JP2005120351A - 帯電防止性熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 帯電防止性及び摺動性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物、並びに本熱可塑性樹脂組成物を用いてなる成形品を提供する。
【解決手段】 ブタジエン系ゴム質重合体及び/又はアクリル系ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物などを重合したゴム強化共重合樹脂で、該ゴム質重合体の含有量が3〜40質量%のゴム強化樹脂〔A〕100質量部、アルキルスルホン酸塩〔B〕0.2〜20質量部、重量平均分子量が500〜40,000のポリオレフィン〔C〕0.1〜10質量部、オレフィン系重合体(d)と、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b−2)の(共)重合体との結合物〔D〕0.1〜20質量部が配合された帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。芳香族ポリカーボネート樹脂または難燃剤を含有してもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、帯電防止性及び摺動性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物、並びに本熱可塑性樹脂組成物を用いてなる成形品に関する。
ABS樹脂などのスチレン系樹脂は、成形加工性、物理的性質および機械的性質に優れていることから、電気・電子分野、家電分野および自動車分野などに幅広く使用されている。しかしながら、このスチレン系樹脂は、電気絶縁体であり、絶縁材料として有効であるが、帯電した電気を漏洩することができず、表面にほこりが付いたり、電子機器関係においては、帯電した電気による妨害が発生することがある。これらの欠点を改良する方法として、一般的に帯電防止剤を練り込む方法が知られている。
一方、上記樹脂を成形して電子機器の筐体などに使用する場合、持続型制電性能の他に、金属製部品との接触により組立時に摩擦や摩耗が生じるため、摺動性が要求される。ABS樹脂の摺動性を高める方法としては、一般に、ポリオレフィン系ワックス等を溶融混練時にブレンドする方法が知られている。
スチレン系樹脂の帯電防止性と摺動性は、上記の方法によってかなり向上させることはできるが、近年、使用分野の拡大に伴い,更に良好な帯電防止性と摺動性、特に高度の帯電防止性が求められている。
特開昭61−261359号公報
本発明の目的は、帯電防止性及び摺動性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物、並びに本熱可塑性樹脂組成物を用いてなる成形品を提供することにある。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、低分子量ポリオレフィンを配合してなる特定のスチレン系樹脂に、帯電防止剤として所定量のアルキルスルホン酸塩を配合するとともに、改質されたポリオレフィン系重合体を所定量配合することにより、該スチレン系樹脂の帯電防止性と摺動性が格段に向上し、しかも成形性および耐衝撃性も向上することを見出し本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、下記成分〔A〕〜〔D〕を含有する帯電防止性熱可塑性樹脂組成物であって、成分〔A〕100質量部に対して、成分〔B〕0.2〜20質量部、成分〔C〕0.1〜10質量部、及び、成分〔D〕0.1〜20質量部が配合されていることを特徴とする帯電防止性熱可塑性樹脂組成物が提供される。
成分〔A〕は、ブタジエン系ゴム質重合体及び/又はアクリル系ゴム質重合体からなるゴム質重合体(a)の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b−1)を重合して得られるゴム強化共重合樹脂(A−1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A−1)とビニル系単量体の(共)重合体(A−2)との混合物からなり、且つ、上記ゴム質重合体(a)の含有量が3〜40質量%であるゴム強化樹脂である。
成分〔B〕は、アルキルスルホン酸塩である。
成分〔C〕は、重量平均分子量が500〜40,000の低分子量ポリオレフィンである。
成分〔D〕は、オレフィン系重合体(d)と、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b−2)の(共)重合体との結合物である。
本熱可塑性樹脂組成物は、更に、成分〔A〕100質量部に対して、成分〔E〕として芳香族ポリカーボネート樹脂を1〜30質量部含有してもよい。
本熱可塑性樹脂組成物は、更に、成分〔A〕100質量部に対して、成分〔F〕として難燃剤を1〜30質量部含有してもよい。
さらに、本発明によれば、本熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品が提供される。
理論に拘束されるものではないが、本発明によれば、成分〔C〕及び成分〔D〕を使用することにより、帯電防止性能を有する成分〔B〕が成分〔C〕及び成分〔D〕のチャンネル効果によって成形品の表面に出やすくなるので、摺動性のみならず帯電防止性(表面固有抵抗)が格段に向上すると考えられる。
なお、本明細書において、「(共)重合」は単独重合および/または共重合を意味し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明に関わるゴム強化樹脂〔A〕は、ブタジエン系ゴム質重合体及び/又はアクリル系ゴム質重合体からなるゴム質重合体(a)の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b−1)を重合して得られるゴム強化共重合樹脂(A−1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A−1)とビニル系単量体の(共)重合体(A−2)との混合物からなり、且つ、上記ゴム質重合体(a)の含有量が3〜40質量%であるゴム強化樹脂である。
ゴム質重合体(a)はブタジエン系ゴム質重合体もしくはアクリル系ゴム質重合体または両者を主体として構成されるが、必要に応じて、他のゴム質重合体を含有してもよい。
ブタジエン系ゴム質重合体としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンランダム共重合ゴム(スチレン含量は好ましくは5〜60重量%)、ブタジエン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンランダム共重合ゴム、イソブチレン−イソプレンランダム共重合ゴム(ブチルゴム)、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合ゴムなどのブタジエン系ゴムの他、SEBSなどの上記ブタジエン系ゴムの水素添加ゴムが挙げられる。
アクリル系ゴム質重合体としては、アクリル酸エステルゴム、アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合ゴム、アクリル酸エステル−共役ジエン化合物共重合ゴム、アクリル酸エステル化合物−共役ジエン化合物−芳香族ビニル化合物共重合ゴムなどが挙げられる。
上記ゴム質重合体(a)のゲル含率は、通常、98質量%以下であり、好ましくは40〜98質量%、更に好ましくは50〜95質量%、特に好ましくは60〜90質量%である。この範囲にあれば、耐衝撃性、表面外観、難燃剤を用いた場合には難燃性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
尚、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。即ち、ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュの金網(質量をWグラムとする。)で濾過してトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量をWグラムとする。)し、下記式に従って算出する。
ゲル含率(%)=[{W(g)―W(g)}/1(g)]×100
ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に、分子量調整剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。
ビニル系単量体(b−1)は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を必須の単量体成分として含有してなり、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体成分を含有してもよい。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、臭素化スチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物は、ビニル系単量体(b−1)全体の30質量%以上を占めるのが好ましく、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、これらの合計を100質量%とした場合、好ましくは芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物=95〜60質量%/5〜40質量%、更に好ましくは90〜65質量%/10〜35質量%である。
