JP2005087994A - 耐湿性に優れた脱酸素剤組成物及び脱酸素剤包装体 - Google Patents
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Abstract
【目的】高湿度雰囲気下で好適に使用できる脱酸素剤組成物の提供。
【解決手段】鉄粉100重量部、及び低水分移行性の助剤0.1重量部以上からなる脱酸素剤組成物。低水分移行性塩として、5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上である性質を有するアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩が使用される。
【効果】長期間にわたり酸素吸収性能を発揮でき、錆水の発生も防止できる。
【選択図】なし。
【解決手段】鉄粉100重量部、及び低水分移行性の助剤0.1重量部以上からなる脱酸素剤組成物。低水分移行性塩として、5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上である性質を有するアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩が使用される。
【効果】長期間にわたり酸素吸収性能を発揮でき、錆水の発生も防止できる。
【選択図】なし。
Description
本発明は酸素吸収性を有する脱酸素剤組成物に関する。さらに詳しくは、見かけ容積あたりの酸素吸収能力が大きく、高湿度雰囲気下においても長期間にわたり酸素吸収性能を維持できるとともに、錆水の発生も防止できる脱酸素剤組成物、それを包装してなる脱酸素剤包装体、およびその脱酸素剤包装体を使用して容器内を脱酸素する方法に関するものである。
鉄粉の酸化反応を利用した脱酸素剤は、食品などの物品と共にガスバリア性容器に密封収納され、容器内の酸素を除去することで、食品などの物品の品質や鮮度を保持するものとして知られ、既に広く利用されている。
これらの脱酸素剤は、水分共存下における鉄粉と酸素との反応を利用したものであり、鉄粉の酸化反応促進のために、多くの場合、塩化ナトリウムや塩化カルシウム等の金属塩化物が助剤として添加された鉄粉系組成物が使用されている。脱酸素剤の形状は、鉄粉系組成物を通気性包装材に包装してなる小袋状の他、鉄粉系組成物を樹脂に混合したシート又はフィルム状、鉄粉系組成物を樹脂に混合してなる酸素吸収層にガスバリアー性層及び酸素透過性層を積層した多層体からなる包装用のシート又はフィルム状がある。
脱酸素剤組成物に関しては、以下の特許文献がある。
特公昭56−33980号公報
特公昭57−31449号公報
特開平10−309427号公報
これらの脱酸素剤は、水分共存下における鉄粉と酸素との反応を利用したものであり、鉄粉の酸化反応促進のために、多くの場合、塩化ナトリウムや塩化カルシウム等の金属塩化物が助剤として添加された鉄粉系組成物が使用されている。脱酸素剤の形状は、鉄粉系組成物を通気性包装材に包装してなる小袋状の他、鉄粉系組成物を樹脂に混合したシート又はフィルム状、鉄粉系組成物を樹脂に混合してなる酸素吸収層にガスバリアー性層及び酸素透過性層を積層した多層体からなる包装用のシート又はフィルム状がある。
脱酸素剤組成物に関しては、以下の特許文献がある。
鉄粉の酸化反応を利用した脱酸素剤は、水分含有量が多く水分活性の高い食品に適用した際に、脱酸素剤包装体中に水分が移行してくることで、脱酸素剤表面が水分で覆われ有効に脱酸素反応が行われなくなる問題点がある。従来、この問題を解消するために、シリカ又はゼオライト等からなる無機フィラーを多量に配合して水分を分散させることで脱酸素能力を保持していた。しかし、無機フィラーを添加することにより能力保持性は改善されるが、酸素吸収量当たりの脱酸素剤組成物の全体量が大きくなり、脱酸素剤包装体とする場合の包装材料の寸法が大きくなり、コストアップになるという問題点があった。
特許文献1には、金属粉を金属ハロゲン化物で被覆した酸素吸収剤が開示され、酸素吸収反応促進剤の一つとして金属臭化物、金属ヨウ化物等が例示されている。しかし、5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上であるアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩は開示されていない。
また、特許文献2には、ハロゲン化金属水溶液を含浸させた無機フィラー等の水分供与体を存在させて、酸素吸収反応に必要な水分を補った酸素吸収剤が開示されている。この脱酸素剤は、水分含有量の少ない乾燥食品用等に使用される自力反応型脱酸素剤であり、ハロゲン化金属として、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム等が例示されている。しかし、5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上であるアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を含む脱酸素剤が、高湿度雰囲気下における脱酸素剤として有効であることを示すものではない。
