JP2005138059A - 速硬化性光触媒体 - Google Patents

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Yasushi Machida
靖 町田
Hiroaki Takechi
弘昭 武智
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Abstract

【課題】 光無機基材にも有機基材にも塗布により密着性よく設けることができ、光触媒を強固に固着して脱落を抑制し、透明感があり、光触媒自体による基材の劣化を抑制しつつ一方において光触媒活性が高く、汚染性が低く、しかも、加熱を必要とせず常温で塗布直後から硬度が高く、優れた施工性を有し、作業中の接触による塗膜の敗れ、剥離を抑制することができ、建造物等広範囲の塗膜形成が容易な光触媒体を提供する。
【解決手段】 基材表面に設けられ、ペルオキソチタン酸及びアナターゼ型酸化チタンを含有する光触媒層と、該光触媒層上に設けられ、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物を水及び有機溶媒中で反応させて得られるポリシロキサン化合物を含有する被覆層とを有する。被覆層の厚さが0.01〜0.5μm、光触媒層の厚さが、0.2〜10μmであることが好ましい。

Description

本発明は、防汚、脱臭、水中や空気中の汚染物質の分解、黴、細菌等、微生物の繁殖抑制及び藻の生育抑制等に利用される基材の表面に設けられ、基材上に形成した直後から硬化し取扱いに優れた速硬化性光触媒体に関する。
従来から、建造物外壁の汚れ、窓ガラスの汚れ、自動車の排気ガスによる道路遮音壁や看板の汚れ、室内や車内のたばこ等の悪臭、空気中のNOxやSOx、室内外の細菌や黴等の微生物等の有害物、水中の環境ホルモン様物質等の分解、除去に光触媒体が使用されている。
特に、二酸化チタンは広範囲の波長の光の照射により励起されエネルギーを放出すると共に、化学的に安定で、透明又は白色、無害であることから、光触媒として多用されている(例えば、非特許文献1,2参照。)。二酸化チタンの結晶にはルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の三種類があるが、アナターゼ型酸化チタンは光触媒活性が高く、最も一般的に利用されている。
このような光触媒を汚れ等の付着を抑制する基材の表面に固定する方法としては、基材上に酸化チタンの縣濁液を塗布し焼結して酸化チタンを固着させる方法や、酸化分解耐性のある樹脂をバインダーとして用い、バインダーに分散させた酸化チタンを基材に接合させる方法等が提案されている。具体的には、酸化チタン粒子とフッ素系樹脂との混合物を積層または圧着する方法(例えば、特許文献1参照。)、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリオルガノシロキサンなどのケイ素化合物、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどのリン酸塩、重リン酸塩、セメント、石灰、セッコウ、ほうろう用フリット、グラスライニング用うわぐすり、プラスターなどの無機系結着剤や、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系ポリマー等の難分解性有機系結着剤をバインダーとして酸化チタン粒子を接合させる方法(例えば、特許文献2参照。)、酸化チタン等の光触媒とアモルファス型ペルオキソチタン酸ゾルとを混合した液を基体に塗布し、アモルファス型ペルオキソチタン酸ゾルをバインダーとして利用して光触媒を基体上に担持させる方法(例えば、特許文献3参照。)等がある。
また、光触媒が固定された基材が有機基材である場合、光の照射により活性化された光触媒の酸化分解作用により生じる表面の劣化を抑制するために、保護層を介して光触媒を基材に接合する方法が提案されている。このような保護層を有する光触媒体として、具体的には、基材上に光触媒を含有しないシリコン系ポリマー又はフッ素系ポリマーの結着剤からなる第一層を設け、その上層に光触媒を含有する第二層を設けた光触媒体(例えば、特許文献2参照。)や、表面に形成され光触媒層と、樹脂層と、光触媒層と樹脂層との間に形成された中間層とを積層してなる光触媒性被膜であって、中間層がケイ素化合物、リン酸塩、重リン酸塩、過酸化チタン等の無機系結着剤や、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー等の有機系結着剤の難分解性結着剤からなる光触媒性被膜(例えば、特許文献4参照。)や、有機基体表面に、乾燥前は親油性であって有機基体との密着性が高く乾燥後は親水性を呈する中間被膜を設け、その上に過酸化チタンを含有するアナターゼ型酸化チタン分散液を塗布してなる酸化チタン膜を形成することで、光触媒粒子が結着剤に埋没せず光の照射や経時による劣化が大幅に改善され、有機基体表面の色、光沢等が損われることがない多層体(例えば、特許文献5参照。)等が知られている。
