JP2005097113A - カーボンナノウォールの製造方法と製造装置 - Google Patents

カーボンナノウォールの製造方法と製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 カーボンナノウォールを製造する新規な方法およびその方法の実施に適した装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも炭素を構成元素とする原料ガス32を反応室10に導入する。その反応室10には、第一電極22および第二電極24を含む平行平板型容量結合プラズマ(CCP)発生機構20が設けられている。これによりRF波等の電磁波を照射して、原料ガス32がプラズマ化したプラズマ雰囲気34を形成する。一方、反応室10の外部に設けられたラジカル発生室41において、少なくとも水素を含むラジカル源ガス36をRF波等により分解して水素ラジカル38を生成する。その水素ラジカル38をプラズマ雰囲気34中に注入して、第二電極24上に配置した基板5の表面にカーボンナノウォールを形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カーボンを主体に構成されており所定の微細構造を有する構造体を製造する方法およびその方法に使用する装置に関する。
カーボンを主体に構成されており所定の微細構造を有する構造体(カーボンナノ構造体)が知られている。そのようなカーボンナノ構造体にはフラーレン、カーボンナノチューブ等がある。また、下記特許文献1には、カーボンナノウォール(carbon nanowalls)と呼ばれるカーボンナノ構造体が記載されている。この特許文献1では、例えばCH4 とH2 の混合物にマイクロ波を印加して、ニッケル鉄触媒をコートしたサファイア基板上にカーボンナノウォールを形成している。なお、特許文献2は、プラズマ中にラジカルを注入して薄膜の形成や微細加工を行う技術に関する。また、特許文献3はラジカルの濃度を測定する技術に関する。
米国特許出願公開第2003/0129305号明細書 特開平9−137274号公報 特開平10−102251号公報
本発明の一つの目的は、カーボンナノウォールを製造する新規な方法を提供することである。本発明の他の一つの目的は、そのような製造方法の実施に適した製造装置を提供することである。本発明の他の一つの目的は、性状および/または特性の制御が容易なカーボンナノウォールの製造方法を提供することである。また、かかる製造方法の実施に適した製造装置を提供することである。
本発明者らは、炭素を構成元素とする原料物質がプラズマ化してなるプラズマ雰囲気中に、そのプラズマ雰囲気の外部からラジカルを供給することによってカーボンナノウォールを製造し得ることを見出した。
すなわち、この出願により提供されるカーボンナノウォール製造方法では、少なくとも炭素を構成元素とする原料物質がプラズマ化したプラズマ雰囲気を反応室の少なくとも一部に形成する。そのプラズマ雰囲気中に、該雰囲気の外部で生成したラジカルを注入する。そして、該反応室中に配置した基材の表面にカーボンナノウォールを形成する。
このような製造方法によると、プラズマ雰囲気中に注入するラジカルの組成、供給量等のうち一または二以上の条件を、他の一または二以上の製造条件と独立して、あるいは該他の製造条件に関連させて調整し得る。すなわち、外部からのラジカル注入を行わない場合に比べて製造条件の調整の自由度が高い。このことは、目的に応じた性状(例えば、壁の厚さ、高さ、形成密度、平滑性、表面積等)および/または特性(例えば、電界放出特性のような電気的特性等)を有するカーボンナノウォールを製造するという観点から有利である。
なお、この出願に係る「カーボンナノウォール」は、二次元的な広がりをもつカーボンナノ構造体である。上記製造方法により得られるカーボンナノウォールの典型例は、基材の表面からほぼ一定の方向に立ち上がった壁状の構造を有するカーボンナノ構造体である。なお、フラーレン(C60等)は0次元のカーボンナノ構造体とみることができ、カーボンナノチューブは一次元のカーボンナノ構造体とみることができる。また、上記「プラズマ雰囲気」とは、当該雰囲気を構成する物質の少なくとも一部が電離した状態(すなわちプラズマ化した状態)にある雰囲気をいう。
ここで開示される製造方法の一つの好ましい態様では、原料物質を反応室内でプラズマ化することによって該プラズマ雰囲気を形成する。あるいは、反応室の外部で原料物質をプラズマ化し、そのプラズマを反応室に導入して該反応室内にプラズマ雰囲気を形成してもよい。
そのプラズマ雰囲気中に、該雰囲気の外部からラジカルを注入する。反応室の外部でラジカル源物質を分解してラジカルを生成し、それを反応室内のプラズマ雰囲気中に注入することが好ましい。あるいは、反応室の内部であって前記プラズマ雰囲気の外部でラジカル源物質を分解し、これにより生成したラジカルをプラズマ雰囲気中に注入してもよい。
ラジカル源物質からラジカルを生成する好ましい方法としては、該ラジカル源物質に電磁波を照射する方法が挙げられる。この方法に使用する電磁波としては、マイクロ波および高周波(UHF波、VHF波またはRF波)のいずれも選択可能である。VHF波またはRF波を照射することが特に好ましい。かかる方法によると、例えば周波数および/または入力電力を変更することによって、ラジカル源物質の分解強度(ラジカルの生成量)を容易に調整することができる。したがって、カーボンナノウォールの製造条件(プラズマ雰囲気中へのラジカルの供給量等)を制御しやすいという利点がある。
ここで、周知のように、「マイクロ波」とは1GHz程度以上の電磁波を指すものとする。また、「UHF波」とは300〜3000MHz程度の、「VHF波」とは30〜300MHz程度の、「RF波」とは3〜30MHz程度の電磁波を、それぞれ指すものとする。
ラジカル源物質からラジカルを生成する他の好ましい方法としては、該ラジカル源物質に直流電圧を印加する方法が挙げられる。また、該ラジカル源物質に光(例えば可視光、紫外線)を照射する方法、電子線を照射する方法、該ラジカル源物質を加熱する方法等を採用することも可能である。あるいは、触媒金属を有する部材を加熱し、その部材にラジカル源物質を接触させて(すなわち、熱と触媒作用によって)ラジカルを生成してもよい。上記触媒金属としては、Pt,Pd,W,Mo,Ni等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
