JP2005144966A - インクジェット記録ヘッドとインク - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】高粘度インクのメニスカスの制御性ひいてはインク滴の噴射特性を向上させ、十分な印字濃度を持ち、堅牢性に優れたインクジェット記録装置を実現すること。
【解決手段】複数のノズルと、該ノズルに連通した加圧液室と、振動版と、前記加圧液室内部の圧力を変化させる駆動手段と、該駆動手段の一端が接合されている支持基板とを備え、前記ノズルからインク滴を吐出することによって、被記録媒体に画像情報を記録するインクジェットヘッドであって、 前記加圧液室が弾性率500kg/mm2以上の高剛性な材料で形成され、隣接している前記加圧液室を分離している隔壁に対応した位置に、該支持基板と前記振動版を連接する支持部材を有し、吐出するインクは25℃で5cp以上の高粘度であり、該振動板の法線方向の変位が、d33方向である圧電素子で構成されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットプリンタの記録ヘッドに関し、プリンタ、印刷機に応用される。
インクジェットプリンタの画像品質の向上を目的として、インクジェットヘッドを高剛性な液室で構成したり、高粘度のインクを用いるものとしては、以下の特許文献1〜3記載のようなものが開示されている。
即ち、特許文献1には、PZTを駆動以外にも支持部材として用いることで液室の剛性を向上させた技術が記載されているが、液室の材料はポリイミド等の樹脂であることが開示されており、また選択的優位性のある使用インクについては触れられてなく、また、特許文献2には、高剛性材料を用いる加圧液室と、d33およびd31のPZTを用い、高粘度インクへの対応も謳っているが、開示されたインクジェットヘッドは隣接する加圧液室間の隔壁を支える支持部材がないものであり、更に、特許文献3には、Siをエッチングすることで形成した液室に、d33の圧電定数を持つPZTが接合されていることが開示されている。
上記のように、従来、インクジェットヘッドの構成として、特許文献2で開示されたものがあり、これは、高剛性な材料で液室を構成しており、応答周波数の向上や十分なインク吐出量の確保を目的としているが、しかし、液室である圧力室は、周囲を流路部材に接合されている以外は、圧力発生手段である圧電素子が圧力壁に接合されているだけである。この圧電素子は駆動用なので、インク吐出動作の際に液室全体を持ち上げてしまい、画像を乱してしまう原因となる。
また、特許文献4では、隣接する液室間の隔壁に対応した位置に支持部材を設けたヘッドが開示されている。このことによって、インク吐出動作時の液室全体の動きは抑制されるが、液室は樹脂で形成されているので、全体として柔構造になっている。液室、すなわちノズルの位置変動に対する対策がないため、インク滴の着弾精度に問題が生じる恐れがある。
また、上記のように特許文献3には、結晶シリコンをエッチングして形成した液室に、d33の圧電定数を持つPZTが接合されたヘッドが開示されているが、しかし、画像形成を行うインクに関する開示はなく、ただ高粘度なものを避ける記述があるのみであり、画質の向上については課題に設定されていない。
特開平11−58736号公報 特許第3170943号公報 特開2003−237066号公報 特開平11−58736号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、効率を損なうことなく加圧液室の内部圧力を増減させるとともに、高粘度インクのメニスカスの制御性ひいてはインク滴の噴射特性を向上させ、さらには様々な記録媒体に対して十分な印字濃度を持ち、堅牢性に優れた高品位な画像を形成するインクジェット記録装置を実現することを目的とする。
上記課題は、本発明の(1)「複数のノズルと、該ノズルに連通した加圧液室と、該加圧液室の一部を構成する振動版と、前記加圧液室に連通した共通液室と、該共通液室に連接した連結管と、該連結管を介して前記共通液室にインクを供給するインク供給源と、前記加圧液室内部の圧力を変化させる駆動手段と、該駆動手段の一端が接合されている支持基板とを備え、前記駆動手段は、前記加圧液室の一部を構成する振動板に連接され、前記加圧液室に連通したノズルからインク滴を吐出することによって、被記録媒体に画像情報を記録するインクジェットヘッドであって、
前記加圧液室が弾性率1000kg/mm以上の高剛性な材料で形成され、隣接している前記加圧液室を分離している隔壁に対応した位置に、該支持基板と前記振動版を連接する支持部材を有し、吐出するインクは25℃で5cp以上の高粘度であり、該振動板の法線方向の変位が、d33方向である圧電素子で構成されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド」;
(2)「前記支持部材は、前記圧電素子駆動手段と同じ剛性レベル又はそれ以上の高剛性な材料で構成されていることを特徴とする前記第(1)項に記載のインクジェット記録ヘッド」;
(3)「前記支持部材は、前記圧電素子駆動手段と同一の材料で構成されていることを特徴とする前記第(2)項に記載のインクジェット記録ヘッド」;
(4)「前記加圧液室は、単結晶シリコンを材料として用いることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド」;
(5)「前記圧電素子は、複数枚の圧電素子の層と電極層が積層された構造であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド」;
(6)「前記振動板は、ニッケルを材料として用いることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド」;
(7)「前記インクは、湿潤剤、浸透剤、水溶性有機溶剤を含む親水性分散媒中に、ポリマー微粒子に色材を含有させたエマルジョン粒子を含むものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド」;
また、上記課題は、本発明の(8)「前記第(1)項乃至第(7)項の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドを搭載することを特徴とするインクジェット記録装置」、(9)
「前記第(8)項に記載のインクジェット記録装置を用いて非記録媒体表面に画像を形成することを特徴とするインクジェット画像記録方法」により達成される。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により、高剛性な材料で形成した加圧液室を、隔壁間を支持部材で支持し、d33変位方向の圧電素子を用いて駆動し、高粘度なインクを迅速適正に噴射でき、隣接相互干渉を抑えた非常にコンプライアンスの低い液室を構成でき、メニスカスの制御が高精度に行える。したがって、高速駆動が可能で、高発色/高耐久な画像形成が可能なインクジェットヘッドを実現できる。
