JP2005125275A - ディーゼル排ガス処理装置および処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 脱硝触媒を被毒させることなく、排ガス中のPM、NOxおよびSO3 を効果的に除去してこれらの排出量を極力低減することができるディーゼル排ガス処理装置および処理方法を提供する。
【解決手段】 ディーゼルエンジン1の排ガス流路10に、排ガス中の粒子状物質(PM)を捕集して燃焼除去する煤塵除去手段(2、3)を設けたディーゼル排ガス処理装置において、煤塵除去手段(2、3)の後流の排ガス煙道10に、順次窒素酸化物除去装置4および硫黄酸化物除去装置6を設け、硫黄酸化物除去装置6を、アルカリ性塩を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層としたこと。
【選択図】図1
【解決手段】 ディーゼルエンジン1の排ガス流路10に、排ガス中の粒子状物質(PM)を捕集して燃焼除去する煤塵除去手段(2、3)を設けたディーゼル排ガス処理装置において、煤塵除去手段(2、3)の後流の排ガス煙道10に、順次窒素酸化物除去装置4および硫黄酸化物除去装置6を設け、硫黄酸化物除去装置6を、アルカリ性塩を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層としたこと。
【選択図】図1
Description
本発明は、ディーゼル排ガス処理装置および処理方法に係り、特に、自動車などの移動式のディーゼルエンジンや、発電機などの定置型の小型ディーゼルエンジンなどから排出されるディーゼル排ガス中の硫黄酸化物を除去することができる、ディーゼル排ガス処理装置および処理方法に関する。
ディーゼル車から排出される粒子状物質(Particulate Matter、以下、PMという)は、発ガン性を有するおそれがあり、国民の健康への悪影響が懸念されている。すなわち、近年自動車から排出される粒子状物質および窒素酸化物を低減し、大気汚染の改善を図ることが緊急課題となっている。そこで、自動車から排出される環境汚染物質の規制が強化されることとなり、窒素酸化物(NOx)とPMを規制する「自動車NOx・PM法」が制定され、今まで以上に厳しい規制が実施される予定である。このような状況下、エンジンの燃焼改善が精力的に行われているが、NOx発生量を減らそうとすると燃費が低下し、かつPM発生量が増加するというトレードオフの関係があり、ディーゼルエンジン排ガス中の汚染物質を浄化するための後処理技術の開発が積極的に進められている。
一方、自動車等の移動式ディーゼルエンジン設備だけでなく、定置型ディーゼルエンジン設備、すなわち発電設備やビル、病院等に設置される分散型電源設備等は増加傾向にあり、これらの排ガス規制も強化されている。
このようなディーゼルエンジンを有する各種設備から排出されるディーゼル排ガスの処理技術は、種々提案され、実施されている。図6に、現在主流となっているディーゼル排ガス処理装置のフローを示す。図6において、この装置は、ディーゼルエンジン1の排ガス流路としての排気管または排ガスダクト10に、ガス流れ方向に沿って順次設けられた酸化触媒層2、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)3、還元剤注入装置5および脱硝触媒層4を有している。
排ガス中のPMは、例えば交互に目を埋めたハニカム担体からなるDPF3で捕集され、前段の酸化触媒層2により下記(1)式に従いNOが酸化されて発生したNO2 によって下記(2)式に従って燃焼除去される。
NO+1/2O2 →NO2 ……(1)
NO2 +C→CO2 +1/2N2 ……(2)
PMが除去された排ガスは、後流の脱硝触媒層4に流入し、排ガス中の窒素酸化物は還元剤注入装置5から注入された、例えば尿素や炭化水素によって選択的に接触還元、分解される。
特開昭60−235620号公報
NO+1/2O2 →NO2 ……(1)
NO2 +C→CO2 +1/2N2 ……(2)
PMが除去された排ガスは、後流の脱硝触媒層4に流入し、排ガス中の窒素酸化物は還元剤注入装置5から注入された、例えば尿素や炭化水素によって選択的に接触還元、分解される。
上記PMを捕集、燃焼させる排ガス処理技術は、高いPM除去率が得られる優れた方法であるが、以下に示す問題があった。
すなわち、ディーゼルエンジンでは、燃料として、例えば軽油、重油などが用いられるが、これら燃料中には硫黄(S)分が含まれており、このS分は硫黄酸化物、主にSO2 としてエンジンから排出され、大気汚染の原因となる。
すなわち、ディーゼルエンジンでは、燃料として、例えば軽油、重油などが用いられるが、これら燃料中には硫黄(S)分が含まれており、このS分は硫黄酸化物、主にSO2 としてエンジンから排出され、大気汚染の原因となる。
ここで、本発明者による詳細な検討によれば、ディーゼル排ガス中のPMをDPFによって捕集し、酸化、燃焼させる処理方法を採用した場合、排ガス中に含まれるSO2 の60%程度が酸化触媒層上で下記(3)式に従って酸化され、三酸化硫黄(SO3 )が生成することが判明した。
SO2 +1/2O2 →SO3 ……(3)
