JP2005099086A - 波面収差補正ミラーおよび光ピックアップ - Google Patents

波面収差補正ミラーおよび光ピックアップ Download PDF

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Abstract

【課題】 低電圧駆動においても十分な変位が得られ、破損等のしにくい構造とし量産歩留まりが高い波面収差補正ミラーを提供する。
【解決手段】 本発明の波面収差補正ミラーは、Siからなるミラー基板(6)を異方性エッチングにより凹面としたメンブレン構造であり、ミラー基板(6)表面には金属薄膜(1)により高反射率にしたミラー面が形成され、また、ミラー裏面(凹面内)には圧電素子(2)が接着され、ミラー基板(6)の周辺にはスリット(11)が形成され、外枠(17)とミラー基板(6)は支持体(10)で接続されており、支持体(10)はミラー基板(6)の厚みよりも厚く形成されているため、支持体(10)の強度が高くなり、破損しにくくなる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、波面収差補正ミラーおよび光ピックアップに関する。
一般に光ディスクを用いた情報記憶装置として、CDやDVDなどがある。DVDなどはCDに比べ記録密度が高いため、情報を読み書きするときの条件が厳しくなっている。
例えば、光ピックアップの光軸とディスク面は垂直であることが理想であるが、実際にはディスクが樹脂製のため、かなりうねりを持っていて、これを回転させると、光ピックアップの光軸とディスク面は常に垂直ではなくなる(これを以降、チルトと表現する)。また、ディスクは、図1(a)あるいは図1(b)示すように(なお、図1(a)はCDの場合、図1(b)はDVDの場合である)、記録層(108)が樹脂層(102)を介しているため、ディスク面が垂直でなくなると光路が曲げられディスク上に正しくスポットを絞れなくなり、コマ収差(103)が発生する。この収差が許容される量よりも大きくなると、正しく読み書きが出来なくなるという不具合が生じる。
チルトの影響を少なくする手段としては、対物レンズと記録層の間の樹脂層を薄くすることがある。実際に、DVD(図1(b))がCD(図1(a))に比較し対物レンズ(101)と記録層(108)の間の樹脂層(102)が半分であるのは、この効果を狙ったものである。しかし、この方法の場合、DVDよりも高密度記録をしようとした場合には、樹脂層をもっと薄くしてさらにチルトの影響を少なくすることになるが、今度はディスク上にごみや傷がついた場合、信号が正しく読み書きできなくなるという不具合が生じる。このため、アクチュエータによって光軸を傾けて(チルト)対応しているのが現状である。
チルトを光学的に補正するため、液晶を用いたり(例えば、特許文献1参照。)、透明圧電素子を用いたり(例えば、特許文献2参照。)、可変ミラーを用いたりする(例えば、特許文献3参照。)ことが提案されている。
具体的に、特許文献1では、液晶板を用いて位相制御することによりコマ収差を補正している。しかし、この方法では、レーザーが液晶板を通過するために光量が減衰し、書き込みに必要なエネルギーを得ることが困難であり、また液晶の特性から、特にタンジェンシャルチルト制御に要求される高周波動作に使用するのは困難であると思われる。
また、特許文献2では、実際に透明圧電素子単体で必要な変位量を得るためには高電圧が必要となり、光ピックアップなどに用いるには現実的ではない。
また、特許文献3は、ミラー自体を積層型圧電素子で変形させ位相制御するようにしている。しかし、光ピックアップなどの小さい部品に用いるには配線などの考慮がされておらず、複雑になりかつ組み付けコストも高くなる。また、配線などの問題が解決できたとしても、積層型圧電素子をかなり小さくしなければならなくなるため、技術的にもコスト的にもなかなか困難である。
このように情報を読み書きするときに不具合を生じさせるチルトの影響を、圧電素子を使用したユニモルフまたはバイモルフ形状の波面収差補正ミラーで波面収差を補正する方法が、低電圧で小型化にも有利であると考えられる。
