JP2005092977A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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真仁 小柳
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Abstract

【課題】 低ノイズ、高容量で、走行耐久性が良好なMRヘッド用磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】 支持体上に強磁性金属粉末及び結合剤を主体とする磁性層を設けた磁気記録媒体において、前記強磁性金属粉末は、その粒子表面の少なくとも一部にカーボンブラックが被着されており、かつ平均長軸長が20〜50nmであり、かつ前記磁性層中に存在する非磁性物質の体積比率が50.0〜64.5%であり、かつDC消去時の磁気的クラスターの平均サイズが15000nm2以上45000nm2未満であり、かつ前記磁性層面内の長手方向の角型比が0.80〜0.95であることを特徴とする磁気記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電磁変換特性および走行耐久性に優れた高密度磁気記録媒体に関する。
従来、電磁誘導を動作原理とする磁気ヘッド(誘導型磁気ヘッド)が用いられ普及していたが、更に高密度記録再生領域で使用するには限界が見え始め、MR(磁気抵抗)を動作原理とする再生ヘッドが提案され、ハードデイスク等で使用されている。MRヘッドは誘導型磁気ヘッドに比較して数倍の再生出力が得られ、かつ誘導コイルを用いないため、インピーダンスノイズ等の機器ノイズが大幅に低下し、磁気記録媒体のノイズを下げることで大きなSN比を得ることが可能になってきた。従来から使用されている生産性に優れ、低価格で提供できる塗布型磁気記録媒体においても、MRヘッドに適した磁気記録層の検討がなされている。非磁性支持体上に実質的に非磁性である下層と強磁性微粉末を結合剤中に分散してなる磁性層をこの順に設けた磁気記録媒体は表面の平滑性を維持しつつ磁性層の薄層化を実現できる方法として、今日の高密度塗布型磁気記録媒体に多数適用されている(特許文献1)。
高密度記録を実現するためには、磁性体粉末の粒子サイズをより小さくすることが、重要である。しかしながら、例えば、面記録密度0.3Gbit/inchを越える塗布型磁気記録媒体を開発する中で特に磁性体粒子の粒子サイズが小さくなるとノイズが大きくなるという問題が生じてきた。磁性体粉末の粒子サイズを小さくすると、磁性層塗料の調製時に結合剤中での分散が困難になり、磁性層表面の平滑性を維持できなくなり、結果として目的とする低ノイズ媒体を得ることが困難になる。このノイズを抑えるために(1)磁性体同士の凝集を解消すること、(2)磁性層表面を平滑にすることが必要である。
優れた電磁変換特性に加えて、磁気記録テープには良好な走行耐久性も要求される。磁性粉末を微粒子化すると同程度の表面平滑性を有していても走行耐久性が劣化する傾向が見られている。そのため、非磁性のカーボンブラック微粒子粉末等を磁気記録層中に添加することは、走行安定性確保に有効である。しかし、過剰な添加は電磁変換特性を低下させて高密度記録化を阻害するばかりでなく、磁気記録層の薄層化をも阻害する原因となるとともに、カーボンブラック微粒子粉末は、BET比表面積値が大きく、溶剤による濡れが悪いという特性を有する事に起因し分散困難であるため、表面が平滑な磁気記録媒体を得ることが困難になる。
例えば、特許文献2には磁性粉末にカーボンブラックを被着し、走行性を改善する提案がなされているが、実際に作成された媒体では表面粗さが粗く、MRヘッドを搭載する磁気記録媒体としては十分ではなかった。また、電磁変換特性の改善についても具体的に示されてはいない。
このように、従来技術では電磁変換特性と走行耐久性がともに十分に良好な磁気記録媒体を提供するには至っていなかった。
特公平4−71244号公報 特開2001−143243号公報
本発明は、従来技術の課題を解決し、低ノイズ、高容量で、走行耐久性が良好なMRヘッド用磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、支持体上に強磁性金属粉末及び結合剤を主体とする磁性層を設けた磁気記録媒体において、前記強磁性金属粉末は、その粒子表面の少なくとも一部にカーボンブラックが被着されており、かつ平均長軸長が20〜50nmであり、かつ前記磁性層中に存在する非磁性物質の体積比率が50.0〜64.5%であり、かつDC消去時の磁気的クラスターの平均サイズが15000nm2以上45000nm2未満であり、かつ前記磁性層面内の長手方向の角型比が0.80〜0.95であることを特徴とする磁気記録媒体を得たことで目標を達成した。また、本発明の磁気記録媒体は、MRヘッドシステムで再生することが好ましい。
本発明は、特定サイズの微粒子C被着強磁性金属粉末を用いる磁性層において、非磁性物質の体積比率、磁気的クラスターサイズ及び角型比を規定したことにより、CN比及び走行耐久性に優れる磁気記録媒体を提供することができる。
本発明は、従来技術と同様にカーボンブラック粉末を添加し、それとは別に磁性粉末表面にカーボンブラックを被着させることで、磁性層における非磁性物質の占める体積比率が実質的に増え、ノイズの増加を招くことを知見してなされたものである。
本発明では、磁性粉体表面にカーボンブラックを被着させることで走行性を改善し、さらに磁性層の非磁性物質が占める体積比率をできる限り抑えることによってノイズの原因と成り得る磁気的クラスターサイズを低減させ、かつ磁性粉体の配向度を良くすることにより、電磁変換特性の向上を図ったものである。
非磁性物質の体積比率を制御する方法としては、(1)強磁性金属粉末に被着させるカーボンブラックの量、(2)上記(1)で用いるカーボンブラック以外であって、独立に用いるカーボンブラック粉末の添加量、(3)結合剤用ポリウレタン樹脂の添加量をそれぞれ調整することが挙げられる。
非磁性物質の体積比率は、磁性層に含まれる各素材の質量と比重から各素材の体積を見積もり、その非磁性物質の体積総和(Vn)の各素材の体積総和(Vt)に対する百分率で表した。非磁性物質の体積比率を(Vn/t)とすると、Vn/t(%)=100×Vn/Vtである。
ここで、Vn又はVtを構成する素材とは、通常の環境で固体であるものを意味し、Vnではそれらが全て非磁性であるものを意味する。尚、強磁性金属粉末に被着させるカーボンブラック量もVnに含まれる。
本発明で磁性層に用いる強磁性金属粉末は、その粒子表面の少なくとも一部にカーボンブラックが被着されており、かつ平均長軸長が20〜50nm、好ましくは20〜45nmである。
本発明はこのような強磁性金属粉末を用いることにより、磁気記録媒体のC/N、耐候性及び走行性を改善することができる。
この強磁性金属粉末は、カーボンブラックがその粒子表面の一部または全面に被着されたものであるが、本発明において被着とは、カーボンブラックがその粒子表面に物理的に吸着されていてもよいし、カーボンブラックがその粒子表面に共有結合にて結合されていてもよいが、ともに磁気記録媒体の磁性層中において前記被着状態が保持されていることが好ましい。その粒子表面にカーボンブラックを被着させることにより得られる強磁性金属粉末を磁性層に用いることにより、分散性が改善されることから磁性層の表面性を確保してC/Nを向上させると共に磁性面の摩擦係数を低く抑え走行耐久性の改善に寄与することができる。