また、特許文献2には、ハロゲン化金属水溶液を含浸させた無機フィラー等の水分供与体を存在させて、酸素吸収反応に必要な水分を補った酸素吸収剤が開示されている。この脱酸素剤は、水分含有量の少ない乾燥食品用等に使用される自力反応型脱酸素剤であり、ハロゲン化金属として、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム等が例示されている。しかし、5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上であるアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を含む脱酸素剤が、高湿度雰囲気下における脱酸素剤として有効であることを示すものではない。
また、特許文献3には、金属ヨウ化物及び金属臭化物の少なくとも一方と、還元性金属とを含む、相対湿度70%以下の低湿度雰囲気で使用される脱酸素剤組成物が開示されている。この公報には、金属臭化物として、臭化ナトリウム、臭化カリウムが例示されているが、5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上であるアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩は開示されていない。
本発明者らは、鉄粉と助剤からなる脱酸素剤の高湿度雰囲気下における酸素吸収反応の挙動を検討した結果、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを助剤として配合し、鉄粉の酸化反応を利用した従来のような脱酸素剤は、酸化反応が進行するに伴い、被酸化主剤である鉄粉の粒子が緻密に凝集塊状化する現象が起こることを突き止めた。この粒子の塊状化が進行することにより鉄粉粒子の総表面積が減少し、鉄粉粒子塊の内部の酸化が有効に進行しないため、脱酸素剤組成物の重量当たりの酸素吸収量が理論値に比べ大幅に少なくなるという問題が生じることを見出した。
本発明は、従来技術における脱酸素剤の上記課題を解決し、単位体積あたりの酸素吸収能力が高く、錆水の発生が防止され、更には、高湿度雰囲気下においても長期間にわたり酸素吸収性能を維持できる脱酸素剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、高湿度雰囲気からの水分移行性の低いアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を配合した脱酸素剤組成物を用いることにより、高湿度雰囲気下で使用した場合でも、脱酸素剤への水分移行速度が低下し、その結果長期間にわたり脱酸素能力を維持できることを見出した。特にこのようなアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いることにより、特異的に鉄粉粒子が全体的に顆粒状に膨らみ、塊状化が抑制されて鉄粉粒子の表面が水分で覆われることなく、内部まで酸化が有効に進行するとともに錆水の発生が防止されることを見出し、本発明に到達するに至った。
本発明は、鉄粉100重量部と高湿度雰囲気からの水分移行性の低いアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩からなる助剤0.1重量部以上からなる脱酸素剤組成物に関する。本発明において、高湿度雰囲気からの水分移行性の低いアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩とは、その5wt%均一水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上である塩を言う。
また、本発明は、前記脱酸素剤組成物を通気性包装材料で包装してなる脱酸素剤包装体およびこの脱酸素剤包装体を使用して、ガスバリア性容器内を70〜100%RHの高湿度雰囲気下において脱酸素する方法に関する。
また、本発明は、前記脱酸素剤組成物を通気性包装材料で包装してなる脱酸素剤包装体およびこの脱酸素剤包装体を使用して、ガスバリア性容器内を70〜100%RHの高湿度雰囲気下において脱酸素する方法に関する。
本発明の脱酸素剤組成物は、脱酸素する過程で鉄粉粒子が全体的に顆粒状乃至“おこし状”に膨らみ、有効に鉄粉粒子内部の酸化が進行する結果、脱酸素剤組成物の重量部当たりの酸素吸収量が大きい。更に、鉄粉粒子の表面が水分に覆われることもない。特に、無機フィラーを配合することなく、長期間高湿度雰囲気で使用されても優れた酸素吸収性能を発揮する。本発明の脱酸素剤組成物は、特に、70%RHを超える高湿度環境下、特に80〜100%、更にRH95〜100%RHの高湿度環境下において、その効果が顕著である。
また、本発明の脱酸素剤組成物を用いた脱酸素剤包装体は、鉄粉の塊状化が特異的に抑制されて包装体表面への錆の発生が防止される。また、使用雰囲気の湿度が高い場合であっても、鉄錆が通気包装材面から滲み出す“錆水”が発生したり、保存する物品に錆が転写して汚染することもない。中でも70%RHを超える高湿度環境下、特に80〜100%、更にRH95〜100%RHの高湿度環境下において、その効果は顕著である。
