JP2005139098A - 1−チオ−2−プロパノン誘導体及び5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体の製造方法 - Google Patents

1−チオ−2−プロパノン誘導体及び5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体の製造方法 Download PDF

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Shoji Izumida
将司 泉田
Shingo Matsumoto
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Abstract

【課題】 医薬品等の中間体として有用な1−チオ−2−プロパノン誘導体及び5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を、不快な臭気を好適に抑制し、簡便かつ工業的に製造する方法を提供する。
【解決手段】 ハロアセトンに対し、メルカプタンを反応させて1−チオ−2−プロパノン誘導体に誘導し、該1−チオ−2−プロパノン誘導体或いはその溶液を塩基性溶液で洗浄することを特徴とする臭気の抑制された1−チオ−2−プロパノン誘導体の製造方法。及び、前記方法で得られた1−チオ−2−プロパノン誘導体から5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体の製造する方法。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、医薬品の中間体として有用な1−チオ−2−プロパノン誘導体及び5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体の製造方法に関する。より詳細には、臭気が抑制された1−チオ−2−プロパノン誘導体及び5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体の製造方法に関する。
5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体及びその原料である1−チオ−2−プロパノン誘導体は、WO01/72702(特許文献1)、及び、WO01/72703(特許文献2)に記載されるように、抗炎症薬等の医薬品の中間体として有用である。上記化合物を合成した例としては、例えば以下の方法が知られている。
1)エタノールにナトリウム及びメルカプタンを加え、クロロアセトンを添加して1−チオ−2−プロパノン誘導体を合成し、水を添加してエーテル抽出した後、乾燥と濃縮を行って1−チオ−2−プロパノン誘導体を単離する。1−チオ−2−プロパノン誘導体を70〜80%エタノールに溶解し、シアン化カリウム及び炭酸アンモニウムを反応させて5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を合成し、エタノールを濃縮により除き、冷却して粗5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を得る(Agr. Biol. Chem., 1971, 35, 53〜57:非特許文献1)。
2)水/エタノールに水酸化ナトリウム及びメルカプタンを加え、クロロアセトンを添加して1−チオ−2−プロパノン誘導体を合成し、水を加えてエーテル抽出した後、乾燥と濃縮を経て1−チオ−2−プロパノン誘導体を単離する。1−チオ−2−プロパノン誘導体を60%エタノールに溶解し、シアン化カリウム及び炭酸アンモニウムを反応させた後、溶液を濃縮し、冷却して粗5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を得る(Bull. Korean Chem. Soc., 1988, 9, 231〜235:非特許文献2)。
本発明者らが上記方法を予備的に検討したところ、上記方法で得られる1−チオ−2−プロパノン誘導体および5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体は、強い臭気(メルカプト臭)を有していることが明かとなった。この臭気のため、工業規模での1−チオ−2−プロパノン誘導体の取り扱いや1−チオ−2−プロパノン誘導体から5−メチル−5−チオヒダントイン誘導体の製造に際しては、周囲環境に臭気が漏洩しないような処置、設備を必要とし、5−メチル−5−チオヒダントイン誘導体を効率的に製造する上で問題であった。
しかしながら、上記先行文献には、臭気の抑制方法はおろか、当該臭気が1−チオ−2−プロパノン誘導体或いは5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体自体に起因するものか、混入する不純物によるものかすら、記載も示唆もされていない。
WO01/72702 WO01/72703 Agr.Biol.Chem.,1971,35,53〜57 Bull.Korean Chem.Soc.,1988,9,231〜235
