JP2005139201A - 歯石及びウ蝕部溶解剤 - Google Patents

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遊亀 永田
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Abstract

【課題】 歯石及び/又はウ蝕部を簡便かつ安全に短時間に溶解する手段を提供する。
【解決手段】 リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、及びクエン酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を有効成分として含む歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤に関する。
歯石は、歯冠あるいは露出根面や修復物の表面に沈着する灰白色又は帯黄色や黒褐色の石灰化物である。ヒトの歯の表面にはプラーク(歯垢)が付着するが、プラーク中で無機塩が付着しやすい反応が起こり、歯面に接した層から石灰化が始まる。プラークは古くなり厚くなるにつれて石灰化が進行し、石灰化したプラークの表面には新しくプラークが付着して石灰化が生じる。この過程が繰り返されて歯石が形成される。
歯肉縁上歯石の構成成分の70〜80%は無機塩類であり、大部分はヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)であるが、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウムなども含まれる場合があり、さらに第2リン酸カルシウムや第3リン酸カルシウムを含む場合もある。歯石に含まれる有機成分は菌体であり、グラム陽性菌の細胞壁やグラム陰性菌の外膜成分である内毒素も含まれる。歯石表面では滑沢な歯の表面よりも歯垢形成が進みやすく、歯石に付着した歯垢は歯周軟組織を刺激して病因性を発揮するので、歯周病の予防や治療において歯石除去は基本的処置の一つとして重要である。
従来、歯石の除去にはスケーラーなどを用いて機械的に除去する方法が採用されているが、歯石が硬いために処置に時間がかかり、患者、歯科医師、あるいは歯科衛生士に負担がかかることが問題である。歯石を化学的に溶解して除去する手段として、例えば特公平7-53653号公報に記載された歯石溶解剤が知られているが、その溶解作用は実用上の観点からは全く不十分であり、しかも歯周軟組織に対する薬剤の刺激性のため歯科臨床上での利用はなされていない。このような事情から、歯石を短時間で溶解することができ、歯周軟組織などの口腔内組織や歯の組織に刺激や傷害を与えない歯石溶解剤の開発が切望されている。なお、フィチン酸が歯垢形成抑制に有効であるとの報告があるが(H. Nordbo, et al., J. Dent. Res., 51, 800, 1972)、この文献には、フィチン酸が歯石を溶解する作用を有することは全く示唆ないし教示されていない。
一方、ウ蝕ができた場合には回転切削器具を用いて削り取るのが一般的な治療法である。しかしながら、処置に際して器具の振動や音、痛みの発生などから患者に恐怖感を与えるという問題がある。ウ蝕部位が柔らかい場合にはエキスカベーターという歯科用器具でかきとることも可能であるが、完全にかきとることは難しい。最近ではスウェーデンで開発されたウ蝕溶解剤を用いて溶解し専用器具でかきとる方法が用いられている(商品名「カリソルブ」、Medi Team社製、特許第2728306号)。しかしながらカリソルブは軟化能力が弱く、処置に時間がかかるという問題がある。さらに、使用前に混合工程が必要であり操作が煩雑であること、及び保存安定性が悪いなどの欠点もある。このため、ウ蝕部分を容易に溶解及び軟化することができ、保存安定性に優れ、簡便な操作により処置を行うことができるウ蝕溶解剤の提供が望まれている。
本発明の課題は、歯石及び/又はウ蝕部を簡便に短時間で溶解することができる歯石及び/又はウ蝕部溶解剤を提供することにある。また、本発明の課題は、上記の特徴を有し、かつ歯周軟組織などの口腔内組織や歯の組織に刺激や傷害を与えず、保存安定性に優れた歯石及び/又はウ蝕部溶解剤を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質が歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤として優れた性質を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明により、イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を有効成分として含む歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、フィチン酸を有効成分として含む上記の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤;赤しそポリフェノール、カシスポリフェノール、ホップポリフェノール、さとうきびポリフェノール、及びエデト酸二ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を有効成分として含む上記の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤;無機金属塩をさらに含む上記の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤;無機金属塩が塩化ナトリウムである上記の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤;細菌分解酵素をさらに含む上記の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤;細菌分解酵素が卵白リゾチーム、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、及びアルギン酸リアーゼからなる群から選ばれる1種又は2種以上の細菌分解酵素である上記の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤;界面活性剤をさらに含む上記の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤;界面活性剤がセトリミドである上記の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤;ヒト又はヒト以外の哺乳類動物に使用する上記の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤が提供される。