強磁性金属粉末にカーボンブラックを被着させる手段は、特に限定されないが、カーボンブラックを強磁性金属粉末に被着させる前に強磁性金属粉末表面を予め処理しておくことが好ましい。この前処理としては、特に制限はなく従来公知の方法が用いられる。前処理としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂やその他の化合物を強磁性金属粉末表面に被着させることが挙げられるが、中でもシラン化合物を被着させる処理が好ましい。これら前処理により強磁性金属粉末に被着させた物質を前処理物という。
これら前処理物の被着量は、強磁性金属粉末に対して0.1〜10質量%が好ましく、更には0.3〜8質量%が好ましい。0.1質量%未満の場合には、カーボンブラックを十分被着させることが困難である。10質量%を超える場合には、カーボンブラックを十分被着させることはできるが、効果が飽和しており添加する意味がない。この前処理物を強磁性金属粉末に被着させることにより、強磁性金属粉末の耐候性、ひいては磁性層の耐候性を改善することができる。
以下、ケイ素化合物を用いて強磁性金属粉末を前処理する方法を説明するが、他の前処理物についても準用される。
強磁性金属粉末のケイ素化合物による被着処理は、強磁性金属粉末とケイ素化合物とを機械的に混合攪拌したり、強磁性金属粉末にケイ素化合物を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。ここで、ケイ素化合物は、そのままでも溶液として用いてもよい。また、溶液に適宜、水、塩酸等の触媒などを添加してもよい。
ケイ素化合物はそのままの状態でもシロキサン結合反応によりオリゴマー化やポリマー化されてもよい。
ケイ素化合物としては、アルコキシシラン化合物、ポリシロキサン化合物が好ましい。
アルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシシラン、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルアルコキシシラン等が挙げられ、単独または組み合わせて用いられる。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラnプロポキシシラン、テトラiプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、nプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等があげられる。
ポリシロキサン化合物としては、オルガノポリシロキサン化合物が好ましい。オルガノポリシロキサン化合物に置換される置換基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基、フェニル基や、官能基としてヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等が挙げられる。官能基はそのまま、又はアルキレン基、カルボニル基、オキシ基等の単独又は組合せからなる2価連結基を介してケイ素原子と結合されることが好ましい。
ポリシロキサン化合物のシロキサン結合数、質量平均分子量、置換基数等は、用いる強磁性金属粉末及びカーボンブラックの種類等により適宜選定される。
強磁性金属粉末の粒子表面にケイ素化合物を被着した後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌してケイ素化合物にカーボンブラックを被着させた後、乾燥乃至加熱処理する。
また、本発明におけるカーボンブラック被着量の総量は、無処理の強磁性金属粉末100質量部に対し0.5〜40質量部が好ましく、0.5〜20質量部が更に好ましい。カーボンブラック被着量を上記範囲とすると、低い体積固有抵抗値を有する強磁性金属粉末を得ることができ、かつVn/tを確保する上で好ましい。カーボンブラック微粒子粉末は、市販のファーネスブラック、チャンネルブラック等を使用することができる。被着処理に用いるカーボンブラックの平均粒子径は2〜10nmが好ましく、2〜5nmがさらに好ましい。被着処理に用いるカーボンブラックの平均粒子径を上記範囲とすると、粉体の取扱いが容易で、かつ被着物へ均一に被着させるために小さな機械的せん断力等で済み、工業的に有利である。
本発明におけるカーボンブラック被着強磁性金属粉末(以下、C被着強磁性金属粉末ともいう)の粒子形状や粒子サイズは、強磁性金属粉末の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、強磁性金属粉末に相似する粒子形態を有しているとともに、強磁性金属粉末よりも若干大きい粒子サイズを有している。即ち、本発明におけるC被着強磁性金属粉末は、平均長軸長が20〜50nm、好ましくは20〜45nmである。また、C被着強磁性金属粉末の平均針状比{(長軸長/短軸長)の平均}は、2.0〜6.5が好ましく、2.5〜5.5が更に好ましい。
本発明におけるC被着強磁性金属粉末は、上記前処理に先立って、必要により、強磁性金属粉末の粒子表面をあらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれた1種又は2種以上の化合物で被覆しておいてもよい。
C被着強磁性金属粉末に用いられる強磁性金属粉末はSBET(BET比表面積)が通常、40〜100m/g、好ましくは50〜80m/gである。結晶子サイズは通常、8〜15nm、好ましくは10〜15nmである。平均長軸長が50nm以上の場合には、これを用いて磁性層を形成した場合には、短波長記録時のノイズが大きくなり、SN比が損なわれやすい。平均長軸長が20μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすく、均一な前処理及び分散処理が困難となる。
強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe-Co、Fe-Ni、Co-Ni、Co-Ni-Fe等の単体又は合金が挙げられ、金属成分の20質量%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を含ませることができる。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物又は酸化物を含むものであってもよい。これらの強磁性金属粉末の製法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性金属粉末についても公知の方法に従って製造することができる。強磁性金属粉末の形状はC被着強磁性金属粉末の針状比が得られる形状であれば、特に制限はないが、例えば、針状、紡錘状、米粒状等が挙げられる。
本発明においては、結合剤、硬化剤及びC被着強磁性金属粉末を、通常、磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散して磁性層形成用塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。
磁性層は、上記成分以外に、α−Al、Cr等の研磨剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤あるいは充填剤を含んでいてもよい。
尚、カーボンブラック等の帯電防止剤は、本発明のC被着強磁性金属粉末にカーボンブラックが被着しているので、通常より減量することができると共にその帯電防止効果は向上する。
磁性層に用いられる結合剤、添加剤等は後述のバック層に用いられるものを適宜選定して用いることもできる。
本発明は、Vn/t、磁気的クラスターサイズ及び磁性層面内の長手方向の角型比(SQ)を特定範囲に制御するものであるが、このような制御にはC被着強磁性金属粉末が寄与するが、上記したように磁性層へのカーボンブラック単独の添加量、ポリウレタン樹脂の添加量を適宜選定することがより有効な手段である。