上記芳香族ビニル化合物またはシアン化ビニル化合物と共重合可能な他の単量体成分としては、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられ、これらは、それぞれ、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、マレイミド単位を導入するために、無水マレイン酸を(共)重合させ、後イミド化する方法でもよい。
ヒドロキシル基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボキシル基含有不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記他の単量体を用いる場合の使用量は、ビニル系単量体(b−1)の合計を100質量%とした場合、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。
本発明に関わるゴム強化樹脂〔A〕を構成するゴム強化共重合樹脂〔以下、単に「共重合樹脂」ということもある〕(A−1)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、上記共重合樹脂(A−1)は、ブタジエン系ゴム質重合体からなるゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b−1)を重合して得られるゴム強化共重合樹脂(A−1−a)であってもよく、または、アクリル系ゴム質重合体からなるゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b−1)を重合して得られるゴム強化共重合樹脂(A−1−b)であってもよく、さらには、該ゴム強化共重合樹脂(A−1−a)と該ゴム強化共重合樹脂(A−1−b)との混合物であってもよく、さらには、該ゴム強化共重合樹脂(A−1−a)または(A−1−b)とその他のゴム強化共重合樹脂との混合物であってもよい。
上記共重合樹脂は、公知の重合法、例えば、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた重合法で製造することができる。これらのうち、乳化重合が特に好ましい。
乳化重合で製造する場合、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等が用いられる。これらは、公知のものが使用できる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、テトラエチルチウラムスルフィド、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール等が挙げられる。
乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、ロシン酸塩、リン酸塩等のアニオン系界面活性剤、更に、公知のノニオン系界面活性剤も用いることができる。
尚、乳化重合において、ゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b−1)の使用方法は、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(b−1)を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、ゴム質重合体(a)の一部の存在下に、ビニル系単量体(b−1)を一括添加して重合し、重合途中でゴム質重合体(a)の残部を添加して重合してもよいし、ビニル系単量体(b−1)を分割もしくは連続添加して重合し、重合途中でゴム質重合体(a)の残部を添加して重合してもよい。
乳化重合の後、得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、水洗、乾燥することによって、共重合樹脂の粉末を得る。この際の凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、または硫酸、塩酸、酢酸等の酸を用いることができる。これらのうち、硫酸が好ましい。
尚、乳化重合により、ゴム質重合体(a)の存在下、ビニル系単量体(b−1)を重合して得られる共重合樹脂(A−1)には、通常、上記ビニル系単量体(b−1)がゴム質重合体(a)にグラフトした共重合体と上記ビニル系単量体(b−1)がゴム質重合体(a)にグラフトしていない未グラフト成分(すなわち、上記ビニル系単量体(b−1)同士の(共)重合体)が含まれる。
溶液重合により共重合樹脂を製造する場合、用いることのできる溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒であり、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジクロロメチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜130℃、特に好ましくは90〜120℃の各範囲である。
重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤を用いる場合、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
また、塊状重合で製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
本発明に関わるゴム強化樹脂〔A〕は、上記共重合樹脂(A−1)自体のほかに、この共重合樹脂(A−1)と、ビニル系単量体の少なくとも1種を(共)重合して得られる(共)重合体(A−2)との混合物であってもよい。尚、上記共重合樹脂(A−1)は、下記で説明する成分〔D〕は含まないものとする。
上記(共)重合体(A−2)を形成するビニル系単量体は、上記共重合樹脂(A−1)を形成するために例示した単量体を1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい単量体は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル及びマレイミド化合物から選ばれた少なくとも2種であり、更に好ましくは、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を必須とするものである。尚、マレイミド化合物の導入は、無水マレイン酸を重合させて後イミド化する方法によるものであってもよい。
上記ビニル系単量体として、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を必須に用いる場合、用いるビニル系単量体全体に対するこれらの使用量の合計の割合、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、上記共重合樹脂(A−1)における説明と同様である。
また、上記(共)重合体(A−2)は、単一組成の(共)重合体であってもよいし、組成の異なる2種以上の(共)重合体のブレンドであってもよい。
上記(共)重合体の製造方法としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合等が挙げられる。溶液重合及び塊状重合については、上記共重合樹脂における説明と同様である。
上記各重合方法によって共重合樹脂(A−1)及び/又は(共)重合体(A−2)を得た後、ゴム強化樹脂〔A〕中に最終的に残留する単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
本発明に関わるゴム強化樹脂〔A〕に含有されるゴム質重合体(a)の含有量は、全体に対して3〜40質量%であり、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%である。ゴム質重合体(a)の含有量が3質量%未満では、成形品の耐衝撃性が十分でなく、一方、40質量%を超えると表面外観性が劣る。
尚、上記ゴム強化樹脂〔A〕が共重合樹脂(A−1)及び(共)重合体(A−2)の混合物である場合、一般にゴム質重合体含有量10〜80質量%の共重合樹脂(A−1)が用いられ、共重合樹脂(A−1)及び(共)重合体(A−2)の使用割合は、混合物中のゴム質重合体(a)の含有量が上記範囲に入るように選択される。
上記ゴム強化樹脂〔A〕のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。尚、グラフト率(質量%)は、次式により求められる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tはゴム強化樹脂〔A〕1gをアセトン(ただし、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴム質重合体である場合はアセトニトリル)20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sはゴム強化樹脂〔A〕1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
また、本発明に関わるゴム強化樹脂〔A〕のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
本発明に関わるゴム強化樹脂〔A〕中に分散するゴム成分の数平均粒径は、好ましくは、500Å〜30,000Å、更に好ましくは、1,000Å〜20,000Å、特に好ましくは、1,500Å〜8,000Åの範囲である。平均粒径は、電子顕微鏡法による公知の方法で測定することができる。