プラズマ雰囲気中に注入するラジカルは、少なくとも水素ラジカル(すなわち水素原子。以下、「Hラジカル」ということもある。)を含むことが好ましい。少なくとも水素を構成元素とするラジカル源物質を分解してHラジカルを生成し、そのHラジカルをプラズマ雰囲気中に注入することが好ましい。このようなラジカル源物質として特に好ましいものは水素ガス(H2 )である。
原料物質としては、少なくとも炭素を構成元素とする種々の物質を選択することができる。一種類の物質のみを用いてもよく、二種以上の物質を任意の割合で用いてもよい。好ましい原料物質の一例としては、少なくとも炭素と水素を構成元素とする物質(ハイドロカーボン等)が挙げられる。好ましい原料物質の他の例としては、少なくとも炭素とフッ素を構成元素とする物質(フルオロカーボン等)が挙げられる。
ここで開示される製造方法の一つの好ましい態様では、前記反応室内における少なくとも一種類のラジカルの濃度(例えば、炭素ラジカル、水素ラジカル、フッ素ラジカルのうち少なくとも一種類のラジカルの濃度)に基づいて、カーボンナノウォール製造条件の少なくとも一つを調整する。かかるラジカル濃度に基づいて調整し得る製造条件の例としては、原料物質の供給量、原料物質のプラズマ化強度(プラズマ化条件の厳しさ)、ラジカル(典型的にはHラジカル)の注入量等が挙げられる。このような製造条件を、上記ラジカル濃度をフィードバックして制御することが好ましい。かかる製造方法によると、目的に応じた性状および/または特性を有するカーボンナノウォールを、より効率よく製造することが可能である。
また、この発明によると、基材の表面にカーボンナノウォールを製造する装置が提供される。その装置は、少なくとも炭素を含む原料物質が供給され、前記基材が配置される反応室を含む。また、該反応室内の原料物質をプラズマ化するプラズマ放電手段を含む。また、所定のラジカル源物質(典型的には、少なくとも水素を構成元素とするラジカル源物質)が供給されるラジカル発生室を含む。また、該ラジカル発生室内のラジカル源物質からラジカルを生成するラジカル発生手段を含む。そして、前記ラジカル発生手段により生成したラジカルを前記反応室に導入し得るように構成されている。
かかる製造装置によると、反応室に導入するラジカルの組成、供給量等のうち一または二以上の条件を、他の一または二以上のカーボンナノウォール製造条件(例えば、原料物質のプラズマ化条件)と独立して、あるいは該他の製造条件に関連させて調整し得る。すなわち、高い自由度をもってカーボンウォールの製造条件を調整することができる。このような製造装置は、上述したいずれかのカーボンナノウォール製造方法を実施する装置として好適である。
上記製造装置の好ましい一つの態様では、前記ラジカル発生手段が、前記ラジカル発生室にマイクロ波、UHF波、VHF波またはRF波を照射し得るるように構成されている。このラジカル発生手段は、誘導結合プラズマ(ICP)発生機構として構成されていることが好ましい。あるいは、触媒金属(Pt,Pd,W,Mo,Ni等)を有する部材を前記ラジカル発生室に面して配置し、その触媒金属部材を加熱し得るように上記ラジカル発生手段を構成してもよい。例えば、波状のNi製ワイヤ(触媒金属部材)をラジカル発生室の内部に配置した構成とすることができる。上記ワイヤに電流を流したヒータに、ラジカル源物質としてのH2 を導入して接触させる。これにより、Niの触媒作用によってHラジカルを発生させることができる。触媒金属の加熱温度は、例えば300〜800℃程度とすることができ、通常は400〜600℃程度とすることが好ましい。また、前記プラズマ放電手段は、容量結合プラズマ(CCP)発生機構として構成されていることが好ましい。
上記製造装置の他の一つの好ましい態様では、前記ラジカル発生手段が、前記基材のカーボンナノウォール形成面に向かって広がって設けられたラジカル導入口から前記反応室にラジカルを導入し得るように構成されている。他の一つの好ましい態様では、前記反応室内に配置された前記基材のカーボンナノウォール形成面に対向する位置に、複数のラジカル導入口が分散配置されている。このような構成によると、上記形成面にカーボンナノウォールを、より効率よく形成することが可能である。基材の比較的広い範囲にカーボンナノウォールを形成する場合には、このような構成とすることによる効果が特によく発揮される。
ここで開示されるカーボンナノウォール製造装置は、前記反応室内における炭素ラジカルの濃度(密度)を測定する濃度測定手段をさらに備えることができる。その測定手段は、該ラジカルの発光線(すなわち炭素原子の発光線)を反応室内に出射する発光線出射手段を含む。また、該出射手段から出射された発光線を受光する受光手段を含む。かかる構成の装置によると、反応室内の炭素ラジカルの濃度に基づいて製造条件を、より的確に調整することができる。あるいは、反応室内の炭素ラジカルの濃度を、より高精度に管理することができる。したがって、目的に応じた性状および/または特性を有するカーボンナノウォールを効率よく製造することができる。上記発光線出射手段は、例えば、少なくとも炭素を構成元素とするガスに適当なエネルギーを加えて炭素ラジカル(炭素原子)に固有の発光線を出射するように構成することができる。
上記製造装置はまた、前記反応室内におけるHラジカル(水素原子)の濃度を測定する濃度測定手段を備えることができる。また、前記反応室内におけるフッ素ラジカル(フッ素原子)の濃度を測定する濃度測定手段を備えることができる。このような測定手段は、測定対象となるラジカルの種類に対応した発光線を出射する発光線出射手段と、その出射部から出射された発光線を受光する受光手段とを含む構成とすることができる。