図2(a),(b)は波面収差補正ミラーの一例を示す図である。なお、図2(a)は断面図、図2(b)は平面図である。図2(a),(b)の波面収差補正ミラーは、Si基板をエッチングしてミラー基板(6)を薄く形成し、圧電素子(2)を使用した波面収差補正ミラーである。このタイプのミラーは、外枠(17)とミラー基板(6)は支持体(10)で保持されており、ミラー基板(6)周辺にはスリット(11)が形成されている。外枠(17)にはミラー基板(6)より厚い梁(14)が形成され、全体が歪むのを抑えている。このような構造であれば、ミラー基板(6)を薄く形成しているため少ない電圧で駆動することができる。
さらに、ミラー基板(6)の裏側には配線電極(4b、5b)がそれぞれ形成されており、圧電素子(2)がミラー基板(6)の裏面に接着され、圧電素子(2)に電位を加えることで変位を発生させ、ミラー基板(6)を変位させることができる。このとき、圧電素子電極(5a)は、中心から左右に分割しているので、極性や電圧を変えることで、左右別々の変位を発生できる。また、ミラー基板(6)の表面には金属薄膜(1)を形成して高反射率にしミラー面としている。
このような構造で、配線電極(4a)をグランドとし、圧電基板(2)の左右の個別電極(5a)のうちの一方にプラスの電圧を印加し、他方にマイナスの電圧を印加したとすると、ミラー基板(6)は、例えば図3(d)に示したような断面形状になる。個別電極(5a)に逆電圧をかけた場合には、その逆の形状になる。
つまり、ミラー基板(6)は電圧がかかっても伸び縮みしないが、圧電基板(2)は電圧がかかれば伸び縮みするため、個別電極(5a)にプラスの電圧を加えた場合、その部分の圧電基板(2)が縮むとすると、マイナスの電圧を加えた場合には、その部分の圧電基板(2)は伸びることになり、個別電極(5a)にプラスの電圧を加えた場合、反射膜(1)の面は凸になり、個別電極にマイナスの電圧を加えた場合、反射膜(1)の面は凹になる。これは波面を面として見た場合、図4に示すような等高線で表したようになっている。このような波面を打ち消すような変形形状にしようとする場合に、ミラー面は凹凸が逆になるためチルト補正が可能になる。
光ディスクがレーザ光の光軸に対し垂直な位置から傾くと、光ディスクから反射して戻ってきたレーザ光の波面は乱れ、例えば図3(a)に示すような波面収差(コマ収差)が発生する。図3(a)において、横軸は図2(b)で示した波面収差補正ミラーのA−A’断面と同一断面であり、縦軸は波面収差である。ディスクがチルトしたときに波面収差補正ミラーのミラー面は平らであり、図3(a)は、そこで反射した反射光の波面収差である。ちなみに光ディスクがレーザ光の光軸に対し垂直であれば、波面には図3(a)で示したような収差は発生せず、横軸と同じでまっすぐになる。
図3(b)は図2に示した波面収差補正ミラーを故意に収差を発生させるよう動作させ、その反射光の波面収差を表した例を示す図である。図3(b)において、横軸は図2(b)で示した波面収差補正ミラー表面のA−A’断面と同一断面であり、縦軸は波面収差である。
いま仮に、光ディスクが傾き、ディスクからの反射光の波面が図3(a)であったとする。ディスクが傾いていない時の反射光の理想的な波面が図3(b)のようになるよう波面収差補正ミラーを制御すれば、波面収差補正ミラーから反射した反射光の波面は図3(c)のようになり、図3(a)に比べ波面収差を低減させることが可能となる。
特開平10−79135号公報 特開平5−144056号公報 特開平5−333274号公報
ところで、このような波面収差補正ミラーにおいて、小さい駆動電圧で大きな変位を得ることが望まれている。
しかし、低電圧化の要求に対しては、以下に述べるような問題がある。
すなわち、小さい駆動電圧で大きな変位を得るためには、ミラー基板(6)の厚みを薄く形成することと、支持体(10)の数を減らしてミラー基板(6)が変位しやすくする方法がある。しかし、ミラー基板(6)を薄くすると、ミラー基板(6)を支えている支持体(10)の厚みも薄くなるので強度が下がる。ミラー基板(6)の変位量を得るためにミラー基板(6)を薄くするにも限界があり、薄くしすぎるとプロセス中にミラー基板(6)が割れたり圧電素子(2)を接着した時点でミラー基板(6)が歪むなどの障害があるので、ミラー基板(6)の厚みを薄くするだけでは十分な変位量を得ることができなくなる。一方、支持体(10)の厚みを減らすと、それだけミラー基板(6)の変位量を得ることができるが、支持体(10)を減らすことは強度を減らすこととなるので、ミラー基板(6)の破損の原因となる。また、ミラー基板(6)を薄くすると、配線電極の応力の影響でミラー基板(6)が歪むので、配線電極を薄く形成しなければいけないが、配線電極を薄くすると抵抗が高くなり、低電圧駆動には向かなくなる。