また、隔壁を支持する支持部材は、圧電素子の溝形成で同時に形成することが可能なので、高精度に、安定した製造が可能となるので、噴射特性の良好なインクジェットヘッドを実現できる。
また、加圧液室をシリコンで形成できるので、エッチングによる高精度な寸法の確保が可能な上、剛性を高めることができるので、インクジェットヘッドの噴射特性をさらに向上できる。
また、高粘度なインクを用いることから、高濃度、高画質の画像形成が可能となり、印字品位が格段に向上したインクジェットヘッドを実現できる。
また、粘度が高いことで、粒子化(インク滴の噴射)の観点からは、噴射後のメニスカス振動の減衰は、粘度が高いほど速やかに減衰する。安定したメニスカスの位置は噴射方向や滴速度/滴体積の安定性に効果が高い。したがって、安定した滴を速い周波数で駆動するには、高い粘度のほうが好ましい。
また、積層した圧電素子を用いるので、低い電圧で変位量を十分に得ることができことに加え、駆動力も非常に大きくできるので、メニスカスの制御性が向上し、より噴射特性の良好なインクジェットヘッドを実現できる。
また、振動板にはニッケルを用いるので、加工性や制度の確保が容易となり、噴射特性の良好なインクジェットヘッドの製造性が向上する。
また、請求項1乃至6の何れかに記載のインクジェットヘッドを搭載し駆動することで、高効率で、堅牢性に優れた高品位な画像が可能で、相互干渉が少ないプリンタを実現することができる。
インクジェット記録装置において、インク加圧液室を高剛性にしてインクの吐出性能やインク噴射効率を向上させること、ならびに、高品位で堅牢性に優れた画像を形成することを目的とした、本発明のインクジェットプリンタ及びインクジェット式画像形成方法の構成について、以下、詳細に説明する。
微小なインク滴を吐出し、紙などの被記録媒体に付着させて文字を含む画像情報を形成するインクジェット記録装置は、複数のインク加圧液室と、該加圧液室に連通してインク滴を吐出するためのノズルと、各加圧液室に対応して設けた電気機械変換素子や電気熱変換体などのアクチュエータとを備えたインクジェットヘッドを用いて、記録信号に応じて該加圧液室内部の圧力を変化させてノズルからインク滴を吐出することによって、高速、高密度、高品質の記録を行うものである。
このアクチュエータとして、加圧液室の一部である弾性変形可能な振動板に当接した圧電素子を用いるものはよく知られている。これは、圧電素子を充放電することで変形させ、圧電素子に当接した振動板を変位させる。振動板が加圧液室の容積を収縮するように変位すると加圧液室内部の圧力が上昇し、インク滴をノズルから吐出させるものである。インク滴を吐出した後は、加圧液室の容積を膨張させるように振動板に変位を与えるべく、圧電素子を変形させる。
インクジェットヘッドに用いるインクは水や有機溶剤を含んでいるために、従来のようにドライフィルムレジスト、ビスフェノールエポキシ樹脂接着剤、ポリエチレンアイオノマーなどでインクヘッドを形成した場合、200〜50kg/mm程度にヤング率が低下したり、あるいはヤング率が100kg/mm2と小さいものもあり、その上膜厚を26〜120μmの厚膜とするために、インク液室全体の剛性が低下し、ヘッドの固有振動数が低くなり、隣接ノズル間で相互干渉が発生してインク滴吐出効率が低下する。樹脂材料を用いてヘッド構成部品を形成し、若しくはその機能の一部を担わせるには26μm以上の厚膜にしなければならないため、接合時の加熱圧着によってパターンが変形してインク滴吐出特性にバラツキが発生したり、ヤング率が500kg/mm2程度でインク液室の隔壁部分を形成するために相互干渉が大きくなって吐出効率が低下し、インク滴吐出特性のバラツキが発生するが、これに対して、本発明のインクジェットヘッドは、加圧液室は弾性率1000kg/mm以上の高剛性な材料で形成されており、さらに加えて、隣接している前記加圧液室を分離している隔壁に対応した位置に、該支持基板と前記振動版を連接する支持部材を有している。そして、このようなインクジェットヘッドは、25℃で5cp以上の高粘度のインクを迅速かつ適正に吐出するのに非常に適し、而して、より高画質の画像を迅速、円滑に形成するのに特に適していることが、本発明の検討過程において見い出された。
圧電アクチュエータを用いたインクジェットヘッドの例を図1〜3に示す。
この装置において、ノズル(3)に連通した加圧液室(4)の一部を形成する振動板(6)と、ベース基板(2)に設けた圧電素子(7)が接合されている。振動板(6)は、圧電素子(7)の変形に伴い弾性変形するが、圧電素子(7)の変位を効率よく加圧液室(4)の容積変化にするために、振動板(6)は通常、加圧液室(4)を構成する他の面よりも剛性を小さく(=コンプライアンスを大きく)している。共通液室(9)と加圧液室(4)には、インクが充填されている。共通液室(9)はさらに連結管(18)を介して、図示しないインク供給源(14)(例えばインクタンク)に接続されている。圧電素子(7)に図示しない駆動回路から電圧を加えることで圧電素子(7)は変形を生じ、振動板(6)を加圧液室(4)の容積が増加または減少するように変形させる。加圧液室(4)の容積を増加させた場合は加圧液室(4)の内部圧力は減少するので、共通液室(9)から連通部(10)を通ってインクが加圧液室(4)に補充される。その後に加圧液室(4)の内部圧力を増加させるような駆動を行う。すなわち、加圧液室(4)の容積を減少させるように圧電素子(7)を駆動させた場合は加圧液室(4)の内部圧力が増加するので、ノズル(3)からインクが押し出されてインク滴(12)となって飛翔し、図示しない記録媒体(紙など)にインク滴が付着することで記録を行う。
ここで、このインクジェットヘッドを搭載したプリンタの性能について検討する。プリンタの性能は、形成する画像品質や画像形成速度で評価できる。
良好な画像品質のためには、形成するインク滴の大きさを多階調で安定的に制御できることが求められる。また、記録媒体上での発色がよいインクを用いることが画質向上には欠くことができない。さらに、画像形成速度は、速ければ速いほどよい。
これらのためにはまず、ノズルにおけるインク面、いわゆるメニスカスの位置を高速で高精度に制御できる必要がある。これは、液室の剛性を高く(=コンプライアンスを小さく)しなければならない。液室の剛性が高くなると応答周波数も高くなるので、高速な駆動が可能となってインク滴の吐出間隔が短く、すなわちインク滴の形成速度が速くなり、画像形成速度が向上する。
