JP2005140289A - 動圧軸受装置の製造方法 - Google Patents

動圧軸受装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005140289A
JP2005140289A JP2003379147A JP2003379147A JP2005140289A JP 2005140289 A JP2005140289 A JP 2005140289A JP 2003379147 A JP2003379147 A JP 2003379147A JP 2003379147 A JP2003379147 A JP 2003379147A JP 2005140289 A JP2005140289 A JP 2005140289A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
workpiece
dynamic pressure
bearing device
hydrodynamic bearing
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003379147A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4355192B2 (ja
Inventor
Toshimasa Kobayashi
寿政 小林
Minoru Shimada
稔 島田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nidec Instruments Corp
Original Assignee
Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd filed Critical Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2003379147A priority Critical patent/JP4355192B2/ja
Publication of JP2005140289A publication Critical patent/JP2005140289A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4355192B2 publication Critical patent/JP4355192B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】 軸部材または軸受部材の素材に対するバリ取り加工を安価かつ高精度に行わせることを可能とする。
【解決手段】 潤滑流体の動圧を利用した動圧軸受装置に用いられる軸部材または軸受部材の素材を被加工物Wとして、その被加工物Wの被加工表面に対して適宜の隙間をおいて電極工具45を対向するように配置し、これら被加工物Wと電極工具45との隙間内に電解液を流動させながら通電を行うことによって、動圧発生用溝の溝加工またはバリ取り加工を電解加工により良好かつ効率的に行い、しかも清浄度を良好に維持させるように構成したもの。
【選択図】 図3