別の観点からは、本発明により、歯石及び/又はウ蝕部の溶解方法であって、イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を歯石及び/又はウ蝕部に接触させる工程を含む方法が提供される。この方法の好ましい態様によれば、上記物質を含む溶液を歯石及び/又はウ蝕部に塗布する工程を含む方法が提供される。また、さらに別の観点からは、上記の歯石及び/又はウ蝕部溶解剤の製造のためのイノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質の使用も本発明により提供される。
本発明の歯石及び/又はウ蝕溶解剤は極めて優れた歯石及び/又はウ蝕溶解作用を有しており、薬剤の混合調製などが必要なく簡便に処置を行えるという特徴がある。
本発明の歯石及び/又はウ蝕部溶解剤の有効成分としては、イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を用いることができる。好ましくは、イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、及びエデト酸塩類からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を用いることができる。
イノシトールリン酸エステルのイノシトール部分の立体化学は特に限定されないが、例えば、meso-イノシトール(ミオイノシトール、ダンボース、又はファゼオマンニットとも呼ばれる)、D-イノシトール、L-イノシトール、DL-イノシトール、及びシリットなどが好ましい。イノシトールリン酸エステルのリン酸エステルの個数は特に限定されないが、ヘキサリン酸エステルが好ましい。イノシトールリン酸エステルのなかでもmeso-イノシトールヘキサリン酸エステル(フィチン酸)が好ましい。本発明の歯石溶解剤の有効成分としては、2種以上のイノシトールリン酸エステル類を組み合わせて用いてもよい。
イノシトールリン酸エステル類は当業者に容易に入手可能である。例えばフィチン酸は種子や穀類、特に米糠に含まれる物質であり、食品分野、医療分野において用いられており、市販品を容易に入手可能である。例えば、第一製薬株式会社や築野食品工業株式会社から含有量48〜52%の製品が食品改良剤として市販されているので、これらの製品を本発明の歯石溶解剤としてそのまま、あるいは水や緩衝液などで適宜希釈して用いることが可能である。
ポリフェノール類の種類は特に限定されないが、例えば、赤しそポリフェノール、カシスポリフェノール、お茶ポリフェノール、そばポリフェノール、クランベリーポリフェノール、ぶどう種子ポリフェノール、ルビーニポリフェノール、さとうきびポリフェノール、ホップポリフェノールなどを用いることができる。これらのうち、ロスマリン酸を多く含む赤しそポリフェノール又はアントシアニンを多く含むカシスポリフェノールが好ましい。ポリフェノール類は、当業者に容易に入手可能である。例えば、赤しそポリフェノールは赤しそに、カシスポリフェノールはカシスに含まれる物質であり、食品分野において健康保持に好ましいものとして用いられており、市販品を容易に入手可能である。例えば、赤しそポリフェノールは、明治製菓株式会社から食料改良剤として市販されている。ポリフェノール類としては、精製又は粗精製されたポリフェノール類を用いてもよいが、ポリフェノール類を多量に含む天然物や天然物抽出物をそのまま用いることもできる。例えば、ポリフェノール類を含むむらさきいも色素などを用いてもよい。ポリフェノール類は、生体内活性酸素を除去し、血流の改善やリラックス効果など優れた機能をもっていることが解明されている。カシスポリフェノール中のアントシアニンには毛細血管の血流をよくする効果があり、網膜中の光受容物質であるロドプシンの再生速度を速め、光覚閾値を低下させる効果があることが確認されている。また、ホップポリフェノールについては、歯垢付着抑制効果についての報告がある(品田ら、口腔衛生会誌, 53(4), 演題番号03-1E0920, 2003)。しかしながら、従来、ポリフェノール類が歯石及び/又はウ蝕部を溶解できるとの報告は全くない。
エデト酸塩類は当業者に容易に入手可能である。エデト酸塩類としては、例えば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウムなどを用いることができる。これらのうち、エデト酸二ナトリウムが好ましい。例えばエデト酸二ナトリウムは重金属化合物の金属イオンをその分子内に結合し、安定な環状化合物を作って非活性化するいわゆるキレート剤であり、従来から重金属中毒の解毒剤として用いられている。この性質を利用して、食品の分野では変色防止、酸化防止の目的で使用されることもある。しかしながら、従来、エデト酸塩類が歯石及び/又はウ蝕部を溶解できるとの報告は全くない。リン酸類としては、リン酸、ポリリン酸、又はピロリン酸などを用いることができ、リン酸が好ましい。