さらに、画像の発色性の向上には、インクの粘度が高いものでも対応できるインクジェットヘッドが望まれる。本発明における高粘度インクは、インク滴噴射後のメニスカス位置の振動が短時間で収束する等、高剛性度かつ高周波数での吐出特性に適したインクジェットヘッドによく適合するので、高速な駆動を行うためにも非常に都合がよい。
本発明のインクジェットヘッドの分解斜視図を図2に示す。複数の加圧液室(4)を形成した加圧液室基板(1)と、ノズルプレート(8)と、振動板(6)とを積層する。ノズルプレート(8)には、加圧液室(4)に対応して連通したノズル(3)が設けられている。振動板(6)には圧力変換器である圧電素子(7)が接合され、圧電素子(7)には、ドライバIC(16)を接合したFPCケーブル(15)が電気的な接続を伴って接合されている。圧電素子(7)は、対応する加圧液室(4)に対応して振動板(6)を変位させるように形成されており、ここでは棒状の圧電素子をダイヤモンドカッターでダイシングして、個々の加圧液室(4)に対応するように、図1(b)及び図2に示したごとく分離している。なお、図1(b)の支持部材(11)については後に詳述する。図示しない画像形成信号に基づいてドライバIC(16)から駆動信号がFPCケーブル(15)を通って圧電素子(7)に供給され、圧電素子(7)が伸縮し、その変位が振動板(6)に伝えられ、それぞれ必要とする加圧液室(4)の内部圧力を適切に制御することで、ノズル(3)から図示しないインク滴を吐出するものである。圧電素子(7)はベース基板(2)と接合されており、ベース基板(2)はさらに図示しないフレーム(図1と図3では符号(13))と接合されている。インクジェットプリンタ本体へは、図示しないキャリッジにフレームを取り付けることでインクジェットヘッドを搭載し、図示しない電気回路にFPCケーブル(15)を接続し、さらに、インクカートリッジなどのインク供給源(図1では符号(14))からインクを加圧液室(4)に供給するがここでは図示していない。
図3にインクジェットヘッドの、加圧液室長手方向(ノズル整列方向に対して直交方向)での断面図を示す。ベース基板(2)と同様に、加圧液室基板(1)もフレーム(13)に接合されている。封止剤(17)は接着の役割も兼ねる。図3の構造は厳密には図1や図2の構造とは異なっているが、構成要素は同等である。
加圧液室基板(1)は単結晶シリコン基板であり、DFRなどの樹脂に比較して、非常に高い剛性を有している。加圧液室基板(1)は、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)等のアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、加圧液室(4)となる貫通穴や、連通部(10)となる溝部、共通液室(9)となる貫通穴などをそれぞれ形成している。
加圧液室基板(1)を接合するフレーム(13)は、エポキシ系樹脂あるいはポリフェニレンサルファイトで射出成形によって形成している。
図4に、ベース基板(2)に設けた圧電素子(7)の部分拡大斜視図(a)と、ノズル列方向での断面模式図(b)を示す。振動板(6)には、薄肉部(19)と厚肉部(20)が形成されており、加圧液室(4)に対応する厚肉部(20)には圧電素子(7)が当接する。
振動板(6)はニッケルの金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法で製造している。この振動板(6)は、加圧液室(4)に対応する部分に変形を用意にするための薄肉部(19)および、圧電素子(7)と接合するための厚肉部(18)を形成するとともに、隔壁(5)に対応する部分にも厚肉部(20)を形成し、平坦面側を加圧液室基板(1)に接着剤接合し、厚肉部がフレーム(13)に接着剤接合している。
振動板(6)とベース基板(2)は、圧電素子(7)と支持部材(11)の両方で接合されており、上部の加圧液室(4)の剛性を保つとともに、圧電素子(7)の変形による振動板(6)の厚肉部(20)の変位効率を向上させている。
ノズルプレート(8)も、振動板(6)と同様にニッケルで形成している。
支持部材(11)は、前記圧電素子駆動手段と同じ剛性レベル又はそれ以上の高剛性な材料で構成されていることが好ましく、前記圧電素子駆動手段と同一の材料で構成することができる。例えば、交互に配列された複数の圧電素子(7)(7)及び支持部材(11)(11)は数枚の圧電材料を積層して1本の細長い素材に多数のスリット加工を施すことで複数に分割形成して形成することができ、このスリット加工時に基板(2)上まで切込むことで、基板(2)上にスリット溝(図示せず)が形成される。
さて、図4において加圧液室(4)をそれぞれ区画している隔壁(5)に対応する位置に支持部材(11)がない場合の状態を、図5に模式図として示す。図5で、圧電素子(7)を駆動した場合を考える。圧電素子(7)は駆動信号に従って伸縮するが、その場合に厚肉部(20)を介して振動板(6)を、図5の場合には上下動させる。振動板(6)には薄肉部(19)が形成されているものの、加圧液室(4)の容積を拡大縮小して内部圧力を変化させると同時に、隔壁(5)を上下動させる。すると、隔壁(5)の動きに追随してノズルプレート(8)が上下動してしまう。従って、ノズル(3)の位置が動くのでインク滴の吐出に影響を与えてしまう。さらに、加圧液室(4)の内部圧力は、圧電素子(7)の変位量で制御するが、隔壁(5)が動いてしまうと加圧液室(4)の容積変化を所望の値にすることが困難になるので、安定した画像品質を保つことができなくなる。従って本発明の実施例では図4に示したごとく、加圧液室(4)を区画する隔壁(5)に対応した位置に支持部材(11)を設け、圧電素子(7)の動きによらず振動板(6)の位置、すなわちノズルプレート(8)の位置を安定に保持し、加圧液室(4)の容積変化を所望の値に制御することで、高品位な画像を安定的に形成できる。
またここで、圧電素子(7)は、振動板(6)の法線方向の変位がd33である。d33変位方向を用いることで、d31変位方向を用いた圧電素子に比較してコンプライアンスが小さく(=剛性が大きく)、かつ高速な駆動が可能なことから、インク滴(3)を高速に高精度に噴射させることが可能となる。
次に、本発明で使用するインクについて説明する。
高画質画像をインクの高吐出量のみで達成することは普通、非常に困難であって、高画質画像の形成には、高粘度インクが必要不可欠であろうが、この高粘度インクを迅速かつ円滑に吐出することが、通常のインクジェットヘッドでは困難であったことは既に説明したとおりである。さらに、本発明で目的としている高品位で堅牢性に優れた画像を形成するには、インク吸収性、画像濃度、ビーディング、定着性(耐擦過性)等のインクジェット適正を満足させる必要がある。そのためには、ポリマー微粒子に色材を含有させたエマルジョンを用いて、特定の湿潤剤、浸透剤、水溶性有機溶剤から構成したインクは、従来のインクに比較して高粘度であるが表面張力が低く、普通紙の高速印字において高彩度、高発色濃度で、しかも裏抜けの少ない画像が得られることを見出した。