本発明は、医薬品の中間体として有用な1−チオ−2−プロパノン誘導体及び5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体の製造に際して、上記の問題を解決して、臭気を好適に抑制した1−チオ−2−プロパノン誘導体及び5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を、大規模スケール(工業的規模)で製造するための実用的な方法を提供することを目的とする。
本発明者らが、上記問題を解決すべく検討した結果、意外にも1−チオ−2−プロパノン誘導体及び5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体の臭気は、当該化合物自体よりも主に不純物に起因し、驚くべきことには中間体である1−チオ−2−プロパノン誘導体を合成後、1−チオ−2−プロパノン誘導体或いは1−チオ−2−プロパノン誘導体の溶液を、塩基性溶液で洗浄するといった簡単な操作を加えることにより、臭気を好適に抑制して、上記の問題を解決しうることを見出した。
すなわち本発明は、一般式(1):
CH3COCH2X (1)
(式中、Xはハロゲン原子を表す)で表されるハロアセトンに対し、一般式(2):
1SH (2)
(式中、R1は置換基を有していても良い炭素数1から20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数7から20のアラルキル基、又は置換基を有していても良い炭素数6から20のアリール基を表す)で表されるメルカプタンを反応させて、一般式(3):
Figure 2005139098
(式中、R1は前記と同じ)で表される1−チオ−2−プロパノン誘導体を合成し、該1−チオ−2−プロパノン誘導体或いはその溶液を塩基性溶液で洗浄することを特徴とする、臭気の抑制された1−チオ−2−プロパノン誘導体の製造方法に関する。
更に本発明は、一般式(1):
CH3COCH2X (1)
(式中、Xはハロゲン原子を表す)で表されるハロアセトンに対し、一般式(2):
1SH (2)
(式中、R1は前記と同じ)で表されるメルカプタンを反応させて、一般式(3):
Figure 2005139098
(式中、R1は前記と同じ)で表される1−チオ−2−プロパノン誘導体を合成し、該1−チオ−2−プロパノン誘導体或いはその溶液を塩基性溶液で洗浄した後に、一般式(4):
Figure 2005139098
(式中、R1は前記と同じ)で表される5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を合成することを特徴とする、臭気の抑制された5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体の製造方法にも関する。
本発明によれば、医薬品等の中間体として有用な1−チオ−2−プロパノン誘導体及び5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を、大規模スケール(工業的規模)においても、好適に製造することができる。
以下、更に本発明を説明する。
本発明において使用するハロアセトンは、前記式(1)で表される。前記式(1)においてXはハロゲン原子を表し、前記式(1)で表されるハロアセトンとしては、フルオロアセトン、クロロアセトン、ブロモアセトン、ヨードアセトンを挙げることができる。好ましくはクロロアセトン又はブロモアセトンであり、より好ましくはクロロアセトンである。
本発明において使用するメルカプタンは、前記式(2)で表される。前記式(2)において、R1は置換基を有していても良い炭素数1から20のアルキル基,置換基を有していても良い炭素数7から20のアラルキル基,置換基を有していても良い炭素数6から20のアリール基を表す。
炭素数1から20のアルキル基としては特に制限されず、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖アルキル基であってもよく、もしくはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基等の分枝アルキル基であってもよい。上記アルキル基は無置換であってもよく、また置換基を有していてもよい。置換基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、フェニル基、アリール基、アルカノイル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
炭素数7から20のアラルキル基としては、例えばベンジル基,p−メトキシベンジル基、フェネチル基,ナフチルメチル基などが挙げられる。上記アラルキル基は無置換であってもよく、また置換基を有していてもよい。置換基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、フェニル基、アリール基、アルカノイル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
炭素数6から20のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。上記アリール基は無置換であってもよく、また置換基を有していてもよい。置換基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、フェニル基、アリール基、アルカノイル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