本発明の脱酸素剤包装体は、コンパクトにでき、高湿度雰囲気下でも長期間にわたり酸素吸収性能を発揮し、また医薬品、食品などを長期間に亘って保存しても、通気性包装材表面に錆を発生することなく使用できる。特に、高湿度状態での酸素吸収性能は無機フィラーを配合しなくても発揮することができる。無機フィラーを配合しないことにより、同じ酸素吸収性能を有する脱酸素剤の見かけ容積が従来の脱酸素剤(無機フィラー配合)の見かけ容積より減少し、その結果、脱酸素剤包装体とした時の包装材料の使用量を削減することができる。
以下に、本発明の方法について詳細に説明する。
脱酸素剤の主剤となる鉄粉は、鉄の表面が露出したものであれば特に限定されるものではなく、還元鉄粉、電解鉄粉、噴霧鉄粉などが好適に用いられる。その他、鋳鉄などの粉砕物、切削品などを用いることができる。鉄粉には、酸素との接触を良好にするために通常平均粒径1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下の鉄粉が用いられる。
脱酸素剤の主剤となる鉄粉は、鉄の表面が露出したものであれば特に限定されるものではなく、還元鉄粉、電解鉄粉、噴霧鉄粉などが好適に用いられる。その他、鋳鉄などの粉砕物、切削品などを用いることができる。鉄粉には、酸素との接触を良好にするために通常平均粒径1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下の鉄粉が用いられる。
一般に高湿度雰囲気下で脱酸素剤包装体を用いた場合、脱酸素剤包装体の通気性包装材料(包材)を通って、脱酸素剤包装体内への水蒸気の透過による水分移行が起こる。水蒸気透過は包材の両側の湿度差に依存し、湿度が高い外方から低い内方へ透過が起こる。脱酸素剤包装体内に透過した水蒸気は、脱酸素剤鉄粉に添加された塩を溶解し、局所的に塩の水溶液を生成する。塩が溶解した水溶液の平衡湿度が低いと、更に水蒸気が透過してくる。これにより次第に水溶液中の塩濃度が低下し、平衡湿度が上昇していくことになる。脱酸素剤包装体内の平衡湿度が脱酸素剤包装体外部の雰囲気湿度に等しくなるまで脱酸素剤包装体外部から包装体内部への水蒸気透過は継続する。脱酸素剤包装体外部からの水蒸気透過量、即ち脱酸素剤中への水分移行量が多いと、脱酸素剤が水分で覆われ酸素吸収能力の低下が起こる。
これを防ぐために、本発明においては、塩水溶液への高湿度雰囲気からの水分移行性の低いアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を助剤として使用することが好適であり、具体的には、添加する助剤として5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上であるアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を用いる。このようなアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩としては、それらのハロゲン化物が含まれ、特に好ましくは、臭化カルシウムである。
5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上となる塩を配合した鉄系脱酸素剤は、高湿度雰囲気下で使用しても水分移行量が特異的に少なく、また、無機フィラーを添加しなくても、特異的に酸素吸収後の凝集塊状化が防げ、酸素吸収性能の低下や錆水の発生がないので好ましい。中でも臭化カルシウムを助剤として使用した鉄系脱酸素剤組成物は、高湿度における水分移行量が少なく、脱酸素性能も良好であり好ましい。
鉄粉に対する高湿度雰囲気からの水分移行性の低い塩、すなわち、5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上であるアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(以下、単に「低水分移行性塩」と言う場合がある)の配合量は、鉄粉100重量部当り0.1重量部以上、好ましくは0.1〜0.9重量部、より好ましくは0.3〜0.9重量部、最も好ましくは0.5〜0.8重量部である。低水分移行性塩の配合量が少ないと、脱酸素剤の酸素吸収速度が遅くなるため、品質劣化の早い物品の保存には好ましくない。低水分移行性塩の配合量が多いと、高湿度雰囲気下では、酸化に伴って塊状化現象が発生し、脱酸素剤組成物重量部当たりの酸素吸収能力の低下が起こり、場合によっては、錆の発生が起こり易くなる。
特に、低水分移行性塩の配合量が鉄粉100重量部当り0.5〜0.8重量部の範囲においては、高湿度雰囲気下における脱酸素剤組成物重量当たりの酸素吸収量(mlO2/g脱酸素剤組成物;7日後、以下同じ)が230ml/g以上に達し、きわめて酸素吸収量の大きな脱酸素剤組成物となる。特に、25℃、100%RHにおいて7日間保持したときの酸素吸収量が、脱酸素剤組成物重量部当たり230ml/g以上、特に240ml/g以上の脱酸素剤組成物が得られ、好ましい。ここで、7日間の脱酸素剤組成物重量部当たりの酸素吸収量は、既知量の脱酸素剤組成物を十分な通気性を有する通気性包装材料にて包装して脱酸素剤包装体とし、これを十分な量の既知量の100%RH空気とともにガスバリア性袋に密封し、25℃で7日保存後、袋内空気の酸素濃度の減少から求めることができる。