本発明は、低電圧駆動においても十分な変位が得られ、破損等のしにくい構造とし量産歩留まりが高い波面収差補正ミラーおよび光ピックアップを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基板をエッチングして作製された凹面を有するメンブレン構造であり、外枠とミラー基板は支持体によって保持され、ミラー基板周囲にはスリットが形成され、圧電素子によってミラー基板を変位させることにより収差補正する波面収差補正ミラーであって、支持体の厚みはミラー基板の厚みよりも厚く形成されていることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の波面収差補正ミラーにおいて、支持体の厚みを外枠の梁の厚みと等しくし、ミラー基板と支持体及び外枠は一体で形成されていることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の波面収差補正ミラーにおいて、支持体は外枠の梁と接続され、支持体上部に配線電極が配置され、梁の部分でベース基板との電気的接続がなされることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の波面収差補正ミラーにおいて、外枠とミラー基板は、ミラー基板の裏面中央を貫通した1本の支持体により保持されていることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、請求項1または請求項2記載の波面収差補正ミラーにおいて、SOI基板を異方性エッチングしてメンブレン構造としたことを特徴としている。
また、請求項6記載の発明は、請求項4記載の波面収差補正ミラーにおいて、支持体の幅は50μm〜200μmとなっていることを特徴としている。
また、請求項7記載の発明は、請求項1または請求項2記載の波面収差補正ミラーにおいて、スリットの幅は100μm〜300μmとなっていることを特徴としている。
また、請求項8記載の発明は、請求項4記載の波面収差補正ミラーにおいて、外枠の梁とミラー基板の裏面に形成された支持体でベース基板と接着したことを特徴としている。
また、請求項9記載の発明は、請求項8記載の波面収差補正ミラーにおいて、圧電素子電極とベース基板電極との電気的な接続は、ミラー基板の裏面の支持体上で行なわれるようになっていることを特徴としている。
また、請求項10記載の発明は、請求項8または請求項9記載の波面収差補正ミラーにおいて、支持体とベース基板の接着には硬度の高い接着剤が用いられ、外枠の梁の接着には弾性接着剤が用いられることを特徴としている。
請求項1記載の発明によれば、支持体の厚みをミラー基板の厚みよりも厚く形成したので、支持体の強度が高くなり、製造プロセス中に破損することがなくなって、高い歩留まりを実現することができる。
また、請求項2記載の発明によれば、支持体の厚みを外枠の梁の厚みと等しくし、ミラー基板と支持体及び外枠は一体で形成しているので、支持体の強度を高くすることができて、これにより、製造プロセス中に破損することがなくなり、高い歩留まりを実現することができる。
また、請求項3記載の発明によれば、支持体は外枠の梁と接続され、支持体上部に配線電極を配置したので、ワイヤボンディング本数を減らすことができ、工程を短縮することができる。
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の波面収差補正ミラーにおいて、外枠とミラー基板は、ミラー基板の裏面中央を貫通した1本の支持体により保持されているので、ミラー基板の変位量が大きく得られるとともに初期平面度を確保することができる。
また、請求項5記載の発明によれば、SOI基板を異方性エッチングしてメンブレン構造としたので、ミラー基板の厚み精度を向上させることが可能となる。
また、請求項6記載の発明によれば、支持体の幅を50〜200μmにしたことで、初期平面度を確保するとともに、変位量の大きなミラーを実現できる。