Description

本発明は、動圧軸受装置の軸部材または軸受部材の素材を被加工物として、その被加工物の被加工表面に生じたバリを除去するバリ取り加工を行うようにした動圧軸受装置の製造方法に関する。
近年、各種回転体を高速回転下においても安定して支持することができるように動圧軸受装置の開発が進められている。その動圧軸受装置では、軸受スリーブ(軸受部材)側に設けられた動圧面と、その軸受スリーブ部に対して相対回転可能に挿通された軸ブッシュ(軸部材)側に設けられた動圧面とが、ラジアル方向またはスラスト方向に対向配置されていることによってラジアルまたはスラストの動圧軸受部が構成されているとともに、その動圧軸受部を含む軸受空間内に、潤滑性オイルなどの動圧流体が充填されている。そして、回転側の部材が回転駆動された際に、適宜の動圧発生手段のポンビング力によって前記動圧流体に動圧力が発生し、その動圧流体の動圧力に基づいて、上述した軸受スリーブと軸ブッシュとが非接触で円滑に支持される構成になされている。
一方、このような動圧軸受装置において、動圧流体に動圧力を安定的に発生させるためには、軸部材または軸受部材の動圧面等の各表面を出来るだけ平滑な状態に仕上げておく必要がある。そのため従来より、それらの軸部材または軸受部材の各表面に生じているバリを除去するバリ取り加工が行われている。
そして、従来のバリ取り加工としては、
(1)針状の電極工具を電解用電極を被加工表面の近傍に配置して、電気化学的に金属表面を溶解させるようにした針状電解方法、
(2)化学薬品を用いた化学的研磨によって金属表面を溶解させる化学研磨方法、
(3)ブラシやヤスリなどを用いた機械的加工手段によって金属バリを除去する機械加工方法、
などが採用されている。
しかしながら、このような従来におけるバリ取り加工手段を用いたいずれの方法においても、加工時に微細な加工粉が発生してしまい、ミクロンオーダーのパーティクルやコンタミ物による汚染を問題とする動圧軸受装置においては、そのようなバリ取り加工時に発生した微細な加工粉によって、焼き付きによるロック状態などの問題を発生させてしまうおそれがある。
さらに、動圧軸受装置の動圧面等には、高精度な平滑面が要求されることから、それに適合した精度となるようにバリ取り加工を行うこととすると、加工設備が高価なものになってしまうとともに、バリ取り加工を行った部位の周辺の領域に対して寸法的な影響を与えて、動圧軸受装置の動圧特性を低下させてしまうおそれもある。
そこで本発明は、軸部材または軸受部材の素材に対するバリ取り加工を、安価かつ高精度にて行わせることができるようにした動圧軸受装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の請求項1にかかる動圧軸受装置の製造方法では、潤滑流体の動圧を利用した動圧軸受装置に用いられる軸部材または軸受部材の素材を被加工物として、その被加工物の被加工表面に対して適宜の隙間をおいて電極工具を対向するように配置し、これら被加工物と電極工具との隙間内に電解液を流動させながら通電を行うことによって、前記被加工物の被加工表面に生じているバリを電解加工により除去するようにしている。
このような構成を有する請求項1にかかる動圧軸受装置の製造方法によれば、被加工物の被加工表面が、簡易な電解加工によって短時間で高精度な表面に形成され、バリ取り加工が良好かつ効率的に行われるとともに、加工時においては、従来のような加工粉も発生することがないために清浄度が良好に維持されるようになっている。
また、本発明の請求項2にかかる動圧軸受装置の製造方法では、上記請求項1における被加工表面に生じているバリを包含する形状の連通孔パターンを貫通形成したマスキング部材を準備しておき、その連通孔パターンを有するマスキング部材を、前記被加工物の被加工表面に密着させた後に、前記マスキング部材と前記電極工具との間の隙間に前記電解液を供給することによって前記マスキング部材の連通孔パターンの内部に電解液を入り込ませて流動させるようにしている。
このような構成を有する請求項2にかかる動圧軸受装置の製造方法によれば、被加工物に対して供給された電解液が、当該被加工物に密着させられたマスキング部材の連通孔パターン内にのみ流動させられることとなり、バリ取り加工を行うべき部位の周囲の非加工表面に対するマスキング作用によって、当該非加工表面への電解加工が確実に阻止されるようになっている。また、被加工物と電極工具との間の隙間を広げることによって、電解液の流動性を向上させることが可能となり、マスキング部材の連通孔パターンに対応した形状が被加工物に対して高精度に形成されることによってバリ取り加工が良好に行われるようになっている。
さらに、本発明の請求項3にかかる電解加工方法では、潤滑流体の動圧を利用した動圧軸受装置に用いられる軸部材または軸受部材の素材を被加工物として、その被加工物の被加工表面に対して適宜の隙間をおいて電極工具を対向するように配置し、これら被加工物と電極工具との隙間内に電解液を流動させながら通電を行うことによって、動圧発生用溝の電解加工を行うと同時に、前記被加工物の被加工表面に生じているバリを電解加工により除去するようにしている。
このような構成を有する請求項3にかかる動圧軸受装置の製造方法によれば、被加工物の被加工表面が、簡易な電解加工によって短時間で高精度な表面に形成され、動圧発生用溝の溝加工およびバリ取り加工の双方が、同時に良好かつ効率的に行われるとともに、加工時においては、従来のような加工粉も発生することがなく、清浄度が良好に維持されるようになっている。
さらにまた、本発明の請求項4にかかる電解加工方法では、上記請求項3における動圧発生用溝の開口形状に対応した連通孔パターンと、被加工表面に生じているバリを包含する形状の連通孔パターンとを、同一のマスキング部材にそれぞれ貫通形成しておき、それらの連通孔パターンを有するマスキング部材を被加工物の被加工表面に密着させた後に、前記マスキング部材と前記電極工具との間の隙間に前記電解液を供給することによって前記マスキング部材の連通孔パターンの内部に電解液を入り込ませるように流動させることとしている。
このような構成を有する請求項4にかかる動圧軸受装置の製造方法によれば、被加工物に対して供給された電解液が、当該被加工物に密着させられたマスキング部材の連通孔パターン内にのみ流動させられることとなって、動圧発生用溝を形成すべき部位およびバリ取り加工すべき部位の周囲の非加工表面に対するマスキング作用によって、当該非加工表面への電解加工が確実に阻止されるようになっている。また、被加工物と電極工具との間の隙間を広げることによって、電解液の流動性を向上させることが可能となり、マスキング部材の連通孔パターンに対応した形状が被加工物に対して高精度に形成されることによって、動圧発生用溝の溝加工およびバリ取り加工の双方が良好に行われるようになっている。
また、本発明の請求項5にかかる動圧軸受装置の製造方法では、上記請求項2または請求項4におけるマスキング部材が、フッ素変性された可撓性を有する絶縁性部材を金属部材の少なくとも表面部分に設けられたものからなり、さらに本発明の請求項6にかかる動圧軸受装置の製造方法では、上記請求項2または請求項4におけるマスキング部材が、可撓性を有する絶縁性のプラスチック材料から形成されている。
このような構成を有する請求項5または請求項6にかかる動圧軸受装置の製造方法によれば、可撓性を有するマスキング部材が、被加工表面の動圧発生用溝を形成する部位またはバリ取り加工すべき部位の周囲の非加工表面に沿って撓むようにして確実に密着することとなり、その非加工表面に対するマスキング部材の良好な密着性によって電解加工が確実に防止され、当該非加工表面の形状が確実に確保されるとともに、加工すべき部位に対する電解加工が良好に行われるようになっている。
さらに、本発明の請求項7にかかる動圧軸受装置の製造方法では、上記請求項3における電極工具に設けられた電極面を、前記被加工表面に生じているバリを包含する円環形状をなすように形成しておき、当該円環状の電極面を動圧軸受装置の回転中心に対して略同心状となるように配置して電解加工を行うようにしている。