しかしながらこれらの方法はいずれもプライマーの乾燥や、密着のために加熱を必要とし、建築物外壁への適用は実際的ではない。更に、無機酸化物を使用した場合、塗布膜を薄く形成することが困難であり、透明感がなくなるという問題があり、また塗布膜表面に存在する光触媒が経時に伴い減少し光触媒活性が低下するという問題がある。また、無機酸化物の光触媒を水に分散させるためには強酸性にする必要があり、取扱い及び施工上の問題がある。かかる問題点に対し、アモルファス型ペルオキソチタン酸ゾルをバインダーとし、アナターゼ型酸化チタンを基材に接合させる方法は、常温乾燥で密着性が得られ、透明であり光触媒の経時変化もなく、優れた方法であるが、初期塗膜表面の硬度が低く、実用的硬度に達するまでに数日〜数週間を要する。そのため、塗布作業中や塗布直後に誤って塗布面に触れると光触媒膜が破れたり剥離したりするので、作業に細心の注意が必要である。更に、光触媒表面はコロイド状の微粒子の酸化チタンとペルオキソチタン酸であるため吸着性が高く、脱臭やガス吸着等には好適であるが、汚れも付着しやすく、防汚には場合によっては難点がある。
光触媒膜表面を硬くして、耐磨耗性にする方法としては、チタニアゾルとコロイダルシリカ等の金属酸化物のコロイド溶液との複合ゾル溶液をガラス基板上に塗布・焼成する方法(例えば、特許文献6参照)、光透過性と光触媒機能を有するTiO2膜と、光透過性および親水性を有する多孔質SiO2膜とを積層した積層膜を形成する方法(例えば、特許文献7参照)、酸化チタン上に、酸化チタンと酸化ケイ素との混合層、および酸化ケイ素層とが順に積層された可視光線応答型光触媒を構成する方法(例えば、特許文献8参照)等がある。しかしながら、これらの方法は、600℃以上の温度で燒結する必要があり、また酸化チタンと酸化ケイ素の膜を生成するのに真空蒸着法で行われており、ガラスミラーのような比較的小さい対象物には適用できるが、大きい窓ガラスや建造物の外壁等への適用は難しい。
特開平4−284851号公報 特開平7−171408号公報 特開平9−262481号公報 特開2001−327872号公報 特開2000−280397号公報 特開平10−297940号公報 特開2000−53449号公報 特開2002−28495号公報 藤島昭・橋本和仁著「化学と工業」1996年第49巻 垰田博史著「環境管理」1996年第32巻
本発明は、ペルオキソチタン酸とアナターゼ型酸化チタンとを含有し、無機基材にも有機基材にも塗布により密着性よく設けることができ、光触媒を強固に固着して脱落を抑制し、透明感があり、光触媒自体による基材の劣化を抑制しつつ一方において光触媒活性が高く、汚染性が低く、しかも、加熱を必要とせず常温で塗布直後から硬度が高く、優れた施工性を有し、作業中の接触による塗膜の敗れ、剥離を抑制することができ、建造物等広範囲の塗膜形成が容易な光触媒体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、基材表面に設けられたペルオキソチタン酸とアナターゼ型酸化チタンとを含有する光触媒層上に、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物を水及び有機溶媒中で反応させて得られるポリシロキサン化合物を含有する被覆層を設けることにより、加熱をしなくとも光触媒が強固に固着し、表面硬度が塗布直後から高く、汚染性が低く、基材が有機基材の場合においても、光触媒それ自体の作用によって基材が劣化されることを抑制することができると共に光触媒活性を高く維持することができ、透明性を有するとの知見を得て、本発明を完成した。
すなわち本発明は、基材表面に設けられ、ペルオキソチタン酸及びアナターゼ型酸化チタンを含有する光触媒層と、該光触媒層上に設けられ、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物を水及び有機溶媒中で反応させて得られるポリシロキサン化合物を含有する被覆層とを有することを特徴とする速硬化性光触媒体に関し、好ましくは、被覆層の厚さが、0.01〜0.5μmであることを特徴とする請求項1記載の速硬化性光触媒体(請求項2)や、光触媒層の厚さが、0.2〜10μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の速硬化性光触媒体(請求項3)や、光触媒層と被覆層の2層積層構造体、又は、該2層積層構造体が2以上積層された多層積層構造体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の速硬化性光触媒体(請求項4)や、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物が、一般式(I)
SiOxy (I)
[式中、RはC1〜C4のアルコキシ基を表し、x、yは0≦x≦1.2、1.6≦y≦4であり、且つ2x+y=4である数値を表す。]で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の速硬化性光触媒体(請求項5)や、一般式(I)におけるRが、メトキシ基を表し、xが0.8であることを特徴とする請求項5記載の速硬化性光触媒体(請求項6)や、ペルオキソチタン酸が、ペルオキソチタン酸ゾルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の速硬化性光触媒体(請求項7)や、ペルオキソチタン酸ゾルが、水溶性チタン化合物と塩基性物質との反応による水酸化チタンの生成工程と、水酸化チタンの洗浄工程と、洗浄した水酸化チタンと過酸化水素との反応工程により製造されたことを特徴とする請求項7記載の速硬化性光触媒体(請求項8)や、水溶性チタン化合物が、四塩化チタンであることを特徴とする請求項8記載の速硬化性光触媒体(請求項9)や、塩基性物質が、アンモニア水であることを特徴とする請求項7又は8記載の速