JP2005105421A - 靴下裏返し装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】靴下編成時の生折れを防止する機能を有し、さらに、編立た靴下を編み機から取り出すときにスムーズに確実に裏返してつま先縫合ミシンに送り込むことができ、靴下製造の完全自動化を可能ならしめる靴下の裏返し装置を提供する。
【解決手段】編み機20のシリンダ21内に配置して靴下の編立済み部を内部に取り込む裏返し筒2、この裏返し筒2を昇降させるアクチュエータ3、裏返し筒2をシリンダ21の回転に同期させて回転させる機構4、待機点からシリンダ21上に移動させる外筒5、外筒5の内部に設けてアクチュエータ7で昇降させる吸い上げ筒6、および外筒5と吸い上げ筒6との間に気流を発生させる気流発生源8の各要素によって裏返し装置1を構成し、裏返し筒2を上昇させてこの筒でつま先側開口部が編み機の編み針22に保持されている靴下Aを裏返し、同時に気流発生源8によって発生させた気流で靴下を吸い上げ、裏返し完了後に吸い上げ筒6を裏返し筒2の内部に入り込むまで下降させ、その後に裏返し筒2を下降させて靴下Aを吸い上げ筒6に受け渡すようにした。
【選択図】図2

Description

この発明は、編立た丸編み靴下を、編み機から取出しながらスムーズに確実に裏返すことを可能ならしめる靴下裏返し装置に関する。
丸編み機を用いて製造される靴下(丸編み靴下)は、編立を完了したときにはつま先が開いており、編立後につま先縫合を必要とする。そのつま先縫合の一方法として先かがり(リンキング)があり、これは、編立た靴下を裏返し、ミシンで全周の目を拾ってつまさきを縫い合わせる方法で行なわれる。この先かがりなどによるつま先縫合を終えて表が外になるように表返しを行なうと靴下が完成する。
ところで、丸編み靴下用の編み機は目ざましく進化し、指定通りの給糸を行なえば編立は全てコンピュータ制御で行なえるものが開発されており、その自動編み機を使用して靴下の製造を完全に自動化することが試みられている。
編み機の隣につま先縫合ミシンを配置し、編み機のシリンダから取り出した編立済の靴下をその場で裏返してつま先縫合ミシンに送り込むことができれば、靴下製造の全自動化が図れる。完全な自動化が実現すれば、編立、裏返し、つま先縫合の各工程間で費やしている無駄な時間と労力を削減でき、靴下の生産性が飛躍的に向上する。また、工程間での搬送ライン等も最小限に縮小され、製造ラインの設置スペースなども大幅に削減できる。
そこで、下記特許文献1は、編立後の靴下をバキュームパイプで吸引して裏返し、その後、つま先開口部のループを編み針から移し針に移行させ、移し針を取り付けた移動台群を2列に並ぶように移動させてつま先開口部の縁を重ね、これをミシンで縫合するつま先縫製方法とつま先縫製装置を提案している。
特開2002−28386号公報
しかしながら、この特許文献1の技術も含めて従来の方法、装置には、靴下製造の完全自動化を阻む大きな難題があった。その難題とは、従来の装置によると靴下の生折れが発生し、また、機械による靴下の安定した裏返しができないことである。
編み上げた靴下を裏返すために従来考えられている方法の一つに、上記特許文献1が述べているように、つまさき側開口部のループが編み針に支持されている靴下を編み機のシリンダ上に移動したバキュームパイプで吸引して反転させる方法がある。また、裏返しの他の方法として履き口側を編み機のシリンダ内に配置した筒などで靴下のつま先開口側に押し込んで全体を反転させることも試みられているが、これらの方法、装置では上述した生折れの防止と、スムーズな裏返しを実現できない。
通常の編み機は、シリンダとシリンダの内部に配置された中筒が同期して回転していない。シリンダは回転し、靴下の編上げ部は回転しない中筒に取り込まれるため、編成過程において靴下がねじれ、生折れが発生し易い。
上述した生折れは、平生地の場合クレームの対象となる。また、編成中にねじれた靴下をねじれを戻さずに上記の方法で裏返すと、裏返しの動作に支障が出たり、裏返しが不完全になったりしてライン停止、製品不良などに結びつく。
従って、生折れを無くすこと、及び編立た靴下を編み機の外部に出しながら確実に裏返してつま先縫合工程に送りだせるようにすることが望まれるが、この2つの要求に応えられる裏返し装置はなく、そのために、靴下製造の完全自動化は実現できていなかった。