このような構成を有する請求項7にかかる動圧軸受装置の製造方法によれば、被加工物の被加工表面が、動圧軸受装置の回転中心と略同心状の円環形状をなすように電解加工されることから、その円環形状の加工面に沿って潤滑流体が周方向に略均一に流動することとなり、当該潤滑流体に発生する動圧も周方向に沿って略均一な状態に維持されるようになっている。
一方、本発明の請求項8にかかる動圧軸受装置の製造方法では、上記請求項1または請求項3における電解液として界面活性剤との混合液が用いられていることから、被加工物から溶出した電解生成物などの各種パーティクルが、電解液中の界面活性剤により分離しやすくなり電解液の円滑な流動が確保されるようになっている。
また、本発明の請求項9にかかる動圧軸受装置の製造方法では、上記請求項1または請求項3における電解液に超音波振動を与える超音波振動発生手段が設けられていることから、被加工物から溶出した電解生成物などの各種パーティクルが、電解液に付与された超音波振動によって円滑に流動されるようになっている。
さらに、請求項10にかかる動圧軸受装置の製造方法では、上記請求項9における超音波振動用の通電を電解加工用の通電から独立して行い、また請求項11にかかる電解加工方法では、上記請求項10における超音波振動用の通電と電解加工用の通電とを、交互、またはそれらの各通電の少なくとも一部を重複して行うようにしていることから、電解加工の状況に応じて、電解加工用の通電と超音波振動用の通電とを適宜に切り替えることによって、常時、最良の加工状態が得られるようになっている。
さらにまた、本発明の請求項12にかかる動圧軸受装置の製造方法では、上記請求項3における動圧発生用溝を形成している凹部の両側壁面を、底壁面から開口部に向かって連続的に拡大する方向に傾斜するテーパ面に形成するようにしている。
このような構成を有する請求項12にかかる動圧軸受装置の製造方法によれば、動圧発生用溝の開口縁部の角部が面取り状態に形成されることとなり、回転の起動・停止時等に相手方の部材が角部に接触した場合でも、その面取りされた角部における接触摩耗が低減されて、動圧軸受装置の寿命の短縮化が防止されるようになっている。
以上述べたように、本発明にかかる動圧軸受装置の製造方法は、潤滑流体の動圧を利用した動圧軸受装置に用いられる軸部材または軸受部材の素材を被加工物として、その被加工物の被加工表面に対して適宜の隙間をおいて電極工具を対向するように配置し、これら被加工物と電極工具との隙間内に電解液を流動させながら通電を行うことによって、動圧発生用溝の溝加工またはバリ取り加工を電解加工により良好かつ効率的に行い、しかも清浄度を良好に維持させるように構成したものであるから、軸部材または軸受部材の素材に対するバリ取り加工または動圧発生用溝の溝加工を安価かつ高精度に行わせることができ、低廉かつ信頼性の高い動圧軸受装置を容易に得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明するが、それに先立って、まず本発明にかかる動圧軸受装置を採用した一例としてのハードディスク駆動装置(HDD)用スピンドルモータの概要を説明しておくこととする。
図8に示されている軸回転型のHDD用スピンドルモータの全体は、固定部材としてのステータ組20と、そのステータ組20に対して図示上側から組み付けられた回転部材としてのロータ組30とから構成されている。そのうちステータ組20は、図示を省略した固定基台側にネジ止めされる固定フレーム21を有している。この固定フレーム21は、軽量化を図るためにアルミ系金属材料から形成されているが、当該固定フレーム21の略中央部分に立設するようにして形成された環状の軸受ホルダー22の内周面側には、中空円筒状に形成された動圧軸受部材としての軸受スリーブ23が、圧入または焼嵌めによって上記軸受ホルダー22に接合されている。この軸受スリーブ23は、小径の孔加工等を容易化するために銅系材料、特に本実施形態ではリン青銅から形成されている。
また、前記軸受ホルダー22の外周側取付面には、電磁鋼板の積層体からなるステータコア24が嵌着されているとともに、そのステータコア24に設けられた各突極部には、駆動コイル25がそれぞれ巻回されている。
さらに、上記動圧軸受部材としての軸受スリーブ23に設けられた中心孔内には、上述したロータ組30を構成する回転軸31が回転自在に挿入されている。すなわち、上述した軸受スリーブ23の内周壁部に形成された動圧面は、上記回転軸31の外周面に形成された動圧面に対して半径方向に近接して対向するように配置されており、それら両動圧面どうしの微少な対向隙間を含む軸受空間に、軸方向に適宜の間隔をあけて2箇所のラジアル動圧軸受部RB,RBが構成されている。より詳細には、上記ラジアル動圧軸受部RBにおける軸受スリーブ23側の動圧面と、回転軸31側の動圧面とは、数μmの微少対向隙間を介して周状に対向配置されており、その微少対向隙間を含む軸受空間内に、潤滑オイルや磁性流体等の潤滑流体が軸線方向に連続するように注入されている。
さらにまた、上記軸受スリーブ23および回転軸31の両動圧面の少なくとも一方側には、例えばへリングボーン形状からなるラジアル動圧発生用溝が、軸線方向に2ブロックに分けられて環状に凹設されており、回転時に、当該ラジアル動圧発生用溝のポンピング作用により図示を省略した潤滑流体が加圧されて動圧を生じ、その潤滑流体の動圧によって、上記回転軸31とともに後述する回転ハブ22が、上記軸受スリーブ23に対してラジアル方向に非接触状態で軸支持される構成になされている。
一方、上記回転軸31とともにロータ組30を構成している回転ハブ32は、アルミ材やステンレス材等からなる略カップ状の部材から構成されており、当該回転ハブ32の中心部分に貫通形成された接合穴32aが、上記回転軸31の図示上端部分に対して圧入または焼嵌めによって一体的に接合されている。この回転ハブ32は、図示を省略した磁気ディスク等の記録媒体ディスクを外周部に搭載する略円筒状の胴部32bを有しているとともに、その胴部32bから半径方向外方に張り出して記録媒体ディスクを軸線方向に支持するディスク載置部32cを備えており、図示上方側から被せるように螺子止めされたクランパ(図示省略)による図示上方側からの押圧力によって、上記記録媒体ディスクの固定が行われるようになっている。
また、上記回転ハブ32の胴部32bの内周壁面側には、環状の磁性部材からなるヨーク32dを介して環状駆動マグネット32eが取り付けられている。この環状駆動マグネット32eの内周面は、前述したステータコア24における各突極部の外周側の端面に対して環状に近接対向するように配置されているとともに、当該環状駆動マグネット32eの軸方向下端面は、上述した固定フレーム21側に取り付けられた磁気吸引板26と軸方向に対面する位置関係になされており、これら両部材32e,26どうしの間の磁気的吸引力によって、上述した回転ハブ32の全体が軸方向に磁気的に引き付けられ、安定的な回転状態が得られる構成になされている。
さらに、前記軸受スリーブ23の図示下端側に設けられた開口部は、カバー23aにより閉塞されており、上述した各ラジアル動圧軸受部RB内の潤滑流体が外部に漏出しないように構成されている。
さらにまた、上記軸受スリーブ23の図示上端面と、上述した回転ハブ32の中心側部分における図示下端面とは、軸方向に近接した状態で対向するように配置されており、それら軸受スリーブ23の図示上端面と、回転ハブ32の図示下端面との間の対向隙間を含む軸受空間に、上述したラジアル軸受部RBから連続するスラスト動圧軸受部SBが設けられている。すなわち、上記対向領域を構成している両対向動圧面23,32の少なくとも一方側には、例えば図9に示されているようなへリングボーン形状、または図示を省略したスパイラル形状等をなすスラスト動圧発生用溝SGが形成されており、そのスラスト動圧発生用溝SGを含む軸方向対向部分がスラスト動圧軸受部SBになされている。
