JP2005133024A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)DSCで求められる融点が125〜166℃であり、かつ曲げ弾性率が50〜1000MPaであるポリプロピレン系樹脂100重量部、及び(b)極性エチレン系共重合体5〜150重量部を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた成形体。
【選択図】なし
Description
一方、従来から用いられてきているポリ塩化ビニル系樹脂からの自動車モール材等の自動車部品用材料においては、最近の環境問題から市場からハロゲンを含まない材料の要求があり、ポリ塩化ビニル系樹脂の特徴である耐傷付き性、優れた表面光沢を有し、金属との親和性に優れるアイオノマー樹脂が注目されている。ところがアイオノマー樹脂のみでは価格的に高価であることから成形品の表皮のみに使用し、ベース材は安価であり、より柔軟な熱可塑性エラストマーを使用する設計を行うことが一般に行われてきている。
ところが、特に、アイオノマー樹脂等との接着性に劣るという問題点を有しその用途拡大の障害となっていた。
また、オレフィン系樹脂シートへの接着性の改良された組成物としてリアクター法により得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーと非ハロゲンの極性ポリマーからなる組成物(例えば、特許文献7参照。)、繊維布帛を含む基布上に形成する接着性に優れる組成物層としてポリプロピレン系樹脂、スチレン系ブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体からなる軟質ポリオレフィン系組成物(例えば、特許文献8参照。)が開示されている。
さらに、ポリオレフィン系樹脂の各種物性を改良した組成物として、ポリオレフィン系樹脂と上記のような極性基を有する樹脂との組成物が開示されている。例えば、ポリプロピレンの発泡シート等の発泡性改良したポリプロピレン、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はアイオノマー、ポリエチレンからなるポリプロピレン系樹脂組成物(例えば、特許文献9参照。)が開示されている。
しかしながら、いずれの組成物も極性基を有するエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等との接着性、熱融着性の改良のためには、アイオノマー樹脂等との類似成分である極性基含有ポリマー等を添加することが必要であり、このような極性基含有ポリマーを少量添加しても効果が充分でなく、多量に配合すると、コストが上昇、硬くなりすぎる、相容性が悪化する等の問題があるうえ、熱可塑性エラストマー組成物の成形性や曲げ弾性率のバランスを自由に調整するのが困難であるという問題を有している。
(b)極性エチレン系共重合体5〜150重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
1.熱可塑性エラストマー組成物の構成成分
(a)(i)DSCで求められる融点が125〜166℃であり、かつ(ii)曲げ弾性率が50〜1000MPaであるポリプロピレン系樹脂
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる(a)ポリプロピレン系樹脂は、成形性を確保する機能を果たす成分である。
成分(a)は、プロピレンの単独重合体又はプロピレンを主成分とするプロピレンと他のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどとの共重合体を挙げることができる。かかる共重合体にあっては、ランダム共重合体、ブロック共重合体でもよく、このような重合体に少量の炭化水素ゴム、例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴムを配合した組成物であっても良い。これらの中では、プロピレンとα−オレフィンとのブロック共重合体であるプロピレン系ブロック共重合体が好ましい。
ここで、非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体部の割合は、プロピレン系ブロック共重合体1gを油浴中のキシレン300ミリリットルに入れ、キシレンの沸点である140℃にて攪拌下で溶解し、1時間経過後、攪拌を続けながら1時間以内に100℃まで降温し急冷用油浴槽に移して攪拌下に23±2℃まで急冷して重合体を析出させ、20分間以上放置して得られる析出物を濾紙で自然濾過し、濾液をエバポレーターを用いて蒸発乾固し、更に120℃で2時間減圧乾燥した後、常温まで放冷してその重量を測定することにより求めることができる。
ここで、非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体部のプロピレン含量は、上記の非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体部の割合を測定する際に得られるキシレン可溶分の重合体について、赤外分光法により求める値である。
ここで、DSCで求められる融点は、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定される融解曲線の最も高い温度側のピークトップの温度であり、試料を250℃に昇温して融解した後、降温速度20℃/分で−30℃まで冷却して5分間保持した後、昇温速度20℃/分で250℃まで昇温したときに得られる吸熱ピーク曲線の主吸熱ピークを示す温度として求める値である。
成分(a)は、結晶性プロピレン系重合体部からなるマトリックス中に非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体、好ましくはエチレン−プロピレン共重合体ゴム、プロピレン・ブテン−1共重合体ゴムが分散した状態で存在する。該分散したゴムの透過型電子顕微鏡で観察した平均粒径は、上限が2μm、好ましくは1.5μmであり、下限は特に制限はないが、好ましくは1.0μmである。該平均粒径が上記上限を超えると、本発明で得られる熱可塑性エラストマー組成物とアイオノマー樹脂との間で充分な融着強度が得られない。