また、着色ポリマー微粒子を含有する前記構成のカラーインクと、色材として自己分散型カーボンブラックを用いてカラー顔料インクと同様に高粘度低表面張力としたブラックインクを組合せると、普通紙高速印字においてブラックの画像濃度が高くブラック/カラー間の色境界にじみが極めて少なく、カラーの発色性に優れ、裏抜けの少ない両面印刷性に優れた記録画像を得ることができることを見出した。
なお、本発明において普通紙とは、オフィスなどで一般的に使用されているインク受容層が設けられていない紙のことをいう。
本発明においては、好ましくは5cp以上、より好ましくは8cp(25℃)以上の高粘度インクを用いることにより、印字品位が格段に向上する。従来のインクジェットプリンタに用いられてきた3cp(25℃)程度の低粘度インクでは、インク中の水分が約70重量%であるが、8cp(25℃)程度の高粘度インクでは約50重量%以下になり、インク滴が紙面上に着弾するときの水分蒸発率が2〜3倍も高くなる。このために、高濃度の顔料が紙面上で凝集する速さも速くなり、滲みがほとんどなくなる。
本発明における好ましいインク組成物は、印字するための着色剤、それを分散させるための水とを必須成分とし、必要に応じて添加される湿潤剤、水溶性有機溶剤、アニオンまたはノニオン系界面活性剤、エマルジョン、防腐剤、pH調製剤から次のように構成される。
(1)着色剤
(2)湿潤剤1(グリセリン)
(3)湿潤剤2(1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上)
(4)水溶性有機溶剤
(5)アニオンまたはノニオン系界面活性剤
(6)炭素数8〜11のポリオールまたはグリコールエーテル
(7)防腐剤
(8)pH調製剤
(9)純水
なお、湿潤剤1と2を混合するのは、各々の湿潤剤の特徴を生かすためと、粘度調製ができるためであるが、必ずしも併用する必要はない。また、インクの表面張力を40mN/m以下にすることで、インクのヘッド部材への濡れが良くなり、8cp(25℃)以上の高粘度インクでも周波数応答性が向上し、吐出安定性が格段に向上する。この低表面張力のインクは炭素数8〜11のポリオールまたはグリコールエーテルと、アニオンまたはノニオン系界面活性剤を用いることにより達成できる。
以下、本発明で使用する各インクの構成要素について説明する。
ブラックインク用色材としては、例えばカーボンブラックが用いられ、ファーネス法、チャネル法等で製造されたカーボンブラックで、一次粒子径が15nmから40nm、BET吸着法による比表面積が50〜300m2/g、pH2〜9を有するものが好ましく使用され、特にpH6以下の酸性カーボンブラックが高濃度で好ましい。また、次亜塩素酸化処理したカーボンブラックやスルホン化剤処理したカーボンブラック、ジアゾニウム化合物で処理してスルホン酸、カルボン酸等のアニオン性解離基を導入したカーボンブラック、いわゆる自己分散型カーボンブラックが好ましい。
自己分散型カーボンブラックを用いたブラックインクは吐出安定性に優れ、普通紙に記録した場合の画像濃度、文字品位に優れる特徴があるが、光沢紙など基材上にインク吸収層を設けた記録媒体に記録を行なう場合には耐擦過性が不足する場合もあり、耐擦過性を補う目的で自己分散型カーボンブラックに樹脂エマルジョンを添加した構成とすることもできる。
樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、これら樹脂と、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。
樹脂成分と界面活性剤との混合の割合(重量比)は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合、エマルジョンとなりにくく、また前記範囲を超える場合、インク組成物の耐水性が低下したり、浸透性が悪化する傾向があるので好ましくない。
また、前記エマルジョンの分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200重量部の範囲が適当である。
市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学社製)などが挙げられる。
本発明において樹脂エマルジョンを添加する場合には、その樹脂成分がインク組成物の0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録材への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦過性をも向上させる効果を有する。
カラーインク用色材としては、ポリマー微粒子に水不溶性または難溶性の色材を含有させたポリマーエマルジョンからなる。本発明において、「色材を含有させた」とは、ポリマー微粒子中に色材を封入した状態およびポリマー微粒子の表面に色材を吸着させた状態の何れか又は双方を意味する。この場合、本発明のインクに配合される色材はすべてポリマー微粒子に封入または吸着されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、該色材がエマルジョン中に分散していてもよい。上記色材としては、水不溶性若しくは水難溶性であって、上記ポリマーによって吸着され得る色材であれば特に制限なく用いられる。
本発明において、水不溶性若しくは水難溶性とは、20℃で水100重量部に対して、色材が10重量部以上溶解しないことをいい、溶解するとは、目視で水溶液表層または下層に色材の分離や沈降が認められないことをいう。上記色材としては、例えば、油溶性染料、分散染料等の染料や、顔料等が挙げられる。良好な吸着・封入性の観点から油溶性染料及び分散染料が好ましいが、得られる画像の耐光性からは顔料が好ましく用いられる。
本発明に用いられる上記の各染料は、ポリマー微粒子に効率的に含浸される観点から、有機溶剤、例えば、ケトン系溶剤に2g/リットル以上溶解することが好ましく、20〜600g/リットル溶解することが更に好ましい。
カラーインク用顔料としては黄色インク用でC.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾ顔料アゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、153頭を使用することができる。
マゼンタ用でC.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219等を使用することができる。
シアン用でC.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63等を使用することができる。