上記製造装置は、前記測定機構によるラジカル濃度測定結果に基づいて少なくとも一つのカーボンナノウォール製造条件を調整する制御手段を備える。かかる測定結果に基づいて調整し得る製造条件の例としては、原料物質の供給量、原料物質のプラズマ化強度、ラジカル(典型的にはHラジカル)の注入量、ラジカル源物質の供給量、ラジカル源物質のラジカル化強度等が上げられる。このような製造条件を、上記ラジカル濃度測定結果をフィードバックして制御することが好ましい。かかる製造方法によると、目的に応じた性状および/または特性を有するカーボンナノウォールを、より効率よく製造することが可能である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書によって開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
カーボンナノウォールの製造に用いる原料物質としては、少なくとも炭素を構成元素とする種々の物質を選択することができる。炭素とともに原料物質を構成し得る元素の例としては、水素、フッ素、塩素、臭素、窒素、酸素等から選択される一種または二種以上が挙げられる。好ましい原料物質としては、実質的に炭素と水素から構成される原料物質、実質的に炭素とフッ素から構成される原料物質、実質的に炭素と水素とフッ素から構成される原料物質が例示される。飽和または不飽和のハイドロカーボン(例えばCH4 )、フルオロカーボン(例えばC2 6 )等を好ましく用いることができる。直鎖状、分岐状、環状のいずれの分子構造のものも使用可能である。通常は、常温常圧において気体状態を呈する原料物質(原料ガス)を用いることが好ましい。原料物質として一種類の物質のみを用いてもよく、二種以上の物質を任意の割合で用いてもよい。使用する原料物質の種類(組成)は、カーボンウォールの製造段階(例えば成長過程)の全体を通じて一定としてもよく、製造段階に応じて異ならせてもよい。目的とするカーボンナノ構造体の性状(例えば壁の厚さ)および/または特性(例えば電気的特性)に応じて、使用する原料物質の種類(組成)や供給方法等を適宜選択することができる。
ラジカル源物質としては、少なくとも水素を構成元素とする物質を好ましく用いることができる。常温常圧において気体状態を呈するラジカル源物質(ラジカル源ガス)を用いることが好ましい。特に好ましいラジカル源物質は水素ガス(H2 )である。また、ハイドロカーボン(CH4 等)のように、分解によりHラジカルを生成し得る物質をラジカル源物質として用いることも可能である。ラジカル源物質として一種類の物質のみを用いてもよく、二種以上の物質を任意の割合で用いてもよい。
ここで開示される製造方法では、原料物質がプラズマ化されたプラズマ雰囲気中にラジカルを注入する。これにより原料物質のプラズマとラジカル(典型的にはHラジカル)とを混在させる。その混在領域から基材上に堆積した炭素によりカーボンナノウォールが形成される(成長する)。使用し得る基材の例としては、少なくともカーボンナノウォールの形成される領域がSi、SiO2 、Si3 4 、GaAs、Ai2 3 等の材質により構成されている基材が挙げられる。基材の全体が上記材質により構成されていてもよい。上記製造方法では、ニッケル鉄等の触媒を特に使用することなく、上記基材の表面に直接カーボンナノウォールを作製することができる。また、Ni,Fe,Co,Pd,Pt等の触媒(典型的には遷移金属触媒)を用いてもよい。例えば、上記基材の表面に上記触媒の薄膜(例えば厚さ1〜10nm程度の膜)を形成し、その触媒被膜の上にカーボンナノウォールを形成してもよい。使用する基材の外形は特に限定されない。典型的には、板状の基材(基板)が用いられる。
<第1実施例>
この出願に係るカーボンナノウォール(カーボンナノ構造体)製造装置の一構成例を図1に示す。この装置1は、反応室10と、その反応室10内でプラズマを生じさせるプラズマ放電手段20と、反応室10に接続されたラジカル供給手段40とを備える。
プラズマ放電手段20は、平行平板型容量結合プラズマ(CCP)発生機構として構成されている。本実施例のプラズマ放電手段20を構成する第一電極22および第二電極24は、いずれも略円板状の形状を有する。これらの電極22,24は、互いにほぼ平行になるようにして反応室10内に配置されている。典型的には、第一電極22が上側に、第二電極24がその下側になるようにして配置する。
第一電極(カソード)22には、マッチング回路(matching network)26を介して電源28が接続されている。これらの電源28およびマッチング回路26により、RF波(例えば13.56MHz)、UHF波(例えば500MHz)、VHF波(例えば、27MHz,40MHz,60MHz,100MHz,150MHz)、またはマイクロ波(例えば2.45GHz)の少なくともいずれかを発生することができる。本実施例では、少なくともRF波を発生し得るように構成されている。
第二電極(アノード)24は、反応室10内で第一電極22から離して配置される。両電極22,24の間隔は、例えば0.5〜10cm程度とすることができる。本実施例では約5cmとした。第二電極24は接地されている。カーボンナノウォールの製造時には、この第二電極24上に基板(基材)5を配置する。例えば、基材5のうちカーボンナノウォールを製造しようとする面が露出する(第一電極22に対向する)ようにして、第二電極24の表面上に基板5を配置する。第二電極24には、基材温度調節手段としてのヒータ25(例えばカーボンヒータ)が内蔵されている。必要に応じてこのヒータ25を稼動させることによって基板5の温度を調節することができる。
反応室10には、図示しない供給源から原料物質(原料ガス)を供給可能な原料導入口12が設けられている。好ましい一つの態様では、第一電極(上部電極)22と第二電極(下部電極)24との間に原料ガスを供給し得るように導入口12を配置する。また、反応室10には、後述するラジカル供給手段40からラジカルを導入可能なラジカル導入口14が設けられている。好ましい一つの態様では、第一電極22と第二電極24との間にラジカルを導入し得るように導入口14を配置する。さらに、反応室10には排気口16が設けられている。この排気口16は、反応室10内の圧力を調節する圧力調節手段(減圧手段)としての図示しない真空ポンプ等に接続されている。好ましい一つの態様では、この排気口16は第二電極24の下方に配置されている。