また、請求項7記載の発明によれば、スリットの幅を100μm〜300μmにしたことで、スリット形成時のエッチングレートを安定させることができ、製造歩留まりが高くなる。
また、請求項8記載の発明によれば、基板外周の梁とミラー基板の裏面に形成された支持体でベース基板と接着しているため、ミラー基板の初期平面度を確保することが可能となる。
また、請求項9記載の発明によれば、圧電素子電極とベース基板電極との電気的な接続をミラー基板裏面の支持体で行っているので、電気抵抗を低くでき、低電圧駆動が可能となる。
また、請求項10記載の発明によれば、支持体とベース基板の接着には硬度の高い接着剤を用い、外枠の梁の接着には弾性接着剤を用いるので、ベース基板とミラー基板の熱膨張係数の違いからくる歪みを低減することが可能となり、信頼性が高くなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明は、基板をエッチングして作製された凹面を有するメンブレン構造であり、外枠とミラー基板は支持体によって保持され、ミラー基板周囲にはスリットが形成され、圧電素子によってミラー基板を変位させることにより収差補正する波面収差補正ミラーであって、支持体の厚みはミラー基板の厚みよりも厚く形成されていることを特徴としている。
このように支持体の厚みを厚くすることで、ミラー基板を薄くして低電圧で駆動させる場合でも支持体の強度を損なうことがないので、プロセス中に破損(特に洗浄工程等での水圧によるもの)しにくい構造となる。
上記本発明の構成において、さらに、支持体の厚みを外枠の梁の厚みと等しくし、ミラー基板と支持体及び外枠を一体で形成することができる。
本発明においては、凹面をSi異方性エッチングで作製するときに支持体部分を作製するようにしているので、支持体を外枠の梁の厚みと等しくするとともにミラー基板と支持体及び外枠は一体で形成できるため、支持体の強度が高く、プロセス中に破損しにくい構造となる。
また、上記本発明の構成において、さらに、支持体は外枠の梁と接続され、支持体の上部には配線電極が配置され、梁の部分でベース基板との電気的接続がなされるようにすることができる。
このように、支持体を外枠の梁と接続し、圧電素子の一方の配線電極を支持体上部に配置し、梁の部分でベース基板との電気的な接続を行う構造とすることができる。この場合、配線電極は金属薄膜をパターニングすることで形成でき、この部分のワイヤボンディングを省略することができるので、工数が省略できる。
また、上記本発明の構成において、外枠とミラー基板は、ミラー基板の裏面中央を貫通した1本の支持体により保持されるように構成できる。
このように厚い支持体をミラー裏面に貫通させることでミラー強度を高めることができるので、プロセス中に破損しにくい構造となる。また、支持体は2点でミラーを支持しているので、ミラーは変位しやすい構造となる。支持する場所は、ミラーのY方向中央とすることで、ミラー変位には影響を与えることはない。つまり、図3(b),(c)において、中央部分だけ変位していないことからも分かる。
また、上記本発明の構成において、SOI基板を異方性エッチングしてメンブレン構造とすることができる。
すなわち、SOI基板を用いることで異方性エッチング時のエッチングストップ層として使えるため、ミラー厚みを正確に制御することができる。
また、上記本発明の構成において、支持体の幅を50μm〜200μmとすることができる。
支持体は異方性エッチングで作製するため54.7°のテーパーが付き、この角度は結晶方位によって決まる。そのため、支持体底辺ではスリット部分の寸法が高さのおよそ70%増えることになり、あまり大きな幅であると左右の変位に影響を与える。また、幅が狭いと支持体の強度が低くなるので、支持体の幅は50μm〜200μmにするのが望ましい。
また、上記本発明の構成において、スリットの幅を100μm〜300μmとすることができる。
スリットはドライエッチングにより作製するが、幅を狭くするとエッチング中にプラズマが溝に入りにくくなるので加工性が悪くなる。また、幅を広くすると支持体の長さが長くなり破損しやすくなる。従って、スリットの幅は100μm〜300μmにするのが望ましい。
また、上記本発明の構成において、外枠の梁とミラー基板の裏面に形成された支持体でベース基板と接着することができる。
このように、外枠の梁と支持体でベース基板と接着することで、外部からの衝撃に強い構造となり、信頼性が増す。