硬化性光触媒体(請求項10)や、水酸化チタンの洗浄工程が、水酸化チタンを脱イオン水で洗浄した後、水酸化チタンを水に縣濁させ、この縣濁液に陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を添加し、水酸化チタンと陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂とを直接接触させることにより不純物を除去する工程を含み、アンモニウムイオンの残留濃度が所定の範囲となるように反復して行われることを特徴とする請求項8〜10のいずれか記載の速硬化性光触媒体(請求項11)や、アンモニウムイオンの残留濃度が、50〜600ppmであることを特徴とする請求項11記載の速硬化性光触媒体(請求項12)や、アナターゼ型酸化チタンが、アナターゼ型酸化チタンゾルであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか記載の速硬化性光触媒体(請求項13)や、アナターゼ型酸化チタンゾルが、ペルオキソチタン酸ゾルを80℃以上の温度で加熱して調製されるアナターゼ型酸化チタンの分散液であることを特徴とする請求項13記載の速硬化性光触媒体(請求項14)に関する。
本発明の光触媒体は、無機基材、有機基材いずれの基材も劣化させず、基材に強固に固着し、膜強度が高く、透明感があり、光触媒活性が高く、しかも加熱をせずに塗布直後から硬化し、施工が容易であり、屋外の建造物の外壁や水中の構造物等に適用して、防汚、脱臭、水中や空気中に含まれる汚染物質の分解、雑菌や黴の繁殖の防止、藻の生育抑制等をすることができ、特に、施工中塗膜に接触しても塗膜の破損を抑制することができるため、建造物外壁等大規模な範囲に設けられる汚染抑制材として有用である。
本発明の速硬化性光触媒体は、基材表面に設けられ、ペルオキソチタン酸及びアナターゼ型酸化チタンを含有する光触媒層と、該光触媒層上に設けられ、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物を水及び有機溶媒中で反応させて得られるポリシロキサン化合物を含有する被覆層とを有するものであれば、特に限定されるものではないが、かかる光触媒層に更に、無機系や有機系のバインダー、上記と同様のポリシロキサン化合物や、界面活性剤等を含有するものであってもよい。
本発明の速硬化性光触媒体の光触媒層に含有されるアナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンと比較して優れた光触媒作用を有し、紫外線等の光が照射されることにより活性化され、酸化還元作用が惹起され、例えば、アナターゼ型酸化チタンの作用により表面に付着した有機物、無機物の汚れ等が効率よく酸化分解され除去される。かかるアナターゼ型酸化チタンはアナターゼ型酸化チタンゾルであることが、光触媒層を形成する際の施工性に優れるため好ましい。アナターゼ型酸化チタンゾルは、上記ペルオキソチタン酸ゾルを80℃以上の温度で加熱して得ることができ、反応時の危険性をなくし穏やかな条件でアナターゼ型酸化チタンへの結晶化を図るために、90〜200℃の温度で加熱して調製したアナターゼ型酸化チタンゾルであることが好ましい。かかるアナターゼ型酸化チタンゾルの調製における加熱時間は加熱温度と相関関係があり、加熱温度が高いほど加熱時間は短くなり、90〜200℃の温度で加熱する場合、1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜10時間である。
本発明の速硬化性光触媒体の光触媒層に含有されるペルオキソチタン酸は、光触媒層を形成するための光触媒を含有する液において、光触媒として用いられる酸化チタンが沈降するのを抑制し、塗膜の密着性を向上させる。特に、ペルオキソチタン酸がペルオキソチタン酸ゾルであると、光触媒を含有する液のゲル化を抑制し光触媒層の形成のための塗布工程を容易とするため好ましい。ペルオキソチタン酸ゾルは水溶性チタン化合物と塩基性物質との反応による水酸化チタンの生成工程と、水酸化チタンの洗浄工程と、洗浄した水酸化チタンと過酸化水素との反応工程により製造することができる。かかるペルオキソチタン酸ゾルの製造における水酸化チタンの生成工程は、水溶性チタン化合物として四塩化チタンを用い、塩基性物質としてアンモニア水を用い、水存在下で、1〜40℃、好ましくは、室温で反応させることが好ましい。例えば、50%四塩化チタン水溶液にアンモニア水を滴下し攪拌後放置することにより、常温で反応させて水酸化チタンを沈殿として得ることができる。
得られた水酸化チタンの洗浄工程は、生成した沈殿にイオン交換処理を行った脱イオン水を適量添加して、沈殿に残留するアンモニウムイオン等の不純物を溶解させ上澄みを除去する操作を反復して行うことができるが、得られた水酸化チタンをイオン交換処理を行った脱イオン水で洗浄した後、水酸化チタンを水に縣濁させ、この縣濁液に陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂の混合イオン交換樹脂等を添加し、充分に攪拌してイオン交換樹脂を濾別する等、水酸化チタンとイオン交換樹脂とを直接接触させることにより不純物を除去する方法が、不純物の除去を効率よく行うことができるため好ましい。また、かかるイオン交換樹脂との接触による脱イオン処理は必要に応じて、反復して行い、アンモニウムイオン濃度が50ppmから600ppmになるように洗浄することが好ましい。