本発明に関わるアルキルスルホン酸塩〔B〕としては、例えば、一般式(R−SO3nM(式中、Rは直鎖または分岐のアルキル基、Mは金属イオンなどの対イオン、nは1以上の整数)で示されるアルカンスルホン酸塩およびその金属塩が挙げられる。上記アルキル基としては直鎖の飽和アルキル基が好ましい。上記アルキル基の平均炭素数は8〜23が好ましく、12〜20がさらに好ましく、特に好ましくは12〜18である。アルキルスルホン酸塩〔B〕は金属塩であることが好ましく、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩がより好ましく、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩が特に好ましく、ナトリウム塩が最も好ましい。
アルキルスルホン酸塩〔B〕の添加量は、本発明の成分〔A〕100質量部に対して0.2〜20質量部であり、好ましくは0.2〜5質量部、更に好ましくは0.5〜3質量部である。0.2質量部未満では、得られる成形品の帯電防止性が十分でない。20質量部を越えて添加すると、成形品の表面外観性及び耐衝撃性が劣り、好ましくない。
本発明に関わる重量平均分子量が500〜40,000の低分子量ポリオレフィン〔C〕としては、いわゆるポリオレフィンワックスと呼ばれる低分子量ポリオレフィンが挙げられ、具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。該成分〔C〕の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜20,000であり、さらに好ましくは2,000〜8,000であり、特に好ましくは4,000〜7,000である。分子量が上記範囲内であると、本発明の組成物で薄肉成形品を成形する際に、充分な金型離型性が得られ、成形品には十分な摺動性が付与される。
低分子量ポリオレフィンには、チグラー触媒などを用いて低圧重合法で得られるもの、高圧法で得られるもの、さらに、上記低圧重合法または高圧重合法で得られた高分子量ポリオレフィンンを分解し低分子化したものも含まれる。また、低分子量ポリオレフィンには、官能基を導入することにより部分酸化した物や変性物も含まれるが、一般に、未変性のものが好ましい。また、低分子量ポリオレフィンには直鎖状のものや分岐状のものが含まれるが、一般に、分岐しているものの方が好ましい。
成分〔C〕の添加量は、本発明の成分〔A〕100質量部に対して0.1〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.5〜4質量部であり、特に好ましくは0.5〜3質量部であり、最も好ましくは1〜2質量部である。0.1質量部未満では、得られる成形品の帯電防止性及び摺動性が十分でない。10質量部を越えると、耐衝撃性が劣り、そして、成形品の表面付近に剥離の不良現象が生じるので、好ましくない。
本発明に関わる成分〔D〕は、オレフィン系重合体(d)と、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b−2)の(共)重合体との結合物である。
オレフィン系重合体(d)として、例えば、下記成分(d−1)、(d−2)および(d−3)からなる群より選ばれたものを用いることができる。
(d−1);オレフィン樹脂、
(d−2);エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体、
(d−3);ジエン系重合体の水素添加物。
オレフィン樹脂(d−1)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。このオレフィン樹脂(d−1)は、X線回折により室温で結晶化度を示すものが好ましく、より好ましくは結晶化度が20%以上であり、融点が40℃以上のものである。また、このオレフィン樹脂(d−1)は、常温において成形用樹脂として十分な分子量を備えること必要であり、例えば、JIS K−6758に準拠して測定したメルトフローレートが、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分に相当する分子量を備えるものである。またオレフィン樹脂(d−1)は、酸無水物、カルボキシル基等で変性されたものであってもよい。
エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体(d−2)はエチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体を主体として構成されるが、必要に応じて、他のゴム質重合体を含有してもよい。
エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体としては、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴムなどが挙げられる。
エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体の具体例としては、例えばエチレン/炭素数3〜20のα−オレフィン/非共役ジエン=5〜95/95〜5/0〜30重量%(当該3成分合計は100重量%)の混合比からなる単量体を共重合して得られる共重合ゴムが挙げられる。ここで言う炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−オクテン、更に好ましくはプロピレンと1−ブテンである。これらのα−オレフィンは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用することもできる。α−オレフィンの炭素数は3〜20であるが、好ましくは3〜12、更に好ましくは3〜8である。炭素数が多すぎると、共重合性が極端に低下する。エチレンとα−オレフィンの比率(エチレン/α−オレフィン)は、好ましくは5〜95/95〜5、更に好ましくは40〜90/60〜10、特に好ましくは50〜90/50〜10であり、最も好ましくは50〜85/50〜15である。
また、併用されることがある非共役ジエンは、アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類などが挙げられ、好ましくはジシクロペンタジエンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンである。これらの非共役ジエンは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体中の非共役ジエンの含有量は、0〜30重量%であり、好ましくは0〜15重量%である。なお、この共重合ゴムの不飽和量はヨウ素価に換算して0〜40の範囲が好ましい。不飽和量が多すぎると、耐候(光)性、色相が不適合になる。
これらエチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体を得るには、均一系、不均一系いずれの触媒を用いても良い。均一系触媒としてはメタロセン系触媒を挙げることができる。不均一系触媒としては、例えばバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物を組み合わせたバナジウム系触媒を挙げることができる。
なお、エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下であり、特に好ましくは5〜40である。エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体のガラス転移温度は好ましくは−110〜−40℃、さらに好ましくは−70〜−45℃である。
ジエン系重合体の水素添加物(d−3)としては、共役ジエンの重合体の水素添加物(d−3−1)、共役ジエンとビニル系単量体(例えば、スチレン、アクリロニトリル等)とのランダム共重合体の水素添加物(d−3−2)、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(PST−1)及び共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(PBD−2)を有するブロック共重合体の水素添加物(d−3−3)等が挙げられる。好ましいジエン系重合体の水素添加物(d−3)は、上記成分(d−3−3)である。
上記成分(d−3−3)の重合体ブロック(PST−1)で使用される芳香族ビニル化合物としては、〔A〕成分で示したものが全て使用できるが、好ましくはスチレンおよびα―メチルスチレンであり、特に好ましくはスチレンである。また、重合体ブロック(PBD−2)で使用される共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、好ましくはブタジエンおよびイソプレンである。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、重合体ブロック(PBD−2)は、2種以上の共役ジエン化合物を使用し、それらがランダム状、ブロック状、テーパーブロック状のいずれの形態で結合したブロックであってもよい。また、重合体ブロック(PBD−2)は、芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロックを1〜10個の範囲で含有していてもよく、共役ジエン化合物に由来するビニル結合含有量の異なる共役ジエン重合体ブロック等が、適宜共重合していてもよい。
上記成分(d−3−3)の好ましい構造は下記の式(一)〜(三)で表される重合体の水素添加物である。
(A−B)Y …(一)
(A−B)Y−X …(二)
A―(B−A)Z …(三)