また、中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として下記顔料が単独もしくは混合して用いることができる。また、下記顔料は前記のマゼンタ、シアンの調色用としても用いることができる。
C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3、19、23、37、C.I.ピグメントグリーン7、36。
他の適切な着色顔料の例は、The Color Index、第三版(The Society of Dyers and Colourist、1982)に記載されている。
なお、顔料を着色剤として用いる場合に補色、調色等のために上記染料を併用することもできる。
上記色材の配合量は、ポリマーの配合量との関係において、該ポリマーの重量に対して約10〜200重量%が好ましく、特に約25〜150重量%であることが好ましい。
上記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー及びポリウレタン系ポリマー等を用いることができる。特に好ましく用いられるポリマーはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、特開2000−53898号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、これらの色材を含有するポリマー微粒子の平均粒子径はインク中において最も好ましくは0.16μm以下である。
インク中のポリマー微粒子の含有量は固形分で8〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは8〜12重量%程度である。
湿潤剤と水溶性有機溶剤に関して、本発明のインクは水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するために、また、分散安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶媒が使用される。これら水溶性有機溶媒は複数混合して使用してもよい。
湿潤剤と水溶性有機溶媒の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
その他の湿潤剤としては、糖を含有するのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH(CHOH)nCHOH(ここでn=2〜5の整数を表わす)で表わされる)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
顔料と湿潤剤の比は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が高いのに湿潤剤の配合量が少ないとノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらす。
湿潤剤の配合量は10〜50重量%、より好ましくは20重量%を超え45重量%までであり、これに対して色材を含有するポリマー微粒子は8重量%以上が好ましく、より好ましくは8〜20重量%であるので、湿潤剤とポリマー微粒子固形分の両者の比は0.5〜6.25が好ましいが、より好ましくは2.0〜6.0であり、最も好ましくは3.0〜5.0の範囲である。この範囲にあるインクは、乾燥性や保存試験や信頼性試験が非常に良好である。
界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤が用いられる。色材の種類や湿潤剤、水溶性有機溶剤の組み合わせによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択する。
アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)を用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示す。
前記界面活性剤は、単独または二種以上を混合して用いることができる。
本発明では界面活性剤を使用することで記録紙への濡れ性を改善することができる。好ましい界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。より具体的にはアニオン系界面活性剤としては下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、及び/または下記一般式(II)で表される炭素鎖が5〜16の分岐したアルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸が挙げられ、これらを用いることで普通紙特性も改善されさらに着色剤の溶解・分散安定性が得られる。
Figure 2005144966

:炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル基、m=3〜12、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン)
Figure 2005144966
(R:炭素数5〜16の分岐したアルキル基、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン)
表1に、本発明に用いる界面活性剤(I)、(II)を具体的に遊離酸型で示す。
Figure 2005144966
さらに、本発明の界面活性剤の対イオンとしてリチウムイオン、および下記一般式で示される第4級アンモニウムイオン、第4級ホスホニウムイオンを用いることにより、界面活性剤が優れた溶解安定性を示す。
Figure 2005144966
(式中、Zは窒素またはリンを表し、R〜Rは独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン化アルキル基を表す)
好ましい非イオン系の界面活性剤として、下記一般式(III)で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、下記一般式(IV)で表されるオリオキシエチレンアルキルエーテル、下記一般式(V)、(V’)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、下記一般式(VI)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。これらを併用することによって、さらに相乗効果として浸透性が挙げられ、これによって色境界にじみが低減され、また、文字にじみも少ないインクが得られる。
Figure 2005144966
(Rは分岐してもよい炭素数6〜14の炭化水素基、k=5〜20)
