JP2005111665A - オフセット印刷用ブランケットおよびそれを用いた電極パターンの印刷方法 - Google Patents

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康彦 近藤
Atsushi Ochi
淳 越智
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Abstract

【課題】プラズマディスレイ(PDP)用電極などの導電性パターンを印刷性よく、安定に連続印刷するためのオフセット印刷用ブランケットとそれを用いる印刷方法を提供する。
【解決手段】支持体層上に表面ゴム層を積層してなるオフセット印刷用ブランケットであって、前記表面ゴム層がインキ離型性のよいゴム材料(シリコーンゴムなど)よりなる厚み5〜600μm上層と、耐溶剤性のよいゴム材料(フロロシリコンゴムなど、低分子量シリコンオイルを添加しておく)よりなる厚み100〜800μmの下層の2層を具備するオフセット印刷用ブランケット。
【選択図】なし

Description

本発明は、オフセット印刷用ブランケットとそれを用いた電極パターンの印刷方法に関し、特に電子回路や画像形成装置等において要求される高解像度、高精度のパターンを連続印刷するのに適したブランケットを提供する。
従来、集積回路における電子回路や液晶ディスプレイのカラーフィルタ等のパターンの形成方法として、例えばPDP電極基板の電極パターンの場合は、感光性の銀ペーストをガラス面に塗布し、その上に通電性を補うための導電性の良好な感光性の銀ペーストを一定の厚みにコーティングし乾燥後に露光、現像を行うフォトリソグラフィー法(フォトリソ法)と呼ばれる方法で主に形成されている。しかし、この方法では、露光されていない多量の高価な感光性の黒色ペーストと銀ペーストが現像時に洗い流されており、廃棄処理とコスト高が問題である。
近年、低コストで電極を形成する方法として印刷法が検討されており、特に印刷精度やインキ膜厚みの面から凹版オフセット印刷の利用が進められており、フォトリソ法による問題が解決できる方法として注目されている。凹版オフセット印刷は、凹版へのインキの充填、ブランケットへの転移、被印刷体への転写の順序で実施され、ブランケットは通常、支持体層上にゴム層(表面印刷層)を積層した積層体よりなり、これを印刷機のブランケット胴に装着して使用される。PDP電極パターンのような微細なパターンをオフセット印刷するにあたっては、電極パターン形成インキを用いて被印刷体としてガラス板などの基板に、精密に連続印刷できることが工業的生産上、要求されてくる。
ブランケットを用いて、微細パターンを連続印刷すると、印刷回数の増加にともなってインキ中の有機溶剤がシリコーンゴムを主成分とするブランケットのインキ受容層中に蓄積され、ブランケットの表面に膨潤が起こり、印刷線幅の減少や、印刷形状乱れや、直線性の劣化など、印刷品位が劣化することが指摘されている(特許文献1参照)。これを解決するために、伸縮性の少ない耐溶剤性に優れた高分子材料からなる支持体と、支持体上に形成された溶剤吸収層(スポンジ状)と、この溶剤吸収層上に形成されたインキ受容層とを具備し、シリコンオイルを含有したブランケットを用いてパターン印刷することが提案されている。
一方、凹版オフセット印刷を微細パターン印刷に適用するとき、連続印刷中に電極パターン形成用インキ中の溶剤がブランケットの表面印刷層を構成するゴム中に浸透し、ゴムを膨潤させることから表面ゴムとインキの濡れ性が変化し、印刷線幅が変化し印刷性能が低下することが知られている。このために、オフセット印刷によるPDP用電極基板の製造にあたり、ブランケット表面を加熱して溶剤を十分乾燥し、乾燥後は所定の温度以上に表面温度が高くならないように冷却する印刷方法が開発されている(特許文献2参照)。
特許文献2におけるPDP用電極基板のパターン印刷は、(i) 導電性インキ組成物を凹版の凹部から印刷用ブランケットの表面へ転移させる工程と、(ii)導電性インキ組成物を印刷用ブランケットの表面からガラス基板の表面に転移させる工程と、を経た後において、印刷用ブランケットの表面を加熱し、表面印刷層からインキの溶剤を蒸発させて除去する工程が施されている。このとき、印刷用ブランケットを加熱する簡単な方法としては、印刷用ブランケットの外部から熱風・温風を吹き付けたり、表面印刷層を加熱したりする方法が挙げられる。発熱体としては、例えば外部からの加熱/非加熱の操作が可能な赤外線ヒーターやランプなどが便宜に用いられる。
これまでに、印刷用ブランケットのインキ堆積性を少なくするために、表面印刷層を形成するゴム材料の膨潤度を外表面から内部へと傾斜的に低くなるように構成したブランケットが提案されている(特許文献3参照)。このブランケットとして、表面印刷層を内層用と外層用の2層構成とし、ゴム材料(NBRなど)中の加硫剤量を内層では多くし、外層(表面側)では少なくしたものが開示されている。
特開平8−252990号公報(請求項1〜3、図1など) 特開2002−245931号公報(請求項1〜2など) 特開2002−234274号公報(請求項1〜2など)
オフセット印刷によりPDP電極のような微細パターンを印刷する場合、電極パターン形成インキをガラス板などの基板を被印刷体として連続印刷できることが工業的生産上、要求される。このためには、通常の紙とインキを対象とする印刷に比べて、印刷用ブランケットの性能をより適したものに改良する必要がある。
