JP2005146407A - 高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板及び超高強度鋼管並びにそれらの製造方法 - Google Patents

高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板及び超高強度鋼管並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高速延性破壊特性を適正に評価し得る簡便な試験方法を確立し、それにより得た知見に基づいて、高速延性破壊特性に優れた引張強さ800MPa以上の超高強度鋼板及び超高強度鋼管並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】 ミクロ組織が、面積率で1〜5%もしくは5%超〜60%のフェライト及び残部がベイナイト・マルテンサイトからなり、圧延方向を軸として圧延面から45°回転させた断面の(100)の集積度が3以下であることを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板及び該鋼板を母材とする鋼管。フェライトの平均粒径が5μm以下であることが望ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、天然ガス・原油輸送用ラインパイプ等に好適な、800MPa以上の引張強さ(TS)を有する高速延性破壊特性に優れた超高強度ラインパイプに関する。
近年、原油・天然ガスのパイプラインにおいて、輸送効率の向上を目的とした高内圧化や現地施工能率の向上を目的としたラインパイプの外径、重量の低減が要求され、X100(引張強さ760MPa以上)を超える高強度鋼管の開発が進められている(例えば、特許文献1、2)。
また、パイプラインでは、鋼管の母材に発生した延性亀裂が管軸方向に100m/s以上もの高速で、100mから数kmにも及ぶ長距離を伝播する可能性があり、耐アレスト性が要求される。耐アレスト性は、亀裂の伝播を停止させる特性であり、脆性亀裂が母材を伝播して停止する特性、即ち耐脆性破壊特性と、延性亀裂が母材を伝播して停止する特性、即ち高速延性破壊特性に分類される。
耐脆性破壊特性は、落重破壊試験(rop eight ear est、DWTT試験という)を行い、延性破面率が85%以上になる温度(DWTT遷移温度という)で評価される。脆性亀裂は溶接部から発生することが多く、試験片の中央部に溶接ビードを形成して脆性亀裂を導入し、DWTT試験を行って評価した耐脆性破壊特性に優れた鋼管が提案されている(例えば、特許文献3)。
これに対して、高速延性破壊特性の評価には、鋼管の表面に爆薬を装着後、爆発させて発生した延性亀裂が停止するか否かを判定するフルクラックバーストテストが最適である。しかし、フルクラックバーストテストは、試験に要するコストが非常に高いため、従来、フルクラックバーストテストの結果と比較的よく一致するシャルピー吸収エネルギー又はDWTT試験によって求められる吸収エネルギー(DWTT吸収エネルギーという)で評価されていた。
しかし、フルクラックバーストテストとシャルピー吸収エネルギー及びDWTT吸収エネルギーに良い相関が認められていたのは、X65程度の強度を有する鋼材であり、X100超の超高強度鋼では、高速延性破壊特性の評価にシャルピー衝撃試験及びDWTT試験が適していないことがわかった。そのため、試験コストが高いフルクラックバーストテストの代替として、高速延性破壊特性を簡便に評価し得る試験方法が必要とされ、その試験によって得られた知見を活用し、高速延性破壊特性に優れた鋼管の開発が要望されていた。
特開平9−41074号公報 特開平9−41080号公報 特開平11−36042号公報
本発明は、高速延性破壊特性を適正に評価し得る簡便な試験方法を確立し、それにより得た知見に基づいて、高速延性破壊特性に優れた引張強さ800MPa以上(API規格X100以上)の超高強度鋼管及びその製造方法を提供するものである。
本発明者は、引張強さが800MPa以上の超高強度鋼管の高速延性破壊特性を適正に評価し得る簡便な試験方法について検討を行い、更に高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管を得るための母材の成分及びミクロ組織について検討を行い、ミクロ組織、集合組織を最適化することが有効であるという知見を得、更に製造条件について検討を行い、高速延性超高強度鋼板及び鋼管並びにそれらの製造方法を発明するに至った。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ミクロ組織が、面積率で1〜5%のフェライト及び残部がベイナイト・マルテンサイトからなり、圧延方向を軸として圧延面から45°回転させた断面の(100)の集積度が3以下であることを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板。