なかでも、R1としては上記アルキル基又は上記アラルキル基が好ましく、t−ブチル基又はベンジル基がより好ましく、t−ブチル基が更に好ましい。
次に、前記式(3)で表される1−チオ−2−プロパノン誘導体の製造方法について説明する。1−チオ−2−プロパノン誘導体(3)は、溶媒中或いは無溶媒で、前記ハロアセトン(1)とメルカプタン(2)を塩基存在下に反応させることで製造できる。
使用する塩基は特に限定されないが、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物等の無機塩基を用いても良いし、液体又は固体の有機塩基を用いても良い。更にこれら塩基は水溶液或いは溶液として用いても良い。好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液又は水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液であり、特に好ましくは上記のアルカリ金属水酸化物の水溶液、とりわけ、水酸化ナトリウム水溶液である。
塩基の使用量はメルカプタンに対して当量以上であれば特に限定されないが、塩基の当量として、反応に使用するメルカプタンに対して1〜10倍モル、好ましくは1〜3倍モルであり、ハロアセトンの塩基性条件下における安定性の観点から、更に好ましくは1〜1.5倍モルである。
使用する溶媒は特に限定されない。水、アルコール等の高極性溶媒中で反応を行っても良いし、高極性溶媒と低極性溶媒の混合液で実施しても良い。水溶媒で実施した場合には、反応後に1−チオ−2−プロパノン誘導体が、水中に溶解せずに分液して取り出せることから特に好ましい。
仕込濃度は特に限定されないが、通常、メルカプタン濃度が0.5〜50重量%で行われる。好ましくは1〜40重量%であり、更に好ましくは5〜30重量%、とりわけ、10〜20重量%で行われる。あまりに濃度が薄い場合は、容積効率が悪くなり、効率的でない。
ハロアセトンの使用量はメルカプタンに対して当量以上であれば特に限定されないが、ハロアセトンの当量として、反応に使用するメルカプタンに対して1〜10倍モル、好ましくは1〜3倍モルであり、経済的観点から、更に好ましくは1.0〜1.5倍モルである。
反応時の温度は特に限定されないが、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは40℃以下、とりわけ30℃以下で行われる。下限は、反応系が氷結しない温度であればよく、通常0℃以上、好ましくは5℃以上である。通常、室温下に好適に行うことができる。
次に、本発明で行う塩基性溶液での洗浄について説明する。
上記の反応で得られる1−チオ−2−プロパノン誘導体は、反応液のまま洗浄しても良いし、常套分離法、例えば分液、抽出、濃縮、晶析、又はカラムクロマトグラフィー等の分離法や、それらの組み合わせにより分離、単離した後に洗浄しても良い。1−チオ−2−プロパノン誘導体の合成に水溶媒を用いた場合には、通常、反応液が1−チオ−2−プロパノン誘導体層と水溶液の層に分層するので、分液後、1−チオ−2−プロパノン誘導体層を塩基性溶液にて洗浄するのが好ましい。
単離した1−チオ−2−プロパノン誘導体を洗浄する場合は、溶媒で希釈することなく洗浄を行っても良いし、溶媒で希釈して洗浄しても良い。
希釈に使用する溶媒は1−チオ−2−プロパノン誘導体を溶解させかつ塩基性溶液の洗浄を阻害しないものであれば特に限定されない。水と有機溶媒の混合溶媒で希釈しても良いし、有機溶媒で希釈しても良い。有機溶媒としては、炭化水素系、エステル系などの溶剤が挙げられる。
炭化水素系有機溶剤としては、特には限定されないが、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどが挙げられ、好ましくは経済性の点からトルエンである。
上記エステル系溶剤としては、特には限定されないが、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどが挙げられ、好ましくは酢酸エチルである。
上記の有機溶剤は、一種または二種以上混合して用いても良い。
容積効率の観点や廃棄物が少ないといった観点からは、1−チオ−2−プロパノン誘導体を溶媒で希釈することなく、塩基性溶液で洗浄することが好ましい。
本発明で使用する塩基性溶液に関しては、好ましくは塩基性水溶液であるが特に限定されず、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物を水溶液として用いても良いし、液体又は固体の有機塩基を溶液のまま或いは水などの溶媒に溶解させて用いても良い。好ましくは、1−チオ−2−プロパノン誘導体中に残存しにくいと考えられる、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液又は水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液であり、特に好ましくは上記のアルカリ金属水酸化物の水溶液、とりわけ、水酸化ナトリウム水溶液である。