ラジカル供給手段40は、ラジカル発生室41と、そのラジカル発生室41内でラジカル源物質からラジカルを生じさせるラジカル発生手段50とを含む。このラジカル発生手段50は、誘導結合プラズマ(ICP)発生機構として構成されている。例えば、ラジカル発生室41の周囲にコイル52を配置した構成とすることができる。本実施例では、内径26mm、長さ20mmの石英管を用いて形成されたラジカル発生室41の周囲に、1/4インチの銅管を螺旋状に5周捲回させてコイル52を形成した。このコイル52は流水等により冷却可能である。ラジカル発生手段50(コイル52)には、マッチング回路56を介して電源58が接続されている。これにより、RF波(13.56MHz)、UHF波(例えば500MHz)、VHF波(例えば100MHz)の少なくともいずれかを発生することができる。本実施例では、少なくともRF波を発生し得るように構成されている。なお、マイクロ波(例えば2.45GHz)を直接導入してプラズマを生成させ、これによりラジカルを発生する構成としてもよい。この場合にはコイル52を省略することができる。
ラジカル発生室41には、図示しない供給源からラジカル源物質36を導入可能なラジカル源導入口42が設けられている。また、ラジカル発生室41は反応室10のラジカル導入口14に接続されている。好ましい一つの態様では、管状のラジカル発生室41の長手方向の一端側にラジカル導入口42が設けられ、他端側が反応室10のラジカル導入口14に接続され、その間にコイル52が配置されている。なお、本実施例ではラジカル発生室41を反応室10の側方に配置しているが、ラジカル発生室の配置位置はこれに限られるものではない。例えば、反応室の上方に配置してもよく、下方に配置してもよい。あるいは、反応室の内部にラジカル発生室を配置(収容)した構成とすることもできる。
このような構成の装置1を用いて、例えば以下のようにしてカーボンナノウォールを製造することができる。
すなわち、第二電極24の上に基材5をセットし、原料導入口12から反応室10にガス状の原料物質(原料ガス)32を所定の流量で供給する。また、ラジカル源導入口42からラジカル発生室41にガス状のラジカル源物質(ラジカル源ガス)36を所定の流量で供給する。排気口16に接続された図示しない真空ポンプを稼動させ、反応室10の内圧(原料ガスの分圧とラジカル源ガスの分圧との合計圧力)を10〜1000mTorr程度に調整する。
なお、原料ガスおよびラジカル源ガスの好ましい供給量の比は、それらのガスの種類(組成)、目的とするカーボンナノウォールの性状、特性等によって異なり得る。例えば原料ガスとして炭素数1〜3のハイドロカーボンまたはフルオロカーボンを使用し、ラジカル源ガスとして水素ガスを使用する場合には、原料ガス/ラジカル源ガスの供給量比(例えば、温度を同程度としたときの流量の比)が2/98〜60/40の範囲となるように供給することができる。この供給量比を5/95〜50/50の範囲とすることが好ましく、10/90〜30/70の範囲とすることがより好ましい。
そして、電源28から例えば13.56MHz、5W〜2KW程度のRF電力を入力する。これにより、主として第一電極22と第二電極24との間で原料ガス32をプラズマ化してプラズマ雰囲気34を形成する。また、電源58から例えば13.56MHz、10〜1000W程度のRF電力を入力する。これによりラジカル発生室41内のラジカル源ガス36を分解してラジカル38を生成する。生成したラジカル38は、ラジカル導入口14から反応室10に導入され、プラズマ雰囲気34中に注入される。これにより、プラズマ雰囲気34を構成する原料ガスのプラズマと、その外部から注入されたラジカル38とが混在する。このようにして、第二電極24上に配置された基板5の表面にカーボンナノウォールを成長させることができる。このとき、ヒータ25等を用いて基板5の温度を100〜800℃程度(より好ましくは200〜600℃程度)に保持しておくことが好ましい。
<第2実施例>
この第2実施例は、第1実施例の装置とはラジカル供給手段の構成が異なる例である。以下、第1実施例と同様の機能を果たす部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
図2に示すように、本実施例に係る装置2に備えられたラジカル供給手段40は、反応室10の上方にプラズマ生成室46を有する。プラズマ生成室46と反応室10とは、基板5のカーボンナノウォール形成面に対向して設けられた隔壁44によって仕切られている。この隔壁44には、マッチング回路26を介して電源28が接続されている。すなわち、本実施例における隔壁44は、第一電極22としての機能をも果たすものである。また、この装置2は、プラズマ生成室46の壁面と隔壁44との間にRF波、VHF波またUHF波を印加する高周波印加手段60を有する。これによりラジカル源ガス36からプラズマ33を生成することができる。なお、図2に示す高周波印加手段60において、符号62は交流電源を、符号63はバイアス電源を、符号64はフィルタをそれぞれ示している。
このプラズマ33から生じたイオンは、隔壁44で消滅し、中性化してラジカル38となる。このとき、適宜隔壁44に電界を印加して中性化率を高めることができる。また、中性化ラジカルにエネルギーを与えることもできる。隔壁44には多数の貫通孔が分散して設けられている。これらの貫通孔が多数のラジカル導入口14となって、反応室10にラジカル38が導入され、そのまま拡散してプラズマ雰囲気34中に注入される。図示するように、これらの導入口14は基板5の上面(第一電極22に対向する面、すなわちカーボンナノウォール形成面)の面方向に広がって配置されている。
このような構成を有する装置2によると、反応室10内のより広い範囲に、より均一にラジカル38を導入することができる。このことによって、基板5のより広い範囲(面積)に効率よくカーボンナノウォールを形成することができる。また、面方向の各部で構造(性状、特性等)がより均一化されたカーボンナノウォールを形成することができる。本実施例によると、これらの効果のうち一または二以上の効果を実現し得る。
隔壁44は、Pt等の触媒機能性の高い材質が表面にコーティングされたもの、あるいはそのような材質自体により形成されたものとすることができる。かかる構成の隔壁44とプラズマ雰囲気34との間に電界を印加する(典型的には、隔壁44に負のバイアスを印加する)ことによって、プラズマ雰囲気34中のイオンを加速し、隔壁44をスパッタリングする。これにより、触媒機能を有する原子(Pt等)あるいはクラスターをプラズマ雰囲気34中に注入することができる。