(2)ミクロ組織が、面積率で5%超〜60%のフェライト及び残部がベイナイト・マルテンサイトからなり、圧延方向を軸として圧延面から45°回転させた断面の(100)の集積度が3以下であることを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板。
(3)フェライトの平均粒径が5μm以下であることを特徴とする(2)に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板。
(4)質量%で、
C :0.03〜0.10%、
Si:0.01〜0.6%、
Mn:1.5〜2.5%、
P :0.015%以下、
S :0.003%以下、
Ni:0.1〜2.0%、
Mo:0.15〜0.60%、
Nb:0.001〜0.10%、
Ti:0.005〜0.030%、
Al:0.06%以下
を含有し、更に、
B :0.0001〜0.005%、
N :0.0001〜0.006%、
V :0.001〜0.10%、
Cu:0.01〜1.0%、
Cr:0.01〜0.8%、
Zr:0.0001〜0.005%、
Ta:0.0001〜0.005%、
Ca:0.0001〜0.01%、
REM:0.0001〜0.01%、
Mg:0.0001〜0.006%
の1種又は2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする(2)または(3)に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼板の製造方法であって、(4)の成分からなる鋼を溶製、連続鋳造後、鋼片を1100〜1250℃に再加熱することを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(6)再加熱後、900℃以上の再結晶域で熱間圧延を行うことを特徴とする(5)に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(7)再加熱後、またはこれに引き続いた再結晶域圧延の後、880℃以下の未再結晶域で、累積圧下量が60%以上の熱間圧延を行うことを特徴とする(5)または(6)に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(8)再加熱後、またはこれに引き続いた再結晶域圧延の後、880℃以下で未再結晶域圧延を開始し、600〜800℃の未再結晶域で熱間圧延を終了し、鋼板中心部の平均冷速で600〜350℃の範囲を0.5〜10℃/s以下で冷却することを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(9)母材が(1)〜(4)のいずれかに記載の超高強度鋼板からなることを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管。
(10)溶接金属の成分が、質量%で、
C :0.04〜0.14%、
Si:0.05〜0.4%、
Mn:1.2〜2.2%、
P :0.01%以下、
S :0.010%以下、
Ni:1.3〜3.2%、
Cr+Mo+V:1.0〜2.5%、
Ti:0.003〜0.050%、
Al:0.02%以下、
B:0.005%以下、
O:0.01〜0.03%
を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする(9)に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管。
(11)(9)または(10)に記載の鋼管の製造方法であって、(1)〜(4)のいずれかに記載の超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接し、その後、拡管を行うことを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
(12)端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行う際に、1.5〜3.5kJ/mmの入熱にて溶接した後、拡管を行うことを特徴とする(11)に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
(13)質量%で、
C :0.01〜0.12%、
Si:0.3%以下、
Mn:1.2〜2.4%、
Ni:4.0〜8.5%、
Cr+Mo+V:3.0〜5.0%、
Ti:0.005〜0.15%、
Al:0.02%以下
を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる溶接ワイヤーを用いてサブマージドアーク溶接することを特徴とする(11)または(12)に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
本発明により、高速延性破壊特性に優れた引張強さ800MPa以上(API規格X100以上)の超高強度鋼管及びその製造方法の提供が可能になり、産業上の貢献が極めて顕著である。