このように本発明で用いるプロピレン系ブロック共重合体は、多段工程で結晶性プロピレン系重合体ブロックと非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体ブロックが製造された共重合体であるので、非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体部分、例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム部分、プロピレン・ブテン−1共重合体ゴム部分が共重合体中に微分散している樹脂である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物で用いる(b)極性エチレン系共重合体は、得られる熱可塑性エラストマー組成物とアイオノマー樹脂との熱融着性改良効果発現機能を果たす成分である。
成分(b)は、エチレン系アイオノマー樹脂、エチレンと式(I)又は(II)で示される極性基含有コモノマーとの共重合体が挙げられる。
CH2=C(R1)−COOR2 …(I)
CH2=C(R1)−OCOR2 …(II)
(式中、R1は水素又はメチル基を表し、R2は水素又は炭素数1〜10個のアルキル基を表す)
α,β−不飽和カルボン酸単位の占める割合及びα,β−不飽和カルボン酸エステル単位の占める割合の含有量が前記上限値を超えると得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、機械特性、成形加工性が低下する。一方、前記下限値未満ではアイオノマー樹脂との熱融着性改良効果が低下する。
ここで、MFRは、JIS K−6924(JIS K−6730は廃止となり移行)(190℃、21.18N)に準拠して測定する値である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、(c)無極性エチレン系重合体を用いることができる。成分(c)は、成形性の改良の機能を果たす成分である。
成分(c)は、ポリエチレン又はエチレンを主体とするエチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等の結晶性ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン多元共重合ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合ゴム、エチレン−1−ブテン共重合ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン多元共重合ゴム等の非晶質又は結晶性の低いエラストマー等を挙げることができる。これらの中から選ばれた1種又は2種以上を好ましく用いることができる。なかでもエチレン−ブテン共重合体が成形性改良効果の点で好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、(d)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物を用いることができる。成分(d)は成形性の改良の機能を果たす成分である。
成分(d)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の共役ジエンブロックにおける共役ジエンに由来する脂肪族二重結合部分を90%以上水素添加した高水添率水素添加物である。例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の共役ジエンブロックを水添率90%以上水添して得られる水添ブロック共重合体を挙げることができる。中でもトリブロック以上のマルチブロックが好ましい。
数平均分子量(Mn)が前記下限値未満であると、耐熱性、耐傷付き性、耐油性が低下する。一方、上限値を超えると、流動性が悪くなり、射出成形ではショートショット、フローマークなどの外観不良が成形品に発生する。また、押出成形では、肌荒れ、目脂などの発生が顕著になる。なお、本発明における分子量はGPCにより、分子量が既知であるポリスチレンを基準として求めた値である。従って、該値は相対的な値であり、絶対値ではなく、更に、基準サンプル、装置、データ処理方法等GPCの各条件により±30%程度のばらつきが有り得る。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、(e)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤を用いることができる。成分(e)は成形性の改良の機能を果たす成分である。
成分(e)として用いられる非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤は、区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。成分(e)としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、(f)無機充填剤を用いることができる。成分(f)は異型押出性改良の機能を果たす成分である。
成分(f)としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、カーボンブラック、ガラス繊維、中空ガラスバルーン、炭素繊維、チタン酸カルシウム繊維、天然けい酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、緑泥石等が挙げられる。これらのうち、タルク、炭酸カルシウムが特に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、発泡剤(有機系、無機系)、難燃剤(水和金属化合物、赤燐、ポリりん酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン)などを配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
発泡剤としては、エクスパンセル(エクスパンセル社製)、マツモトマイクロスフィアー(松本油脂製薬社製)が好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(b)、又は必要に応じてその他の成分を加えて、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて混合することにより製造することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、アイオノマー樹脂等との熱融着性及び/又は複合性に優れ、耐熱性に優れ、適度な硬さがあり、かつウレタン系シーラントとの接着性及び/又は複合性に優れ、さらに押出成形、射出成形など(特に押出成形)の成形加工性に優れる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物と熱融着可能な樹脂としては、好ましくはアイオノマー樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、鹸化エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。その中でも特にアイオノマー樹脂との熱融着性に優れる。