Figure 2005144966
(Rは分岐してもよい炭素数6〜14の炭化水素基、n=5〜20)
Figure 2005144966
(p,q=0〜40)
なお、このインクのpHを6以上にすることによってインクの保存安定性が得られ、また、オフィスで使用されているコピー用紙や用箋等はpHが5〜6のものが多く、これらの記録紙にインクを9〜60μmの微細な吐出口より吐出し重量が3〜50ngの液滴として5〜20m/sで飛翔させ、単色での付着量を1.5g/m2から30g/m2としてJIS P−8122試験法によるステキヒトサイズ度が3秒以上の所謂普通紙に記録することにより高画質、高解像の記録画像を形成する記録方式を提供することができる。ただし、前記一般式(II)で表される界面活性剤を用いる場合は、pHが9以上では保存時に分解による物性変化が起こりやすいため、pHを6〜9とすることが好ましい。
本発明に用いることができる前記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(V')、(VI)で表される界面活性剤の添加量は0.05〜10重量%の間でプリンターシステムにより要求されるインク特性に対し所望の浸透性を与えることが可能である。ここで0.05重量%未満ではいずれの場合も2色重ね部の境界でのにじみが発生し、10重量%より多く添加する場合は化合物自体が低温で析出しやすいことがあり信頼性が悪くなる。
本発明における表面張力は紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であれば使用できるが、本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は40mN/m(25℃)以下が好ましく、より好ましくは35mN/m以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。
本発明に用いる炭素数8〜11のポリオールまたはグリコールエーテルは、25℃の水中において好ましくは0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する部分的に水溶性のポリオールおよび/またはグリコールエーテルであり、記録用インク全重量に対して好ましくは0.1〜10.0重量%添加することによって、該インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性および周波数安定性が得られる。
これらの好ましい例として下記のものが挙げられる。
(1)2−エチル−1,3−ヘキサンジオール
溶解度:4.2重量%(20℃)
(2)2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール
溶解度:2.0重量%(25℃)
25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有するポリオール、グリコールエーテルからなる浸透剤は、溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。従って、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや他の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のインクを作成することが可能となる。
本発明のインクには上記着色剤、溶媒、界面活性剤等の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
また、pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
さらにキレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が使用できる。
さらにまた防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が使用できる。
その目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添加することができる。
以下に本発明の実施例(インクセットA,C)および比較例(インクセットB)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<インクの作成>
着色剤例1.
〈フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調整〉
特開2001−139849号公報の調整例3を追試して、具体的には下記の操作により行なった。
(1)ポリマー溶液の調製
機械式撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下漏斗を備えた1L容積のフラスコ内を十分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルパレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50重量%のポリマー溶液800gを得た。
(2)ポリマー微粒子の水分散体の調製
前記(1)で得られたポリマー溶液28g、フタロシアニン顔料(大日本インク化学工業(株)製、商品名:TGR−SD)26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水30gを十分に攪拌した後、3本ロールミルを用いて20回混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エパポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、青色のポリマー微粒子分散体を得た。
ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は93nmであった。
着色剤例2.
〈ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調整〉
着色剤例1のフタロシアニン顔料をピグメントレッド122に変更したほかは着色剤例1と同様にして赤紫色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は127nmであった。
着色剤例3.
〈モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調整〉
着色剤例1のフタロシアニン顔料をピグメントイエロー74に変更したほかは着色剤例1と同様にして黄色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は76nmであった。
着色剤例4.