本発明者は、鋼板の高速延性破壊特性を評価する方法について検討を行った。高速延性破壊特性は、伝播する亀裂が停止する特性であるから、亀裂の伝播のエネルギーと相関があると考えられる。そこで、種々の鋼材を用いて、シャルピー衝撃試験における荷重−変位曲線を求め、亀裂の発生のエネルギーと伝播のエネルギーを分離して評価した。その結果、800MPa以上の超高強度鋼では亀裂の発生のエネルギーが、伝播のエネルギーよりも非常に大きいことがわかった。即ち、シャルピー衝撃試験で測定した吸収エネルギーは、亀裂の発生と伝播のエネルギーを同時に評価する試験であり、亀裂の伝播のエネルギーとの相関が大きい高速延性破壊特性の評価には適さないことがわかった。これは、DWTT試験でも同様である。
本発明者は、次に、亀裂の伝播のエネルギーを適正に評価するための試験方法について検討を行った。板厚方向に対する板幅方向の比が大きいほど亀裂は45°方向に進展するため、DWTT試験片を用いた(フルクラックバーストテストでは亀裂は45°方向に進展している)。更に、ノッチの先端を鋭くして、亀裂の発生のエネルギーを低下させる方法として、楔状の治具に圧力を加えるプレスノッチを導入し、更に3点曲げによって延性亀裂を導入する方法を検討した。
その結果、プレスノッチを試験片の中央に導入し、プレスノッチの反対側の中央部とプレスノッチ側の両端と荷重を加える3点曲げを行う際に、最大荷重に達した後、最大荷重の5%までの範囲で荷重が低下した時点で停止し、延性亀裂を導入した試験片を用いて、DWTT試験(以下、プリクラックDWTT試験という)を行えば、得られた吸収エネルギー(プリクラックDWTTエネルギーという)によって、亀裂の伝播のエネルギーを適正に評価できることがわかった。
更に、プリクラックDWTT試験によって、鋼板の高速延性破壊特性が向上する要因について検討を行った。まず、0.05C−2Mn−Ni−Cu−Cr−Mo−Ti−B系の鋼板のプリクラックDWTTエネルギーとミクロ組織との関係を明確にするために検討を行った。光学顕微鏡を用いて鋼板のミクロ組織を観察し、フェライトの面積率を測定し、プリクラックDWTTエネルギーとフェライトの面積率との関係を調査した。その結果、図1に示すように、プリクラックDWTTエネルギーは、ミクロ組織のフェライトの面積率と相関があることがわかった。
更に、本発明者は、プリクラックDWTTエネルギーと集合組織の関係を詳細に調査した。その結果、図2に示すように、圧延方向から45°方向の板厚断面での(100)面の集積が3以上になるとプリクラックDWTTエネルギーが著しく低下することがわかった。なお、(100)面の集積は、X線回折による強度の測定値が、ランダムな方位を有する標準試料の何倍であるかによって評価する。即ち、(100)面の集積が3とは、ランダムな方位を有する標準試料に比べて、(100)面の強度が3倍であることを意味する。
圧延方向を軸として圧延面から45°回転した面の断面(この面の法線方向をD方向という)の(100)面の集積とプリクラックDWTTエネルギーに相関が認められる理由は、延性破壊の亀裂が圧延方向から45°の方向に進展し、この方向に鋼の劈開面に相当する(100)面が集積すると、亀裂が一気に伝播するためであると考えられる。また、D方向の板厚断面で、(100)面が集積した部位のミクロ組織を観察した結果、主にベイナイト・マルテンサイトであることがわかった。即ち、熱間圧延後のオーステナイトはD方向の板厚断面に(100)が集積している。一方、熱間圧延後のフェライトは圧延方向の板厚断面に(100)が集積している。したがって、熱間圧延後のフェライト分率を増加させれば、D方向の板厚断面への(100)の集積度が低下し、延性亀裂の伝播を抑制できる。
また、このような鋼板を製造する方法について詳細に検討を行った。ミクロ組織がフェライトとベイナイト・マルテンサイトの2相からなる800MPa以上の引張強度を有する高強度鋼を製造する際に、熱間圧延の仕上げ温度をAr3点以下とし、水冷するとフェライトが生成する。本発明者は、0.05C−2Mn−Ni−Cu−Cr−Mo−Ti−B系の鋼板を種々の条件で製造し、熱間圧延の仕上温度とフェライトの面積率の関係を調査した。その結果、図3に示したように、熱間圧延の仕上温度とフェライトの面積率には相関があることがわかった。
以下、本発明について詳細に説明する。
フェライトの面積率は、1%未満ではD方向の板厚断面に(100)面が集積したベイナイト・マルテンサイトが多くなり、耐高速延性破壊特性が低下する。一方、フェライトの面積率が60%超では、強度が低下する。強度と耐高速延性破壊特性のバランスを考慮すると、フェライトの面積率は、好ましくは5%超〜20%以下である。残部はベイナイト・マルテンサイトである。しかし、フェライトの面積率が1〜5%の範囲であっても必要な強度と耐高速延性破壊特性は確保できる。
ミクロ組織において、フェライトとベイナイト・マルテンサイトは、光学顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡を用いた組織観察によって判別することが可能であり、光学顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡で撮影した組織写真を画像解析することにより、フェライトの面積率を測定することができる。