編立た靴下を編み機から取り出すときに、生折れを生じさせることなく、スムーズに、確実に裏返してつま先縫合ミシンに送り込むことができれば靴下製造の完全自動化が図れる。この発明の課題は、かかる要求に応えた靴下の裏返し装置を提供することにある。
上記の課題を解決するため、この発明においては、編立た丸編み靴下を編み機のシリンダから機外に取出しながら裏返す装置を提供する。その裏返し装置は、編み機のシリンダ内に配置して靴下の編立済み部を内部に取り込む裏返し筒と、この裏返し筒を昇降させるアクチュエータと、前記裏返し筒を編み機のシリンダの回転に同期させて回転させる同期機構と、編み機のシリンダ上に移動させる外筒と、この外筒の内部に昇降可能に設ける吸い上げ筒と、前記外筒と吸い上げ筒との間に気流を発生させる気流発生源とを有し、
前記外筒と吸い上げ筒が編み機のシリンダ上に移動した後、前記裏返し筒が上昇を開始し、この裏返し筒が、つま先開口部が編み機に保持されている靴下の表側に入り込んで靴下を裏返しながら上昇し、同時に前記外筒と吸い上げ筒との間に発生させた気流で靴下を吸い上げ、前記裏返し筒が上昇終点に到達した後、前記吸い上げ筒が裏返し筒の内側に嵌まる位置まで下降し、次いで、吸い上げを継続している状態下で前記裏返し筒が下降して靴下から外れ、裏返しになった靴下が吸い上げ筒に受け渡されるように構成されたものである。
前記裏返し筒は、先端を斜めにカットしたもの、あるいは、下部外周に内部に入り込んだ異物などを抜き出し可能な開口部を設けたものが好ましい。
また、この裏返し筒を編み機のシリンダに同期させて回転させる機構は、回転可能に支持した裏返し筒の外周と編み機のシリンダの内周にシリンダの回転を裏返し筒に伝えるトルク伝達部を設けて構成されるものが好ましい。
この発明の靴下裏返し装置は、編み機のシリンダ内に配置した裏返し筒を編み機のシリンダの回転に同期させて回転させ、この裏返し筒の内部に靴下の編立済み部を取り込むので、靴下がねじれることなく、編立てた靴下に生折れが発生することもない。
また、つま先側開口部が編み機の編み針に保持されている状況下で裏返し筒を上昇させてその裏返し筒でねじれのない靴下を突き上げて反転させていくので、靴下の裏返しがスムーズに確実になされる。
このスムーズで正確な裏返しは、裏返し筒を上昇させるときにシリンダの上方に移動させている外筒と吸い上げ筒との間に気流を発生させて靴下を気流で吸い上げることも有効に寄与して実現される。すなわち、補助的な吸い上げ力がねじれの無い靴下を裏返し筒の先端縁から引き離す方向に作用するので、裏返し筒の先端縁が靴下に接触する力が弱くなって靴下の反転がスムーズに起こる。
次に、裏返しを完了した靴下は裏返し筒の外周に緩く嵌まっており、このままではつま先縫合ミシンに向けての移行ができない。その対策として、この発明では靴下の吸い上げを継続している状態下で吸い上げ筒を下降させて裏返し筒の内部に進入させ、その後に裏返し筒を下降させて裏返しになった靴下を吸い上げ筒に渡す。その吸い上げ筒は外筒と共に待機点に戻すことができ、待機点につま先縫合ミシンを配置することでつま先縫合ミシンへの移行が可能になる。
なお、裏返し筒の先端を斜めにカットしたものは、靴下に対する裏返し筒の接触領域が徐々に広がって行くので、靴下の反転がより起こり易くなる。
また、裏返し筒の下部外周に開口部を設けたものは、裏返し筒の内部に入り込んだ糸屑などの異物や編み機のトラブルが発生したときに裏返し筒の内部に取り込まれている靴下を下部開口から取り出すことができる。
このほか、回転可能に支持した裏返し筒の外周と編み機のシリンダの内周にシリンダの回転を裏返し筒に伝えるトルク伝達部を設けて同期回転機構を構成したものは、裏返し筒を回転させる専用の回転駆動機構を必要とせず、装置の簡素化、コスト低減が図れる。
この発明の靴下裏返し装置の実施形態を、図1乃至図7に基づいて説明する。図1に示すように、この靴下裏返し装置1は、編み機20のシリンダ21内に配置する裏返し筒2と、この裏返し筒2を昇降させるアクチュエータ3と、靴下の編立中に裏返し筒2をシリンダ21の回転に同期させて回転させる同期回転機構4と、つま先縫合ミシン(図示せず)の位置から編み機のシリンダ21上に移動させる外筒5と、この外筒の内部に設ける吸い上げ筒6と、この吸い上げ筒を昇降させるアクチュエータ7と、外筒5と吸い上げ筒6との間に吸い上げ用の気流を発生させる気流発生源(ブロア)8とで構成されている。アクチュエータ3、7は、空圧シリンダなどでよい。アクチュエータ3は図1に示す固定部材13に支持されている。