塩基性溶液の使用量は特に限定されないが、塩基の当量として、反応に使用したメルカプタンに対して0.01〜10倍モル、好ましくは0.05〜1倍モルであり、更に好ましくは0.1〜0.5倍モルである。
塩基性溶液の濃度は特に限定されないが、通常0.5〜50%であり、好ましくは1〜10%であり、更に好ましくは2〜5%である。あまりに濃度が薄い場合は、容積効率が悪くなり、効率的でない。
塩基性溶液での洗浄回数についても特に限定されないが、通常1〜5回、好ましくは2〜4回、より好ましくは3回である。洗浄回数が5回を超える場合、洗浄回数に見合う効果がなく効率的でない。
洗浄時の温度は、特に限定されないが、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは40℃以下、とりわけ30℃以下で行われる。下限は、洗浄系が氷結しない温度であればよく、通常0℃以上、好ましくは10℃以上である。通常、室温下に好適に行うことができる。
最後に、洗浄により臭気を抑制された1−チオ−2−プロパノン誘導体の5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体への変換について説明する。
1−チオ−2−プロパノン誘導体からのヒダントイン誘導体合成は、例えば、ヒダントイン合成の一般的方法(Buchererのヒダントイン合成)、即ち、溶媒中で前記1−チオ−2−プロパノン誘導体を金属シアン化物及びアンモニウム化合物と反応させる方法によって実施できる。使用する溶媒は特に限定されず、水と有機溶媒の混合溶媒で反応を実施しても良いし、水のみを溶媒と使用して反応を実施しても良い。
有機溶媒として、アルコール系、エーテル系、ニトリル系、炭化水素系、エステル系などの溶媒があげられる。
上記アルコール系溶媒としては特に限定されないが、例えばエチルアルコール、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられ、好ましくはメチルアルコール又はエチルアルコールである。
上記エーテル系溶剤としては、特には限定されないが、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランである。
上記ニトリル系溶剤としては特に限定されないが、例えばアセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられ、好ましくはアセトニトリルである。
上記炭化水素系有機溶剤としては特に限定されないが、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどが挙げられ、好ましくは経済性の点からトルエンである。
上記エステル系溶剤としては特に限定されないが、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどが挙げられ、好ましくは酢酸エチルである。
上記の有機溶剤は、一種または二種以上混合して用いても良い。
廃棄物抑制の観点及び反応後に分液や濃縮が必要とならないといった観点から、水のみで反応を実施することが最も好ましい。
ヒダントイン合成の反応に使用する金属シアン化物としては特に限定されず、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化銀、シアン化第一銅、シアン化銅酸ナトリウム、シアン化銅酸カリウム、シアン化コバルトカリウム等が挙げられ、シアン化カリウム又はシアン化ナトリウムの使用が好ましい。
金属シアン化物の使用量に関しては、1−チオ−2−プロパノン誘導体に対して当量以上であれば特に限定されないが、1−チオ−2−プロパノン誘導体に対して1〜10倍モル、廃棄物抑制の観点から好ましくは1〜2倍モルであり、経済的観点から更に好ましくは1.1〜1.3倍モルである。
ヒダントイン合成の反応に使用するアンモニウム化合物としては特に限定されず、アンモニア水、炭酸アンモニウム或いは重炭酸アンモニウムが、それぞれ単独で或いは組み合わせて実施できるが、反応中に試剤の昇華が少ないという点で、アンモニア水と重炭酸アンモニウムを併用して使用することが好ましく、重炭酸アンモニウムを使用することが更に好ましい。
アンモニウム化合物の使用量に関しては、1−チオ−2−プロパノン誘導体に対して当量以上であれば特に限定されないが、1−チオ−2−プロパノン誘導体に対して1〜10倍モル、収率の点で好ましくは2〜5倍モルであり、経済的観点から更に好ましくは3〜4倍モルである。
反応時の温度は特に限定されないが、通常0〜100℃の間、好ましくは30〜80℃の間、より好ましくは40〜70℃の間、更に好ましくは50〜60℃の間で行われる。
反応終了後は、前述の非特許文献1及び非特許文献2と同様に、反応液を濃縮した後、冷却して析出した5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を得ても良いし、濃縮せずに冷却して5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を析出させた後、ろ過して取得しても良い。冷却後、中和して5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を更に析出させた後、ろ過して取得することが更に好ましい。