D方向の板厚断面での(100)面の集積は、3を超えると高速延性破壊特性が低下するため、3以下とした。なお、D方向の板厚断面での(100)面の集積は、ランダムな方位を有する標準試料のX線回折による強度の測定値を基準とするものであるから、下限は1である。
また、フェライトの平均粒径が5μmを超えて粗大化すると、劈開の破面単位が大きくなって伝播エネルギーが低下することがあるため、フェライトの平均粒径は、5μm以下であることが好ましい。フェライトの平均粒径は、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって撮影した組織写真を用いて、切断法によって測定することができる。
次に母材の化学成分の限定理由について説明する。
Cは鋼の強度向上に極めて有効な元素であり、0.03%以上のCを含有することが好ましい。しかし、C含有量が0.10%よりも多すぎると母材及び溶接熱影響部(HAZという)の低温靱性がやや劣化し、現地溶接性を損なうことがあるため、C含有量の上限を0.10%以下とすることが好ましく、0.07%以下とすることが更に好ましい。
Siは、脱酸に有効な元素であり、0.01%以上を含有することが好ましいが、0.6%よりも多く添加するとHAZの低温靱性がやや劣化し、現地溶接性を損なうことがあるため、Si含有量の上限を0.6%以下とすることが好ましい。
Mnは、鋼の強度と低温靱性とのバランスを良好にするために有効な元素であり、Mn含有量の下限を1.5%以上とすることが好ましい。しかし、Mnを2.5%よりも過剰に含有すると鋼の焼き入れ性が増してHAZの低温靱性を劣化させ、また、現地溶接性を損なうことがある。したがって、Mn含有量の上限を2.5%以下とすることが好ましい。
P、Sは不純物元素であり、母材及びHAZの低温靱性をより一層向上させるために、Pの含有量及びSの含有量の上限をそれぞれ0.015%以下及び0.003%以下とすることが好ましい。Pの含有量及びSの含有量の下限は低いほど好ましいため規定しないが、通常、それぞれ0.001%以上及び0.0001%以上を含有する。
Niは、低温靱性及び強度を向上させる元素であり、その効果を得るために、Ni含有量の下限を0.1%以上とすることが好ましい。一方、Niの含有量が2.0%を超えると、溶接性を損なうことがあるため、Ni含有量の上限を2.0%とすることが好ましい。
Moは、鋼の焼き入れ性を向上させ、炭窒化物を形成して強度を向上させる元素であり、その効果を得るには、Mo含有量を0.15%以上とすることが好ましい。一方、Moを0.60%超含有すると、強度が高くなり過ぎてHAZの低温靱性を損なうことがあるため、Mo含有量の上限を0.60%とすることが好ましい。
Nbは炭化物、窒化物を形成し、鋼の強度を向上させる元素であり、この効果を得るには、Nb含有量を0.001%以上とすることが好ましい。一方、Nb含有量が0.10%よりも多すぎると、母材及びHAZの低温靱性を損なうことがあるため、Nb含有量の上限を0.10%とすることが好ましい。
Tiは、脱酸に有効であり、窒化物を形成して結晶粒径の微細化に寄与する元素であり、その効果を得るには、0.005%以上を添加することが好ましい。一方、Ti含有量が0.030%よりも多すぎると、粗大な炭化物を生じて、低温靱性を劣化させることがあるため、Ti含有量の上限を0.030%以下とすることが好ましい。
Alは脱酸材として有効な元素であるが、Al含有量が0.06%を超えるとAl系非金属介在物が増加して鋼の清浄度を阻害することがあるため、Al含有量の上限を0.06%以下とした。また、脱酸はTi及び/又はSiでも可能であるため、Alを必ずしも含有する必要はなく、下限は0%でも良い。
なお、本発明においては、強度および靱性を改善する元素として、B、N、V、Cu、Cr、Zr、Ta、Ca,REM、Mgの1種または2種以上の元素を添加することができる。
Bは、焼入れ性を高め、溶接熱影響部の靱性を向上させる元素である。この効果は、0.0001%以上の添加で顕著になるが、0.005%よりも過剰の添加は、靱性の低下を招くことがある。したがって、Bの添加量を0.0001〜0.005%の範囲とすることが好ましい。
Nは、Ti、Al等と窒化物を形成し、溶接熱影響部のオーステナイト粒の粗大化を防止する。この効果は、0.0001%以上の添加で顕著になるが、0.006%よりも過剰の添加は、靱性の低下を招くことがある。したがって、Nの添加量を0.0001〜0.006%の範囲とすることが好ましい。
Vは、Nbと同様に炭化物、窒化物を形成し、鋼の強度を向上させる元素であるが、顕著な効果を得るには0.01%以上の添加が好ましい。一方、Vを0.10%超添加すると、靱性の低下を招くことがあるため、上限を0.10%以下とすることが好ましい。
Cuは、強度を上昇させる元素であり、0.01%以上添加することが好ましい。一方、1.0%超を添加すると鋼片加熱時や溶接時に割れを生じやすくするため、上限を1.0%以下とすることが好ましい。