洗浄した水酸化チタンと過酸化水素との反応工程は、水酸化チタンに過酸化水素水を添加することにより行うことができる。上記水溶性チタン化合物と塩基性物質との反応による水酸化チタンの生成工程及びこれに続く洗浄工程により得られた水酸化チタンの性状はゲル状であるが、かかる水酸化チタンゲルに過酸化水素を加えることにより、水酸化チタンゲルのヒドロキシ基の一部がOOH基となり、ペルオキソチタン酸イオンとなって溶解し、水酸化チタンゲルが分解してペルオキソチタン酸ゾルが生成される。かかるペルオキソチタン酸ゾルは、含有される溶液の安定性を高め、長期保存を可能とするため、光触媒体、光触媒層を調製するためのコーティング液におけるペルオキソチタン酸ゾルの含有量が、アナターゼ型酸化チタン1重量部に対して、1/9〜7/3重量部の範囲であることが好ましい。ペルオキソチタン酸の含有量がこの範囲であれば、ゾル状の塗布液等がゲル化することを抑制することができる。
本発明の速硬化性光触媒体の光触媒層には、必要に応じて、塗布性能や塗布膜の物性の向上を図るために酸化分解に強い界面活性剤、着色料、顔料、充填剤、タレ防止剤、レベリング剤、ハジキ防止剤や、防臭剤、防藻剤、防黴剤、防菌剤等を含有させてもよく、また、被覆層に含有されるポリシロキサン化合物と同様のものを含有させてもよい。かかるポリシロキサン化合物を含有した被覆層は、光触媒体の強度を向上させ、硬化速度をより速くすることができる。
また、本発明の速硬化性光触媒体の光触媒層の厚さは、0.2〜10μmであることが好ましい。光触媒層の厚さがこの範囲であると、透明性を損なわず、防汚、脱臭、ガスの分解等充分な光触媒効果を得ることができる。
本発明の速硬化性光触媒体の被覆層に含有されるポリシロキサン化合物は、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物を水及び有機溶媒中で反応させて得られ、このポリシロキサン化合物を含有する被覆層は、汚れ等の除去効果を有し、光触媒体に表面強度を付与すると共に成形時において速硬化性を付与し、塗布等の施工中や施工直後に硬化し、塗膜に接触して塗膜に破損が生ずるのを抑制させる効果を奏する。かかる被覆層に含有されるポリシロキサン化合物を得るために用いられるアルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物は、一般式(I)(式中、RはC1〜C4のアルキル基を表し、x、yは0≦x≦1.2、1.6≦y≦4であり、且つ2x+y=4である数値を表す。)で示される化合物であることが好ましい。一般式(I)で示されるアルコキシシラン化合物は、式中、x=0、y=4で表され、ケイ素原子に4つのアルコキシ基が結合した化合物であり、式中のRが表すC1〜C4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等を挙げることができる。かかるアルコキシ基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基等の置換基を有していてもよく、同一の分子内で4つが同一であっても、異なるものであってもよいが、炭素数が多くなると溶媒に対する溶解性が低下するため、炭素数は少ないものが好ましい。かかるアルコキシ基を有するテトラアルコキシシラン化合物としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロプキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメトキシジ−n−プロポキシシラン、ジメトキシ−n−ブトキシシラン等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、一般式(I)で示されるアルコキシシロキサン化合物は、ケイ素原子に、シロキサン結合を形成する酸素原子と、アルコキシ基が結合した化合物であり、式中、置換基Rが表すC1〜C4のアルコキシ基としては、上述のアルコキシシラン化合物におけるものと同様のものを例示することができ、かかるアルコキシ基はアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、また、同一分子内において、同一のものに限らず異なるものであってもよい。かかるアルコキシ基を有するアルコキシシロキサン化合物においては、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。置換基RがC1〜C4のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物や、アルコキシシロキサン化合物は、溶媒に対する溶解性が高く、有機溶媒の使用量を低減することができ、得られる光触媒体が優れた汚染抑制機能を有すると共に、安全性を確保できる。好ましくは、置換基Rがメトキシ基、エトキシ基を有するものを挙げることができ、特にメトキシ基を有するものは有機溶媒に対し易溶性、安定性を有し、少量の溶媒に溶解して容易に重縮合反応を生じると共に、貯蔵時のゲル化が抑制され、顕著な汚染抑制機能を有するため好ましい。