本発明の歯石又はウ蝕部溶解剤は、一般には溶液の形態で用いることができる。例えばイノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質、好ましくはフィチン酸、赤しそポリフェノール、カシスポリフェノール、及びエデト酸二ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を5〜40重量%程度の割合で含む水溶液を調製して、歯石又はウ蝕部に塗布することができる。また、本発明の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤の有効成分としてリン酸を用いる場合には、リン酸の濃度は組成物の全重量に対して好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%程度である。さらに、本発明の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤の有効成分として酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、又はグリコール酸を用いる場合には、これらの物質の濃度は組成物の全重量に対して好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%程度である。本発明の歯石又はウ蝕部溶解剤を水溶液として調製する場合には、必要に応じて水と混じりあう有機溶媒を少量添加してもよい。有機溶媒としては、例えば、エタノール、グリセリン、エチレングリコールなどを挙げることができる。
本発明の歯石及び/又はウ蝕部溶解剤には、無機金属塩、好ましくはアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩からなる群から選択される1種又は2種以上の無機金属塩を配合することができる。無機金属塩としては塩化ナトリウムが好ましい。無機金属塩の配合量は特に限定されないが、例えばイノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる物質の重量(2種以上の物質を含む場合にはそれらの総重量)に対して10〜50重量パーセント程度である。もっとも、無機金属塩の量を適宜増減させることができる。
また、本発明の歯石及び/又はウ蝕部溶解剤には、細菌分解酵素及び/又は界面活性剤を添加してもよい。細菌分解酵素としては、例えば、卵白リゾチーム、ペクチナーゼ(例えば「ペクチナーゼ・ナガセ」ナガセケムテックス株式会社など)、プロテアーゼ(例えば「ビオプラーゼコンク」ナガセケムテックス株式会社など)、アルギン酸リアーゼ(例えば「アルギン酸リアーゼS」ナガセケムテックス株式会社など)などを用いることができる。卵白リゾチームは、細菌の細胞膜を溶解する作用を持つ酵素であり、鶏卵中に存在する。構成アミノ酸の特徴としてアルギニン、アスパラギン酸、トリプトファンを多く含む塩基性のたんぱく質である。界面活性剤としては、例えば、セトリミドなどを用いることができる。セトリミドは主に四級アンモニウム塩であるミリスチルトリメチルアンモニウムブロミドからなる界面活性剤であり、一般には殺菌剤、消毒剤として用いられており、一部の消毒薬に添加されている。
本発明の歯石及び/又はウ蝕部溶解剤は、必要に応じてゲル化剤などの適宜の製剤用添加物を添加してゲル性やチキソトロピー性を備えた半固体として用いることもできる。軟膏剤の形態として調製することも可能であり、あるいは、歯磨き剤に配合したり、歯磨き前に用いる口腔内洗浄用の溶液剤(例えばデンタルリンス又はマウスウォッシュ)に配合することもできる。本発明の歯石又はウ蝕部溶解剤には、製剤用添加物として一般的に用いられているpH調節剤、緩衝材、防腐剤、浸透圧調節剤、増粘剤、色素などを1種又は2種以上配合することもできる。さらに、本発明の歯石及び/又はウ蝕部溶解剤に活性ゼオライトや酸化鉄、生石灰などを配合して、温熱溶解剤として使用することもでき、例えば、温熱歯磨き剤として提供されている歯磨き剤(例えば活性ゼオライトが配合されている花王株式会社の「チェック歯周ケアシリーズ」の歯磨き剤など)に本発明の歯石及び/又はウ蝕部溶解剤を配合することも好ましい。
例えば、歯磨き剤として調製する場合には、歯磨き剤に通常用いられる成分として、例えば、リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、グリセリン、ソルビット、ラウリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、サッカリンナトリウム、メントール、ミント類などの基本成分、あるいは薬用成分として、例えば、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、トラネキサム酸、グルチルリチン酸ジカリウム、β−グルチルレチン酸、塩酸クロルヘキシジン、酢酸-dl-α−トコフェロール、塩化ナトリウム、トリクロサン、デキストラーゼ、ポリリン酸ナトリウム、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、ポリエチレングリコールなどの成分を用いることができるが、これらに限定されることはない。デンタルリンスとして調製する場合には、デンタルリンスの製造に通常用いられる成分として、例えば、エタノール、チモール、1,8-シネオール、サリチル酸メチル、l−メントール、安息香酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、安息香酸ナトリウムなどの成分を用いることができるが、これらに限定されることはない。
本発明の歯石及び/又はウ蝕部溶解剤の使用態様は特に限定されないが、溶液状の製剤として調製する場合には、脱脂綿や綿棒に該溶解剤を含浸させ、必要に応じてピンセットなどの適宜の器具を用いて歯石又はウ蝕部分に塗布すればよい。塗布後、歯石は数分で一部または全部が溶解して、歯石が歯面から容易に脱落するようになる。ウ蝕部は数分で一部または全部が溶解して完全にかきとれるようになる。塗布後、歯科用レジンの重合開始に用いる可視光ライト、レーザー光などを用いて、塗布部分を加温してもよい。また、蚊取りマットやリキッドを加温するための器具などを用いて、事前に製剤を加温しておいて塗布してもよい。加温することにより、溶解作用を促進することができる。