硫黄酸化物は人体、特に呼吸器に悪影響を及ぼすので、これをそのまま大気に排出することは好ましくない。また、SO3 はSO2 よりも有害であり、数ppmでも人体に対する影響が大きいことが分かっている。そこで、近年、硫黄酸化物の排出量を低減するため、ディーゼルエンジンの燃料として低S分の軽油を使用する傾向にあるが、燃料中のS分を、例えば50ppmに低減したとしても排ガス中に数ppmの硫黄酸化物が混入することは避けられず、都市部を走行するディーゼル車等から排出されるSO3 は大きな問題となっている。
硫黄酸化物は人体、特に呼吸器に悪影響を及ぼすので、これをそのまま大気に排出することは好ましくない。また、SO3 はSO2 よりも有害であり、数ppmでも人体に対する影響が大きいことが分かっている。そこで、近年、硫黄酸化物の排出量を低減するため、ディーゼルエンジンの燃料として低S分の軽油を使用する傾向にあるが、燃料中のS分を、例えば50ppmに低減したとしても排ガス中に数ppmの硫黄酸化物が混入することは避けられず、都市部を走行するディーゼル車等から排出されるSO3 は大きな問題となっている。
一方、コジェネなどに用いられる定置式ディーゼルエンジンでは主にS分500ppm程度のA重油が燃料としてが使用され、排ガス中の硫黄酸化物濃度は数10ppmにもなると言われている。このようなコジェネ施設は、その大部分が都市近郊に設置されているため、ディーゼル排ガスに含まれる硫黄酸化物の人体への悪影響が懸念されている。
ところで、ディーゼル排ガスを処理する際、通常、PMの除去と同時に脱硝触媒を用いてNOx処理が行われる場合が多いが、SO3 はSO2 よりも脱硝触媒への吸着力が大きいために、排ガス中のSO3 が脱硝触媒性能を著しく低下させる原因となる。従って、酸化触媒を含む装置によってディーゼル排ガスを処理する場合、SO3 によって被毒された脱硝触媒の性能低下により、NOxが十分処理されずに系外に排出されるという二次的な問題が生じるおそれがある。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、排ガス中のSOx、特にSO3 の排出量を極力低減することができるディーゼル排ガス処理装置および処理方法ならびにSO3 による脱硝触媒の被毒を防止しつつ、排ガス中のSO3 を吸収除去することができるディーゼル排ガス処理装置および処理方法を提供することにある。
上記課題は、ディーゼルエンジンの排ガス煙道に、硫黄酸化物(SOx)除去手段を設けることにより解決できる。すなわち、上記課題を解決するため、本願で特許請求する発明は以下のとおりである。
(1)ディーゼルエンジンの排ガス流路に、排ガス中の粒子状物質を捕集して燃焼除去する煤塵除去手段を設けたディーゼル排ガス処理装置において、前記排ガス煙道に硫黄酸化物除去手段を設けたことを特徴とするディーゼル排ガス処理装置。
(2)前記硫黄酸化物除去手段を、前記煤塵除去手段の後流に設けたことを特徴とする上記(1)に記載のディーゼル排ガス処理装置。
(3)前記硫黄酸化物除去手段が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物、ならびに酸化鉄のうち少なくとも一種を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のディーゼル排ガス処理装置。
(4)前記煤塵除去手段の後流に順次、窒素酸化物除去手段および硫黄酸化物除去手段を設け、該硫黄酸化物除去手段を、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物のうち少なくとも一種を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層としたことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
(5)前記煤塵除去手段の後流に順次、硫黄酸化物除去手段および窒素酸化物除去手段を設け、前記硫黄酸化物除去手段を、酸化鉄を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層としたことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
(6)前記硫黄酸化物の吸収剤は、前記吸収成分を触媒担体へ担持させたものであり、担持量が50〜200g/lであることを特徴とする上記(3)〜(5)の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
(7)前記煤塵除去手段は、酸化触媒層とフィルタとの組み合わせまたは酸化触媒付きフィルタであることを特徴とする上記(1)〜(6)の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
(8)前記窒素酸化物除去手段は、還元剤の存在下、窒素酸化物を選択的に接触還元除去する脱硝触媒層であることを特徴とする上記(4)または(5)に記載のディーゼル排ガス処理装置。
(9)ディーゼルエンジンの排ガスを酸化触媒層を有する煤塵除去手段に導入して排ガス中の粒子状物質を捕集し、NOの酸化によって生成したNO2 またはO2 によって燃焼、除去した後、窒素酸化物除去手段に導入して窒素酸化物を分解、除去し、次いで、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物のうち少なくとも一種を吸収成分として用いた硫黄酸化物吸収剤層に導入して排ガス中の硫黄酸化物を吸収、除去することを特徴とするディーゼル排ガス処理方法。