〈ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液(自己分散型)〉
表面積が230m2/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック100gと、p−アミノ−N−安息香酸34gとを水750gに混合分散し、これに硝酸16gを滴下して70℃で撹拌した。5分後、50gの水に11gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間撹拌した。得られたスラリーを10倍に希釈し遠心処理し粗大粒子を除き、pHをジエタノールアミンにて調整しpH8〜9とし、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15重量%のカーボンブラック分散液とした。このものをポリプロピレンの0.5μmフィルターにてカーボンブラック分散液1とした。マイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は99nmであった。
着色剤例5.
〈次亜塩素酸処理したカーボンブラック分散液(自己分散型)〉
市販のpH2.5の酸性カーボンブラック(キャボット社製 商品名モナーク1300)300gを水1000ミリリットルに良く混合した後に次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100〜105℃で8時間撹拌した。この液に更に次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)100gを加え、横型分散機で3時間分散した。得られたスラリーを水で10倍に希釈し、水酸化リチウムにてpHを調整し、電導度0.2mS/cmまで限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。遠心処理により粗大粒子を除き、さらに1μmのナイロンフィルターで濾過しカーボンブラック分散液2とした。Fe、Ca、Siの含有量の総計がICPの測定により100ppm以下であった。また塩素イオン濃度も10ppm以下とした。マイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は95nmであった。
インクa
下記処方のインク組成物を作成し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行いインク組成物を得た。
着色剤例4.ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液1 8.0重量%
(固形分として)
1,4−ブタンジオール 22.5重量%
グリセリン 7.5重量%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0重量%
具体例(II−2)の界面活性剤 2.0重量%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0重量%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2重量%
イオン交換水 残 量
インクb
下記組成物を用いる以外はインクaと同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
着色剤例1.フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体 15.0重量%
(固形分として)
1,5−ペンタンジオール 15.0重量%
グリセリン 15.0重量%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 2.0重量%
具体例(II−3)の界面活性剤 2.0重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2重量%
イオン交換水 残 量
インクc
下記組成物を用いる以外はインクaと同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
着色剤例2.ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体 15.0重量%
(固形分として)
1,6−ヘキサンジオール 22.5重量%
グリセリン 7.5重量%
2−ピロリドン 3.0重量%
具体例(II−4)の界面活性剤 2.0重量%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0重量%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2重量%
イオン交換水 残 量
インクd
下記組成物を用いる以外はインクaと同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
着色剤例3.モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体 15.0重量%
(固形分として)
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 22.5重量%
グリセリン 7.5重量%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0重量%
一般式(III)で表される界面活性剤(R=n−ヘキシル基、k=5)
2.0重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2重量%
イオン交換水 残 量
インクe
下記処方のインク組成物を作成し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行いインク組成物を得た。
着色剤例1.フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体 5.0重量%
(固形分として)
エチレングリコール 15.0重量%
グリセリン 5.0重量%
2−ピロリドン 2.0重量%
ECTD−3NEX(日光ケミカルズ製アニオン系界面活性剤) 1.0重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量%
アクリル樹脂エマルジョン 3.0重量%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2重量%
イオン交換水 残 量
インクf
下記組成物を用いる以外はインクaと同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
着色剤例2.ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体 6.0重量%
(固形分として)
ジエチレングリコール 15.0重量%
グリセロール 5.0重量%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0重量%
ECTD−6NEX(日光ケミカルズ製アニオン系界面活性剤) 1.0重量%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0重量%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2重量%
イオン交換水 残 量
インクg
下記組成物を用いる以外はインクaと同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
着色剤例3.モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体 5.0重量%
(固形分として)
トリエチレングリコール 15.0重量%
グリセリン 5.0重量%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 2.0重量%
一般式(IV)で表される界面活性剤(R=C1327、n=8)
1.0重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量%
アクリル樹脂エマルジョン 3.0重量%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2重量%
イオン交換水 残 量
インクh
下記組成物を用いる以外はインクaと同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