このようなスラスト動圧軸受部SBを構成している軸受スリーブ23の図示上端面側の動圧面と、それに近接対向する回転ハブ32の図示下端面側の動圧面とは、数μmの微少隙間を介して軸方向に対向配置されているとともに、その微少隙間からなる軸受空間内に、オイルや磁性流体等の潤滑流体が、上述したラジアル動圧軸受部RBから連続的に充填されていて、回転時に、上述したスラスト動圧発生用溝のポンピング作用によって上記潤滑流体が加圧されて動圧を生じ、その潤滑流体の動圧によって、前記回転軸31および回転ハブ32が、スラスト方向に浮上した非接触状態で軸支持される構成になされている。
さらに、上記動圧軸受部材としての軸受スリーブ23の外周壁面によって、毛細管シール部SSからなる流体シール部が画成されている。すなわち、この流体シール部としての毛細管シール部SSは、前述したスラスト動圧軸受部SBを含む軸受空間に対して半径方向外方側から連設されるように設けられており、上記軸受スリーブ23の外周壁面と、その軸受スリーブ23の外周壁面と半径方向に対向するように形成された抜け止め部材としてのカウンタープレート34の内周壁面とにより、上記毛細管シール部SSが画成されている。上記カウンタープレート34は、上述した回転ハブ32から軸方向に突出するように設けられたフランジ部32fに固定されたリング状部材からなり、当該カウンタープレート34の内周壁面と、上述した軸受スリーブ23の外周壁面との間の隙間を、図示下方側の開口部に向かって連続的に拡大することによって、テーパ状のシール空間を画成している。そして、上述したスラスト動圧軸受部SB内の潤滑流体が、上記毛細管シール部SSに至るまで連続的に充填されている。
またこのとき、上記軸受スリーブ23の図示上端部分には、半径方向外方側に張り出すようにして抜止め鍔部23bが設けられており、その抜止め鍔部23bの一部が、上述したカウンタープレート34の一部に対して軸方向に対向するように配置されている。そして、これら両部材23b,34によって、前記回転ハブ32が軸方向に抜け出すことを防止する構成になされている。
一方、上述した軸受スリーブ23には、例えば図10に示されているような潤滑流体の圧力調整用バイパス通路(循環孔)BPが形成されることがある。この圧力調整用バイパス通路(循環孔)BPを設ける理由を構造とともに説明すると、まず、上記軸受スリーブ23と回転軸31との微小隙間に配置された2箇所の各ラジアル動圧軸受部RBには、前述したようなラジアル動圧発生用溝が形成されている。そのラジアル動圧発生用溝は、例えば略「く」の字状をなすように形成されたヘリングボーン状屈曲溝の環状集合体から形成されているが、その「く」の字状における中央部分の頂点部に相当する位置を中心として、基本的には軸方向に対称な溝形状をなすように構成されており、その対称的な溝形状を備えたラジアル動圧発生用溝によるポンピング作用は、軸方向に対称的にバランスした状態になされる。
従って、設計上では、上述した各ラジアル動圧軸受部RBによるバランスしたポンピング作用力によって、潤滑流体が軸方向の一方側に押し込まれていくことはないが、実際の製造を行うにあたっては、上記各ラジアル動圧軸受部RBにおける隙間寸法や、動圧発生溝の溝形状(溝長さ)等が、製造誤差などによって軸方向にアンバランスな形状に成形されてしまうことがあり、それによって各ラジアル動圧軸受部RBにおけるポンピング作用力がアンバランス状態となってしまうことがある。
このようなことから、図10に示されている実施形態においては、上記軸受スリーブ23に対して、複数本の圧力調整用バイパス通路(循環孔)BPが軸方向に貫通するように形成されている。この軸受スリーブ23に設けられた複数本の圧力調整用バイパス通路BPは、上述した各ラジアル動圧軸受部RBを含む軸受空間とは別個に、上記軸受スリーブ23を軸方向に貫通するように形成されており、上記軸受スリーブ23の軸方向両端面にそれぞれ開口部BP1,BP2を有するように形成されている。そして、それらの両開口部BP1,BP2のうち、前記軸受スリーブ23の図示上側端面に配置された開口部BP2は、回転ハブ体62の図示下面と前記軸受スリーブ23の図示上端面との対向隙間に形成されたスラスト動圧軸受部SBと、そのスラスト動圧軸受部SBと連続するように配置された図示上側のラジアル動圧軸受部RBとの間の軸受空間内に開口するように配置されている。
すなわち、この圧力調整用バイパス通路BPの図示上側の開口部BP2は、前述したスラスト動圧軸受部SBよりも半径方向内側の部位において上記スラスト動圧軸受部SBよりも軸方向間隔が大きく形成された拡大隙間部LSに開口しており、このような拡大隙間部LSが設けられていることによって、上記圧力調整用バイパス通路BPと軸受空間との間に良好な連通状態が形成され、潤滑流体の流動が良好に行われるようになっている。このような圧力調整用バイパス通路BPの両開口部BP1,BP2のうち、軸受スリーブ23の図示下側端面に配置された開口部BP1は、当該軸受スリーブ23の図示下端面と前記カバー53aとにより画成された軸方向外方側の空間に向かって開口するように配置されている。
一方、このような圧力調整用バイパス通路BPは、ドリル等の長尺状工具を用いて切削加工されるが、その際、当該圧力調整用バイパス通路BPの両端開口部BP1,BP2における周縁部分には、加工によるバリが端面から突起するように発生してしまうこととなる。そして本発明では、そのような加工バリを、図1、図2、図3および図4に示されているような電解加工装置を用いた電解加工方法によって迅速かつ良好に除去するようにしている。
すなわち、本実施形態におけるバリ取り加工は、上述した図9に示されているようなスラスト動圧発生用溝SGの溝加工と同時に電解加工により行うようにしているが、そのような電解加工を行うにあたっては、例えば図11に示されているように、軸受スリーブ23(または回転ハブ32)からなる被加工物Wに対し、まず転造工程を施してスラスト動圧発生用溝SGを粗造しておき、その後に脱脂を行い、その後に、次に述べるような電解加工工程を施して、バリ取りの加工を行うと同時に、例えば14μm〜20μmの溝深さを有するスラスト動圧発生用溝SGを形成する。以下、このときの電解加工工程の実施形態を、電解加工装置の構造とともに説明する。
すなわちまず、図1、図2、図3および図4に示されているように、本体ベース部41上に取り付けられたワーク支持治具42の略中央部分には、ワーク装着用の凹部が設けられており、そのワーク装着用凹部内に、前述した被加工物としての軸受スリーブ23または回転ハブ32のいずれかの素材(以下、単に被加工物という。)Wが落とし込まれるようにして水平状態にて保持されている。本実施形態における上記被加工物Wとしては、例えばリン青銅材料からなる素材が採用されている。
そして、上記被加工物Wの図示上側の表面上には、特に図3に示されているような薄板円盤状の絶縁部材からなるマスキング部材43が密着するように装着されている。このマスキング部材43は、上記被加工物Wの外径よりやや大径をなす円板状部材から形成されており、当該マスキング部材43の外周縁部分が、キャップ状部材44によって上記ワーク支持治具42側に対して図示下方向に押し付けられるようにして固定されている。
上記マスキング部材43は、可撓性を有する絶縁性の部材から形成されているが、少なくとも表面部分に絶縁性材料が形成されていれば良く、例えばステンレス(SUS)材等からな金属メタル部材の少なくとも表面部分に、フッ素変性された可撓性を有する絶縁性部材が10μm〜30μmにわたってコーティングして設けられたものや、可撓性を有する絶縁性のプラスチック材料から形成されている。また、ステンレス鋼板(SUS)に対して電着を施したものなども採用することができる。このようなマスキング部材43の板厚は、例えば0.05mm〜0.1mm程度の薄厚に設定されている。