また、上記本発明の構成において、圧電素子電極とベース基板電極の電気的な接続をミラー基板の裏面の支持体上で行うことができる。
支持体上に形成された圧電素子の薄膜電極とベース基板の電極を電気的に接続する構造なので、薄膜電極を梁まで伸ばす必要がなく配線抵抗が低くできて、低電圧駆動に適している。
また、上記本発明の構成において、支持体とベース基板の接着は硬度の高い接着剤を用い、外枠の梁の接着には弾性接着剤を用いることができる。
ミラー中央を貫通する支持体とベース基板とを硬度の高い接着剤で接着することで、支持体を確実にベース基板に固定し、また、外枠の梁とベース基板とを弾性接着剤で接着することで、ミラー基板とベース基板の熱膨張係数の違いから来る歪みを弾性接着剤で緩和させることができるので、ミラー面が歪まない構造となる。
図5(a),(b)は本発明の実施例1の波面収差補正ミラーを示す図である。なお、図5(a)は波面収差補正ミラーを裏面から見た図であり、図5(b)は図5(a)のA−A’線における断面図である。
図5(a),(b)の波面収差補正ミラーは、Siからなるミラー基板(6)を異方性エッチングにより凹面としたメンブレン構造であり、ミラー基板(6)表面には金属薄膜(1)により高反射率にしたミラー面が形成され、また、ミラー裏面(凹面内)には圧電素子(2)が接着され、ミラー基板(6)の周辺にはスリット(11)が形成され、外枠(17)とミラー基板(6)は支持体(10)で接続されており、支持体(10)はミラー基板(6)の厚みよりも厚く形成されているため、支持体(10)の強度が高くなり、破損しにくくなる。
また、Si基板を異方性エッチングして裏側を凹状に加工するときに、支持体(10)の部分をエッチングしないことで梁(14)の厚みと同じ厚みにしており、外枠(17)と支持体(10)及びミラー基板(6)を一体で形成しているため、支持体(10)の強度が高くなり、破損しにくくなる。
また、圧電素子(2)の一方の電極(4a)は配線電極(4b)にそれぞれ接続され、梁(14)の部分で外部との接続が行えるようになっている。圧電素子の他方の電極(5a)はミラー基板(6)に形成された配線電極(5b)にワイヤボンディング(12)によって接続され、梁(14)の部分で外部との接続が行えるようになっているため、片側のワイヤボンディングが省略でき、工数を減らすことができる。
図6(a)〜(e)は本発明の波面収差補正ミラーの製造工程を説明するための図である。
この波面収差補正ミラーは、SOI基板を用いている。ミラー基板(6)を低電圧で駆動する場合、変位量を確保するためにミラー基板(6)の厚みを薄く(60〜100μm)する必要があるが、異方性エッチングでSi基板をエッチングすると、ウエハー面内で厚みがばらつくため、チップに分割した場合に性能がばらつくことになる。
SOI基板は図6(a)に示すように、酸化膜(7a,7b)が付いた薄いSi基板(18a)と厚いSi基板(18b)とを貼り合わせたもので、薄いSi基板(18a)と厚いSi基板(18b)との接続面に酸化膜(7b)が介在しているものである。
薄いSi基板(18a)はミラー基板(6)となる部分であり、後に反射率を高めるため金属薄膜(1)等が蒸着又はスパッタで成膜される。本実施例では厚みを70μmとし、酸化膜(7a,7b)の厚みは1μmである。厚いSi基板(18b)は厚さが230μmで、基板の面方位は<100>のものを用いており、1μmの厚さの酸化膜(7c)が付いている。
このようなSOI基板では、図6(b)に示すように異方性エッチングを行った場合、接合面の酸化膜(7b)がエッチングストップ層となるので、ミラー基板(6)の厚みを均一にすることができる。異方性エッチングでは、支持体(10)の部分を残すようなパターンとしているので、厚いSi基板(18b)と支持体(10)の厚みは同じ寸法となり、外枠(17)と支持体(10)及びミラー基板(6)は一体で作製できる。このとき、異方性エッチングはKOH溶液(15wt%)を80℃に加熱してSi基板(18b)をエッチングするが、オーバーエッチング(230μm以上となるよう)することでSiが完全にエッチングされ、酸化膜(7b)が露出する。酸化膜はSiよりもエッチングスピードが500倍以上遅いためエッチングがストップする。