丸編み靴下を編成する編み機はコンピュータ制御の編み機であり、内筒は編立中のシリンダ21の回転に対して同期回転しない。この発明の靴下裏返し装置1は、この編み機のシリンダ21内に裏返し筒2を配置し、この裏返し筒2を靴下の編立中にシリンダ21の回転に同期させて回転させ、靴下の編立済部をこの裏返し筒2の内部に取り込んでいく。
裏返し筒2は、丸パイプ(材質は特に限定されない)で形成されたものであって、靴下への挿入性とフィット性をよくするために先端(上端)を斜めにカットして靴下に対する接触領域が徐々に広がるようにしている。裏返し筒2の先端のカット角は図ではほぼ45°になっているが、この角度に限定されるものではない。この裏返し筒2の外周には、後述するトルク伝達部材4bを設け、さらに、裏返し筒2の下部外周に筒の内部に入り込んだ異物などを取り出すための開口9を設けている。
同期回転機構4は、裏返し筒2とアクチュエータ3との間にロータリジョイント4aを介在して裏返し筒2をアクチュエータ3で回転可能に支持し、裏返し筒2の外周に設けたトルク伝達部材4b経由でシリンダ21の回転を裏返し筒2に伝えてこの裏返し筒2をシリンダ21と同期回転させるものを設けている。トルク伝達部材4bは、シリンダ21の内面に適当な圧力をもって接触し、シリンダ21との間に摩擦力を生じさせて回転伝達を行うものでもよいが、摩擦方式のトルク伝達部材は、シリンダ21との間に生じる摩擦力が裏返し筒2の移動抵抗となり、摩擦面の摩耗なども起こるので、その様な不具合を発生させないもの、例えば、ピンと縦溝を裏返し筒2の外周とシリンダ21の内面に対応して設け、縦溝にピンを上下動可能に係止させて同期回転のためのトルク伝達を行うものが好ましい。
外筒5は、旋回式の移送機構30(その機構の移動ホルダのみを図示)で支持してつま先縫合ミシン(図示せず)の設置点と編み機のシリンダ21の上方との間を移動させる。
吸い上げ筒6は、外筒5の内部に昇降可能に配置される。図7に示すように、外筒5の内部に中筒10と環状の多孔板11を設け、吸い上げ筒6の上端に形成した孔付きフランジ6aを中筒10と外筒5との間にスライド可能に挿入して吸い上げ筒6を外筒5の内部に配置している。
この吸い上げ筒6は、連結ロッド12を介して孔付きフランジ6aにアクチュエータ7を接続しており、そのアクチュエータ7で昇降させることができる。
移送機構30には、編み機20の編み針22に代わって靴下Aのつま先a側の開口縁のループを保持する移し針31を備えさせている。図示の移し針31は、周方向に複数に分割された移動台(図示せず)に取り付けており、各移動台を2列に並ぶように動かして保持した靴下のつま先側開口縁をミシンによる縫合が行なえるように重ね合わせることができる。
なお、移送機構30は、外筒5を含めて吸い上げ筒6を下降させる機能及び移し針31を下降させる機能を有している。例示の移送機構30やその機構に採用した移し針31は、前掲の特許文献1や特開2001−316959号公報に示されるものが既に知られており、その様なものでよいので、これについての詳細説明は省く。
以上のように構成したこの発明の靴下裏返し装置1は、編み機20による編立が完了すると、移送機構30が作動して外筒5、吸い上げ筒6、中筒10、移し針31がシリンダ21の上方に移動し、裏返し筒2が上昇を開始する。裏返し筒2は先端のカット面の鈍角コーナ側が編立た靴下Aの踵bに対応する向きにセットされている。
編立た靴下Aのつま先a側のループは円上に配列された編み機の編み針22によって支持されており、この靴下Aの表側に裏返し筒2の先端が入り込む。裏返し筒2はその後も上昇を続け、内部に取り込まれている靴下Aの表側を図2、図6に示すように突き上げて裏返していく。このとき、気流発生源(ブロア)8が起動して外筒5と吸い上げ筒6との間に上向きの気流が発生し、この気流により靴下の裏返しの補助が(吸い上げ)がなされる。
裏返し筒2の中に取り込まれている靴下Aは、編立中に裏返し筒2が編み機のシリンダの回転に同期して回転するためねじれを生じておらず、生折れも発生していない。また、裏返し筒2の先端を斜めにカットしているため裏返し筒2が靴下Aに挿入され易く、踵bも返り易くなっている。さらに、気流による補助的な吸い上げにより裏返し筒2の先端縁が靴下Aに接触する力も弱くなり、靴下の反転がスムーズに正確に進む。