(10)ディーゼルエンジンの排ガスを酸化触媒層を有する煤塵除去手段に導入して排ガス中の粒子状物質を捕集し、NOの酸化によって生成したNO2 またはO2 によって燃焼、除去した後、酸化鉄を吸収成分として用いた硫黄酸化物吸収剤層に導入して排ガス中の硫黄酸化物を吸収、除去し、次いで窒素酸化物除去手段に導入して窒素酸化物を分解、除去することを特徴とするディーゼル排ガス処理方法。
(1)ディーゼルエンジンの排ガス流路に、排ガス中の粒子状物質を捕集して燃焼除去する煤塵除去手段を設けたディーゼル排ガス処理装置において、前記排ガス煙道に硫黄酸化物除去手段を設けたことを特徴とするディーゼル排ガス処理装置。
(2)前記硫黄酸化物除去手段を、前記煤塵除去手段の後流に設けたことを特徴とする上記(1)に記載のディーゼル排ガス処理装置。
(3)前記硫黄酸化物除去手段が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物、ならびに酸化鉄のうち少なくとも一種を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のディーゼル排ガス処理装置。
(4)前記煤塵除去手段の後流に順次、窒素酸化物除去手段および硫黄酸化物除去手段を設け、該硫黄酸化物除去手段を、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物のうち少なくとも一種を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層としたことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
(5)前記煤塵除去手段の後流に順次、硫黄酸化物除去手段および窒素酸化物除去手段を設け、前記硫黄酸化物除去手段を、酸化鉄を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層としたことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
(6)前記硫黄酸化物の吸収剤は、前記吸収成分を触媒担体へ担持させたものであり、担持量が50〜200g/lであることを特徴とする上記(3)〜(5)の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
(7)前記煤塵除去手段は、酸化触媒層とフィルタとの組み合わせまたは酸化触媒付きフィルタであることを特徴とする上記(1)〜(6)の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
(8)前記窒素酸化物除去手段は、還元剤の存在下、窒素酸化物を選択的に接触還元除去する脱硝触媒層であることを特徴とする上記(4)または(5)に記載のディーゼル排ガス処理装置。
(9)ディーゼルエンジンの排ガスを酸化触媒層を有する煤塵除去手段に導入して排ガス中の粒子状物質を捕集し、NOの酸化によって生成したNO2 またはO2 によって燃焼、除去した後、窒素酸化物除去手段に導入して窒素酸化物を分解、除去し、次いで、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物のうち少なくとも一種を吸収成分として用いた硫黄酸化物吸収剤層に導入して排ガス中の硫黄酸化物を吸収、除去することを特徴とするディーゼル排ガス処理方法。
(10)ディーゼルエンジンの排ガスを酸化触媒層を有する煤塵除去手段に導入して排ガス中の粒子状物質を捕集し、NOの酸化によって生成したNO2 またはO2 によって燃焼、除去した後、酸化鉄を吸収成分として用いた硫黄酸化物吸収剤層に導入して排ガス中の硫黄酸化物を吸収、除去し、次いで窒素酸化物除去手段に導入して窒素酸化物を分解、除去することを特徴とするディーゼル排ガス処理方法。
本願の請求項1に記載の発明によれば、排ガス中のPMのみならず、環境汚染の原因物質であり、かつ人体に悪影響が大きいSO3 の系外への排出を防止することができる。
本願の請求項2に記載の発明によれば、排ガス中のPMのみならず、煤塵除去手段の一部である酸化触媒層においてSO2 の酸化によって生成したSO3 を効果的に吸収、分離してその系外ヘの排出を回避することができる。
本願の請求項2に記載の発明によれば、排ガス中のPMのみならず、煤塵除去手段の一部である酸化触媒層においてSO2 の酸化によって生成したSO3 を効果的に吸収、分離してその系外ヘの排出を回避することができる。
本願の請求項3に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、SO3 を化学的に吸収または吸着してその系外への排出を防止することができる。
本願の請求項4に記載の発明によれば、硫黄酸化物除去手段を窒素酸化物除去手段の後流に設置したことにより、吸収成分としてアルカリ性塩を使用しても脱硝触媒のアルカリ塩による被毒、劣化を防止することができ、これによって、PM、SO3 を効率よく燃焼除去、または捕集できるうえ、脱硝触媒の劣化に伴うNOxの系外への排出を防止することができる。
本願の請求項4に記載の発明によれば、硫黄酸化物除去手段を窒素酸化物除去手段の後流に設置したことにより、吸収成分としてアルカリ性塩を使用しても脱硝触媒のアルカリ塩による被毒、劣化を防止することができ、これによって、PM、SO3 を効率よく燃焼除去、または捕集できるうえ、脱硝触媒の劣化に伴うNOxの系外への排出を防止することができる。