磁性層へ単独に添加されるカーボンブラックの素材は、後述されるバック層に用いられるものと同様のもが使用できる。このカーボンブラックのサイズは、10〜50nmが好ましく、10〜40nmが更に好ましい。このカーボンブラックの添加量は、無処理の強磁性金属粉末100質量部に対して0.1〜2質量部が好ましく、0.1〜1質量部が更に好ましい。
磁性層に用いられるポリウレタン樹脂としては、以下のものが好ましい。
ポリウレタン樹脂の構造としては、脂肪族二塩基酸とジオール成分からなるポリエステルポリオールと、鎖延長剤として分岐側鎖の炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールと、有機ジイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂であって、かつ前記ポリエステルポリオールにおいて前記ジオール成分の70モル%以上はアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールであるポリウレタン樹脂が好ましい。
本発明の磁気記録媒体において、該ポリウレタン樹脂は、芳香環やシクロヘキサン環などの溶剤への溶解性に不利に働く環状構造を含まないか、もしくは低減化して含み、かつアルキル分岐側鎖を持つのでウレタン結合やエステル結合同士の会合を立体障害的に防止することで分子間相互作用を小さくすることにより溶剤への溶解性が向上でき、特に磁気的エネルギーで凝集しやすい磁性体の分散性の向上に寄与するものとみられる。また、一般的にポリエーテル系に比べて熱分解しにくい特徴もあり、特にビデオテープレコーダのヘッドと接触する最上層の磁性層に用いるとヘッドとテープ表面の摺動熱による塗膜強度の低下を防止できる特徴をもつものである。
該ポリウレタン樹脂のポリエステルポリオールに用いることのできる、アルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールとしては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を挙げることができる。これらのなかでも好ましいものは、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールを挙げることができる。ポリエステルポリオールに用いるジオール成分中の上記アルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールの含有量は、80〜100モル%が好ましい。更に好ましくは90〜100モル%である。
分岐側鎖の炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールとしては、必ずしもアルキル分岐側鎖以外の基を全く排除するものではなく、所望により、例えば、脂環族基、ハロゲン原子、アルコキシ基等を有していてもよい。このアルキル分岐側鎖としては、好ましくはエチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、、好ましくはこれらの基を2〜3個有したものである。このジオールの主鎖の炭素数は、好ましくは3〜6である。当該ジオールの例としては、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を挙げることができる。これらのなかでも好ましいものは、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールを挙げることができる。
また、該ポリエステルポリオールに用いることのできる脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸等を挙げることができる。これらのなかでも好ましいものは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸である。そして、ポリエステルポリオールの全二塩基酸成分のうち脂肪族二塩基酸の含量が70モル%以上が好ましい。70モル%よりも少ないと実質的に芳香族二塩基酸などの環状構造を有する二塩基酸成分が増えるので溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下する。
また、本発明で用いることが可能な有機ジイソシアネートには、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4.4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。好ましくは芳香族ジイソシアネートであり、さらにこのましくは4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートである。
また、該ポリウレタン樹脂は、極性基を有していてもよく、−SOM、−OSOM、−COOM、−POMM′、−OPOMM′、−NRR′、−NRR′R″COO(ここで、M及びM′は、各々独立に水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムであり、R及びRは各々独立に炭素数1〜12のアルキル基、R″は炭素数1〜12のN結合アルキレン基を示す)、スルホベタイン基、ホスホベタイン基、スルファミン酸、スルファミン酸塩基から選ばれるものが好ましく用いられる。
極性基は、それを有したモノマーを用いて重合してポリウレタン樹脂としてもよいし、生成したポリウレタン樹脂に極性基を導入してもよい。
これらの極性基の量は好ましくは、1×10−5〜5×10−4eq/gであり、特に好ましくは5×10−5〜3×10−4eq/gである。1×10−5eq/gより少ないと粉体への吸着が不充分となるために分散性が低下する傾向があり、5×10−4eq/gより多くなると溶剤への溶解性が低下する傾向があるので分散性が低下する傾向がある。
該ポリウレタン樹脂の分子量は、重量平均分子量Mw30000〜70000であることが好ましい。さらに好ましくは40000〜60000である。30000未満であると、塗膜強度が低下し、耐久性が低下する。また、70000以上では、溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下する。
該ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40℃〜150℃が好ましい。より好ましくは70℃〜120℃であり、更に好ましくは80℃〜100℃である。Tgを上記範囲とすると、高温での塗膜強度が維持され、耐久性、保存性が確保され、カレンダー成型性が良好で、電磁変換特性が確保される。
該ポリウレタン樹脂は極性基を有していてもよく、の極性基としては、−SO3M、−OSO3M、−PO32、−COOMが好ましく、より好ましくは−SO3M、−OSO3Mである。また、極性基の含有量は、1×10-5eq/g〜2×10-4eq/gであることが好ましく、この範囲とすると磁性体への吸着が十分で分散性が確保され、かつ溶剤への溶解性が確保されるので分散性が確保される。また、該ポリウレタン樹脂のOH含有量は、2個/分子〜20個/分子であることが好ましく、更に好ましくは3個/分子〜15個/分子である。OH含有量をこの範囲とすると、イソシアネート硬化剤との反応性が確保されるために塗膜強度が確保され、ひいては耐久性が確保されると共に溶剤への溶解性が確保されるので分散性が確保される。
該ポリウレタン樹脂に塩化ビニル系の合成樹脂を併用しても良い。併用することができる塩化ビニル系樹脂の重合度は200〜600が好ましく、250〜450が特に好ましい。塩化ビニル系樹脂はビニル系モノマー、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリロニトリルなどを共重合させたものでもよい。