裏返し筒2が上限まで上昇して靴下Aが完全に裏返ったら、図3に示すように吸い上げ筒6が下降し、その吸い上げ筒6が下降し終えると裏返し筒2も下降する。これにより、完全に裏返って裏返し筒2の外周に緩く嵌まっていた靴下Aが吸い上げ筒6の外周に乗り移つる。この受け渡し時に移し針31が下降して移し針31による靴下のつま先側開口縁の保持、編み針22によるつま先側開口縁の保持の解除もなされる。図4に示すように、吸い上げ筒6が下限まで下降して靴下Aを受け取り、裏返し筒2も下限まで復帰すると、靴下の裏返しと受け渡しが完了する。この後、移送機構30が、外筒5、吸い上げ筒6、中筒10、移し針31とともに受け取った靴下Aをつま先縫合ミシンの位置に移動させる。
移し針31は、裏返し筒2から吸い上げ筒6への靴下の受け渡しが完了するまでは編み機20の編み針22を取り囲む位置に配置されている。編み針22に代わって靴下のつまさき側のループを保持したこの移し針31を図示しない移動台駆動機構を用いて動かし、この移し針31を2列に並べ接近させて靴下のつま先の開口縁を重ね合わせる。こうすると、移し針31によるつま先側縫合部の位置決めがなされ、つま先縫合ミシンでつま先側開口縁を正確に縫い合わせることができる。
つま先側開口部を縫合した靴下Aは、この後、表返しの工程を経て完成した製品になる。表返しは、本出願人が別途特許出願(本出願と同日出願)したような装置を用いて行なうと好ましいが、つま先縫合後に靴下Aを吸い上げ筒6から下方に引き外して別箇所で表返しを行なうことも可能である。図7に示した吸い上げ筒6は、好ましい構造として裏返し筒2と同じように先端を斜めにカットしたが、先端の斜めカットは必要応じて行えばよい。
この発明の靴下裏返し装置を示す斜視図 図1の装置の裏返し筒の上昇途中を示す斜視図 図1の装置の裏返し筒の上昇終了状態を示す斜視図 図1の装置による裏返しと受け渡しの完了状態を示す斜視図 受け渡し完了後の靴下の移送状態を示す斜視図 裏返し筒による靴下の裏返し工程を分かり易くして示す断面図 吸い上げ筒の具体例を示す断面図
符号の説明
1 靴下裏返し装置
2 裏返し筒
3 アクチュエータ
4 同期回転機構
4a ロータリジョイント
4b トルク伝達部材
5 外筒
6 吸い上げ筒
6a 孔付きフランジ
7 アクチュエータ
8 気流発生源
9 開口
10 中筒
11 多孔板
12 連結ロッド
13 固定部材
20 編み機
21 シリンダ
22 編み針
30 移送機構
31 移し針
A 靴下
a つま先
b 踵

Claims (4)

  1. 編立た丸編み靴下を編み機のシリンダから機外に取出しながら裏返す装置であって、編み機のシリンダ内に配置して靴下の編立済み部を内部に取り込む裏返し筒と、この裏返し筒を昇降させるアクチュエータと、前記裏返し筒を編み機のシリンダの回転に同期させて回転させる同期回転機構と、編み機のシリンダ上に移動する外筒と、この外筒の内部に昇降可能に設ける吸い上げ筒と、前記外筒と吸い上げ筒との間に気流を発生させる気流発生源とを有し、
    前記外筒と吸い上げ筒が編み機のシリンダ上に移動した後、前記裏返し筒が上昇を開始し、この裏返し筒が、つま先開口部が編み機に保持されている靴下の表側に入り込んで靴下を裏返しながら上昇し、同時に前記外筒と吸い上げ筒との間に発生させた気流で靴下を吸い上げ、前記裏返し筒が上昇終点に到達した後、吸い上げを継続している状態下で前記吸い上げ筒が裏返し筒の内側に嵌まる位置まで下降し、次いで、前記裏返し筒が下降し、裏返しになった靴下が吸い上げ筒に受け渡されるように構成された靴下裏返し装置。
  2. 前記裏返し筒として先端を斜めにカットしたものを用いる請求項1に記載の靴下裏返し装置。
  3. 前記裏返し筒の下側外周に、内部に入り込んだ靴下や異物を抜き出し可能な開口部を設けた請求項1又は2に記載の靴下裏返し装置。
  4. 回転可能に支持した裏返し筒の外周と編み機のシリンダの内周にシリンダの回転を裏返し筒に伝えるトルク伝達部を設けて前記同期回転機構を構成した請求項1乃至3のいずれかに記載の靴下裏返し装置。
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