本願の請求項5に記載の発明によれば、SO3 が吸収、除去された後の排ガスが脱硝触媒層に流入するので、SO3 による脱硝触媒の被毒、劣化を防止し、これによって、PM、SO3 のみならず、NOxの系外への流出を有効に防止することができる。
本願の請求項6に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、吸収剤の交換間隔を延ばし、しかも担体への目詰まりを防止して硫黄酸化物吸収効果を十分に発現させることができる。
本願の請求項6に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、吸収剤の交換間隔を延ばし、しかも担体への目詰まりを防止して硫黄酸化物吸収効果を十分に発現させることができる。
本願の請求項7に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、排ガス中の粒子状物質を効果的に捕集し、燃焼、除去することができる。
本願の請求項8に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、排ガス中の窒素酸化物を効果的に分解、除去することができる。
本願の請求項8に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、排ガス中の窒素酸化物を効果的に分解、除去することができる。
本願の請求項9に記載の発明によれば、アルカリ性塩による脱硝触媒の被毒を防止しつつ、ディーゼル排ガスに含まれるPM、NOxに加え、SO2 が酸化されたSO3 を効果的に分離、除去することができる。
本願の請求項10に記載の発明によれば、SO3 による脱硝触媒の被毒を防止しつつ、ディーゼル排ガスに含まれるPM、NOxに加え、SO2 が酸化されたSO3 を効果的に分離、除去することができる。
本願の請求項10に記載の発明によれば、SO3 による脱硝触媒の被毒を防止しつつ、ディーゼル排ガスに含まれるPM、NOxに加え、SO2 が酸化されたSO3 を効果的に分離、除去することができる。
図1は、本発明の一実施例であるディーゼル排ガス処理装置のフローを示す説明図である。図1において、この装置は、酸化触媒層2とDPF3からなる煤塵除去手段を設けたディーゼルエンジン1の排ガス流路である排気管10に、硫黄酸化物(SOx)除去手段としてのSOx吸収剤層6を設けたものであり、SOx吸収剤層6は、煤塵除去手段としての酸化触媒層2およびDPF3よりも後流に配置されている。すなわち、図1の装置は、ディーゼルエンジン1の排気管10に、ガス流れ方向に沿って順次酸化触媒層2およびDPF3、窒素酸化物(NOx)除去手段としての脱硝触媒層4およびSOx吸収剤層6を設けたものである。なお、5は、排気管10の脱硝触媒層4の前流側に還元剤を注入する装置である。
このような構成において、ディーゼルエンジン1から排出された排ガスは排気管10を流通して酸化触媒層2に流入し、ここで排ガス中の一酸化窒素(NO)が上述した(1)式に従って二酸化窒素(NO2 )に酸化されるとともに、炭化水素(HC)が燃焼してCO2 とH2 Oが生成する。またこれと同時に、上述した(3)式に従って排ガス中のSO2 の一部がSO3 に酸化される。酸化触媒層2出口の排ガスは、次いでDPF3に流入し、ここで排ガスに含まれるPMが捕集され、酸化触媒層2で生成した前記NO2 によって上述した(2)式に従って酸化され、燃焼してCO2 となる。DPF3出口排ガスは、後流の脱硝触媒層4に流入し、ここで、排ガス中のNOxが、還元剤注入装置5から注入される還元剤、例えば尿素を用いた脱硝反応によって窒素に還元される。脱硝触媒層4出口排ガスは、その後流の、例えば炭酸カルシウムを吸収成分とするSOx吸収剤層6に流入し、ここで排ガス中のSO3 が炭酸カルシウムと反応して硫酸カルシウムとして固定される。このようにしてPM、NOxおよびSOxが除去された排ガスは、処理排ガスとして系外に排出される。
本発明において、ディーゼルエンジンの排ガス流路とは、ビルの発電設備をはじめとする固定型および自動車等の移動式にかかわらず、ディーゼルエンジンから排出される排ガスが流通する排気管、ダクト等の排ガス流路を全て含むものである。
本発明において、SOx除去手段は、例えばSOx吸収剤層であり、吸収成分として、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物、ならびに酸化鉄から選ばれる少なくとも一つが適用される。吸収成分は、SO3 と反応して硫酸塩を形成するものであればどのようなものでもよく、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩、酸化ナトリウムなどのアルカリ金属酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウムなどのアルカリ土類金属酸化物、酸化セリウム、酸化ランタンなどの希土類元素の酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、酸化鉄等が好適に使用される。また、酸化チタンなどの担体に鉄を担持したものも好適に使用される。吸収成分として鉄を含むものは、特にそれ自身が脱硝性能を有することから、より高い脱硝効果が得られる。このような吸収成分は、単独または複数組み合わせて使用してもよい。また、バインダなど結合剤を添加して成形し易くすることもできる。