上記の課題を解決すべく、本発明者らは印刷用ブランケットにおける表面ゴム層の構成と印刷性能との関係を検討したところ、このゴム層をインキ離型性と耐溶剤性の面から2層に分けることによって、電極パターンの連続印刷を行っても印刷性能が低下しないことを見出し、さらに検討を進めて以下の本発明のオフセット印刷用ブランケットと電極パターンの印刷方法を完成したものである。
1)支持体層上に表面ゴム層を積層してなるオフセット印刷用ブランケットであって、前記表面ゴム層がインキ離型性のよいゴム材料よりなる厚み5〜600μmの上層と、耐溶剤性のよいゴム材料よりなる厚み100〜800μmの下層の2層を具備することを特徴とするオフセット印刷用ブランケット。
2)前記のインキ離型性のよいゴム材料がシリコーンゴムまたはフッ素ゴムであり、耐溶剤性のよいゴム材料がフロロシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、フッ素ゴム、アクリルゴムおよびクロロプレンゴムからなる群より選択された1種のゴムまたは2種以上のブレンドゴムであることを特徴とする上記1)項記載のオフセット印刷用ブランケット。
3)前記のインキ離型性のよいゴム材料からなる上層がJIS−A硬度30〜80°であり、耐溶剤性のよいゴム材料からなる下層がJIS−A硬度20〜70°であることを特徴とする上記1)または2)項記載のオフセット印刷用ブランケット。
4)耐溶剤性のよいゴム材料からなる下層が低分子量シリコンオイルを含有することを特徴とする上記1)〜3)項のいずれかに記載のオフセット印刷用ブランケット。
5)前記低分子量シリコンオイルをゴム分100重量部に対して5〜300重量部の割合で含有せしめることを特徴とする上記4)項記載のオフセット印刷用ブランケット。
6)前記支持体層が、JIS C2151に規定する方法で測定するとき破断伸度が5〜200%で、破断強度が150〜1000MPaである合成樹脂フィルムまたは金属フィルムで構成されていることを特徴とする上記1)〜5)項記載のオフセット印刷用ブランケット。
7)電極パターンをオフセット印刷するに際し、金属粉末とバインダ樹脂とを溶剤に分散または溶解させてなる導電性インキ組成物を凹版の凹部に充填する工程、前記導電性インキ組成物を前記凹版の凹部からブランケットの表面へ転移させる工程、導電性インキ組成物をブランケットの表面から電極基板の表面に転写させる工程とを具備し、かつ前記ブランケットとして上記1)〜6)項のいずれかに記載のブランケットを用いることを特徴とする電極パターンの印刷方法。
本発明において、表面ゴム層を構成する上層はブランケットの最表層に位置し、下層は上層に接して支持体層側に位置する。
本発明のオフセット印刷用ブランケットにおいて、表面ゴム層の上層は5〜600μmの厚みであることを要し、この範囲ではゴム中に拡散したインキ溶剤は乾燥を受けるとすぐに揮発してしまい良好な濡れ性が保持される。これよりも薄くすると、表面ゴムの見かけの硬度が高くなり、被印刷体の表面にうねりあるときなどに対応できなくなりインキの転写が十分できなくなる。また、凹版内部へのゴム層の変形が追随できず、インキの転移がうまくいかずに印刷時にピンホール発生の原因ともなる。上記の上層の厚みは、30〜400μmの範囲がより好ましい。
一方、表面ゴム層の下層は、被印刷体の表面のうねりや、凹版が深い場合であっても凹版内部へもゴムが変形して追随できるように、厚みが100〜800μmであることを要し、さらに好ましい厚みは200〜600μmの範囲である。
本発明において、「インキ離型性のよいゴム材料よりなる厚み5〜600μmの上層」におけるインキ離型性とは、ブランケットに受理したインキが被印刷体にどの程度転写できるかをいい、インキ離型性がよいとはインキの100%またはほぼ100%が転写されることをいう。物性上から、上層の表面自由エネルギーが10dyn/cm(mN/m)〜25dyn/cm(mN/m)の範囲にあることが好ましい。当該上層を形成するゴム材料としては、例えばシリコーンゴムあるいはフッ素ゴムが挙げられる。表面自由エネルギーが25dyn/cmを超えるとブランケット表面の濡れ性がよすぎてインキ離型性が悪くなり、そのために被印刷体への転写性が低下しピンホールの発生や形状の劣化の原因となりやすい。一方、10dyn/cmを下回ると、表面の濡れ性が悪く、インキがブランケットの表面ではじいてしまい凹版で設定した形状を維持できなくなる傾向が強くなる。
本発明において、「耐溶剤性のよいゴム材料よりなる厚み80〜100μmの下層」における耐溶剤性とは、有機溶媒に対して膨潤性が小さいことをいう。具体的な指標で表すとき、ゴム材料をトルエンに24時間浸漬したときに体積変化率が0〜100%の範囲にあるゴム材料が適当である。ここで、体積変化率は、ゴム材料をトルエンに浸漬する前の体積をV0とし、浸漬後の体積をV1とするとき、その差ΔVをV0に対する百分率で表した値をいう。体積変化率が100%を超えると上層中に吸収されたインキ溶剤が下層にも浸透し蓄積され、その蓄積したインキ溶剤が排出され難いことから、徐々に上層ゴムへ拡散しそのインキ離型性を悪くするので好ましくない。さらに、下層ゴムを軟化し(体積増加)硬度を低下させることから印刷精度の低下にもつながる。
本発明のオフセット印刷用ブランケット(以下、単にブランケットと称することがある。)は、表面ゴム層が上記の2層で構成されており、下層には溶剤による膨潤が小さいゴム材料を用いることにより、インキ中の溶剤が主に上層に吸収されることとなり、乾燥により容易に除去することが可能になる。従って、導電性インキを用いて連続印刷しても、印刷精度の高い電極パターンを安定して作成することができる。
以下、本発明のブランケットの構成と使用材料などについて説明する。
本発明のブランケットの表面ゴム層は、前述のように、上下2層より構成される。上層は、インキ離型性のよいゴム材料で形成されており、このインキインキ離型性を示す指標である表面エネルギーの値が、インキの溶剤を含まない乾燥状態において、10〜25dyn/cmであるゴム材料が好ましく用いられる。上層の厚みは5〜600μmの範囲とする。ゴム硬度は、JIS−A硬度で30〜80°であることが好ましく、40〜60°であればさらに好ましい。このように上層を形成することによって、凹版から転写されたインキを100%もしくはほぼ100%転写することができる。
当該ゴム材料として、シリコーンゴムまたはフッ素ゴムが適当である。シリコーンゴムとしては加熱硬化型(HTV)、室温硬化型(RTV)等の種々のシリコーンゴムが挙げられるが、特に室温硬化型の付加型シリコーンゴムは硬化の際に副生成物を全く発生せず、寸法精度において優れているので、好適に使用される。かかるシリコーンゴムの具体例としては、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、トリフルオロプロピルメチルシリコーンゴム等が挙げられる。
また、フッ素ゴムとしては、(1)メチルトリフルオロプロピレンシロキサンとビニルメチルシロキサンの共重合体であるフッ化シリコーンゴム(信越化学工業製のFEシリーズの製品)、(2)フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンの共重合体(デュポン社の商品名「バイトン」)、(3)フッ化ビニリデンと5フッ化プロピレンの共重合体(日本ゼオン社製の商品名「テクノフロン」)、(4)フッ化ビニリデンと3フッ化塩化エチレンの共重合体(Kellog)、(5)4フッ化エチレンとプロピレンの共重合体(旭ガラス社製の商品名「マクラス」)、(6)4フッ化エチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルの共重合体(デュポン社製の商品名「カルレッツ」)、あるいは(7)ジクロロホスフォニトリルの二量体を熱分解し、含フッ素アルコラートとの反応体(Ethyl Co製の「EYPEL-F」)などが挙げられる。
上層の表面は、印刷精度等の観点から、極めて平滑であって、その表面の凹凸等が印刷に影響を及ぼさない程度であることが好ましい。具体的には、その表面の十点平均粗さ(Rz)を1.0μm以下とするのが好ましく、0.5μm以下とすればより好ましくなる。
次に、表面ゴム層を構成する下層は、耐油性のあるゴム材料を用いて、厚み100〜800μmの範囲となるように構成される。この下層は、上層に接着されており、耐溶剤性があることからインキ溶剤が内部まで浸透することを極力抑える機能を有し、かつ表面ゴム層に適当な厚みを与えて安定性をよくする。下層のゴム硬度は、JIS−A硬度で20〜60°であることが好ましく、30〜50°であればさらに好ましくなる。
耐溶剤性の面などを考慮すると、下層を構成するゴム材料としては、フロロシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、フッ素ゴム、アクリルゴムまたはクロロプレンゴムが適当であり、これらのゴム材料を2種以上のブレンドゴムとして用いてもよい。
表面ゴム層を上記のように上下の2層に構成することにより、インキ溶剤が内部まで浸透することが抑えられていることから、連続印刷中、溶剤が表層側から乾燥によって容易に除去され、印刷性能がよく持続される。このとき乾燥を繰り返すと上層を構成するシリコーンゴムの中に含まれる低分子のシリコンオイルが徐々に揮発して表面の濡れ性に変化が生ずる。これを防ぐために、あらかじめインキ中に低分子量のシリコンオイルを含有させておくと、印刷時にシリコンオイルが補給されて安定した印刷を続けることができる。ただ、所望の電極パターンを印刷するためにはインキの設計の自由度をなるべく制限しないことが重要であり、この観点からシリコンオイルの含量はできるだけ少ないことが望まれる。
そこで、本発明のブランケットにおいて、表面ゴム層の下層にあらかじめ低分子量のシリコンオイルを含有させ、シリコンオイルが次第に上層のゴム層に移行し補給する機能を持たせておくことが望ましい。これによって、インキ中へのシリコンオイルの添加量を極力抑えることが可能になる。下層に含有させる低分子量シリコンオイルは、下層のゴム分100重量部に対して5〜300重量部の割合で添加するのが好ましく、10〜150重量部の割合であればさらに好ましい。
上記の低分子量シリコンオイルとしては、環状ポリジメチルシロキサンが挙げられるが、その3量体の例を次式(1)に示す。
Figure 2005111665
この環状ポリジメチルシロキサンは、ジメチルシロキサンが3〜30量体のものが使用可能であり、特に5〜20量体のものが好ましい。
表面ゴム層は、上下層を前述したような厚みとさらに硬度に調整することにより、ブランケットを凹版に圧接しても上記表面印刷層が凹部内に十分に圧入されず、その結果、凹部内に充填した導電性インキ組成物を十分に転写させることができなくなり、精度の高い印刷を行えなくなるおそれがある。逆に、上記範囲を下回ると(ブランケットが柔らか過ぎると)、ブランケットを凹版やガラス基板に圧接した際に表面ゴム層の変形が大きくなり過ぎて、精度の高い印刷を行えなくなるおそれがある。表面ゴム層の層厚みは、200〜1000μmの範囲であることが好ましい。
次に、本発明のブランケットにおいて、前記表面印刷層の下層を構成する支持体層はできる限り伸び率が小さくかつ強度が大きくて、表面が平滑な材料で構成することが要求される。一般的に、オフセット印刷用ブランケットの支持体層には綿布が用いられることが多いが、PDP電極のパターンのような精密印刷の場合、綿布が印刷時に繊維状のほこりを発生し、印刷性能を低下させるので使用しないことが望ましい。本発明では、前記支持体層が、JIS C2151に規定する方法で測定するとき破断伸度が5〜200%で、破断強度が150〜1000MPaである合成樹脂フィルムまたは金属フィルムで構成することが好ましい。
前記合成樹脂フィルムの材質が、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂およびポリエーテルサルフォン樹脂からなる群より選択された1種または2種以上の混合樹脂が好ましく用いられる。また金属フィルムの材質としては、ステンレス、ニッケル、鉄あるいはアルミニウムなどが用いられる。
前記フィルムをブランケットの支持体層とするときその厚みは、材質の強度にもよるが、実用的に伸びの少ない厚みとして50〜1000μm程度であることが好ましい。これよりも薄いとブランケット胴への装着時や印刷使用中に伸びてしまい、これ以上に厚くなると固くなってブランケット胴への装着性が悪くなる。例えば特許文献1のブランケットでは、厚み5〜50μmの基材フィルムを使用することになっているが、この程度の厚みでは実際にブランケット胴に張力をかけて貼り付けると伸びてしまい、本発明の使用目的とする凹版オフセット印刷を行うのには適当ではない。本発明のブランケットの総厚みは、100〜500μmの範囲とするのがよく、200〜400μmの範囲であればさらに好ましい。
本発明のブランケットは、前記の表面ゴム層を支持体層に積層することにより構成されるものであり、例えば金型を用いる注型法により行うことによって作製できる。その工程順序としては、(1)鏡面加工した金型内にあらかじめ支持体層となるフィルムを吸着して設置しておく、(2)液状シリコーンゴム(主剤と硬化剤を所望の量比で含み、攪拌、脱気処理する)を注型口から注入する、(3)室温下で12〜24時間放置し硬化させる、(4)金型より脱型する、ことにより作製できる。
次に、本発明のブランケットを用いる凹版オフセット印刷方法について説明する。このブランケットは、電子回路や画像形成装置等において要求される高解像度、高精度のパターンを連続印刷するのに適したものである。その代表例として、PDP電極用電極基板にパターン印刷する場合を例にして説明する。
PDPは、例えば図1に示すように、アドレス電極(Ag)10、誘電層(ガラス)16'および保護層(MgO)17'を備えた背面基板(リア基板)11と、透明電極14、バス電極15、透明誘電層16および保護層(MgO)17を備えた前面基板(フロント基板)18と、を向き合わせてなるものである。前記背面基板11には、保護層17'の表面にリブ(隔壁)12および蛍光体13(R,G,B)が形成されている。
PDP用電極基板を製造するにあたって、本発明のブランケットは、金属粉末とバインダ樹脂とを溶剤に分散または溶解させてなる導電性インキ組成物を凹版の凹部に充填した後、(i) 前記導電性インキ組成物を前記凹版の凹部からブランケットの表面へ転移させる工程と、(ii)前記導電性インキ組成物をブランケットの表面からガラス基板の表面に転移させる工程によって電極パターンをオフセット印刷するために、精度上および工業生産上有利に用いられる。このオフセット印刷において、前記ブランケットに対して所定の温度での加熱処理を施すことにより、PDP用電極基板に要求される微細なパターンを高い精度でもって形成することができ、しかも前記加熱処理によって、ブランケットの膨潤に伴う印刷形状の低下やピンホールの発生を防止することができ、ひいてはPDP用電極基板の製造に際して高い生産性を発揮することができ、さらには前記加熱処理の後、凹版の表面温度に対して所定の範囲以上温度が高くならないように印刷用ブランケットを冷却することから、印刷用ブランケットに残留する熱によって凹版が膨張すること、およびそれに伴ってパターンの印刷形状の低下やピンホールの発生を防止することができる。
本発明のブランケットを用いると、加熱処理および冷却処理が短時間ですみ熱エネルギーを有効に利用することが可能になる。前記ガラス基板の表面に形成された導電性インキ組成物からなるパターンを常法により焼成して、当該パターンのバインダ樹脂分を除去することにより目的とするPDP電極が作製される。
導電性パターンの印刷形成時に原版として使用される凹版は、電極パターンに対応する凹部をその表面に形成したものであって、平板状のものや、平板状のものを円筒状に巻き付けたもの、円筒状のもの、円柱状のもの等が挙げられる。上記凹版は、その表面の平滑性が極めて重要である。凹版表面の平滑性が乏しいと、導電性インキ組成物をドクターブレードによって凹部に充填する際に凹版表面(凹部以外)の個所にインキのかき残りが発生して、非画線部の汚れ(地汚れ)を招き、印刷精度を著しく低下させる原因となってしまう。
凹版表面の平滑性の程度については、十点平均粗さ(Rz)で表して1μm以下程度であるのが好ましく、0.5μm以下程度であるのがより好ましい。凹版の基板としては、例えばソーダライムガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス、低アルカリガラス、低膨張ガラス等のガラス製基板;フッ素樹脂、ポリカーポネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエステル、ポリメタクリル樹脂等の樹脂板;ステンレス、銅、ニッケル、低膨脹合金アンバー等の金属基板等が挙げられる。中でも、ガラス製の基板は、表面の平滑性が良好な凹版を最も安価に製造できる上、パターンのエッジ形状を極めてシャープなものとすることができることから、好適に用いられる。上記ガラス製凹版のうち、ノンアルカリガラスは極めて高度な寸法精度の要求に対応し得る最も優れた材質の一つであるものの、非常に高価である。通常のPDPに要求される寸法精度を達成するのであれば、例えばソーダライムガラスで十分である。
凹版の凹部は、フォトリソグラフ法、エッチング法、電鋳法、サンドブラスト法(ショットブラスト法)等により形成される。凹部の深さは、前述のように、目的とする印刷パターンの厚みに応じて適宜設定すればよいが、凹部内でのインキの残存(通常、凹部の深さに対して約半分量のインキが残存する)や、溶剤の蒸発による印刷後の厚みの減少等を考慮すると、およそ1〜50μm程度、特に3〜20μm程度とするのが好ましい。
従って、オフセット印刷を実施するにあたって、(i) 導電性インキ組成物を凹版の凹部から印刷用ブランケットの表面へ転移させる工程と、(ii)導電性インキ組成物を印刷用ブランケットの表面からガラス基板の表面に転移させる工程と、を経た後において、ブランケットの表面を加熱し、表面ゴム層(表面印刷層)からインキの溶剤を蒸発させて除去する工程が施される。
ブランケットの表面印刷層中に浸透した溶剤は、表面印刷層を加熱することで蒸発し、除去されることから、元の乾燥した表面状態に完全に戻すことができる。表面印刷層の蒸発・乾燥のし易さは加熱温度、導電性インキ組成物の溶剤の特性(特に沸点)、表面印刷層の厚みが関連するが、一般にブランケットの表面温度 が40〜200℃となるように加熱すれば、十分効果的に乾燥させることが可能である。
加熱時のブランケットの表面温度 が40℃を下回ると、表面印刷層に浸透した溶剤を蒸発・除去する効果が不十分になる。一方、加熱時のブランケットの表面温度 が200℃を超えると、表面印刷層を構成するゴムの熱劣化や変性を招く。加熱時のブランケットの表面温度 は、上記範囲の中でも特に、60〜150℃であるのが好ましく、80〜120℃であるのがより好ましい。
ブランケットを加熱する方法は、従来、ブランケット胴の内部に加熱装置を配置して印刷用ブランケット全体を加熱したり、ブランケットの外部から熱風・温風を吹き付けたり、ブランケット自体の下層にまたはブランケットとブランケット胴との間に発熱体層を配置して、当該発熱体層から表面印刷層を加熱したりする方法が挙げられる。本発明のブランケットを用いると、前記発熱体としては、例えば外部からの加熱/非加熱の操作が可能なフレキシブルな赤外線ヒーターやランプを用いて、表面印刷層を照射乾燥する簡単な方法を採用するときも、熱線を有効に利用できることから、加熱時間の短縮とエネルギー消費を抑えることができる。
ブランケットの加熱処理は、導電性パターンの印刷を行っている際に常時行うことも可能であるが、前述の(i) および(ii)の工程を数回繰り返した上で定期的に行ってもよく、またはブランケットが導電性インキ組成物の溶剤によって膨潤した程度に応じて不定期的に行ってもよい。ブランケットの加熱処理の程度については特に限定されるものではないが、当該表面処理層の表面張力の変化率が、乾燥状態(初期状態)に対して−30〜30%となるように調節するのが好ましい。このように調節することにより、ブランケットがインキの溶剤を吸収する程度を常に初期状態に近い状態でほぼ一定に保つことができ、経時的なパターン形状の劣化を防止し、長期に亘って優れた印刷精度を発揮することが可能となる。
ブランケットの表面温度 が前記加熱処理によって上昇した状態を維持している場合には、印刷工程にて当該ブランケットと凹版との接触に伴って凹版の熱膨張を招いてしまい、印刷精度の低下につながるという問題がある。凹版の表面温度 は、通常、その温度変化を±1℃以内に保つ必要があり、ブランケットの表面温度 の変化を所定の範囲内に収めることが必要となる。
ブランケットの表面を冷却する方法としては、特に限定されるものではないが、印刷用ブランケットの表面を冷風で強制的に冷却するのが最も効果的である。一般に、ブランケット胴は金属製であって、熱容量が大きなものであり、従来のブランケットでは、ランケット胴への熱伝達が大きく、この冷却にも時間を要していたのである。
オフセット印刷に用いる導電性インキ組成物は、前述のように、金属粉末と樹脂バインダとを溶剤中に分散または溶解させてなるペースト状のものである。PDP電極のインキ組成としては、印刷適性と特に前面電極の場合には黒色度を考慮する必要がある。金属粉末としては、例えば銀、銅、金、白金、ニッケル、アルミニウム、鉄あるいはパラジウム等が挙げられる。これらの金属粉末はそれぞれ1種を単独で使用するほか、2種以上を併用することもできる。また、メッキ複合体(例えば銀メッキ銅)や合金体として使用することもできる。また、黒色金属類として、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化マンガン(MnO2)、酸化モリブデン(MoO2)、酸化クロム(Cr23)、酸化銅(CuO)、酸化チタン(TiO)あるいは酸化パラジウム(PdO)などの黒色金属酸化物や、Cr−Co−Mn−Fe、Cr−Cu、Cr−Cu−Mn、Mn−Fe−Cu、Cr−Co−FeあるいはCo−Ni−Cr−Fe等の複合合金が挙げられる。
上記例示の金属粉末の中では、導電性、コスト、耐酸化性(絶縁性の高い酸化物を生成しにくい特性)等の観点から、銀粉末が最も好適である。金属粉末の平均粒径は、導電性インキ組成物の印刷適性等を考慮すると、0.05〜20μm程度であるのが好ましく、0.1〜10μm程度であるのがより好ましい。金属粉末の形状は特に限定されるものではないが、粉末の接触面積を大きくして、低抵抗化を可能にするという観点から、球状よりも鱗片状であるのがより好ましい。金属粉末の充填を最密化させるためには、鱗片状のものを球状のものと混合させて用いることも有効である。
導電性インキ組成物中での金属粉末の充填密度は、導電性パターンを焼成して電極パターンとしたときの体積変化を極力少なく抑え、かつ、焼成後の電極パターンにおける金属粉末の含有割合をできる限り多くするという観点から、導電性インキ組成物の印刷適性を十分に維持することのできる範囲内であれば、より高くすることが望まれる。金属粉末の導電性インキ組成物への添加量は、特に限定されるものではないが、当該導電性インキ組成物の総量に対して60〜95重量%程度であるのが好ましく、80〜90重量%程度であるのがより好ましい。金属粉末の添加量が上記範囲を下回ると、焼成後の金属粉末の充填密度が上がらず、導電性パターンの抵抗が下がらないといった問題が生じる。逆に、金属粉末の添加量が上記範囲を超えると、金属粉末同士を結合させるバインダ樹脂の結合力が弱まって、導電性インキ組成物の印刷適性を低下してしまい、印刷形状の悪化や印刷用ブランケットからガラス基板への転移性の低下を招くおそれがある。
導電性インキ組成物を構成するバインダ樹脂としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の種々の樹脂がいずれも使用可能である。熱硬化性のバインダ樹脂としては、例えばポリエステル−メラミン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。紫外線硬化性のバインダ樹脂としては、例えばアクリル樹脂等が挙げられる。熱可塑性のバインダ樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。上記例示の樹脂はそれぞれ1種を単独で使用するほか、2種以上を混合して用いることもできる。
上記例示の樹脂の中でも、特に300℃以上の高温で焼成すると完全に炭酸ガス(CO2 )と水(H2 O)とに分解する樹脂が好適に用いられる。かかる樹脂としては、例えば熱可塑性のポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂(エチルセルロース)、アクリル樹脂等が挙げられる。バインダ樹脂の導電性インキ組成物への添加量は、当該導電性インキ組成物の総量に対する百分率で表して0.5〜50重量%程度であるのが好ましく、1〜30重量%程度であるのがより好ましい。バインダ樹脂の添加量が上記範囲を下回ると、金属粉末同士を結合させるバインダ樹脂の結合力が弱まって、導電性インキ組成物の印刷適性(パターンの印刷形状や印刷用ブランケット等からのインキの転移性)を低下させるおそれが生じる。逆に、バインダ樹脂の添加量が上記範囲を超えると、焼成後の電極パターンの電気抵抗が下がらなくなるといった問題が生じる。
導電性インキ組成物を構成する溶剤は、凹版オフセット印刷での印刷適性を支配する重要な因子である。とりわけ、既に言及したように、印刷中にはインキの溶剤が常にブランケットの表面印刷層と接触するため、当該表面印刷層は溶剤によって膨潤し、その表面の濡れ特性が変化する。一般に、インキの溶剤による膨潤の程度が少ない場合には、ブランケットの表面の濡れ性に変化が少なく、その結果、安定した印刷が可能となる。
導電性インキ組成物の溶剤は、導電性パターンの印刷に用いられる印刷用ブランケットの表面印刷層の種類に応じて適宜設定される。導電性インキ組成物に用いられる溶剤は、これに限定されるものではないが、印刷用ブランケットの表面印刷層を構成するゴムを常温(23℃)で24時間浸漬したときの当該ゴムの体積増加率(膨潤率)が20%以下、好ましくは10%以下となるものであるのが好ましい。
導電性インキ組成物に用いられる溶剤に求められる他の要件としては、これに限定されるものではないが、例えば沸点については150℃以上であるものが好ましい。溶剤の沸点が150℃を下回ると、印刷時にガラス基板上等で乾燥しやすくなって、印刷特性が変化するおそれがある。また、導電性インキ組成物が経時変化を起こし易くなるおそれもある。かかる溶剤の具体例としては、例えばアルコール類〔ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ベンタデカノール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール等〕や、アルキルエーテル類〔エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、力ルピトールアセテートあるいはブチルカルビトールアセテート等〕が挙げられ、この中から1種または2種以上が、印刷適性や作業性等を考慮して適宜、選択される。
溶剤として高級アルコールを使用する場合は、インキ組成物の乾燥性や流動性が低下するおそれがあるため、これらよりも乾燥性が良好なブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルセロソルブアセテートあるいはブチルカルビトールアセテート等を併用すればよい。溶剤の添加量は、導電性インキ組成物の粘度が50〜2000ポアズ(P)程度となるように、好ましくは200〜1000P程度となるように調整するのが好ましい。導電性インキ組成物の粘度が上記範囲を下回るか、あるいは逆に上回った場合には、そのいずれにおいても、導電性インキ組成物の印刷適性が低下して、微細なパターンを形成できなくなるおそれがあるからである。
上記導電性インキ組成物による印刷パターンを形成するガラス基板としては、例えばソーダライムガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス、低アルカリガラス、低膨張ガラス等が挙げられる。
また、上記ガラス基板には、パターンを高温で焼成する工程に供することを考慮して、歪み点(温度)の高いガラスを用いるのがより好ましい。具体的には、歪み点が500℃以上であるのが好ましく、それゆえ、上記例示のガラスの中でも特に高歪点ガラス(低アルカリガラス)を用いるのが好ましい。前記高歪点ガラスの具体例としては、例えば旭硝子(株)製の品番「PD200」、日本電気硝子(株)製の品番「PP8C」等が挙げられる。基板の厚みは、基板の耐熱性に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、1〜10mmの範囲で適宜、厚みが設定される。
導電インキ組成物を印刷してなる導電性パターンの線幅や厚みは、PDPの画素のサイズ等に応じて、かつ、焼成によって減少する分を考慮しつつ設定するものである。従って、特に限定されるものではないが、一般に、背面基板の場合には、その線幅が40〜100μmとなるように、好ましくは50〜70μmとなるように設定される。また、パターンの厚みは、通常、3〜30μmとなるように、好ましくは5〜20μmとなるように設定される。
一方、前面基板の場合、本発明の方法により形成される前面電極(バス電極)のパターンには、前述の背面電極に形成されるアドレス電極に比べてより一層の細さ、微細さが求められており、具体的には、その線幅が20〜70μmとなるように、好ましくは30〜50μmとなるように設定される。また、パターンの厚みは、通常、3〜30μmとなるように、好ましくは5〜20μmとなるように設定される。
背面基板上に印刷形成された導電性パターンは、さらに450〜650℃に、好ましくは500〜600℃に加熱され、焼成される。かかる焼成により、導電性インキ組成物中の溶剤が蒸発し、さらにバインダ樹脂が熱分解により消失する。こうして、導電性パターンのパターン形状に応じて、金属からなる電極パターンを得ることができる。
以下に、実施例、比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
比較例1〜5
シリコーンゴム(室温硬化型の付加型シリコーンゴム、JIS−A硬度45、信越化学工業社製の「KE1600」)の厚みを表1に示すように種々に変えて表面ゴム層(1層)とし、支持体としての厚み0.3mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(JIS C2151による、破断伸度:150%、破断強度:250MPa)に積層して印刷用ブランケットを作製した。ブランケットの作製にあたっては、表面を精密研磨加工した金型を用いて、前記支持体上にITO微粉末を含むシリコーンゴムを注型法により積層する方法を用いた。ブランケットの総厚みは下層ゴム厚み(300μm)と表1における各上層シリコーンの厚みで表され、また表面印刷層の表面粗度が10点平均粗さ(Rz)で0.1μmである。
実施例1〜4および比較例6〜9
表面ゴム層をシリコーンゴム(信越化学工業社製の「KE1600」、JIS−A硬度45)を上層(最表層)とし、フロロシリコーンゴム(信越化学工業社製の「FE61」厚み300μm、JIS−A硬度25、トルエンに24時間浸漬後の体積変化率ΔV:50%)を下層とする2層より構成し、支持体である厚み0.3mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(JIS C2151による、破断伸度:150%、破断強度:250MPa)に積層して印刷用ブランケットを作製した。ここで、上層のシリコーンゴムの厚みを表2に示すように変化させた。ブランケットの作製にあたっては、表面を精密研磨加工した金型を用いて、前記支持体上にITO微粉末を含むシリコーンゴムを注型法により積層する方法を用いた。表面印刷層の表面粗度が10点平均粗さ(Rz)で0.1μmである。

[PDP電極パターンの印刷]
上記の実施例および比較例で得た各印刷用ブランケットを用いて、PDPの前面板(対角42インチ)に導電性ペーストインキによるパターンをオフセット印刷により形成した。ここで、凹版の線幅は80μm、ピッチは360μm、深さは25μm、被印刷体はPDP用の高歪点ガラス(旭硝子株式会社製「PD200」)を用いた。導電性ペーストインキは、アクリル樹脂(100重量部)、銀粉末(1600重量部)、ガラスフリット(50重量部)、溶剤(200重量部)を配合して分散させ、3本ロールを用いて混練して作製し、最終段階で溶剤(酢酸ブチルカルビトール)を加えて粘度を250ポイズ(せん断速度10s-1)に調整した。
オフセット印刷は、特許文献2に記載の方法に準じて、図2に示す工程で実施した。印刷毎に、ブランケット10の表面に加熱装置25の送風口25から100℃の熱風を20秒間あてて加熱乾燥を行った。印刷を行うクリーンルームは、室温23℃±1℃に制御し、凹版の表面温度もこの温度範囲におさまっていた。乾燥後のブランケット表面に、冷風装置26の送風口26aから10℃の強制的に冷風を20秒間あてて冷却を行った。この印刷条件でPDP電極パターンを、10,000枚連続して印刷を行った。