なお、本明細書において用いられる「歯石及び/又はウ蝕部の溶解」又はその類義語は、歯石及び/又はウ蝕部がマクロ的に溶解する現象のほか、歯石及び/又はウ蝕部のミクロ的溶解により歯石及び/又はウ蝕部が軟化する現象も含めて最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。例えば、形成初期段階の歯石やウ蝕部を溶解除去して歯石形成又はウ蝕形成を抑制することも歯石又はウ蝕溶解の概念に包含される。また、本発明の歯石及び/又はウ蝕部溶解剤はヒト又はヒト以外の哺乳類動物に対して使用できる。例えば、動物用の歯石溶解剤として用いることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 3.0 mgをフィチン酸(第一製薬株式会社製、含有量48〜52%を15%水溶液として調製したもの)0.5 gを含む水溶液 1 mlに5分又は10分浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところそれぞれ2.6 mg及び2.1 mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例2
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 3.0 mgをフィチン酸(第一製薬株式会社製、含有量48〜52%を15%水溶液として調製したもの)0.5 g及び塩化ナトリウム0.1 gを含む水溶液 1 mlに5分又は10分浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところそれぞれ2.4 mg及び1.4 mgであり、例1に比べてさらに顕著な歯石重量の減少が認められた。
例3
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石0.6mgを赤しそポリフェノール(明治製菓株式会社製、5%水溶液として調製したもの)1mlに105分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.3mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例4
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.0mgをカシスポリフェノール(明治製菓株式会社製、20%水溶液として調製したもの)1mlに90分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.5mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例5
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.2mgを赤しそポリフェノール(明治製菓株式会社製)、フィチン酸(第一製薬株式会社製)、をそれぞれ5%、12.5%に調製した水溶液1mlに7分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例6
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.2mgを赤しそポリフェノール(明治製菓株式会社製)、フィチン酸(第一製薬株式会社製)、塩化ナトリウムをそれぞれ5%、12.5%、16.6%に調製した水溶液1mlに4分30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例7
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.2mgをカシスポリフェノール(明治製菓株式会社製)、フィチン酸(第一製薬株式会社製)、塩化ナトリウムをそれぞれ5%、12.5%、16.6%に調製した水溶液1mlに4分30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例8
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石0.50mgをエデト酸二ナトリウム14.3%に調製した水溶液1mlに44分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.25mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例9
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.12mgをエデト酸二ナトリウム、セトリミドをそれぞれ14.3%、0.084%に調製した水溶液1mlに40分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.56mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例10
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石0.79mgをエデト酸二ナトリウム、卵白リゾチームをそれぞれ14.3%、10%に調製した水溶液1mlに40分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.40mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例11
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.2mgをりん酸10%水溶液1mlに7分30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例12