次いで、図6(c)に示すようにドライエッチングによりスリット(11)を形成する。ドライエッチングはマスクとしてAlをスパッタで成膜し、フォトリソ及びパターニングによりスリットの窓開けを行い、エッチングマスクとする。このとき、スリット(11)の幅は100μm〜300μmにすると良い。100μm以下ではドライエッチング時にプラズマがスリット(11)内に入りにくくなり、エッチング時間が長くなったりマスク材が持たないなどの不具合が発生するためである。また、スリット(11)が300μm以上になると、その分、支持体(10)が長くなるので、強度が低下し、破損しやすくなる。
次いで、AlエッチングマスクをAlエッチャントで除去した後、図6(d)に示すように、ミラー基板(6)の裏面にスパッタによりAl膜を200nm成膜し、フォトリソ及びパターニングすることで配線電極(4b,5b)を形成する。この場合、支持体(10)が外枠(17)の梁(14)と接続され(図6(b)を参照)、支持体(10)の上部に配線電極(4b)が配置されているので、一方のワイヤボンディングが不要となり、工程が簡略化できる。
すなわち、図6(e)に示すように、圧電素子(2)を接着剤(図示せず)でミラー基板(6)の裏面に接着し、圧電素子(2)の電極(5a)と配線電極(5b)をワイヤボンディング(12)で接続する。また、ミラー基板(6)表面には、反射率を高めるために金属薄膜(1)を蒸着やスパッタ等により成膜しミラー面としている。本実施例ではAuを蒸着することで反射率を高めている。
本発明は、図5に示すような4本の支持体でミラー基板(6)を保持するものだけではなく、図7に示すように、ミラー基板(6)の中央を2本の支持体(10)で接続しても良く、この構造であればミラー基板(6)は支持される部分が少なくなるので、Al配線電極(4b,5b)や圧電素子(2)の応力などによる歪みが逃げやすくなり、ミラー基板(6)の初期平面度を確保しやすくなる。
図8は本発明の実施例2の波面収差補正ミラーを示す図である。図8の波面収差補正ミラーでは、支持体(10)は、2点でミラー基板(6)を支持すると共に、ミラー基板(6)の裏面上を貫通しているので、ミラー基板(6)自体の強度が高くなると共に、ミラー基板(6)の裏面に形成されたAl電極(4b)や圧電素子(2)の応力の違いからくる歪みに対して強く、特に初期平面度を確保しやすい構造となっている。圧電素子(2)は2枚に分割され、支持体(10)の左右に接着される。中央の支持体(10)は、ミラー基板(6)の裏面を貫通しているので、この部分では変位を発生しないが特性に影響はない。ただし、支持体(10)の幅を太くすると、異方性エッチングでできる側壁(54.7°)の幅が加わるため、支持体(10)底辺では支持体(10)上辺より太くなるので、支持体(10)上辺の幅は200μm以下が望ましい。また、支持体(10)の幅が狭くなると強度が小さくなり支持体(10)を伸ばした効果が薄れるので、支持体(10)の幅は50μm以上が望ましい。
ミラー基板(6)のY方向は変位しないのが理想的であり、Y方向に支持体(10)を貫通させることで強度を高め、初期平面度を確保できるものである。
実施例2の波面収差補正ミラーの製造方法は、実施例1とほぼ同様に作製することができる。すなわち、実施例1の異方性エッチングマスクを一部変更し、支持体(10)を貫通させるようにすることで、ミラー基板(6)はでき、圧電素子(2)を2つに分割して各々接着すれば完成する。
さらに、図9に示すように、このミラー基板(6)をベース基板(8)に接着する場合には、外枠(17)の梁(14)とミラー基板(6)裏面に形成された支持体(10)とで接着剤(15)により接着することで、さらに初期平面度を確保することができる。接着剤(15)には、エポキシ接着剤や熱硬化性のもの、又はシリコン樹脂接着剤のような弾性接着剤を用いることができる。
図10は本発明の実施例3の波面収差補正ミラーを示す図である。この実施例3では、図10に示すように、圧電素子電極(4b)とベース基板電極(4c)の電気的な接続をミラー基板(6)裏面の支持体(10)上で行うようになっている。
すなわち、ベース基板(8)とミラー基板(6)は外枠(17)の梁(14)で絶縁性接着剤(15)で接続され、支持体(10)上の圧電素子電極(4b)とベース基板電極(4c)は導電性接着剤(16)で接着される。圧電素子電極(4b)は、前述したように、応力の問題上、厚くすることができないため電気抵抗が高くなる。この実施例3のように支持体(10)上で電気的に接続すると、圧電素子(2)と電気的な接続点が距離的に近くなるので、電気抵抗を低く抑えることができる。このような構成では、低電圧化を実現することが可能となると共に、ボンディングワイヤ本数を減らすことができるので工程を短縮できる。