以上のように、本発明の脱酸素剤組成物は、主剤の鉄粉と酸化促進剤である低水分移行性塩からなる。鉄粉と低水分移行性塩は、均一に混合されて脱酸素剤包装体の内容物(脱酸素剤組成物)となる。ここで「混合」とは、単純な混合に限定されず、結果的に鉄粉と低水分移行性塩が充分に混合される方法であれば、いかなる処理方法であってもよい。
例えば、低水分移行性塩は、均一に鉄粉に接触することが効率的かつ最も好ましいことから、低水分移行性塩を鉄粉表面に被覆する方法が好ましい。低水分移行性塩を鉄粉表面に被覆する方法としては、鉄粉に低水分移行性塩の水溶液を噴霧し、乾燥させる方法が好ましい。
本発明の脱酸素剤組成物には、上記の鉄粉、低水分移行性塩の他、必要に応じて他の添加剤を加えることができる。例えば、臭気防止、粉塵抑制、水素発生抑制などを目的とし、活性炭、軽灰、重曹などを適宜混合することができる。
これらの添加剤を混合した場合は、脱酸素剤包装体のサイズが大きくなり、脱酸素剤包装体を構成する通気性包装材料の使用量が増大することになるため、添加量は必要最小限とする。具体的な添加量は、鉄粉とアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の合計量100重量部に対し、35重量部以下が好ましく、25重量部以下の添加量がより好ましい。
特に、高湿度条件で使用する場合、従来の脱酸素剤組成物には、脱酸素剤包装体表面の錆の発生の防止及び酸素吸収性能の維持のために、シリカ、アルミナ等の無機フィラーが添加されている。しかし、本発明においては、高湿度条件で使用する場合であっても、脱酸素剤包装体表面への錆の発生が防止され、高湿度状態での酸素吸収性能が維持されるので、シリカ、アルミナ等の無機フィラーの添加を省くことができる。
本発明に用いられる脱酸素剤組成物は、通気性包装材料により充填包装して脱酸素剤包装体として使用することができる。その際に用いられる通気性包装材料としては、脱酸素剤用途に用いられる包装材料であれば特に制限はないが、酸素吸収効果を十分に得るためにできるだけ通気性の高い包装材料が望ましい。たとえば、和紙、洋紙、レーヨン紙等の紙類;パルプ、セルロース、合成樹脂からの繊維等の各種繊維類を用いた不織布;プラスチックフィルムまたはその穿孔物等;あるいは炭酸カルシウム等を添加した後延伸したマイクロポーラスフィルム、マイクロポーラス面を有するキャニスター等;さらにはこれらから選ばれる2種以上を積層したもの等を挙げることができる。これらの中では、ポリエチレン又はポリプロピレンからなる不織布、あるいは不織布とマイクロポーラスフィルムとの積層物が好ましい。
さらに、本発明の脱酸素剤組成物を、熱可塑性樹脂に配合してフィルムもしくはシート状の脱酸素剤とすることもできる。このようなフィルムもしくはシート状の脱酸素剤は、そのまま、あるいは通気性材料で覆って使用することができる。また、脱酸素性多層体の酸素吸収層として使用することもできる。
本発明の脱酸素剤組成物、または本発明の脱酸素剤組成物を通気性包装材料により充填包装した脱酸素剤包装体を、物品とともにガスバリア性容器に密封して物品を無酸素下に保存することができる。用いるガスバリア性容器の形状及び材質は、例えば、金属缶、ガラス瓶、プラスチック容器、袋など、密封可能で実質的にガスバリア性を有していれば、特に制限されない。また、酸素透過度20ml/m2・24hr・atm(25℃、50%RH)以下の積層体から成るガスバリア性の包装容器、袋が簡便に使用できる。このような積層体としては、ポリエチレンテレフタレート/アルミ蒸着/ポリエチレン、延伸ポリプロピレン/ポリビニルアルコール/ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ナイロン/ポリエチレンなどの多層のシートやフィルム、ナイロン系の共押出し多層のシートやフィルムが挙げられる。
本発明の脱酸素剤組成物は、相対湿度40〜100%RHで脱酸素性能を発揮し得るが、中でも70%RHを超える高湿度環境下、特に80〜100%、更にRH95〜100%RHの高湿度環境下において、鉄粉粒子が全体的に顆粒状乃至“おこし状”に膨らみ、鉄粉粒子の表面が水分で覆われることなく酸素の吸収反応が有効に進行し、また、鉄粉の塊状化が特異的に抑制されて錆水の発生が防止されるという、特異な効果を顕著に発揮する。これは、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを配合した市販の鉄系脱酸素剤組成物では達成されなかった効果である。
更に、高湿度環境下でも水分移行量を抑えることができ、無機フィラーを添加しなくとも、水分移行に伴う酸素吸収性能の低下を防止する。
更に、高湿度環境下でも水分移行量を抑えることができ、無機フィラーを添加しなくとも、水分移行に伴う酸素吸収性能の低下を防止する。