(構造式(一)〜(三)中、Aは、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックで、実質的に芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックであれば、一部共役ジエン化合物が含まれていてもよい。Aは、芳香族ビニル化合物を好ましくは90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含有する重合体ブロックである。Bは、共役ジエン化合物の単独重合体または芳香族ビニル化合物等の他の単量体と共役ジエン化合物との共重合体である。Xはカップリング剤の残基であり、Yは1〜5の整数を表し、Zは1〜5の整数を表す。)
上記成分(d−3)における、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の使用割合は、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物=10〜70/90〜30質量%の範囲が好ましく、15〜65/85〜35質量%の範囲が更に好ましく、20〜60/80〜40質量%の範囲が特に好ましい。
芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物からなるブロック共重合体は、アニオン重合の技術分野で公知のものであり、例えば、特公昭47−28915号公報、特公昭47−3252号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−20038号公報等に開示されている。また、テーパーブロックを有する重合体ブロックの製造方法については、特開昭60−81217号公報等に開示されている。
上記成分(d−3)の共役ジエン化合物に由来するビニル結合(1,2−及び3,4−結合)含量は、好ましくは5〜80%、更に好ましくは5〜75%、特に好ましくは5〜70%の範囲であり、この範囲にあると帯電防止性付与効果がより優れるので好ましい。上記成分(d−3)の数平均分子量は、好ましくは10,000〜1,000,000、更に好ましくは20,000〜500,000、特に好ましくは20,000〜200,000である。これらのうち上記式(一)〜(三)で表したA部の数平均分子量は3,000〜150,000の範囲であることが好ましく、B部の数平均分子量は5,000〜200,000の範囲であることが好ましい。
共役ジエン化合物のビニル結合含量の調整は、N、N、N′、N′―テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアゾシクロ(2,2,2)オクタン等のアミン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等を用いて行うことができる。
上記成分(d−3)は、上記方法で重合体を得た後、カップリング剤を使用して重合体分子鎖をカップリング剤残基を介して延長または分岐させたものであってもよい。ここで用いられるカップリング剤としては、アジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩化珪素、ブチルトリクロロ珪素、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、ジメチルクロロ珪素、テトラクロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、1,4―クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネート等が挙げられる。
上記成分(d−3)は、上記ブロック共重合体等の共役ジエン部分の炭素―炭素二重結合を部分的にまたは完全に水素添加したものである。水素添加率は、好ましくは30〜100%、更に好ましくは50〜100%である。水素添加率が少ないと帯電防止性付与効果が劣る傾向にある。
上記ブロック共重合体等の水素添加反応は公知の方法で行うことができ、水素添加率の調整も公知の方法で行うことができる。具体的な方法としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公昭63−5401号公報、特開平2−133406号公報、特開平1−297413号公報などに開示されている方法がある。
オレフィン系重合体(d)の使用量は、成分〔D〕100質量%中、好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは20〜80質量%である。
成分〔D〕で使用されるビニル系単量体(b−2)は、芳香族ビニル化合物を必須成分として含有し、必要に応じて、該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してもよい。芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物、官能基含有不飽和化合物(例えば、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等)等が挙げられ、これらは、それぞれ、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる
上記芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物およびオキサゾリン基含有不飽和化合物としては、〔A〕成分で示したそれぞれの化合物及び好ましい化合物が挙げられる。
成分〔D〕で使用される芳香族ビニル化合物の使用量は、ビニル系単量体(b−2)100質量%中、好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。
成分〔D〕でシアン化ビニル化合物を使用する場合、その使用量は、ビニル系単量体(b−2)100質量%中、好ましくは3〜60質量%、更に好ましくは5〜50質量%である。
成分〔D〕で(メタ)アクリル酸エステルを使用する場合、その使用量は、ビニル系単量体(b−2)100質量%中、好ましくは3〜95質量%、更に好ましくは5〜85質量%である。
成分〔D〕でマレイミド化合物を使用する場合、その使用量は、ビニル系単量体(b−2)100質量%中、好ましくは3〜60質量%、更に好ましくは5〜50質量%である。
成分〔D〕で官能基含有不飽和化合物を使用する場合、その使用量は、ビニル系単量体(b−2)100質量%中、好ましくは0.05〜30質量%、更に好ましくは0.1〜20質量%である。
上記化合物の使用量が上記の範囲より少ないと化合物のプラスの効果が得られず、一方、上記の範囲を超えるとマイナスの効果が顕著になり、いずれにしても好ましくない。
ビニル系単量体(b−2)の好ましい組合せは、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル及びマレイミド化合物からなる群より選ばれた1種又は2種の単量体との組合せである。
ビニル系単量体(b−2)の使用量は、成分〔D〕100質量%中、好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは20〜80質量%である。
成分〔D〕としては、例えば、下記のグラフト共重合体(D1)、付加共重合体(D2)などが挙げられる。
(D1);オレフィン系重合体(d)の存在下にビニル系単量体(b−2)を重合して得られた所謂グラフト共重合体。
(D2);オレフィン系重合体(d)と、ビニル系単量体(b−2)の(共)重合体とを結合して得られたもの所謂付加共重合体。
グラフト共重合体(D1)は、公知の重合法、例えば、ラジカル触媒を用いて、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた重合法で重合することで得られる。これらのうち、好ましくは、塊状重合、溶液重合である。なお、上記成分〔A〕の製造方法に関する記述は、グラフト共重合体(D1)の製造にそのまま適用できる。
グラフト共重合体(D1)においては、オレフィン系重合体(d)として、前記エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体(d−2)および/または前記ジエン系重合体の水素添加物(d−3)を用いることが好ましく、この場合、グラフト共重合体(D1)は所謂ゴム強化樹脂となる。このゴム強化樹脂中に分散するゴム成分の電子顕微鏡を用いた公知の測定法による数平均粒径は、好ましくは500Å〜100,000Å、更に好ましくは1,000Å〜50,000Å、特に好ましくは1,500Å〜50,000Åの範囲である。このゴム強化樹脂に含有される成分(d−2)および成分(d−3)の含有量は、全体に対して好ましくは3〜40質量%であり、更に好ましくは5〜35質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。この含有量が3質量%未満では、帯電防止性、摺動性が劣り、剥離の不良現象が生じるので好ましくない。一方、40質量%を超えると表面外観性が劣る。
付加共重合体(D2)は、官能基含有不飽和化合物を共重合させたオレフィン系重合体(d)と官能基含有不飽和化合物を共重合成分として含有するビニル系単量体(b−2)の共重合体とを、例えば加熱溶融混練等の方法により高分子反応させることで製造することができる。ここで、官能基含有不飽和化合物の使用量は、オレフィン系重合体(d)またはビニル系単量体(b−2)100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、更に好ましくは、0.1〜10質量部である。
付加共重合体(D2)においては、オレフィン系重合体(d)として、前記オレフィン樹脂(d−1)を用いることが好ましい。
グラフト共重合体(D1)は、オレフィン系重合体(d)にビニル系単量体(b−2)の重合体がグラフトしたグラフト重合体のみから構成されてもよく、または、該グラフト重合体と、オレフィン系重合体(d)にグラフトしていないビニル系単量体(b−2)の重合体(すなわち未グラフト重合体)との混合物であってもよく、通常は後者の混合物の形態である。