また、自動車用ウインドモールディングにおいては、ガラスとウレタン系シーラント等の両者に接着性を有する部材として用いることができ、モールディングの外部表面に露出する表面部分を強靱で耐傷付き性に優れるアイオノマー樹脂とし、基材である本発明の熱可塑性エラストマー組成物は自動車のボディーと接着するウレタン系シーラントと接着及び/又は複合化することにより従来のエンキャプシュレーションといわれるガラス端部を覆うモール全体にわたってアイオノマー樹脂表皮で覆う必要が無くなるため製品形状及び押出プロセス簡素化の利点がある。積層は、例えば、共押出成形、インサート成形、トランスファー成形を使用して実施することができる。
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを用いて測定を行なった。
(2)硬度:JIS K 7215に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用い、デュロメータ硬さ・タイプAにて測定した。
(3)引張強さ、100%伸び応力、伸び:JIS K 6301に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、3号ダンベル型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(4)アイオノマー融着性:被着体を芯材とした複合成形体(幅25mm×長さ100mm×厚み5mmの短冊状試験片)を用いて180度剥離試験(引張速度200mm/分)を行い芯材/表皮材の融着界面の剥離強度(N/m)を測定した。
なお、結果の「材破」(材料破壊)は極めて両者の接着力が強固なため融着部分で破壊せず芯材あるいは表皮材が破壊した事を表す。
(5)ウレタン系シーラントとの接着性:幅30mm×長さ60mm×厚さ2mmのプレスシートを2枚作成し、その片面にプライマーを塗布する。次にプライマーを塗布したプレスシートを80℃のオーブンに10分間放置する。次にプレスシート1枚のプライマーを塗布した面にウレタン系シーラントを塗布し、もう1枚のプレスシートをプライマーを塗布した面がウレタン系シーラントと接触するように上に載せ、圧着させる。そのとき2枚のプレスシートの間には厚さ7mm×幅30mm×長さ60mmのウレタン系シーラントが隙間無く充填された状態とする。上記のようにして出来た試験片を23℃で1週間放置し、その後上記試験片の2枚のプレスシートに挟まれたウレタン系シーラントの幅側端面に幅30mm×深さ10mmの切り目を入れ、手でプレスシートを持って長手方向に裂き、次の基準で評価を行った。
○:ウレタン系シーラントの材料破壊
×:ウレタン系シーラントとプレスシートの間での界面剥離
なお、ウレタン系シーラントは、サンスター技研株式会社製ペンギンシール#560、プライマーはロードファーイースト株式会社製Chemlok459Xを使用した。
(6)耐熱老化性:JIS K 6251に準拠し、上記2mm厚プレスシートを使用し、3号ダンベル型試験片に打ち抜いて、100℃、168hrs後の引張強さ残率(TS)を測定した。引張速度は500mm/分とした。
(7)押出成形性:50mm×1mmのシートを押出成形し、ドローダウン性、表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
◎:極めて良い(極めて成形条件幅が広く、表面外観重視の製品や複雑な形状にも対応可能)
○:非常に良い(成形条件幅が広く良品が得られる)
Δ:良い(成形条件幅がやや狭いが良品が得られる可能性がある)
×:悪い(良品が得られない)
(8)射出成形性:130mm×130mm×2mmのシートを射出成形し、その外観を目視により観察し、フローマーク、ヒケ発生の有無を次の基準で評価した。
○:良い(成形条件幅が広く良品が得られる)
Δ:やや悪い(成形条件幅が狭いが用途・成形品形状によっては良品が得られる可能性がある)
×:悪い(良品が得られない)
(a)多段重合で合成したプロピレン系ブロック共重合体(R−TPO):Adflex X500F(Cataloyプロセスで重合されたリアクターTPO:サンアロマー社製)、融点:162℃、比重:0.89、曲げ弾性率:470(MPa)、MFR(230℃、21.18N荷重):9dg/分、重量平均分子量:130,000、プロピレン系ブロック共重合体中に占める非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体部の割合:30重量%、非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体部のプロピレン含量:50重量%、平均ゴム分散粒子径:1μm(透過型電子顕微鏡により測定)
比較例において、以下の比較成分(1)〜(4)を成分(a)の代わりに用いた。
比較成分(1):融点125℃未満、曲げ弾性率50MPa未満のPP(非晶性PP):E−1200(イーストマンケミカル社製) 融点:存在しない、Tg:−28℃(ASTM D3236)、Ring Ball Softening Point:135℃(ASTM E28)、(溶融粘度(190℃)=16500mPa・s)
比較成分(2):融点166℃超のPP:ノバテックEA9(日本ポリケム株式会社製) プロピレンホモポリマー、融点:167℃、MFR:0.5dg/分、曲げ弾性率:1200MPa、比重:0.90
比較成分(3):曲げ弾性率1000MPa超のPP:K7010 (チッソ株式会社製)、ポリプロピレンブロック共重合体、融点:163℃、MFR:0.5dg/分、曲げ弾性率:1080MPa、比重:0.90、平均ゴム分散粒子径:1.3μm(透過型電子顕微鏡により測定)
比較成分(4):機械ブレンド系TPO:M4400N(三井化学株式会社製)、融点:160℃、MFR:0.5dg/分、曲げ弾性率:420MPa、比重:0.89、平均ゴム分散粒子径:5.2μm(透過型電子顕微鏡により測定)