ここでいう「中和」とは、反応液のpHを結晶が析出する領域に調整することを表し、収率、純度ともに良好な結果を得るためにはpHを1.0〜9.5の領域に調整することが好ましく、さらに好ましくは1.0〜7.0の領域である。
ろ過により集めた5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体は、そのまま取り出しても良いが、溶媒で洗浄しても良い。
洗浄に使用する溶媒としては、水溶媒或いは有機溶媒が使用できる。水溶媒としては、水、酸性水溶液又はアルカリ水溶液を用いることができる。
酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸或いはそれらの水溶液等が挙げられ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液又は水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液等が挙げられる。
使用する有機溶媒として、アルコール系、エーテル系、ニトリル系、炭化水素系、エステル系、ケトン系などの溶媒があげられる。アルコール系溶媒としては特に限定されないが、例えばエチルアルコール、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられ、好ましくはメチルアルコール又はエチルアルコールである。
上記エーテル系溶剤としては特には限定されないが、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランである。
上記ニトリル系溶剤としては特に限定されないが、例えばアセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられ、好ましくはアセトニトリルである。
炭化水素系有機溶剤としては特に限定されないが、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどが挙げられ、好ましくはトルエンである。
上記エステル系溶剤としては特に限定されないが、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどが挙げられ、好ましくは酢酸エチルである。
上記ケトン系溶剤としては特に限定されないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノンなどが挙げられ、好ましくはアセトンである。
上記の有機溶剤は、単独で用いても良いし或いは混合して用いても良い。
上記のなかでも、水、又は、酸性若しくはアルカリ性の水溶液が好ましく、水がより好ましい。
洗浄後の5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体は、取り出して乾燥する。乾燥方法は特に限定されず、減圧乾燥(真空乾燥)、温風乾燥などの乾燥を行うことが出来る。
以上のように、本発明によれば1−チオ−2−プロパノン誘導体、或いは、1−チオ−2−プロパノン誘導体の溶液を、塩基性溶液で洗浄することによって、臭気の抑制された1−チオ−2−プロパノン誘導体を取得でき、引き続いてヒダントインに変換することにより、上述の問題を見事に解決しうる。
以下に実施例を掲げて、本発明を更に詳細に説明するが、もとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(製造例1)1−t−ブチルチオ−2−プロパノンの製造方法
窒素置換した500ml三口フラスコにt−ブチルメルカプタン(45.1g,0.5mmol)、クロロアセトン(50.9g,0.55mmol)、水166gを加え攪拌した。液温が10℃以下となるまで冷却した後、内温を維持する速度で20重量%水酸化ナトリウム水溶液120gを滴下し、25℃で2時間攪拌し反応させた。反応終了後、反応液を分液して、粗1−t−ブチルチオ−2−プロパノン63.8gを取得した。
(実施例1)粗1−t−ブチルチオ−2−プロパノンの洗浄方法
製造例1において得られた粗1−t−ブチルチオ−2−プロパノンに、3重量%水酸化ナトリウム水溶液69.5gを加えて30分攪拌し、30分静置して分液した。この操作を更に2回繰り返して、1−t−ブチルチオ−2−プロパノンを取得した。得られた1−t−ブチルチオ−2−プロパノンの臭気は、洗浄前と比較して大幅に改善されていた。
なお、この化合物において、臭気の原因となると考えられるt−ブチルメルカプタンの測定結果を参考例1に示した。
(実施例2)5−t−ブチルチオメチル−5−メチルヒダントインの製造方法
実施例1で得られた1−t−ブチルチオ−2−プロパノンに1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液265.9g、シアン化ナトリウム(29.4g,0.6mmol)、重炭酸アンモニウム(138.4g,1.75mmol)を順次加え、55℃に加熱し、13時間攪拌した。反応液を10℃となるまで冷却した後、内温を維持する速度で35%塩酸を加え、pH7に調整した。30分間熟成後、析出した結晶をろ取し、水120g、トルエン120gにて順次洗浄した。35℃下、終夜減圧乾燥し、5−t−ブチルチオメチル−5−メチルヒダントイン88.5g(t−ブチルメルカプタンからの収率:80.1%)を得た。得られた5−t−ブチルチオメチル−5−メチルヒダントインの臭気は、比較例1と比べて大幅に抑制されていた。