吸収成分はコージェライト、アルミナなどの担体、特にハニカム担体にコーティングして用いることができる。担体への担時量は、特に限定されないが、50〜200g/lであることが好ましい。吸収剤はSO3 を吸収して徐々に硫酸塩化し、そのSOx吸収能が失われるため、一定期間ごとに交換することが望ましいが、吸収成分の担持量が50g/lより少ないと交換時期が早くなり、200g/lより多くなると目詰まり等により吸収成分の担持が困難となる。吸収成分または吸収成分が担持された吸収剤は、排気管に設置可能な形状、例えば粒子状、ハニカム状等に成型される。
吸収成分として炭酸塩を使用した場合のSO3 吸収反応を(4)式に示す。
MCO3 +SO3 →MSO4 ↓+CO2 M:金属 …(4)
本発明において煤塵除去手段とは、例えば煤を捕集し、燃焼除去する装置をいい、例えば入口開孔部および出口開孔部を交互に目詰まりさせたハニカムからなるDPF担体やフォーム状フィルタなどで煤を捕集し、白金などの貴金属をアルミナ、シリカ、チタニア、セリアなどの触媒担体に担持した酸化触媒の存在下に(1)式および(2)式に従い、NOの酸化によって生成したNO2 によって燃焼、除去する装置が挙げられる。ここで本発明においては、煤の燃焼と同時に発生する、SO2 が酸化されたSO3 を除去するため、SOx吸収手段は煤塵除去手段の後段に設置される。
MCO3 +SO3 →MSO4 ↓+CO2 M:金属 …(4)
本発明において煤塵除去手段とは、例えば煤を捕集し、燃焼除去する装置をいい、例えば入口開孔部および出口開孔部を交互に目詰まりさせたハニカムからなるDPF担体やフォーム状フィルタなどで煤を捕集し、白金などの貴金属をアルミナ、シリカ、チタニア、セリアなどの触媒担体に担持した酸化触媒の存在下に(1)式および(2)式に従い、NOの酸化によって生成したNO2 によって燃焼、除去する装置が挙げられる。ここで本発明においては、煤の燃焼と同時に発生する、SO2 が酸化されたSO3 を除去するため、SOx吸収手段は煤塵除去手段の後段に設置される。
本発明において、NOx除去手段としは、発電所等のボイラ排ガス処理装置として一般的に使用されている、アンモニアまたは尿素等のアンモニア前駆体による接触還元法、炭化水素を還元剤とする接触還元法、Nox吸蔵触媒法等を利用したものが挙げられる。なお、NOx除去手段はどのような方式のものであってもよく、またNOx除去手段を省略しても排ガス中のSOx、特にSO3 濃度を低減することは可能である。
本発明において、NOx除去手段とSOx除去手段の配置位置は、基本的にはどちらが前流でもかまわないが、SOx除去手段としてアルカリ性塩類を吸収成分とする吸収装置を用い、NOx除去手段として脱硝触媒層を使用する場合は、SOx吸収装置を脱硝触媒層の後流に配置することが好ましい。アルカリ性塩類は脱硝触媒の被毒成分であり、少量でも脱硝活性を著しく低下させるおそれがあり、SOx吸収装置を脱硝触媒装置の後流に配置することにより、脱硝触媒の被毒を防止できるからである。
一方、脱硝触媒の種類によってはSOxが触媒毒となり、脱硝性能が低下するものがある。従って、NOx除去手段の前段にSOx吸収手段を設けて脱硝触媒と接触する前にSOxを除去することが好ましい場合がある。本発明において、硫黄酸化物の吸収成分として酸化鉄を用いる場合は、SOx吸収装置を脱硝触媒層の前流に配置することが好ましい。酸を成分に含む吸収剤は、脱硝触媒に対する被毒とはならず、しかもそれ自体が脱硝活性を発揮することから、脱硝性能をより高めることができるからである。
本発明においてDPFとは、上述したように、交互に目詰まりしたフロースルー型のフィルタであり、入口部分から流入した排ガス中の煤はフィルタ壁に捕捉され、ガスだけが流出する構造になっている。
本発明においてDPFとは、上述したように、交互に目詰まりしたフロースルー型のフィルタであり、入口部分から流入した排ガス中の煤はフィルタ壁に捕捉され、ガスだけが流出する構造になっている。
ディーゼルエンジン1として出力が25kwのものを用い、酸化触媒層2として、セル数 300cpsi、気孔率30%、体積1.2Lのコージェライト担体に貴金属を担持したものを用い、DPF3として、セル数 300cpsi、気孔率70%、体積2.5Lのコージェライト担体を用い、脱硝触媒層4として、セル数 400cpsi、気孔率30%、体積2.5Lのコージェライト担体にTi-W-V系触媒成分を担持させたものを用い、SOx吸収剤層6として、セル数400cpsi、気孔率30%、体積0.5Lのコージェライト担体に、炭酸カルシウムを100g/lでコーティングしたものを用いた図1の装置において、S分50ppmの軽油を燃料として前記ディーゼルエンジン1を負荷100%で稼動した際、排出された約380℃の排ガスは下記ように処理された。