カーボンナノウォールを形成するプロセスにおいて、プラズマ生成室46から注入されるラジカル(典型的にはHラジカル)38、プラズマ雰囲気34において発生する少なくとも炭素を含むラジカルおよび/またはイオン、および、上述のように隔壁44のスパッタリングにより発生して注入される触媒機能を有する原子またはクラスターを用いる。これにより、得られるカーボンナノウォールの内部および/または表面に、触媒機能を有する原子、クラスターまたは微粒子を堆積させることができる。このようにな原子、クラスターまたは微粒子を具備するカーボンナノウォールは、高い触媒性能を発揮し得ることから、燃料電池の電極材料等として応用することが可能である。
なお、図2に示す装置2は高周波によりラジカル源ガス36からプラズマ33を生成するように構成されているが、このプラズマ33をマイクロ波により生成する構成としてもよい。例えば、図3に示す装置3のように、プラズマ生成室46の上方にマイクロ波39を導入する導波路47を設ける。そして、スロットアンテナ49を用いて石英窓48からプラズマ生成室46にマイクロ波を導入し、高密度のプラズマ332を生成する。このプラズマ332をプラズマ生成室46内に拡散させ(プラズマ334)、そこからラジカル38を生じさせることができる。なお、図3ではプラズマ放電手段20の図示を部分的に省略している。また、図3に示す隔壁44には適宜バイアスを印加することができる。例えば、プラズマ生成室46内のプラズマ334と隔壁44との間、または反応室10内のプラズマ雰囲気34と隔壁44との間へバイアスを印加する。バイアスの向きは適宜可変である。隔壁44に負のバイアスを印加し得る構成とすることが好ましい。
カーボンナノウォール形成面に向けて広がって設けられたラジカル導入口14を有する装置の他の構成例を図4に示す。図示するように、この装置4に備えられたラジカル供給手段40は、ラジカル発生室41と、そのラジカル発生室41で生成したラジカル38が導入されるラジカル拡散室43とを有する。このラジカル拡散室43は、反応室10の外周に隔壁44を介して筒状に設けられている。この隔壁44の各部に(すなわち、基材5の周方向に広がって)設けられたラジカル導入口14から反応室10にラジカル38を導入することができる。
あるいは、図5に示す装置6のように、装置2(図2参照)の構成におけるプラズマ生成室46を、反応室10の上方から外周にかけて連続的に設けてもよい。かかる構成とすることにより、より広範な周囲空間(側方および上方の全体)からラジカル38を供給し、プラズマ雰囲気34に注入することができる。なお、図5では高周波印加手段60およびプラズマ放電手段20の一部の図示を省略している。これらの装置4、装置6(図4、図5参照)は、図3に示す装置3と同様に、隔壁44に適宜バイアスを印加し得る構成とすることができる。装置6においては、反応室10の上部および周囲のいずれの箇所に位置する隔壁44にバイアスを印加してもよい。
<第3実施例>
この第3実施例は、第1実施例の装置にラジカル濃度測定手段を設けた例である。以下、第1実施例と同様の機能を果たす部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。 図6に示すように、本実施例に係る装置7には、反応室10内のCラジカル(炭素原子)の濃度を測定するラジカル濃度測定手段70が設けられている。この測定手段70は、炭素原子(炭素ラジカル)に固有の発光線75(例えば、波長296.7nmの発光線)を反応室10内に射出する発光線射出手段としての発光線射出器72と、その発光線75を受光(検出)する受光手段としての受光器74とを含む。そして、発光線射出器72から射出された発光線75が第一電極22と第二電極24との間を通過して受光器74に到達するように構成されている。あるいは、射出器72から射出された発光線75が反応室10内の他の箇所を通過して受光器74に到達するように構成してもよい。例えば、図6に仮想線で示すように、発光線75が第二電極24の下方(排気口16側)を通過して受光器74に至るような構成とすることができる。
この炭素原子の発光線75は、射出器72から受光器74に至る間に、これらの間に存在する炭素ラジカル(炭素原子)の濃度に応じて吸収される。したがって、例えば、任意の測定時期に受光器74で検出される発光線75の強度と、その発光線75の経路に炭素ラジカルが実質的に存在しないときに受光器74で検出される発光線75の強度との違いから、当該測定時期における炭素ラジカルの濃度(密度)を把握することができる。また、発光線75の検出強度が例えば製造開始時と同程度に維持されるように製造条件を制御することにより、製造中における炭素ラジカル濃度の変動を抑制することができる。このように炭素ラジカルの濃度をモニタすることにより、反応室10内の炭素ラジカルの濃度および/または他の製造条件を、より的確に調整することができる。例えば、図示しない原料ガス供給量調節機構(例えば電磁弁)に接続された制御回路76に、受光器74により検出された炭素ラジカル濃度検出信号を送出し、この信号の強度が所定の範囲となるように原料ガス32の供給量を調節することができる。このように、反応室内のラジカル濃度に応じて製造条件を調節可能な構成とすることにより、目的に応じた性状および/または特性を有するカーボンナノウォールを、より効率よく製造することができる。例えば、カーボンナノウォールの収率の向上、形状(性状)精度の向上、形状(性状)の再現性の向上、原料ガスおよび/またはラジカル源ガスの使用量の節約、製造条件の制御の容易化等のうち一または二以上の効果を実現することができる。