(比較例1)5−t−ブチルチオメチル−5−メチルヒダントインの製造方法
窒素置換した500ml三口フラスコにt−ブチルメルカプタン(45.1g,0.5mmol)、クロロアセトン(50.9g,0.55mmol)、水166gを加え攪拌した。液温が10℃以下となるまで冷却した後、内温を維持する速度で20重量%水酸化ナトリウム水溶液120gを滴下し、25℃で2時間攪拌し反応させた。反応終了後、粗1−t−ブチルチオ−2−プロパノンを含む溶液に対し、シアン化ナトリウム(29.4g,0.6mmol)、重炭酸アンモニウム(138.4g,1.75mmol)を順次加え、55℃に加熱し、13時間攪拌した。反応液を10℃となるまで冷却した後、内温を維持する速度で35%塩酸を加え、pH7に調整した。30分間熟成後、析出した結晶をろ取し、水120g、トルエン120gにて順次洗浄した。35℃下、終夜減圧乾燥し、5−t−ブチルチオメチル−5−メチルヒダントイン99.4g(t−ブチルメルカプタンからの収率:90%)を得た。取得した固体は、強い臭気を有していた。
(参考例1)t−ブチルメルカプタン測定結果
1000mlマイヤーフラスコに、それぞれ洗浄前の粗1−t−ブチルチオ−2−プロパノン及び、各洗浄後の1−t−ブチルチオ−2−プロパノンの試料20μlを加え、密閉した。10分間静置した後、ガス検知管(参考:GASTEC社製,検知管No.75 t−ブチルメルカプタン用)にてt−ブチルメルカプタンを測定した結果、洗浄前の粗1−t−ブチルチオ−2−プロパノンでは33.4ppm以上であったのに対し、洗浄一回後の1−t−ブチルチオ−2−プロパノンでは24ppmであり、洗浄二回後の1−t−ブチルチオ−2−プロパノンでは6.7ppmであり、洗浄三回後の1−t−ブチルチオ−2−プロパノンでは3.4ppmであった。

Claims (8)

  1. 一般式(1):
    CH3COCH2X (1)
    (式中、Xはハロゲン原子を表す)で表されるハロアセトンに対し、一般式(2):
    1SH (2)
    (式中、R1は置換基を有していても良い炭素数1から20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数7から20のアラルキル基、又は置換基を有していても良い炭素数6から20のアリール基を表す)で表されるメルカプタンを反応させて、一般式(3):
    Figure 2005139098
    (式中、R1は前記と同じ)で表される1−チオ−2−プロパノン誘導体を合成し、該1−チオ−2−プロパノン誘導体或いはその溶液を塩基性溶液で洗浄することを特徴とする、臭気の抑制された1−チオ−2−プロパノン誘導体の製造方法。
  2. 一般式(1):
    CH3COCH2X (1)
    (式中、Xはハロゲン原子を表す)で表されるハロアセトンに対し、一般式(2):
    1SH (2)
    (式中、R1は置換基を有していても良い炭素数1から20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数7から20のアラルキル基、又は置換基を有していても良い炭素数6から20のアリール基を表す)で表されるメルカプタンを反応させて、一般式(3):
    Figure 2005139098
    (式中、R1は前記と同じ)で表される1−チオ−2−プロパノン誘導体を合成し、該1−チオ−2−プロパノン誘導体或いはその溶液を塩基性溶液で洗浄した後に、一般式(4):
    Figure 2005139098
    (式中、R1は前記と同じ)で表される5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体を合成することを特徴とする、臭気の抑制された5−メチル−5−チオメチルヒダントイン誘導体の製造方法。
  3. 前記式(3)で表される1−チオ−2−プロパノン誘導体の合成を、金属水酸化物の水溶液中で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 洗浄に用いる塩基性溶液が金属水酸化物の水溶液である請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 金属水酸化物がアルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の水酸化物である請求項4に記載の製造方法。
  6. アルカリ金属の水酸化物が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム或いは水酸化リチウムである請求項5に記載の製造方法。
  7. 1が置換基を有していても良い炭素数4〜15の3級アルキル基である請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 1がt−ブチル基である請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。

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