ポリウレタン樹脂は、塩化ビニル系樹脂の他に各種の合成樹脂を用いることができる。例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース樹脂などのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂である。これらは、単独でも組み合わせても使用することができる。
磁性層は、結合剤として、樹脂とともに、ポリイソシアネート化合物等の硬化剤を使用することができる。ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの反応性生物(例、デスモジュールL−75(バイエル社製))、キシリレンジイソシアネートあるいはヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの反応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルとのビューレット付加化合物、トリレンジイソシアネート5モルのイソシアヌレート化合物、トリレンジイソシアネート3モルとヘキサメチレンジイソシアネート2モルのイソシアヌレート付加化合物、イソホロンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネートのポリマーを挙げることができる。
磁性層に含まれるポリイソシアネート化合物は、結合剤中に10〜50質量%の範囲で含有されていることが好ましく、更に好ましくは20〜40質量%の範囲である。また、電子線照射による硬化処理を行う場合には、ウレタンアクリレート等のような反応性二重結合を有する化合物を使用することができる。樹脂成分と硬化剤との合計(すなわち結合剤)の質量は、磁性粉末100質量部に対して、通常15〜40質量部の範囲内にあることが好ましく、更に好ましくは20〜30質量部である。
本発明の磁気記録媒体は、少なくとも支持体の一方の面に磁性層を有する構造であれば、特に制限されず、例えば、その支持体の反対面にバック層を有するもの等を広く含む。したがって、本発明の磁気記録媒体には、磁性層やバック層以外の層を有するものも含まれる。例えば、非磁性粉末を含む非磁性層、軟磁性粉末を含む軟磁性層、第2の磁性層、クッション層、オーバーコート層、接着層、保護層を有していてもよい。これらの層は、その機能を有効に発揮することができるように適切な位置に設けることができる。本発明の磁気記録媒体として好ましいのは、支持体と磁性層の間に、非磁性無機粉体と結合剤を含む下層非磁性層を有する磁気記録媒体である。層の厚さは、磁性層を例えば0.03〜1μm、下層非磁性層を0.5〜3μmにすることができる。下層非磁性層の厚さは、磁性層よりも厚いのが好ましい。また、支持体と磁性層の間に軟磁性層を有する場合は、例えば磁性層を0.03〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μmにし、軟磁性層を0.8〜3μmにすることができる。
次に下層非磁性層又は下層磁性層(以下、下層非磁性層又は下層磁性層を下層ともいう)について説明する。本発明の下層に用いられる無機粉末は、磁性粉末、非磁性粉末を問わない。例えば非磁性粉末の場合、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物や非磁性金属から選択することができる。無機化合物としては、例えば酸化チタン(TiO、TiO)、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、酸化バナジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、ゲーサイト、水酸化アルミニウムなどを単独又は組合せで使用することができる。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは特開平5−182177号公報に記載の二酸化チタン、および特開平6−60362号公報、特開平9−170003号公報に記載のα−酸化鉄である。非磁性金属としては、Cu、Ti、Zn、Al等が挙げられる。これら非磁性粉末の平均粒子径は0.005〜2μmであるのが好ましいが、必要に応じて平均粒子径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒子径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは、平均粒子径が0.01μm〜0.2μmの非磁性粉末である。非磁性粉末のpHは6〜9であるのが特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m/g、好ましくは5〜50m/g、更に好ましくは7〜40m/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmであるのが好ましい。DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれであっても良い。
軟磁性粉末としては、粒状Fe、Ni、粒状マグネタイト、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Fe−Al−Co(センダスト)合金、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mg−Znフェライト、Mg−Mnフェライト、その他、近角聡信著(「強磁性体の物理(下)磁気特性と応用」(裳華房、1984年)、368〜376頁)に記載されているもの等が挙げられる。これらの非磁性粉末や軟磁性粉末の表面はその少なくとも一部がAl、SiO、TiO、ZrO、SnO、Sb、ZnOで被覆されるように表面処理しておくのが好ましい。このうち、特に良好な分散性を与えるのはAl、SiO、TiO、ZrOであり、さらに好ましいのはAl、SiO、ZrOである。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いてもよい。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナで被覆されるべく処理した後にその表層をシリカで被覆されるべく処理する方法、又はその逆の方法を採ってもよい。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、一般に均質で密である方が好ましい。
下層にカーボンブラックを混合させることによって、表面電気抵抗Rsを下げ、しかも所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。カーボンブラックの平均粒子径(粒子径の算術平均)は通常、5nm〜80nm、好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。具体的には、後述のバック層に用いることができるカーボンブラックと同じものを用いることができる。本発明の下層にはまた、無機粉末として磁性粉末を用いることもできる。磁性粉末としては、γ−Fe、Co変性γ−Fe、α−Feを主成分とする合金、CrO等が用いられる。下層の磁性体は、目的に応じて選定することができ、本発明の効果は磁性体の種類には依存しない。ただし、目的に応じて、上下層で性能を変化させることは公知の通りである。例えば、長波長記録特性を向上させるためには、下層磁性層のHcを上層磁性層のHcより低く設定するのが望ましく、また、下層磁性層のBrを上層磁性層のBrより高くするのが有効である。それ以外にも、公知の重層構成を採ることによる利点を付与させることができる。下層磁性層又は下層非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のものを適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