グラフト共重合体(D1)のグラフト率は、成分〔A〕について上記したと同様の方法で求められ、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。
また、グラフト共重合体(D1)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
グラフト共重合体(D1)において、オレフィン系重合体(d)は、成分(d−1)、成分(d−2)および成分(d−3)の何れか1つで構成されていてもよく、または、2つ以上を混合して構成されていてもよい。また、グラフト共重合体(D1)は、構成を異にする2種以上のグラフト共重合体の混合物であってもよい。
付加共重合体(D2)は、オレフィン系重合体(d)にビニル系単量体(b−2)の重合体が付加した付加重合体のみから構成されてもよく、または、該付加重合体と、オレフィン系重合体(d)に付加していないビニル系単量体(b−2)の重合体(すなわち未付加重合体)との混合物であってもよく、通常は後者の混合物の形態である。付加共重合体(D2)におけるビニル系単量体(b−2)の重合体の付加率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは30〜120質量%である。付加率の測定で得られた可溶成分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである
付加率は、上記グラフト率測定方法において、アセトンに代えて、ビニル系単量体(b−2)の重合体は溶解するが゛付加共重合体は溶解しない溶媒を使用することで測定できる。
付加共重合体(D2)において、オレフィン系重合体(d)は、成分(d−1)、成分(d−2)および成分(d−3)の何れか1つで構成されていてもよく、または、2つ以上を混合して構成されていてもよい。また、付加共重合体(D2)は、構成を異にする2種以上の付加共重合体の混合物であってもよい。
上記各重合方法によって上記成分〔D〕を得た後、該成分〔D〕中に最終的に残留する単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
本発明の成分〔D〕の添加量は、本発明の成分〔A〕100質量部に対して0.1〜20質量部であり、好ましくは1〜20質量部、更に好ましくは2〜15質量部であり、特に好ましくは2〜10質量部であり、最も好ましくは3〜8質量部である。0.1質量部未満では、得られる成形品の帯電防止性及び摺動性が十分に向上しない。20質量部を越えると、機械的強度、表面硬度等が低下するので好ましくない。
成分〔D〕は、成分〔C〕のオレフィンの種類と同じオレフィン成分に富むものを用いることが好ましい。例えば、成分〔C〕としてポリエチレンワックスを使用する場合、成分〔D〕のオレフィン系重合体(d)としてエチレンリッチの重合体を使用し、成分〔C〕としてポリプロピレンワックスを使用する場合、成分〔D〕のオレフィン系重合体(d)としてプロピレンリッチの重合体を使用することが好ましい。
また、成分〔C〕及び成分〔D〕の各添加量は、成分〔B〕の添加量の0.5〜5倍とすることが好ましい。この比率でこれらの成分を使用することにより、帯電防止性能を有する成分〔B〕が成分〔C〕及び成分〔D〕のチャンネル効果によって成形品の表面に出やすくなると考えられる。
本発明に関わる芳香族ポリカーボネート樹脂〔E〕としては特に限定されず、例えば、種々のヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重縮合によって得られるもの、又はジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物とのエステル交換反応(溶融重縮合)によって得られるもの等、公知の重合法によって得られたものを用いることができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシン等が挙げられる。これらのうち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましい。また、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、本発明に関わる成分〔E〕としては、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に関わる芳香族ポリカーボネート樹脂〔E〕の粘度平均分子量は、好ましくは13,000〜32,000、更に好ましくは17,000〜31,000、特に好ましくは18,000〜30,000である。粘度平均分子量が13,000未満では、成形品の耐衝撃性が低下する傾向があり、一方、粘度平均分子量が31,000を超えると、成形性が劣る傾向がある。
粘度平均分子量の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂を2種以上用いる場合は、混合時の粘度平均分子量が上記範囲にあればよい。粘度平均分子量の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂を2種用いる場合、粘度平均分子量が13,000〜19,000(E1)の範囲にあるものと20,000〜32,000(E2)の範囲にあるものを(E1)/(E2)=10〜50質量%/90〜50質量%の割合で(但し、これらの合計を100質量%とする。)併用した場合、耐衝撃性と流動性のバランスに優れる成形品を得ることができる。尚、上記(E1)及び(E2)は、それぞれ同じ芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよいし、異なるものであってもよい。
上記粘度平均分子量は、塩化メチレンを溶媒として、20℃、濃度〔0.7g/100ml(塩化メチレン)〕で測定した比粘度(ηsp)を用い、次式により算出することができる。
粘度平均分子量=(〔η〕×8130)1.205
(式中、〔η〕=〔(ηsp×1.12+1)1/2−1〕/0.56Cであり、Cはポリマー溶液の濃度(g/100ml)である。)
本発明に関わる芳香族ポリカーボネート樹脂〔E〕が界面重縮合で得られたものである場合、各種塩素化合物を含むことがある。この塩素化合物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の熱安定性に悪影響を与える場合があるため、芳香族ポリカーボネート樹脂の塩素化合物含有量は、塩素量換算で300ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂〔E〕の添加量は、本発明の成分〔A〕100質量部に対して1〜30質量部であり、好ましくは5〜25質量部である。1質量部未満では、得られる成形品の耐熱性が十分でなく、30質量部を超えると、得られる成形品の帯電防止性及び摺動性が十分に向上しない。
本発明においては、難燃剤〔F〕を含有する熱可塑性樹脂組成物によって、帯電防止性、摺動性のみならず、難燃性にも優れる成形品を得ることができる。
上記難燃剤〔F〕としては特に限定されないが、水酸化マグネシウム、アルミナ、硼酸カルシウム、低融点ガラス等の無機系難燃剤、赤リン等の無機リン、有機ハロゲン系難燃剤、有機リン系難燃剤、シリコーン化合物、有機金属化合物、ヒンダードアミン系難燃剤等の有機系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらのうち、組み合わせて用いる例としては、有機ハロゲン系難燃剤と酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化鉄等から選ばれた1種以上との組み合わせ、有機リン系難燃剤とシリコーン化合物との組み合わせ、オルガノポリシロキサンと有機金属化合物の組み合わせ等である。
上記有機ハロゲン系難燃剤としては、臭素及び/又は塩素を含有する化合物が好ましく、ビスフェノールのハロゲン化物であるハロゲン化ビスフェノール化合物、ハロゲン化ビスフェノール化合物とエピハロヒドリンと、又はハロゲン化ビスフェノール化合物とハロゲン化ビスフェノールジグリシジルエーテルとの反応生成物であるハロゲン化エポキシ化合物、及びハロゲン化トリアジン化合物等が特に好ましい。
上記ハロゲン化ビスフェノール化合物としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、ジブロモビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールF、ジクロロビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールS、ジブロモビスフェノールS、テトラクロロビスフェノールS、ジクロロビスフェノールS等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ハロゲン化エポキシ化合物としては、下記一般式(1)に示される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2005120351
〔式中、Rはイソプロピリデン基、メチレン基又はスルホン基を、R、Rはそれぞれ2,3−エポキシプロピル基又は−CHCH(OH)CHOR基(Rは、臭素又は塩素で置換されていてもよいアルキル基又はアリル基である。)を、Xは臭素又は塩素を示し、a、b、c及びdは1〜4の整数を、nは0以上の整数を示す。〕
上記一般式(1)で示される化合物のnは好ましくは15以下である。また、上記化合物の末端は、エポキシ基であってもよいし、アリル基やアルキル基等でエポキシ基が封止されていてもよい。末端を封止するアリル基やアルキル基は、必要に応じて、塩素、臭素等のハロゲン原子で修飾されていてもよい。末端封止基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリル基、トリブロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基、トリクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基等のハロゲン化アリル基、ステアリル基等のアルキル基が挙げられる。また、末端は一方と他方とで同一であってもよいし、異なっていてもよい。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ハロゲン化トリアジン化合物としては、トリアジン骨格を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、下記一般式(2)に示される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2005120351
(式中、Rはそれぞれ臭素化又は塩素化されたアリル基及び/又はアルキル基、もしくは水素原子を、Yは−O−基又は−NH−基を示す。)
このような化合物は、一般に、シアヌル酸やメラミン等のトリアジン骨格含有化合物に、臭素化又は塩素化されたフェノール類、アルコール類等のヒドロキシル基含有化合物や、アミン化合物を反応させることにより得られる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記有機リン系難燃剤としては、ホスフェート化合物、ホスファゼン化合物が、成形品の難燃性を高くすることができるので好ましい。
上記ホスフェート化合物としては、例えば、下記一般式(3)及び(4)に示される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2005120351
(式中、R、R、R及びRは、アルキル基、フェニル基又はキシリル基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは2価のレゾルシノール残基、ハイドロキノン残基又はビスフェノールA残基である。nは平均値で0〜5である。)
Figure 2005120351
(式中、R及びR10は、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、R11は水素原子、フェニル基又は下記式で表される基
Figure 2005120351
であり、上記フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又は低級アルキル基から選ばれた少なくとも1種で置換されていてもよい。y及びzは1〜4の整数であり、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、RとR10は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
上記一般式(4)で示される難燃剤としては、下記式(5)〜(8)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005120351
上記で示した化合物のうち、式(5)及び(6)で示されるものが好ましい。
また、上記ホスファゼン化合物としては、リンと窒素を構成元素とし、二重結合を有する化合物であり、リン原子にプロポキシル基、アミノ基等が結合したもの等が挙げられる。その具体的な構造は、下記一般式(9)及び(10)で示される。
Figure 2005120351
(式中、R12〜R20は、アルキル基、アリル基、アルコキシル基、アリロキシル基、アミノ基又はヒドロキシル基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。n’は0〜15の整数であり、好ましくは1〜10である。また、上記の官能基は、更にアルキル基、アリル基、アルコキシル基、アリロキシル基、アミノ基及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種により置換されていてもよい。)
Figure 2005120351
(式中、R21〜R26は、アルキル基、アリル基、アルコキシル基、アリロキシル基、アミノ基又はヒドロキシル基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。n”は0〜15の整数であり、好ましくは1〜10である。また、上記の官能基は、更にアルキル基、アリル基、アルコキシル基、アリロキシル基、アミノ基及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種により置換されていてもよい。)
上記ホスファゼン化合物としては、例えば、プロポキシホスファゼン、フェノキシホスファゼン、メチルフェノキシホスファゼン、アミノホスファゼン、フルオロアルキルホスファゼン等が挙げられる。これらのうち、フェノキシホスファゼンが好ましい。
難燃剤〔F〕の添加量は、本発明の成分〔A〕100質量部に対して1〜30質量部であり、好ましくは3〜25質量部であり、更に好ましくは5〜20質量部である。1質量部未満では、得られる成形品の難燃性が十分でなく、30質量部を超えると、得られる成形品の帯電防止性及び摺動性が十分に向上しない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に上記のような難燃剤を用いる場合には、更に、難燃助剤を配合してもよい。上記難燃助剤としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化鉄、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。ハロゲン系難燃剤を使用する場合の難燃助剤は、アンチモン化合物が好ましく、リン系難燃剤を使用する場合、PTFEが好ましい。
上記PTFEは、燃焼時のドリッピング(溶融液だれ)を防止し、より高い燃焼レベルを達成する効果がある。PTFEの重量平均分子量は、通常、50万以上であり、好ましくは100万以上である。他の重合体成分等と混練する際のPTFEの平均粒径は、通常、90〜600μmであり、好ましくは100〜500μm、更に好ましくは120〜400μmである。他の重合体成分等と混練された後、PTFEは、平均粒径が0.1〜100μmの粒状物又はそれよりも微細な繊維状物として分散される。PTFEの比重は、通常、1.5〜2.5であり、好ましくは2.1〜2.3である。また、嵩密度は、通常、0.5〜1g/mlであり、好ましくは0.6〜0.9g/mlである。PTFEとしては、水等の媒体に滑剤と共に分散させたディスパージョン型のPTFEを用いることもできる。
上記難燃助剤の配合量は、難燃剤の種類によるが、通常、難燃剤100質量部に対して、通常、0.1〜50質量部、好ましくは1〜40質量部である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、更に、他の重合体成分として、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、POM、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、LCP、PPS、HIPS、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン等を適宜配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、目的、用途に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤の例としては、充填剤、耐候(光)剤、耐電防止剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤、抗菌剤、シリコーンオイル、カップリング剤等が挙げられる。
本発明の〔A〕〜〔D〕各成分の配合方法は特に限定されるものでない。特に、(A−2)成分を使用する場合は、(A−2)成分を、(A−1)成分にあらかじめ配合して使用してもよく、又は(D)成分にあらかじめ配合して使用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等により、各成分を混練することにより製造することができる。好ましい製造法は、押出機又はバンバリーミキサーを用いる方法である。
更に、各々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括して混練してもよく。押出機、バンバリーミキサーで多段、分割配合し混練してもよい。
尚、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練したあと、押出機によりペレット化することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、シート押出成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形等の公知の成形法により、成形品を得ることができる。上記成形法によって得られる各種成形品は、その優れた性質を利用して、家電製品の各種ハウジング、電気・電子分野または自動車分野の各種部品およびハウジング、雑貨などに使用することができる。
以下、例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら制約されるものではない。尚、実施例中、部及び%は、特に断らない限り質量基準である。
1.評価方法
本実施例において用いられる各種評価方法は、以下の通りである。
(1)ゴム質重合体の平均粒径