外枠(17)の梁(14)とベース基板(8)の接着剤には前記したようにエポキシ接着剤や熱硬化接着剤、又はシリコーン樹脂接着剤等が用いられ、電気的な接着剤(16)には銀ペースト等が用いられる。
その他、支持体(10)とベース基板(8)の接着には硬度が高い接着剤を用いることもでき、また、外枠(17)の梁(14)とベース基板(8)との接着には硬度の低い弾性接着剤を用いることもできる。この場合、中央の支持体(10)とベース基板(8)は硬度が高い接着剤でしっかり接着し、外枠(17)の梁(14)とベース基板(8)の部分の接着は硬度が低い弾性接着剤とすることで、ベース基板(8)とミラー基板(6)の熱膨張係数の違いからくる歪みを軽減できる構造となり、そのため、環境温度の変化に対する耐性が高くなるので信頼性が高くなる。
本発明は、光ディスクを用いた情報入出力装置に利用可能である。
ディスクを示す図である。 波面収差補正ミラーの一例を示す図である。 波面収差を説明するための図である。 反射膜の面を等高線で表した図である。 本発明の実施例1の波面収差補正ミラーを示す図である。 本発明の波面収差補正ミラーの製造工程を説明するための図である。 図5の変形例を示す図である。 本発明の実施例2の波面収差補正ミラーを示す図である。 実施例2の波面収差補正ミラーの製造方法を説明するための図である。 本発明の実施例3の波面収差補正ミラーを示す図である。
符号の説明
1 反射膜
2 圧電素子
4a,4b 電極
5a,5b 電極
6 ミラー基板
7a,7b,7c 酸化膜
8 ベース基板
10 支持体
11 スリット
12 ワイヤボンディング
14 梁
15 絶縁性接着剤
16 導電性接着剤
17 外枠
18a,18b Si基板

Claims (10)

  1. 基板をエッチングして作製された凹面を有するメンブレン構造であり、外枠とミラー基板は支持体によって保持され、ミラー基板周囲にはスリットが形成され、圧電素子によってミラー基板を変位させることにより収差補正する波面収差補正ミラーであって、支持体の厚みはミラー基板の厚みよりも厚く形成されていることを特徴とする波面収差補正ミラー。
  2. 請求項1記載の波面収差補正ミラーにおいて、支持体の厚みを外枠の梁の厚みと等しくし、ミラー基板と支持体及び外枠は一体で形成されていることを特徴とする波面収差補正ミラー。
  3. 請求項1または請求項2記載の波面収差補正ミラーにおいて、支持体は外枠の梁と接続され、支持体上部に配線電極が配置され、梁の部分でベース基板との電気的接続がなされることを特徴とする波面収差補正ミラー。
  4. 請求項1または請求項2記載の波面収差補正ミラーにおいて、外枠とミラー基板は、ミラー基板の裏面中央を貫通した1本の支持体により保持されていることを特徴とする波面収差補正ミラー。
  5. 請求項1または請求項2記載の波面収差補正ミラーにおいて、SOI基板を異方性エッチングしてメンブレン構造としたことを特徴とする波面収差補正ミラー。
  6. 請求項4記載の波面収差補正ミラーにおいて、支持体の幅は50μm〜200μmとなっていることを特徴とする波面収差補正ミラー。
  7. 請求項1または請求項2記載の波面収差補正ミラーにおいて、スリットの幅は100μm〜300μmとなっていることを特徴とする波面収差補正ミラー。
  8. 請求項4記載の波面収差補正ミラーにおいて、外枠の梁とミラー基板の裏面に形成された支持体でベース基板と接着したことを特徴とする波面収差補正ミラー。
  9. 請求項8記載の波面収差補正ミラーにおいて、圧電素子電極とベース基板電極との電気的な接続は、ミラー基板の裏面の支持体上で行なわれるようになっていることを特徴とする波面収差補正ミラー。
  10. 請求項8または請求項9記載の波面収差補正ミラーにおいて、支持体とベース基板の接着には硬度の高い接着剤が用いられ、外枠の梁の接着には弾性接着剤が用いられることを特徴とする波面収差補正ミラー。
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