着色剤例4.ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液1 4.0重量%
(固形分として)
エチレングリコール 15.0重量%
グリセリン 5.0重量%
2−ピロリドン 2.0重量%
ECTD−6NEX(日光ケミカルズ製アニオン系界面活性剤) 1.0重量%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0重量%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2重量%
イオン交換水 残 量
インクi
下記組成物を用いる以外はインクaと同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
着色剤例5.次亜塩素酸処理したカーボンブラック分散液2 8.0重量%
(固形分として)
アクリル樹脂エマルジョン 3.0重量%
(固形分として)
トリエチレングリコール 15.0重量%
グリセロール 10.0重量%
N−ヒドロキシエチルピロリドン 5.0重量%
具体例(I−2)の界面活性剤 1.0重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1.0重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残 量
インクa〜iのインク組成物の色材固形分(顔料とエマルジョン)の濃度と湿潤剤濃度とインク粘度を次の表2に示す。
Figure 2005144966
表面張力は全て、35mN/m以下になり、具体的には、a:29.8、b:30.9、c:31.3、d:32.0、e:31.8、f:33.1、g:32.5、h:30.7、i:31.8mN/mである。
画像Gの測定値等を参考にして、(I)画像濃度、(II)裏抜け濃度、(III)フェザリング、(IV)ブリードについて評価した。結果は次表のとおりであった。
Figure 2005144966
註:○印:良好、△印:やや劣る、×印:不良を示す
次に、前述した、振動板(6)に接合されている支持部材(11)について説明する(図4を参照)。
この支持部材の働き/機能は、説明したとおり重要である。しかしインクジェットヘッドの組立において、圧電素子(7)と支持部材(11)を高精度に交互に設置するのは非常に困難であり、装置の複雑化を招いてしまう。そこで、圧電素子(7)は各個別液室(4)に対応してダイサーによって溝加工を施して形成した場合、隔壁(5)に対応した位置にも圧電素子の壁を残すようにする。すると、それを支持部材(11)として用いることで、駆動用の圧電素子と補強用の支持部材を同時に形成することができる。すなわち、高精度な位置決めが可能な支持部材ができるので、安定した製造を行うことができる。
また、加圧液室(4)の各部の寸法(例えば幅や長さなど)は、インクの噴射特性に大きな影響を与える。所望の噴射特性を得るばかりでなく、寸法のバラツキは噴射特性のバラツキになって現れる。従って、高精度な形成方法が必要となるが、単結晶シリコン基板の異方性エッチングを用いることでそれらが可能となる。また、単結晶シリコンはヤング率が大きく、その結果、高剛性な液室を実現することが可能となる。
そして、前述したとおり、25℃で5cp以上、より好ましくは25℃で8cp以上の粘度を有するインクを用いると、画像品質が極めて向上し、耐久性の確保も可能となる。また、高粘度なインクはメニスカスの振動の減衰に効果が高く、安定したインクの吐出を高速に行える。
またこのインクジェットヘッドに用いる圧電素子は、複数の圧電素子の層と電極層を交互に積層していることが好ましい。このことによって、低い印加電圧でも十分な変位量を得ることができるので、電源の小型化や、複雑な変位拡大機構などが不要となる。さらに十分な駆動力も得られるので、高剛性な液室の内部圧力を制御するのにふさわしい圧電素子構造である。
振動板は、加圧液室に接合して用いることが好ましく、そのため、環境に対する物性値は加圧液室と同程度のものが好ましい。加工性や精度の確保が容易であり、上述のシリコン液室の熱膨張係数とも大きな乖離のないニッケルを用いることが好ましい。
上述のインクジェットヘッドをキャリッジに搭載し、インクジェット記録装置とすることは容易である。さらに、上述した共通液室の構成を用いることで、従来にない高効率な噴射特性を長時間維持できるプリンタを実現することができる。
本発明におけるインクジェットへッドの液室構成の例を示した図である。 本発明におけるインクジェットヘッドの分解斜視図である。 本発明におけるインクジェットヘッドの断面図である。 本発明における圧電素子および周辺の拡大模式図である。 本発明の支持部材がない場合の圧電素子および周辺の拡大模式図である。
符号の説明
1 加圧液室基板
2 ベース基板
3 ノズル
4 加圧液室
5 隔壁
6 振動板
7 圧電素子
8 ノズルプレート
9 共通液室
10 連通部
11 支持部材
12 インク滴
13 フレーム
14 インク供給源
15 FPCケーブル
16 ドライバIC16
17 封止剤
18 連結管
19 薄肉部
20 厚肉部

Claims (9)

  1. 複数のノズルと、該ノズルに連通した加圧液室と、該加圧液室の一部を構成する振動版と、前記加圧液室に連通した共通液室と、該共通液室に連接した連結管と、該連結管を介して前記共通液室にインクを供給するインク供給源と、前記加圧液室内部の圧力を変化させる駆動手段と、該駆動手段の一端が接合されている支持基板とを備え、前記駆動手段は、前記加圧液室の一部を構成する振動板に連接され、前記加圧液室に連通したノズルからインク滴を吐出することによって、被記録媒体に画像情報を記録するインクジェットヘッドであって、
    前記加圧液室が弾性率1000kg/mm2以上の高剛性な材料で形成され、隣接している前記加圧液室を分離している隔壁に対応した位置に、該支持基板と前記振動版を連接する支持部材を有し、吐出するインクは25℃で5cp以上の高粘度であり、該振動板の法線方向の変位が、d33方向である圧電素子で構成されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記支持部材は、前記圧電素子駆動手段と同じ剛性レベル又はそれ以上の高剛性な材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記支持部材は、前記圧電素子駆動手段と同一の材料で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記加圧液室は、単結晶シリコンを材料として用いることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記圧電素子は、複数枚の圧電素子の層と電極層が積層された構造であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記振動板は、ニッケルを材料として用いることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 前記インクは、湿潤剤、浸透剤、水溶性有機溶剤を含む親水性分散媒中に、ポリマー微粒子に色材を含有させたエマルジョン粒子を含むものであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドを搭載することを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 請求項8に記載のインクジェット記録装置を用いて非記録媒体表面に画像を形成することを特徴とするインクジェット画像記録方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018028003A (ja) * 2016-08-16 2018-02-22 キヤノンファインテックニスカ株式会社 インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録用ヘッド及びインクジェット記録装置
US11904600B2 (en) 2021-03-31 2024-02-20 Ricoh Company, Ltd. Printing method and printing device
US11970625B2 (en) 2021-06-15 2024-04-30 Ricoh Company, Ltd. Liquid composition, liquid discharging device, and method of manufacturing liquid composition

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