そして、本実施形態におけるマスキング部材43には、2種類の連通孔パターン43aおよび43bが板厚方向に貫通するようにして形成されている。すなわち本実施形態においては、バリ取りの電解加工に使用するマスキング部材と、動圧発生用溝SGの電解加工に使用するマスキング部材とを共通に用いる構成が採用されており、バリ取り加工と動圧発生用溝SGの溝加工とを同時に電解加工にて行うようにしている。
より具体的には、それらの各連通孔パターン43a,43bのうちの連通孔パターン43aは、前述した圧力調整用バイパス通路BPの両端開口部BP1,BP2の円形状を包含するように略円弧形状に形成されており、それらの各連通孔パターン43a以外の部分、つまり圧力調整用バイパス通路BPの開口部BP1,BP2の周囲に相当する非加工表面が、上述したマスキング部材43の本体部により覆われてマスキング状態になされている。このようにしてマスキングが行われた圧力調整用バイパス通路BPの開口部BP1,BP2の周囲の非加工表面では、電解加工が阻止される一方、連通孔パターン43aの内方側領域に位置する圧力調整用バイパス通路BPの開口部BP1,BP2に対しては、電解加工によるバリ取り加工が行われることとなる。
一方、上記マスキング部材43に設けられた他の連通孔パターン43bは、前述したスラスト動圧発生用溝SGに対応した形状をなして板厚方向に貫通するようにして形成されたものであって、その連通孔パターン43b以外の部分、つまり図5に示されているように、前記動圧発生用溝SGの両開口縁部SGa,SGaから図示水平方向に延出している凸部の外表面SGb,SGbに相当する部分が、上述したマスキング部材43によって覆われマスキングされている。このマスキングが行われた凸部の外表面SGb,SGbでは電解加工が阻止されることとなる。
このように本実施形態においては、圧力調整用バイパス通路BPの両端開口部BP1,BP2の円形状を包含する略円弧形状の連通孔パターン43aに加えて、動圧発生用溝SGに対応した形状をなす連通孔パターン43bを、同一の共通化したマスキング部材に対して貫通形成している。
再び図1に戻って、上述した被加工物Wおよびマスキング部材43の直上位置には、中空の棒状部材からなる電極工具45が、略鉛直方向に立設するように配置されている。この電極工具45は、前述した本体ベース部41の上方位置に延在している本体アーム部46に固定または保持されており、特に図4に示されているように、上記電極工具45の図示下端部分は、上記マスキング部材43との間に、電解加工時において例えば1mm程度の隙間δを形成するように配置されている。また、上記電極工具45に対しては、例えば5V〜45V程度の出力電圧を有する直流電源の負極(−)が接続されているとともに、上記直流電源の正極(+極)が、被加工物W側に接続されている。
さらに、上記電極工具45の中心部分には、軸方向に沿って液通路45aが貫通形成されており、その液通路45aの図示上端側から、図示を省略した電解液供給手段(ポンプ)によって電解液が送給されるように構成されている。このときの電解液としては、例えば、NaNo3 の10〜30重量%溶液が用いられており、上記電極工具45の図示上側から送給された電解液が、上記液通路45aを通って図示下端側に設けられた出口部を通して、上述したマスキング部材43および被加工物W上に落下するように供給される。中心部分に供給された電解液は、半径方向外方に向かって放射状に流動していき、図示を省略した受け皿に蓄えられるようになっている。なお、上述した電解液としては、3〜10重量%のKOH、3〜10重量%のNaOH、5〜15重量%のNa2Co3などを用いてもよい。
このようにして、電極工具45と、マスキング部材43および被加工物Wとの間の隙間δ内に電解液を流動させつつ、上記電極工具45と被加工物Wとの間に通電を行う。この場合、前記マスキング部材43に設けられた連通孔パターン43aの内部側に電解液が流入していくこととなり、被加工物Wにおけるマスキング部材43からの露出面上に電解液が接触しながら流動する。そして、その被加工物Wの電解液が接触した部位が、電気化学的に溶出していくことによって、当該被加工物Wの電解加工が行われる。
さらに、上述した電極工具45の図示最上端部分には、超音波振動発生手段を構成している加振器47が取り付けられている。本実施形態における加振器47としては、加振幅を20〜22μmに程度に増幅するホーン型のものが用いられており、上記電極工具45を加振させることによって、上述した電解液に対して超音波振動を与えるように構成されている。
このとき本実施形態では、電解加工用の通電と、超音波振動用の通電とが独立して行われるように構成されており、実際の通電態様としては、図6に示されているように矩形状のパルス電流を用いて、電解加工用の通電Paと、超音波振動用の通電Pbとを交互に行ったり、図7に示されているように、比較的長幅の電解加工用の通電Caと、超音波振動用の通電Cbとを、一部重複するようにして行うようにしたりすることができる。どちらの方法においても、電解加工を行いながら超音波振動によって電解生成物等のパーティクルの除去を行うことができる。
さらに、上述した電解液としては、界面活性剤の混合液が用いられている。そして本実施形態における界面活性剤は、非イオン性活性剤のアルキルエーテル系のものが使用されており、0.03%体積比以上の添加量になされている。
このように本実施形態では、被加工物Wとしての軸受スリーブ23の素材における被加工表面が、簡易な電解加工によって短時間で高精度な表面に形成されることとなり、それよって前述したスラスト動圧発生用溝SGの溝加工と、圧力調整用バイパス通路BPの内部および開口部BP1,BP2の周縁部分に対するバリ取り加工の双方が、同時に良好かつ効率的に行われる。そして、その電解加工時には、従来のような加工粉も発生することはなく、清浄な環境が良好に維持されるようになっている。なお、このような電解加工によるバリ取り加工は、スラスト動圧発生用溝SGの溝加工とは別個・独立に行うようにすることも可能である。
実際に、圧力調整用バイパス通路BPの開口部BP1,BP2の周縁部分に対するバリ取り加工を、前述した電解加工装置を用いて行ってみたところ、例えば図12に示されているように、電解加工前には突起状に成形されていた加工バリAが、電解加工後においては、図13に示されているようにほぼ完全な平滑面状をなすように取り除かれることが測定された。そして、そのときの電解加工は、極めて良好かつ迅速に行われることが確認された。
また、本実施形態では、被加工物Wに対して供給された電解液が、当該被加工物Wに密着させられたマスキング部材の連通孔パターン43a,43bの内部側のみにおいて流動させられることとなり、そのマスキング部材43および被加工物Wと、電極工具45との間の隙間を広げて電解液の流動性を高めるようにしても、スラスト動圧発生用溝SGの形成部位およびバリ取り加工部位の周囲領域における非加工表面に対するマスキング作用によって、当該非加工表面への電解加工が確実に阻止されるようになっている。また、被加工物Wと電極工具との間の隙間を広げることによって、電解液の流動性を向上させることが可能となり、マスキング部材43における連通孔パターン43a,43bに対応した形状が被加工物Wに対して高精度に形成されることによって、スラスト動圧発生用溝SGの形成およびバリ取り加工の双方が良好に行われるようになっている。
特に、上述した実施形態では、マスキング部材43が、絶縁性部材により形成されていることから、上記マスキング部材43における連通孔パターン43a,43b以外の部分に対する通電がほぼ完全に遮断されることとなり、バリ取り加工およびスラスト動圧発生用溝SGの溝加工が一層高精度に形成されるようになっている。
さらに、上述した実施形態では、スラスト動圧発生用溝SGの両開口縁部SGa,SGaから図示水平方向に延出している凸部の外表面SGb,SGbが、マスキング部材43によって覆われてマスキングされているため、本実施形態のように被加工物Wとして高イオン化性を有するリン青銅を用いた場合であっても、電解加工が確実に阻止されることとなり、凸部の外表面SGb,SGbの形状が良好に形成される。