Crは、析出強化によって鋼の強度を向上させる元素であり、0.01%以上の添加が有効である。一方、0.8%よりも多量に添加すると、鋼の焼入れ性を上昇させて、靱性を低下させることがあるため、上限を0.8%以下とすることが好ましい。
Zr及びTaは、Nbと同様に炭化物、窒化物を形成し、鋼の強度を向上させる元素であり、それぞれ、0.0001%以上の添加が好ましい。一方、Zr及びTaを、それぞれ、0.0050%超添加すると、靱性の低下を招くことがある。そのため、Zr及びTaの添加量の上限をそれぞれ、0.005%以下とすることが好ましい。
Ca及びREMは硫化物を生成することにより、伸長したMnSの生成を抑制し、鋼材の板厚方向の特性、特に耐ラメラティアー性を改善する。この効果を得るには、Ca及びREMを、それぞれ、0.0001%以上添加することが好ましい。一方、Ca及びREMを、それぞれ、0.01%超添加すると、Ca及びREMの酸化物が増加する。そのため、Ca及びREMの添加量の上限を、それぞれ、0.01%以下とすることが好ましい。
Mgは、MgO、MgS等の超微細なMg含有酸化物又は硫化物を生成し、オーステナイト粒の粗大化を抑制し、HAZ靱性を向上させる元素である。この効果を得るには、Mgを0.0001%以上添加することが好ましい。一方、Mgを0.006%超添加するとMg含有酸化物、硫化物が粗大化するため、その上限を0.006%以下とすることが好ましい。
上記の鋼板を鋼管とする場合の、溶接金属の成分の限定理由について述べる。
Cは、鋼の強度向上に極めて有効であり、マルテンサイト組織において目標とする強度を得るためには、C含有量を0.04%以上とすることが好ましい。一方、C含有量が0.14%を超えると溶接低温割れが発生しやすくなり、現地溶接部とシーム溶接が交わる、いわゆるTクロス部のHAZ最高硬さの上昇を招くので、C含有量の上限を0.14%以下とすることが好ましい。更に好ましいC含有量の上限値は0.10%以下である。
Siは、ブローホールの発生を防止するために、0.05%以上含有させることが好ましい。一方、Si含有量が0.4%よりも多いと、低温靱性を劣化させることがあり、特に、内外面溶接や多層溶接を行う場合、再熱部の低温靱性を劣化させることがあるため、上限を0.4%以下とすることが好ましい。
Mnは、強度、低温靱性のバランスを良好にし、粒内ベイナイトの生成核となる介在物を形成する元素である。この効果を得るには、Mn含有量を1.2%以上にすることが好ましい。一方、Mn含有量が2.2%よりも多すぎると偏析が助長され、低温靱性が劣化することがあり、溶接材料の製造が困難になるので、Mn含有量の上限を2.2%以下とすることが好ましい。
P、Sは不可避的不純物であり、低温靱性の劣化を抑制し、低温割れ感受性を低減するためには、少ないほど好ましく、P、Sの含有量を、それぞれ、0.001%以下、0.001%以下とすることが好ましい。
Niは、焼き入れ性を高めて強度を向上させ、低温靱性を向上させる元素であり、この効果を得るためには、1.3%以上のNiを含有させることが好ましい。一方、Ni含有量が3.2%よりも多すぎると高温割れを生じることがあるため、Ni含有量の上限を3.2%以下とすることが好ましい。
Cr、Mo、Vは、何れも焼き入れ性を高め、強度を向上させる元素であり、効果を得るには、Cr+Mo+Vを1.0%以上とすることが好ましい。一方、Cr+Mo+Vを2.5%よりも多量に添加すると低温割れを生じることがあるため、Cr+Mo+V含有量の上限を2.5%以下とすることが好ましい。
Tiは、粒内ベイナイトの生成核となるTiの窒化物及び酸化物等を形成する元素であり、0.003%以上を含有させることが好ましい。一方、Ti含有量が0.05%よりも多すぎると、Tiの炭化物が多く生成し、低温靱性を劣化させることがあるため、Ti含有量の上限を0.05%とすることが好ましい。
Alは、粒内ベイナイトの生成核となるTiの酸化物の生成を阻害することがあるため、Al含有量は少ない方が好ましい。Al含有量の好ましい上限は0.02%以下であり、更に好ましくは0.015%以下が良い。
Bは、焼き入れ性を高め、溶接金属の低温靱性を向上させる元素であり、0.0003%以上を含有することが好ましいが、B含有量が0.005%よりも多すぎると低温靱性を劣化させることがあるため、B含有量を0.005%以下とすることが好ましい。
Oは、焼入れ性を下げ、溶接金属の低温靭性を劣化させる元素であり、O量が0.03%を超えると低温靭性を著しく劣化させる。一方、O量が低いと低温割れが発生しやすくなると同時に現地溶接性の硬さが高くなるので0.010%以上とした。
溶接金属には、その他に溶接時の精錬・凝固を良好に行わせるために添加させたZr、Nb、Mg等の元素を含有する場合がある。
溶接金属の組織は、主にベイナイト・マルテンサイト、粒内ベイナイトからなり、残部はフェライト及び/又は残留オーステナイトである。引張強度を800MPa以上にするために、ベイナイト・マルテンサイトの面積率を50%以上にすることが好ましい。