本発明に用いることのできる支持体として、二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール等を挙げることができる。これらの非磁性支持体は、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ったものであってもよい。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は、中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて通常、0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲にあって、表面が優れた平滑性を有しているのが好ましい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。非磁性支持体の厚さは通常、4〜15μm、好ましくは4〜9μmである。薄い場合は、バック層の凹凸がハンドリングテンションで写りやすくなるため、後述のバック層に用いられるポリウレタン樹脂を磁性層の最上層に使用することによってこれを効果的に抑制することができる。厚が7μm以下の場合は、PENもしくはアラミド等の芳香族ポリアミドを使用するのが好ましい。最も好ましいのはアラミドである。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層は設けられる面と反対側の支持体面上にバック層を設けることが好ましい。また、以下の述べるような特定組成のバック層を用いることにより、バック面の磁性層への写りが低減され、C/N向上に寄与することができる。
バック層には、無機酸化物粉体を使用することが好ましい。無機酸化物粉体としては、酸化チタン、α-酸化鉄又はこれらの混合物のいずれかを用いるのが好ましい。酸化チタンとα-酸化鉄は、通常使用されるものを用いることができる。また、粒子の形状は特に制限されない。球状の酸化チタン又はα-酸化鉄を用いる場合は、粒径が0.01〜0.1μmであるものがバック層自体の膜強度を確保するうえで好ましい。また、針状の酸化チタン又はα-酸化鉄を用いる場合は、針状比が2〜20であるものが適当であり、3〜10であるものがより好ましい。また、長軸長が0.05〜0.3μmであり、短軸長が0.01〜0.05μmであるものが好ましい。特に、無機酸化物粉体の表面の少なくとも一部がAl、SiO、TiO、ZrO、SnO、SbおよびZnOから選ばれた少なくとも一つの化合物、中でもAl、SiOおよびZrOから選ばれた少なくとも一つの化合物で被覆されているものが、結合剤中への分散性が優れている点で好ましい。このような無機酸化物粉体は酸化チタンまたはα−酸化鉄の粒子を合成してから、その表面に上記の様な別の化合物が沈着または被覆されるべく処理するか、または酸化チタンまたはα−酸化鉄とAl、SiO、TiO、ZrO、SnO、SbおよびZnOから選ばれた少なくとも一つの化合物を共沈させる方法によって得ることができる。
また、このような無機酸化物粉体は市販品から入手することもできる。例えば、戸田工業(株)製のDPN−245、DPN−250、DPN−250BX、DPN−270BX、DPN−550BX、DPN−550RX、TF−100、TF−120、石原産業(株)製のTTO−51A、TTO−51B、TTO−51C、TTO−53B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55D、TTO−55N、TTO−55S、TTO−S−1、TTO−S−2、TTO−M−1、TTO−M−2、TTO−D−1、TTO−D−2、SN−100、E270、E271、チタン工業(株)製のSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ(株)製のMT−100F、MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−500HD、MT−600B、日本アエロジル(株)製のTiO2P25、昭和電工(株)製のスーパータイタニア等を挙げることができる。
バック層には、帯電防止のためにカーボンブラックを使用するのが好ましい。バック層に使用するカーボンブラックは、磁気記録媒体に通常使用されているものを広く用いることができる。例えば、ゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。バック層の凹凸が磁性層に写らないようにするために、カーボンブラックの粒子径は0.3μm以下にするのが好ましい。ここで、粒子径とは、凝集のない単独の粒子の粒子径である。特に好ましい粒子径は、0.01〜0.1μmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlであるのが好ましい。比表面積は通常、100〜500m/g、好ましくは150〜400m/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。具体例として、キャボット社製BLACK PEARL S2000、同1300、同1000、同900、同800、同880、同700、VULCAN XC−72;三菱化学(株)製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600;コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN8800、同8000、同7000、同5750、同5250、同3500、同2100、同2000、同1800、同1500、同1255、同1250;アクゾー社製ケッチェンブラックEC、旭カーボン社製の#55、#50、#30;コロンビアンカーボン社製のRAVEN450、同430;カーンカルブ社製のサーマックスMT等を挙げることができる。
本発明のバック層用結合剤には、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等を用いることができる。好ましい結合剤は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース等の繊維素系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂である。その中でも、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂を用いるのが、バック層の硬度を磁性層の硬度に近くなりバック写りを低減することができるため、より好ましい。
ポリウレタン樹脂は、分子中に−SOM、−OSOM、−COOM、−POMM′、−OPOMM′、−NRR′、−NRR′R″COO(ここで、M及びM′は、各々独立に水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムであり、R及びRは各々独立に炭素数1〜12のアルキル基、R″は炭素数1〜12のN結合アルキレン基を示す)から選ばれた少なくとも1種の極性基を含むことが好ましく、とくに好ましくは、−SOM、−OSOMである。これらの極性基の量は好ましくは、1×10−5〜2×10−4eq/gであり、特に好ましくは5×10−5〜1×10−4eq/gである。1×10−5eq/gより少ないと粉体への吸着が不充分となるために分散性が低下する傾向があり、2×10−4eq/gより多くなると溶剤への溶解性が低下する傾向があるので分散性が低下する傾向がある。
ポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)は5000〜100,000が好ましく、さらに好ましくは10,000〜50,000であり、特に好ましくは20,000〜40,000である。5000未満では、塗膜の強度や耐久性が低い。また、100,000より多いと溶剤への溶解性や分散性が低い。ポリウレタン樹脂としては、環状構造とエーテル基を有するものが好ましい。ポリウレタン樹脂の環状構造は剛直性に寄与し、エーテル基は柔軟性に寄与する。ポリウレタン樹脂としては、Tgが80℃〜140℃のものが好ましい。
本発明の磁気記録媒体のバック層には、無機酸化物粉体、カーボンブラック、結合剤以外の成分を適宜含有させることができる。バック層には、潤滑剤を含有させることが好ましい。潤滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどが例示される。特に、脂肪酸を含有させることは、強度を維持したまま、繰り返し走行時の摩擦係数上昇を抑制するために必須となる。また、脂肪酸エステルやモース硬度8以上の研磨剤を含有させることによっても、繰り返し走行時の摩擦係数上昇を抑制し、摺動耐久性を向上させることができる。さらに、芳香族有機酸化合物やチタンカップリング剤を含有させて分散性を向上させ強度を上げることによって、摩擦係数上昇を抑制することもできる。また、有機質粉末を含有させて摩擦係数上昇を抑制し、写りを低減することもできる。添加することができる脂肪酸の例として、炭素数8〜24の一塩基性脂肪酸を挙げることができる。中でも炭素数8〜18の一塩基性脂肪酸が好ましい。これらの具体例としてはラウリン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸等が挙げられる。また、これら脂肪酸のアミドも用いられる。
脂肪酸エステルの例として、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これらの具体例としてはステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレートが挙げられる。
潤滑剤の添加量は、無機酸化物粉体とカーボンブラックの総量を100質量部としたとき、好ましくは、0.1〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
モース硬度8以上の研磨剤としては、α−アルミナ、酸化クロム、人工ダイヤモンド、カーボン変性窒化硼素(CBN)等を挙げることができる。中でも、平均粒子径が0.2μm以下であり、粒子径がバック層の厚み以下であるものを使用するのが好ましい。また、バック層表面からの突起高さは30nm以下にするのがバック写りを低減するために好ましい。本発明では、バック層を薄くすることができるため、少量の研磨剤を添加するだけで十分な摺動耐久性を確保することができる。芳香族有機酸化合物としては、フェニルフォスホン酸が好ましい。その使用量は、無機酸化物粉体とカーボンブラックの総量を100質量部としたとき、0.03〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
有機質粉末としては、アクリル−スチレン共重合体系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料等を挙げることができる。
バック層のガラス転移温度は60〜120℃であるのが好ましく、乾燥厚みは通常、0.05〜1.0μm程度にする。
本発明の磁気記録媒体は、高テンションで巻き取って保存してもバック層が磁性層に写りにくいため、テープの厚さを4〜9μmにすることが可能である。
本発明の磁気記録媒体の製造は、例えば、乾燥後の層厚が上述の所定の範囲内になるように、走行下にある非磁性支持体の表面に塗料を蒸着または塗布してゆくことによって行うことができる。複数の磁性塗料もしくは非磁性塗料を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。磁性塗料を塗布するための塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。片面に2以上の層を有する磁気記録媒体を製造するときには、例えば以下の方法を用いることができる。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置によってまず下層を塗布し、下層が乾燥する前に特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報等に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置等を用いて、上層を塗布する方法。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されている塗料通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッド等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
バック層は、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤を有機溶剤に分散したバック層形成用塗料を、磁性層とは反対の面に塗布することによって調製することができる。カーボンブラックよりも無機酸化物粉体の使用量を多くすれば十分な分散性を確保することができるため、従来必要とされていたロール混練を行わずにバック層形成用塗料を調製することができる。また、カーボンブラック含有比率が低ければ、シクロヘキサノンを溶剤として使用しても乾燥後の残留シクロヘキサン量を低減することができる。
塗布した磁性層は、磁性層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理した後に乾燥する。磁場配向処理は、当業者に周知の方法によって適宜行うことができる。磁性層は、乾燥後にスーパーカレンダーロールなどを用いて表面平滑化処理する。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上する。このため、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理することもできる。
本発明の磁気記録媒体は、平滑性が良好な表面を有しているのが好ましい。平滑性を良好にするためには、例えば上述したように特定の結合剤を選んで形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有効である。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度を60〜100℃、好ましくは70〜100℃、特に好ましくは80〜100℃にし、圧力を通常、100〜500kg/cm(98〜490kN/m)、好ましくは200〜450kg/cm(196〜441kN/m)、特に好ましくは300〜400kg/cm(294〜392kN/m)にして行う。得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。カレンダー処理を経た磁気記録媒体は、熱処理するのが一般的である。最近では、高密度磁気記録媒体の直線性(オフトラックマージン確保)のために、熱収縮率を下げることが重視されている。特に、狭トラック化に伴い、使用環境下でのMD方向(長手方向)の収縮率を0.07%以下に抑えることが求められている。熱収縮率低減手段として、低テンションでハンドリングしながらウエッブ状で熱処理する方法と、バルク又はカセットに組み込んだ場合のようにテープが積層した形態で熱処理する方法(サーモ処理)がある。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中の「部」の表示は特に断らない限り「質量部」を示す。