そして本実施形態では、上述したマスキング部材43が、可撓性を有する絶縁性のフッ素変性材料またはプラスチック材料から形成されていることから、バリ取り加工すべき部位の周囲の非加工表面、および上記スラスト動圧発生用溝SGの開口縁部SGa,SGaに連続している凸部の外表面SGbに対して、可撓性を有するマスキング部材43が確実に密着することとなり、とりわけ上記スラスト動圧発生用溝SGの開口縁部SGa,SGaに対するマスキング部材43の良好な密着性から、上記凸部の外表面SGbに対する電解加工が確実に防止され、スラスト動圧発生用溝SGの開口縁部SGa,SGaから底壁面側SGcに向かって延出する両側壁面SGd,SGdに対する電解加工が確実に行われるようになっている。
この点をより具体的に説明すると、上述したスラスト動圧発生用溝SGを形成している凹部の両側壁面SGd,SGdを、該スラスト動圧発生用溝SGの底壁面SGc側から開口縁部SGa,SGa側に向かって開口部を拡大する方向に傾斜するテーパ面が良好に形成されるようになっており、上述したようなマスキング部材43によって電解加工が確実に阻止される凸部の外表面SGbから連続するスラスト動圧発生用溝SGの両側壁面SGd,SGdが、電解加工によってテーパ面状をなすように形成されることによって、スラスト動圧発生用溝SGの開口縁部SGa,SGaの角部が、R状またはC状の面取り状態に形成されることとなる。そして、組み付け後におけるモータの回転の起動・停止時等において、相手方の部材が上述したスラスト動圧発生用溝SGの開口縁部SGa,SGaに接触した場合でも、その部位が面取りされていることから接触摩耗が低減されることとなり、その分、動圧軸受装置の寿命の短縮化が防止されるようになっている。
さらに、本実施形態では、電解液として、界面活性剤との混合液が用いられていることから、被加工物Wからの電解生成物などの各種パーティクルが、電解液中の界面活性剤に吸収されて円滑な流動が確保されるようになっている。
さらにまた本実施形態では、電解液に超音波振動を与える超音波振動発生手段47が設けられていることから、被加工物Wから溶出した電解生成物などの各種パーティクルが、電解液に付与された超音波振動によって円滑に流動されるようになっている。
加えて本実施形態における動圧軸受装置の製造方法においては、電解加工用の通電と、超音波振動用の通電とを独立して行い、また電解加工用の通電Pa,Caと、超音波振動用の通電Pb,Cbとを、交互、またはそれらの各通電の少なくとも一部を重複して行うようにしていることから、電解加工の状況に応じて、電解加工用の通電と超音波振動用の通電とを適宜に切り替えることによって、常時、最良の加工状態が得られるようになっている。
一方、図14に示されている実施形態においては、前述した実施形態のようなマスキング部材は用いられておらず、電極工具55に設けられた電極面55bが、前述した被加工物Wとしての軸受スリーブ23の素材に対して、マスキング部材を介在することなく、直接軸方向に対向する配置関係になされている。
すなわち、本実施形態で用いられている電極工具55は、中空円筒状をなすように形成されていて、中空内部に電解液を送給する液通路55aが軸方向に貫通するように形成されているとともに、図示下端面に形成された電極面55bが、円環形状をなすように形成されている。この円環形状の電極面55aは、被加工表面に生じている加工バリを包含する大きさをなすように形成されており、当該円環形状の電極面55aを、前述した動圧軸受装置の回転中心と略同心状となるように配置した状態で、上記液通路55aを通して電解液を送給しながら電解加工を行うようにしている。
このような構成を有する本実施形態によれば、被加工物Wのバリ取り加工を行う際に、当該被加工物W(軸受スリーブ23の素材)の被加工表面が、図15中の斜線領域W1で示されているように、動圧軸受装置の回転中心と略同心状の円環形状をなすように電解加工される。その結果、その円環形状をなす加工面W1に沿って潤滑流体が周方向に略均一に流動することになり、当該潤滑流体に発生する動圧も周方向に沿って略均一な状態に維持され、良好な動圧特性が維持されるようになっている。
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態は、ハードディスク駆動用モータ(HDD)の動圧軸受装置に対して本発明を適用したものであるが、その他の動圧軸受装置、更には、多種多様な被加工物Wへの電解加工方法に対しても同様に適用することができる。
また、上述した実施形態においては、マスキング部材43を用いてスラスト動圧発生用溝SGの溝加工と同時にバリ取り加工を行うようにしているが、マスキング部材を用いてバリ取り加工のみを行ってもよい。
さらに、上述した実施形態においては、マスキング部材43は可撓性を有する絶縁性の部材から形成されているが、マスキング部材43は必ずしも可撓性を有する必要はない。特に、バリ取り加工のように被加工部の加工精度が要求されない場合には、マスキング部材43は可撓性を有していなくてもよい。従って、マスキング部材43には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ジュラコン、ウレタン、フッ素変性ウレタン、フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素変性電着塗料、PI電着塗料等の絶縁性部材を可撓性の有無を考慮することなく用いることができる。
以上述べた本発明は、各種モータを始めとして多種多様な回転駆動装置に用いられる動圧軸受装置に対して広く採用することが可能である。
本発明を実施するための電解加工装置の一例の概略構造を表した正面断面説明図である。 図1に表した本発明を実施するための電解加工装置の概略構造を表した側面断面説明図である。 図1および図2に表した電解加工装置に用いられるマスキング部材の構造を表した平面説明図である。 図1乃至図3に表した電解加工装置の使用状態を表した装置要部の外観説明図である。 図1ないし4に表した電解加工装置における通電状態の一例を表した線図である。 図1ないし4に表した電解加工装置における通電状態の他の例を表した線図である。 被加工物Wとしての軸受スリーブの被加工面上にマスキング部材を装着した状態を表した部分拡大縦断面図である。 本発明の電解加工により製造された動圧軸受装置を有する装置例としてのハードディスク駆動用モータ(HDD)の構造例を表した縦断面説明図である。 本発明の電解加工により製造されたスラスト動圧発生用溝SGの形状の一例を表した平面説明図である。 本発明の電解加工によりスラスト動圧発生用溝SGを製造する全工程の一例を表した工程説明図である。 動圧軸受装置の要部を拡大して表した縦断面説明図である。 図11に表した動圧軸受装置の軸受スリーブの端面に生じている加工バリの形状を測定した結果の拡大線図である。 図11に表した動圧軸受装置の軸受スリーブの端面に生じている加工バリを電解加工により除去した後の形状を測定した結果の拡大線図である。 マスキング部材を用いることなく電解加工を行うようにした実施形態における電極工具の電極面の部位を拡大して表した外観斜視説明図である。 図14に表した実施形態にかかる電極工具を用いて電解加工を行った軸受スリーブの端面部分を表した平面説明図である。
符号の説明
20 ステータ組
23 軸受スリーブ
30 ロータ組
31 回転軸
32 回転ハブ
34 カウンタープレート
SG スラストスラスト動圧発生用溝SG
SB スラスト動圧軸受部
BP 圧力調整用バイパス通路(潤滑流体の循環孔)
BP1,BP2 開口部
41 本体ベース部
42 ワーク支持治具
43 マスキング部材
43a,43b 連通孔パターン
44 キャップ状部材
45 電極工具
45a 液通路
47 加振器
W 被加工物