換言するに、本発明は、鉄系脱酸素剤組成物として、水分移行性の低い助剤を使用することを特徴とし、これにより、高湿度雰囲気条件下で錆水トラブルの発生しない脱酸素剤が得られる。特に、鉄酸化生成物が膨らんで“おこし状”となり、高湿度雰囲気下でも鉄粉の酸化が中心まで良好に進む。好ましい低水分移行性塩は、その5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上である性質を有する塩である。
従って、本発明の特徴的な態様の一つは、実質的に、鉄粉100重量部及び、及び5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上である、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩からなる助剤0.1重量部以上のみからなる脱酸素剤組成物であって、無機フィラーを含まない脱酸素剤組成物である。
本発明の脱酸素剤組成物は、25℃、100%RHにおいて7日間保持したときの、当該組成物重量部当たりの酸素吸収量を230ml/g以上、好ましくは240ml/g以上とすることができる。
本発明の脱酸素剤組成物は、耐湿性の要求される用途に好適に使用される。例えば、餅、米飯、ハム、総菜等の食品の長期保存に好適である。また、ガス状臭素の遊離等もなく、脱酸素剤として食品や医薬品等の保存にも好適に使用可能である。
以上により、本発明は、実用性能がきわめて高い脱酸素剤組成物を提供する。
以上により、本発明は、実用性能がきわめて高い脱酸素剤組成物を提供する。
以下に実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。但し本発明はこれら実施例になんら制限されるものではない。本発明で用いた評価方法を以下に記載する。
<5wt%塩水溶液の平衡相対湿度>
各種塩を水に溶解し、5、10、20wt%水溶液を調製した。この水溶液と平衡状態にある雰囲気の相対湿度を露点式水分活性計(Decagon Devices Inc.製Model 3TE)で測定した。結果を表1に示す。表1から、臭化カルシウム(CaBr2)は、特に水溶液の平衡相対湿度が高く、雰囲気からの水分移行性が低い低吸水性塩であることが分る。
この結果より、5wt%水溶液で平衡相対湿度99%以上であることが指標となる。
<5wt%塩水溶液の平衡相対湿度>
各種塩を水に溶解し、5、10、20wt%水溶液を調製した。この水溶液と平衡状態にある雰囲気の相対湿度を露点式水分活性計(Decagon Devices Inc.製Model 3TE)で測定した。結果を表1に示す。表1から、臭化カルシウム(CaBr2)は、特に水溶液の平衡相対湿度が高く、雰囲気からの水分移行性が低い低吸水性塩であることが分る。
この結果より、5wt%水溶液で平衡相対湿度99%以上であることが指標となる。
<脱酸素剤組成物の膨張度指標>
脱酸素試験を行う前に、長方形脱酸素剤包装体の短辺側の一辺を上にして、手で振ることで、内部の脱酸素剤組成物を前記長辺の対向する下側の短辺の側に片寄せさせ、その部分の厚みAをノギスを用いて測定した。脱酸素試験を行った後の脱酸素剤包装体について、同様にして片寄せさせた脱酸素剤組成物部分の厚みBをノギスを用いて測定した。
脱酸素試験を行う前に、長方形脱酸素剤包装体の短辺側の一辺を上にして、手で振ることで、内部の脱酸素剤組成物を前記長辺の対向する下側の短辺の側に片寄せさせ、その部分の厚みAをノギスを用いて測定した。脱酸素試験を行った後の脱酸素剤包装体について、同様にして片寄せさせた脱酸素剤組成物部分の厚みBをノギスを用いて測定した。
脱酸素剤包装体の短辺部分の厚みの脱酸素前後における変化から、脱酸素剤組成物の膨張度指標を下式により求めた。各5サンプルにつき、膨張度指標を求めて平均した。膨張度指標が大きいほど、脱酸素剤組成物が大きく膨張したことを示す。
(膨張度指標)=〔(試験後厚みB)−(試験前厚みA)〕÷(試験前厚みA)
(膨張度指標)=〔(試験後厚みB)−(試験前厚みA)〕÷(試験前厚みA)
<脱酸素剤包装体の錆発生判定>
脱酸素試験を行う間、袋内の脱酸素剤包装体の通気性包装材料表面に現れる錆の発生を観察し、表2の基準にて判定した。
脱酸素試験を行う間、袋内の脱酸素剤包装体の通気性包装材料表面に現れる錆の発生を観察し、表2の基準にて判定した。
実施例1
臭化カルシウム0.5gを水6.17mlに溶解し、この水溶液を鉄粉(平均粒径50μm)100gに混合しながら加え、乾燥させることで、臭化カルシウムが被覆された鉄粉からなる顆粒状の脱酸素剤組成物を調製した。得られた顆粒状の脱酸素剤組成物1.80gを、片面にポリエチレンテレフタレート(PET)/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)/エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる積層フィルム、片面にポリエチレン製不織布からなる通気性積層フィルムを用いた長辺40mm×短辺37mmの面の長方形小袋に四方シール充填して脱酸素剤包装体とした。