更に溶接金属の低温靱性を良好にするには粒内ベイナイトの面積率が多ければ多い方が好ましく、10%以上にした方がよい。ベイナイト・マルテンサイトと粒内ベイナイトは、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡による組織観察によって判別することができ、ベイナイト・マルテンサイト、粒内ベイナイトの面積率は、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって撮影した組織写真を用いて画像解析によって測定することができる。
次に高速延性破壊特性を良好にする鋼板の製造方法について説明する。上記に示した成分を含有する鋼を製鋼工程で溶製後、連続鋳造し、その後、加熱し、熱間圧延を施す。鋼片の加熱温度は1100〜1250℃に規定する。1100℃未満では粗大なγ粒が存在し、鋼板までその粗大粒がのこる。このため加熱温度を1100℃以上とした。一方1250℃を越えると粒成長が起こるためこれまた粗大粒が生成しやすくなり、低温靭性を劣化させるので1250℃以下にした。
次に再結晶域圧延について述べる。再結晶域圧延の圧延温度が900℃以上とした。再結晶域圧延の圧延温度が900℃未満になると、オーステナイトの十分な再結晶化が図れず、結晶粒が細粒化しないため再結晶域圧延の圧延温度を900℃以上とした。
次に、未再結晶域圧延の条件について説明する。
本発明の未再結晶域での圧延条件は、圧延温度を880℃以下とし、かつ、累積圧下率を60%以上とする。880℃を超えると板厚中心部では一部再結晶域圧延になってしまうために粒の細粒化がはかれないので圧下温度を880℃以下とした。また、累積圧下量を60%未満では結晶粒径が微細化しないため60%以上とした。
一方、フェライトの面積率を上げるには、未再結晶域での熱間圧延の終了温度を低下させると増加する。フェライトの面積率を1〜60%とするには、未再結晶域での熱間圧延の終了温度を800℃以下にすることが必要であり、800℃以下とした。好ましい範囲は、600〜780℃である。
さらに、熱間圧延の終了後、600〜350℃の範囲を0.1〜10℃/sで冷却する。この冷却は制御しやすい水冷が望ましい。冷却速度が0.1℃/s未満では、未再結晶域圧延の終了時には微細であったオーステナイト粒が成長し、平均旧オーステナイト粒径が5μm超となり、低温靭性が低下する。この冷却速度はオーステナイト粒成長を避けるために1℃/s以上であることが好ましい。また、10℃/s超では鋼板表面近傍のフェライトの面積率が1%未満となる場合があり、10℃/s以下である必要がある。
更に、鋼板を筒状にプレス成形し、端部同士をサブマージアーク溶接して鋼管とする。
サブマージアーク溶接は母材の希釈が大きい溶接であり、所望の特性すなわち溶接金属組成を得るためには、母材の希釈を考慮した溶接材料の選択が必要である。以下、溶接ワイヤーの化学組成の限定理由を述べるが、基本的には超高強度ラインパイプを実現できる製造方法である。
Cは、溶接金属で必要とされる範囲のC含有量を得るために、母材成分による希釈及び雰囲気からCの混入を考慮して0.01〜0.12%とした。
Si、Mn、Ni、Cr+Mo+Vは、溶接金属で必要とされる範囲のSi、Mn、Ni、Cr+Mo+Vの含有量を得るために、母材成分による希釈を考慮して、それぞれ、0.3%以下、1.2〜2.4%、4.0〜8.5%、3.0〜5.0%とした。
Tiは、粒内ベイナイトの生成核となるTiの窒化物及び酸化物等を形成する元素であり、0.005%以上を含有させることが好ましい。一方、Ti含有量が0.15%よりも多すぎると、Tiの炭化物が多く生成し、低温靱性を劣化させることがあるため、Ti含有量の上限を0.15%とすることが好ましい。
Alは、粒内ベイナイトの生成核となるTiの酸化物の生成を阻害することがあるため、Al含有量は少ない方が好ましい。Al含有量の好ましい上限は0.02%以下である。
その他P,Sの不純物は極力少ない方が望ましく、Bは強度確保に添加することも可能である。また、Zr,Nb,Mg等が脱酸を目的として使用される。
なお、溶接は単極だけでなく、複数電極での溶接も可能である。複数電極で溶接の場合は各種ワイヤーの組み合わせが可能であり、個々のワイヤーが上記成分範囲にある必要はなく、それぞれのワイヤー成分と消費量からの平均組成が上記成分範囲にあれば良い。
サブマージドアーク溶接に使用されるフラックスは大別すると焼成型フラックスと溶融型フラックスがある。焼成型フラックスは合金材添加が可能で拡散性水素量が低い利点があるが、粉化しやすく繰り返し使用が難しい欠点がある。一方、溶融型フラックスはガラス粉状で、粒強度が高く、吸湿しにくい利点があり、拡散性水素がやや高い欠点がある。本発明の超高強度鋼管を製造する場合には、溶接低温割れが起こりやすく、この点からは焼成型が望ましいが、一方、回収して繰り返し使用が可能な溶融型は大量生産に向きコストが低い利点がある。焼成型ではコストが高いことが、溶融型では厳密な品質管理の必要性が問題であるが、工業的に対処可能な範囲であり、どちらでも本質的には使用可能である。
次に溶接条件について以下に説明する。