また、装置7は、反応室10内のHラジカル(水素原子)の濃度を測定するように構成されたラジカル濃度測定手段70を備えた構成とすることができる。この場合には、水素原子(Hラジカル)に固有の発光線75を出射する発光線出射器72と、その発光線75を検出する受光器74とを用いる。あるいは、フッ素原子(フッ素ラジカル)に固有の発光線75を出射する発光線出射器72と、その発光線75を検出する受光器74とにより、反応室10内のFラジカル(フッ素原子)の濃度を測定するように構成されたラジカル濃度測定手段70を備えた構成としてもよい。また、同様の手法によりC2 ラジカルの濃度を測定するラジカル濃度測定手段70を備えた構成としてもよい。このように、測定対象とするラジカルの種類に対応した発光線75を出射する発光線出射器72と、その発光線75を検出する受光器74とを有するラジカル濃度測定手段70を備えた構成とすることができる。例えば、C,C2 ,H,F,CF3 ,CF2 およびCFのうち少なくとも一種のラジカルの濃度を測定可能な測定手段を備えることができる。これらのうち二種以上を測定可能な複数の測定手段を備えてもよい。
なお、水素原子(Hラジカル)に固有の発光線を出射する発光線出射器と、その発光線を検出する受光器とを有するラジカル濃度測定手段を、ラジカル発生室41内のHラジカルの濃度を測定し得るように設けてもよい。あるいは、このようなHラジカル濃度測定手段を、プラズマ生成室46またはラジカル拡散室43内のHラジカルの濃度を測定し得るように設けてもよい。
次に、上述した装置1を用いてカーボンナノ構造体を作製した実験例、および、得られたカーボンナノ構造体の特性を評価した実験例につき説明する。
<実験例1>
本実験例では、原料ガス32としてC2 6 を使用した。ラジカル源ガス36としては水素ガス(H2 )を使用した。基板5としては厚さ約0.5mmのシリコン(Si)基板を用いた。なお、このシリコン基板5は触媒(金属触媒等)を実質的に含まない。
第二電極24上にシリコン基板5を、その(100)面が第一電極22側に向くようにしてセットした。原料導入口12から反応室10にC2 6 (原料ガス)32を供給するとともに、ラジカル源導入口42から水素ガス(ラジカル源ガス)36を供給した。また、反応室10内のガスを排気口16から排気した。そして、反応室10内におけるC2 6 の分圧が約20mTorr、H2 の分圧が約80mTorr、全圧が約100mTorrとなるように、原料ガス32およびラジカル源ガス36の供給量(流量)ならびに排気条件を調節した。
この条件で原料ガス32を供給しながら、電源28から第一電極22に13.56MHz、100WのRF電力を入力し、反応室10内の原料ガス(C2 6 )32にRF波を照射した。これにより原料ガス32をプラズマ化し、第一電極22と第二電極24との間にプラズマ雰囲気34を形成した。また、上記条件でラジカル源ガス36を供給しながら、電源58からコイル52に13.56MHz、50WのRF電力を入力し、ラジカル発生室40内のラジカル源ガス(H2 )36にRF波を照射した。これにより生成したHラジカルを、ラジカル導入口14から反応室10内に導入した。このようにして、シリコン基板5の(100)面にカーボンナノ構造体を成長(堆積)させた。本実験例では構造体の成長時間を2時間とした。その間、必要に応じてヒータ25および図示しない冷却装置を用いることにより、基板5の温度を約500℃に保持した。
<実験例2〜4>
実験例1の条件から、ラジカル(ここではHラジカル)38を発生させる条件を変更した。すなわち、電源58からコイル52へのRF入力電力をそれぞれ100W(実験例2)、200W(実験例3)、400W(実験例4)とした。その他の点については実験例1と同様にして、シリコン基板5の(100)面にカーボンナノ構造体を作製した。
以上の実験条件を表1にまとめて示す。なお、「圧力比」とは本装置に供給される原料ガス/ラジカル源ガスの分圧の比(すなわち供給量の比)を表す。
実験例1〜4により形成された構造体を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。図7〜10は、実験例1〜4により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。また、図11〜14は各構造体を断面から観察したSEM像、図15〜18は各構造体をさらに高倍率で観察したSEM像である。また、図19は、実験例4に係る構造体を断面から、図18よりもさらに高倍率で観察したSEM像である。図20は、実験例4に係る構造体を上面から、図10よりもさらに高倍率で観察したSEM像である。
これらの図から判るように、実験例1〜4によると、いずれも基板5の(100)面に対してほぼ垂直に、二次元のカーボンシート(カーボンナノウォール)が形成されていた。これらの実験例により形成されたカーボンナノウォールの平均厚さ(カーボンシートの平均厚さ)は、いずれも10〜30nm程度であった。カーボンナノウォールの形状(性状)は、Hラジカルを発生させる条件(電源58からコイル52へのRF入力電力)によって大きく異なっていた。また、実験例1〜4の条件では、Hラジカルの発生条件がカーボンナノウォールの高さに及ぼす影響は比較的少なかった。すなわち、これらの実験例により形成されたカーボンナノウォールの平均高さは、いずれも300nm程度であった。これらの観察結果は、Hラジカルの発生量(反応室10に供給されるHラジカルの量)を調節することによって、得られるカーボンナノウォールの形状を制御し得ることを示唆している。
<実験例5〜8>
実験例4において、基板上に構造体を成長させる時間をそれぞれ0.5時間(実験例5)、1時間(実験例6)、2時間(実験例7)、3時間(実験例8)とした。その他の点については実験例4と同様にして、シリコン基板5の(100)面にカーボンナノ構造体を作製した。これらの実験条件を表2にまとめて示す。なお、実験例7は実験例4と実質的に同条件である。
実験例5〜7により形成された構造体をSEMにより観察した。図21〜24は、実験例5〜7により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。また、図25〜28は各構造体の断面を観察したSEM像である。
これらの図から判るように、基板5上に形成される構造体の性状は成長時間によって異なる。また、図25〜28によく示されるように、成長時間が長くなるにしたがって構造体の高さは大きくなる。図29に示すように、実験例5〜8の条件では、成長時間の長さと構造体の高さとの間にほぼ直線的な関係(比例関係)がみられた。
<実験例9〜10>
