JP2005134110A - 空調設備 - Google Patents

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義文 杉原
Yuji Miyajima
裕二 宮島
Takumi Sugiura
匠 杉浦
Hiroo Sakai
弘夫 境
Noboru Oshima
昇 大島
Tadakatsu Nakajima
忠克 中島
Hironari Kikuchi
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Abstract

【課題】最も望ましい状態で空調設備が運転できる空調設備の制御方法及びこのように制御される空調設備を提供する。
【解決手段】冷温熱媒体を循環供給して空調を行う空調設備100において、空調設備を構成する冷温熱発生機114、ポンプ等の機器のシミュレーションモデルを備え、シミュレーションにより評価関数を最小或いは最大とする最適制御目標値を決定し、最適制御目標値で空調設備100を運転する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、空調設備に係り、特に、省エネルギー、運転コスト低減及び地球環境を配慮して最適化した運転が可能な空調設備に関する。
特許文献1には、冷温水を熱源側のみから循環供給させて建物の空調を行う一次ポンプ方式熱源変流システムが開示されている。このシステムは、空調機に冷温水を供給する冷温水発生機と、冷温水発生機に冷却水を供給する冷却塔と、前記冷温水と冷却水とを空調付加に応じて循環供給させるように可変制御を行うポンプ可変流量制御装置等から構成され、冷温水と冷却水の流量を変化させることによって、冷却水ポンプ、冷水ポンプの消費電力を削減している。
特開2002−98358号公報
しかしながら、特許文献1に開示された空調方法は、冷温水や冷却水の流量のみを変化させて冷却水ポンプ、冷水ポンプの消費電力を削減する方法なので、空調設備全体の消費電力を削減するための制御ではなく、よって、空調設備全体の消費電力を削減することはできない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、空調設備全体の消費エネルギ量、運転コスト又は排出二酸化炭素量を削減することができる空調設備を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、冷温熱媒体を循環供給して空調を行う空調設備において、該空調設備を構成する冷温熱発生機、ポンプ等の機器のシミュレーションモデルを備え、シミュレーションにより評価関数を最小或いは最大とする最適制御目標値を決定し、最適制御目標値で空調設備を運転することを特徴とする空調設備を提供する。
また、本発明は、冷温熱媒体を循環供給して空調を行う空調設備において、該空調設備を構成する機器の機器特性データが記憶されている機器情報データベースと、該機器情報データベースに記憶されている構成機器の機器特性データから部分負荷における消費電力、燃料消費量を計算し、そして換算係数を用いて評価関数を計算する空調設備シミュレータと、該空調設備シミュレータを用いて空調設備の各機器の最適制御目標値を計算する最適化手段を備え、前記最適制御目標値により空調設備の各機器を運用することを特徴とする空調設備を提供する。
本発明によれば、最も望ましい状態で空調設備が運転できるように、少なくとも1台以上の空調機の送風温度、冷温熱発生機の冷温熱媒体温度及び放吸熱機よりの放吸熱媒体温度の設定値を最適化する。すなわち、本発明の発明者らはこれらの3つのパラメータを解析した結果、望ましい状態で空調設備が運転できることを見出した。これにより、簡易かつ迅速に空調設備の効率的な運転が可能となる。
また、本発明によれば、冷温熱媒体を循環供給して空調を行う空調設備において、空調設備を構成する機器の機器特性データが記憶されている機器情報データベースと、機器情報データベースに記憶されている構成機器の機器特性データから部分負荷における消費電力、燃料消費量を計算し、そして換算係数を用いて評価関数を計算する空調設備シミュレータと、空調設備シミュレータを用いて空調設備の各機器の最適制御目標値を計算する最適化手段を備え、最適制御目標値により空調設備の各機器を運用する。これにより、空調設備の運転の迅速な制御が可能となる。また、評価関数は、消費エネルギ量とするが運転コスト又は換算二酸化炭素排出量とすることもできる。
また、本発明によれば、シミュレーションにより評価関数を最小或いは最大とする最適制御目標値を決定する最適計算用計算機と、最適計算用計算機から最適制御目標値を受け取り、空調設備を構成する機器が異常なく動作するように監視制御する監視制御装置とを備えるとともに、監視制御装置の処理周期が、最適計算用計算機の処理周期より短く、且つ、監視制御装置は、外気の条件、冷却水の温度、冷水の温度等の変化に対応して、最適計算用計算機が決定した最適制御目標値を基準にとして、冷凍機の運転限界を越えないように制御目標値を調整する。これによって、より精度の高い空調設備の運転の制御が可能となる。
また、本発明によれば、空調設備シミュレーションに必要なパラメータをセンサの計測値を基に同定して、同定したパラメータを用いて空調設備シミュレーションするとともに、同定するパラメータが配管、ダクトの抵抗係数であることを特徴としている。これにより、さらに精度の高い空調設備の運転の制御が可能となる。
本発明において、1台以上の空調機と、該空調機に冷温熱媒体を供給する冷温熱発生機と、該冷温熱発生機に放吸熱媒体を供給する放吸熱機とを有する空調設備の制御方法において、設定された空調条件を充たす範囲内で、前記空調設備の消費エネルギ量、運転コスト又は排出二酸化炭素量のうち少なくとも1つが低くなるように、少なくとも前記1台以上の空調機の送風温度、前記冷温熱発生機の冷温熱媒体温度及び前記放吸熱機よりの放吸熱媒体温度の設定値を最適化することが好ましい。
また、本発明において、1台以上の空調機と、該空調機に冷温熱媒体を供給する冷温熱発生機と、該冷温熱発生機に放吸熱媒体を供給する放吸熱機とを有する空調設備において、設定された空調条件を充たす範囲内で、前記空調設備の消費動力、運転コスト又は排出二酸化炭素量が最低となるように、少なくとも前記1台以上の空調機の送風温度、前記冷温熱発生機の冷温熱媒体温度及び前記放吸熱機よりの放吸熱媒体温度の設定値を最適化が可能となっていることが好ましい。
また、本発明において、少なくとも1台以上の空調機と、該空調機に冷温熱媒体を供給する少なくとも1 台以上の冷温熱発生機と、該冷温熱発生機を冷却、或いは加熱する放吸熱機と、冷温熱負荷が小さい時間帯に冷温熱媒体を貯蔵する蓄冷温槽と、これら機器間を結ぶポンプ、ファン、ブロアなどの熱媒体輸送機器と、これら機器の発生温度、又は/及び熱媒体の輸送流量を制御する制御機器により構成された空調設備であって、温度や流量などの個々の機器の運転状態を代表するデータを測定する計測機器群と、個々の機器の運転を制御する制御機器群と、該計測機器群及び制御機器群と信号ラインで結ばれた中央監視装置を備え、該中央監視装置は、該空調設備全体の運転を管理する空調設備運転シミュレータ、又は空調設備運転データテーブルのうち少なくとも1つを内蔵し、該各計測機器により採取されたリアルタイム運転データを基に、予め定められた温湿度などの空調条件範囲、或いは、電力、燃料、用水などのエネルギ消費条件範囲、又は、優先順位を定めてこの両条件を複合させて設定される条件範囲を充たす種々の条件設定許容領域内において該空調設備全体の消費エネルギ量、運転コスト、又は、換算二酸化炭素排出量、或いは、それら2項目以上を組み合わせた指標を最小とする該空調設備を構成する各機器の最適動作温度、最適流量、該放吸熱媒体発生機の最適運転台数のうち少なくとも1つを演算するとともに、該制御機器群にその最適値を制御設定値として出力し、該制御機器群は、該制御設定値に基づいて制御信号を発生させるとともに、該制御信号を該空調設備を構成する各機器、或いは、該制御機器自身に出力し、該空調設備を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御することが好ましい。