また、本発明の光触媒体に使用されるアルコキシシロキサン化合物は、一般式(I)中、シロキサン結合の縮合度を表すxが、0<x≦1.2の範囲であることが好ましく、シロキサン結合を形成する酸素原子を除いたケイ素原子に結合するアルコキシ基の割合を示すyは、2x+y=4との関係から定まり、1.6≦y<4の範囲であることが好ましい。かかるxの値はSi−NMRの測定値に基づき、テトラメチルシランのケミカルシフト値を0ppmとして、ケイ素原子が有するシロキサン結合の数に由来するケミカルシフト値−75〜−120ppmの間に生じる5群のピークQ0〜Q4が、Q0はシロキサン結合の数が0のモノマー、Q1はシロキサン結合の数が1つ、Q2はシロキサンの数が2つ、Q3はシロキサン結合の数が3つ、Q4はシロキサン結合の数が4つの化合物に対応するところから、各ピークQ0、Q1、Q2、Q3、Q4の面積比をA:B:C:D:E(A+B+C+D+E=1)とし、x=A×0+B×0.5+C×1.0+D×1.5+E×2から定められる値である。また、置換基Rとして相異なる2種以上の基を有する場合、ケミカルシフトの同定が容易な方法を適宜選択し、H−NMRあるいは13C−NMRにより各々の置換基の結合量を換算して定めることができる。
上記一般式(I)で示されるアルコキシシロキサン化合物として、ジメトキシポリシロキサン、ジエトキシポリシロキサン、ジ−n−プロポキシポリシロキサン、ジイソプロポキシポリシロキサン、ジ−n−ブトキシポリシロキサン、ジイソブトキシポリシロキサン、ジ−sec−ブトキシポリシロキサン、ジ−t−ブトキシポリシロキサン等を挙げることができ、これらのアルコキシシロキサン化合物を示す一般式(I)中、シロキサン結合の縮合度を表すxが0.8であるものが好ましく、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。このうち、ジメトキシポリシロキサン、ジエトキシポリシロキサンが有機溶媒に易溶であり、ゲル化が生じにくいため好ましく、特に、ジメトキシポリシロキサンが好ましい。かかるアルコキシシロキサン化合物としては、市販のもの、例えば、MKCシリケート(商品名:三菱化学(株))等を利用することができ、このうち特にMS51等のシリケート化合物を好適に使用することができる。
尚、本発明の光触媒体の被覆層には、上記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物や、アルコキシシロキサン化合物の他、他のケイ素化合物が含有されてもよい。かかるケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。尚、これらのケイ素化合物の含有量は、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物のSiO2換算で100重量部に対して20重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
上記アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物の反応に使用される水は、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物と容易に反応してアルコキシ基の総て又は一部を残してヒドロキシ基と置換したシラノール化合物を生成するものであり、水道水等いずれのものであってもよく、目的、用途によって脱イオン水、超純水を適宜選択して使用することができる。例えば、酸により特に腐食しやすい軟鋼、銅、アルミニウム等の基材や、耐熱性被膜、耐湿性被膜、耐薬品性被膜、耐バリア性被膜、電気絶縁性被膜の電気、電子材料等の基材に適用する場合は脱塩水を用いたり、不純物の混入を排除する必要がある場合は超純水を選択することができる。水の配合量は、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物中のSi量のSiO2換算値100重量部に対して、100〜50000重量部、好ましくは500〜10000重量部である。一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物のアルコキシ基を加水分解する理論値よりも大過剰の量の水を配合することにより、加水分解により生成したアルコールを多量の水と共存させ、再度アルコールとポリシロキサン化合物のヒドロキシ基とが反応するのを抑制し、貯蔵時の安定性を向上させ品質保持を図ると共に、有機溶媒の配合量を低くすることができ、引火点、燃焼点を低く抑えることが可能となり取扱い上有利である。また、この水の配合量がこの範囲であれば、生成物のポリシロキサン化合物の保存時のゲル化を抑制することができ、反応系を光触媒体等の成形用塗布液に利用すると、保存時に安定で、取扱いが容易であり、有機基材に光触媒体が設けられた場合でも、基材の劣化を抑制することができる。
上記アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物の反応に使用される有機溶媒としては特に限定されるものではなく、各種の有機溶剤、例えば、アルコール類、グリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類等の1種、又は2種以上を混合して使用することができる。かかる有機溶媒として、具体的には、アルコール類として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等、グリコール誘導体としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等、炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン等、エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル等を例示することができる。