原料ガス32としてC2 6 (実験例9)またはCH4 (実験例10)を用い、その他の点については実験例4と同様の条件で、シリコン基板5の(100)面にカーボンナノ構造体を作製した。これらの実験条件を表3にまとめて示す。なお、実験例9は実験例4と実質的に同条件である。
実験例9により形成された構造体を上面から観察したSEM像を図30に、実験例10により形成された構造体を上面から観察したSEM像を図31にそれぞれ示す。フルオロカーボン(ここではC2 6 )を原料ガスとして作製した実験例9に係るカーボンナノウォール(図30)は、その壁の平均厚さが約10〜30nm程度である。これに対して、ハイドロカーボン(ここではCH4 )を原料ガスとして作製した実験例10に係るカーボンナノウォール(図31)は、その壁の平均厚さが数nm程度である。このように、原料ガスとしてC2 6 を用いた場合には、原料ガスとしてCH4 を用いた場合に比べて明らかに壁の厚いカーボンナノウォールが形成された。C2 6 の量によって壁の厚さを制御することができる。また、実験例9に係るカーボンナノウォールと実験例10に係るカーボンナノウォールとでは、厚さ以外の点(例えば壁の平坦さ)においても形状が異なっている。これらの観察結果は、原料ガスの種類および/または組成を適切に選択することによって、得られるカーボンナノウォールの性状を制御し得ることを示唆している。
<実験例11>
実験例9により得られたカーボンナノウォールに電圧を印加して電子放出特性を評価した。その結果を図32に示す。図示するように、電界強度が5.5〜6V/μm程度以上になると測定電流が急激に上昇した。この結果は、実験例9により得られたカーボンナノウォールが電界放出型電子源(電極)の構成材料等として有用なものとなり得ることを示唆している。また、このようなカーボンナノウォールの表面にPt等を被覆させて、高効率の触媒作用を示す構造体とすることができる。このように触媒を備えるカーボンナノウォールは、例えば燃料電池の電極等に応用可能である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、図1〜6に示す製造装置等において、第二電極(下部電極)24に高周波(例えば、400KHz,1.5MHz,13.56MHz等)を印加し得る構成とすることができる。かかる構成によると、入射する荷電粒子のエネルギーを制御することが可能である。図33および図34は、第二電極24に高周波を印加する構成の具体例を模式的に示したものである。図33中の符号242は、例えば400KHz,1.5MHzまたは13.56MHzの高周波を発生する交流電源である。また、図34中の符号244は、例えば13.56MHzの高周波を発生する交流電源である。同図中の符号246は、例えば400KHzの高周波を発生する交流電源である。これらの電源244,246の間にはローパスフィルタ248が接続されている。なお、交流電源246に代えて直流電源を用いてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
第1実施例に係る製造装置を示す模式図である。 第2実施例に係る製造装置を示す模式図である。 第2実施例の変形例に係る製造装置を示す模式図である。 第2実施例の変形例に係る製造装置を示す模式図である。 第2実施例の変形例に係る製造装置を示す模式図である。 第3実施例に係る製造装置を示す模式図である。 実験例1(RF入力電力;50W)により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例2(RF入力電力;100W)により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例3(RF入力電力;200W)により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例4(RF入力電力;400W)により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例1により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例2により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例3により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例4により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例1により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例2により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例3により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例4により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例4により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例4により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例5(成長時間;0.5時間)により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例6(成長時間;1時間)により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例7(成長時間;2時間)により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例8(成長時間;3時間)により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例5により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例6により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例7により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例8により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 構造体の成長速度を示す特性図である。 実験例9(原料ガス;C2 6 )により形成された構造体を上面から観察したSEM像である。 実験例10(原料ガス;CH4 )により形成された構造体の断面を観察したSEM像である。 実験例9により形成された構造体の電子放出特性を示す特性図である。 第二電極に高周波を印加する構成の一例を示す模式図である。 第二電極に高周波を印加する構成の他の例を示す模式図である。