最初に行う仮付け溶接は、MAGアーク溶接、MIGアーク溶接、TIGアーク溶接の何れでもよい。通常はMAGアーク溶接である。次に内外面の溶接を、サブマージドアーク溶接とすることが好ましいが、TIGアーク溶接、MIGアーク溶接、MAGアーク溶接でも良い。内外面の溶接はそれぞれ1パスづつでも良いが、複数パス行っても良い。
内外面をサブマージドアーク溶接する場合、溶接速度を1m/分未満とするとラインパイプのシーム溶接としては非効率であり、3m/分を超えるとビード形状が不安定になることがある。したがって、サブマージドアーク溶接の溶接速度は、1〜3m/分の範囲内であることが好ましい。
なお、仮付け溶接と内外面の溶接の溶接部が重複する場合には、溶接入熱は出来る限り低い方が好ましい。また、溶接入熱は板厚によって異なるが、入熱が小さすぎると溶け込みが不十分になり、溶接回数が多くなり、作業効率が悪くなり、溶接入熱が大きすぎると熱影響部の軟化が大きく、溶接部の靭性も低下するので、内外面の溶接入熱は1.0〜3.5kJ/mmとした。
シーム溶接後、拡管により真円度を向上させる。真円にするためには塑性域まで変形させる必要がある。本発明の超高強度鋼管の場合は、拡管後円周と拡管前円周の差を拡管前円周で除した値を百分率で表した拡管率が、0.7%以上であることが好ましい。一方、拡管率が2%を超えると、母材、溶接部とも塑性変形により靭性が劣化することがある。したがって、拡管率は0.7〜2%の範囲とすることが好ましい。
表1の化学成分からなる鋼を溶製して鋳造し、厚みが240mmの鋼塊とした。これらの鋼塊を1150℃に加熱し、900℃以上で59〜80mm厚さまで再結晶温度域で熱間圧延し、そのまま14〜20mm厚さまで未再結晶域の熱間圧延を600〜880℃で行った。なお、900℃以上は再結晶温度域であり、880℃以下は未再結晶温度域である。熱間圧延後、600〜350℃の範囲を平均冷速で1℃/s以上10℃/s以下で350℃以下まで水冷した。得られた鋼板を筒状にプレス成形し、仮付け溶接を行った後、溶接入熱を2.4kJ/mmとして内外面をサブマージドアーク溶接し、拡管して、36インチ(913mm径)、16mm厚の鋼管とした。表4、表5(表4のつづき)にはこのときの製造条件、母材の特性、試験結果等を示しておく。
得られた鋼管の母材から試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行った。また、円周方向を長手としたDWTT試験片を採取し、板厚方向にプレスノッチを導入して、更に3点曲げで延性亀裂を導入し、プリクラックDWTT試験を0℃で実施した。
鋼1〜8は本発明の例を示す。表4、表5(表4のつづき)から明らかなように、これらの鋼は何れも母材の10℃でのプリクラックDWTTエネルギーが3000J以上である。しかもこれらの鋼管は部分ガスバースト試験で亀裂が停止している。すなわち、不安定延性破壊特性が優れている。それに対し、鋼9〜19は本発明方法から逸脱した比較例を示す。すなわち、鋼9〜13および15は母材の化学成分を逸脱しているかあるいは熱間圧延条件を逸脱しているかによってフェライト/マルテンサイトの2相混合組織になっていない。その結果、D方向の(100)の集積度が3を超えるために母材のプリクラックDWTTエネルギーが3000J未満である。しかも、これらの特性が悪いために部分ガスバースト試験も貫通し、不安定延性破壊特性も劣っている。鋼14は母材のCが逸脱しているので、母材の硬度が満足していない。また、鋼16、17、19は溶接金属の化学成分あるいは入熱条件が逸脱しているために溶接金属強度を満たしていないかあるいは溶接金属靭性を満足していない。鋼18はサブマージドアーク溶接の入熱が低いために溶接欠陥が多発した。
表2、表3(表2のつづき)には参考に本発明および比較例の溶接金属および溶接ワイヤーの成分を示した。
Figure 2005146407
Figure 2005146407
Figure 2005146407
Figure 2005146407
Figure 2005146407
フェライト分率(%)とプリラックエネルギー(J)との関係を示す図。 (100)集積度とプリラックエネルギー(J)との関係を示す図。

Claims (13)

  1. ミクロ組織が、面積率で1〜5%のフェライト及び残部かつベイナイト・マルテンサイトからなり、圧延方向を軸として圧延面から45°回転させた断面の(100)の集積度が3以下であることを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板。
  2. ミクロ組織が、面積率で5%超〜60%のフェライト及び残部がベイナイト・マルテンサイトからなり、圧延方向を軸として圧延面から45°回転させた断面の(100)の集積度が3以下であることを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板。
  3. フェライトの平均粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項2記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板。