[強磁性粉末種]
用いた強磁性針状金属粉末は、平均長軸長および表面へのカーボンブラック被着の有無により下表の様に分類した。尚、平均長軸長は、カーボンブラック被着後の値である。
Figure 2005092977
[合成例1]
以下の磁性層塗料に用いられるポリウレタン樹脂Aの合成例を以下に示す。ポリエステルポリオール(アジピン酸/2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール/1,3−プロパンジオール=50/35/15から成るポリエステルポリオール6部と、アジピン酸/スルホイソフタル酸/2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール/1,6−ヘキサンジオール=45/5/35/15から成るポリエステルポリオール3部)と2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール100部を還流式冷却器、攪拌機を具備し、予め窒素置換した容器にシクロヘキサノン30%溶液に窒素気流下60℃で溶解した。次いで触媒として、ジ−n−ジブチルスズジラウレート60ppmを加え更に15分間溶解した。更に4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)107部を加え90℃にて6時間加熱反応し、質量平均分子量51000のポリウレタン樹脂Aを得た。
[実施例1]
磁性層塗料
強磁性金属粉末A 100部
ポリウレタン樹脂A 18部
α−Al(平均粒子径:0.2μm) 10部
カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 0.1部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 0.7部
ステアリン酸 1.5部
下層用塗料
α−酸化鉄 85部
平均長軸長:0.15μm,平均針状比:7,BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 15部
平均粒子径:20nm
塩化ビニル共重合体 13部
(MR110:日本ゼオン社製)
ポリウレタン樹脂 6部
(UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂)
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
バック層用塗料
α−酸化鉄 80部
平均長軸長:0.15μm,平均針状比:7,BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20部
平均粒子径:20nm
カ−ボンブラック 3部
平均粒子径:100nm
塩化ビニル共重合体 13部
(MR110日本ゼオン社製)
ポリウレタン樹脂 6部
(UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂)
フェニルホスホン酸 3部
α−Al(平均粒径0.2μm) 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ステアリン酸 3部
上記磁性層塗料,下層用塗料及びバック層用塗料のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで60分間混練した後、サンドミルでの分散を、磁性塗料は540分間、下層用塗料及びバック層用塗料は180分間行った。得られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物を磁性層塗料には3部を、下層塗料、バック用塗料にはそれぞれ5部、加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層、下層、及びバック層の塗布液を調製した。
得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の下層の厚さが1.2μmになるようにさらにその直後にその上に磁性層の厚さが0.07μmになるように、厚さ3.6μmで中心面平均表面粗さが2nmのアラミド支持体上に同時重層塗布をおこない、両層がまだ湿潤状態にあるうちに0.3Tの磁力を持つ磁石で配向させた。乾燥後、金属ロ−ルのみから構成される7段のカレンダ−で速度100m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、温度90℃で表面平滑化処理を行なった。その後、厚み0.5μmのバック層を塗布した。後、1/4インチ幅にスリットし、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレ−ドが磁性面に押し当たるように取り付けたテ−プクリ−ニング装置で磁性層の表面のクリ−ニングを行い、テープ試料を得た。
[実施例2]
実施例1において、磁性層塗料の強磁性金属粉末をBに変更し、磁性層塗料のカーボンブラックおよびポリウレタン樹脂Aの添加量をそれぞれ0部、24部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2のテープを作成した。
[実施例3]
実施例1において、磁性層塗料の強磁性金属粉末をCに変更し、磁性層塗料のカーボンブラックおよびポリウレタン樹脂Aの添加量をそれぞれ0部、12部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例3のテープを作成した。
[比較例1]
実施例1において、磁性層塗料のカーボンブラックおよび磁性層塗料のポリウレタン樹脂Aの添加量をそれぞれ0部、6部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例1のテープを作成した。
[比較例2]
実施例1において、磁性層塗料の強磁性金属粉末をBに変更し、磁性層塗料のポリウレタン樹脂Aを36部に変更した以外は、実施例2と同様の方法で比較例1のテープを作成した。
[比較例3]
実施例1において、磁性層塗料の強磁性金属粉末をDに変更し、磁性層塗料のカーボンブラックの添加量を0部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例3のテープを作成した。
[比較例4]
実施例1において、磁性層塗料の強磁性金属粉末をEに変更し、磁性層塗料のカーボンブラックの添加量を0部に変更し、磁性層塗料のポリウレタン樹脂Aをポリウレタン樹脂(UR8200;東洋紡績製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例4のテープを作成した。
[比較例5]
実施例1において、磁性層塗料の強磁性金属粉末をFに変更し、磁性層塗料のポリウレタン樹脂Aをポリウレタン樹脂(UR8200;東洋紡績製)に変更し、ポリウレタン樹脂の添加量を36部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例5のテープを作成した。
[比較例6]
実施例1において、磁性層塗料の強磁性金属粉末をGに変更し、磁性層塗料のカーボンブラックおよびポリウレタン樹脂Aの添加量をそれぞれ0部、9部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例6のテープを作成した。