これらの溶剤のうち、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類がアルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物の溶媒として好ましく、また、反応系を光触媒層又は保護層を形成するためのコーティング液に直接使用することができるため好ましく、特に、エタノールが、安全性や、生成物のゲル化を抑制する安定性に優れているため好適である。有機溶媒の配合量は、一般式(I)で示されるアルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物のSi量のSiO2換算値100重量部に対して、100〜50000重量部、より好ましくは500〜10000重量部である。有機溶媒の添加量がこの範囲であれば、反応物を均一に溶解させることができ、光触媒体における汚染抑制効果が顕著であり好ましい。
上記アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物を水及び有機溶媒中で反応して得られるポリシロキサン化合物は、アルコキシシラン化合物やアルコキシシロキサン化合物の重縮合物であって、アルコキシ基の一部ないし総てが加水分解されヒドロキシ基に変換されたシラノール化合物である。かかるポリシロキサン化合物を生成する反応は、上記アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物に上記量の有機溶媒及び水を添加し、適宜触媒を添加して、常温で攪拌、振動等による混合後、放置して行うことができる。かかる触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、ギ酸、シュウ酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、有機アミン化合物等のアルカリ触媒、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等の有機アルミニウム化合物、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラ−n−ブトキシド等の有機チタニウム化合物、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)及びジルコニウム(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド等の有機ジルコニウム化合物等の、オルガノシリケート以外の有機金属化合物又は金属アルコキシド化合物、ボロントリ−n−ブトキシド、ホウ酸等のホウ素化合物等を挙げることができる。これらの触媒は、1種又は2種以上組み合わせたものも使用できる。触媒の添加量は、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物のSi量をSiO2 に換算した100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。
このようなアルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物を水及び有機溶媒中で反応して得られるポリシロキサン化合物を1〜10重量%含有する反応系を本発明の光触媒体を調製するコーティング液等に使用することができ、このような反応系として、市販のもの、例えば、シンスイフロー(MS1200及びMS1208)(商品名:大日本色材工業(株))を適用することができる。
本発明の速硬化性光触媒体における被覆層には、必要に応じて、塗布性能や塗布膜の物性の向上を図るために酸化分解に強い界面活性剤、着色料、顔料、充填剤、タレ防止剤、レベリング剤、ハジキ防止剤や、防臭剤、防藻剤、防黴剤、防菌剤等を含有させてもよい。
また、本発明の速硬化性光触媒体の被覆層の厚さは、0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.01〜0.1μmであることがより好ましく、更に、好ましくは0.02〜0.05μmである。被覆層の厚さがこの範囲であると、透明性を損なわず、光触媒活性を高くし、且つ光触媒体に表面強度と速硬化性を付与することができる。
本発明の光触媒体は、基材の上に設けられる光触媒層と被覆層の2層積層構造体であっても、該2層積層構造体が2以上積層された多層構造体であってもよい。多層構造体とすることにより光触媒による防汚、脱臭、ガス分解効果が長期間持続して得られる。
本発明の光触媒体は光触媒層、被覆層のそれぞれの成形用コーティング液を調製し、コーティング液を基材に塗布する方法等により成形することができる。即ち、光触媒層成形用コーティング液はアナターゼ型酸化チタンゾル1〜2重量%の水分散液に、ペルオキソチタン酸をアナターゼ型酸化チタン1重量部に対して1/9〜7/3重量部を添加し、1〜40℃、好ましくは室温で、混合攪拌することにより調製することができる。アナターゼ型酸化チタンとペルオキソチタン酸の含有量の割合がこの範囲であると、光触媒体が有効な光触媒作用を有し、基材に強固に固着し両者の剥離を抑制することができ、透明性を保持することができる。光触媒層にポリシロキサン化合物を含有させる場合は、上記光触媒層成形用コーティング液に、ポリシロキサン化合物として上記シンスイフロー(MS1200又はMS1208)(商品名:大日本色材工業(株))をアナターゼ型酸化チタンとペルオキソチタン酸との混合合計重量に対して、5〜70重量%等添加して調製することができる。また、上記被覆層成形用コーティング液は、上記アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物を水及び有機溶媒中で反応させた反応系をそのまま用いることができる。