臭化カルシウム0.5gを水6.17mlに溶解し、この水溶液を鉄粉(平均粒径50μm)100gに混合しながら加え、乾燥させることで、臭化カルシウムが被覆された鉄粉からなる顆粒状の脱酸素剤組成物を調製した。得られた顆粒状の脱酸素剤組成物1.80gを、片面にポリエチレンテレフタレート(PET)/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)/エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる積層フィルム、片面にポリエチレン製不織布からなる通気性積層フィルムを用いた長辺40mm×短辺37mmの面の長方形小袋に四方シール充填して脱酸素剤包装体とした。
この脱酸素剤包装体を用いて、以下の試験を行った。高湿度環境で脱酸素剤への水分移行処理を行い、その後の酸素吸収能力の保持を測定評価することにより、脱酸素剤の耐湿性を評価した。
水10mlを含浸した加湿用の含水綿、及び、脱酸素剤包装体を130mm×140mmのガスバリア袋に入れ、両者を樹脂製のネットで隔離し、5mlの空気とともに密封した。この密封した袋を35℃の恒温槽中に5日〜10日間保管し、脱酸素剤に水分移行を起こさせた。密封した袋を開封し、脱酸素剤包装体を取り出し、重量増加分を測定し、水分移行量とした。この水分移行処理を行った脱酸素剤を、酸素濃度2%に調整した酸素と窒素との混合ガス250mlと共にガスバリア袋に密封し、5℃の恒温槽中に放置し、24時間後の酸素濃度を測定し、水分移行処理前後での酸素吸収能力保持性を評価した。結果を表3に示す。
本発明の脱酸素剤は、表3に示すように、100%RHの高湿度雰囲気に5〜10日放置した後も、水分移行量は小さく、迅速な酸素吸収能力を保持していた。
本発明の脱酸素剤は、表3に示すように、100%RHの高湿度雰囲気に5〜10日放置した後も、水分移行量は小さく、迅速な酸素吸収能力を保持していた。
比較例1〜3
実施例1で使用した臭化カルシウムを同重量の塩化カルシウム、臭化ナトリウム又は塩化カルシウムに替えた以外は同様にして、脱酸素剤組成物及び脱酸素剤包装体を作製した。作製した脱酸素剤包装体を用いて、実施例1と同様の試験を行い、水分移行量と酸素吸収能力保持性の評価を行った。結果を表3に示す。表3に示すように、100%RHの高湿度雰囲気に5〜10日放置したことによる水分移行量が大きく、酸素吸収能力が低下した。
実施例1で使用した臭化カルシウムを同重量の塩化カルシウム、臭化ナトリウム又は塩化カルシウムに替えた以外は同様にして、脱酸素剤組成物及び脱酸素剤包装体を作製した。作製した脱酸素剤包装体を用いて、実施例1と同様の試験を行い、水分移行量と酸素吸収能力保持性の評価を行った。結果を表3に示す。表3に示すように、100%RHの高湿度雰囲気に5〜10日放置したことによる水分移行量が大きく、酸素吸収能力が低下した。
実施例2
実施例1で作製した脱酸素剤包装体を用いて、以下の脱酸素試験を行った。
ポリ塩化ビニリデンコート延伸ナイロン/ポリエチレンのガスバリア性ラミネートフィルムからなる180mm×250mmの袋内に水10mlを含ませた綿片を置き、その上にポリプロピレン製格子を載せ、更にその上に前記の脱酸素包装体を直接含水綿に触れないように置き、これらをテープで固定した。袋を密封し、脱酸素剤包装体の長辺の側が下になるように袋を垂直に吊り下げた状態で、直径2mmのピンホールを袋の4箇所に開け、25℃下にて保存し、脱酸素剤を完全に酸化させた。
実施例1で作製した脱酸素剤包装体を用いて、以下の脱酸素試験を行った。
ポリ塩化ビニリデンコート延伸ナイロン/ポリエチレンのガスバリア性ラミネートフィルムからなる180mm×250mmの袋内に水10mlを含ませた綿片を置き、その上にポリプロピレン製格子を載せ、更にその上に前記の脱酸素包装体を直接含水綿に触れないように置き、これらをテープで固定した。袋を密封し、脱酸素剤包装体の長辺の側が下になるように袋を垂直に吊り下げた状態で、直径2mmのピンホールを袋の4箇所に開け、25℃下にて保存し、脱酸素剤を完全に酸化させた。
この脱酸素試験において、脱酸素剤組成物の膨張度指標を求めた結果を表4に示す。また、脱酸素剤包装体の耐錆性を各5サンプルにつき判定した結果を表5に示す。
表4に示すように、本発明の脱酸素剤組成物は、脱酸素する過程において塊状化することなく、全体的に“おこし状”の膨張が起こって、鉄粉が内部まで均一に酸化した。また、表5に示すように、本発明の脱酸素剤包装体表面には、錆の発生は見られなかった。
表4に示すように、本発明の脱酸素剤組成物は、脱酸素する過程において塊状化することなく、全体的に“おこし状”の膨張が起こって、鉄粉が内部まで均一に酸化した。また、表5に示すように、本発明の脱酸素剤包装体表面には、錆の発生は見られなかった。
比較例4〜7
実施例1で使用した臭化カルシウムに代えて、各種金属塩化物塩を同重量使用して同様に脱酸素剤組成物を調製し、実施例2に記載の脱酸素試験を行った。金属塩化物塩を使用した場合は、表4に示すように、脱酸素剤の塊状化が認められた。また、表5に示すように、3日目には錆の発生が認められ、また14日目以降には脱酸素剤包装体表面への視認容易な大きい錆の発生が認められた。