すなわち、ディーゼルエンジン1の排ガスは、排ガス煙道10を流通して酸化触媒層2に流入し、ここで貴金属成分の酸化作用により、排ガス中のNOの一部がNO2 に酸化され、またハイドロカーボン(HC)が燃焼されると共に、例えば濃度2〜3ppmのSO2 の一部がSO3 に酸化され、酸化触媒層2の入口では0.1ppm以下であったSO3 濃度が、例えば1〜2ppmに増加する。酸化触媒層2を通過してSO3 濃度が増大した排ガスは、後流のDPF3に流入し、ここでPMがフィルタ壁に捕集される。このときPMは、前記酸化触媒層2でNOの酸化によって生成したNO2 によって上述した(2)式に従って酸化、燃焼してCO2 となる。PMが除去され、DPF3を通過した排ガスはその後、脱硝触媒層4に流入し、排ガス中のNOxは、還元剤注入装置5から注入される、例えば濃度35wt%の尿素水溶液によって接触還元される。NOxが分解、除去された排ガスは、次いでSOx吸収剤層6に流入し、ここで排ガス中のSO3 は、吸収成分でる炭酸カルシウムと反応し、硫酸カルシウムとして固定され、排ガス中のSO3 濃度は0.1ppm以下まで低減される。
本実施例によれば、酸化触媒層2およびDPF3とからなる煤塵除去手段の後流にSOx吸収剤層6を設けたことにより、PM、NOxを処理できるだけでなく、SO2 の酸化によって生成したSO3 を効果的に吸収、分離してその系外への排出を防止することができる。また、吸収剤としてアルカリ性塩を用いたSOx吸収剤層6を脱硝触媒層4の後流に設けたことにより、アルカリ性塩による脱硝触媒の被毒を回避することができる。
図2は、本発明の他の実施例を示す装置系統図である。この排ガス処理装置が図1の装置と異なるところは、脱硝触媒層4および還元剤注入装置5をなくした点である。この装置においても、ディーゼルエンジン1から排出された排ガスは、酸化触媒層2に流入し、ここでNOの一部がNO2 に酸化され、ハイドロカーボン(HC)が燃焼されると共にSO2 が酸化されてSO3 が生成する。酸化触媒層2を流出した排ガスは、後流のDPFに流入し、ここでPMが捕集され、前記NOの酸化によって生成したNO2 によって燃焼除去される。PMが燃焼除去された排ガスは、後流のSOx吸収剤層6に流入し、ここで前記SO3 が吸収除去される。
本実施例においても、SO2 の酸化によって生成したSO3 を効果的に吸収除去して大気への放散を極力回避することができる。
本実施例においても、SO2 の酸化によって生成したSO3 を効果的に吸収除去して大気への放散を極力回避することができる。
図3は、本発明の別の実施例を示す装置系統図である。図3において、この装置は、図2の酸化触媒層2およびDPF3に代えて酸化触媒付きDPF7を設けたものである。
本実施例においても、排ガス中のPMを捕集し、燃焼除去できる上、SO2 の酸化によって生成したSO3 をSOx吸収剤層6で吸収除去して系外への放出を回避することができる。
本実施例において、酸化触媒付きDPFとしては、例えばセル数 300cpsi、気孔率70%、体積17Lのコージェライト担体に貴金属等の酸化触媒成分を担持したものが用いられる。
本実施例においても、排ガス中のPMを捕集し、燃焼除去できる上、SO2 の酸化によって生成したSO3 をSOx吸収剤層6で吸収除去して系外への放出を回避することができる。
本実施例において、酸化触媒付きDPFとしては、例えばセル数 300cpsi、気孔率70%、体積17Lのコージェライト担体に貴金属等の酸化触媒成分を担持したものが用いられる。
図4は、本発明のさらに他の実施例を示す装置系統図である。図4において、この装置は、図2のDPF3の代わりに酸化触媒付きDPF7を設置したものである。
本実施例によれば、酸化触媒層2と酸化触媒付きDPF7の両方に酸化触媒成分が担持されているので触媒量が相対的に多くなり、例えば、負荷100%、触媒温度380℃の同一条件では他の実施例よりも煤燃焼能力が高くなる。また同時にSO2 のSO3 への酸化率も高く、例えば80%程度になるが、SO3 は後流のSOx吸収剤層6で吸収、除去されるので、その系外への排出を防止することができる。
本実施例において、SO2 のSO3 への転換率が高くなるので、SOx吸収剤層6における吸収剤の量を、他の実施例、例えば実施例1よりも多くすることが好ましい。なお、本実施例において、吸収剤の担持量は、例えば100g/l、体積は、例えば4Lとされる。
本実施例によれば、酸化触媒層2と酸化触媒付きDPF7の両方に酸化触媒成分が担持されているので触媒量が相対的に多くなり、例えば、負荷100%、触媒温度380℃の同一条件では他の実施例よりも煤燃焼能力が高くなる。また同時にSO2 のSO3 への酸化率も高く、例えば80%程度になるが、SO3 は後流のSOx吸収剤層6で吸収、除去されるので、その系外への排出を防止することができる。
本実施例において、SO2 のSO3 への転換率が高くなるので、SOx吸収剤層6における吸収剤の量を、他の実施例、例えば実施例1よりも多くすることが好ましい。なお、本実施例において、吸収剤の担持量は、例えば100g/l、体積は、例えば4Lとされる。
図5は、本発明のさらに別の実施例を示す装置系統図である。図5において、この装置は、SO3 吸収剤層6の吸収剤として、例えば鉄を担持した酸化チタンをコージェライト担体(セル数400cpsi、気孔率30%)にコーティングしたものを用い、このSO3 吸収剤層6を脱硝触媒層4の前流に配置したものである。
本実施例においても、他の実施例と同様、SO2 の酸化によって発生したSO3 を効果的に吸収除去し、系外への排出を回避することができる。また、硫黄酸化物の吸収剤として鉄成分を用いたことにより、SO3 吸収剤層6を脱硝触媒層4の前流に設けても脱硝触媒を被毒することはなく、しかも脱硝性能の向上を図ることができる。さらに、脱硝触媒層に流入する前に排ガス中のSO3 が吸収除去されるので、SO3 による脱硝触媒の被毒を防止することができる。