Claims (12)

  1. 潤滑流体の動圧を利用した動圧軸受装置に用いられる軸部材または軸受部材の素材を被加工物として、その被加工物の被加工表面に生じているバリを除去するバリ取り加工を行うようにした動圧軸受装置の製造方法において、
    前記被加工物の被加工表面に対して、適宜の隙間をおいて電極工具を対向するように配置し、
    これら被加工物と電極工具との隙間内に電解液を流動させながら通電を行うことによって、前記被加工物の被加工表面に生じているバリを電解加工により除去するようにしたことを特徴とする動圧軸受装置の製造方法。
  2. 前記被加工表面に生じているバリを包含する形状の連通孔パターンを貫通形成したマスキング部材を準備しておき、
    その連通孔パターンを有するマスキング部材を、前記被加工物の被加工表面に密着させた後、
    前記マスキング部材と前記電極工具との間の隙間に前記電解液を供給することによって前記マスキング部材の連通孔パターンの内部に電解液を入り込ませて流動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置の製造方法。
  3. 潤滑流体の動圧を利用した動圧軸受装置に用いられる軸部材または軸受部材の素材を被加工物として、その被加工物の被加工表面に生じているバリを除去するバリ取り加工を行うとともに、当該被加工物の被加工表面に動圧発生用溝を形成する溝加工を行うようにした動圧軸受装置の製造方法において、
    前記被加工物の被加工表面に対して、適宜の隙間をおいて電極工具を対向するように配置し、
    これら被加工物と電極工具との隙間内に電解液を流動させながら通電を行うことによって、前記動圧発生用溝の溝加工を電解加工により行うと同時に、前記被加工物の被加工表面に生じているバリを電解加工により除去するようにしたことを特徴とする動圧軸受装置の製造方法。
  4. 前記動圧発生用溝の開口形状に対応した連通孔パターンと、前記被加工表面に生じているバリを包含する形状の連通孔パターンとを、同一のマスキング部材にそれぞれ貫通形成しておき、
    それらの連通孔パターンを有するマスキング部材を、前記被加工物の被加工表面に密着させた後、
    前記マスキング部材と前記電極工具との間の隙間に前記電解液を供給することによって前記マスキング部材の連通孔パターンの内部に電解液を入り込ませて流動させるようにしたことを特徴とする請求項3記載の動圧軸受装置の製造方法。
  5. 前記マスキング部材は、金属部材の少なくとも表面部分に、フッ素変性された可撓性を有する絶縁性部材が設けられた構成を有するものであることを特徴とする請求項2または請求項4記載の動圧軸受装置の製造方法。
  6. 前記マスキング部材が、可撓性を有する絶縁性のプラスチック材料から形成されていることを特徴とする請求項2または請求項4記載の動圧軸受装置の製造方法。
  7. 前記電極工具は、前記被加工物の被加工表面に対面配置される電極面を有し、
    その電極工具の電極面を、前記被加工表面に生じているバリを包含する円環形状に形成しておき、
    当該円環状の電極面を、前記動圧軸受装置の回転中心に対して略同心状となるように配置しつつ電解加工を行うようにしたことを特徴とする請求項1または請求項3記載の動圧軸受装置の製造方法。
  8. 前記電解液として、界面活性剤との混合液が用いられていることを特徴とする請求項1または請求項3記載の動圧軸受装置の製造方法。
  9. 前記電解液に超音波振動を与える超音波振動発生手段が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項3記載の動圧軸受装置の製造方法。
  10. 前記電解加工用の通電と、前記超音波振動用の通電とを、独立して行うようにしたことを特徴とする請求項9記載の動圧軸受装置の製造方法。
  11. 前記電解加工用の通電と、前記超音波振動用の通電とを、交互、またはそれらの両通電の少なくとも一部を重複して行うようにしたことを特徴とする請求項10記載の動圧軸受装置の製造方法。
  12. 前記動圧発生用溝を形成している凹部の両側壁面を、底壁面から開口部に向かって連続的に拡大する方向に傾斜するテーパ面に形成するようにしたことを特徴とする請求項3記載の動圧軸受装置の製造方法。
JP2003379147A 2003-11-07 2003-11-07 動圧軸受装置の製造方法 Expired - Fee Related JP4355192B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003379147A JP4355192B2 (ja) 2003-11-07 2003-11-07 動圧軸受装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003379147A JP4355192B2 (ja) 2003-11-07 2003-11-07 動圧軸受装置の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005140289A true JP2005140289A (ja) 2005-06-02
JP4355192B2 JP4355192B2 (ja) 2009-10-28