(b−1)極性エチレン系共重合体(EVA):エバフレックスEV−270(三井・デュポンポリケミカル(株)製)、MFR(190℃、21.18N荷重):1.0dg/min、VA含有量:28wt%、硬さ:82(ShoreA)、比重:0.95
(b−2)極性エチレン系共重合体(EEA):エバフレックスA−703(三井・デュポンポリケミカル(株)製)、MFR(190℃、21.18N荷重):5dg/min、EA含有量:25wt%、硬さ:77(ShoreA)
(c)無極性エチレン系共重合体(EBR):エスプレンN0441(エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR);住友化学工業株式会社製)MFR:1.3g/10min(190℃)、ブテン含有量:30%
(d)水添ブロック共重合体(SEPS)セプトン4077(商標;クラレ株式会社製)、スチレン含有量:30重量%、イソプレン含有量:70重量%、数平均分子量:260,000、重量平均分子量:320,000、分子量分布:1.23、水素添加率:90%以上
(e)非芳香族系ゴム軟化剤(Oil):ダイアナプロセスオイルPW‐90(出光興産社製)、種類:パラフィン系オイル、重量平均分子量:540、芳香族成分の含有量:0.1%以下、粘度(37.8℃):30.85cSt、粘度(100℃):5.3cSt、流動点−15℃、引火点270℃
(f)無機充填剤(タルク):ハイフィラー17(松村産業株式会社製)
(g)酸化防止剤(Antioxidant):ヒンダードフェノール/フォスファイト/ラクトン系複合酸化防止剤:HP2215(商標;チバスペシャリティケミカルズ社製)
表1及び表2に示す成分比で、L/Dが47の二軸押出機に投入して、混練温度180℃、スクリュー回転数350rpmで溶融混練をして、ペレット化した。次に、得られたペレットを射出成形して試験片を作成し、夫々の試験に供した。評価結果を表1及び表2に示す
実施例2と3を比較した場合、押出成形性と接着性のバランスが(b−1)を使用した実施例2の方がより良好であった。
表2の比較例1及び2は、(b)成分の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(b)が下限未満の場合、接着力が低下する。成分(b)が上限を超えると、機械特性、成形加工性、耐熱性(加熱変形性:JIS K 6723に準拠(120℃、1000g、1時間))が低下する。
比較例3は、(a)成分の多段重合法で合成されたポリプロピレン系樹脂の代わりに、融点が本発明の範囲の下限未満であり、かつ曲げ弾性率の下限未満非晶性ポリプロピレンを用いたものであり、機械特性、アイオノマー樹脂との熱融着性、成形加工性が劣った。
比較例4は、(a)成分の多段重合法で合成されたポリプロピレン系樹脂の代わりに、本発明の範囲上限を超えた融点のポリプロピレンを用いたものであり、アイオノマー樹脂との熱融着性が劣った。
比較例5は、(a)成分の多段重合法で合成されたポリプロピレン系樹脂の代わりに、本発明の範囲の上限を超えた曲げ弾性率のポリプロピレンを用いたものであり、アイオノマー樹脂との熱融着性が劣った。
比較例6は、(a)成分の多段重合法で合成されたポリプロピレン系樹脂の代わりに、動的架橋による熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーを用いたものであり、アイオノマー樹脂との熱融着性が劣った。
Claims (15)
- (a)(i)DSCで求められる融点が125〜166℃であり、かつ(ii)曲げ弾性率が50〜1000MPaであるポリプロピレン系樹脂100重量部、及び
(b)極性エチレン系共重合体5〜150重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 - 成分(a)が結晶性プロピレン系重合体部と非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体部からなる多段重合法で合成されたプロピレン系ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 成分(a)中の非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体が、平均粒径が2μm以下であるゴム成分であることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- (b)極性エチレン系共重合体の極性基含有コモノマー含有量が10〜55重量%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- (b)極性エチレン系共重合体がエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1〜4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、(c)無極性エチレン系共重合体1〜80重量部を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、(d)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物1〜150重量部を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、(e)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤1〜80重量部を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる押出成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるウレタン系シーラントとの複合成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるアイオノマー樹脂との複合成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
- 成形品がアイオノマー樹脂と複合及び/又は接着部分を持ち、かつウレタン系シーラントと接着部分及び/又は複合部分を持つことを特徴とする請求項12に記載の成形品。
- 押出成形により成形されたことを特徴とする請求項12又は13に記載の成形品。
- 自動車用ウインドーモールに使用されることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の成形品。
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