本実施例においても、他の実施例と同様、SO2 の酸化によって発生したSO3 を効果的に吸収除去し、系外への排出を回避することができる。また、硫黄酸化物の吸収剤として鉄成分を用いたことにより、SO3 吸収剤層6を脱硝触媒層4の前流に設けても脱硝触媒を被毒することはなく、しかも脱硝性能の向上を図ることができる。さらに、脱硝触媒層に流入する前に排ガス中のSO3 が吸収除去されるので、SO3 による脱硝触媒の被毒を防止することができる。
次に、本発明におけるSO3 吸収剤の脱SO3 効果を、具体的実験例を用いて説明する。
実験例1
水酸化鉄(FeO(OH)、キシダ化学社製)300gを水700gに懸濁させ、得らたスラリをフロースルー型のコージェライトハニカム(400cpsi、100mm角-50mm長さ)にウオッシュコート法で担持、乾燥を繰り返し、500℃で2時間焼成し、酸化鉄としての担時量が150g/lであるSO3 吸収剤を得た。
実験例2
硝酸鉄(Fe(NO3 )2 ・9H2 O)362gを水に溶かし、酸化チタン(MCH、石原産業社製)1kgを入れて砂浴上で加熱混合し、乾燥後、空気流中500℃で2時間焼成し、その後ハンマーミルで粉砕して触媒粉末とした。得られた粉末300gと水700gとを混合してスラリとし、フロースルー型のアルミナハニカム(400cpsi、100mm角-100mm長さ)に含浸させ、乾燥後、500℃で2時間焼成し、酸化鉄としての担時量が9 g/lであるSO3 吸収剤を得た。
実験例3
水酸化ナトリウム(NaOH、キシダ化学社製)1kgを水に溶かし、濃度40wt%の水酸化ナトリウム水溶液を調製し、これをフロースルー型のアルミナハニカム(400cpsi、100mm角-100mm長さ)に含浸させ、乾燥後、500℃で2時間焼成し、炭酸ナトリウムとしての担時量が100g/lであるSO3 吸収剤を得た。
実験例4
炭酸カルシウム(CaCO3 、キシダ化学社製)1kgとコロイダルシリカ(OSゾル、日産化学社製)100gと水とを混合し、炭酸カルシウム濃度30wt%のスラリを得た。このスラリをフロースルー型のコージェライトハニカム(400cpsi、100mm角-50mm長さ)にウオッシュコート法で担持、乾燥を繰り返し、500℃で2時間焼成し、炭酸カルシウムとしての担時量が150g/lであるSO3 吸収剤を得た。
実験例5
酸化セリウム(Ce2 O3 、キシダ化学社製)1kgとアルミナゾル(アルミナゾル520、日産化学社製)100gと水とを混合し、酸化セリウム濃度30wt%のスラリを調製し、これをフロースルー型のコージェライトハニカム(400cpsi、100mm角-50mm長さ)にウオッシュコート法で担持、乾燥を繰り返し、500℃で2時間焼成し、酸化セウムとしての担時量が200g/lであるSO3 吸収剤を得た。
実験例1
水酸化鉄(FeO(OH)、キシダ化学社製)300gを水700gに懸濁させ、得らたスラリをフロースルー型のコージェライトハニカム(400cpsi、100mm角-50mm長さ)にウオッシュコート法で担持、乾燥を繰り返し、500℃で2時間焼成し、酸化鉄としての担時量が150g/lであるSO3 吸収剤を得た。
実験例2
硝酸鉄(Fe(NO3 )2 ・9H2 O)362gを水に溶かし、酸化チタン(MCH、石原産業社製)1kgを入れて砂浴上で加熱混合し、乾燥後、空気流中500℃で2時間焼成し、その後ハンマーミルで粉砕して触媒粉末とした。得られた粉末300gと水700gとを混合してスラリとし、フロースルー型のアルミナハニカム(400cpsi、100mm角-100mm長さ)に含浸させ、乾燥後、500℃で2時間焼成し、酸化鉄としての担時量が9 g/lであるSO3 吸収剤を得た。
実験例3
水酸化ナトリウム(NaOH、キシダ化学社製)1kgを水に溶かし、濃度40wt%の水酸化ナトリウム水溶液を調製し、これをフロースルー型のアルミナハニカム(400cpsi、100mm角-100mm長さ)に含浸させ、乾燥後、500℃で2時間焼成し、炭酸ナトリウムとしての担時量が100g/lであるSO3 吸収剤を得た。
実験例4
炭酸カルシウム(CaCO3 、キシダ化学社製)1kgとコロイダルシリカ(OSゾル、日産化学社製)100gと水とを混合し、炭酸カルシウム濃度30wt%のスラリを得た。このスラリをフロースルー型のコージェライトハニカム(400cpsi、100mm角-50mm長さ)にウオッシュコート法で担持、乾燥を繰り返し、500℃で2時間焼成し、炭酸カルシウムとしての担時量が150g/lであるSO3 吸収剤を得た。
実験例5
酸化セリウム(Ce2 O3 、キシダ化学社製)1kgとアルミナゾル(アルミナゾル520、日産化学社製)100gと水とを混合し、酸化セリウム濃度30wt%のスラリを調製し、これをフロースルー型のコージェライトハニカム(400cpsi、100mm角-50mm長さ)にウオッシュコート法で担持、乾燥を繰り返し、500℃で2時間焼成し、酸化セウムとしての担時量が200g/lであるSO3 吸収剤を得た。
これとは別に、アルミナゾル(アルミナゾル520、日産化学社製)と水とを混合し、アルミナを15%含有する水溶液を1リットル調製し、この液にフロースルー型のコーシ゛ェライト担体(300cpsi)100×100mm(50mm長さ)を浸漬、含浸させ、エアブローで液切りする操作を2回繰り返した後、大気中150℃で5時間乾燥し、500℃で2時間焼成して得られた担体にジニトロジアンミン白金(田中貴金属社製)の水溶液を含浸し、エアブローで液切りした後、大気中150℃で5時間乾燥し、その後、550℃で2時間焼成し、体積当たりの白金の担持量が2g/リットルである酸化触媒を得た。