かかるコーティング液を用いて光触媒層や、保護層を基材に成形する方法としては、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、ローラーコーティング法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、フローコーティング法等の通常の方法を挙げることができる。具体的には、上記コーティング液を上記コーティング方法により基材表面にコーティングし、自然乾燥あるいは熱風を吹き付ける等の方法で乾燥させ、このコーティングと乾燥を反復し目的の厚さを有する層を成形することができる。多層積層構造体の場合は、光触媒層成形用コーティング液と、被覆層成形用コーティング液を順次コーティングし積層体を形成することができる。尚、基材表面はこれらの塗布前に洗剤、アルコール等の溶剤等で十分に洗浄、脱脂することが望ましい。
本発明の速硬化性光触媒体が適用される基材はその材質を問わず何れのものであってもよい。かかる基材の材質としては、具体的に、セラミックス、ガラス、コンクリート等の無機材質、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、合成ゴム等の合成高分子や、天然ゴム、天然繊維、木、紙等の天然の有機材質、ステンレス、アルミニウム等の金属類等を挙げることができる。また、種々の塗料で塗装された基材にも適用され得る。
本発明の速硬化性光触媒体が適用される基材は特に制限されず、例えば、ビル、住宅等の外壁及び内壁、ダム、橋梁、道路、防波堤、護岸用設置体等の土木構造物の表面、銅像、石像、墓石、モニュメント、道路標識、信号、照明灯等の表面、車両、船舶、航空機等の外面及び内面、ガスタンク、水道タンク等の外壁面等を挙げることができる。
本発明の光触媒体の実施例を示すが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
調製例1
100Lのイオン交換水に約50重量%の四塩化チタン溶液1Lを添加し、これに25重量%のアンモニア水を1L添加して充分攪拌した。静置後、生成した水酸化チタンが沈殿後、上澄み液を排出し、イオン交換水を適量添加して充分攪拌してから静置し、上澄み液を再度排出した。この洗浄操作を繰り返し、アンモニウムイオンを500ppmにした。これに35重量%過酸化水素を2L添加して攪拌したところ、黄色透明のペルオキソチタン酸ゾルを得た。
調製例2
調製例1と同様にして四塩化チタンとアンモニア水を反応させた後、水酸化チタンの沈殿をアンモニウムイオンが約1000ppmになるまでイオン交換水で洗浄した。この水酸化チタンの分散液に陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合イオン交換樹脂(商品名:SMNUPB、日本錬水株式会社製)を600g添加し、よく攪拌した後ナイロン製の網でイオン交換樹脂を濾別した。このときのアンモニウムイオンは200ppmであった。この液に35重量%過酸化水素を2L添加して攪拌した。黄色透明のペルオキソチタン酸ゾルを得た。
調製例3
調製例2で得られたペルオキソチタン酸ゾルを約95℃で8時間加熱した。黄色白濁したアナターゼ型酸化チタンの分散液を得た。
調製例3で得られたアナターゼ型酸化チタン1重量%分散水溶液6重量部と、調製例1で得られた1重量%ペルオキソチタン酸ゾル4重量部とを混合し混合液を得た。この混合液を、5%水酸化ナトリウム水溶液でよく洗浄した後、イオン交換水で洗浄し乾燥したガラス板に、スプレー法により表1に示す所定量を塗布し、約10分間放置して乾燥させ、光触媒層を成形した。その後、光触媒層の表面にポリシロキサン化合物(商品名:MS1200、大日本色材工業(株)製)1重量%、エタノール50重量%、水49重量%を含有する溶液を、スプレー法により10g/m2の量を塗布し表面を被覆した。
得られたサンプル1、2について、被覆層形成後、60分経過後鉛筆引っかき値試験(JIS規格K5400−1990−8−4−2)を行った。結果を表1に示す。
また、0.02%メチレンブルー水溶液を表面にスプレーして着色し、1.0mw/cm2強度の紫外線を照射して、4時間以内の消色を観察し、光触媒活性を評価した。結果を表1に示す。
比較例として実施例と同様の光触媒層のみを成形したもの(比較例1、2)について、実施例と同様にして鉛筆引っかき値試験及び光触媒活性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005138059
結果から被覆層を設けた光触媒体は光触媒活性が高く、速硬化性であることが明らかである。
調製例3で得られたアナターゼ型酸化チタン1重量%分散水溶液7重量部と、調製例2で得られた1重量%ペルオキソチタン酸ゾル3重量部とを混合し混合液を得た。この混合液を、500℃で2時間加熱して有機質分を除去して、表面を親水性にした白色タイルに、スプレー法により表2に示す所定量を塗布し、約10分間放置して乾燥させ、光触媒層を成形した。その後、ポリシロキサン化合物(商品名:MS1208、大日本色材工業(株)製)1重量%、エタノール79重量%、水20重量%を含有する溶液を、スプレー法により表2に示す所定量を塗布し表面を被覆した。
得られたサンプル3〜5について、被覆層形成後、10分経過後実施例2と同様にして鉛筆筆引っかき値試験を行った。結果を表2に示す。
また、0.02%メチレンブルー水溶液を表面にスプレーして着色し、2.7mw/cm2強度の紫外線を照射して、消色時間を測定した。結果を表2に示す。
比較例として実施例と同様の光触媒層のみを成形したもの(比較例3、4)について、実施例と同様にして鉛筆引っかき値試験及び消色時間を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2005138059
結果から被覆層を設けた光触媒体は光触媒活性が高く、速硬化性であることが明らかである。
白色ウレタン塗料で塗装された壁材2枚に、調製例2で得られた1重量%ペルオキソチタン酸ゾル30g/m2を3回に分けてスプレー法で塗布した。表面が乾燥してから、調製例3で得られたアナターゼ型酸化チタン1重量%分散液60g/m2を4回に分けてスプレー法で塗布した。1枚の壁材には、ポリシロキサン化合物(商品名:MS1208、大日本色材工業(株)製)1重量%、エタノール79重量%、水20重量%を含有する溶液を、スプレー法により10g/m2を塗布し表面を被覆した。この2枚の壁材に、2.7mw/cm2強度の紫外線を24時間照射した後、ディーゼルエンジンの排気ガスを30cmの距離から24時間吹き付けたところ、黒く着色した。着色後の表面反射率を色差計(MINOLTA CR−300)(ミノルタ社製)で測定したところ、ポリシロキサンで表面を被覆した壁材のL値は61.2であったが、光触媒だけを塗布した壁材のL値は55.8であった。
結果から、ポリシロキサンを塗布した壁材は防汚染性が高いことが明らかである。

Claims (14)

  1. 基材表面に設けられ、ペルオキソチタン酸及びアナターゼ型酸化チタンを含有する光触媒層と、該光触媒層上に設けられ、アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物を水及び有機溶媒中で反応させて得られるポリシロキサン化合物を含有する被覆層とを有することを特徴とする速硬化性光触媒体。
  2. 被覆層の厚さが、0.01〜0.5μmであることを特徴とする請求項1記載の速硬化性光触媒体。
  3. 光触媒層の厚さが、0.2〜10μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の速硬化性光触媒体。
  4. 光触媒層と被覆層の2層積層構造体、又は、該2層積層構造体が2以上積層された多層積層構造体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の速硬化性光触媒体。
  5. アルコキシシラン化合物及び/又はアルコキシシロキサン化合物が、一般式(I)
    SiOxy (I)
    [式中、RはC1〜C4のアルコキシ基を表し、x、yは0≦x≦1.2、1.6≦y≦4であり、且つ2x+y=4である数値を表す。]で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の速硬化性光触媒体。
  6. 一般式(I)におけるRが、メトキシ基を表し、xが0.8であることを特徴とする請求項5記載の速硬化性光触媒体。
  7. ペルオキソチタン酸が、ペルオキソチタン酸ゾルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の速硬化性光触媒体。
  8. ペルオキソチタン酸ゾルが、水溶性チタン化合物と塩基性物質との反応による水酸化チタンの生成工程と、水酸化チタンの洗浄工程と、洗浄した水酸化チタンと過酸化水素との反応工程により製造されたことを特徴とする請求項7記載の速硬化性光触媒体。
  9. 水溶性チタン化合物が、四塩化チタンであることを特徴とする請求項8記載の速硬化性光触媒体。
  10. 塩基性物質が、アンモニア水であることを特徴とする請求項7又は8記載の速硬化性光触媒体。
  11. 水酸化チタンの洗浄工程が、水酸化チタンを脱イオン水で洗浄した後、水酸化チタンを水に縣濁させ、この縣濁液に陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を添加し、水酸化チタンと陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂とを直接接触させることにより不純物を除去する工程を含み、アンモニウムイオンの残留濃度が所定の範囲となるように反復して行われることを特徴とする請求項8〜10のいずれか記載の速硬化性光触媒体。
  12. アンモニウムイオンの残留濃度が、50〜600ppmであることを特徴とする請求項11記載の速硬化性光触媒体。
  13. アナターゼ型酸化チタンが、アナターゼ型酸化チタンゾルであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか記載の速硬化性光触媒体。
  14. アナターゼ型酸化チタンゾルが、ペルオキソチタン酸ゾルを80℃以上の温度で加熱して調製されるアナターゼ型酸化チタンの分散液であることを特徴とする請求項13記載の速硬化性光触媒体。

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