また、本発明において、少なくとも1台以上の空調機と、該空調機に冷温熱媒体を供給する少なくとも1台以上の冷温熱発生機と、該冷温熱発生機を冷却、或いは加熱する放吸熱機と、これら機器間を結ぶポンプ、ファン、ブロアなどの熱媒体輸送機器と、これら機器の発生温度、又は/及び熱媒体の輸送流量を制御する制御機器により構成された空調設備であって、温度や流量などの個々の機器の運転状態を代表するデータを測定する計測機器群と、個々の機器の運転を制御する制御機器群と、該計測機器群及び制御機器群と信号ラインで結ばれた中央監視装置とを備え、該中央監視装置は、該空調設備全体の運転を管理する空調設備運転シミュレータ、又は空調設備運転データテーブルのうち少なくとも1つを内蔵し、該各計測機器により採取されたリアルタイム運転データを基に、予め定められた温湿度などの空調条件範囲、或いは、電力、燃料、用水などのエネルギ消費条件範囲、又は、優先順位を定めてこの両条件を複合させて設定される条件範囲を充たす種々の条件設定許容領域内において該空調設備全体の消費エネルギ量、運転コスト、又は、換算二酸化炭素排出量、或いは、それら2項目以上を組み合わせた指標を最小とする該空調設備を構成する各機器の最適動作温度、最適流量、該冷温熱発生機のうち少なくとも1つの最適運転台数を演算するとともに、該制御機器群にその最適値を制御設定値として出力し、該制御機器群は、該制御設定値に基づいて制御信号を発生させるとともに、該制御信号を該空調設備を構成する各機器、或いは、該制御機器自身に出力し、該空調設備を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御することが好ましい。
本発明において、前記1台以上の空調機の送風温度、前記冷温熱発生機の冷温熱媒体温度及び前記放吸熱機よりの放吸熱媒体温度に加え、さらに前記空調機の送風量、前記冷温熱発生機の冷温熱媒体流量及び前記放吸熱機よりの放吸熱媒体流量のうち少なくとも1つの設定値を最適化することが好ましい。このように、前記の制御に加え、さらにパラメータを加えることにより、より精度の高い空調設備の運転の制御が可能となる。
また、本発明において、少なくとも前記1台以上の空調機の送風温度、前記冷温熱発生機の冷温熱媒体温度及び前記放吸熱機よりの放吸熱媒体温度のそれぞれ複数個の条件の組み合わせと、このときの前記空調設備の消費動力、運転コスト又は排出二酸化炭素量が示されるデータテーブルを予め作成しておき、このデータテーブルにアクセスすることにより各設定値を変更することが好ましい。このように、予めデータテーブルを作成してあれば、空調設備の運転の迅速な制御が可能となる。
また、本発明において、前記1台以上の空調機の配管条件、前記冷温熱発生機の配管条件及び前記放吸熱機の配管条件が入力可能となっていることが好ましい。このように、各ユニットの配管条件が入力可能となっていれば、異なる各種の空調設備への適用、又は空調設備を改造等した場合への適用が容易となり、本発明に係る空調設備の適用範囲が拡がる。なお、配管条件とは、各ユニットの配管系統数、配管長さ、配管内径、圧損等の条件を言う。
また、本発明の好ましい態様によれば、空調機、冷温熱発生機、放吸熱機の他に、冷温熱負荷が小さい時間帯に冷温熱媒体を貯蔵する蓄冷温槽が設けられた空調設備においても、簡易かつ迅速に空調設備の効率的な運転が可能となる。
また、本発明の好ましい態様によれば、空調機、冷温熱発生機、放吸熱機が設けられた空調設備において、温度や流量などの個々の機器の運転状態を代表するデータを測定する計測機器群と、個々の機器の運転を制御する制御機器群と、計測機器群及び制御機器群と信号ラインで結ばれた中央監視装置とを備え、この中央監視装置は、空調設備全体の運転を管理する空調設備運転シミュレータ、又は空調設備運転データテーブルのうち少なくとも1つを内蔵し、各計測機器により採取されたリアルタイム運転データを基に、予め定められた温湿度などの空調条件範囲、或いは、電力、燃料、用水などのエネルギ消費条件範囲、又は、優先順位を定めてこの両条件を複合させて設定される条件範囲を充たす種々の条件設定許容領域内において該空調設備全体の消費エネルギ量、運転コスト、又は、換算二酸化炭素排出量、或いは、それら2項目以上を組み合わせた指標を最小とする該空調設備を構成する各機器の最適動作温度、最適流量、冷温熱発生機の最適運転台数のうち少なくとも1つを演算するとともに、制御機器群にその最適値を制御設定値として出力し、制御機器群は、制御設定値に基づいて制御信号を発生させるとともに、該制御信号を空調設備を構成する各機器、或いは、制御機器自身に出力し、空調設備を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。簡易かつ迅速に空調設備の効率的な運転が可能となる。
また、本発明の好ましい態様によれば、中央監視装置は、優先順位、或いは、最小とする指標を外部より入力する手段を有し、外部入力及び種々の条件設定許容領域に基づいて最小化演算、最適制御値の発生、及び空調設備を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御するので、簡易かつ迅速に空調設備の効率的な運転が可能となる。
また、本発明の好ましい態様は、空調設備全体の消費エネルギ量、運転コスト、換算二酸化炭素排出量の瞬時値、積算値を外部に出力表示する手段を有する装置のうち少なくとも1つに中央監視装置を備えたことを特徴としている。
さらに、本発明の好ましい態様によれば、冷温熱媒体を循環供給して空調を行う空調設備において、空調設備を構成する冷温熱発生機、ポンプ等の機器のシミュレーションモデルを備え、シミュレーションにより評価関数を最小或いは最大とする最適制御目標値を決定し、最適制御目標値で空調設備を運転する。これにより、空調設備の運転の迅速な制御が可能となる。また、評価関数は、消費エネルギ量とするが運転コスト又は換算二酸化炭素排出量とすることもできる。
以上説明したように、本発明によれば、最も望ましい状態で空調設備が運転できるように、少なくとも1台以上の空調機の送風温度、冷温熱発生機の冷温熱媒体温度及び放吸熱機よりの放吸熱媒体温度の設定値を最適化する。すなわち、本発明の発明者らはこれらの3つのパラメータを制御することにより、望ましい状態で空調設備が運転できることを見出した。これにより、簡易かつ迅速に空調設備の効率的な運転が可能となる。また、空調設備全体の運転コストの合計が最小となる最適運転方法で冷凍空調設備を運転することができる実用的な空調設備を提供することが可能となる。
以下、本発明に係る空調設備の好ましい実施形態を添付図面に従って説明する。
図1は、本発明が適用される空調設備10の構成を示すブロック図である。このブロック図において、各ブロックの上側には入力条件と入力パラメータ(囲みの内部)が示されており、各ブロックの下側には必要動力が示されている。
同図において、熱エネルギーの伝達の流れが左方から右方に向かって示されている。外気12が放吸熱機14に伝熱し、放吸熱機14よりの放吸熱媒体が放吸熱媒体ポンプ16により冷温熱発生機18に供給される。冷温熱発生機18からの冷温熱媒体は冷温熱媒体ポンプ20により空調機22に供給される。空調機22からの空調風はファン24により建屋26に供給される。
次に、図1の空調設備10を使用した本発明に係る空調設備の制御方法(図2で説明)を説明する前に、空調設備10における設定すべき各パラメータと運転コストとの関係を説明する。
図3〜図5は、この関係を示すグラフであり、グラフaは、放吸熱機14よりの放吸熱媒体温度を変化させたときの総合運転コスト及び他の2つのパラメータに及ぼす影響を示したグラフであり、グラフbは、放吸熱機14よりの放吸熱媒体流量を変化させたときの総合運転コスト及び他の3つのパラメータに及ぼす影響を示したグラフである。また、グラフcは、グラフaとグラフbを同時に検討するため横軸を負荷にしたグラフである。放吸熱機14のみで総合運転コストが最小となるようにしたときの負荷に対する総合運転コストはグラフaで示される。さらに、放吸熱媒体ポンプ16の流量変化も合わせると総合運転コストは、グラフcに示すようにグラフa+グラフbとなる。なお、従来の制御では、放吸熱機14又は放吸熱媒体ポンプ16は許容値以内で運転するように個々に制御するため、総合運転コストは、グラフcにおいて点線で示すように高くなる。
グラフdは、冷温熱発生機18からの冷温熱媒体温度を変化させたときの総合運転コスト及び他の2つのパラメータに及ぼす影響を示したグラフであり、グラフeは、冷温熱発生機18からの冷温熱媒体流量を変化させたときの総合運転コスト及び他の2つのパラメータに及ぼす影響を示したグラフである。
グラフfは、空調機22からの空調風温度(送風温度)を変化させたときの総合運転コスト及び他の2つのパラメータに及ぼす影響を示したグラフであり、グラフgは、空調機22からの送風量を変化させたときの総合運転コスト及び他の2つのパラメータに及ぼす影響を示したグラフである。グラフhは、冷温熱発生機18からの冷温熱媒体温度を変化させたときの総合運転コスト及び他の全て(5種類)のパラメータに及ぼす影響を示したグラフである。
各グラフにおいて、変化させるパラメータ以外のパラメータは、設定された空調条件を充たすために必然的に大なり小なり従属的に変化することとなる。その結果、各パラメータの合算値である総合運転コストも変化することとなる。たとえば、グラフbを例にとれば、放吸熱媒体流量を増大させるにつれ、放吸熱媒体ポンプ負荷は徐々に増大し、冷温熱発生機負荷は徐々に減少する。放吸熱機の負荷はほとんど変化がない。合算値である総合運転コストは、放吸熱媒体流量の約50%の所に極小値をとることとなる。
グラフhは、冷熱媒体温度を横軸として、総合運転コストが最少となる点があることを示したグラフである。横軸はこの他にも放吸熱媒体温度、放吸熱媒体流量、送風温度、送風量にして整理することができる。すなわち、この6種類のパラメータを考え合わせた総合運転コストの極小値が存在する。
グラフiは、これらの6種類のパラメータを同時に検討するために横軸を負荷にしたグラフである。グラフcに、冷温熱発生機18の温度制御も合わせると総合運転コストはa+b+cとなる。さらに、冷温熱媒体ポンプの流量制御も合わせると総合運転コストはa+b+c+dとなる。さらに、空調機の送風制御も合わせると総合運転コストはa+b+c+d+eとなる。なお、従来の制御では、各機器に個々に制御されるため総合運転コストはグラフiの点線で示すようになり、本発明の制御よりも高くなる。
したがって、それら全体が最終的に求めるシステム全体の極小値であり、その条件を設定値とすることにより、最適化された運転が可能となる。
図3〜図5の各グラフの関係は、図1の空調設備10を使用して実測した結果をプロットしたものであるが、同様の関係となるようなソフトウェアをプログラミングしてコンピュータの記録媒体に保存しておき、これを使用して制御することもできる。この場合、たとえば、空調設備10の各ユニットの配管条件が変更されたり、空調機22の設置台数が変更されたり、各ユニットの仕様が変更されたりする場合に、実際に工事をする前にシミュレーションが行なえる等の利用もでき、便宜である。
図3〜図5の各グラフを比較して解るように、1つのパラメータを変化させると他のパラメータ及び総合運転コストが変化する。したがって、あるグラフにおける総合運転コストが極小値をとる値に該当する、変化させるパラメータを、他のグラフの関係に適用しても、それが他のグラフにおいて最適値となる訳ではない。本発明に係る空調設備の制御方法は、以上の相互関係を前提としつつ、以下に説明するように、簡易かつ迅速に空調設備の効率的な運転が可能となる制御方法を提供するものである。
図2は、図1に示される空調設備10の制御方法を示すフロー図である。建屋26の室内条件が温度計の乾球、湿球等により計測される(ステップS1)。また、外気の条件も温度計の乾球、湿球等により計測される(ステップS2)。これらの測定結果より、それぞれの相対湿度、エンタルピーが算出される(ステップS3)。次いで、建屋26の給気温度、室内温度、給気量より室内負荷が算出される(ステップS4)。
次に、空調機の送風温度(給気温度)を変化させるパラメータとして、空調機の送風流量が算出される(ステップS5)(A)。そして、空調機の配管条件(空調ダクト系)の入力が促され(ステップS6)、この入力値と相俟って、ファン24の動力が算出される(ステップS7、S8)。
次に、冷温熱発生機18の冷温熱媒体流量・往温度を変化させるパラメータとして、コイルシミュレータより先のAを満足させる冷温熱発生機の冷温熱媒体流量と冷温熱発生機の冷温熱媒体温度(入口温度)が算出される(ステップS9)(B)。そして、冷温熱発生機の配管条件(冷温熱媒体配管系)の入力が促され(ステップS10)、この入力値と相俟って、冷温熱媒体流量及び冷温熱媒体ポンプ20のポンプ動力が算出される(ステップS11、S12)。
次に、放吸熱機14よりの放吸熱媒体流量・往温度を変化させるパラメータとして、放吸熱機・冷温熱発生機シミュレータにより先のBを満足させる冷温熱発生機18の動力とファン24の動力とが算出される(ステップS13)(C)。そして、放吸熱機14の配管条件(放吸熱媒体配管系)の入力が促され(ステップS14)、この入力値と相俟って、放吸熱機14よりの放吸熱媒体流量、放吸熱機14のファン動力、放吸熱媒体ポンプ16のポンプ動力及び冷温熱発生機18の動力が算出される(ステップS15、S16)。
以上の結果が総合され、各ユニットにおける機器の動力の合計が最小となる入力パラメータの数値が決定される(ステップS17)。すなわち、空調消費エネルギーが最小となるときの空調機22の給気温度(送風温度)、冷温熱発生機18の冷温熱媒体流量・往温度及び放吸熱機14よりの放吸熱媒体流量・往温度が算出される(ステップS18)。次いで、この入力パラメータが制御の設定値として制御手段に入力される(ステップS19)。
以上のフローで求められた空調設備全体の消費動力が最低となるように運転される。運転を続けていると、状態が変化するので、ステップS1の上流側に戻って、次の最適化された設定値を求める(図の3)参照)。このようなループを経て、常に最適化された運転が行なわれる。
以上の説明は、空調設備10の消費エネルギ量が最低となるように構成された制御方法を示すフローに関するものであるが、同様の構成を採用することにより、空調設備10の運転コストが最低となるようなフロー、又は、空調設備10の排出二酸化炭素量が最低となるようなフローを構成することは可能である。
また、以上に説明した図1、図2の構成は、空調機22の送風温度、冷温熱発生機18の冷温熱媒体温度(出口温度)及び放吸熱機14よりの放吸熱媒体温度(冷温熱発生機18の冷温熱媒体入口温度)の3つのパラメータを変化させる構成であるが、請求項2に係る発明のように、さらに冷温熱発生機18の冷温熱媒体流量及び放吸熱機14よりの放吸熱媒体流量の設定値を最適化する構成、さらには空調機22の送風流量の設定値を最適化する構成も採用できる。この場合、変化させるパラメータは2つ又は3つ増加することになる。したがって、算出精度が向上する反面、制御手段に用いられるメモリの増大、処理速度の増加を招くことはあり得る。
図2に示される構成のフローによる制御の頻度は、建屋26の容積、周辺環境、空調設備10の仕様(定格)等に応じて適宜の時間毎(たとえば、20分毎)とすればよい。また、季節に応じて制御の頻度を変化させることも採用できる。また、変化させる3つパラメータのうち、各パラメータによる制御の頻度を変えてもよい。たとえば、空調設備10の消費動力に与える影響の大きいパラメータによる制御の頻度を10分毎とし、空調設備10の消費動力に与える影響の小さいパラメータによる制御の頻度を60分毎とし、他の1つのパラメータによる制御の頻度を30分毎とすることもできる。このように制御することにより、過剰な制御によるハンチング等が防止できる。
図1に示される空調設備10の各ブロック(放吸熱機14〜建屋26)の個別の制御は、市販の各ブロック(たとえば、空調機22)に装備されている個別(ローカル)の制御手段で行なうとともに、全体のバランスの制御を空調設備10の各ブロックに接続されている全体制御手段(図示略)で行なってもよく、また、空調設備10の各ブロック毎の個別(ローカル)の制御をも空調設備10の各ブロックに接続されている全体制御手段(図示略)で行なってもよい。
図6は、本発明が適用される空調設備の他の構成を示すブロック図であり、複数台(L台)の冷温熱発生機と複数台(m台)の空調機が採用されている。なお、同図において放吸熱機の図示は省略されている。同図において、検出又は制御可能なパラメータPar. が列挙されている。既述の、エネルギ最小値算出用パラメータ(最下段の枠内)以外にこれらのパラメータPar. のいくつかをさらに採用することも可能である。
ただし、パラメータPar. の内いくつかをさらに採用することにより、算出精度が向上する反面、制御手段に用いられるメモリの増大、処理速度の増加を招くことはあり得る。
以上、本発明に係る空調設備の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、空調設備10の冷温熱発生機18は、各種の冷温熱発生機(たとえば、ターボ冷温熱発生機、吸収冷温熱発生機、等)のみならず、空冷チラー、水冷チラー等、各種の冷却手段が採用できる。
図7は、第2の実施の形態の空調設備50の構成を示すブロック図であり、図1に示した空調設備10と同一又は類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。また、空調設備10に対する空調設備50の異なる構成は、冷温熱負荷が小さい時間帯に冷温熱を貯蔵する蓄熱層52を設けた点である。空調設備50を統括制御する中央監視装置54は、空調設備50を構成する機器の発生温度や熱媒体の輸送流量を最適値に制御する。
すなわち、中央監視装置54は、放吸熱機14の温度制御装置56、放吸熱媒体ポンプ16の流量制御装置58、冷温熱発生機18の温度制御装置60、冷温熱媒体ポンプ20の流量制御装置62、蓄熱層52に冷温熱媒体を供給する冷温熱媒体ポンプ64の流量制御装置66、及び建屋26の温湿度に基づいて空調機22とファン24との温度流量制御装置68を、それぞれの制御装置から出力されるデータ、及び蓄熱層52の温度計測装置70から出力されるデータに基づいて空調設備50の消費動力、運転コスト又は排出二酸化炭素量のうち少なくとも1つが低くなるように、空調機22の送風温度、冷温熱発生機18の冷温熱媒体温度及び放吸熱機14よりの放吸熱媒体温度の設定値を最適化する。
また、中央監視装置54は、データ収録装置72及び評価関数生成入力装置74から入力されたデータに基づいて最適設定値を演算する最適値演算装置76を有する。また、中央監視装置54は最適値演算装置76で演算された最適値を最適設定値79より各制御装置へ送る機能を有する。なお、これらの演算結果運転状況は運転状態演算結果出力表示装置78に表示される。
すなわち、中央監視装置54は、図8のフローチャートの如く空調設備50全体を制御する。中央監視装置54に運転状態データを入力(ステップS30)するとともに、運転条件範囲を入力(ステップS31)し、且つ評価関数設定値を入力(ステップS32)する。中央監視装置54は、これらの入力データと各機器のシミュレーションモデルが記憶されているデータテーブルに基づいて、評価関数を最小化する演算を行い(ステップS33)、評価関数が最小化されるまでデータテーブルの書き替えを実施し、そして、評価関数が最小化されると(ステップS34)、各機器の制御値を各制御装置に出力(ステップS35)する。
詳細を説明すると、中央監視装置54は、空調設備50全体の運転を管理する空調設備運転シミュレータ、又は/及び空調設備運転データテーブルを内蔵し、各計測機器や制御装置により採取されたリアルタイム運転データを基に、予め定められた温湿度などの空調条件範囲、或いは、電力、燃料、用水などのエネルギ消費条件範囲、又は、優先順位を定めてこの両条件を複合させて設定される条件範囲を充たす種々の条件設定許容領域内において、空調設備50全体の消費エネルギ、エネルギコスト、又は、換算二酸化炭素排出量、或いは、それら2項目以上を組み合わせた指標を最小とする、空調設備50を構成する各機器の最適動作温度、又は/及び最適流量、又は/及び冷温熱発生機18の最適運転台数を演算する。また、制御装置群にその最適値を制御設定値として出力し、制御装置群は、この制御設定値に基づいて制御信号を発生させるとともに、この制御信号を空調設備50を構成する各機器、或いは、該制御装置自身に出力し、空調設備50を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。
また、中央監視装置54は、前記優先順位、或いは、前記最小とする指標を外部より入力する評価関数生成入力装置74を有し、この評価関数生成入力装置74及び前記種々の条件設定許容領域に基づいて前記最小化演算、前記最適制御値の発生、及び前記空調設備を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。
さらに、中央監視装置54は、空調機22の送風温度、冷温熱発生機18の冷温熱媒体温度、及び放吸熱機14よりの放吸熱媒体温度の制御設定値を、前記制御装置56、60、68に出力し、それに基づいて空調設備10を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。
また、中央監視装置54は、空調機22の送風温度、冷温熱発生機18の冷温熱媒体温度、及び冷温熱媒体流量、放吸熱機14よりの放吸熱媒体温度、及び放吸熱媒体流量の制御設定値を、制御装置56、60、68に出力し、それに基づいて空調設備50を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。
一方、冷温熱発生機18として、ボイラを例示することができる。この場合にも中央監視装置54は、空調機22の送風温度、前記ボイラの温水温度及び/又は温水流量の制御設定値を制御装置60、68に出力し、それに基づいて空調設備50を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。
冷温熱発生機18が空冷式冷温熱発生機/ヒートポンプであり、放吸熱機14が空冷式冷温熱発生機/ヒートポンプに内蔵された空冷熱交換器及びファンであって、空調機22の送風温度、及び前記冷温熱発生機の冷温熱媒体温度、及び/又は前記ファンの風量の制御設定値を、中央監視装置54が制御装置群に出力し、それに基づいて空調設備50を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。
また、冷温熱発生機が空冷式冷温熱発生機/ヒートポンプであり、前記放熱機が該空冷式冷温熱発生機/ヒートポンプに内蔵された空冷熱交換器及びファンであって、空調機22の送風温度、及び前記冷温熱発生機の冷温熱媒体温度、及び冷温熱媒体流量、及び/又は前記ファンの風量の制御設定値を、中央監視装置54が制御装置群に出力し、それに基づいて空調設備50を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。
図8に示す空調設備運転データテーブルは、前記実質的に同時に制御される機器群に与えられる制御パラメータの全ての動作領域において、空調設備50全体の消費エネルギ量、運転コスト、又は、換算二酸化炭素排出量が記載されたテーブルである。
また、空調設備運転データテーブルは、外気温湿度及び空調負荷の組み合わせにおいて、前記予め定められた種々の条件設定許容領域内で前記最適制御値となり得る制御値の範囲を記載した複数のテーブルであって、前記各計測機器及び制御装置により採取されたリアルタイム運転データにより、このテーブルの一つを検索し、テーブルに記載された制御値の範囲内で空調設備運転シミュレータにより前記最適制御値の演算を行う。
また、中央監視装置54は、空調設備50全体の運転を管理する空調設備運転シミュレータ、又は/及び空調設備運転データテーブルを内蔵し、各計測機器及び制御装置により採取されたリアルタイム運転データを基に、予め定められた温湿度などの空調条件範囲、或いは、電力、燃料、用水などのエネルギ消費条件範囲、又は、優先順位を定めてこの両条件を複合させて設定される条件範囲を充たす種々の条件設定許容領域内において、空調設備50全体の消費エネルギ量、運転コスト、又は、換算二酸化炭素排出量、或いは、それら2項目以上を組み合わせた指標を最小とする、空調設備50を構成する各機器の最適動作温度、又は/及び最適流量、又は/及び冷温熱発生機18の最適運転台数を演算するとともに、制御装置群にその最適値を制御設定値として出力し、これらの制御装置群は、制御設定値に基づいて制御信号を発生させるとともに、制御信号を空調設備50を構成する各機器、或いは、制御装置自身に出力し、空調設備50を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。
さらに、蓄熱層52を有する空調設備50において、中央監視装置54は、空調設備50全体の運転を管理する空調設備運転シミュレータ、又は/及び空調設備運転データテーブルを内蔵し、各計測機器及び制御装置により採取されたリアルタイム運転データを基に、予め定められた温湿度などの空調条件範囲、或いは、電力、燃料、用水などのエネルギ消費条件範囲、又は、優先順位を定めてこの両条件を複合させて設定される条件範囲を充たす種々の条件設定許容領域内において、空調設備50全体の消費エネルギ量、運転コスト、又は、換算二酸化炭素排出量、或いは、それら2項目以上を組み合わせた指標を最小とする、空調設備50を構成する各機器の最適動作温度、又は/及び最適流量、又は/及び冷温熱発生機18の最適運転台数を演算するとともに、制御装置群にその最適値を制御設定値として出力し、制御装置群は、制御設定値に基づいて制御信号を発生させるとともに、制御信号を空調設備50を構成する各機器、或いは、制御装置自身に出力し、空調設備50を構成する少なくとも2つ以上の機器を実質的に同時に制御する。
また、中央監視装置54は、前記優先順位、或いは、前記最小とする指標を外部より入力する評価関数生成装置74を有している。
さらに、中央監視装置54は、空調設備50全体の消費エネルギ量、又は/及び、運転コスト、又は/及び、換算二酸化炭素排出量の瞬時値、又は/及び、積算値を外部に出力、又は/及び、表示する運転状態演算結果出力表示装置78を有している。
以上のように中央監視装置54が、空調設備50を構成する各機器を制御することによって、空調設備50全体の消費エネルギ量、運転コスト又は排出二酸化炭素量を削減できる。
図9は、本発明の第3の実施形態例の空調設備を示す構成図である。図9の空調設備100は、放吸熱機111、放吸熱媒体ポンプ112、吸収式冷温熱発生機114、冷温熱媒体ポンプ116、冷温熱媒体往ヘッダ117、冷温熱媒体還ヘッダ118、空気調和機119a、119bを備えたセントラル空調方式の空調設備である。
まず、冷温熱媒体生産側の設備の詳細な構成について説明する。
放吸熱機111の風量を変化させるために、放吸熱機111のファンにはインバータ131が接続されている。放吸熱媒体の流量を変化させるために、放吸熱媒体ポンプ112にはインバータ132が接続されている。冷温熱媒体の流量を変化させるために、冷温熱媒体ポンプ116にはインバータ133が接続されている。吸収式冷温熱発生機114は、外部の指令によって冷温熱媒体出口温度の制御目標値を変化させることが可能な吸収式冷温熱発生機である。また吸収式冷温熱発生機114は、放吸熱媒体、冷温熱媒体ともに定格流量の1/2まで流量を小さくできる仕様の吸収冷温熱発生機である。
放吸熱媒体配管には、放吸熱媒体流量を計る流量センサ161と、吸収式冷温熱発生機114の放吸熱媒体入口温度を計測する温度センサ141、吸収式冷温熱発生機114の放吸熱媒体出口温度を計測する温度センサ142が接続されている。冷温熱媒体一次配管には、吸収式冷温熱発生機114の冷温熱媒体入口温度を計測する温度センサ143、吸収式冷温熱発生機114の冷温熱媒体出口温度を計測する温度センサ144が接続されている。また、屋外の放吸熱機111の付近には、放吸熱機111に流入する外気の温湿度を計測するための温湿度センサ151が設置されている。
次に、負荷側の設備の詳細な構成について説明する。
空気調和機119aは、冷温熱媒体コイル120a 、加湿器121a、ファン122aを備えている。空気調和機119aを通る風量を変化させるために、ファン122aにはインバータ124aが接続されている。
空気調和機119aの外気取込ダクトには、設定した風量の外気が取り込めるようにVAV(Variable Air Volume) ユニット181aが設置されており、取込んだ外気の温湿度を計測する温湿度センサ153aが接続されている。なお、VAVユニット181aには、VAVユニット181aを通過する風量を計測する流量センサと、風量を変化させるためのダンパと、ダンパの開度を計測するダンパ開度センサと、制御手段とを備えており、VAVユニット181aを通過する風量が外部から指令される風量目標値になるようにPID制御される。また、他のVAVユニット182a、183a、181b、182b、183bも同様の構成となっている。
部屋125a内の空気を吸込む内気吸込ダクトには、内気吸込ダクトに吸込まれた空気の流量を計測する流量センサ162aと温湿度を計測する温湿度センサ154aが接続されている。吹出しダクトには、空気調和機119aから出る吹出し空気の温湿度を計測する温湿度センサ155aが接続されている。吹出しダクトの各吹出し口には、各吹出し口から吹出される空気の風量が制御されるようにVAVユニット182a、183aが設置されている。
各吹出し口の風量は、VAVユニット182a、183aとファン122aのインバータ134aによりVAV制御される。
次に、VAV制御の方法を説明する。
部屋125aには、室内の空気の温湿度を計測する温湿度センサ156aと、部屋125aの室内の温度目標値を設定する温度目標値設定ユニット191aが設置されている。VAVユニット182aでは、部屋125aの温度は、温度目標値設定ユニット191aで設定された部屋125aの室内の温度目標値と、温湿度センサ156aで計測された部屋125aの室内空気の温度と、温湿度センサ155aで計測された吹出しダクト内の空気温度を基に部屋125aへの吹出し風量目標値がPID制御により演算されて、さらに、その吹出し風量目標値になるようにVAVユニット181a内のダンパがPID制御される。また、部屋126a、127aも、部屋125aと同様の構成となっており、それぞれの部屋の温度が制御される。
ファン122aのインバータ134aの周波数は、吹出し風量目標値にした時に最も圧力損失の大きい吹出しダクト経路の吹出し口に設置されているVAVユニットのダンパを全開として、そのVAVユニットの吹出し風量が吹出し風量目標値となるようにPID制御される。
次に、吹出し風量目標値にした時に最も圧力損失の大きい吹出しダクト経路を求める方法を説明する。図12は、ダクト経路を示した図である。(数1)〜(数3)は、風量を吹出し風量目標値、VAVユニットのダンパを全開にした時の各吹出しダクト経路の圧力損失を示す。吹出し風量目標値にした時に最も圧力損失の大きい吹出しダクト経路は、(数1)〜(数3)により求めた圧力損失が最も大きくなる経路であり、それに対応するVAVユニットのダンパが全開とされる。なお、(数1)〜(数3)ではダクトの抵抗係数が必要となるが、ダクトの抵抗係数を同定する方法については後述する。また、空気調和器119b系統のVAV制御も同様である。
Figure 2005134110
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冷温熱媒体流量は、VWV(Variable Water Volume) ユニット171、172a、172bと冷温熱媒体ポンプ116のインバータ133によりVWV制御される。
次に、VWV制御の方法について説明する。
空気調和機119aの吹出し温度は、VWVユニット172aにより制御される冷温熱媒体コイル120aに流入する冷温熱媒体流量により制御される。VWVユニット172aは、VWVユニットを流れる冷温熱媒体の流量を計測する流量センサと、VWVユニットを流れる冷温熱媒体の流量を調節する流量調節バルブと、流量調節バルブの開度を計測する開度センサと、制御手段を備えている。なお、他のVWVユニット171、172bも同様の構成である。VWVユニット171では外部から与えられる吹出し温度目標値と、温湿度センサ155aで計測された吹出し温度の計測値を基に冷温熱媒体流量の目標値が演算され、冷温熱媒体流量の目標値とVWVユニット172a内の流量センサの計測値を基にVWVユニット172a内の流量調バルブがPID制御される。なお、部屋125b、126b、127bの空調を行う空気調和機119bの系統も、部屋125a、126a、127aの空調を行う空気調和機119aの系統と同様の構成となっており、同様の方法で制御される。
VWVユニット171は、吸収式冷温熱発生機114を流れる冷温熱媒体流量が定格流量の1/2より小さくならないように制御するVWVユニットである。VWVユニット172aとVWVユニット172bで計測された冷温熱媒体の流量の合計が、吸収式冷温熱発生機114の冷温熱媒体流量の定格流量の1/2以上の場合は、VWVユニット171の流量調節バルブは全閉となり、VWVユニット172aとVWVユニット172bで計測された冷温熱媒体の流量の合計が、吸収式冷温熱発生機14の冷温熱媒体流量の定格流量の1/2より小さい場合は、VWVユニット171とVWVユニット172aとVWVユニット172bで計測された冷温熱媒体の流量の合計が吸収式冷温熱発生機114の冷温熱媒体流量の定格流量の1/2になるようにVWVユニット171の流量調節バルブは制御される。
冷温熱媒体ポンプ116のインバータ133の周波数は、冷温熱媒体流量目標値にした時に最も圧力損失の大きい配管経路に設置されているVWVユニットの流量調整バルブを全開として、そのVWVユニットの冷温熱媒体流量が冷温熱媒体流量目標値となるようにPID制御される。
次に、冷温熱媒体流量目標値にした時に最も損失ヘッドの大きい配管経路を求める方法を説明する。図13は、配管経路を示した図である。(数4)は、冷温熱媒体流量を冷温熱媒体流量目標値、VWVユニットの流量調整バルブを全開にした時の各配管経路の圧力損失である。
冷温熱媒体流量目標値にした時に最も損失ヘッドの大きい配管経路は、(数4)により求めた圧力損失が最も大きくなる経路であり、それに対応するVWVユニットの流量調整バルブが全開とされる。なお、(数4)では冷温熱媒体の流れる流路の抵抗係数が必要となるが、冷温熱媒体の流れる流路の抵抗係数を同定する方法については後述する。
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次に、空調設備の通信ネットワークについて図9を参照して説明する。
吸収式冷温熱発生機114、インバータ131、132、133、134a、134b、温度センサ141、142、143、144、温湿度センサ151、153a、153b、154a、154b、155a、155b、156a、156b、157a、157b、流量センサ61、62a、62b、圧力センサ65、VWVユニット171、172a、172b、VAVユニット181a、181b、182a、182b、183a、183b、温度目標値設定ユニット91a、91b、最適計算用計算機101、及び監視制御装置102は、通信手段を備えている。
吸収式冷温熱発生機114、インバータ131、132、133、134a、134b、温度センサ141、142、143、144、温湿度センサ151、153a、153b、154a、154b、155a、155b、156a、156b、157a、157b、流量センサ61、62a、62b、圧力センサ65、VWVユニット171、172a、172b、VAVユニット181a、181b、182a、182b、183a、183b、温度目標値設定ユニット91a、91b、最適計算用計算機101、及び監視制御装置102は、通信ネットワーク3に接続されており、通信ネットワーク103を介してデータの送受信が行える。
次に、最適計算用計算機101の詳細を説明する。
図10は、最適計算用計算機101の構成を示した図である。最適計算用計算機101は、通信ネットワーク103に接続されている機器と通信を行う通信手段201と、空調設備のシミュレーションに用いる空調機器の特性データや、配管、ダクトの抵抗係数等のシミュレーションに必要なシミュレーションパラメータ等が記憶されている機器特性データベース204と、機器特性データベース204のデータを用いて空調設備のシミュレーションを行う空調設備シミュレータ203と、空調設備シミュレータ203を用いて空調設備の最適制御目標値を計算する最適化手段202と、センサの計測データを用いて配管、ダクトの抵抗係数等のシミュレーションパラメータを同定するパラメータ同定手段205から構成される。
最適計算用計算機101は、温湿度センサ151、153a、153b、154a、154b、155a、155bで計測された温湿度と、流量センサ62a、62bで計測された流量と、VAVユニット182a、182b、183a、183bで計測された流量を通信ネットワーク103を介して受信して、空調設備全体の消費エネルギ量、運転コストあるいは排出二酸化炭素量を最小とする放吸熱媒体温度制御目標値、放吸熱媒体流量制御目標値、冷温熱媒体温度制御目標値、空気調和機吹出し温度制御目標値を計算する。以下では空調設備全体の消費エネルギ量、運転コストあるいは排出二酸化炭素量を最小とする放吸熱媒体温度制御目標値、放吸熱媒体流量制御目標値、冷温熱媒体温度制御目標値、空気調和機吹出し温度制御目標値の組合せを、最適制御目標値と呼ぶ。
最適計算用計算機101は、放吸熱機111、放吸熱媒体ポンプ112、吸収式冷温熱発生機114、冷温熱媒体ポンプ115、空気調和機119a、119b、VWV制御、VAV制御等のシミュレーションモデルが記述された空調設備シミュレータ203と、放吸熱機111、放吸熱媒体ポンプ112、吸収式冷温熱発生機114、冷温熱媒体ポンプ115、空気調和機119a、119b、機器特性データと、VWV制御、VAV制御等の制御パラメータと、配管、ダクトの抵抗係数等のシミュレーションに必要なシミュレーションパラメータ等が記憶されている機器特性データベース204を備えている。
この空調設備シミュレータ203は、温度センサ、湿度センサの計測値と放吸熱媒体温度の制御目標値、放吸熱媒体流量の制御目標値、冷温熱媒体温度の制御目標値、空気調和機の吹出し温度の制御目標値を入力すると、機器特性データベース204のデータとシミュレーションモデルを用いて全体の評価関数を計算する。ここでは、評価関数を運転コストとして説明する。
空調設備シミュレータ203のシミュレーションモデルとしては、放吸熱機111、放吸熱媒体ポンプ112、吸収式冷温熱発生機114、冷温熱媒体ポンプ115、空気調和機119a、119b、VWV制御、VAV制御等のシミュレーションモデルが、それぞれ機器ごとにモジュール化されプログラムとして構築されている。例えば、放吸熱機111のエンタルピ差基準総括体積熱伝達率を用いた理論に基づいて放吸熱機111の放吸熱媒体出口の放吸熱媒体温度及び消費電力等を計算するプログラム、放吸熱媒体ポンプ112、冷温熱媒体ポンプ116の特性曲線と配管の抵抗係数から放吸熱媒体ポンプ112、冷温熱媒体ポンプ116の吐出流量及び消費電力を計算するプログラム、吸収式冷温熱発生機114のサイクルシミュレーションにより吸収式冷温熱発生機114の放吸熱媒体出口の温度及びガス消費量等を計算するプログラム、空気調和機119a、119bの冷温熱媒体コイル120a、120bで必要となる冷温熱媒体流量及び冷温熱媒体コイル120a、120bの冷温熱媒体出口の冷温熱媒体温度及びファン122aで消費電力等を計算するプログラム、VWV制御時の配管の圧力損失を計算するプログラム、VAV制御時のダクトの圧力損失を計算するプログラム等がモジュール化されたプログラムとして構築されている。
空調設備シミュレータ203のプログラムでは、温度センサ、湿度センサの計測値と放吸熱媒体温度の制御目標値、放吸熱媒体流量の制御目標値、冷温熱媒体温度の制御目標値、空気調和機の吹出し温度の制御目標値を入力すると、吸収式冷温熱発生機114のガス消費量、及び、ファン122a、122b、インバータ134a、134b、冷温熱媒体ポンプ116、インバータ133、放吸熱媒体ポンプ112、インバータ132、放吸熱機111のファン、インバータ131で消費される消費電力を計算する。そして、ガス消費量及び消費電力の合計を計算して、ガス単価、電力単価を用いてガス料金、電力料金を計算し、ガス料金、電力料金を合計して評価関数である運転コストを計算する。
最適化手段202は、空調設備シミュレータ203を用いて、評価関数である運転コストを最小とする放吸熱媒体温度の制御目標値、放吸熱媒体流量の制御目標値、冷温熱媒体温度の制御目標値、空気調和機の吹出し温度の制御目標値を計算する手段である。最適化方法としては、制御目標値を変えて全ての組合せを計算してその中で最も運転コストの小さい制御目標値の組合せを選び出す方法、或いは準ニュートン法、共役勾配法、最急降下法、逐次二次計画法等の最適化手法を利用して最適制御目標値を計算する。
以上では、評価関数を運転コストとして運転コストを最小とする最適値を求めたが、評価関数を他のものに変えることも可能である。例えば、一次エネルギー消費量の原油換算、二酸化炭素排出量等を最小にすることも換算係数の変更で可能である。また、運転コスト、一次エネルギー消費量の原油換算、二酸化炭素排出量等にそれぞれの重み係数をかけて評価関数を作成して、その評価関数を最小とする最適値を求めることも可能である。
次に、パラメータ同定手段205で行なわれる配管抵抗係数、ダクト抵抗係数等のシミュレーションパラメータの同定方法を説明する。配管抵抗係数、ダクト抵抗係数は、配管、ダクトの形状より計算を行うこともできるが、実際の配管抵抗係数、ダクト抵抗係数と少しずれが生じる場合がほとんどである。そのため、配管抵抗係数、ダクト抵抗係数等のシミュレーションパラメータは、センサの計測値により同定する方法を用いる。次にその方法を説明する。
まず、冷温熱媒体ポンプ116の配管の抵抗係数を同定する方法を説明する。図14は、放吸熱媒体配管の配管抵抗曲線を求める方法を説明する説明図である。曲線301は、放吸熱媒体ポンプ112の試験成績書の吐出流量と全揚程の関係を表す曲線(電源は50Hz)である。曲線301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311は、インバータ32の周波数をそれぞれ47.5Hz、45.0Hz、42.5Hz、40.0Hz、37.5Hz、35.0Hz、32.5Hz、30.0Hz、27.5Hz、25.0Hzにした時の放吸熱媒体ポンプの吐出流量と全揚程との関係を表す曲線である。曲線302〜311は、ポンプの流量は電源周波数の一乗に比例し、ポンプの全揚程は電源周波数の二乗に比例するとして50Hzの時の曲線301を基に作成したものである。
まず、インバータ132の周波数を50Hzにして放吸熱媒体ポンプ112を動作させて流量センサ161で放吸熱媒体流量を計測する。そして、曲線301によりその時の全揚程を求める。プロット321は、放吸熱媒体流量の計測値と曲線301により求めた全揚程をプロットしたものである。
次に、インバータ132の周波数を47.5Hzにして放吸熱媒体ポンプ112を動作させて流量センサ161で放吸熱媒体流量を計測し、同様の方法で全揚程を求めてプロット322を得る。同様のことを45.0Hz、42.5Hz、40.0Hz、37.5Hz、35.0Hz、32.5Hz、30.0Hz、27.5Hz、25.0Hzとして、それぞれプロット323、324、325、326、327、328、329、330、331を得る。そして、放吸熱媒体流路の抵抗曲線が二次曲線であるとして最小二乗法により求める。曲線350は、放吸熱媒体流路の抵抗曲線が二次曲線であるとして最小二乗法で求めた放吸熱媒体流路の抵抗曲線である。シミュレーションではこの抵抗曲線を用いる。
次に、冷温熱媒体ポンプ116の配管の抵抗係数を同定する方法を説明する。
(数5)は、冷温熱媒体ポンプ116の吐出流量と全揚程との関係を表した式である。(数5)は、冷温熱媒体ポンプのポンプ成績試験書を利用して近似曲線を最小二乗法により求めたものである。冷温熱媒体ポンプ116の吐出流量、全揚程は、インバータ133の周波数のそれぞれ1乗、二乗に比例するので、インバータ133の周波数を変えた時は、(数6)のようになる。VWVユニットの流量調整バルブを全開にした冷温熱媒体流路に関しては(数7)が成り立つ。ここで、(数7)を(数8)(数9)のように整理する。
流量調整バルブを全開にするVWVユニットの組合せとインバータ133の周波数を変えて、VWVユニット171、172、173の流量計で冷温熱媒体の流量を計測する。そして、そのデータをもとに最小二乗法( (数10)〜(数13)) により冷温熱媒体流路の抵抗係数を求める。
Figure 2005134110
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次に、ダクトの抵抗係数の同定方法を説明する。(数14)は、ファン122aの風量と全圧との関係を表した式である。(数14)は、ファン122aの成績試験書を利用して近似曲線を最小二乗法により求めたものである。ファン122aの風量、全圧は、インバータ134aの周波数のそれぞれ1乗、二乗に比例するので、インバータ134aの周波数を変えた時は、(数15)のようになる。VAVユニットのダンパを全開にしたダクト経路に関しては(数16)〜(数21)が成り立つ。ここで、(数16)〜(数21)を(数22)(数23)のように整理する。
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ダンパを全開にするVAVユニットの組合せとインバータ134aの周波数を変えて、VAVユニット181a、182a、183a、184aの流量計と流量計162aでそれぞれの風量を計測する。そして、そのデータをもとに最小二乗法( (数10)〜(数13)) により各ダクトの抵抗係数を求める。空気調和機119b系統のダクトの抵抗係数も同様にして求める。
このようにセンサの計測値を用いて配管、ダクトの抵抗係数等のシミュレーションパラメータを求めることにより、空調設備シミュレータ203で行われる空調設備のシミュレーションの計算誤差を小さくすることが可能となり、またVAV制御、VWV制御の制御性能を向上させることが可能となる。
次に、冷温熱媒体ポンプのポンプ性能試験書がない場合のパラメータ同定方法について説明する。冷温熱媒体ポンプのポンプ性能試験書がない場合は、ポンプの吐出流量−全揚程特性を(数24)のように適当な関数で近似する。ここでは2次関数としたが、ポンプの吐出流量−全揚程特性を近似できる関数を考えて、それに合った関数を選ぶ。ファンは3次関数、4次関数とする場合もある。インバータ133の周波数を変えた場合は(数25)となる。パラメータを(数26)のように定義すると、VWVユニットの流量調整バルブを全開にした冷温熱媒体流路に関しては(数27)が成り立つ。そして、(数27)を(数28)(数29)のように整理する。
流量調整バルブを全開にするVWVユニットの組合せとインバータ133の周波数を変えて、VWVユニット171、172、173の流量計で冷温熱媒体の流量を計測する。そして、そのデータをもとに最小二乗法( (数10)〜(数13)) により冷温熱媒体流路の抵抗係数を求める。
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性能試験書がない場合の冷温熱媒体ポンプ116の吐出流量−全揚程特性と配管の抵抗係数のパラメータ同定方法について説明したが、放吸熱媒体ポンプ112の吐出流量−全揚程特性と配管の抵抗係数、及び空気調和機119a、119bのファン122a、122bの風量−全圧特性とダクトの抵抗係数のパラメータ同定についても同様に行うことができる。
次に、冷温熱媒体ポンプ116の入口、出口間の差圧を計測する差圧センサを設けた場合について説明する。この場合は(数7)の左辺が、この差圧センサにより計測できるので、この差圧センサの計測値を用いる。この場合、イニシャルコストは大きくなるが、ポンプ性能試験書の試験精度に左右されることがない。またこの場合、ポンプ性能試験書がなくても冷温熱媒体ポンプ16の特性から抵抗係数をすべて分離した形でパラメータを同定することができる(冷温熱媒体ポンプ116のポンプ性能試験書がなく、差圧センサがない場合、(数26)に示した冷温熱媒体ポンプ116の特性の近似関数の係数と配管の抵抗係数を組合せたパラメータBしか同定することができない)。さらに、この構成の場合、冷温熱媒体ポンプ116の吐出流量と全揚程との関係を求めることもできる。
放吸熱媒体ポンプ112の入口、出口間の差圧を計測する差圧センサ、及び、ファン122a、122bの入口、出口間の差圧を計測する差圧センサを設けた場合、放吸熱媒体ポンプ112の配管の抵抗係数、空気調和機119a、119bのファン122a、122bのダクトの抵抗係数のパラメータ同定についても冷温熱媒体ポンプ116の場合と同様に行うことができる。