流通式の試験装置を用い、反応管の上流に上記調製した酸化触媒を切断して設置し、その後流に実験例1〜5で得たSO3 吸収剤を切断して設置し、表1の条件で反応管入口および出口のSO2 およびSO3 濃度を測定し、SO3 吸収剤を設置しない以外はこれと同様に操作した比較例1と比較してSO3 吸収剤のSO3 吸収能を測定した。なお、SO3 濃度はJIS規格に従って測定した。
試験例1〜5および比較例1の結果を表2にまとめて示す。
比較例1の結果から、酸化触媒層出口ではSO2 のおよそ6割がSO3 に酸化されていることが分かる。酸化触媒層の後流に実験例1〜5の吸収剤を設置した場合は、生成したSO3 がほぼ完全に取り除かれ、出口ガス中のSO3 濃度が著しく低減されていることが分かる。このように、本発明を適用することにより、人体に悪影響を与えるSO3 を効果的に取り除いて環境汚染を防止することができる。
ディーゼルエンジン設備から排出される、ディーゼル排ガス中の煤塵除去手段に酸化触媒層とDPFまたは酸化触媒付きDPFを用いた場合、前記酸化触媒により排ガス中のSO2 がSO3 に酸化され、大気汚染の原因となるが、本発明を適用することにより、PMだけでなく、SO3 の排出量を著しく低減することができるので、ディーゼル排ガスによる環境汚染および人体への悪影響を未然に防止することができる。
1…ディーゼルエンジン、2…酸化触媒層、3…DPF、4…脱硝触媒層、5…還元剤注入装置、6…硫黄酸化物(SO3 )吸収剤層、7…酸化触媒付きDPF、10…排気管。
Claims (10)
- ディーゼルエンジンの排ガス流路に、排ガス中の粒子状物質を捕集して燃焼除去する煤塵除去手段を設けたディーゼル排ガス処理装置において、前記排ガス煙道に硫黄酸化物除去手段を設けたことを特徴とするディーゼル排ガス処理装置。
- 前記硫黄酸化物除去手段を、前記煤塵除去手段の後流に設けたことを特徴とする請求項1に記載のディーゼル排ガス処理装置。
- 前記硫黄酸化物除去手段が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物、ならびに酸化鉄のうち少なくとも一種を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層であることを特徴とする請求項1または2に記載のディーゼル排ガス処理装置。
- 前記煤塵除去手段の後流に順次、窒素酸化物除去手段および硫黄酸化物除去手段を設け、該硫黄酸化物除去手段を、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物のうち少なくとも一種を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
- 前記煤塵除去手段の後流に順次、硫黄酸化物除去手段および窒素酸化物除去手段を設け、前記硫黄酸化物除去手段を、酸化鉄を吸収成分とする硫黄酸化物吸収剤層としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
- 前記硫黄酸化物の吸収剤は、前記吸収成分を触媒担体へ担持させたものであり、担持量が50〜200g/lであることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
- 前記煤塵除去手段は、酸化触媒層とフィルタとの組み合わせまたは酸化触媒付きフィルタであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のディーゼル排ガス処理装置。
- 前記窒素酸化物除去手段は、還元剤の存在下、窒素酸化物を選択的に接触還元除去する脱硝触媒層であることを特徴とする請求項4または5に記載のディーゼル排ガス処理装置。
- ディーゼルエンジンの排ガスを酸化触媒層を有する煤塵除去手段に導入して排ガス中の粒子状物質を捕集し、NOの酸化によって生成したNO2 またはO2 によって燃焼、除去した後、窒素酸化物除去手段に導入して窒素酸化物を分解、除去し、次いで、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類元素の塩類または酸化物のうち少なくとも一種を吸収成分として用いた硫黄酸化物吸収剤層に導入して排ガス中の硫黄酸化物を吸収、除去することを特徴とするディーゼル排ガス処理方法。
- ディーゼルエンジンの排ガスを酸化触媒層を有する煤塵除去手段に導入して排ガス中の粒子状物質を捕集し、NOの酸化によって生成したNO2 またはO2 によって燃焼、除去した後、酸化鉄を吸収成分として用いた硫黄酸化物吸収剤層に導入して排ガス中の硫黄酸化物を吸収、除去し、次いで窒素酸化物除去手段に導入して窒素酸化物を分解、除去することを特徴とするディーゼル排ガス処理方法。
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- 2003-10-27 JP JP2003365784A patent/JP2005125275A/ja active Pending
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