Family

ID=34689293

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003379147A Expired - Fee Related JP4355192B2 (ja) 2003-11-07 2003-11-07 動圧軸受装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4355192B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009287619A (ja) * 2008-05-28 2009-12-10 Parts Seiko:Kk 高さ調整装置および高さ調整装置のねじ軸の製造方法
JP2010508158A (ja) * 2006-10-30 2010-03-18 ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト 導電性材料から成り、コーティングされた摩擦接触面の加工方法および電解加工用電極

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010508158A (ja) * 2006-10-30 2010-03-18 ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト 導電性材料から成り、コーティングされた摩擦接触面の加工方法および電解加工用電極
JP2009287619A (ja) * 2008-05-28 2009-12-10 Parts Seiko:Kk 高さ調整装置および高さ調整装置のねじ軸の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4355192B2 (ja) 2009-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2006033758A2 (en) Electrochemical machining tool and method for machining a product using the same
US8773815B2 (en) Fluid bearing component including thrust bearing groove recesses and disk drive device including same
US20030217931A1 (en) Electrolytic machining method and electrolytic machining apparatus
US7461455B2 (en) Method for manufacturing a fluid dynamic bearing by printing a resin sliding film
US20030019754A1 (en) Electrolytic machining method, method for manufacturing dynamic pressure bearing devices, and dynamic pressure bearing devices manufactured according to the manufacturing method
JP2013255412A (ja) 回転機器
JP4355192B2 (ja) 動圧軸受装置の製造方法
US7128468B2 (en) Hydrodynamic bearing, method of manufacturing the same, method of manufacturing shaft member for hydrodynamic bearing, spindle motor, and recording disk driving apparatus
JP2004340368A5 (ja)
JP2004188542A (ja) 電解加工方法、並びに動圧軸受装置の製造方法及びそれにより製造された動圧軸受装置
JP3339792B2 (ja) 動圧軸受における動圧溝の電解加工方法及び電解加工装置
US7235168B2 (en) Method for electrochemically forming a hydrodynamic bearing surface
JP2003039248A (ja) 電解加工方法、並びに動圧軸受装置の製造方法及びその製造方法により製造された動圧軸受装置
JP3238878B2 (ja) 動圧軸受における動圧溝の電解加工方法及び電解加工装置
JP2002070867A (ja) 軸受部材及びその製造方法、並びに動圧軸受装置
JP2003039249A (ja) 電解加工方法、並びに動圧軸受装置の製造方法及びその製造方法により製造された動圧軸受装置
JP3238876B2 (ja) 動圧軸受における動圧溝の電解加工方法及び電解加工装置
JP3884704B2 (ja) 軸受部品の製造方法
JP2003039250A (ja) 電解加工方法、並びに動圧軸受装置の製造方法及びその製造方法により製造された動圧軸受装置
US7160431B2 (en) Method and device for forming a dynamic pressure-generating groove in a fluid dynamic pressure bearing
JP2003056567A (ja) 動圧軸受モータのシャフト部の製造方法
JP2006142421A (ja) 動圧溝の電解加工工具、電解加工工具の製造方法、電解加工装置および電解加工方法
US20040140225A1 (en) Method and apparatus for forming grooves within journals and on flat plates
JP2007064278A (ja) 流体軸受装置、それを用いたスピンドルモータおよび流体軸受装置の製造方法
JP2016024839A (ja) ディスク駆動装置の製造方法及びディスク駆動装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050927

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050929

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090407

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090608

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090728

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130807

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees