JP2005110565A - 分化多能性維持剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞、特に胚性幹細胞や体性幹細胞の分化多能性を維持する分化多能性維持剤を提供する。
【解決手段】
本発明のNanogタンパク質とTATペプチドからなる融合タンパク質を用いる。本発明の分化多能性維持剤は、細胞の分化多能性を可逆的に調整することができるため、遺伝子導入法に比べてより臨床応用が可能である。
【選択図】 なし。

Description

本発明は細胞の分化多能性維持剤に関するものである。具体的には、胚性幹細胞や体性幹細胞の分化多能性を維持する剤を提供するものである。
胚性幹(ES)細胞や体性幹細胞などの幹細胞は神経疾患、糖尿病、白血病などに対する移植療法の資源として期待されている。ES細胞は受精卵(胚盤胞)の内部細胞塊に由来し、分化多能性を有することから特に価値が高い。マウスES細胞は白血病阻害因子(LIF)により分化多能性を維持することができる。しかしヒトおよびサルのES細胞はLIF存在下でも、分化多能性を完全に維持しつつ増殖させることが難しい。LIFにかわるES細胞分化多能性維持物質が望まれている。一方体性幹細胞は受精卵を利用しないためES細胞のような倫理的問題が無いという長所を持つ。しかし体性幹細胞はES細胞に比して増殖が悪く、十分な細胞数を得ることが難しい。
本発明者は、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群ECAT(ES cell associated transcript)を同定し、その機能を解析してきた(特許文献1)。これまでにECAT4(Nanog)はホメオボックス転写因子でありES細胞で過剰に発現させるとLIF非依存的に分化多能性を維持できることを明らかにしている(非特許文献1)。
WO 02/097090 A1 Cell, 113, 631-642 (2003)
本発明は、可逆的な分化多能性維持剤、特に胚性幹(ES)細胞や体性幹細胞の可逆的な分化多能性維持剤を提供することを目的とする。
ES細胞や体性幹細胞を分化多能性を維持しながら培養することは困難である。多能性維持に関連する遺伝子の遺伝子導入はリポフェクション法やレトロウイルスベクター法などの公知の方法により達成できるが、(i)高い導入効率を得ることが難しく、(ii)導入された遺伝子は染色体に取り込まれるが染色体のどこに組み込まれるか不明で、不可逆的であり癌化するリスクも高く、(iii)遺伝子導入により不可逆的に分化多能性を維持させると、その後に分化させて応用することが困難である。そのため、臨床応用等を考えると遺伝子導入法は現実的ではない。
そのため、本発明は、遺伝子導入によらない臨床応用可能な分化多能性維持剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題点を解決すべく鋭意検討し、Nanog(ECAT4)タンパク質にTATペプチドを組み合わせた融合タンパク質を培地に添加することによって、融合タンパク質がRF8ES細胞に取り込まれ、LIFなしでも分化多能性を維持しつつ増殖することを見出した。更に、培地から融合蛋白質を除去すると、細胞は分化することも確認した。細胞内に取り込まれた蛋白質が分解されて反応は停止するため、本発明による細胞の分化多能性維持は可逆的である。
本発明は、以上のように、Nanogタンパク質を細胞に取り込ませることによって未分化能を保ったまま胚性幹細胞や体性幹細胞を簡便に培養することができ、細胞の分化多能性の維持を可逆的に調整させることができるという新たな知見に基づき完成するに至ったものである。
即ち本発明の要旨は、以下のとおりである。
〔1〕タンパク質導入ドメインおよびNanogタンパク質を含んでいることを特徴とする融合タンパク質、
〔2〕Nanogタンパク質がヒト、マウスまたはサル由来のものである、上記〔1〕記載の融合タンパク質、
〔3〕タンパク質導入ドメインが、HIV TAT、アンテナペデイア・ホメオドメイン(Antonnapedia homeodomain)、HSV VP22またはそれらのフラグメントである、上記〔1〕または〔2〕記載の融合タンパク質、
〔4〕タンパク質導入ドメインが、線維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)またはそれらのフラグメントである、上記〔1〕または〔2〕記載の融合タンパク質、
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の融合タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNA、
〔6〕上記〔5〕記載のDNAを含有する発現ベクター、
〔7〕上記〔6〕記載の発現ベクターを含有する細胞、
〔8〕上記〔7〕記載の細胞を、融合タンパク質の発現可能な条件下で培養することを特徴とする、上記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の融合タンパク質の製造方法、
〔9〕ビスフォスフォネート化合物、グルコース−6−リン酸、またはP糖タンパク質に結合活性を持つ化合物とNanogタンパク質との化学的結合体、
〔10〕上記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の融合タンパク質または上記〔9〕記載の化学的結合体を有効成分として含有する分化多能性維持剤、
〔11〕細胞が胚性幹細胞または体性幹細胞である、上記〔10〕記載の分化多能性維持剤、
〔12〕上記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の融合タンパク質または上記〔9〕記載の結合体と細胞とを接触させる工程を含む、分化多能性維持方法、
〔13〕細胞が胚性幹細胞または体性幹細胞である、上記〔12〕記載の分化多能性維持方法、
〔14〕ピノサイトーシスで上記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の融合タンパク質または上記〔9〕記載の化学的結合体を細胞内に取り込ませる工程を含む、上記〔12〕または〔13〕記載の分化多能性維持方法、
〔15〕上記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の融合タンパク質または上記〔9〕の化学的結合体を含有する細胞。
本発明により、細胞、特に胚性幹細胞や体性幹細胞の分化多能性を簡便に維持することができる。本発明による分化多能性維持剤は、分化多能性を維持したまま培養することが困難な胚性幹細胞や体性幹細胞などに用いることができ、且つ可逆的に分化多能性を調整することができるため、遺伝子導入法に比べてより臨床応用が可能である。
本発明の「融合タンパク質」とは、タンパク質導入ドメインとNanogタンパク質を含んでいる融合タンパク質であり、細胞に取り込まれることにより細胞の分化多能性を維持するものであればよい。この融合タンパク質を細胞に取り込ませることにより、細胞、特に胚性幹細胞や体性幹細胞を、分化多能性を維持したまま培養することが可能となり、これら細胞の生産の効率性と経済性の向上が期待できる。
融合蛋白の2つのドメインの融合は、いずれの可能な位置でもよく、タンパク質導入ドメインがNanogタンパク質のN末端またはC末端に融合してもよく、あるいはNanogタンパク質の活性部位に融合してもよいが、好ましくは、タンパク質導入ドメインはNanogタンパク質のN末端に融合する。
タンパク質導入ドメインは、直接的な化学結合により、あるいはリンカー分子を介して、Nanogタンパク質に融合してもよい。かかる場合、リンカー分子は、2つのドメインを連結させることのできるいずれの2価の化学構造物であってもよい。本発明の好ましいリンカー分子は短いペプチド、例えば、1〜20個のアミノ酸残基、好ましくは1〜10個のアミノ酸残基を有するものである。
本明細書において「分化多能性」とは、ES細胞が未分化状態のまま増殖し、且つマウス初期胚に移植することにより生殖系を含む全ての細胞へと分化可能であること、更に適切な誘導によりin vitroにおいても各種細胞へと分化可能であることをいう。
本明細書において「タンパク質」には、特定のアミノ酸配列(配列番号:2,4または6)で示されるタンパク質だけでなく、これらと生物学的機能が同等であることを限度として、その同族体(ホモログやスプライスバリアント)、変異体、誘導体などが包含される。ここでホモログとしては、ヒトのタンパク質に対応するマウスやラットなど他生物種のタンパク質が例示でき、これらはHomoloGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/HomoloGene/)により同定された遺伝子の塩基配列から演繹的に同定することができる。また変異体には、天然に存在するアレル変異体、天然に存在しない変異体、及び人為的に欠失、置換、付加および挿入されることによって改変されたアミノ酸配列を有する変異体が包含される。なお、上記変異体としては、変異のないタンパク質と、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは97%相同なものを挙げることができる。
従って、本明細書において「Nanogタンパク質」は、特に言及しない限り、特定アミノ酸配列(配列番号2,4または6)で示されるNanogタンパク質やその同族体、変異体、誘導体などを包含する趣旨で用いられる。具体的には、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を有するマウスNanog、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を有するヒトNanog、配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有するサルNanog、およびラットホモログなどが包含される。ここで配列番号2に示すタンパク質は、マウス由来のNanog遺伝子によってコードされるタンパク質である。配列番号4に示すタンパク質は、ヒト由来のNanog遺伝子によってコードされるタンパク質である。配列番号6に示すタンパク質は、サル由来のNanog遺伝子によってコードされるタンパク質である。
Nanogタンパク質には、配列番号2,4または6に示す各アミノ酸配列を有するタンパク質のみならず、その相同物も包含される。該相同物としては、上記各アミノ酸配列において、1もしくは複数(通常数個)のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、且つもとの各アミノ酸配列のNanogタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質を挙げることができる。
ここで実質的に同質の活性とは、該タンパク質を発現させた細胞、または該タンパク質を取り込んだ細胞が分化多能性を維持するという性質を示す。具体的には、例えば、マウスES細胞であれば、LIFなしでも該タンパク質を発現させた細胞または該タンパク質を取り込んだ細胞の分化多能性が維持されるという性質を示す。このようなNanogタンパク質の性質は、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により容易に測定することができる。例えば、細胞をマウス初期胚に移植することによりキメラマウスを作ることができるか、細胞をヌードマウスに移植すると各種細胞を含む奇形腫を形成するか、細胞をin vitroで分化誘導すると各種細胞に分化することができるか等を調べることにより、分化多能性を測定することができる。
なお、タンパク質におけるアミノ酸の変異数および変異部位は、その活性が保持される限り制限はない。活性を消失することなくアミノ酸残基が、どのように、何個置換、挿入あるいは欠失されればよいかを決定する指標は、当業者に周知のコンピュータプログラム、例えばDNA Star softwareを用いて見出すことができる。例えば変異数は、典型的には、全アミノ酸の10%以内であり、好ましくは全アミノ酸の5%以内であり、さらに好ましくは全アミノ酸の1%以内である。また置換されるアミノ酸は、置換後に得られるタンパク質がNanogタンパク質の活性を保持している限り、特に制限されない。この置換されるアミノ酸は、タンパク質の構造保持の観点から、アミノ酸の極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性、両親媒性などにおいて置換前のアミノ酸と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。例えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、PheおよびTrpは互いに非極性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、AsnおよびGlnは互いに非荷電性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、AspおよびGluは互いに酸性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、またLys、ArgおよびHisは互いに塩基性アミノ酸に分類されるアミノ酸である。ゆえに、これらを指標として同群に属するアミノ酸を適宜選択することができる。
Nanogタンパク質は、天然物(例えばES細胞株)から自体公知のタンパク質の精製方法によって製造することもできるし、また後述するNanogタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。
本発明において「タンパク質導入ドメイン」とは、タンパク質を導入することができる、またはタンパク質導入を補助することのできるものであればよく、何ら限定されない。例えば、公知であるHIV TAT、アンテナペデイア・ホメオドメイン(Antonnapedia homeodomain)、HSV VP22またはそれらのフラグメント、cell penetrating peptides (CPP)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、またはそれらのフラグメント等を挙げることができる。
タンパク質導入ドメインにTAT、アンテナペデイア・ホメオドメイン(Antonnapedia homeodomain)、HSV VP22またはそれらのフラグメントを用いることによって、広範囲な細胞にERasを細胞内に取り込ませることができる。また、目的細胞において特異的に発現するレセプターと結合する物質をタンパク質導入ドメインとして用いることにより組織あるいは細胞特異的な取り込みが可能となるため、線維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)あるいはそれらのフラグメントなどをタンパク質導入ドメインとして用いることにより、対応するレセプターが発現した組織あるいは細胞特異的にERasを細胞内に取り込ませることができる。
「HIV TAT、アンテナペデイア・ホメオドメイン(Antonnapedia homeodomain)、HSV VP22」には、HIV由来のTAT(Green and Loewnstein, Cell, 56(6): 1179-88 (1988); Frankel and Pabo, Cell, 55(6): 1189-93 (1988))、ショウジョウバエ由来のアンテナペディア蛋白(Vives et al., J. Biol. Chem, 272(25): 16010-7 (1997))、HSV由来のVP22(Elliott and O'Hare, Cell, 88(2): 223-33 (1997))のみならず、その機能が同等であることを限度として、その同族体(ホモログやスプライスバリアント)、変異体などが包含される。なお、変異体としては、変異のないタンパク質と、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは97%相同なものを挙げることができる。
「HIV TAT、アンテナペデイア・ホメオドメイン、HSV VP22のフラグメント」とは、前記のHIV TAT、アンテナペデイア・ホメオドメインおよびHSV VP22のいずれかのフラグメントであり、タンパク質導入機能またはタンパク質導入を補助する機能を有するものであり、且つ融合タンパク質が活性を示すことができるものであればよい。好ましくは、HIV TATのフラグメントを挙げることができる。フラグメントの長さはタンパク質導入またはタンパク質導入を補助する機能を有すれば何ら限定はされない。HIV TAT、アンテナペデイア・ホメオドメインおよびHSV VP22のフラグメントとしては、細胞膜を貫通する能力を有する蛋白トランスダクションドメイン(以下、「PTD」という)が同定されており、本明細書のフラグメントにはこれらPTDも包含される。異種蛋白とPTDを融合することにより、培養細胞中にトランスデュースすることができることは公知であり、その作製方法も知られている(Fawell et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91(2): 664-8 (1994); Elliott and O'Hare (1997), Phelan et al., Nature Biotech. 16: 440-443 (1998)およびDilber et al., Gene Ther., 6(1): 12-21 (1999)、特許番号第2702285号)。また、HIV TAT蛋白由来の11アミノ酸のPTDに融合したβ−ガラクトシダーゼ蛋白が生きたマウスのすべての組織に浸潤してすべての単一細胞に到達できることも報告されている(Schwarze et al., Science, 285(5433): 1569-72 (1999))。
HIV TATのフラグメントとしては、具体的には、前記の公知文献等に記載されているものを挙げることができるが、好ましくは特許番号第2702285号に記載のHIV TATフラグメントであり、更に好ましくは配列番号:11で示されるHIV TATペプチドである。
「線維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)またはそれらのフラグメント」とは、公知のFGFタンパク質、公知のHGFタンパク質またはそれらのフラグメントであり、対応するレセプター発現細胞にタンパク質を導入する機能またはタンパク質導入を補助する機能を有するものであればよく、何ら限定されない。線維芽細胞増殖因子(FGF)のフラグメントとの結合体が細胞内に取り込まれることは公知である(Rojas, M. et al., Nat. Biotechnol., 16: 370-375 (1998)、Lin, Y. Z. et al., J. Biol. Chem. 270: 14255-14258(1995))。従って、これらに報告されているFGFフラグメントをもちいるのが好ましい。
本発明の融合タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNAは、前記Nanogタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドとタンパク質導入ドメインをコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する。
本発明の融合タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNAは、種々の細胞や組織、例えばES細胞由来のcDNA、ゲノムDNA、または合成DNAのいずれであっても、組み合わせであっても良い。具体的には、例えば
(a)配列番号:2記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと配列番号:11記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するDNA、
(b)配列番号:4記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと配列番号:11記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するDNA、
(c)配列番号:6記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと配列番号:11記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するDNA、
(d)配列番号:1記載の塩基配列と配列番号:9または10記載の塩基配列を含有するDNA、
(e)配列番号:3記載の塩基配列と配列番号:9または10記載の塩基配列を含有するDNA、
(f)配列番号:5記載の塩基配列と配列番号:9または10記載の塩基配列を含有するDNA、
(g)配列番号:1記載の塩基配列の第190番目のヌクレオチドから第1104番目のヌクレオチドで示される塩基配列と配列番号:9または10記載の塩基配列を含有するDNA、
(h)配列番号:3記載の塩基配列の第217番目のヌクレオチドから第1131番目のヌクレオチドで示される塩基配列と配列番号:9または10記載の塩基配列を含有するDNA、
(i)配列番号:5記載の塩基配列の第894番目のヌクレオチドから第1691番目のヌクレオチドで示される塩基配列と配列番号:9または10記載の塩基配列を含有するDNA、
(j)配列番号:8記載のアミノ酸配列をコードするDNA、
(k)配列番号:7記載の塩基配列を含有するDNA、
(l)配列番号:7記載の塩基配列からなるDNA、
または、これら(a)〜(l)のDNAと実質的に同一の塩基配列を含有するDNAが挙げられる。
これら配列番号:1,3または5に記載の塩基配列を含有するポリヌクレオチドは、本明細書の配列表の配列番号:1,3または5に開示されている塩基配列の適当な部分をハイブリダイゼーションのプローブあるいはPCRのプライマーに用いて、例えばES細胞由来のcDNAライブラリーをスクリーニングすることなどによりクローニングすることができる。該クローニングは、例えばMolecular Cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等の基本書に従い、当業者ならば容易に行うことができる。
また前記(a)〜(l)のいずれかのDNAと実質的に同一の塩基配列を含有するDNAとは、具体的には、
(m) 前記(a)〜(l)のいずれかのDNAの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、
(n) 前記(a)〜(l)のいずれかのDNAとの配列同一性を示す塩基配列を含有するDNA、
(o) 前記(a)〜(l)のいずれかのDNAによりコードされるタンパク質において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNA、
などが挙げられる。
ここで前記(a)〜(l)のいずれかのDNAの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとは、例えば前記(a)〜(l)のいずれかのDNAの塩基配列と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の配列同一性を有する塩基配列を含有するDNAが挙げられる。具体的には、前記(a)〜(l)のいずれかのDNAの部分配列などが挙げられる。
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えばMolecular Cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等の基本書に記載の方法に従って行うことができる。また市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
「ストリンジェントな条件」とは、例えば、6×SSC(20×SSCは、333mM Sodium citrate、333mM NaClを示す)、0.5%SDSおよび50%ホルムアミドを含む溶液中で42℃にてハイブリダイズさせる条件、または6×SSCを含む(50%ホルムアミドは含まない)溶液中で65℃にてハイブリダイズさせる条件などが挙げられる。またハイブリダイゼーション後の洗浄の条件としては、0.1×SSC、0.5%SDSの溶液中で68℃にて洗浄するような条件が挙げられる。
前記(a)〜(l)のいずれかのDNAとの配列同一性を示す塩基配列を含有するDNAとは、例えば前記(a)〜(l)のいずれかのDNAの塩基配列と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の配列同一性を示す塩基配列を含有するDNAが挙げられる。具体的には、前記(a)〜(l)のいずれかのDNAの部分配列などが挙げられる。このような配列同一性を有するDNAは、前述のハイブリダイゼーション反応やPCR反応により、または後述するDNAの改変(欠失、付加、置換)反応により作製することができる。
前記(a)〜(l)のいずれかのDNAによりコードされるタンパク質において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNAとは、人為的に作製したいわゆる改変タンパク質や、生体内に存在するアレル変異対等のタンパク質をコードするDNAを意味する。
ここでタンパク質におけるアミノ酸の変異数や変異部位は、本発明のDNAによりコードされるタンパク質の活性(分化多能性維持活性)が保持される限り制限はない。このように活性を喪失することなくアミノ酸残基が、どのように、何個欠失、置換及び/又は付加されればよいかを決定する指標は、当業者に周知のコンピュータプログラム、例えばDNA Star softwareを用いて見出すことができる。例えば変異数は、典型的には、全アミノ酸の10%以内であり、好ましくは全アミノ酸の5%以内であり、さらに好ましくは全アミノ酸の1%以内である。また置換されるアミノ酸は、タンパク質の構造保持の観点から、残基の極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性並びに両親媒性など、置換前のアミノ酸と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。例えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe及びTrpは互いに非極性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn及びGlnは互いに非荷電性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、Asp及びGluは互いに酸性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、またLys、Arg及びHisは互いに塩基性アミノ酸に分類されるアミノ酸である。ゆえに、これらを指標として同群に属するアミノ酸を適宜選択することができる。
この改変タンパク質をコードするDNAは、例えば、Molecular Cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等の基本書に記載の種々の方法、例えば部位特異的変異誘発やPCR法等によって製造することができる。また市販のキットを用いて、Gapped duplex法やKunkel法などの公知の方法に従って製造することもできる。
以上のような、前記(a)〜(l)のいずれかのDNAと実質的に同一の塩基配列を含有する本発明のDNAは、当該DNAによりコードされるタンパク質が、細胞内への導入が可能であり、導入された後は、配列番号:2,4または6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質であることが好ましい。ここで実質的に同質の活性とは、本発明のDNAによりコードされるタンパク質を発現させた細胞、あるいは当該タンパク質を取り込んだ細胞の分化多能性が維持されるという性質を指す。具体的には、例えばマウスのES細胞であれば、LIFなしでも当該タンパク質を発現させた細胞または当該タンパク質を取り込んだ細胞の分化多能性が維持されるという性質を示す。該活性およびその測定法については、公知の方法にて実施することができる。
本発明のDNAは、1本鎖および2本鎖のいずれの形態もとることができる。本発明のDNAが2本鎖の場合、前記本発明のDNAを発現ベクターに挿入することにより、本発明のタンパク質を発現するための組換え発現ベクターを作製することができる。
ここで用いる発現ベクターとしては、用いる宿主や目的等に応じて適宜選択することができ、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター等が挙げられる。
例えば、宿主が大腸菌の場合、ベクターとしては、pUC118、pUC119、pBR322、pCR3等のプラスミドベクター、λZAPII、λgt11などのファージベクターが挙げられる。宿主が酵母の場合、ベクターとしては、pYES2、pYEUra3などが挙げられる。宿主が昆虫細胞の場合には、pAcSGHisNT-Aなどが挙げられる。宿主が動物細胞の場合には、pCEP4、pKCR、pCDM8、pGL2、pcDNA3.1、pRc/RSV、pRc/CMVなどのプラスミドベクターや、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクターなどのウイルスベクターが挙げられる。
前記ベクターは、発現誘導可能なプロモーター、シグナル配列をコードする遺伝子、選択用マーカー遺伝子、ターミネーターなどの因子を適宜有していても良い。
また、単離精製が容易になるように、チオレドキシン、Hisタグ、あるいはGST(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)等との融合タンパク質として発現する配列が付加されていても良い。この場合、宿主細胞内で機能する適切なプロモーター(lac、tac、trc、trp、CMV、SV40初期プロモーターなど)を有するGST融合タンパクベクター(pGEX4Tなど)や、Myc、Hisなどのタグ配列を有するベクター(pcDNA3.1/Myc-Hisなど)、さらにはチオレドキシンおよびHisタグとの融合タンパク質を発現するベクター(pET32a)などを用いることができる。
前記で作製された発現ベクターで宿主を形質転換することにより、当該発現ベクターを含有する形質転換細胞を作製することができる。
ここで用いられる宿主としては、大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられる。大腸菌としては、E.coli K-12系統のHB101株、C600株、JM109株、DH5α株、AD494(DE3)株などが挙げられる。また酵母としては、サッカロミセス・セルビジエなどが挙げられる。動物細胞としては、L929細胞、BALB/c3T3細胞、C127細胞、CHO細胞、COS細胞、Vero細胞、Hela細胞、293-EBNA細胞などが挙げられる。昆虫細胞としてはsf9などが挙げられる。
宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、前記宿主細胞に適合した通常の導入方法を用いれば良い。具体的にはリン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン法、エレクトロポレーション法、遺伝子導入用リピッド(Lipofectamine、Lipofectin; Gibco-BRL社)を用いる方法などが挙げられる。導入後、選択マーカーを含む通常の培地にて培養することにより、前記発現ベクターが宿主細胞中に導入された形質転換細胞を選択することができる。
以上のようにして得られた形質転換細胞を好適な条件下で培養し続けることにより、本発明のタンパク質を製造することができる。得られたタンパク質は、一般的な生化学的精製手段により、さらに単離・精製することができる。ここで精製手段としては、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等が挙げられる。また本発明のタンパク質を、前述のチオレドキシンやHisタグ、GST等との融合タンパク質として発現させた場合は、これら融合タンパク質やタグの性質を利用した精製法により単離・精製することができる。
なお、実施例に示すように、これらの融合タンパク質は、試験管内で合成、精製することもできる。
本発明の「化学的結合体」とは、Nanogタンパク質を、ビスフォスフォネート化合物、グルコース−6−リン酸、またはP糖タンパク質に結合活性を持つ化合物と化学的に結合して得られる化学的結合体のことである。
「ビスフォスフォネート化合物」とは、例えば、エチドロネート、アレンドロネート、リセドロネート、インカドロネート、パミドロネート等の公知の化合物を挙げることができる。ビスフォスフォネート化合物は骨芽細胞に選択的に取り込まれるため、この公知の性質を利用したビスフォスフォネート化合物との結合体が報告されている(Calcif. Tissue Int., 59: 168-173 (1996)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 4: 1375-1380(1995))。そのため、Nanogタンパク質にビスフォスフォネート化合物を化学的に結合させた化学的結合体は骨芽細胞に将来分化していく間質系幹細胞特異的に取り込まれる。
グルコース−6−リン酸は公知の物質であり、Nanogタンパク質と化学的に結合させることによって化学的結合体は肝細胞および膵細胞に将来分化していく前駆細胞特異的に取り込まれる。
P糖タンパク質に結合活性を持つ化合物とは、例えばBCRPインヒビターを挙げることができる。具体的には、例えば、BCRPインヒビターであるGF120918などを挙げることができる。P糖タンパク質に結合活性を持つ化合物とNanogタンパク質を化学的に結合させることにより、化学的結合体はSP細胞と呼ばれる各種体性幹細胞特異的に取り込まれる。
Nanogタンパク質は前記のように作製することができる。精製されたNanogタンパク質とこれらの物質の化学的結合体は、アミノ基を持つリンカーをつけることで酸アミド結合など公知の方法に従って化学的に結合させることによって作製することができる。
本発明の「分化多能性維持剤」とは、上記の本発明の融合タンパク質あるいは化学的結合体のうち少なくとも1つを含有する剤のことであり、細胞に取り込まれることにより、細胞の分化多能性を維持する剤をいう。具体的には、例えば、マウスのES細胞に用いることにより、LIFなしの条件においても細胞が分化多能性を維持することができる剤をいう。
ここで細胞は、特に限定されないが、哺乳動物細胞を挙げることができる。哺乳動物細胞とは、ヒト、サル、ラットやマウス等の哺乳動物の組織・臓器細胞またはこれら由来の細胞であって、個体の細胞、個体から取り出した初代細胞、または培養細胞のいずれでもよい。好ましくは、市販の培養細胞(ATCC社など)、胚性幹(ES)細胞や体性幹細胞などの幹細胞を挙げることができ、より好ましくは胚性幹細胞や体性幹細胞である。本発明の分化多能性維持剤は、胚性幹細胞や体性幹細胞の維持培養を容易とすることによって細胞移植療法において十分な細胞数を確保することに貢献し、遺伝子改変動物の作製も容易とする。また本発明の分化多能性維持剤は体内における体性幹細胞を増加させることなどにも有用である。
本発明の分化多能性維持剤を作用させるには、当該剤を直接体内に導入するin vivo法、ヒトからある種の細胞を採取し、体外で該細胞に添加してその細胞を体内に戻すex vivo法、および培養細胞に添加するin vitro法がある。
投与方法としては、ex vivo法またはin vitro法であれば、細胞を培養している培養液中に添加、あるいは細胞に直接添加することができる。添加量は、細胞の種類、細胞数等により適宜調整することができるが、細胞毒性が認められず分化多能性維持活性が認められればよい。製剤中の本発明の融合タンパク質または結合体の添加量は、通常培地に0.0001μM〜1000μM、好ましくは0.0001μM〜10μM、より好ましくは0.0001μM〜1μMであり、これを1〜数日に1回添加するのが好ましい。
また、in vivo法の投与方法としては、皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、静脈内投与などが挙げられる。製剤中の本発明の融合タンパク質または結合体の投与量は、治療目的の疾患、患者の年齢、体重などにより適宜調整することができるが、通常0.0001mg〜1000mg、好ましくは0.001mg〜100mg、より好ましくは0.01mg〜10mgであり、これを1〜数日に1回投与するのが好ましい。
分化多能性維持剤の有効成分である本発明の融合タンパク質または結合体は、そのままもしくは自体公知の薬学的に許容される担体(賦形剤、増量剤、結合剤、滑沢剤などが含まれる)、慣用の添加剤などと混合して試薬あるいは医薬組成物として調製することができ、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または培地等を含むものであってもよい。当該医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、注射剤、点滴剤、外用剤、坐剤などに調整することができる。
本発明の「分化多能性維持方法」とは、本発明の融合タンパク質あるいは化学的結合体のいずれかを細胞に接触させることにより、分化多能性を維持する方法である。具体的には、例えば、本発明の分化多能性維持剤を細胞培養培地中に添加して細胞に接触させ、細胞に取り込ませることによって分化多能性を維持する方法のことである。本発明の分化多能性維持方法は、本発明の融合タンパク質あるいは化学的結合体のいずれかを細胞と接触させた後に、細胞のピノサイトーシス(飲作用)により取り込まれ、細胞の分化多能性が維持される方法であってもよい。細胞のピノサイトーシスを利用した取り込み(導入)は、例えば、市販のキットであるInflux(登録商標) Pinocytic Cell-Loading Reagent(Molecular Probe社)を用いることによって実施することができる。
細胞は、特に限定されないが、哺乳動物細胞を挙げることができる。哺乳動物細胞とは、ヒト、サル、ラットやマウス等の哺乳動物の組織・臓器細胞またはこれら由来の細胞であって、個体の細胞、個体から取り出した初代細胞、または培養細胞のいずれでもよい。好ましくは、市販の培養細胞(ATCC社など)、胚性幹細胞や体性幹細胞などの幹細胞を挙げることができ、より好ましくは胚性幹細胞や体性幹細胞である。
前記の分化多能性維持剤あるいは分化多能性維持方法により、本発明の融合タンパク質あるいは化学的結合体を含有する細胞を作製することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(1)TAT-Nanog発現ベクターの構築
オリゴDNA TAT-S(配列番号9)とTAT-AS(配列番号10)を94度で1分間変成の後、徐々に室温に戻し2本鎖DNAを作製した。これをpCDNA3.1のHindIII/BamHI部位にライゲーションした(pCDNA3.1-TAT)。このpCDNA3.1-TATのBamHI/EcoRV部位にGateway rfB Casetteを挿入してpCDNA3.1-TAT-GWを作製した。pCDNA3.1-TAT-GWとpEnter-mNanogでLR組み換え反応(Invitrogen社)を行い、pCDNA3.1-TAT-Nanog(図1)を作製した。TAT-NanogのDNA配列は配列番号7に、アミノ酸配列は配列番号8で示されている。
(2)TAT-Nanog蛋白質の合成と精製
融合タンパク質の合成と精製はPureGeneシステムを用いてin vitroにおいて行った。
(3)TAT-Nanog蛋白質による分化多能性維持
マウス由来のRF8ES細胞は15%の胎児血清と1000U/μlのLIFを含むDMEM培地で培養すると長期間にわたり未分化状態を保つ。LIFを除去すると細胞は分化し、大型で扁平の細胞へと変化する。LIFのかわりにTAT-Nanogタンパク質を培地に加えると、LIFなしで未分化状態が保たれた(図2)。
本発明により、細胞、特に胚性幹細胞や体性幹細胞の分化多能性を維持することができる融合タンパク質、または化学的結合体を提供することができる。本発明の分化多能性維持剤は、分化多能性を可逆的に調整をすることができるため、遺伝子導入法に比べてより臨床応用が可能である。
融合蛋白質の例 NanogやNanogなどのECAT蛋白質のN末端にHIV由来のTATペプチドを融合させたもの。これらの蛋白質や大腸菌内やCell Free合成系で合成、精製することができる。 TAT-Nanogタンパク質によるES細胞の未分化状態維持。
配列表配列番号9で示される塩基配列はオリゴDNA TAT-S、配列番号10で示される塩基配列はオリゴDNA TAT-AS、配列番号11で示されるアミノ酸配列はTATペプチドである。

Claims (14)

  1. タンパク質導入ドメインおよびNanogタンパク質を含んでいることを特徴とする融合タンパク質。
  2. Nanogタンパク質がヒト、マウスまたはサル由来のものである、請求項1記載の融合タンパク質。
  3. タンパク質導入ドメインが、HIV TAT、アンテナペデイア・ホメオドメイン(Antonnapedia homeodomain)、HSV VP22またはそれらのフラグメントである、請求項1または2記載の融合タンパク質。
  4. タンパク質導入ドメインが、線維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)またはそれらのフラグメントである、請求項1または2記載の融合タンパク質。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の融合タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNA。
  6. 請求項5記載のDNAを含有する発現ベクター。
  7. 請求項6記載の発現ベクターを含有する細胞。
  8. 請求項7記載の細胞を、融合タンパク質の発現可能な条件下で培養することを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の融合タンパク質の製造方法。
  9. ビスフォスフォネート化合物、グルコース−6−リン酸、またはP糖タンパク質に結合活性を持つ化合物とNanogタンパク質との化学的結合体。
  10. 請求項1〜4いずれか記載の融合タンパク質または請求項9記載の化学的結合体を有効成分として含有する分化多能性維持剤。
  11. 細胞が胚性幹細胞または体性幹細胞である、請求項10記載の分化多能性維持剤。
  12. 請求項1〜4いずれか記載の融合タンパク質または請求項9記載の化学的結合体と細胞とを接触させる工程を含む、分化多能性維持方法。
  13. 細胞が胚性幹細胞または体性幹細胞である、請求項12記載の分化多能性維持方法。
  14. 請求項1〜4いずれか記載の融合タンパク質または請求項9記載の化学的結合体を含有する細胞。
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