符号の説明
1,2,3,4,6,7 カーボンナノウォール製造装置
5 基板(基材)
10 反応室
14 ラジカル導入口
20 プラズマ放電手段
22 第一電極
24 第二電極
25 ヒータ
26 マッチング回路
28 電源
32 原料ガス(原料物質)
34 プラズマ雰囲気
36 ラジカル源ガス(ラジカル源物質)
38 ラジカル
40 ラジカル供給手段
41 ラジカル発生室
43 ラジカル拡張室
44 隔壁
50 ラジカル発生手段
52 コイル
56 マッチング回路
58 電源
70 ラジカル濃度測定手段
72 発光線射出器(発光線射出手段)
74 受光器(受光手段)
76 制御回路(制御手段)

Claims (16)

  1. 少なくとも炭素を構成元素とする原料物質がプラズマ化したプラズマ雰囲気を反応室の少なくとも一部に形成するとともに、そのプラズマ雰囲気中に該雰囲気の外部で生成したラジカルを注入して、該反応室中に配置した基材の表面にカーボンナノウォールを形成するカーボンナノウォールの製造方法。
  2. 前記ラジカルは、前記反応室の外部でラジカル源物質を分解して生成したものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記ラジカル源物質にマイクロ波、UHF波、VHF波またはRF波を照射すること、および/または、前記ラジカル源物質を加熱された触媒金属に接触させることにより前記ラジカルを生成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記ラジカルは水素ラジカルを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 少なくとも水素を構成元素とするラジカル源物質を分解して水素ラジカルを生成し、その水素ラジカルを前記プラズマ雰囲気中に注入することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記原料物質は少なくとも炭素と水素を構成元素とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記原料物質は少なくとも炭素とフッ素を構成元素とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記反応室内における炭素ラジカル、水素ラジカルおよびフッ素ラジカルのうち少なくとも一種類のラジカルの濃度に基づいて、前記原料物質の供給量、前記原料物質のプラズマ化強度および前記ラジカルの注入量のうち少なくとも一つの条件を制御する請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 基材の表面にカーボンナノウォールを製造する装置であって、
    少なくとも炭素を含む原料物質が供給され、前記基材が配置される反応室と、
    該反応室内の原料物質をプラズマ化するプラズマ放電手段と、
    ラジカル源物質が供給されるラジカル発生室と、
    該ラジカル発生室内のラジカル源物質からラジカルを生成するラジカル発生手段とを含み、
    前記ラジカル発生手段により生成したラジカルを前記反応室に導入し得るように構成されているカーボンナノウォール製造装置。
  10. 前記ラジカル発生手段は、前記ラジカル発生室にマイクロ波、UHF波、VHF波またはRF波を照射することおよび前記ラジカル発生室に面して設けられた触媒金属を加熱することの少なくとも一方を実現し得るように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
  11. 前記ラジカル発生手段は、前記基材のカーボンナノウォールの形成面に向かって広がって設けられたラジカル導入口から前記反応室にラジカルを導入し得るように構成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
  12. 前記反応室内の炭素ラジカルの濃度を測定する濃度測定手段を備え、
    該測定手段は、該ラジカルの発光線を前記反応室内に出射する発光線出射手段と、該出射手段から出射された発光線を受光する受光手段とを含む請求項9から11のいずれか一項に記載の装置。
  13. 前記反応室内の水素ラジカルの濃度を測定する濃度測定手段を備え、
    該測定手段は、該ラジカルの発光線を前記反応室内に出射する発光線出射手段と、該出射手段から出射された発光線を受光する受光手段とを含む請求項9から12のいずれか一項に記載の装置。
  14. 前記反応室内のフッ素ラジカルの濃度を測定する濃度測定手段を備え、
    該測定手段は、該ラジカルの発光線を前記反応室内に出射する発光線出射手段と、該出射手段から出射された発光線を受光する受光手段とを含む請求項9から13のいずれか一項に記載の装置。
  15. 前記測定手段によるラジカル濃度測定結果に基づいて、原料物質の供給量、原料物質のプラズマ化強度、ラジカルの注入量、ラジカル源物質の供給量およびラジカル源物質のラジカル化強度のうち少なくとも一つの条件を制御する制御手段を備える請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
  16. 前記反応室内に配置された前記基材のカーボンナノウォール形成面に対向する位置に、複数のラジカル導入口が分散配置されていることを特徴とする請求項9から15のいずれか一項に記載の装置。
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