ゴム強化樹脂〔A〕の形成に用いるゴム質重合体粒子の平均粒径は、ラテックス中の分散粒子を光散乱法で測定した。測定機器は、大塚電子社製、「LPA−3100型」(商品名)を使用し、70回積算でキュムラント法を用いた。尚、ゴム強化樹脂〔A〕中の分散粒子の粒径は、ラテックス粒径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(2)ゴム強化樹脂〔A〕及び〔D〕のグラフト率
上記に示した。
(3)ゴム強化樹脂〔A〕及び〔D〕のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕
上記に示した。
(5)ポリカーボネート樹脂〔E〕の粘度平均分子量
上記に示した。
(6)帯電防止性
直径100mm、厚さ2mmの円板を成形し、23℃×相対湿度50%で7日間、状態調節したのち、横河ヒューレット・パッカード社製、4329A型超絶縁抵抗計を用いて、表面固有抵抗を測定した。
(7)摺動性(動摩擦係数)
鈴木式摺動試験機(リング・オン・リング式)を使用し、相手材としてはスチール(S45C)を用いた。試験片は、外径25.4mm、内径20.0mmの中空円筒状のプレス成形品を用い、相手材も同様の形状のものを用いた。動摩擦係数の測定は、室温23℃、湿度50%RHの雰囲気下で荷重0.5kgf、周速度500mm/秒、走行距離10kmの条件で行なった。動摩擦係数は、次式によって算出した。
μ=〔3×F×R×(r2 2−r1 2)〕/〔P×(r2 3−r1 3)〕・・・(3)
(式中、μは動摩擦係数、Fはロードセルに与える力、Pは荷重、Rはロードセルまでのアーム長、r1は内径、r2は外径を表す。)
(8)成形品の難燃性
UL94規格に定められた方法により、長さ5”、幅13mm、厚さ1/16”の試験片について、垂直燃焼試験を行った。
(9)成形性
射出成形された試験片の表面を目視観察し、下記の基準で判定した。
○:剥離が無く、均一な外観を有している、
×:剥離やウエルドが見られたり、真珠光沢を呈している。
(10)耐衝撃性
ASTM D256に準じて測定(1/4インチ、ノッチ付き)し、下記の基準で判定した。
○:7KJ/m以上である、
×:7KJ/m未満である。
2.成分〔A〕(ゴム強化樹脂)
製造例1(ゴム強化共重合樹脂A-1-aの調製)
攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、攪拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始し、1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、t−ドデシルメルカプタン0.05部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に、1時間重合させて、2,2’−メチレン−ビス(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結した。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗したのち、乾燥してゴム強化樹脂A-1-aを得た。このゴム強化共重合樹脂A-1-aのグラフト率は72%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は0.47dl/gであった。
製造例2(ゴム強化共重合樹脂A-1-bの調製)
アクリル酸n−ブチル99部とアリルメタクリレート1部を乳化重合して得られたアクリル系ゴム質重合体ラテックス(平均粒径;1200Å、ゲル含量85%)50部(固形分換算)、水200部(合計量)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部を反応器に仕込み、攪拌しつつ、窒素気流下、60℃に昇温した。60℃に達した時点で、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部を溶解した水溶液を反応器に仕込み、その直後にスチレン38部とアクリロニトリル12部とt−ブチルハイドロパーオキサイド0.6部の混合溶液を3時間にわたって連続添加し、重合を行い、ゴム強化共重合樹脂A-1-bのラテックスを得た。このときの重合転化率は96%であった。このゴム強化共重合樹脂A-1-bラテックスを塩化カルシュウムを用いて凝固し、ついで洗浄、乾燥し、粉末状のゴム強化共重合樹脂A-1-bを得た。グラフト率は55%であった。
製造例3(共重合体A−2の調製)
内容積30リットルのリボン翼を備え付けたジャケット付き重合反応器を2基連結し、窒素置換した後、1基目の反応容器にスチレン75部、アクリロニトリル25部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.1部及びトルエン5部の溶液、及び重合開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)0.1部及びトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間、重合転化率60%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けられたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し、2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃、平均滞留時間2.0時間、重合転化率80%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、共重合体A−2を得た。アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.48dl/gであった。
製造例4(ゴム強化樹脂〔A〕の調製)
上記ゴム強化共重合樹脂(A-1-a)および(A-1-b)ならびに共重合体(A−2)を表1に示す割合で混合し、ゴム強化樹脂〔A〕を得た。
3.成分〔B〕(帯電防止剤)
B−1:アルキルスルホン酸塩
平均炭素数14の直鎖飽和アルキルスルホン酸ナトリウム塩(商品名「エレクトロストッパーPC−3」、花王(株)製)を用いた。
B−2:ステアリン酸モノグリセライド
商品名「リケマールS−100」、理研ビタミン(株)製を用いた。
4.成分〔C〕(低分子量ポリオレフィン)
C−1:分子量6,000の未変性ポリエチレンワックス(商品名「サンワックス171−P」、三洋化成工業(株)製)を用いた。
C−2:分子量900のポリオレフィンワックス(商品名「三井ハイワックス100P」、三井石油化学工業(株)製)を用いた。
C−3:メルトフローレート(MFR)が22g/10分の高分子量ポリエチレン(商品名「ノバテックLJ803」、日本ポリエチレン社製)を用いた。
C−4:分子量15,000のポリプロピレンワックス(商品名「ビスコール550−P」、三洋化成工業(株)製)を用いた。
5.成分〔D〕(改質されたオレフィン系重合体)
5−1.D−1(AES樹脂)
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン・プロピレン系ゴム質重合体(エチレン/プロピレン=78/22(%)、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)20であるエチレン−プロピレン系共重合体)20部、スチレン56部、アクリロニトリル24部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温し、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応を開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って終了した。得られたAES樹脂のグラフト率は55%であった。
内温を100℃まで冷却した後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去し、40mmφベント付き押出機でシリンダー温度を220℃、真空度を770mmHgに調節して揮発分を実質的に脱気させ、AES樹脂をペレット化した。
5−2.D−2
低分子量ポリエチレン(LDEP)主鎖にスチレン・アクリロニトリル共重合体(AS)を付加させた共重合体(商品名「モディパーA1401」、日本油脂(株)製、LDEP/AS=50/50)を用いた。
5−3.D−3
低分子量ポリプロピレン(PP)主鎖にスチレン・アクリロニトリル共重合体(AS)を付加させた共重合体(商品名「モディパーA3400」、日本油脂(株)製、PP/AS=70/30)を用いた。
5−4.D−4(ジエン系重合体の水素添加物のグラフト共重合体)
5−4−1.成分(d−3)の製造(完全水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体)
撹拌機およびジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、ブタジエン20部を含むシクロヘキサン溶液を投入した。次いで、n−ブチルリチウム0.025部を加えて、50℃の等温重合を行った。転化率100%になった時点で、テトラヒドロフラン0.75部、ブタジエン65部を添加し、50℃から80℃に昇温重合を行った。転化率100%となった時点でスチレン15部を加え、更に重合反応を行い、水素添加前のA―B1―B2トリブロック共重合体を得た。このA―B1―B2トリブロック共重合体のスチレンブロック(A)の含率は15%、ブタジエンブロック(B1)の含率は65%、ブタジエンブロック(B2)の含率は20%であった。また、B1ブロック中の1,2―ビニル含量は35%、B2ブロック中の1,2―ビニル含量は10%であった。A―B1―B2トリブロック共重合体の数平均分子量200,000であった。