[評価試験]
上記の各ブランケットを用いてオフセット印刷した電極パターンについて、次の評価方法により評価を行なった。
線幅のバラツキ:面内10箇所の線幅を測定しそれらの平均値で表した。
◎;±1μm以内である。
○;±2μm以内である。
△;±5μm以内である。
×;±10μm程度またはそれ以上のバラツキあり。
ピンホールおよび断線:目視にて面内のピンホール、断線を検査した。
◎;全くピンホール、断線がみられない(検査装置でも認めない)。
○;全くピンホール、断線がみられない(検査装置では1〜2点を認める)。
△;1〜2点のピンホール、断線が認められる。
×;5点以上のピンホール、断線が認められる。
印刷形状:100倍拡大の光学顕微鏡にて形状を観察し、またエッジ形状の乱れを測定した。
◎;エッジ形状乱れ量は全くなし。形状は非常に良好である。
○;エッジ形状乱れ量が1〜2μm程度である。
△;エッジ形状乱れ量が3〜5μm程度である。
×;エッジ形状乱れ量が5μmを超える。
印刷精度:500mm角のアライメント間の距離のずれ量を測定した。
◎;±1μm以内である。
○;±2μm以内である。
△;±5μm以内である。
×;±10μm以上である。
印刷後のブランケット表面温度:非接触赤外温度計で表面温度を測定した。
◎;室温±2℃以内である。
○;室温±5℃以内である。
△;室温±8℃以内である。
×;室温±10℃以上である。
総合評価:
◎;形状、ピンホール・断線、精度がともにフォトリソ法と同程度またはそれ以上である。
○;形状、ピンホール・断線の検査結果が良好。精度もフォトリソ法に比べれば少し低いものの、実用プロセスでは問題なし。
△;形状、ピンホール・断線の検査結果にやや問題あり。
×;実用プロセスとしては問題があり、改善は難しいレベルである。

各評価試験の結果を表1(比較例1〜5)と表2(実施例1〜4および比較例6〜9)に示す。
Figure 2005111665
Figure 2005111665
この結果、実施例1〜4のブランケットを用いて印刷すると線幅バラツキが±5μm以内に収まっており、膜厚みも安定した印刷性のよい電極パターンを作成することができた。このものは、PDPパネル実装上全く問題のないレベルであり、非常に導電性の良好な前面電極を形成することができた。インキの使用量も少なく、フォトリソ法のように廃液の問題がなく、印刷設備が安価であることから生産コストを低減することができる。
本発明のオフセット印刷用ブランケットは、PDP電極パターンのような微細印刷を印刷性よく連続印刷するために適しており、フォトリソ法に比べて廃液処理の問題がなく、また生産コストの低減に大きく貢献することができる。
PDPの背面基板の一例を示す斜視図である。 導電性パターンの印刷工程を示す説明図である。

Claims (7)

  1. 支持体層上に表面ゴム層を積層してなるオフセット印刷用ブランケットであって、前記表面ゴム層がインキ離型性のよいゴム材料よりなる厚み5〜600μmの上層と、耐溶剤性のよいゴム材料よりなる厚み100〜800μmの下層の2層を具備することを特徴とするオフセット印刷用ブランケット。
  2. 前記のインキ離型性のよいゴム材料がシリコーンゴムまたはフッ素ゴムであり、耐溶剤性のよいゴム材料がフロロシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、フッ素ゴム、アクリルゴムおよびクロロプレンゴムからなる群より選択された1種のゴムまたは2種以上のブレンドゴムであることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷用ブランケット。
  3. 前記のインキ離型性のよいゴム材料からなる上層がJIS−A硬度30〜80°であり、耐溶剤性のよいゴム材料からなる下層がJIS−A硬度20〜70°であることを特徴とする請求項1または2記載のオフセット印刷用ブランケット。
  4. 耐溶剤性のよいゴム材料からなる下層が低分子量シリコンオイルを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオフセット印刷用ブランケット。
  5. 前記低分子量シリコンオイルをゴム分100重量部に対して5〜300重量部の割合で含有せしめることを特徴とする請求項4記載のオフセット印刷用ブランケット。
  6. 前記支持体層が、JIS C2151に規定する方法で測定するとき破断伸度が5〜200%で、破断強度が150〜1000MPaである合成樹脂フィルムまたは金属フィルムで構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオフセット印刷用ブランケット。
  7. 電極パターンをオフセット印刷するに際し、金属粉末とバインダ樹脂とを溶剤に分散または溶解させてなる導電性インキ組成物を凹版の凹部に充填する工程、前記導電性インキ組成物を前記凹版の凹部からブランケットの表面へ転移させる工程、導電性インキ組成物をブランケットの表面から電極基板の表面に転写させる工程とを具備し、かつ前記ブランケットとして請求項1〜6のいずれかに記載のブランケットを用いることを特徴とする電極パターンの印刷方法。
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