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.4mgをりん酸2%水溶液1mlに8分30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.7mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例13
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.5mgをポリリン酸10%水溶液1mlに7分30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.7mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例14
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石2.2mgをピロリン酸10%水溶液1mlに7分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ1.1mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例15
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石0.8mgを酒石酸10%水溶液1mlに5分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.4mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例16
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.3mgをクエン酸10%水溶液1mlに13分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.65mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例17
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石1.2mgをリンゴ酸10%水溶液1mlに13分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例18
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石0.9mgをグリコール酸10%水溶液1mlに9分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ0.5mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
例19
口腔内から抜いたウ蝕のある歯について、ウ蝕部位に、赤しそポリフェノール(明治製菓株式会社製)、フィチン酸(第一製薬株式会社製)、微粒子シリカ(それぞれ2%、12.5%、10%)に水を加えて調製したゲル剤を付着させて5分間待ち、エキスカベータ−で軽く除去した(図1参照:「試験後」の歯の右側)。写真の左側は対照として、エキスカベータ−で軽く除去したものである(図1参照)。明らかに歯の右側はきれいに除去されたが、対照の左側は黒く固い部分が残り、完全には除去できなかった。
本発明の歯石及び/又はウ蝕溶解剤は極めて優れた歯石及び/又はウ蝕溶解作用を有しており、薬剤の混合調製などが必要なく簡便に処置を行えるという特徴がある。また、歯周軟組織などの口腔内組織や歯の組織に刺激や傷害を与えることがほとんどなく、安定性にも優れているので、歯石及び/又はウ蝕部の安全な溶解剤として歯科領域で好適に用いることができる。
図1は本発明のウ蝕溶解剤の効果を示した図である。図中、「試験前」はウ蝕溶解剤の処置前の歯であり、「試験後」はウ蝕溶解剤で処置後、エキスカベーターでウ蝕部を除去した後の歯である(歯の右側)。

Claims (8)

  1. リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、及びクエン酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を有効成分として含む歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤。
  2. 無機金属塩をさらに含む請求項1に記載の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤。
  3. 無機金属塩が塩化ナトリウムである請求項2に記載の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤。
  4. 細菌分解酵素をさらに含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤。
  5. 細菌分解酵素が卵白リゾチーム、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、及びアルギン酸リアーゼからなる群から選ばれる1種又は2種以上の細菌分解酵素である請求項4に記載の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤。
  6. 界面活性剤をさらに含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤。
  7. 界面活性剤がセトリミドである請求項6に記載の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤。
  8. ヒト又はヒト以外の哺乳類動物に使用する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の歯石及び/又はウ蝕部の溶解剤。

JP2005011124A 2002-11-19 2005-01-19 歯石及びウ蝕部溶解剤 Pending JP2005139201A (ja)

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