A―B1―B2トリブロック共重合体の水素添加は下記の手順で行った。すなわち、別の容器でチタノセンジクロライド1部をシクロヘキサンに分散させ、室温でトリエチルアルミニウム0.5部と反応させた。得られた均一溶液を上記のA―B1―B2トリブロック共重合体ポリマー溶液に加え、50℃で、50kgf/cm2の水素圧下、2時間水素化反応を行った。2 ,6−ジ−tert―ブチルカテコールを添加したのち、溶媒を除去し、水素添加率ほぼ100%の水素添加物(d−3)を得た。尚、結合スチレン量、ビニル結合量、数平均分子量、および水素添加率は、下記の方法で測定した。
・結合スチレン量;
水素添加前の重合体で測定した。699cm―1のフェニル基の吸収に基づいた赤外法による検量線から求めた。
・数平均分子量;
水素添加前の重合体で測定した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた。
・ビニル結合量
水素添加前の重合体で測定した。赤外法(モレロ法)により求めた。
・水素添加率;
水素添加後の重合体で測定した。四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度で測定した100MHzの1H―NMRスペクトルの不飽和二重結合物のスペクトル減少から算出した。
5−4−2.グラフト共重合体(D−4)の製造
リボン型翼を備えた内容積10Lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、窒素気流中で、予めトルエンを溶媒として均一にした上記水素添加物(d−3)を28部(固形分)、スチレン7部、アクリロニトリル10部、メタクリル酸メチル55部、トルエン120部、およびtert―ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、撹拌しながら昇温した。内温が50℃に到達した時点で、ベンゾイルパーオキサイド0.5部、ジクミルパーオキサイド0.1部を添加し、更に昇温し、80℃に達した後、80℃一定に制御しながら重合反応を行った。反応開始6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、更に2時間反応を行って終了した。転化率は、97%であった。
100℃まで冷却後、2,2―メチレンビス−4−メチル−6−tert―ブチルフェノール0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去するとともに、重合体をペレット化し、重合体D―4を得た。このものグラフト率は45%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.45dl/gであった。
6.成分〔E〕(ポリカーボネート樹脂E−1)
粘度平均分子量22000の芳香族ポリカーボネート樹脂(商品名「ノバレックス7022PJ」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)を用いた。
7.成分〔F〕(難燃剤)
F−1:リン系難燃剤
1,3−フェニレン−ビス(ジキシレニルホスフェート)(商品名「PX−200」、大八化学工業製)を使用した。
F―2:臭素化エポキシオリゴマー
商品名「プラサームEPC―15F」(大日本インキ化学工業製)を使用した。
8.実施例1〜15及び比較例1〜10
上記成分〔A〕〜〔F〕を用いて、表1に記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(バレル設定温度280℃)で混練し、ペレット化した。除湿乾燥機で、水分0.02%以下まで乾燥し、射出成形(設定温度260℃)で各種物性評価用試験片を成形した。そして、得られた試験片を用いて、前記の方法で評価した。難燃性については、実施例2〜5及び比較例4〜5について評価した。以上の評価結果を表1に示した。
Figure 2005120351
9.実施例の効果
表1に示されるとおり、比較例1は、成分〔D〕を含まない本発明の範囲外の例であり、帯電防止性および摺動性が劣る。比較例2は、成分〔B〕の含有量が本発明の範囲外で少ない例であり、帯電防止性が劣る。比較例3〜5は、成分〔C〕を含まない本発明の範囲外の例であり、帯電防止性および摺動性が劣る。また、比較例6は、成分〔B〕の代わりにステアリン酸モノグリセライドを使用した本発明の範囲外の例であり、帯電防止性および摺動性が劣る。比較例7は、成分〔B〕の含有量が本発明の範囲より多い例であり、摺動性、成形性および耐衝撃性が劣る。比較例8は、成分〔C〕の分子量が本発明の範囲より多い例であり、帯電防止性、摺動性および成形性が劣る。比較例9は、成分〔C〕の添加量が本発明の範囲より多い例であり、成形性および耐衝撃性が劣る。比較例10は、成分〔D〕の添加量が本発明の範囲より多い例であり、帯電防止性が劣る。
一方、表1に示されるとおり、実施例1〜15は、成分〔A〕、〔B〕、〔C〕及び〔D〕を所定の割合で含有した本発明の範囲内の例であり、表面固有抵抗1×1013(Ω)以下の極めて良好な帯電防止性が達成されるとともに、良好な摺動性が得られ、成分〔E〕及び/又は成分〔F〕を含む場合でも同様の結果が得られた。
本発明によれば、低分子量ポリオレフィンを配合してなる特定のスチレン系樹脂に、帯電防止剤として所定量のアルキルスルホン酸塩を配合するとともに所定量の改質されたポリオレフィン系重合体を配合することとしたので、帯電防止性と摺動性において格段に優れ、しかも成形性および耐衝撃性にも優れたスチレン系樹脂が提供される。同様の効果は、芳香族ポリカーボネート樹脂を配合した耐熱性の高いスチレン系樹脂や、難燃剤を配合した難燃性の高いスチレン系樹脂においても達成される。本発明の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物は、家電分野、電気・電子分野、自動車分野、雑貨分野などで用いられる各種成形品を成形するために有用である。

Claims (9)

  1. 下記成分〔A〕〜〔D〕を含有する帯電防止性熱可塑性樹脂組成物であって、成分〔A〕100質量部に対して、成分〔B〕0.2〜20質量部、成分〔C〕0.1〜10質量部、及び、成分〔D〕0.1〜20質量部が配合されていることを特徴とする帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
    成分〔A〕は、ブタジエン系ゴム質重合体及び/又はアクリル系ゴム質重合体からなるゴム質重合体(a)の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b−1)を重合して得られるゴム強化共重合樹脂(A−1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A−1)とビニル系単量体の(共)重合体(A−2)との混合物からなり、且つ、上記ゴム質重合体(a)の含有量が3〜40質量%であるゴム強化樹脂である。
    成分〔B〕は、アルキルスルホン酸塩である。
    成分〔C〕は、重量平均分子量が500〜40,000の低分子量ポリオレフィンである。
    成分〔D〕は、オレフィン系重合体(d)と、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b−2)の(共)重合体との結合物である。
  2. 成分〔D〕は、オレフィン系重合体(d)の存在下にビニル系単量体(b−2)を重合して得られたものである請求項1に記載の帯電防止用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 成分〔D〕は、オレフィン系重合体(d)と、ビニル系単量体(b−2)の(共)重合体とを結合して得られたものである請求項1に記載の帯電防止用熱可塑性樹脂組成物。
  4. 成分〔D〕のオレフィン系重合体(d)は下記成分(d−1)、(d−2)および(d−3)からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項2または3に記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
    (d−1);オレフィン樹脂、
    (d−2);エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体、
    (d−3);ジエン系重合体の水素添加物。
  5. 成分〔D〕のオレフィン系重合体(d)はエチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体(d−2)および/またはジエン系重合体の水素添加物(d−3)である請求項2に記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 成分〔D〕のオレフィン系重合体(d)はオレフィン樹脂(d−1)である請求項3に記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
  7. 更に、成分〔A〕100質量部に対して、成分〔E〕として芳香族ポリカーボネート樹脂を1〜30質量部含有する請求項1に記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
  8. 更に、成分〔A〕100質量部に対して、成分〔F〕として難燃剤を1〜30質量部含有する請求項1又は7に記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。

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