次に、監視制御装置の詳細について説明する。
図11は、監視制御装置102の構成を示した図である。監視制御装置102では、最適計算用計算機101で計算した最適制御目標値を受け取り、空調設備を制御する。最適計算用計算機101は、計算量が非常に多いことから最適値を計算する時間が長くなる。そのため、外気温度の急激な変化に対応しきれない場合が生じる恐れがある。監視制御装置102は、短い処理周期で処理を行い、急激な外気温度の変化にも対応して空調設備を制御するための監視制御装置である。以下監視制御装置102について詳しく説明する。
監視制御装置102は、通信ネットワーク103に接続された機器と通信を行なう通信手段421と、センサの計測データや機器の運転状況や機器へ指令した制御目標値等を記録する記録手段422と、最適計算用計算機101で計算した最適制御目標値を記憶しておく最適制御目標値記憶手段423と、最適制御目標値記憶手段423に記憶されている最適計算用計算機101で計算された最適制御目標値を参照して、さらにセンサの計測値等により空調機器が冷却負荷を正常に処理しているか等を監視して異常が発生した場合は対策を行って吸収冷温熱発生機114等の機器へ送る最終的な制御目標値を生成する制御目標値生成手段424とを備えている。
制御目標値生成手段424は、最適制御目標値記憶手段423に記憶されている最適計算用計算機101で計算した新しい最適制御目標値を受け取り、現在の制御目標値から新しい制御目標値に急激に変化しないように間を補間して、徐々に制御目標値が変化するように空調設備に制御目標値を送る。
制御目標値生成手段424は、センサの計測値等により空調機器が冷却負荷を正常に処理しているか等を監視して異常が発生した場合は対策を行う。最適計算用計算機101は、少し前の温度、湿度を基に最適な制御目標値を計算しているため、外気の温度、湿度が急激に変化すると放吸熱媒体流量、或いは冷温熱媒体流量、或いは吹出し風量が足りなくなる等の恐れがあることが分かった。このような不具合を防ぐため、制御目標値生成手段424は、最適計算用計算機で計算した最適制御目標値を基準として下記ルールに従って調整することにより、不具合が起こることを防ぐ。
「もし放吸熱媒体出口温度が上限値を越えた場合、放吸熱媒体入口温度目標値を既定値下げ、放吸熱媒体流量を既定値上げる。」、「もし空調機ファン122aのインバータ134aの周波数が最大値になっても風量が足りない場合、吹出し温度目標値を既定値下げる。」、「もし冷温熱媒体ポンプ116のインバータ133の周波数が最大値になっても冷温熱媒体流量が足りない場合、冷温熱媒体温度目標値を既定値下げる。」。制御目標値生成手段424には、このようにIF、THEN形式で、状況と対応策が記述されており、状況変化による不具合に対応することが可能となる。
監視制御装置102では、計算量の多い最適化計算を行っておらず、前述したように簡単なルールにより制御しているため処理周期を短くすることができる。このため急激な状況の変化に対しても迅速に安全に対応することが可能となる。また、急激な状況の変化が起こった場合には、監視制御装置102では最適計算用計算機101で計算した最適制御目標値を中心に負荷状況等の変化に対応して調整しているため、最適制御目標値とまではいかないが、準最適制御目標値で空調設備を制御することが可能となる。
なお、本実施形態では、冷温熱媒体生産側の吸収式冷温熱発生機の系統が1系統、負荷側の空気調和機の系統が2系統であるが、冷温熱媒体生産側、負荷側どちらの系統も系統数で限定されるものではなく、系統数はいくつでもよい。また、吸収式冷温熱発生機114の代わりに、ターボ冷温熱発生機、スクリューチラー等の別方式の冷温熱発生機を用いても、暖房も可能な吸収式放吸熱媒体機を用いてもよい。また、空気調和機119a、119bの代わりにファンコイルユニット、或いはその他の熱交換器にしてもよい。
また、放吸熱媒体ポンプ112、冷温熱媒体ポンプ116、ファン122a、122bの流量を変化させるためにインバータを用いたが、変速機等を用いて回転数を変えて流量を制御してもよい。また、流量調整バルブ、ダンパ或いはVWVユニット、VAVユニットを用いて流量を変化させることもできる。この場合、インバータの場合に比べて運転コストは大きくなるが、イニシャルコストは小さくなる。
本発明が適用される空調設備の構成を示すブロック図 本発明が適用される空調設備の制御方法を示すフロー図 各パラメータと運転コストとの関係を示すグラフ 各パラメータと運転コストとの関係を示すグラフ 各パラメータと運転コストとの関係を示すグラフ 本発明が適用される空調設備の他の構成を示すブロック図 本発明が適用される第2の実施の形態の空調設備を示すブロック図 第2の実施の形態の空調設備の中央監視装置による制御フローチャート 本発明が適用される第3の実施の形態の空調設備を示す構成図 第3の実施の形態の最適計算用計算機の構成を示した図 第3の実施の形態の監視制御装置の構成を示した図 第3の実施の形態のダクト経路を示した図 第3の実施の形態の配管経路を示した図 放吸熱媒体配管の配管抵抗曲線を求める方法を説明する説明図
符号の説明
10、50、100…空調設備、12…外気、14…放吸熱機、16…放吸熱媒体ポンプ、18…冷温熱発生機、20…冷温熱媒体ポンプ、22…空調機、24…ファン、26…建屋、91〜93…温度目標値設定ユニット、101…最適計算用計算機、102…監視制御装置、103…通信ネットワーク、111…放吸熱機、112…放吸熱媒体ポンプ、114…冷温熱発生機、116…冷温熱媒体ポンプ、117…冷温熱媒体往ヘッダ、118…冷温熱発生機、20…冷温熱媒体ポンプ、22…空調機、24…ファン、26…建屋、91〜93…温度目標値設定ユニット、101…最適計算用計算機、102…監視制御装置、103…通信ネットワーク、111…放吸熱機、112…放吸熱媒体ポンプ、114…冷温熱発生機、116…冷温熱媒体ポンプ、117…冷温熱媒体往ヘッダ、118…冷温熱媒体還ヘッダ、119…空気調和機、120…冷温熱媒体コイル、121…加湿器、122…ファン、131〜134…インバータ、141〜144…温度センサ、151〜158…温湿度センサ、161〜162…流量センサ、165…圧力センサ、171〜172…VWVユニット、181〜183…VAVユニット


Claims (4)

  1. 冷温熱媒体を循環供給して空調を行う空調設備において、該空調設備を構成する冷温熱発生機、ポンプ等の機器のシミュレーションモデルを備え、
    シミュレーションにより評価関数を最小或いは最大とする最適制御目標値を決定し、最適制御目標値で空調設備を運転することを特徴とする空調設備。
  2. 冷温熱媒体を循環供給して空調を行う空調設備において、該空調設備を構成する機器の機器特性データが記憶されている機器情報データベースと、該機器情報データベースに記憶されている構成機器の機器特性データから部分負荷における消費電力、燃料消費量を計算し、そして換算係数を用いて評価関数を計算する空調設備シミュレータと、
    該空調設備シミュレータを用いて空調設備の各機器の最適制御目標値を計算する最適化手段を備え、
    前記最適制御目標値により空調設備の各機器を運用することを特徴とする空調設備。
  3. シミュレーションにより評価関数を最小或いは最大とする最適制御目標値を決定する最適計算用計算機と、
    該最適計算用計算機から最適制御目標値を受け取り、空調設備を構成する機器が異常なく動作するように監視制御する監視制御装置とを備えるとともに、
    該監視制御装置の処理周期が、最適計算用計算機の処理周期より短く、且つ、該監視制御装置は、外気の条件、冷却水の温度、冷水の温度等の変化に対応して、最適計算用計算機が決定した最適制御目標値を基準にして、前記機器の運転限界を越えないように制御目標値を調整することを特徴とする請求項1、又は2に記載の空調設備。
  4. 前記空調設備シミュレータによる空調設備シミュレーションに必要なパラメータを、センサの計測値を基に同定して、同定したパラメータを用いて空調設備シミュレーションするとともに、同定するパラメータが配管、ダクトの抵抗係数であることを特徴とする請求項2に記載の空調設備。
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