実施例1で使用した臭化カルシウムに代えて、各種金属塩化物塩を同重量使用して同様に脱酸素剤組成物を調製し、実施例2に記載の脱酸素試験を行った。金属塩化物塩を使用した場合は、表4に示すように、脱酸素剤の塊状化が認められた。また、表5に示すように、3日目には錆の発生が認められ、また14日目以降には脱酸素剤包装体表面への視認容易な大きい錆の発生が認められた。
比較例8〜11
実施例1で使用した臭化カルシウムに代えて、各種金属ヨウ化物塩を同重量使用して同様に脱酸素剤組成物を調製し、実施例2に記載の脱酸素試験を行った。金属ヨウ化物塩を使用した場合は、表4に示すように、脱酸素剤の塊状化が認められた。また、表5に示すように、3日目には錆の発生が認められ、また14日目以降には脱酸素剤包装体表面への視認容易な大きい錆の発生が認められた。
実施例1で使用した臭化カルシウムに代えて、各種金属ヨウ化物塩を同重量使用して同様に脱酸素剤組成物を調製し、実施例2に記載の脱酸素試験を行った。金属ヨウ化物塩を使用した場合は、表4に示すように、脱酸素剤の塊状化が認められた。また、表5に示すように、3日目には錆の発生が認められ、また14日目以降には脱酸素剤包装体表面への視認容易な大きい錆の発生が認められた。
実施例3
空気4000mlを封入し、ピンホールを開けないで袋を水平に置いた他は実施例2と同様にして、脱酸素試験を行った。25℃で保存中、ジルコニア式酸素濃度計を用いて、7日置きに21日目まで脱酸素包装体の酸素吸収量を測定した。また、21日目にガスバリア袋を開封し脱酸素剤組成物の状態、通気性包装材表面の錆発生状態を表2の評価基準で判定した。結果を表6に示す。
表6に示すように、脱酸素剤組成物の重量部当たりの酸素吸収量は、7日目で230mlO2/gを越え、14日目で250mlO2/gを越え、21日目で270mlO2/gを越えた。21日保存後も脱酸素剤組成物はさらさらしており、塊状化、通気性包装材表面への錆発生は見られなかった。
空気4000mlを封入し、ピンホールを開けないで袋を水平に置いた他は実施例2と同様にして、脱酸素試験を行った。25℃で保存中、ジルコニア式酸素濃度計を用いて、7日置きに21日目まで脱酸素包装体の酸素吸収量を測定した。また、21日目にガスバリア袋を開封し脱酸素剤組成物の状態、通気性包装材表面の錆発生状態を表2の評価基準で判定した。結果を表6に示す。
表6に示すように、脱酸素剤組成物の重量部当たりの酸素吸収量は、7日目で230mlO2/gを越え、14日目で250mlO2/gを越え、21日目で270mlO2/gを越えた。21日保存後も脱酸素剤組成物はさらさらしており、塊状化、通気性包装材表面への錆発生は見られなかった。
比較例12〜15
実施例1の臭化カルシウムに代えて、金属塩化物塩を同重量使用して同様に脱酸素剤組成物を調製し、実施例3に記載の脱酸素試験を行った。金属塩化物塩を使用した場合は、表6に示すように、金属臭化物塩を使用した場合に比べて、酸素吸収量が少なかった。21日保存後、脱酸素剤組成物の塊状化、及び包装材表面に+判定の錆の発生が認められた。
実施例1の臭化カルシウムに代えて、金属塩化物塩を同重量使用して同様に脱酸素剤組成物を調製し、実施例3に記載の脱酸素試験を行った。金属塩化物塩を使用した場合は、表6に示すように、金属臭化物塩を使用した場合に比べて、酸素吸収量が少なかった。21日保存後、脱酸素剤組成物の塊状化、及び包装材表面に+判定の錆の発生が認められた。
比較例16〜19
実施例1の臭化カルシウムに代えて、金属ヨウ化物塩を同重量使用して同様に脱酸素剤組成物を調製し、実施例3記載の脱酸素試験を行った。金属ヨウ化物塩を使用した場合は、表6に示すように、金属臭化物塩を使用した場合に比べて、酸素吸収量が少なかった。21日保存後、脱酸素剤組成物の塊状化、及び包装材表面に+判定の錆の発生が認められた。
実施例1の臭化カルシウムに代えて、金属ヨウ化物塩を同重量使用して同様に脱酸素剤組成物を調製し、実施例3記載の脱酸素試験を行った。金属ヨウ化物塩を使用した場合は、表6に示すように、金属臭化物塩を使用した場合に比べて、酸素吸収量が少なかった。21日保存後、脱酸素剤組成物の塊状化、及び包装材表面に+判定の錆の発生が認められた。
実施例4
以下の実装試験を行った。
ガスバリア袋(ポリ塩化ビニリデンコート延伸ナイロン/ポリエチレンのラミネートフィルム、大きさ220mm×330mm)に入れた炊飯米1050gの上に、実施例1で調製した脱酸素剤包装体1包を直接載せ、密封した。この密封容器を25℃で30日間保管した後、袋内の酸素濃度を測定したところ0.1%以下であり、炊飯米の風味は良好であった。脱酸素剤包装体を取り出し調べたところ、錆の発生は認められなかった。脱酸素剤包装体と接触していた炊飯米の部分には、外観上の異常は認められず、ロダンカリ法による試験を行ったが鉄の反応は検出されなかった。
以下の実装試験を行った。
ガスバリア袋(ポリ塩化ビニリデンコート延伸ナイロン/ポリエチレンのラミネートフィルム、大きさ220mm×330mm)に入れた炊飯米1050gの上に、実施例1で調製した脱酸素剤包装体1包を直接載せ、密封した。この密封容器を25℃で30日間保管した後、袋内の酸素濃度を測定したところ0.1%以下であり、炊飯米の風味は良好であった。脱酸素剤包装体を取り出し調べたところ、錆の発生は認められなかった。脱酸素剤包装体と接触していた炊飯米の部分には、外観上の異常は認められず、ロダンカリ法による試験を行ったが鉄の反応は検出されなかった。