[比較例7]
実施例1において、磁性層塗料の強磁性金属粉末をHに変更し、磁性層塗料のポリウレタン樹脂Aの添加量を36部に変更した以外は実施例1と同様の方法で比較例7のテープを作成した。
[比較例8]
実施例1において、磁性層塗料の強磁性金属粉末をHに変更し、磁性層塗料のカーボンブラックの添加量を5部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例8のテープを作成した。
得られた試料を以下により評価し、結果を表2に示した。
(測定方法)
1.電磁変換特性
電磁変換特性の測定はドラムテスタを用いて行った。1.5TのMIGヘッドを用い記録波長0.2μmの信号を書き込み、MRヘッドで再生しスペクトラムアナライザで得られた出力と出力から±0.5MHz離れた位置での電圧をノイズとして測定しC/N値を求めた。テープとヘッドの相対速度は5m/s、比較例8のC/Nを0dBとし、0dB以上を良好と見なしている。
2.テープの100パス目摩擦係数
摩擦係数の測定は6mmφ(粗さ0.6s)のSUS420J棒にテープを180°ラップさせ、20gの荷重で、23℃50%RH環境で100パス走行させた。100パス目のテープを引っ張る時のテンションを測定し、オイラーの式を用いて摩擦係数を算出した。0.35未満を良好と見なしている。
3.平均長軸長の算出
C被着強磁性金属粉末の平均長軸長は、電子顕微鏡写真(加速電:20kV,倍率:50000倍)を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約500個について長軸長を測定し、その平均値で示した。
4.非磁性物質の体積比率の算出
非磁性物質の体積比率は、各素材の質量と比重から体積を見積もり、その比率で表した。
5.磁気的クラスターサイズ測定
得られた試料を、振動試料型磁束計(東英工業社製)を用いて796kA/m(10kOe)の磁場を印加した後、取り出すことによってDCイレースを行った。イレース後の試料をデジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIIIの磁気力顕微鏡モードを用いて、5×5μmの範囲をリフトハイト40nmで測定し、磁気力像を得た。磁気力分布の標準偏差(rms)値の70%を閾値に設定し、画像を2値化して70%以上の磁気力を有する部分のみを表示させた。この画像を画像解析装置(KS400)に導入し、ノイズ除去、穴埋め処理を行った後、平均面積を算出した。
Figure 2005092977
(実施例・比較例の説明)
実施例1〜3は、磁性粉体の平均長軸長、磁性粉体表面へのカーボンブラックの被着の有無、非磁性物質の体積比率、長手方向の角型比、DC消去時の磁気的クラスターサイズが請求項記載の範囲であるテープの例である。実施例1〜3は、磁性粉体表面にカーボンブラックが被着されているため摩擦係数が0.35未満と低く、非磁性物質の体積比率が規定範囲内であり、かつ角型比0.80以上と大きく、磁気的クラスターサイズが小さいためCN比が良好である。
比較例1は非磁性物質の体積比率が45.3%と小さく、磁気的クラスターサイズが15000nm未満であること以外は請求項の定める範囲を満たしているテープの例である。角型比は0.88、磁気的クラスターサイズは14800nmと小さいが、非磁性物質の体積比率を少なくするため本発明用樹脂の添加量を減らした結果、塗膜の耐久性に乏しく膜剥がれが生じ、摩擦係数および電磁変換特性測定は不可能であった。
比較例2は非磁性物質の体積比率が64.5%より大きく、磁気的クラスターサイズが45000nm以上であること以外は請求項の定める範囲を満たしているテープの例である。磁性粉体表面にカーボンブラックが被着されているため摩擦係数が0.25と低い。角型比は0.80と良好だが、非磁性物質の体積比率が71.6%と大きく、磁気的クラスターサイズが増加したためノイズが増大し、その結果CN比が低下した。
比較例3および6は磁性粉末の平均長軸長が50nmより大きく、磁気的クラスターサイズが45000nm以上であること以外は請求項の定める範囲を満たしているテープの例である。いずれも磁性粉体表面へカーボンブラックが被着されているため摩擦係数は0.35未満である。非磁性物質の体積比率が規定範囲内であり角型比も0.80以上であるが、磁性粉体の平均長軸長が50nmより大きいため磁気的クラスターサイズが増大し、CN比が劣化した。
比較例4は角型比が0.80未満であること以外は請求項の定める範囲を満たしているテープの例である。磁性粉体表面にカーボンブラックが被着されているため摩擦係数が0.35未満である。また非磁性物質の体積比率は64.1%、磁気的クラスターサイズは43200nmと規定範囲内であるためノイズは小さいが、角型比が0.62と小さいため出力が劣化し、CN比が低下した。
比較例5は非磁性物質の体積比率が64.5%より大きく、磁気的クラスターサイズが45000nm以上、角型比が0.80未満であること以外は請求項の定める範囲を満たしているテープの例である。磁性粉体表面にカーボンブラックが被着されているため摩擦係数が低いが、非磁性物質の体積比率が大きく磁気的クラスターサイズが増加し、また、配向状態が良くないためにCN比は劣化した。
比較例7は磁性粉体表面にカーボンブラックが被着されておらず、非磁性物質の比率が68.8%と大きく磁気的クラスターサイズの大きさが45800nmと大きいこと以外は請求項の定める範囲を満たしているテープの例である。磁性粉体表面にカーボンブラックが被着されていないことから摩擦係数は0.41と大きく、また角型比は0.81と良好だが、非磁性物質の体積比率が大きく磁気的クラスターサイズが増加したためノイズ゛が増加し、CN比は劣化した。
比較例8は磁性粉体表面にカーボンブラックを被着していない以外は請求項の定める範囲を満たしているテープの例である。非磁性物質の体積比率が小さく、磁気的クラスターサイズが規定内であり、かつ配向状態が良好なためCN比は0dBであるが、磁性粉体表面にカーボンブラックを被着していないため摩擦係数が大きく張り付きが生じたため100パスまでの走行は不可能であった。

Claims (2)

  1. 支持体上に強磁性金属粉末及び結合剤を主体とする磁性層を設けた磁気記録媒体において、前記強磁性金属粉末は、その粒子表面の少なくとも一部にカーボンブラックが被着されており、かつ平均長軸長が20〜50nmであり、かつ前記磁性層中に存在する非磁性物質の体積比率が50.0〜64.5%であり、かつDC消去時の磁気的クラスターの平均サイズが15000nm以上45000nm未満であり、かつ前記磁性層面内の長手方向の角型比が0.80〜0.95であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. MRヘッドシステムで再生することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011216179A (ja) * 2010-03-19 2011-10-27 Fujifilm Corp 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2012198986A (ja) * 2012-07-23 2012-10-18 Hitachi Maxell Ltd 磁気記録媒体
JP2013152782A (ja) * 2013-05-15 2013-08-08 Hitachi Maxell Ltd 磁気記録媒体
JP2014135115A (ja) * 2014-04-28 2014-07-24 Hitachi Maxell Ltd 磁気記録媒体

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