  4. 質量%で、
    C :0.03〜0.10%、
    Si:0.01〜0.6%、
    Mn:1.5〜2.5%、
    P :0.015%以下、
    S :0.003%以下、
    Ni:0.1〜2.0%、
    Mo:0.15〜0.60%、
    Nb:0.001〜0.10%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    Al:0.06%以下
    を含有し、更に、
    B :0.0001〜0.005%、
    N :0.0001〜0.006%、
    V :0.001〜0.10%、
    Cu:0.01〜1.0%、
    Cr:0.01〜0.8%、
    Zr:0.0001〜0.005%、
    Ta:0.0001〜0.005%、
    Ca:0.0001〜0.01%、
    REM:0.0001〜0.01%、
    Mg:0.0001〜0.006%
    の1種又は2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項3または4に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の鋼板の製造方法であって、請求項4記載の成分からなる鋼を溶製、連続鋳造後、鋼片を1100〜1250℃に再加熱することを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
  6. 再加熱後、900℃以上の再結晶域で熱間圧延を行うことを特徴とする請求項5に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
  7. 再加熱後、またはこれに引き続いた再結晶域圧延の後、880℃以下の未再結晶域で、累積圧下量が60%以上の熱間圧延を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
  8. 再加熱後、またはこれに引き続いた再結晶域圧延の後、880℃以下で未再結晶域圧延を開始し、600〜800℃の未再結晶域で熱間圧延を終了し、鋼板中心部の平均冷速で600〜350℃の範囲を0.5〜10℃/s以下で冷却することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
  9. 母材が請求項1〜4のいずれかに記載の超高強度鋼板からなることを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管。
  10. 溶接金属の成分が、質量%で、
    C :0.04〜0.14%、
    Si:0.05〜0.4%、
    Mn:1.2〜2.2%、
    P :0.01%以下、
    S :0.010%以下、
    Ni:1.3〜3.2%、
    Cr+Mo+V:1.0〜2.5%、
    Ti:0.003〜0.050%、
    Al:0.02%以下、
    B:0.005%以下、
    O:0.01〜0.03%
    を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項9に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管。
  11. 請求項9または10に記載の鋼管の製造方法であって、請求項1〜4のいずれかに記載の超高強度鋼板をUO工程で管状に成形し、端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接し、その後、拡管を行うことを特徴とする高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
  12. 端部同士を溶接ワイヤ−及び焼成型フラックス又は溶融型フラックスを使用してサブマージドアーク溶接を行う際に、1.5〜3.5kJ/mmの入熱にて溶接した後、拡管を行うことを特徴とする請求項11に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
  13. 質量%で、
    C :0.01〜0.12%、
    Si:0.3%以下、
    Mn:1.2〜2.4%、
    Ni:4.0〜8.5%、
    Cr+Mo+V:3.0〜5.0%、
    Ti:0.005〜0.15%、
    Al:0.02%以下
    を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる溶接ワイヤーを用いてサブマージドアーク溶接することを特徴とする請求項11または12に記載の高速延性破壊特性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
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