましく、好ましくは2〜8.5MPaであり、より好ましくは2.5〜8MPaである。圧力が1.5MPaより低い場合には反応圧力との差が大きく、圧力を下げるための新たな操作が必要となり、9MPaより大きい場合には反応圧力より高いとなるので、新たな加圧操作が必要となりいずれにおいても新たな設備が必要となる。また、温度は100〜300℃であることが好ましく、好ましくは120〜290℃であり、より好ましくは150〜280℃である。温度が100℃より低い場合には、反応温度との差が大きいため生成物温度を下げるために新たな冷却装置が必要となる。
第二工程では、気液分離処理を行った後、ストリッピング処理を行い、生成油を回収することが好ましい。
なお、第三工程の装置へ注入する第二工程の生成油の温度は、第三工程の装置の減圧度との関係で適宜調整することができる。好ましくは第三工程の装置入口で60〜200℃、より好ましくは90〜195℃、さらにより好ましくは100〜190℃である。
第三工程では、大気圧より低い圧力下、好ましくは絶対圧力として0.3〜70KPa、より好ましくは0.5〜30KPa、さらに好ましくは1〜20KPaの減圧下にて軽質留分の除去が行われる。0.3KPaより低い場合には、軽油留分の収率が減少し、70KPaより高い場合には、除去効果が低下するため好ましくない。
なお、除去する軽質留分の留分温度および容量は、第三工程における装置の減圧度を調整することによって制御することができる。
触媒充填量150立方メートルの水素化脱硫装置に、アルミナ担体にコバルト−モリブデンを担持した市販脱硫触媒を充填し、240℃以上の温度を与えながらジメチルジサルファイドと水素によって予備硫化を行った。
この水素化脱硫装置に、硫黄分含有量1.21質量%、窒素分含有量140質量ppm、10容量%留出点222℃、50容量%留出点277℃、90容量%留出点330℃の直留軽油を通油して、水素圧力6MPa、LHSV0.5h-1、反応温度360℃、水素/油比510NL/Lの条件下で水素化脱硫を行った。
次に、水素化脱硫処理物を気液分離槽およびスチーム式ストリッパーにより液分を回収した。
ストリッパー塔底油(第2工程で得られた生成油)から、減圧装置入口部での油温122℃とし、絶対圧力7.6KPaで初留点35℃、10%留出点88℃、40%留出点143℃、50%留出点163℃、蒸留終点265℃の留分を、塔底油全量に対して3.6容量%除去した。除去後の生成油(軽油基材)の硫黄分は0.3質量ppm、ASTM色は0.5以下であった。
実施例1において、ストリッパー塔底油から軽質留分を除去することなく回収し、その液分の硫黄分を測定したところ1.5質量ppmであった。
実施例1において、減圧条件で軽質留分を除去する装置の入口部での油温118℃とし、絶対圧力6.9KPaで実施例1と同様の操作によりストリッパー塔底油から初留点28℃、10%留出点55℃、40%留出点78℃、50%留出点91℃、蒸留終点151℃となる留分を2.3容量%除去した。得られた生成油の硫黄分は1.2質量ppmであった。
Claims (9)
- 以下の(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする硫黄含有量が1質量ppm以下の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
(1)硫黄分1.6質量%以下の軽油留分を、LHSV0.05〜1.2h-1、水素/油比200〜800NL/L、反応温度300〜390℃、水素分圧2〜9MPaの条件下で水素化脱硫する工程
(2)工程(1)から生成油を回収する工程
(3)工程(2)で回収された生成油から、除去される軽質留分の終点が200℃以上となるように、大気圧より低い圧力下において軽質留分を当該生成油の全量に対して0.1〜8容量%除去する工程 - 前記工程(2)が、気液分離処理および/またはストリッピング処理を行うことにより生成油を回収する工程であることを特徴とする請求項1に記載の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
- 前記ストリッピング処理がスチームによるストリッピングであることを特徴とする請求項2に記載の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
- 水素化脱硫工程に用いる触媒が、活性金属としてコバルト−モリブデン、ニッケル−モリブデン、およびコバルト−ニッケル−モリブデンから選択される少なくとも一種類の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
- 原料油となる軽油留分の90容量%留出点が345℃未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
- 原料油となる軽油留分のうち、沸点265℃未満である留分が全体の10容量%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
- 原料油となる軽油留分の90容量%留出点と50容量%留出点の差が40℃以上であり、50容量%留出点と10容量%留出点との差が50℃以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
- 原料油となる軽油留分に含まれる窒素分が200質量ppm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
- 生成軽油基材の色相がASTM色で1.5以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の超低硫黄軽油基材を製造する方法。
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JP2003393582A JP2005154538A (ja) | 2003-11-25 | 2003-11-25 | 超低硫黄軽油基材の製造方法 |
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JP2007284565A (ja) * | 2006-04-17 | 2007-11-01 | Cosmo Oil Co Ltd | 水素化処理方法および脱硫軽油基材の製造方法 |
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