使用した脱酸素剤組成物(鉄粉100重量部(1.79g):臭化カルシウム0.5重量部)のカサ比重は3.20g/mlであり、脱酸素剤包装体一包当たりの包装材料の使用量は片面につき14.8cm2であった。
無機フィラーを配合しないことにより、鉄粉1.79gに助剤及び無機フィラーを配合した脱酸素剤組成物を用いて脱酸素剤包装体とする時の包装材料の使用量を従来タイプ(比較例6に示す)に比較して約3割削減することができた。
無機フィラーを配合しないことにより、鉄粉1.79gに助剤及び無機フィラーを配合した脱酸素剤組成物を用いて脱酸素剤包装体とする時の包装材料の使用量を従来タイプ(比較例6に示す)に比較して約3割削減することができた。
比較例20
実施例4において、臭化カルシウムに代えて塩化カルシウムを同重量使用し、シリカ系無機フィラー及び添加剤を添加した、従来タイプの脱酸素剤組成物を調製した。臭化カルシウムと塩化カルシウムでは、臭化カルシウムの方が鉄粉の酸化反応率が高い(表6参照)ため、7日目の酸素吸収量を同じになるように鉄粉重量を補正する必要がある。即ち、実施例4と同等の組成で、鉄粉2.12g(=1.79g×246/207)を含有する脱酸素剤組成物を得た。
実施例4において、臭化カルシウムに代えて塩化カルシウムを同重量使用し、シリカ系無機フィラー及び添加剤を添加した、従来タイプの脱酸素剤組成物を調製した。臭化カルシウムと塩化カルシウムでは、臭化カルシウムの方が鉄粉の酸化反応率が高い(表6参照)ため、7日目の酸素吸収量を同じになるように鉄粉重量を補正する必要がある。即ち、実施例4と同等の組成で、鉄粉2.12g(=1.79g×246/207)を含有する脱酸素剤組成物を得た。
使用した脱酸素剤組成物(鉄粉100重量部(2.12g):塩化カルシウム0.4重量部:無機フィラー5.4重量部)のカサ比重は2.90g/mlであり、脱酸素剤包装体一包当たりの包装材料の使用量は片面につき20.5cm2であった。
得られた脱酸素剤包装体1包を用いて、実施例4と同様の実装試験を行った。30日間保管した後、袋内の酸素濃度を測定したところ0.1%以下であり、炊飯米の風味は良好であった。しかし、脱酸素剤包装体表面には、錆の発生が認められ、当該表面と接触していた炊飯米の部分について、ロダンカリ法による試験を行うと鉄分が検出された。
Claims (10)
- 鉄粉100重量部、及び低水分移行性のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩からなる助剤0.1重量部以上からなる脱酸素剤組成物。
- 助剤が、その5wt%水溶液の25℃における平衡相対湿度が99.0%RH以上である性質を有する低水分移行性塩である、請求項1記載の脱酸素剤組成物。
- 助剤が臭化カルシウムである請求項1に記載の脱酸素剤組成物。
- 高湿度雰囲気用である請求項1に記載の脱酸素剤組成物。
- 鉄粉100重量部に対する助剤の配合量が0.5〜0.8重量部である請求項1に記載の脱酸素剤組成物。
- 無機フィラーを含まない請求項1に記載の脱酸素剤組成物。
- 25℃、100%RHにおいて7日間保持したときの酸素吸収量が、脱酸素剤組成物重量部当たり230ml/g以上である請求項1記載の脱酸素剤組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の脱酸素剤組成物を通気性包装材料で包装してなる脱酸素剤包装体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の脱酸素剤組成物を通気性包装材料で包装してなる高湿度雰囲気用脱酸素剤包装体。
- 請求項8に記載の脱酸素剤包装体を使用して、ガスバリア性容器内を、70%RHを超える高湿度雰囲気下において脱酸素する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004235294A JP2005087994A (ja) | 2003-08-12 | 2004-08-12 | 耐湿性に優れた脱酸素剤組成物及び脱酸素剤包装体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017094253A (ja) * | 2015-11-20 | 2017-06-01 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 脱酸素剤組成物及び脱酸素剤 |
JP2018002897A (ja) * | 2016-07-04 | 2018-01-11 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 膨張剤用組成物及びそれを用いた膨張剤 |
-
2004
- 2004-08-12 JP JP2004235294A patent/JP2005087994A/ja not_active Withdrawn
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